JP4648594B2 - 表示装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機材料等の表示組成物を含む複数の表示素子を備えた表示装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
それぞれが異なる色を呈する表示素子を複数備えた多色表示EL表示装置を製造する方法としては、特開昭57−157487号公報、特開昭58−147989号公報,及び特開平3−214593号公報に示されているように、赤、緑、青の3原色で発光するEL材料をマトリックス状に配置する方法がある。
【0003】
この方法では、3原色の発光材料を、高精度にマトリックス状に配置する必要があるため、複雑な光露光プロセス及びエッチングプロセスを要していた。
そこで、3原色の発光材料の配置を簡便に行うために、特開平10−12377号公報及び特開平11−87063号公報に示されているように、予めバンク(隔壁)を形成しておき、そのバンクを利用して、EL材料のパターニングを行う方法が用いられてきた。
【0004】
つまり、図7に示す様に、以下の(1)〜(6)の工程に従って、多色表示EL表示装置を製造していた。
(1)基板P10上に陽極P11aを設ける(図7(a))。
(2)陽極P11aを所定のパターンにパターニングする(図7(b))。
【0005】
(3)絶縁層P11bを形成する(図7(c))。
(4)陽極P11aに対応する位置の絶縁層P11bを光露光により除去し、残存した絶縁層P11bを隔壁P11b2とする(図7(d))。
(5)隔壁P11b2で区切られたそれぞれの区間に、所定の色の有機EL材料P11cをインクジェット法により配置する(図7(e))。
【0006】
(6)陰極P11dを形成する(図7(f))。
尚、図7(f)にて陰極P11dは、陽極P11aに平行な面内で、陽極P11aと直交する方向に延びるように並列配置されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の方法においても、隔壁を形成するためには、光露光を用いた複雑なプロセスが必要であるので、多色表示EL表示装置の製造工程が複雑になるという問題、及び製造コストが高くなると言う問題があった。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、隔壁を形成するための独立した工程が不要であり、表示装置を簡便に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
(1)請求項1の発明は、
一対の電極と、前記一対の電極の間に挿入された表示用組成物とから成る表示素子を複数備え、前記一対の電極の間を絶縁するとともに、前記表示素子の表示用組成物と他の前記表示素子の表示用組成物との間を絶縁する隔壁を有する表示装置の製造方法であって、前記一対の電極のうちの一方の電極及びその周囲を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層上の、前記一方の電極に対応する位置に、前記絶縁層を溶解する溶媒及び前記表示用組成物を含有するインク溶液を塗布するインク溶液塗布工程と、前記絶縁層の溶解後に、前記インク溶液の溶媒を蒸発させ、前記一方の電極と接触するように前記表示用組成物を形成する表示用組成物形成工程と、前記表示用組成物の上に、前記一対の電極のうち、他方の電極を形成する電極形成工程と、を有し、前記表示用組成物が、発光物質及び電荷輸送材料を含有することを特徴とする表示装置の製造方法を要旨とする。
【0010】
本発明の表示装置の製造方法では、表示素子の表示用組成物を形成すると同時に、表示用組成物間を絶縁する隔壁を形成することができる。
つまり、絶縁層上の所定の場所にインク溶液を塗布すると、その場所においては、インク溶液に含まれる溶媒によって絶縁層が溶解され、インク溶液の溶媒が蒸発した後には、インク溶液に含まれていた表示用組成物の成分によって、前記一方の電極に接触する表示用組成物が形成され、一方、絶縁層のうち、インク溶液が塗布されなかった場所では、絶縁層がそのまま残存し、表示用組成物を隔てる隔壁となる。よって、この隔壁を利用して、容易に表示素子を製造することができる。
【0011】
従って、本発明の表示装置の製造方法は、従来の製造方法の様に、光露光を用いた複雑なプロセスによって隔壁を形成する必要がないため、容易に表示装置を製造することができ、製造コストも低く抑えることができる。
【0012】
【0013】
【0014】
本発明で製造される表示装置は、表示用組成物が発光物質を含有するので、電極間に所定の電圧をかけることにより、表示素子を発光させることができる。
・前記発光物質を含有する表示用組成物としては、例えば、発光物質単独から成るもの、または、発光物質に、補助的な電荷輸送材料を加えたものがある。
【0015】
この場合の発光物質としては、例えば、インク化できる高分子系発光材料があり、具体的には、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン誘導体等がある。
補助的な電荷輸送材料としては、例えば、オキサジアゾール、オキサゾール、トリフェニルメタン、ヒドラゾリン系、アリールアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系等のホール輸送材料があり、具体的には、TPD(N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン)、α−NPD(N,N'−ジ(1−ナフチル)−N,N'ジフェニルベンジジン)、TAPC(1,1−ビス(ジ4トリルアミノフェニル)−シクロヘキサン)、PPD(N,N'−ジ(9−フェナントリル)−N,N'−ジフェニルベンジジン)、TRP、NPB(α−NPDの2量体)等がある。
【0016】
また、補助的な電荷輸送材料としては、他に、例えば、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルミニウム錯体等の電子輸送材料があり、具体的には、tBu−PBD(2−(4−ビフェニル)−5−(パラ−ターシャル−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)、TAZ(3−(4'−ターシャル−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4''−ビフェニル)−1,2,4−トリアゾール)、AlQ3(トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III))、BND(2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール)、Bphen(バソフェナントロリン)、P−EtTAZ(3−(4'−ターシャル−ブチルフェニル)−4−(パラエチルフェニル)−5−(4''−ビフェニル)−1,2,4トリアゾール)等がある。
【0017】
・また、前記発光物質を含有する表示用組成物としては、例えば、インク化可能な電荷輸送材料に、発光物質をドープして成るものがある。
この場合の電荷輸送材料としては、例えば、カルバゾール誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子(例えばPVK(ポリ(N−ビニルカルバゾール))、トリフェニルアミン誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子(例えばPTPDES(含テトラフェニルジアミン−ポリ(アリレンエステルスルフォン))等のホール輸送性ポリマーや、オキサジアゾール誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子(例えばPVMOXD(ポリビニルメチルオキサジアゾール))等の電子輸送性ポリマーがある。
【0018】
また、この場合の発光物質としては、例えば、TPB(テトラフェニルブタジエン)、ペリレン、クマリン、ルブレン、ナイルレッド、DCM(4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−ジメチルアミノスチリル−4−ピラン)、DCJTB(4−ジシアノメチレン−6−シーピージュロリジノスチリル−2−ターシャルブチル−4H−ピラン)、スクアリリウム、アルミニウム錯体(例えばAlQ3)等がある。
【0019】
この表示用組成物には、更に、上述した補助的な電荷輸送材料を加えてもよい。
本発明で製造される表示装置における表示用組成物は、例えば、発光物質(例えば、例えば、インク化できる高分子系発光材料、具体的には、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン誘導体等)に、電荷輸送材料を添加したものである。
この表示装置は、上記の構成により、電極間に所定の電圧をかけた場合には、高輝度で発光することができる。
(2)請求項2の発明は、
前記発光物質が、ヘテロ芳香族化合物、スチルベン系化合物の蛍光、燐光物質の中から選ばれる1又は2以上の物質であることを特徴とする前記請求項1に記載の表示装置の製造方法を要旨とする。
【0020】
本発明で製造される表示装置は、上記発光物質を表示用組成物中に含有することにより、所定の電圧をかけた場合には、高輝度で発光することができる。
・前記発光物質の具体例としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリチオフェン誘導体等の高分子発光材料、及び、TPB、ペリレン、クマリン、ルブレン、ナイルレッド、DCM、DCJTBスクアリリウム、アルミニウム錯体(例えばAlQ3)等の低分子系材料がある。
【0021】
【0022】
(3)請求項3の発明は、
前記電荷輸送材料が、オキサジアゾール系、オキサゾール系、トリフェニルメタン系、ヒドラゾリン系、アリールアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系の中から選ばれる1又は2以上のホール輸送材料、又は、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルミニウム錯体の中から選ばれる1又は2以上の電子輸送材料であることを特徴とする前記請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法を要旨とする。
【0023】
本発明は、電荷輸送材料を例示する。
表示装置の表示用組成物を、上記電荷輸送材料を用いて構成することにより、電極間に所定の電圧をかけた場合には、表示装置を高輝度で発光させることができる。
【0024】
・前記ホール輸送材料の具体例としては、TPD、α−NPD、TAPC、PPD、TRP、NPB等がある。
・前記電子輸送材料の具体例としては、PBD、TAZ、AlQ3、BND、Bphen、P−EtTAZ等がある。
【0025】
また、電子輸送材料として、電子輸送性ポリマーである、オキサジアゾール誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子(例えばPVMOXD)を使用することができる。
(4)請求項4の発明は、
一対の電極と、前記一対の電極の間に挿入された表示用組成物とから成る表示素子を複数備え、前記一対の電極の間を絶縁するとともに、前記表示素子の表示用組成物と他の前記表示素子の表示用組成物との間を絶縁する隔壁を有する表示装置の製造方法であって、前記一対の電極のうちの一方の電極及びその周囲を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層上の、前記一方の電極に対応する位置に、前記絶縁層を溶解する溶媒及び前記表示用組成物を含有するインク溶液を塗布するインク溶液塗布工程と、前記絶縁層の溶解後に、前記インク溶液の溶媒を蒸発させ、前記一方の電極と接触するように前記表示用組成物を形成する表示用組成物形成工程と、前記表示用組成物の上に、前記一対の電極のうち、他方の電極を形成する電極形成工程と、を有し、前記表示用組成物が、酸化還元により呈色変化する物質を含有することを特徴とする表示装置の製造方法を要旨とする。
【0026】
本発明で製造される表示装置では、表示素子の電極間にかける電圧を変化させることにより、表示素子の表示用組成物を酸化又は還元して、その色を変化させることができる。
従って、この表示装置は、表示用組成物の色の変化を利用して、所定のパターンを表示することができる。
【0027】
・本発明の表示素子としては、例えば、エレクトロクロミック素子がある。
(5)請求項5の発明は、
一対の電極と、前記一対の電極の間に挿入された表示用組成物とから成る表示素子を複数備え、前記一対の電極の間を絶縁するとともに、前記表示素子の表示用組成物と他の前記表示素子の表示用組成物との間を絶縁する隔壁を有する表示装置の製造方法であって、前記一対の電極のうちの一方の電極及びその周囲を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層上の、前記一方の電極に対応する位置に、前記絶縁層を溶解する溶媒及び前記表示用組成物を含有するインク溶液を塗布するインク溶液塗布工程と、前記絶縁層の溶解後に、前記インク溶液の溶媒を蒸発させ、前記一方の電極と接触するように前記表示用組成物を形成する表示用組成物形成工程と、前記表示用組成物の上に、前記一対の電極のうち、他方の電極を形成する電極形成工程と、を有し、前記表示用組成物が、酸化還元により呈色変化するポリマー物質と、ポリマー電解質と、から成ることを特徴とする表示装置の製造方法を要旨とする。
【0028】
本発明で製造される表示装置では、表示素子の電極間にかける電圧を変化させることにより、表示素子の表示用組成物を酸化又は還元して、その色を変化させることができる。
従って、この表示装置は、表示用組成物の色の変化を利用して、所定のパターンを表示することができる。
【0029】
・前記ポリマー物質としては、例えば、ポリアニリン、ポリビロール誘導体等がある。
・前記ポリマー電解質としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリアクリルニトリル(PAN)等がある。
(6)請求項6の発明は、
基板上に、前記一方の電極を、所定のパターンに従って形成することを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載の表示装置の製造方法を要旨とする。
本発明で製造される表示装置は、基板上に積層されて構成されているので、例えば、剛性の高い基板を用いることにより、表示装置に充分な剛性を付与することができる。
また、本発明の製造方法では、例えば、基板上に、前記一方の電極を形成するので、それら一方の電極の基板上における位置は一定となる。
そのため、インク溶液塗布工程において、例えば、基板を基準として、インク溶液を塗布する場所を定めれば、前記一方の電極に相当する位置に、正確にインク溶液を塗布することができる。
・前記基板の材料としては、例えば、ガラス、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等がある。
(7)請求項7の発明は、
前記絶縁層が、PVK(ポリ(N−ビニルカルバゾール))、ポリスチレン、ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリイミド、フッ素樹脂の中から選ばれる1又は2以上の物質から成ることを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置の製造方法を要旨とする。
【0030】
本発明は絶縁層を例示する。
絶縁層として、上記の材料を用いることにより、表示素子の電極間の絶縁と、表示素子の表示用組成物間の絶縁とを確実にすることができる。
また、上記の材料は、所定の溶媒により溶解することができるので、インク溶液塗布工程においては、インク溶液を塗布した場所の絶縁層をインク溶液に含まれる溶媒により溶解することにより、表示素子の電極に達するように、表示用組成物を形成することが出来る。
(8)請求項8の発明は、
前記溶媒が、炭化水素系溶媒、ハロゲン炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン、アルデヒド、ドデシルベンゼン、テトラリン、ジクロルエタン、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルの中から選ばれる1又は2以上の物質から成ることを特徴とする前記請求項1〜7のいずれかに記載の表示装置の製造方法を要旨とする。
【0031】
本発明は、インク溶液に含まれる溶媒を例示している。
上記溶媒は、絶縁層を溶解することすることができるので、インク塗布工程においては、これらの溶媒を含むインク溶液を用いることにより、インク溶液を塗布した場所の絶縁層を溶解し、表示素子の電極に達するように、表示用組成物を形成することが出来る。
(9)請求項9の発明は、
前記絶縁層の前記溶媒に対する溶解度が、前記表示用組成物の前記溶媒に対する溶解度よりも小さいことを特徴とする前記請求項1〜8のいずれかに記載の表示装置の製造方法を要旨とする。
【0032】
本発明の製造方法のインク溶液塗布工程では、インク溶液が塗布された場所の絶縁層は、溶媒により溶解する。
次の表示用組成物形成工程では、インク溶液の溶媒が蒸発し、インク溶液に含まれていた成分が固化して表示用組成物が形成されるとともに、溶解されていた絶縁層も、再び固化する。
【0033】
この時、溶媒に対する絶縁層の溶解度が、表示用組成物の溶解度よりも小さいことにより、インク溶液を塗布した場所の周辺部に絶縁層は偏析し、表示用組成物は、インクを塗布した場所の中心部に偏析する。
このことにより、表示用組成物に絶縁層の成分が混入することが少なくなり、表示素子は、優れた発光特性を有する。
(10)請求項10の発明は、
前記インク溶液塗布工程において、インクジェット法を用いて、前記インク溶液を塗布することを特徴とする前記請求項1〜9のいずれかに記載の表示装置の製造方法を要旨とする。
【0034】
本発明は、インク溶液塗布工程における、インク溶液の塗布方法を例示している。
インクジェット法によれば、インク溶液を、薄く、且つ均一に塗布することができる。従って、本発明によれば、薄く且つ均一な膜厚の表示用組成物を形成することが可能である。
【0035】
また、インクジェット法によれば、必要な場所にのみインク溶液を塗布することができるので、ディップコート法やスピンコート法のように、全体にインク溶液を塗布する方法に比べて、インク溶液の使用量が少なくて済む。
更に、例えば、インクジェットヘッドの位置を制御することにより、インク溶液を必要な場所に選択的に塗布することができるので、例えば、インク溶液を塗り分けるためのマスクを形成したりする工程が不要である。
【0036】
・前記インクジェット法に用いるインクジェットヘッドとして、例えば、圧電素子方式のインクジェットヘッド、バブルジェット(登録商標)方式のインクジェットヘッド等がある。
(11)請求項11の発明は、
前記インク溶液塗布工程において、印刷法を用いて、前記インク溶液を塗布することを特徴とする前記請求項1〜9のいずれかに記載の表示装置の製造方法を要旨とする。
【0037】
本発明は、インク溶液塗布工程における、インク溶液の塗布方法を例示している。
印刷法によれば、例えば、絶縁層において、インク溶液を塗布する必要のない部分に予めマスクを形成することにより、絶縁層の必要な場所に選択的にインク溶液を塗布することができる。
(12)請求項12の発明は、
前記インク溶液の粘度が、1×10-3〜1×10Pa・sの範囲にあることを特徴とする前記請求項1〜11のいずれかに記載の表示装置の製造方法を要旨とする。
【0038】
本発明の製造方法では、インク溶液の粘度が上記範囲内(更に好ましくは5×10-3〜1.5×10-2Pa・sの範囲)であることにより、例えば、インクジェット法によりインク溶液を塗布する場合に、インクのドロップ径を制御することが容易である。
【0039】
また、例えば、印刷法によりインク溶液を塗布する場合には、インク溶液の粘度が上記範囲内(更に好ましくは、1×10-1〜1×10Pa・sの範囲)にあることにより、微細パターンの印刷性の点で優れている。
(13)請求項13の発明は、
前記表示素子用組成物形成工程において、10〜100℃の温度範囲において、前記溶媒を蒸発させることを特徴とする前記請求項1〜12のいずれかに記載の表示装置の製造方法を要旨とする。
【0040】
本発明の製造方法では、10℃以上の温度で溶媒を蒸発させるので、蒸発に要する時間が短くて済む。
また、本発明では、100℃以下の温度で溶媒を蒸発させるので、表示装置を構成する部材(例えば、基板、電極、絶縁層、表示用組成物)が変形又は変質することがない。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の表示装置の製造方法の実施の形態の例(実施例)を説明する。
(実施例1)
ここでは、表示装置として、有機ELディスプレイを例に挙げて説明する。
【0042】
a)まず、有機ELディスプレイ1の全体構成を図1を用いて説明する。
有機ELディスプレイ1は、ガラス基板10と、そのガラス基板10上に配置された有機EL素子11(表示素子)、電流駆動TFT12、水平駆動回路13、垂直駆動回路14、及び封止層16を備えている
上記有機EL素子11は、ガラス基板10の中央部に形成されており、碁盤の目状に、15の画素に分割されている。それぞれの画素は、有機EL膜11c(表示用組成物)と、その有機EL膜11cを上下から挟む陽極(ITO(インジウムチタンオキサイド)11a)と陰極11eとを備えている。
【0043】
有機EL素子11の個々の画素は、陽極ITO11aと陰極11eとの間に直流電圧をかけると発光し、ガラス基板10を透過して、下方(図1における下方)に光を照射する。一方、陽極(ITO11a)と陰極11eとの間の電圧がOFFの時には消光する。
【0044】
上記電流駆動TFT12は、有機EL素子11の個々の画素ごとに1個ずつ設けられており、対応する画素への電流供給を制御するスイッチとして作用する。
上記水平駆動回路13及び上記垂直駆動回路14は、各画素に対応する電流駆動TFT12を、オン又はオフとすることにより、各画素の独立発光及び消灯制御を行う。
【0045】
上記封止層16は、有機EL素子11、電流駆動TFT12、水平駆動回路13、垂直駆動回路14、P−SiTFT15を上から覆い、保護するものである。
b)次に、上記電流駆動TFT12について、図1、図2、及び図3を用いて説明する。
【0046】
有機ELディスプレイ1には、図1に示す様に、有機EL素子11の1画素ごとに、電流駆動TFT12が設けられている。この電流駆動TFT12は、図2に示す様に、有機EL素子11の個々の画素への電流の供給を制御するスイッチとして機能する。
【0047】
この電流駆動TFT12の構成を、図3の等価回路を用いて説明する。尚、図3は、6個の画素についての繰り返し図である。
電流駆動TFT12は、図3に示す様に、垂直駆動回路14に接続したデータ線12f、水平駆動回路13に接続した走査線12e、走査線12eを介して走査信号が、そのゲート電極に供給されるメモリーTFT12b、メモリーTFT12bを介してデータ線12fから電荷(画像信号)を供給され、保持するコンデンサ12c、コンデンサ12cにより保持された画像信号がゲート電極に供給される駆動TFT12aを備えており、有機EL素子の陽極(ITO11a)には、駆動TFT12aを介して電源線12dから駆動電流が流れ込む。
【0048】
この電流駆動TFT12では、水平駆動回路13によって走査線12eがオンになり、垂直駆動回路14によってデータ線12fがオンになると、メモリーTFT12bが作動し、コンデンサ12cに電荷が蓄積される。この電荷に相当する時間だけ駆動TFT12aが作動し、電源線 12dから、駆動TFT12a、陽極(ITO11a)、有機EL膜11cを介して、陰極11eへ電流が流れ、その電流駆動TFT12に対応する画素が発光する。
【0049】
一方、水平駆動回路13によって走査線12dがオフとなるか、垂直駆動回路14によってデータ線12eがオフとなった場合には、メモリーTFT12bが作動せず、有機EL膜11cには電流が流れないので、その電流駆動TFT12に対応する画素は消光する。
【0050】
c)次に、有機ELディスプレイ1の製造方法を図4を用いて説明する。 尚、図4は、有機ELディスプレイ1のうち、有機EL素子11の部分のみを示す図である。ここでは、特に、要部である有機EL素子11の製造方法を説明する。
【0051】
(1)図4aに示す様に、ガラス基板10上に、ITO11aを150nmの厚みで蒸着し、陽極とした。
このITO11aの表面抵抗は500〜600μΩ/cmであり、光透過率は81%であった。
【0052】
(2)前記(1)で形成したITO11a上に、露光用のレジスト20をスピンコートにより塗布し、所望の電極パターンをマスク露光した。その後、濃硝酸と濃塩酸の混合液である王水を用いたエッチングにより、露光されていない部分のレジスト20及びITO11aを取り除き、図4bに示す様に、所望の電極パターンを形成した。
【0053】
(3)ITO11a表面を、中性洗剤洗浄、アセトン洗浄、IPA(イソプロピルアルコール)洗浄、及びUVオゾン洗浄により順次洗浄した。
尚、これらの洗浄の目的は、(i)ITO11a上の汚れを除去すること、(ii)ITO11a表面の酸素欠陥を減らし、正孔注入障壁を低下させること、である。
【0054】
中でも、UVオゾン洗浄は、湿式洗浄ではとれない有機物の汚れを除去することができる。
(4)図4cに示す様に、ガラス基板10上の、有機EL素子11を形成する部分全体に、スピンコート法、ディップ法、カーテンコート法、バーコート法、印刷法もしくはインクジェット法を用いて、PVKから成る絶縁層11bを形成した。
【0055】
絶縁層11bの厚みは、ITO11a間の絶縁を保持できる厚みであればよく、薄い方が、インクジェットの液滴径(ドロップ径)を考えると、高分解能、高画質の点で好ましい。また、絶縁層11bは、後述する工程において溶解させるので、半キュアー状態(完全に硬化していない状態)が望ましい。
【0056】
(5)次に、有機EL膜(表示用組成物)の成分及び炭化水素系溶媒から成るインク21(インク溶液)を調製した。
具体的には、以下の成分を、それぞれ対応する重量比で混合することにより調製した。
【0057】
ホール輸送性ポリマーである、カルバゾール誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子化合物(PVK):16重量比
電子輸送材料(BND):4重量比
発光中心形成化合物(TPB):1重量比
炭化水素系溶媒(テトラリン):インク21において、PVK、BND、及びTPBの合計濃度が2%wtとなる重量比
上記インク21の粘度は、1×10-3〜1×10Pa・sとすることができるが、このうち、5×10-3〜1.5×10-2Pa・sの範囲にあることが、インクジェット法を用いてインク21を吐出する際のドロップ径を制御する上で望ましい。
【0058】
また、上記インク21の表面張力は、20〜50mN/mの範囲にあることが、インクジェット法によるインクの吐出の際の飛行曲がりを抑えることができるので好ましい。
(6)図4dに示す様に、前記(5)で調製したインク21を、インクジェットヘッド30を用い、絶縁層上において画素を形成するべき15カ所に、選択的に塗布した。
【0059】
このインクジェットヘッド30は、図5に示す様に、圧電素子30aを備えた圧電素子方式のインクジェットヘッドであり、ドライバー30cからの信号に応じて、インクジェットヘッド本体30dに形成したオリフィス30bから、インク21のドロップを吐出する。
【0060】
吐出の駆動周波数は1KHzとし、ドロップ1個の液適量を50μlとした。
インク21が塗布された場所では、図4eに示す様に、塗布されたインク中に含まれる溶媒により、絶縁層11bが溶解し、インク21はITO11aに達する。
【0061】
(7)50〜60℃で30分間乾燥させることにより、インク21中の溶媒を蒸発させ、インク21の不揮発成分である表示用組成物を、ITO11aと電気的接合を持った状態で固化した。この固化した表示用組成物を有機EL膜11cとする。
【0062】
尚、固化した15カ所の有機EL膜11cは、それぞれが、1画素に対応する。
この時、図4eに示すように、インク21により溶解された絶縁層11bは、インク21を滴下した部分の周辺部に偏析し、インク21に含まれていた表示用組成物は、インク21を滴下した部分の中央において固化する。
【0063】
この理由としては、インク21に含まれる溶媒に対する溶解度において、表示用組成物の方が、絶縁層11bよりも大きいことが考えられる。
また、インク21が塗布されなかった部分の絶縁層11bは、溶解されずに残り、有機EL膜11cを隔てる隔壁11dとなる。
【0064】
(8)図4fに示す様に、マスク真空蒸着により、所定のパターンに従って、LiF(フッ化リチウム)/Alを形成し、これを陰極11eとした。
この時LiF層と、Al層の厚みは、それぞれ、10Å、1000Åとし、連続的に積層した。
【0065】
上記のようにして有機EL素子11をガラス基板10の中心部に形成するとともに、ガラス基板10の周辺部に、水平駆動回路13及び垂直駆動回路14を形成する。
更には、封止層16により、有機EL素子11、水平駆動回路13及び垂直駆動回路14を覆うことにより、有機ELディスプレイ1を完成する。
【0066】
この封止層16は、ガラス板から成り、その下面(図1における下面)には、有機EL素子11との間に、0.3〜0.5mmの隙間が生じるように、乾燥剤が取り付けられている。封止層16を取り付ける際には、その隙間に、窒素ガスを封入する。
【0067】
d)本実施例1の有機ELディスプレイ1の製造方法は、以下の効果を奏する。
(1)本実施例1の有機ELディスプレイ1の製造方法においては、表示用組成物及び溶媒を含むインク21を、画素を形成すべき場所に塗布することにより、有機EL膜11cの形成と、有機EL膜11cを隔てる隔壁11dの形成とを、同時に行うことができる。
【0068】
つまり、インク21を塗布した部分においては、インク21に含まれる溶媒が絶縁層11bを溶解し、有機EL膜11cが形成され、インク21が塗布されない部分では、絶縁層11bが残存し、画素間を隔てる隔壁11dとなる。
そのため、従来の有機EL素子の製造方法のように、有機EL膜間の隔壁を形成するために、露光、エッチング等の独立した工程を行う必要がない。
【0069】
よって、本実施例1の有機ELディスプレイ1の製造方法では、製造工程を短縮することができ、製造コストを低くすることができる。
(2)インクジェットヘッド30として、圧電素子方式を用いることにより、バブルジェット(登録商標)方式のように、インク吐出のための熱源がないので、インク材料の劣化が起こらないこと、インク21の溶媒の選択範囲が広いこと、吐出するインク21の液滴量の制御がしやすいこと、駆動周波数を高くできること、耐久性が高いこと、という利点が得られる。
(実施例2)
本実施例2では、表示装置として、エレクトロクロミックディスプレイを例に挙げて説明する。この実施例2は、請求項7及び8に対応するものである。
【0070】
a)エレクトロクロミックディスプレイ2の全体構成は、基本的には、前記実施例1の有機ELディスプレイ1と同様であるが、有機EL素子11の代わりに、図6に示すエレクトロクロミック素子51を備えている。
このエレクトロクロミック素子51は、基本的には、前記実施例1の有機EL素子11と同じ構成を有するが、表示用組成物として、エレクトロクロミック膜51aを備えている点で異なる。
【0071】
つまり、エレクトロクロミック素子51は、図6に示す様に、ガラス基板50上に、陽極(ITO51c)、エレクトロクロミック膜51a、及び陰極(ITO51d)が順次積層された構成を有しており、ガラス基板50とITO51dの間には、ITO51c及びエレクトロクロミック膜51aが形成されていない部分を埋めるように、絶縁層51eが形成されている
また、エレクトロクロミック膜51aは、図6に示す様に、ポリマー電極51a1と、ポリマー電解質51a2との2層から成る。
【0072】
このエレクトロクロミックディスプレイ2の呈色メカニズムは、陽極、陰極の間に直流電圧を印加し、陽極を+側にすると酸化反応が起こり、ニュートラル状態(電圧非印加状態)の時に比べて異なる色となる。陽極を−側にすると還元反応が起こり酸化時に比べて更に異なる色となる。このように、陽極の電位を制御して表示制御が行われる。
【0073】
b)次に、エレクトロクロミックディスプレイ2の製造方法を説明する。ここでは、特に、要部であるエレクトロクロミック素子51の製造方法を説明する。
(1)前記実施例1のc)(1)〜(3)と同様に、ガラス基板50上に、陽極(ITO51c)を所定のパターンで形成した。
【0074】
(2)前記実施例1のc)(4)と同様に、ガラス基板50上の、エレクトロクロミック素子51を形成する部分全体に、PVKから成る絶縁層51eを形成した。
(3)次に、エレクトロクロミック膜51aのポリマー電極51a1の成分、及び炭化水素系溶媒から成るインク61(インク溶液)を調製した。
【0075】
具体的には、PVK(ポリ(N−ビニルカルバゾール))と、PSNPhS(ポリ(N−フェニル−2(2'−チエニル)−5−(5"−ビニル−2"チエニル)ピロール)を1:4の割合で混合し、この混合物の濃度が4wt%となるように、テトラリンに溶解し、インク61とした。
【0076】
このインク61を、前記実施例1のc)(6)、(7)と同様にして、絶縁層51e上に選択的に塗布し、ポリマー電極51a1を形成した。
(4)次に、エレクトロクロミック膜51aのポリマー電解質51a2の成分、及び炭化水素系溶媒から成るインク62(インク溶液)を調製した。
【0077】
具体的には、以下の成分を混合し、テトラリンに溶解することにより、インク62を調製した。この時、インク62の粘度が0.1〜10Pa・sになるように、テトラリンの量を調整した。
ポリメチルメタクリレート(分子量120000):500mg
プロピレンカーボネート:1ml
エチレンカーボネート:2g
リチウムテトラフルオロボレート:100mg
アセトニトリル:3ml
このインク62を、インクジェット法を用いて、ポリマー電極51a1の上に塗布し、ポリマー電解質51a2を形成した。
【0078】
(5)蒸着により、ITOから成る陰極(ITO51d)を形成した。
上記(1)〜(5)のようにしてエレクトロクロミック素子51をガラス基板50の中心部に形成するとともに、前記実施例1と同様にして、ガラス基板50の周辺部に、水平駆動回路及び垂直駆動回路を形成し、更には、封止層56により、エレクトロクロミック素子51、水平駆動回路及び垂直駆動回路を覆うことにより、エレクトロクロミックディスプレイ2が完成した。
【0079】
c)本実施例2のエレクトロクロミックディスプレイ2は、前記実施例1の有機ELディスプレイ1と同様の効果を奏する。
尚、本発明は上記の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができる。
【0080】
・前記実施例1及び2における絶縁層としては、PVKの代わりに、例えば、ポリスチレン、ナイロン(ポリアミド)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリイミド、フッ素樹脂のいずれかを用いることができる。
【0081】
・前記実施例1において、インクを構成するポリマーとしては、カルバゾール誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子(PVK)の代わりに、例えば、トリフェニルアミン誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子化合物(例えばPTPDES)、電子輸送性ポリマーである、オキサジアゾール誘導体を主鎖あるいは側鎖に有する高分子化合物(例えばPVMOXD)、PPV(ポリパラフェニレンビニレン)、PPF、PPT、その他の誘導体を用いることができる。
【0082】
・前記実施例1及び2において、インクを構成する溶媒としては、炭化水素系溶媒の代わりに、例えば、ハロゲン炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン、アルデヒド、ドデシルベンゼン、テトラリン、ジクロルエタン、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルのいずれかを用いることができる。
【0083】
・前記実施例1における発光中心形成化合物としては、TPBの代わりに、例えば、ペリレン、クマリン、ルブレン、ナイルレッド、DCM、DCJTB、スクアリリウム、アルミニウム錯体(例えばAlQ3)等を用いることができる。
・前記実施例2において、エレクトロクロミック膜51aは、ポリマー電極の成分と、ポリマー電解質の成分との両方を、テトラリン等の有機溶媒に溶解させたインクをインクジェット法により塗布することにより形成することができる。
【0084】
・前記実施例2において、ポリマー電極51a1の成分は、例えば、ポリアニリン、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−(3−チエニルプロピルスルホネート))、(ポリ(N−フェニル−2(2'−チエニル)−5−(5"−ビニル−2"チエニル)ピロール、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルメチルエーテルのうち少なくとも1種を含むポリマーとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の有機ELディスプレイ1の全体構成を示す説明図である。
【図2】 実施例1における有機EL素子11の1画素の回路構成を示す説明図である。
【図3】 実施例1における電流駆動回路12の構成を示す説明図である。
【図4】 実施例1における有機EL素子11の製造プロセスを示す説明図である。
【図5】 実施例1におけるインクジェットヘッド30の構成を示す説明図である。
【図6】 実施例2のエレクトロクロミックディスプレイの構成を示す説明図である。
【図7】 従来の有機ELディスプレイの製造方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・有機ELディスプレイ
2・・・エレクトロクロミックディスプレイ
10、50・・・ガラス基板
11・・・有機EL素子
11a、51c、51d・・・ITO
11b、51e・・・絶縁層
11c・・・有機EL膜
12・・・電流駆動TFT
13・・・水平駆動回路
14・・・垂直駆動回路
16、56・・・封止層
21・・・インク溶液
30・・・インクジェットヘッド
51・・・エレクトロクロミック素子
51a1・・・ポリマー電極
52a2・・・ポリマー電解質
Claims (13)
- 一対の電極と、前記一対の電極の間に挿入された表示用組成物とから成る表示素子を複数備え、
前記一対の電極の間を絶縁するとともに、前記表示素子の表示用組成物と他の前記表示素子の表示用組成物との間を絶縁する隔壁を有する表示装置の製造方法であって、
前記一対の電極のうちの一方の電極及びその周囲を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層上の、前記一方の電極に対応する位置に、前記絶縁層を溶解する溶媒及び前記表示用組成物を含有するインク溶液を塗布するインク溶液塗布工程と、
前記絶縁層の溶解後に、前記インク溶液の溶媒を蒸発させ、前記一方の電極と接触するように前記表示用組成物を形成する表示用組成物形成工程と、
前記表示用組成物の上に、前記一対の電極のうち、他方の電極を形成する電極形成工程と、
を有し、
前記表示用組成物が、発光物質及び電荷輸送材料を含有することを特徴とする表示装置の製造方法。 - 前記発光物質が、ヘテロ芳香族化合物、スチルベン系化合物の蛍光、燐光物質の中から選ばれる1又は2以上の物質であることを特徴とする前記請求項1に記載の表示装置の製造方法。
- 前記電荷輸送材料が、オキサジアゾール系、オキサゾール系、トリフェニルメタン系、ヒドラゾリン系、アリールアミン系、ヒドラゾン系、スチルベン系の中から選ばれる1又は2以上のホール輸送材料、又は、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルミニウム錯体の中から選ばれる1又は2以上の電子輸送材料であることを特徴とする前記請求項1又は2に記載の表示装置の製造方法。
- 一対の電極と、前記一対の電極の間に挿入された表示用組成物とから成る表示素子を複数備え、
前記一対の電極の間を絶縁するとともに、前記表示素子の表示用組成物と他の前記表示素子の表示用組成物との間を絶縁する隔壁を有する表示装置の製造方法であって、
前記一対の電極のうちの一方の電極及びその周囲を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層上の、前記一方の電極に対応する位置に、前記絶縁層を溶解する溶媒及び前記表示用組成物を含有するインク溶液を塗布するインク溶液塗布工程と、
前記絶縁層の溶解後に、前記インク溶液の溶媒を蒸発させ、前記一方の電極と接触するように前記表示用組成物を形成する表示用組成物形成工程と、
前記表示用組成物の上に、前記一対の電極のうち、他方の電極を形成する電極形成工程と、
を有し、
前記表示用組成物が、酸化還元により呈色変化する物質を含有することを特徴とする表示装置の製造方法。 - 一対の電極と、前記一対の電極の間に挿入された表示用組成物とから成る表示素子を複数備え、
前記一対の電極の間を絶縁するとともに、前記表示素子の表示用組成物と他の前記表示素子の表示用組成物との間を絶縁する隔壁を有する表示装置の製造方法であって、
前記一対の電極のうちの一方の電極及びその周囲を覆う絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層上の、前記一方の電極に対応する位置に、前記絶縁層を溶解する溶媒及び前記表示用組成物を含有するインク溶液を塗布するインク溶液塗布工程と、
前記絶縁層の溶解後に、前記インク溶液の溶媒を蒸発させ、前記一方の電極と接触するように前記表示用組成物を形成する表示用組成物形成工程と、
前記表示用組成物の上に、前記一対の電極のうち、他方の電極を形成する電極形成工程と、
を有し、
前記表示用組成物が、酸化還元により呈色変化するポリマー物質と、ポリマー電解質と、から成ることを特徴とする表示装置の製造方法。 - 基板上に、前記一方の電極を、所定のパターンに従って形成することを特徴とする前記請求項1〜5のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
- 前記絶縁層が、PVK(ポリ(N−ビニルカルバゾール))、ポリスチレン、ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリイミド、フッ素樹脂の中から選ばれる1又は2以上の物質から成ることを特徴とする前記請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
- 前記溶媒が、炭化水素系溶媒、ハロゲン炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン、アルデヒド、ドデシルベンゼン、テトラリン、ジクロルエタン、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテルの中から選ばれる1又は2以上の物質から成ることを特徴とする前記請求項1〜7のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
- 前記絶縁層の前記溶媒に対する溶解度が、前記表示用組成物の前記溶媒に対する溶解度よりも小さいことを特徴とする前記請求項1〜8のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
- 前記インク溶液塗布工程において、インクジェット法を用いて、前記インク溶液を塗布することを特徴とする前記請求項1〜9のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
- 前記インク溶液塗布工程において、印刷法を用いて、前記インク溶液を塗布することを特徴とする前記請求項1〜9のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
- 前記インク溶液の粘度が、1×10-3〜1×10Pa・sの範囲にあることを特徴とする前記請求項1〜11のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
- 前記表示素子用組成物形成工程において、10〜100℃の温度範囲において、前記溶媒を蒸発させることを特徴とする前記請求項1〜12のいずれかに記載の表示装置の製造方法。
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