JP4647076B2 - ペレット化用樹脂カッティング装置及びペレット化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂等のペレット化に用いられるホットカット用樹脂カッティング装置及びペレット化方法に関し、詳しくは、カッター刃胴に開口部を有するカッター刃が、ダイに対して傾斜して設けられ、カッター刃の回転により、雰囲気流体が開口部を経てカッター刃胴上面31からカッター刃胴下面33へ通過できる構造を有するものであり、切断されたペレットがカッター刃に付着したりペレット同士が再付着することを防止できる樹脂カッティング装置及びペレット化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から樹脂の押出ペレット化に用いられるカッティング方式は、コールドカット、いわゆるストランドカットとホットカット、別称ダイフェースカットに大別され、さらに後者は水中カットと空気中カットに分類される。特に、空気中でのホットカット装置(図6参照)では、切断されたペレットがカッター刃1に付着したり、切断されたペレット同士が再付着して好ましくない形状のペレットが発生するという問題がある。
【0003】
従って、これらの現象を抑制するために、種々の手法が一般に用いられている。例えば、特開平4−67911号公報にはカッター刃の樹脂切断部位に冷却水を吹き付けて切断されたペレットを互いに分離独立させる方法が開示され、特開平6−155455号公報には噴射ノズルを用いて回転するカッター刃に冷却水を吹きかけ、切断されたペレット同士が再付着することを防止する方法が開示され、特開昭62−279905号公報にはカッター内に冷媒通路を設けて樹脂切断部に冷却水を吹付ける方法が開示され、特開平7−100826号公報にはカッターボックス内に複数設置したノズルから冷却用のエアーをカッター刃に吹付ける方法が開示されている。
しかしながら、上記従来技術は、切断されたペレットがカッター刃に付着すること、及び切断されたペレット同士が再付着することを防止する目的で、カッティング刃や胴等に冷却水や冷却エアーなどの冷却媒体を吹付けたり、供給したりするための冷却用付帯設備を必要とし、同時に冷却媒体のランニングコストも必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、カッター刃冷却用付帯設備を必須とせず、カッター刃への樹脂の付着や、連珠状ペレット等の形成を防止できるカッティング装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために鋭意研究を行なった結果、高速で回転するカッター刃に開口部を設けて、雰囲気流体(以下流体と略称することがある。)を開口部を経てカッター刃胴上面31からカッター刃胴下面33へ通過させる構造とすることにより、切断されたペレットのカッター刃への付着や切断されたペレット同士の再付着を防止するのに有効であることを見出し、本発明を完成するに到達したものである。
【0006】
すなわち本発明の第1は、雰囲気流体中でホットカットを行う樹脂カッティング装置において、カッター刃(1)はカッター刃胴(3)、及びカッター刃胴(3)の一端に設けられた刃先(2)からなり、カッター刃胴(3)はカッター刃胴上面(31)からカッター刃胴下面(33)へ雰囲気流体を通過させる開口部(5)を有し、カッター刃(1)が樹脂の押出されるダイス面(11)に傾斜して設けられ、刃先(2)がダイス面(11)に沿って回転することを特徴とする樹脂カッティング装置を提供する。
本発明の第2は、開口部(5)が孔(7)又は切り欠き(8)であることを特徴とする本発明の第1に記載の樹脂カッティング装置を提供する。
本発明の第3は、カッター刃(1)のダイス面(11)に対する傾斜角が10〜45度である本発明の第1又は2に記載の樹脂カッティング装置を提供する。
本発明の第4は、開口部(5)の数が1以上である本発明の第1〜3のいずれかに記載の樹脂カッティング装置を提供する。
本発明の第5は、雰囲気流体が、気体又は液滴を含む気体である本発明の第1〜4のいずれかに記載の樹脂カッティング装置を提供する。
本発明の第6は、本発明の第1〜5のいずれかに記載の樹脂カッティング装置を使用した樹脂又は樹脂組成物のペレット化方法を提供する。
本発明の第7は、樹脂組成物が樹脂、並びに、樹脂添加剤及び/又は充填剤からなる本発明の第6に記載のペレット化方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態例を図に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のカッター刃の作用効果を表す模式図の一例である。1はカッター刃、2は刃先、3は刃胴であり、5は本発明に係る開口部である。
本発明でいう開口部とは、一種の窓であり、後述する種々のものが挙げられる。カッター刃は、ダイス面11に対して傾斜して設けられ、開口部5を有するカッター刃1が流体中で高速回転することにより、切断されたペレットのカッター刃への付着や切断されたペレット同士の再付着が防止される。これは開口部5を設けることにより、カッター刃胴上面31からカッター刃胴下面33へ流体を通過させ易くなったことにより、ダイス面11から押し出された樹脂もしくは刃先2が冷却等され易くなったり、あるいはペレットが吹き飛ばされ易くなったものと推定される。
【0008】
カッター刃
図2に、本発明のカッター刃の一例を示す。図2において、カッター刃1は、長方形平板状で、刃先2、カッター刃胴3、カッター刃胴3の中央部の刃先近くに長方形の開口部5が設けられており、必要に応じてカッターホルダー21への取り付け部9(例えば、孔)等を有する。
カッター刃1は、ダイス面11に傾斜して設けられ、ダイス面11に向かい合う面が刃胴下面33であり、反対面が刃胴上面31である。カッター刃1のダイス面11に対する傾斜角(図1のθ)は、10〜45度、好ましくは20〜40度であり、通常30度程度である。
刃先2は、刃胴側面32に直角(図2参照)に形成されても、刃胴側面32と32’の長さが異なり、斜めに形成されてもよい(図4参照)。刃先2の刃面(刃胴上面31側)は直線でも、曲線でも、掬い面を有していてもよい。なお、刃先2のダイス面11に沿う側にも30度以下の角度で僅かな刃面を設けてもよい。
カッター刃1の厚みには特に制限はないが、例えば1.5〜3mmである。
刃先2のカッター刃胴下面33に対する角度は、例えば15〜45度である。
カッター刃1の材質は特に制限されず、本発明のカッター刃1の構造に応じて、適切なものが従来のものから選択される。
【0009】
開口部
開口部としては下記のものが挙げられ、その数は1又は複数でもよい。
(i)直孔
図2に示すように、開口部5は、カッター刃胴上面31からカッター刃胴下面33へ流体を通過させる孔であってもよい。孔の形状は、方形、三角形、多角形、円形、扇形等が挙げられる。開口部の形状は図2等に示すように、刃側面32に対して縦長であっても、横長であっても、刃側面32に対して斜めであってもよい。
開口部の大きさは、流体の流れを良くするために、大きい方が望ましいが、カッター刀自身の強度が低下し折損の可能性があるため、その材質や厚み、さらにはカッター刃とダイ面との接触圧に依存する。また、小さすぎると流れが充分でなく、好ましくない。
開口部5の位置は、カッター刀1の大きさ形状にもよるが、例えば、刃先から10〜30mm付近に設けることができる。
【0010】
(ii)切り欠き
図3に示すように、開口部5は、カッター刃胴上面31からカッター刃胴下面33へ流体を通過させる切り欠きであってもよい。
切り欠きの形状は、方形、台形、半円形などが挙げられる。
切り欠きと直孔を組み合わせて設けることもできる。
【0011】
図5に示すように、カッター刃1は、例えばカッターホルダー21に取り付けて、ダイス面11に向かい合わせて取り付けられ、カッターホルダー21がカッター駆動装置22(図6参照)により回転される。カッターホルダー21には、カッター刃1が1枚以上、例えば2〜8枚など複数枚を取り付けることができる。カッターホルダーは必ずしも必要なく、複数のカッター刃が形成された円盤を回転軸に取り付けてもよい。
ダイス面11とカッター刃1のクリアランスは0.1mm以下、通常0.06mm以下、好ましくは0.01〜0.03mmである。クリアランスが上記範囲より大きすぎると押出された樹脂柱が倒れ易くなり、ペレット化に支障をきたす。
カッター刃1の取り付けられたカッターホルダー21等は、ダイス12と共にカッターボックス23に収納される。カッターボックス23には、雰囲気流体が満たされ、カッターボックス23の内側面には冷却水の液膜が形成され、ペレットは液膜に衝突して、冷却水とともに出口24から排出され、冷却水と分離され回収される。
【0012】
雰囲気流体は、気体又は液体であり、好ましくは気体であり、特に好ましくは空気である。しかしながら、本発明は、空中で水を投射しながらホットカットする場合にも適用可能である。
気体は、空気が使用できるが、必要に応じて、窒素、二酸化炭素等の不活性気体や、場合によっては水滴を含有するものであってもよい。
【0013】
本発明の樹脂カッティング装置は樹脂又は樹脂組成物のペレット化に使用することができる。樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂には、樹脂添加剤や充填剤が配合されていてもよい。充填剤としては、タルクやシリカなどの粉末の他に、ガラス繊維、カーボン繊維などの繊維状強化材を含んでいてもよい。
【0014】
得られるペレットの形状としては、ダイから押し出される樹脂の種類や条件、カッター刃1の形状、カッティング条件、雰囲気流体の種類により、錠剤状、凸レンズ状、球状、円筒状等が挙げられる。
ペレットの直径は、例えば2.5〜4.0mmであるが、これに限定されるものではない。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
SUS304を基材とする全長90mm、幅57mm、厚さ2mmのカッター刃において、カッター刃中央部に幅21mm×長さ30mmの開口部を設けた。
開口部の刃先寄りの縁は、刃先端から15mmの位置であった。
本カッター刃を日本製鋼所(JSW)製センターホットカット用カッターホルダーに、ダイス面に対する角度(θ)を30度として4枚取付け、POMの押出ペレット化を実施した。
押出機としては、JSW製(スクリュー径200mm、一軸)を使用した。条件は、押出量1.2Ton/hr、スクリュー回転数40rpm、カッター回転数1,200rpmとした。使用樹脂は、押出機出ペレットのMIが9となるポリオキシメチレン(POM)であった。
実験の結果、72時間連続して、カッター刃へ付着して発生する不定形のペレットや、連珠と称される切断後お互いに再付着したペレットの発生はなく、良好な球状ペレットを製造することができた。
【0016】
[比較例1]
カッター刃に開口部のない通常のカッター刃を使用した他は、実施例1と同様の押出機、条件で運転した場合、1時間あたり15kgの連珠が発生した。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、カッター刃へ付着して発生する不定形のペレットや連珠と称される切断後お互い再付着したペレットが発生することなく、長時間連続で、安定して押出ペレット化が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るカッター刃の作用効果を表す模式図である。
【図2】本発明に係るカッター刃の一例(孔あき)を示す図である。
【図3】本発明に係るカッター刃の他の一例(切り欠き)を示す図である。
【図4】本発明に係るカッター刃の他の一例を示す図である。
【図5】ダイス面と、カッターホルダーに取り付けられた本発明のカッター刃を示す斜視図である。
【図6】一般的なホットカット装置を示す図である。
【符号の説明】
1 カッター刃
2 刃先
3 刃胴
5 開口部
7 孔
8 切り欠き
9 取り付け部
11 ダイス面
21 カッターホルダー
22 カッター駆動装置
23 カッターボックス
24 出口
31 カッター刃胴上面
32 カッター刃胴側面
32’カッター刃胴側面
33 カッター刃胴下面
Claims (7)
- 雰囲気流体中でホットカットを行う樹脂カッティング装置において、カッター刃(1)はカッター刃胴(3)、及びカッター刃胴(3)の一端に設けられた刃先(2)からなり、カッター刃胴(3)はカッター刃胴上面(31)からカッター刃胴下面(33)へ雰囲気流体を通過させる開口部(5)を有し、カッター刃(1)が樹脂の押出されるダイス面(11)に傾斜して設けられ、刃先(2)がダイス面(11)に沿って回転することを特徴とする樹脂カッティング装置。
- 開口部(5)が孔(7)又は切り欠き(8)であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂カッティング装置。
- カッター刃(1)のダイス面(11)に対する傾斜角が10〜45度である請求項1又は2に記載の樹脂カッティング装置。
- 開口部(5)の数が1以上である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂カッティング装置。
- 雰囲気流体が、気体又は液滴を含む気体である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂カッティング装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂カッティング装置を使用した樹脂又は樹脂組成物のペレット化方法。
- 樹脂組成物が樹脂、並びに、樹脂添加剤及び/又は充填剤からなる請求項6に記載のペレット化方法。
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