JP4645666B2 - 色処理装置およびプログラム - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、複数の入力信号の実データとそれに対応する出力信号の実データとからなるデータ対から、内挿によってデータ対の数を増やした後、入出力信号が3次元の場合は入出力の局所的な3角錘空間を線形行列で結び付け、任意の出力信号に対する入力信号を予測する方法が記載されている。
本発明は、異なる色空間の色の対応関係を規定する色変換特性モデルについて色域全域での色変換精度を向上させることを目的とする。
請求項4に記載の発明は、前記評価値算出部は、前記基準色座標の周辺領域毎に算出された複数の前記評価値に関する前記一の座標成分の座標値毎の最大値、最小値および平均値の何れかを、当該一の座標成分と対応付けられた当該評価値として規定することを特徴とする請求項3記載の色処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記色変換特性モデル算出部は、前記評価値算出部にて算出された前記評価値に対して前記色変換特性モデルの色変換精度が所定値を満たすように統計的に対応付けた前記重み付けを設定する前記調整を行うことを特徴とする請求項1記載の色処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記評価値を算出する機能は、前記基準色座標の周辺領域毎に算出された複数の前記評価値に関する前記一の座標成分の座標値毎の最大値、最小値および平均値の何れかを、当該一の座標成分と対応付けられた当該評価値として規定することを特徴とする請求項8記載のプログラムである。
請求項10に記載の発明は、前記重み付けを調整する機能は、算出された前記評価値に対して前記色変換特性モデルの色変換精度が所定値を満たすように統計的に対応付けた前記重み付けを設定する前記調整を行うことを特徴とする請求項6記載のプログラムである。
本発明の請求項1によれば、色データ対に関する色変換特性モデルの色変換精度への影響度を客観的に評価でき、本発明を採用しない場合に比べて、色変換精度を向上するような色データ対に施す重み付けの設定を行うことができる。
本発明の請求項2によれば、色差距離に応じて設定される重み付けを色差距離に応じて変更することができ、本発明を採用しない場合に比べて、色データ対に評価値に対応した重み付けを設定できる。
本発明の請求項4によれば、色空間内の領域毎に算出された複数の評価値を領域毎に対応付けることができるので、本発明を採用しない場合に比べて、評価値の色空間内の領域に関する特性を色空間内で一律に表現することができる。
本発明の請求項5によれば、評価値と重み付け値との対応関係を統計的に算出しておくことで、本発明を採用しない場合に比べて、評価値や色変換特性モデルの算出の際に生じる不確定な要素に対応して安定的な色変換特性モデルを生成できる。
本発明の請求項6によれば、色データ対に関する色変換特性モデルの色変換精度への影響度を客観的に評価でき、本発明を採用しない場合に比べて、色変換精度を向上するような色データ対に施す重み付けの設定を行うことができる。
本発明の請求項7によれば、色差距離に応じて設定される重み付けを色差距離に応じて変更することができ、本発明を採用しない場合に比べて、色データ対に評価値に対応した重み付けを設定できる。
本発明の請求項9によれば、色空間内の領域毎に算出された複数の評価値を領域毎に対応付けることができるので、本発明を採用しない場合に比べて、評価値の色空間内の領域に関する特性を色空間内で一律に表現することができる。
本発明の請求項10によれば、評価値と重み付け値との対応関係を統計的に算出しておくことで、本発明を採用しない場合に比べて、評価値や色変換特性モデルの算出の際に生じる不確定な要素に対応して安定的な色変換特性モデルを生成できる。
図1は、本実施の形態が適用される色処理装置1の全体構成を示すブロック図である。図1に示す色処理装置1は、格子点データの入力を受け付ける格子点データ取得部10、格子点データを色変換処理する際に用いる色変換特性モデルを生成する色変換特性モデル生成部20、色変換特性モデル生成部20にて生成された色変換特性モデルを用いて格子点データを色変換処理する色変換処理部30、格子点データ取得部10にて受け付けた格子点データと色変換処理部30にて色変換処理された色データとを対応付けて出力する色変換データ出力部40、色変換特性モデル生成部20にて色変換特性モデルを生成する際に使用する実データを評価する評価値を算出する評価値算出部の一例としての実データ評価部50を備えている。
例えば4次元のCMYK色空間では、一般に、色座標値C,M,Y,Kは、それぞれ0〜100の範囲で設定される。そこで、各色座標軸における色座標値をそれぞれ任意のステップ(例えば、10ステップ)で区切り、区切られた色座標値のすべての組み合わせを作成して、これをCMYK色空間での格子点データとする。例えば10ステップで色座標値を区切った場合には、(0,0,0,0)、(0,10,0,0)、(0,0,10,0)、(0,0,0,10)、・・・が格子点データとなる。
また、例えば3次元のL*a*b*色空間では、一般に、明度L*は0〜100、色度a*, b*はそれぞれ−300〜300の範囲で設定される。そこで、同様に、各色座標軸における色座標値をそれぞれ任意のステップで区切った色座標値のすべての組み合わせが格子点データとなる。
格子点データ取得部10では、例えばこのようなCMYK色空間やL*a*b*色空間内の格子点の色座標が格子点データとして入力される。そして、取得された格子点データは色変換特性モデル生成部20と色変換処理部30とに出力される。
ここで、「色変換特性モデル」とは、例えば第1の色空間の色信号(第1色信号)を第2の色空間の色信号(第2色信号)に変換する際に、第1色信号と第2色信号との対応関係を定式化して規定するものをいう。本実施の形態の色変換特性モデル生成部20では、実データ評価部50での実データ対に関する評価結果に基づいて、色変換特性モデルを生成する際に実データ対に対して施すパラメータを調整する。この点に関しては、後段で詳述する。
上記したように、色変換特性モデル生成部20では、CMYK色空間で生成されたカラーパッチの色データと、カラーパッチをL*a*b*色空間において測色して得られた色データとの対である実データ対を用いて色変換特性モデルを生成する。その際に、色変換特性モデルの色変換精度は、生成の際に使用される実データ対のCMYK色空間やL*a*b*色空間での分散状態に応じて定まるという特性を有している。そこで、実データ評価部50では、使用される実データ対のCMYK色空間やL*a*b*色空間での統計学上の分散(以下、単に「分散」という)を求める。そして、求められた実データ対の分散に基づいて、実データ対により生成される色変換特性モデルの色変換精度を評価する評価値を算出する。
実データ評価部50にて算出された評価値は、色変換特性モデル生成部20に送られる。そして、色変換特性モデル生成部20にて評価値に基づき、色変換特性モデルを生成する際に実データ対に対して作用させるパラメータの設定値(例えば加重)の調整が行われる。
実データ対取得部51は、色変換特性モデル生成部20にて色変換特性モデルを生成する際に使用する実データ対(色データの対)を取得する。
実データ対記憶部52は、実データ対取得部51にて取得された実データ対を記憶する。すなわち、色標本(カラーパッチ)に関するCMYK色空間(第1色空間)で表された実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)と、それに対応するL*a*b*色空間(第2色空間)にて測色して得られた実データ(y1i,y2i,y3i)とが一組となったn組の実データ対を記憶する。ここで、n,iは整数であってi=1〜nとする。
すなわち、評価用格子点生成部53にて生成される評価用格子点データ(CL,ML,YL,KL)は、色変換特性モデルを生成する際に用いる実データ対が色変換特性モデルに対して如何なる誤差を生じさせるかの目安(評価値)を算出するための色空間内での評価位置となるものである。
まず図3は、色変換特性モデルの機能を説明する図である。図3に示したように、色変換特性モデルはCMYK色空間(第1色空間)とL*a*b*色空間(第2色空間)との間の写像を規定する関数であって、CMYK色空間の色データ(変換対象色)は、色変換特性モデルによりL*a*b*色空間の色データ(変換色)に変換される。なお、第1色空間であるCMYK色空間から第2色空間であるL*a*b*色空間への色変換を正方向として、この場合の色変換特性モデルを「正変換の色変換特性モデル」とする。一方、L*a*b*色空間の色データ(変換色)は、第2色空間から第1色空間への「逆変換の色変換特性モデル」によりCMYK色空間の色データ(変換対象色)に変換される。
ここで、正変換の色変換特性モデルの生成には、主として変換対象色の周囲に位置するCMYK色空間の実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)と、これらに対応するL*a*b*色空間の実データ(y1i,y2i,y3i)とが用いられることとなる。一方、逆変換の色変換特性モデルの生成には、主として変換色の周囲に位置するL*a*b*色空間の実データ(y1i,y2i,y3i)と、これらに対応するCMYK色空間の実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)とが用いられる。
この誤差は、正変換の色変換特性モデルと逆変換の色変換特性モデルとが生成される際に使用される実データがそれぞれ異なることに起因するものであって、モデル間の相違により生じる「モデル誤差」と呼ばれるものである。すなわち、上記したように、正変換の色変換特性モデルでは、主として変換対象色の周囲に位置するCMYK色空間の実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)と、これらに対応するL*a*b*色空間の実データ(y1i,y2i,y3i)とが用いられる。それに対して、逆変換の色変換特性モデルでは、主として変換色の周囲に位置するL*a*b*色空間の実データ(y1i,y2i,y3i)と、これらに対応するCMYK色空間の実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)とが用いられる。そのため、以下に述べるように、CMYK色空間の実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)に対応するL*a*b*色空間の実データ(y1i,y2i,y3i)がL*a*b*色空間内で偏在する場合には、逆変換の色変換特性モデルの色変換精度が低下し、モデル誤差が大きくなる。
ところが、カラーパッチのL*a*b*色空間での測色値である色座標(y1i,y2i,y3i)が、図6(a)に示したような小さな領域に集中して分布する場合や、図6(b)に示したような偏った領域に分布する場合等がある。このような分散状態では、個々の色座標(y1i,y2i,y3i)はL*a*b*色空間内でそれぞれ色差距離の小さい近接した位置に存在することとなる。このような状態は、K値の大きなカラーパッチにて生じ易くなる。
これに対して、図7に示した領域Bは、図6(a)や(b)に相当する領域であって、CMYK色空間の実データの分散x2に対応するL*a*b*色空間での実データの分散y2は、比較的小さい。それにより、この領域Bで生成される色変換特性モデルは傾き(変化率)が小さくなり、CMYK色空間の色信号からL*a*b*色空間の色信号への変換誤差は大きなものとなる。また、L*a*b*色空間での色データの測定誤差が色変換特性モデルの色変換精度に与える影響も大きくなる。
そのため、例えば図7の領域Bにおいて色変換特性モデルを生成するに際して、領域Aと同様の手法で(例えば、領域Aと同様のパラメータ値を用いて)色変換特性モデルを生成するとした場合に、領域Bの色変換特性モデルの色変換精度は低くなることが予測される。
すなわち、図7に示したように、例えば領域Aのような相対分散値(y1/x1)が高い領域では、生成される色変換特性モデルは適度な傾き(変化率)を有する。すなわち、CMYK色空間の色データとL*a*b*色空間の色データとの相関性は高い。そのため、色変換特性モデルにおける領域Aでは、CMYK色空間の色データとL*a*b*色空間の色データとの間の変換誤差は小さく、この領域Aでの色変換特性モデルの色変換精度は高いものとなる。その一方で、例えば領域Bのような相対分散値(y2/x2)が低い領域では、生成される色変換特性モデルの傾き(変化率)は小さい。すなわち、CMYK色空間の色データとL*a*b*色空間の色データとの相関性は低い。そのため、色変換特性モデルにおける領域Bでは、CMYK色空間の色データとL*a*b*色空間の色データとの間に変換誤差が生じ易く、この領域Bでの色変換特性モデルの色変換精度は低いものとなる。
このように、CMYK色空間(第1色空間)の実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)の分散と、L*a*b*色空間(第2色空間)の実データ(y1i,y2i,y3i)の分散との相対分散値(評価値)を算出することで、生成される色変換特性モデルの色変換精度が、色空間内での領域毎に予測される。
図8は、実データ対評価値算出部54にて相対分散値を算出する際の処理の手順の一例を示したフローチャートである。実データ対評価値算出部54は、まず、評価用格子点生成部53から評価用格子点データ(CL,ML,YL,KL)を取得する(ステップ101)。また、実データ対記憶部52から色変換特性モデルを生成する際に用いる実データ対を取得する(ステップ102)。
そして実データ対評価値算出部54は、実データ対記憶部52から取得したCMYK色空間の実データの中から、評価用格子点生成部53から取得した一の評価用格子点の周囲の所定の領域Fに存在する実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)を抽出する(ステップ103)。例えば、評価用格子点を基点とした所定の色差距離の領域Fの内側に位置する実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)を抽出する。なお、評価用格子点の周囲の領域Fを規定する場合において、評価用格子点を基点として設定する色差距離は、各座標成分C,M,Y,K毎に異なる距離を設定してもよいし、同じ距離を設定してもよい。
またステップ103においては、評価用格子点と実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)との色差距離を算出し、算出された色差距離の小さなものから順に所定個数を抽出してもよい。
このステップ104にて算出される分散σ2 CMYKは、CMYK色空間の評価用格子点の周辺領域Fにおける平均値座標からの実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)の散らばり度合いを示している。
このステップ106にて算出される分散σ2 L*a*b*は、CMYK色空間の評価用格子点の周辺領域Fに対応するL*a*b*色空間の領域Gにおける、平均値座標からの実データ(y1i,y2i,y3i)の散らばり度合いを示している。
この評価値Sは、上記したように、色変換特性モデルを生成する際に用いる実データ対が色変換特性モデルに対して如何なる誤差を生じさせるかの目安となる。
その後、評価値出力部55は、評価用格子点データ(CL,ML,YL,KL)と対応付けられた評価値Sを色変換特性モデル生成部20に出力する。評価値Sを受け取った色変換特性モデル生成部20では、評価値Sに基づき、色変換特性モデルを生成する際に実データ対に対して施すパラメータの設定値(加重)を、変換対象色である格子点データが位置する色空間内での領域(評価用格子点の周辺領域F)毎に調整する。
すなわち、実データ評価部50にて算出された評価値Sを用いれば、生成された色変換特性モデルにより生じるモデル誤差を色空間内での領域毎に予測できる。このことから、色変換特性モデルの生成の際に使用される実データ対に関して言えば、この実データ対により生成される色変換特性モデルの色変換精度への影響度の観点からの当該実データ対の評価が色空間内での領域毎に行われる。
実データ評価部50では、図10および図11に示したように、それぞれの画像形成装置に備えられた色処理装置1において色変換特性モデルの生成時に用いられる実データを例えばK座標値(KL)により区分けされたCMYK色空間での領域毎に生成する。そして、CMYK色空間でのK座標値(KL)であるカバレッジ値(K色の画像面積率%)と評価値Sとの関係を評価値特性として表し、色変換特性モデル生成部20に出力する。
図13は、色変換特性モデル生成部20の機能構成を示すブロック図である。色変換特性モデル生成部20は、実データ対入力部21、実データ対記憶部22、加重生成部23、算出部24を備えている。
実データ対入力部21は、色データ対取得部の一例であって、格子点データ取得部10から入力される格子点データの色空間(第1色空間、CMYK色空間)において種々の色座標値が組み合わされて生成された色標本(カラーパッチ)の色データ(x1i,x2i,x3i,x4i)と、カラーパッチを変換先の色空間(第2色空間、L*a*b*色空間)において実際に測定(測色)して得られた色データ(y1i,y2i,y3i)との対である実データ対(色データ対)を取得する。
実データ対記憶部22は、実データ対入力部21から入力された実データ対を記憶する。すなわち、カラーパッチに関するCMYK色空間で表された実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)と、それに対応するL*a*b*色空間の実データ(y1i,y2i,y3i)とが対となったn組の実データ対を記憶する。ここで、n,iは整数であってi=1〜nとする。上記した実データ評価部50の実データ対取得部51は、この実データ対記憶部22から実データ対を取得する。
算出部24は、色変換特性モデル算出部の一部を構成する機能部の一例であって、例えば回帰分析等の統計処理によりCMYK色空間の色データとL*a*b*色空間の色データとの対応関係を規定する正変換および逆変換両方向の色変換特性モデルを算出する。すなわち、算出部24は、格子点データ取得部10から格子点データと、実データ対記憶部22から実データ対とを取得する。また、加重生成部23から格子点データとの色差距離に応じた加重を取得する。そして算出部24は、実データ対記憶部22から取得した実データに対して、加重生成部23にて生成された加重を施し、加重が施された実データを用いて線形回帰分析を行う。それにより、第1色空間の色(格子点データ)と、取得した第1色空間の色に対応する第2色空間の色(変換色データ)との対応関係を規定する正変換の色変換特性モデルを算出する。また、第2色空間の色(格子点データ)と、取得した第2色空間の色に対応する第1色空間の色(変換色データ)との対応関係を規定する逆変換の色変換特性モデルを算出する。そして、算出された正逆両方向の色変換特性モデルを色変換処理部30に送信する。
そこで、色変換特性モデル生成部20では、(6)式により算出される出力変換値(y´1i,y´2i,y´3i)が、CMYK色空間の実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)と対をなすL*a*b*色空間の実データ(y1i,y2i,y3i)に極力近似するような(7)式の行列Miを正変換の色変換特性モデルとして算出する。
色変換特性モデル生成部20においては、まず、加重生成部23にて初期加重W´ijを生成する初期加重生成工程(ステップ201)が行われる。加重生成部23は、格子点データ取得部10から変換対象色である格子点データ(x1j,x2j,x3j,x4j)を取得し、また、実データ対記憶部22からCMYK色空間の実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)を取得する。そして、格子点データ(x1j,x2j,x3j,x4j)と実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)との信号成分毎の差分を規格化し、この規格化された差分成分からなる規格化信号に関するユークリッド距離に応じて単調減少する、後段の(10)式に示した第1の関数Fijで設定される初期加重W´ijを生成する。なお、(10)式のx10,x20,x30,x40は規格化定数であって、ユークリッド距離に応じて初期加重W´ijの幅を規定する。したがって、規格化定数x10,x20,x30,x40は、実データに施す加重を調整するパラメータの一例である。
初期加重生成工程(ステップ201)に続く行列成分算出工程(ステップ202)では、算出部24により、(6)式の行列Miの各成分m11,m12,m13,m14,…を求める処理を行う。
算出部24は、格子点データ取得部10から格子点データ(x1j,x2j,x3j,x4j) を取得する。また、実データ対記憶部22からCMYK色空間の実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)およびそれに対応するL*a*b*色空間の実データ(y1i,y2i,y3i)を取得する。さらに、加重生成部23から初期加重W´ijを取得する。
そして、算出部24は、(6)式にて算出される出力変換値(y´1i,y´2i,y´3i)と、(6)式にて出力変換値(y´1i,y´2i,y´3i)を算出する際に用いたCMYK色空間の実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)と対をなすL*a*b*色空間の実データ(y1i,y2i,y3i)との間のユークリッド距離に、初期加重生成工程(ステップ201)にて生成された初期加重W´ijを乗じた2乗和Ej(次の(8)式)を最小にするという条件の下で、線形回帰分析の一例である最小2乗法により、(6)式の行列Miの各成分m11,m12,m13,m14,…を求める。なお、行列成分算出工程(ステップ202)においては、(8)式の加重Wijが初期加重W´ijに置き換えられて算出される。
次の変換値算出工程(ステップ203)では、算出部24が、ステップ202の行列成分算出工程にて算出された行列Miの各成分m11,m12,m13,m14,…を用いて、次の(9)式により、格子点データ取得部10にて入力された格子点データ(x1j,x2j,x3j,x4j)から変換色データ(y1j,y2j,y3j)を算出する。
次の加重再生成工程(ステップ204)では、加重生成部23により加重Wijが再度生成される。ここでは、ステップ201の初期加重生成工程にて初期加重W´ijを生成する際に用いた第1の関数Fij((10)式)に加えて、第2の関数Gij((11)式)を用いる。
第1の関数Fijでは、初期加重生成工程(ステップ201)と同様に、変換対象である格子点データ(x1j,x2j,x3j,x4j)と実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)との信号成分毎の差分が規格化される。そして、第1の関数Fijにより、この規格化された差分成分からなる規格化信号に関するユークリッド距離に応じて単調減少する第1の加重W1ijを設定する。なお、加重再生成工程(ステップ204) にて用いる(10)式のx10,x20,x30,x40は規格化定数であって、ユークリッド距離に応じて第1の加重W1ijの幅を規定する。すなわち同様に、ここでの規格化定数x10,x20,x30,x40も、実データに施す加重を調整するパラメータの一例である。
第2の関数Gijでは、格子点データ(x1j,x2j,x3j,x4j)と実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)との信号成分毎の差分が(9)式の行列Miの各成分を用いて感度が加味された差分成分に変換され、さらに、これらの差分成分は規格化される。そして、第2の関数Gijにより、行列Miの各成分を用いて感度が加味された差分成分からなる規格化信号に関するユークリッド距離に応じて単調減少する第2の加重W2ijを設定する。なお、(11)式のy10,y20,y30は規格化定数であって、ユークリッド距離に応じて第2の加重W2ijの幅を規定する。したがって、規格化定数y10,y20,y30は、実データに施す加重を調整するパラメータの一例である。
そして、加重生成部23は、(12)式に示したように、第1の加重W1ijと第2の加重W2ijとを結合した加重Wijを生成する。
続く行列成分再算出工程(ステップ205)において算出部24は、(6)式にて算出される出力変換値(y´1i,y´2i,y´3i)と、(6)式にて出力変換値(y´1i,y´2i,y´3i)を算出する際に用いたCMYK色空間の実データ(x1i,x2i,x3i,x4i)と対をなすL*a*b*色空間の実データ(y1i,y2i,y3i)との間のユークリッド距離に、加重再生成工程(ステップ204)にて生成された加重Wijを乗じた2乗和Ej((8)式)を最小にするという条件の下で、線形回帰分析の一例である最小2乗法により、(6)式の行列Miの各成分m11,m12,m13,m14,…を再度求める。
ただし、加重Wijが行列Miの成分または変換色であるL*a*b*色空間の色データに依存する場合は、行列Miの各成分m11,m12,m13,m14,…を一意的に定めることができない。そこで、その場合には、(8)式のEjを最小にするという条件の下で、加重Wijと行列Miの各成分m11,m12,m13,m14,…と変換色の最適値とを逐次近似の手法を用いて決定する。
行列成分再算出工程(ステップ205)に続く変換値算出工程(ステップ206)では、算出部24により、行列成分再算出工程(ステップ205)により求められた(7)式の行列Miを適用した(9)式に基づき、変換対象色である格子点データ(x1j,x2j,x3j,x4j)から変換色データ(y1j,y2j,y3j)を算出する。算出部24は、さらに、この計算された変換色データ(y1j,y2j,y3j)を加重生成部23に送る。加重生成部23は、算出部24にて算出された変換色データ(y1j,y2j,y3j)を参照して、再び加重Wijを算出する。そして、算出部24は、(8)式のEjを最小とする成分m11,m12,m13,m14,…からなる行列Miを求める。算出部24は、この行列Miを用いて変換色データ(y1j,y2j,y3j)を再度算出する。色変換特性モデル生成部20では、ステップ204の加重再生成工程からステップ206の変換値算出工程までの処理を繰り返すことによって変換色データ(y1j,y2j,y3j)を収束させ、精度の高い行列Miを得る。
そして算出部24は、求めた(7)式の行列Miを正変換の色変換特性モデルとして色変換処理部30に設定する。それにより、色変換処理部30は、(9)式に基づき、格子点データ取得部10にて入力された変換対象色である格子点データ(x1j,x2j,x3j,x4j)から変換色である変換色データ(y1j,y2j,y3j)を算出する。
なお、(14)式のy10,y20,y30は規格化定数であって、ユークリッド距離に応じて第2の加重w2ijの幅を規定する。また、(15)式のx40も規格化定数であって、ユークリッド距離に応じて第1の加重w1ijの幅を規定する。したがって、規格化定数y10,y20,y30,x40は、実データに施す加重を調整するパラメータの一例である。
上記したように、色変換特性モデル生成部20は、実データ評価部50から評価用格子点データと対応付けられた評価値Sを評価値特性(図10〜図12参照)として取得する。この実データ評価部50にて生成された評価値Sに関する評価値特性は、色変換特性モデルの色変換精度への影響度の観点から実データ対を色空間内の領域毎に評価するファクターである。そこで、色変換特性モデル生成部20では、逆変換の色変換特性モデルを生成する際に、格子点データ(y1j,y2j,y3j)と実データ(y1i,y2i,y3i)とのユークリッド距離に応じて施す加重wijの幅を規定するパラメータの設定値(規格化定数の値)を、評価値Sに関する評価値特性に応じて調整する。それにより、逆変換の色変換特性モデルを生成する際に実データに施す加重wijを調整し、逆変換の色変換特性モデルの色変換精度の向上を図っている。
そこで、色変換特性モデル生成部20は、評価値Sが小さい領域において色変換特性モデルを生成する際には、実データに施す加重wijの幅を広げるように設定している。それにより、評価値Sが小さく実データ相互の相関性の低い領域では、色変換特性モデルの生成に使用するL*a*b*色空間の実データ(y1i,y2i,y3i)が位置する領域は広げられる。それによって、かかる領域内での実データ(y1i,y2i,y3i)の偏在が緩和され、評価値Sが小さい領域にておいても、生成される色変換特性モデルの色変換精度が向上される。
ところが、評価値Sが小さい領域Bにおいては、L*a*b*色空間での実データ(y1i,y2i,y3i)の分散性は低いので、評価値Sが大きい領域Aと同程度の加重の幅を設定すると、生成される色変換特性モデルの色変換精度は低下する。そこで、評価値Sが小さい領域Bでは、加重の幅を評価値Sが大きい領域Aよりも大きく設定する。それにより、色変換特性モデルの生成に使用する実データ(y1i,y2i,y3i)に関するL*a*b*色空間の領域は広がるため、この領域全体としての分散性は高まり、生成される色変換特性モデルの色変換精度は向上される。
この場合の関係曲線としては、評価値Sが小さいほど加重の幅が大きく設定されるように、評価値Sに応じてパラメータ値(加重の幅)が単調減少する関係を規定する関数が用いられる。またその際に、図17の関係曲線により評価値Sに応じて対応付けられるパラメータ値(加重の幅)は、パラメータ値(加重の幅)により生成される色変換特性モデルの色変換精度が所定値を満たすものであるように統計的に算出されて設定される。それにより、評価値や色変換特性モデルの算出の際に生じる不確定な要素に対応させて、安定的な色変換特性モデルの生成を図っている。
図18は、色変換特性モデル生成部20がパラメータ値を設定する際の処理の手順の一例を示したフローチャートである。図18に示したように、色変換特性モデル生成部20は、実データ評価部50から、K座標値(カバレッジ値K(%))と対応付けられた評価値Sに関する評価値特性(図10および図11参照)を取得する(ステップ301)。
また、色処理装置1の記憶部(不図示)には、評価値Sと加重の幅を規定するパラメータ値との対応関係を設定する例えば図17に示した関係曲線が記憶されている。そして、色変換特性モデル生成部20は、記憶部から図17の関係曲線を取得する(ステップ302)。
そして、取得した評価値Sに関する評価値特性と関係曲線とを加重生成部23に設定する(ステップ303)。それにより、色変換特性モデル生成部20の加重生成部23は、カバレッジ値K(%)と対応付けられた評価値Sに関する評価値特性と、評価値Sとパラメータ値との対応関係を設定する関係曲線とを用いて、K座標値(カバレッジ値K(%))に応じたパラメータ値(規格化定数値)を算出して設定する(ステップ304)。
図19に示したように、加重生成部23は、図19の第3象限位置に表した評価値特性(図10)から各カバレッジ値K(%)に対応する評価値Sを読み出す。そして、図19の第2象限位置に表した関係曲線(図17)を用いて、読み出した評価値Sに対応するパラメータ値を算出する。それにより、各カバレッジ値K(%)に対応するパラメータ値を求める。さらには、求めた各カバレッジ値K(%)に対応するパラメータ値から、図19の第1象限位置に表したカバレッジ値K(%)の全域に亘るパラメータ値Pを設定するパラメータ値設定関数を算出する。カバレッジ値K(%)の全域に亘るパラメータ値設定関数の算出に際しては、次の(17)式を用いる。
そして、画像形成装置(プリンタ)Aでは、図19に示した画像形成装置(プリンタ)Aでのパラメータ値設定関数により、カバレッジ値K(%)に対応したパラメータ値、すなわち実データ(y1i,y2i,y3i,x40)に施される加重wijの幅を規定する規格化定数y10,y20,y30,x40を設定する。
この場合にも、図19の場合と同様にして、画像形成装置(印刷機)Bでのパラメータ値設定関数を設定する。そして、画像形成装置(印刷機)Bでは、図20に示した画像形成装置(印刷機)Bでのパラメータ値設定関数により、カバレッジ値K(%)に対応したパラメータ値、すなわち実データ(y1i,y2i,y3i,x40)に施される加重wijの幅を規定する規格化定数y10,y20,y30,x40を設定する。
さらに、図22は、各種の画像形成装置にて算出されるパラメータ値設定関数を示した図である。図22に示したように、各画像形成装置では使用される実データ対によりそれぞれ異なるパラメータ値設定関数が設定され、設定されたパラメータ値設定関数により、カバレッジ値K(%)に対応した規格化定数y10,y20,y30,x40が設定される。それにより、評価値Sが小さい領域においても、生成される逆変換の色変換特性モデルの色変換精度が向上する。
図23に示したように、パラメータ値設定関数に基づきパラメータ値(規格化定数)を設定することで、モデル誤差は改善される。
図24に示した画像形成装置200は、例えばデジタルカラープリンタであって、外部機器から入力された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理装置210、画像形成装置200全体の動作を制御する制御部230、各色成分からなる画像データに基づき記録媒体上に画像形成を行う例えば電子写真方式のプリンタエンジンにて実現される画像形成部240を備えている。
そして、画像処理装置210の色変換処理部216には、本実施の形態の色処理装置1にて生成されたDLUTが備えられる。そして、レンダリング処理部214にてレンダリングされた画像データをDLUTを用いて色変換処理する。色変換処理部216にて色変換処理された画像データは、スクリーン処理部217にて所定のスクリーン処理が行われた後、画像形成部240にて用紙上に画像形成される。
また、色処理装置1には外部記憶装置60が接続されている。そして、外部記憶装置60には、色処理装置1により実行される処理プログラムが格納されており、色処理装置1がこの処理プログラムを読み込むことによって、本実施の形態の色処理装置1での色変換処理が実行される。
Claims (10)
- 第1色空間の変換対象色データを取得する変換対象色データ取得部と、
前記第1色空間の色と変換先である第2色空間の色との対応関係を規定する色変換特性モデルの算出に際し用いる前記第1色空間の色データと、当該色変換特性モデルの算出に際し用いる当該第2色空間の色データとを対とする色データ対を取得する色データ対取得部と、
前記色データ対取得部にて取得された前記色データ対の前記第1色空間の色データと前記変換対象色データ取得部にて取得した前記変換対象色データとの色差距離に応じて当該第1色空間の色データに重み付けを行い、当該第1色空間の色データが重み付けされた当該色データ対を用いて前記色変換特性モデルを算出する色変換特性モデル算出部と、
前記色データ対を構成する前記第1色空間の色データに関する当該第1色空間にて所定間隔毎に配列された基準色座標の周辺領域での分散と、当該周辺領域内の当該第1色空間の色データと対をなす前記第2色空間の色データに関する分散とを算出し、算出した当該分散の相対比により当該色データ対に関する前記色変換特性モデルの色変換精度への影響度を評価する評価値を算出する評価値算出部とを備え、
前記色変換特性モデル算出部は、前記評価値算出部にて算出された前記評価値に基づいて、前記色変換特性モデルの算出に際し前記第1色空間の色データに施す前記重み付けを調整することを特徴とする色処理装置。 - 前記色変換特性モデル算出部は、前記第1色空間の色データに施す前記重み付けの調整を、当該第1色空間の色データと前記変換対象色データとの色差距離と当該重み付けとの対応関係を前記評価値に基づいて変更することにより行うことを特徴とする請求項1記載の色処理装置。
- 前記評価値算出部は、前記第1色空間にて所定間隔毎に配列された基準色座標の周辺領域毎に前記評価値を算出し、算出された当該評価値を当該基準色座標の一の座標成分と対応付けて前記色変換特性モデル算出部に送り、前記色変換特性モデル算出部は、当該一の座標成分と対応付けられた前記評価値に基づき前記重み付けを調整することを特徴とする請求項1記載の色処理装置。
- 前記評価値算出部は、前記基準色座標の周辺領域毎に算出された複数の前記評価値に関する前記一の座標成分の座標値毎の最大値、最小値および平均値の何れかを、当該一の座標成分と対応付けられた当該評価値として規定することを特徴とする請求項3記載の色処理装置。
- 前記色変換特性モデル算出部は、前記評価値算出部にて算出された前記評価値に対して前記色変換特性モデルの色変換精度が所定値を満たすように統計的に対応付けた前記重み付けを設定する前記調整を行うことを特徴とする請求項1記載の色処理装置。
- コンピュータに、
第1色空間の変換対象色データを取得する機能と、
前記第1色空間の色と変換先である第2色空間の色との対応関係を規定する色変換特性モデルの算出に際し用いる当該第1色空間の色データと、当該色変換特性モデルの算出に際し用いる当該第2色空間の色データとを対とする色データ対を取得する機能と、
前記色データ対の前記第1色空間の色データと前記変換対象色データとの色差距離に応じて当該第1色空間の色データに重み付けを行い、当該第1色空間の色データが重み付けされた当該色データ対を用いて前記色変換特性モデルを算出する機能と、
前記色データ対を構成する前記第1色空間の色データに関する当該第1色空間にて所定間隔毎に配列された基準色座標の周辺領域での分散と、当該周辺領域内の当該第1色空間の色データと対をなす前記第2色空間の色データに関する分散とを算出し、算出した当該分散の相対比により当該色データ対に関する前記色変換特性モデルの色変換精度への影響度を評価する評価値を算出する機能と、
前記評価値に基づいて、前記色変換特性モデルの算出に際し前記第1色空間の色データに施す前記重み付けを調整する機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。 - 前記重み付けを調整する機能は、前記第1色空間の色データに施す前記重み付けの調整を、当該第1色空間の色データと前記変換対象色データとの色差距離と当該重み付けとの対応関係を前記評価値に基づいて変更することにより行う請求項6記載のプログラム。
- 前記評価値を算出する機能は、前記第1色空間にて所定間隔毎に配列された基準色座標の周辺領域毎に前記評価値を算出し、算出された当該評価値を当該基準色座標の一の座標成分と対応付けるとともに、前記重み付けを調整する機能は、当該一の座標成分と対応付けられた当該評価値に基づき前記重み付けを調整することを特徴とする請求項6記載のプログラム。
- 前記評価値を算出する機能は、前記基準色座標の周辺領域毎に算出された複数の前記評価値に関する前記一の座標成分の座標値毎の最大値、最小値および平均値の何れかを、当該一の座標成分と対応付けられた当該評価値として規定することを特徴とする請求項8記載のプログラム。
- 前記重み付けを調整する機能は、算出された前記評価値に対して前記色変換特性モデルの色変換精度が所定値を満たすように統計的に対応付けた前記重み付けを設定する前記調整を行うことを特徴とする請求項6記載のプログラム。
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