JP4646558B2 - 太陽電池モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、複数の太陽電池装置を備えた太陽電池モジュールに関する。
一般に、太陽電池装置の光入射側の面(以下、受光面と称する)には集電極が設けられている。集電極は、光入射により生成された光キャリアを収集するための複数の細いフィンガー電極部と、収集された光キャリアを外部へ取り出すための比較的太いバスバー電極部とにより構成されている(例えば、特許文献1参照)。
このような集電極は、例えば、銀ペーストを受光面にスクリーン印刷することにより形成される。太陽電池装置の受光面とは反対側の面(以下、裏面と称する)にも、同様にして集電極が形成される。
また、複数の太陽電池装置を接続することにより太陽電池モジュールが構成される(例えば、特許文献2参照)。太陽電池モジュールを作製する際には、隣接する太陽電池装置を直列に接続するために、各太陽電池装置の集電極のバスバー電極部にはんだコート銅箔等からなるタブ電極が接合される。この場合、タブ電極のはんだとバスバー電極部の銀ペーストとの接合部(界面部分)では、銀とはんだとが合金化している。それにより、良好な電気的接触を得ることができる。
特開平9−116175号公報 特開2002−359388号公報 実開昭63−75054号公報
上記の従来の太陽電池装置においては、バスバー電極部およびタブ電極はフィンガー電極部より太く設計されている。そのため、バスバー電極部およびタブ電極による光学損失はフィンガー電極部に比べて無視できない程大きい。
特許文献3には、太陽電池装置の表面電極に断面三角形状のリード線を設けることによって光学損失を低減する方法が提案されている。
図10は、従来の太陽電池装置の表面電極部の構造を示す模式的断面図である。図10に示すように、表面電極部100は、シリコン基板101、表面電極102、導電性接着剤103および断面三角形状のリード線104から構成される。表面電極部100に入射した光は、経路105に示すように、リード線104の傾斜側壁106で反射し受光面107に入射する。これにより、表面電極部100での光学損失を減少させることができる。なお、図10に示す構成においては、表面電極部100に入射する光の全てを受光面107に入射させるためには、リード線104の底角θを45°以上に設定すればよい。
上記のようなリード線104の構造をタブ電極に適用することにより太陽電池モジュールのタブ電極による光学損失を低減することが考えられる。
しかしながら、上記のようなリード線104の構造をタブ電極に適用した場合、次のような問題が生じる。
図11は従来の太陽電池モジュールを示す模式的断面図である。一般に、電力用の太陽電池モジュールは、図11に示すように、隣接するように配置された複数の太陽電池装置111を備える。各太陽電池装置111の表面(受光面)および裏面にタブ電極112がそれぞれ接続され、複数の太陽電池装置111の受光面側に透光性部材113が配設され、複数の太陽電池装置111の裏面側に裏面部材114が配設され、透光性部材113と裏面部材114との間に透光性樹脂115が充填される。一端部側の太陽電池装置111に接続されるタブ電極112が透光性樹脂115から外部に引き出され、他端部側の太陽電池装置111に接続されるタブ電極112が透光性樹脂115から外部に引き出されている。
図10に示すリード線104の構造をタブ電極112に適用する場合、タブ電極112に入射する光の全てを太陽電池装置111の受光面に入射させるためには、タブ電極112の底角を45°以上にする必要がある。そのため、タブ電極112の厚さが増加し、太陽電池装置111と透光性部材113との間の距離が大きくなる。その結果、透光性樹脂115の充填量を増やさなければならず、製造コストが高くなる。
また、通常、コスト削減のためにタブ電極112は長さ方向の全体にわたって断面三角形状に形成されると考えられる。その場合、隣接する太陽電池装置111の裏面にタブ電極112の三角形状の頂点部分が接触するため、太陽電池装置111とタブ電極112との接触面積が小さくなり、確実な接着が困難となる。
さらに、タブ電極112の厚さが増加すると、タブ電極112の剛性が高くなる。はんだ付けなどによってタブ電極112をバスバー電極部に接合する場合、接合後の冷却過程において太陽電池装置111とタブ電極112との熱膨張係数の違いから太陽電池装置111とタブ電極112との間に引張応力が発生する。タブ電極112の剛性が高いと、太陽電池装置111に対する引張応力が大きくなるため、太陽電池装置111の反りが大きくなる。この結果、タブ電極112の剥がれおよび太陽電池装置111の割れが発生する。
また、急激な温度変化が生じた場合には、各太陽電池装置111およびタブ電極112の熱膨張および熱収縮に起因して太陽電池装置111間で応力が発生する。タブ電極112の剛性が高いと、その応力を緩和できない。そのため、太陽電池装置111とタブ電極112との間の密着性低下あるいはタブ電極112の剥がれ等が生じ、太陽電池装置111の特性低下が生じる。
本発明の目的は、特性低下を防止しつつタブ電極での光学損失を低減することができる太陽電池モジュールを提供することである。
第1の発明に係る太陽電池モジュールは、受光面側及び裏面側に集電極を有する複数の太陽電池装置と、隣接する太陽電池装置の一方の太陽電池装置の受光面側の集電極と他方の太陽電池装置の裏面側の集電極に接続されるタブ電極と、複数の太陽電池装置の受光面側に配置される透光性部材とを備え、タブ電極の少なくとも透光性部材側の面全体に凹凸が形成され、凹凸は、透光性部材を透過して入射した光を斜め上方に反射するようにタブ電極の幅方向の断面において複数の山形形状を有しており、タブ電極は、凹凸が形成された透光性部材側の面と反対側の面が一方の太陽電池の受光面側の集電極に接続され、凹凸が形成された透光性部材側の面が他方の太陽電池の裏面側の集電極に接続されているものである。
第1の発明に係る太陽電池モジュールにおいては、太陽電池装置の少なくとも一面側に集電極が設けられ、隣接する太陽電池装置の集電極間にタブ電極が接続され、太陽電池装置のタブ電極側に透光性部材が配置され、さらにタブ電極の幅方向における断面が複数の山形形状を有する凹凸がタブ電極の少なくとも透光性部材側の面に形成されている。
この場合、透光性部材を通過してタブ電極に入射した光は凹凸の表面で反射し、さらにその反射した光は透光性部材と空気との界面で反射し、太陽電池装置に入射する。これにより、タブ電極での光学損失を低減することができる。
また、タブ電極の幅方向における断面は複数の山形形状を有するので、各山形形状の大きさを小さくすることができる。それにより、タブ電極の厚さが小さくなり、タブ電極の剛性が小さくなるので、はんだ付けなどにより太陽電池装置とタブ電極とを接着する際に生じる太陽電池装置とタブ電極との間の引張応力を緩和することができる。その結果、太陽電池装置の反りを抑えることができ、太陽電池装置の割れおよびタブ電極の剥がれを防止することができる。
また、急激な温度変化によって生じる太陽電池装置間の応力をタブ電極の曲がりによって緩和することが可能となる。その結果、太陽電池装置の特性低下を防止することができる。
また、タブ電極の少なくとも透光性部材側の面には凹凸が形成されているので、太陽電池装置の集電極にタブ電極を接着する際に、タブ電極と接着材料との接着面積が大きくなる。これにより、太陽電池装置の集電極とタブ電極の透光性部材側の面との間の接着強度を増加させることができる。
さらに、タブ電極と透光性部材との間に樹脂等を充填する場合、タブ電極の厚さが小さくなることにより、太陽電池装置と透光性部材との間の距離が小さくなるので、樹脂等の充填量を少なくすることができる。その結果、太陽電池モジュールの製造コストを低減することができる。
凹凸は、タブ電極の幅方向および長さ方向に並ぶように設けられた複数の凸部または凹部からなってもよい。
この場合、各凸部または各凹部と隣接する他の凸部または凹部との間に幅方向に延びる谷状部が形成される。それにより、タブ電極が曲がり易くなるので、太陽電池装置簡に発生する応力をさらに効率よく緩和することができる。
複数の凸部または凹部の各々は、略角錐形状または略円錐形状を有してもよい。
この場合、略角錐形状または略円錐形状の側面の傾斜角を調整することにより、複数の凸部または凹部で反射する光を透光性部材と空気との界面で全反射させることができる。それにより、太陽電池装置に入射する光の量を増加させることができ、太陽電池モジュールの出力を向上させることができる。
凹凸は、タブ電極の長さ方向に延びるように設けられた複数の凸部からなってもよい。
この場合、タブ電極に入射した光が長さ方向を含みかつタブ電極の上面に垂直な面内で反射することがない。それにより、タブ電極で反射してさらに透光性部材と空気との界面で反射した光が、再度タブ電極に入射することなく太陽電池装置に入射する。その結果、タブ電極での光学損失をより低減することができる。
凹凸は、タブ電極の両面に形成されてもよい。
この場合、一の太陽電池装置の集電極にタブ電極の一面を接着する際にタブ電極と接着材料との接着面積が大きくなるとともに、他の太陽電池装置の集電極にタブ電極の他面を接着する際にタブ電極と接着材料との接着面積が大きくなる。これにより、一の太陽電池装置とタブ電極の一面との間の接着強度を増加させるとともに、他の太陽電池装置とタブ電極の他面との間の接着強度を増加させることができる。
複数の山形形状の各々は三角形状を有し、透光性部材の屈折率N1、空気の屈折率N2および三角形状の底角φが下記式(1)の関係を満足してもよい。
2φ≧sin-1 (N2/N1)・・・(1)
この場合、タブ電極に入射し、複数の凸部または凹部で反射する光を透光性部材と空気との界面で全反射させることができる。これにより、太陽電池装置に入射する光の量を増加させることができ、太陽電池モジュールの出力を向上させることができる。
本発明によれば、特性低下を防止しつつタブ電極での光学損失を低減することができる。また、太陽電池装置の割れおよびタブ電極の剥がれを防止することができる。さらに、太陽電池モジュールの製造コストを低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る太陽電池モジュールの構成を示す模式的断面図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る太陽電池モジュール10は、隣接するように配置された複数の太陽電池装置1を備える。各太陽電池装置1の表面(受光面)および裏面にタブ電極2がそれぞれ接続され、複数の太陽電池装置1の受光面側に透光性部材3が配設され、複数の太陽電池装置1の裏面側に裏面部材4が配設され、透光性部材3と裏面部材4との間に透光性樹脂5が充填される。一端部側の太陽電池装置1に接続されるタブ電極2が透光性樹脂5から外部に引き出され、他端部側の太陽電池装置1に接続されるタブ電極2が透光性樹脂5から外部に引き出されている。
タブ電極2としては、例えばはんだコート銅箔等の導電性材料を用いることができる。タブ電極2の詳細は後述する。透光性部材3としては、透明ガラス、透明フィルム等を用いることができる。裏面部材4は、例えばアルミニウムをフッ化ビニルフィルムで挟んだ構造を有する。透光性樹脂5としては、EVA(エチレン酢酸ビニル)等を用いることができる。
図2は、図1に示す太陽電池装置1の平面図である。図2に示すように、太陽電池装置1は略正方形状を有するn型単結晶シリコンウエハ11を備える。n型単結晶シリコンウエハ11の主面側に、後述する非晶質シリコン膜を介してITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜からなる受光面電極12が形成されている。受光面電極12上には、ストライプ状の複数のバスバー電極部13が互いに平行に形成され、バスバー電極部13と直交するようにストライプ状の複数のフィンガー電極部14が互いに平行に形成されている。バスバー電極部13およびフィンガー電極部14が集電極15を構成する。
集電極15は、例えばAg(銀)等の導電性粒子を含む導電性ペーストにより形成される。
図3は、図1に示す太陽電池装置1の模式的断面図である。図3に示すように、n型単結晶シリコンウエハ11の主面上にi型非晶質シリコン膜21およびp型非晶質シリコン膜22が順に形成されている。n型単結晶シリコンウエハ11、i型非晶質シリコン膜21およびp型非晶質シリコン膜22が光電変換層を形成し、n型単結晶シリコンウエハ11が主たる発電層となる。
p型非晶質シリコン膜22上に、受光面電極12が形成されている。図2に示したように、受光面電極12上には複数のバスバー電極部13および複数のフィンガー電極部14からなる集電極15が形成されている。
また、n型単結晶シリコンウエハ11の裏面には、i型非晶質シリコン膜23およびn型非晶質シリコン膜24が順に形成されている。n型非晶質シリコン膜24上にITO等の透明導電膜からなる受光面電極25が形成され、受光面電極25上に複数のバスバー電極部13および複数のフィンガー電極部14からなる集電極15が形成されている。裏面側の集電極15は、図2に示した主面側の集電極15と同様に、複数のバスバー電極部13および複数のフィンガー電極部14からなる。
本実施の形態の太陽電池装置1は、pn接合特性を改善するためにn型単結晶シリコンウエハ11とp型非晶質シリコン膜22との間にi型非晶質シリコン膜21を設けたHIT型構造を有するとともに、裏面でのキャリアの再結合を防止するためにn型単結晶シリコンウエハ11の裏面にi型非晶質シリコン膜23およびn型非晶質シリコン膜24を設けたBSF(Back Surface Field)構造を有する。
本実施の形態の太陽電池装置1においては、n型単結晶シリコンウエハ11の主面側の受光面電極12および裏面側の受光面電極25がそれぞれ受光面となる。n型単結晶シリコンウエハ11において発生したキャリアは、光電流として主面側および裏面側の受光面電極12,25に拡散し、集電極15で収集される。
なお、裏面側の電極としては、集電極15の代わりに受光面電極25上の全面面に形成された電極を用いてよい。
図1に示すように、本実施の形態に係る太陽電池モジュールにおいては、太陽電池装置1は隣接する他の太陽電池装置1にタブ電極2により接続される。タブ電極2の一端部の下面は、各太陽電池装置1の受光面側のバスバー電極部13にはんだにより接合される。タブ電極2の他端部の上面は、他の太陽電池装置1の裏面側のバスバー電極部13にはんだにより接合される。このようにして、複数の太陽電池装置1が直列に接続される。
図4は図1のタブ電極2の一例を示す拡大平面図である。図5(a)は図4のタブ電極2のA−A線断面図、図5(b)は図5(a)の一部の拡大図、図5(c)は図4のタブ電極2のB−B線断面図である。
図4の例では、タブ電極2の上面全体に複数の四角錘形状の凸部41からなる凹凸が形成される。複数の凸部41は、タブ電極2の長さ方向および幅方向に並ぶように設けられている。図5に示すように、各凸部41の縦断面は、底角φの三角形状を有する。
図6は、タブ電極2に入射する光の経路を説明するための図である。本実施の形態に係る太陽電池モジュール10においては、透光性部材3側から入射した光L1の一部は、タブ電極2に入射し、凸部41の表面で斜め上方に反射し、透光性樹脂5および透光性部材3を通過して透光性部材3と空気との界面で反射する。透光性部材3と空気との界面で反射した光は、透光性部材3および透光性樹脂5を通過して受光面電極12に入射する。
このとき、透光性部材3の屈折率をN1とし、空気の屈折率をN2とすると、透光性部材3と空気との間で光を全反射させるための条件はスネルの法則により次式で表すことができる。
2φ≧sin-1 (N2/N1)・・・(1)
すなわち、上式(1)によりタブ電極2での反射光を透光性部材3と空気との界面で全反射させるために必要な凸部41の縦断面の底角φの最低値が決定される。なお、本実施の形態においては、透光性部材3として屈折率1.5の透明ガラスを用いた場合、空気の屈折率を1.0とすると、式(1)より、凸部41の縦断面の底角φの最低値は21°となる。
本実施の形態に係る太陽電池モジュール10においては、図6に示すように、タブ電極2で反射した光が透光性部材3と空気との界面で全反射し、受光面電極12に再入射する。これにより、太陽電池モジュール10の出力を向上させることができる。なお、タブ電極2の光が入射する側の面をAg、Al(アルミニウム)等の高反射金属で被覆することにより、さらに出力を向上させることができる。
また、タブ電極2の上面に複数の凸部41が形成されるので、各凸部41の高さを低くすることができる。それにより、タブ電極2の厚さを薄くすることができるので、タブ電極2と透光性部材3との間の距離が小さくなる。その結果、透光性樹脂5の充填量が少なくなり、太陽電池モジュール10の製造コストを低減することができる。
また、タブ電極2の厚さが薄くなることにより、タブ電極2の剛性が低くなる。それにより、はんだ付けなどにより太陽電池装置1とタブ電極2とを接合する際に生じる太陽電池装置1とタブ電極2との間の引張応力を緩和することができる。その結果、太陽電池装置1の反りを抑えることができ、太陽電池装置1の割れおよびタブ電極2の剥がれを防止することができる。
また、急激な温度変化によって生じる太陽電池装置1間の応力をタブ電極2の曲がりによって緩和することが可能となる。その結果、太陽電池装置1の特性低下を防止することができる。
特に、複数の凸部41がタブ電極2の長さ方向および幅方向に並ぶように形成されているので、各凸部41と隣接する他の凸部41との間に幅方向に延びる谷状部が形成される。それにより、タブ電極2が谷状部でさらに曲がり易くなるので、太陽電池装置1間の応力を十分に緩和することができる。
さらに、タブ電極2の上面全体に複数の凸部41が形成されているので、太陽電池装置1の裏面側にタブ電極2の上面を接着する際に、タブ電極2と接着材料との接着面積が大きくなる。これにより、太陽電池装置1の裏面とタブ電極2の上面との間の接着強度を増加させることができる。
上記の例においては、タブ電極2の上面に複数の四角錘形状の凸部41を設けたが、四角錘以外の三角錐形状、六角錘形状、八角錘形状等の他の角錐形状、円錐形状その他の形状の凸部を設けてもよい。また、タブ電極2の上面に複数の凸部41の代わりに、上記の角錐形状、円錐形状その他の形状の複数の凹部を設けてもよい。また、上記の例においては、凹凸の断面の山形形状が三角形状からなるが、山形形状が曲線状の斜辺を有する略三角形状であってもよい。
さらに、タブ電極2の両面に複数の凸部41を形成してもよい。この場合、太陽電池装置1の裏面側にタブ電極2の上面を接着する際に、タブ電極2と接着材料との接着面積が大きくなるとともに、太陽電池装置1の受光面側にタブ電極2の下面を接触する際にタブ電極2と接着材料との接着面積が大きくなる。これにより、太陽電池装置1の裏面とタブ電極2の上面との間の接着強度を増加させるとともに、太陽電池装置1の受光面とタブ電極2の下面との間の接着強度を増加させることができる。
また、上記の例においては、太陽電池装置1はHIT型構造を有するが、結晶シリコン型構造を有してもよい。
図7は図1のタブ電極2の他の例を示す拡大平面図である。図8(a)は図7のタブ電極2のC−C線断面図、図8(b)は図8(a)の一部の拡大図、図8(c)は図7のタブ電極2のD−D線断面図である。
図7の例では、タブ電極2の上面全体に、幅方向の断面において三角形状を有しかつ長さ方向に平行に延びるように複数の凸部71からなる凹凸が形成される。図8に示すように、各凸部71の縦断面は、底角φの三角形状を有する。
図9は、タブ電極2に入射する光の経路を説明するための図である。本実施の形態に係る太陽電池モジュール10においては、透光性部材3側から入射した光L2の一部は、タブ電極2に入射し、凸部71の表面で斜め上方に反射し、透光性樹脂5および透光性部材3を通過して透光性部材3と空気との界面で反射する。透光性部材3と空気との界面で反射した光は、透光性部材3および透光性樹脂5を通過して受光面電極12に入射する。
このとき、透光性部材3の屈折率をN1とし、空気の屈折率をN2とすると、透光性部材3と空気との間で光を全反射させるための条件はスネルの法則により上述した式(1)で表すことができる。
すなわち、式(1)によりタブ電極2での反射光を透光性部材3と空気との界面で全反射させるために必要な凸部71の縦断面の底角φの最低値が決定される。なお、本実施の形態においては、透光性部材3として屈折率1.5の透明ガラスを用いた場合、空気の屈折率を1.0とすると、式(1)より、凸部71の縦断面の底角φの最低値は21°となる。
本実施の形態に係る太陽電池モジュール10においては、図9に示すように、タブ電極2で反射した光が透光性部材3と空気との界面で全反射し、受光面電極12に再入射する。これにより、太陽電池モジュールの10の出力を向上させることができる。
また、凸部71は長さ方向に延びるように形成されているので、タブ電極2に入射した光が長さ方向を含みかつタブ電極2の上面に垂直な面内で反射することがない。これにより、タブ電極2で反射した光が透光性部材3と空気との界面で反射し、再度タブ電極2に入射することなく、受光面電極12に入射する。この結果、タブ電極2での光学損失をより低減することが可能となる。
また、タブ電極2の上面に複数の凸部71が形成されるので、各凸部71の高さを低くすることができる。それにより、タブ電極2の厚さを薄くすることができるのでタブ電極2と透光性部材3との間の距離が小さくなる。その結果、透光性樹脂5の充填量が少なくなり、太陽電池モジュール10の製造コストを下げることができる。
また、タブ電極2の厚さが薄くなることにより、タブ電極2の剛性が低くなる。それにより、はんだ付けなどにより太陽電池装置1とタブ電極2とを接合する際に生じる太陽電池装置1とタブ電極2との間の引張応力を緩和することができる。その結果、太陽電池装置1の反りを抑えることができ、太陽電池装置1の割れおよびタブ電極2の剥がれを防止することができる。
また、急激な温度変化によって生じる太陽電池装置1間の応力をタブ電極2の曲がりによって緩和することが可能となる。その結果、太陽電池装置1の特性低下を防止することができる。
さらに、タブ電極2の上面全体に凸部71を複数形成しているので、太陽電池装置1の裏面側にタブ電極2の上面を接着する際に、タブ電極2と接着材料との接着面積が大きくなる。これにより、太陽電池装置1とタブ電極2との間の接着強度を増加させることができる。
上記の例においては、タブ電極2の複数の凸部71の幅方向の断面が直線状の斜辺を有する三角形状からなるが、凸部71の幅方向の断面が曲線状の斜辺を有する略三角形状であってもよい。
また、上記の例においては、複数の凸部71が平行かつ直線状に延びているが、複数の凸部71は必ずしも並行でなくてもよく、また曲線状に延びていてもよい。
さらに、タブ電極2の両面に複数の凸部71を形成してもよい。この場合、太陽電池装置1の裏面側にタブ電極2の上面を接着する際に、タブ電極2と接着材料との接着面積が大きくなるとともに、太陽電池装置1の受光面側にタブ電極2の下面を接触する際にタブ電極2と接着材料との接着面積が大きくなる。これにより、太陽電池装置1の裏面とタブ電極2の上面との間の接着強度を増加させるとともに、太陽電池装置1の受光面とタブ電極2の下面との間の接着強度を増加させることができる。
また、上記の例においては、太陽電池装置1はHIT型構造を有するが、結晶シリコン型構造を有してもよい。
(実施例1)
実施例1では、図1〜図4に示した構造を有する太陽電池モジュールを以下の条件で作製した。
(太陽電池装置の作製)
まず、100mm角および厚さ200μmのn型単結晶シリコンウエハの表面にNaOHを含むアルカリ水溶液を用いた異方性エッチング加工により微細凹凸を形成した。その後、n型単結晶シリコンウエハを洗浄し、表面の不純物を除去した。
次に、RFプラズマCVD(化学的気相堆積)法によりn型単結晶シリコンウエハの主面上に厚さ5nmのi型非晶質シリコン膜および厚さ5nmのp型非晶質シリコン膜を順に形成した。また、RFプラズマCVD法によりn型単結晶シリコンウエハの裏面に厚さ30nmのi型結晶質シリコン膜および厚さ30nmのn型結晶質シリコン膜を順に形成した。その後、スパッタリング法により主面のp型非晶質シリコン膜上および裏面のn型結晶質シリコン膜上にそれぞれ100nmのITO膜を形成した。
次に、エポキシ樹脂にAgの微粉末を練り込んだAgペーストをスクリーン印刷法により主面側および裏面側のITO膜上に印刷し、その後、Agペーストを150℃〜250℃で熱硬化させた。Agペーストのパターンは、互いに平行に延びるストライプ状の複数のフィンガー電極部と、それらのフィンガー電極部に直交しかつ互いに平行に延びるストライプ状の2本のバスバー電極部とからなる。フィンガー電極部のピッチは2mmとした。
さらに、両面のバスバー電極部にはんだペーストをスクリーン印刷した後、200℃〜300℃で加熱溶融させることにより、バスバー電極部にはんだ層を形成した。このようにして、複数の太陽電池装置を作製した。
(タブ電極の作製)
幅1mm、厚さ150μmおよび長さ200mmの銅箔の一面にプレス加工により底辺100μmおよび高さ20μmの四角錘を隙間なく形成することにより、図4に示す構造を有する複数のタブ電極を作製した。
(太陽電池モジュールの作製)
上記の複数の太陽電池装置およびタブ電極を用いて、図1に示す構造を有する太陽電池モジュールを作製した。裏面部材、透光性樹脂、タブ電極によって接続された2個の太陽電池装置、透光性樹脂および透光性部材を順に積層し、減圧下において100℃〜150℃で加熱することにより圧着した。透光性部材としては、透明ガラスを用いた。裏面部材としては、アルミニウムをフッ化ビニルフィルムで挟んだ構造を有するシートを用いた。透光性樹脂としては、EVAを用いた。 (比較例1)
比較例1では、タブ電極の構造を除いて実施例1と同じ構造を有する太陽電池モジュールを作製した。
比較例1においては、銅線材をプレス加工し、図10に示したリード線104と同様の断面構造を有する幅1mm、厚さ0.6mmおよび底角50°のタブ電極を作製した。
(比較例2)
比較例2では、タブ電極の構造を除いて実施例1と同じ構造を有する太陽電池モジュールを作製した。
比較例2のタブ電極としては、幅1mm、厚さ150μmおよび長さ200mmの銅箔を加工せずに用いた。
(評価1)
実施例1および比較例1において作製したタブ電極のプレス加工後の最大厚さを表1に示す。
Figure 0004646558
表1に示すように、実施例1のタブ電極の厚さは比較例1のタブ電極の厚さに比べて十分に小さいことが分かる。
(評価2)
実施例1および比較例1において、タブ電極を太陽電池装置の受光面に接着したときの剥がれおよび太陽電池装置の割れの発生率の比較を行った。測定結果を表2に示す。
Figure 0004646558
表2に示すように、実施例1の太陽電池装置における不良発生率は比較例1の太陽電池装置に比べて十分に低くなった。
比較例1の太陽電池装置においては、タブ電極の厚さが大きく剛性が高いため、太陽電池装置の反りが大きくなり不良発生率が高くなったと考えられる。
これに対して、実施例1の太陽電池装置においては、タブ電極の厚さが十分に小さく剛性が低いため、太陽電池装置の反りを抑えることができ、不良発生率が低くなったと考えられる。
(評価3)
実施例1および比較例1の太陽電池モジュールについて、温度サイクル試験を行い、出力変化を比較した。この温度サイクル試験では、太陽電池モジュールを−40℃と90℃とに冷却および加熱するサイクルを200回繰り返した。上記の温度サイクルの前後において、太陽電池モジュールの出力をソーラーシミュレータで測定した。照射条件としては、AM1.5の照射光を垂直入射させた。測定温度は25℃とした。測定結果を表3に示す。
Figure 0004646558
表3に示すように、実施例1の太陽電池モジュールの特性低下率は比較例1の太陽電池モジュールに比べて十分に低くなった。
比較例1の太陽電池モジュールにおいては、タブ電極の厚さが大きく剛性が高いため、熱膨張または熱収縮によって生じた太陽電池装置間の応力を緩和できず、特性低下率が高くなったと考えられる。
これに対して、実施例1の太陽電池モジュールにおいては、タブ電極の厚さが十分に小さく剛性が低いため、太陽電池装置間に発生した応力を緩和することができ、特性低下率を大幅に減少することができたと考えられる。
(評価4)
実施例1、比較例1および比較例2において、太陽電池装置の裏面とタブ電極の加工面とを接着し、接着強度の比較を行った。接着強度の測定においては、タブ電極の加工面を太陽電池装置の裏面に接着し、タブ電極を直角に折り曲げた後、タブ電極を太陽電池装置に対して垂直に引っ張った。測定結果を表4に示す。表4においては、比較例2における接着強度を1として実施例1および比較例1の接着強度を規格化している。
Figure 0004646558
表4に示すように、実施例1のタブ電極と太陽電池装置との接着強度は、比較例1および比較例2のタブ電極と太陽電池装置との接着強度に比べて高くなった。これは、実施例1においては、タブ電極の上面全体に複数の四角錘が形成されているので、タブ電極と接着材料との接触面積が大きくなったためである。
(評価5)
実施例1および比較例2の太陽電池モジュールにおいて、短絡電流Iscおよび最大出力Pmaxの比較を行った。測定結果を表5に示す。
Figure 0004646558
表5に示すように、実施例1の太陽電池モジュールの短絡電流Iscおよび最大出力Pmaxは比較例2の太陽電池モジュールの短絡電流Iscおよび最大出力Pmaxに比べて高くなった。これは、実施例1の太陽電池モジュールにおいては、タブ電極の上面全体に複数の四角錘が形成されたことにより、タブ電極への入射光が効率よく太陽電池装置の受光面に再入射したためだと考えられる。
(実施例2)
実施例2では、タブ電極の構造を除いて実施例1と同じ構造を有する太陽電池モジュールを作製した。
実施例2においては、幅1mm、厚さ150μmおよび長さ200mmの銅箔の一面にプレス加工により幅方向の断面において底辺100μmおよび高さ20μmの三角形状を有しかつ長さ方向に延びる凸部を隙間なく形成することにより、図7に示す構造を有するタブ電極を作製した。
(評価6)
実施例1および実施例2の太陽電池モジュールにおいて、短絡電流Iscおよび最大出力Pmaxの比較を行った。測定結果を表6に示す。
Figure 0004646558
表6に示すように、実施例2の太陽電池モジュールの短絡電流Iscおよび最大出力Pmaxは実施例1の太陽電池モジュールの短絡電流Iscおよび最大出力Pmaxに比べて高くなった。
実施例1の太陽電池モジュールにおいては、タブ電極に入射した光の一部は、タブ電極の長さ方向を含みかつタブ電極の上面に垂直な面内に反射する。この反射光は、透光性部材と空気との界面で反射され、タブ電極に再入射する。
これに対して、実施例2の太陽電池モジュールにおいては、タブ電極に入射した光がタブ電極の長さ方向を含みかつタブ電極の上面に垂直な面内に反射することがない。これにより、タブ電極へ入射した光が再びタブ電極へ入射することがなく太陽電池装置に入射する。この結果、タブ電極での光学損失をより低減することができたと考えられる。
本発明に係る太陽電池モジュールは、種々の電源等に利用することができる。
本発明の一実施の形態に係る太陽電池モジュールの模式的断面図である。 図1の太陽電池装置の平面図である。 図1の太陽電池装置の模式的断面図である。 図1のタブ電極の一例を示す拡大平面図である。 (a)は図4のA−A線断面図、(b)は(a)の一部の拡大図、(c)は図4のB−B線断面図である。 タブ電極に入射する光の経路を説明するための図である。 図1のタブ電極の他の例を示す拡大平面図である。 (a)は図7のC−C線断面図、(b)は(a)の一部の拡大図、(c)は図7のD−D線断面図である。 タブ電極に入射する光の経路を説明するための図である。 従来の太陽電池装置の表面電極部の構成を示す模式的断面図である。 従来の太陽電池モジュールを示す模式的断面図である。
符号の説明
1 太陽電池装置
2 タブ電極
3 透光性部材
4 裏面部材
5 透光性樹脂
11 n型単結晶シリコンウエハ
12 受光面電極
13 バスバー電極部
14 フィンガー電極部
15 集電極
21 i型非晶質シリコンウエハ
22 p型非晶質シリコンウエハ
23 i型非晶質シリコンウエハ
24 n型非晶質シリコンウエハ
41,71 凸部
L1,L2 光

Claims (6)

  1. 受光面側及び裏面側に集電極を有する複数の太陽電池装置と、
    隣接する前記太陽電池装置の一方の太陽電池装置の受光面側の集電極と他方の太陽電池装置の裏面側の集電極に接続されるタブ電極と、
    前記複数の太陽電池装置の受光面側に配置される透光性部材とを備え、
    前記タブ電極の少なくとも前記透光性部材側の面全体に凹凸が形成され、
    前記凹凸は、前記透光性部材を透過して入射した光を斜め上方に反射するように前記タブ電極の幅方向の断面において複数の山形形状を有しており、
    前記タブ電極は、前記凹凸が形成された前記透光性部材側の面と反対側の面が前記一方の太陽電池の受光面側の集電極に接続され、前記凹凸が形成された前記透光性部材側の面が前記他方の太陽電池の裏面側の集電極に接続されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
  2. 前記凹凸は、前記タブ電極の幅方向および長さ方向に並ぶように設けられた複数の凸部または凹部からなることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
  3. 前記複数の凸部または凹部の各々は、略角錐形状または略円錐形状を有することを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池モジュール。
  4. 前記凹凸は、前記タブ電極の長さ方向に延びるように設けられた複数の凸部からなることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール。
  5. 前記凹凸は、前記タブ電極の両面に形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
  6. 前記複数の山形形状の各々は三角形状を有し、前記透光性部材の屈折率N1、空気の屈折率N2および前記三角形状の底角φが、
    2φ≧sin-1 (N2/N1)
    の関係を満足する請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池モジュール。
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