以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。また、各実施形態において登場する構成要素は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
本発明においては、レーザー光による記録・再生が可能な記録再生機能層と、前記レーザー光が入射する情報記録再生面と、前記記録再生機能層を挟んで前記情報記録再生面と反対側に存在する印刷層とを有する光記録媒体を用いる。そして、上記光記録媒体に印刷を行ない、印刷に用いた印刷用のデータを前記光記録媒体に記録する。
(A)光記録媒体:
光記録媒体は、レーザーによる記録又は再生が可能であればよく、様々なものを挙げることができる。
例えば、光記録媒体が平面円環形状を有し、印刷層への印刷を光記録媒体を回転させながら行なうようにする光記録媒体を挙げることができる。この場合においては、印刷用のデータも、光記録媒体を回転させて記録するのが通常である。このような光記録媒体の具体例としては、CDやDVDに代表される光ディスクを挙げることができる。
また、例えば、記録再生機能層が平行に形成された記録トラックを複数有し、印刷層への印刷を、記録トラックの平行方向又は垂直方向に光記録媒体を移動させながら行なうようにする光記録媒体を挙げることができる。この場合においては、印刷用のデータも、光記録媒体を記録トラックに平行又は垂直に移動させながら記録するのが通常である。このような光記録媒体の具体例としては、平板の直方体形状を有する光カードを挙げることができる。
以下に、光記録媒体として光ディスク及び光カードを用いる例について説明する。
(1)光記録媒体を光ディスクとする例(以下、この項において「光記録媒体」とは光ディスクを指す。):
図1は、光記録媒体の一例を示す模式的な斜視図である。図1に示すように、光記録媒体Mは、円盤状で中心にセンターホール5を有する形状を有する。但し、光記録媒体Mの形状は、円盤形状に限られない。意匠性を付与するために、光記録媒体Mは楕円形状や正多角形の平板形状としてもよい。
図2(a),(b)は何れも、図1に示す光記録媒体MのA−A’面における模式的な断面図である。具体的に、図2(a)は、上記光記録媒体Mが基板面入射型の光記録媒体である場合を、図2(b)は、上記記録媒体Mが膜面入射型の光記録媒体である場合を、それぞれ示している。図2(a),(b)に示すように、光記録媒体Mは、基板1を有する記録再生機能層2と、情報記録再生面3と、印刷層4とを有する。
図2(a)においては、記録再生機能層2(具体的には、基板1)の下面が情報記録再生面3となっており、レーザー光は、情報記録再生面3から基板1を通過して記録再生機能層2内部へと照射されるようになっている。そして、印刷層4は、記録再生機能層2を挟んで情報記録再生面3と反対側に位置している。
一方、図2(b)においては、記録再生機能層2の上面が情報記録再生面3となっており、レーザー光は、記録再生機能層2に照射される。一方、記録再生機能層2の下方の側に基板1が設けられている。そして、基板1の下面に印刷層4を設けることにより、記録再生機能層2を挟んで情報記録再生面3と反対側に印刷層4が位置することとなる。
以下、光記録媒体Mを構成する各要素について説明する。
(1−1)記録再生機能層:
記録再生機能層2は基板1を有する。
基板1の材料としては、適度な加工性と剛性を有するプラスチック、金属、ガラス等を用いることができる。但し、基板1の材料として金属、ガラス等を用いる場合には、表面に光硬化性や熱硬化性の薄い樹脂層を設け、そこに後述する案内溝を形成する必要がある。この点、基板1の材料としてプラスチック材料を用い、射出成型によって基板1の形状(特に円盤状)と表面の案内溝を一挙に形成する方が、製造上は好ましい。
射出成型できるプラスチック材料としては、従来CDやDVDで用いられたポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。基板1の厚みとしては0.5〜1.2mm程度とするのが好ましい。
なお、図2(a)に示す基板面入射型の光記録媒体Mでは、情報の記録・再生時にレーザー光が基板1を透過するので、基板1の材料としては、入射するレーザー光に対して透明性を示す材料を使用する。一方、図2(b)に示す膜面入射型の光記録媒体Mでは、通常レーザー光が基板1を透過することがないので、基板1はレーザー光に対して透明である必要はない。
また、図2(a),(b)には図示していないが、基板1には、同心円状又はスパイラル状にアドレス情報が記録されている。アドレス情報は、通常、基板1に蛇行したトラッキング用の案内溝を同心円状又はスパイラル状に形成したり、基板1にピットを同心円状又はスパイラル状に形成することによって記録されている。このようなアドレス情報の付与は、従来公知の方法を用いて行なうことができる。
トラッキング用の案内溝のトラックピッチは、光記録媒体の記録再生に用いるレーザー光の波長によって異なる。具体的には、CD系の光記録媒体では、トラックピッチは通常1.5〜1.6μmである。DVD系の光記録媒体では、トラックピッチは通常0.7〜0.8μmである。青色レーザー用の光記録媒体では、トラックピッチは通常0.2〜0.5μmである。一方、溝の深さも光記録媒体の記録再生に用いるレーザー光の波長によって異なる。具体的には、CD系の光記録媒体では、溝深さは通常10〜300nmである。DVD系の光記録媒体では、溝深さは通常10〜200nmである。青色レーザー用の光記録媒体では、溝深さは通常10〜200nmである。
基板1の材料としてプラスチック材料を用いる場合は、例えば、射出成型等により、円盤状の形状と表面の案内溝とを一工程で形成する。一方、基板1の材料として金属、ガラス等を用いる場合は、例えば、その表面に光硬化性又は熱硬化性の薄い樹脂層を設け、この樹脂層に案内溝を形成する。
記録再生機能層2は、レーザー光による記録・再生が可能な層である。
記録再生機能層2は、光記録媒体Mが、再生専用媒体(ROM媒体)の場合と、一度の記録のみ可能な追記型媒体(Write Once媒体)の場合と、記録消去を繰り返し行なえる書き換え型媒体(ReWritable媒体)の場合とにより、それぞれの目的に応じた層構成を採用することができる。また、記録再生機能層2は、基板面入射型の場合(図2(a)の場合)と膜面入射型の場合(図2(b)の場合)とで、それぞれ異なる層構成を有する。
(再生専用媒体の例)
再生専用媒体の場合、記録再生機能層2は、通常、基板1上に形成された反射層及び保護層を有している。基板1については上述の通りである。反射層の材料としては、通常、Al、Ag、Au等の金属又はこれらの合金が用いられる。保護層の材料としては、通常、紫外線硬化性樹脂等が用いられる。また、保護層として、例えば、ポリカーボネート等の樹脂製や金属製等の板状部材を用いる場合もある。再生専用媒体の場合、基板面入射型であっても膜面入射型であっても、その層構成は同一となる。
再生専用の媒体の場合、通常、記録再生機能層2は以下のようにして形成される。つまり、まずスパッタ法により基板1上に反射層を成膜する。次いで、反射層上に紫外線硬化性樹脂を塗布し、得られた塗布膜を硬化させて保護層を形成する。また、保護層として板状部材を用いる場合には、これら板状部材は接着剤により反射層上に接着される。
(追記型の媒体の例1)
追記型の媒体であって膜面入射型の媒体の場合、記録再生機能層2は、通常、基板1上に、反射層、記録層、及び保護層をこの順に設けることによって得られる。ここで、記録層と保護層との間に無機材料(例えば、ZnS/SiO2)で形成されるバッファー層を設けてもよい。
一方、追記型の媒体であって基板面入射型の媒体の場合、記録再生機能層2は、通常、基板1上に、記録層、反射層、保護層をこの順に設けることによって得られる。
基板1については上述の通りである。反射層の材料としては、通常、Al、Ag、Au等の金属又は合金が用いられる。保護層の材料としては、通常、紫外線硬化性樹脂が用いられる。また、保護層として、樹脂(例えば、ポリカーボネート)や金属等の板状の部材を用いる場合もある。反射層及び保護層の形成方法は、再生専用の媒体と同様とすればよい。なお、保護層に樹脂(例えば、ポリカーボネート)や金属等の板状の部材を用いる場合には、これら部材を接着剤を用いて、記録層、バッファー層、又は、反射層に接着すればよい。
上記追記型の媒体における記録層の材料としては、通常、有機色素が用いられる。このような有機色素としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素など)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素などが挙げられる。特に含金属アゾ系色素は、耐久性及び耐光性に優れているため好ましい。
有機色素により記録層を形成する場合は、通常、有機色素を適当な溶媒に溶解した溶液によるスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート等の塗布方法で成膜される。この際、溶媒としては、ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ溶媒;テトロフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のパーフルオロアルキルアルコール溶媒;乳酸メチル、イソ酪酸メチル等のエステル溶媒などが好適に使用される。
記録層の厚さは、記録方法等により適した膜厚が異なるために特に限定されないが、十分な変調度を得るために、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、特に好ましくは20nm以上である。但し、光を透過させる必要があるため、記録層の厚さは、通常3μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは200nm以下である。
(追記型の媒体の例2)
追記型の媒体であって膜面入射型の媒体の場合、記録再生機能層2は通常、基板1上に、反射層、誘電体層、記録層、誘電体層、及び保護層をこの順に設けることによっても得ることができる。
一方、追記型の媒体であって基板面入射型の媒体の場合、記録再生機能層2は通常、基板1上に、誘電体層、記録層、誘電体層、反射層、及び保護層をこの順に設けることによっても得ることができる。
基板1については上述の通りである。反射層の材料としては、通常、Al、Ag、Au等の金属又は合金が用いられる。保護層の材料としては、通常、紫外線硬化性樹脂が用いられる。また、保護層として、樹脂(例えば、ポリカーボネート)や金属等の板状の部材を用いる場合もある。反射層及び保護層の形成方法は、再生専用の媒体と同様とすればよい。
誘電体層の材料としては、通常、無機材料(代表的には、ZnS/SiO2)が用いられる。誘電体層は、通常、スパッタリングすることによって形成される。
記録層は、通常、無機材料(例えば、Ge・Te、Ge・Sb・Te等のカルコゲン系合金)が用いられる。記録層は、通常、スパッタリングによって形成される。記録層の膜厚は、通常1nm〜50nm程度とされる。
(書き換え可能型の媒体の例1)
書き換え可能型の媒体で膜面入射型の媒体においては、記録再生機能層2が、通常、基板1上に、反射層、誘電体層、記録層、誘電体層、及び保護層をこの順に設けることによって得られる。一方、書き換え可能型の媒体で基板面入射型の媒体においては、記録再生機能層2が、通常、基板1上に、誘電体層、記録層、誘電体層、反射層、及び保護層をこの順に設けることによって得られる。
基板1については上述の通りである。また、反射層、誘電体層、記録層、及び保護層の詳細は、上記「追記型の媒体の例2」の場合と基本的に同様である。但し、記録層の材料としては、記録・消去を可逆的に行なえるような材料を用いる必要がある。このような材料としては、例えば、SbTe系、GeTe系、GeSbTe系、InSbTe系、AgSbTe系、AgInSbTe系、GeSb系、GeSbSn系、InGeSbTe系、InGeSbSnTe系等の材料が挙げられる。これらの中でも、結晶化速度を高めるために、記録層にSbを主成分とする組成を用いることが好ましい。
(書き換え可能型の媒体の例2)
書き換え可能型の媒体の他の具体例として、光磁気記録媒体(MOディスク)を挙げることもができる。
(共通事項)
記録再生機能層2には、記録再生領域6が設定されている。図1に示すように、光記録媒体Mがセンターホール5を有する円盤形状の場合には、記録再生領域6は、通常、記録再生機能層2の内周径よりも大きい内径と、記録再生機能層2の外周径よりも小さい外径との範囲内に設けられる(図2参照)。
また、記録再生機能層2と印刷層4との間(図2(a)参照)や基板1と印刷層4との間(図2(b)参照)には、必要に応じて適宜、その他の層(例えば接着層等)を1層又は2層以上設けてもよい。
なお、上記「再生専用媒体の例」、「追記型の媒体の例1」、「追記型の媒体の例2」、及び「書き換え可能型の媒体の例1」においては、記録容量向上の観点から、記録層を複数設けることも行なわれる。記録層を複数設ける場合、記録容量を考慮し、記録層の数は、通常2層以上、好ましくは3層以上とする。一方、記録層の数は、通常5層以下とする。
また、光記録媒体Mが反射層を有する場合において、印刷層4への印刷時の回転制御・位置制御・位置検出にアドレス情報を用いる場合には、反射層とアドレス情報との関係を、以下のようにすることが好ましい。即ち、上記アドレス情報は、反射層が設けられた領域に記録されていることが好ましい。このようにすることで、高い反射率が実現でき、アドレス情報をより確実に検出することが可能になる。
光記録媒体Mとして、実際に実用化されているものとしては、たとえば、CD、CD−ROM、CD−RW(ReWritable)、DVD−ROM、追記型DVD、書き換え型DVDなどを挙げることができる。
(1−2)印刷層:
印刷層4はレーベル印刷を行なうための層である。印刷層4は、用いる印刷方式(例えば、インクジェットプリント、感熱方式等)により用いられる材料が異なる。但し、光記録媒体Mを回転させながら印刷を行なう点、及び、光記録媒体Mを回転させることにより高速印刷が可能となる点から、感熱方式による印刷方式を用いることが好ましい。
感熱方式の印刷方式を用いる場合、印刷層4は感熱発色層となる。このような感熱発色層としては、特に制限はなく、従来公知のものを用いることができる。感熱発色層としては、例えば、マイクロカプセルに封入された色素材料とカプラーとを含有する層を挙げることができる。このような感熱発色層は、閾値以上の熱エネルギーが印加されることによって、マイクロカプセルを透過して色素材料とカプラーとが反応して発色する。この結果、印刷を行なうことができる。
印刷層4の膜厚は、通常0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは4μm以上とする。この範囲とすれば、感熱印刷時のコントラストが取り易いという利点が発揮される。一方、印刷層4の膜厚は、通常100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下とする。この範囲とすれば、感熱印刷時の感度を良くでき、印刷層の硬化収縮による反りを抑えられるという利点が発揮される。特に4μm以上、50μm以下とすると、スクリーン印刷により安価に印刷層が形成できる。
印刷層4の製造方法としては、例えば、以下の方法を挙げることができる。
つまり、上記所定の材料を熱可塑性樹脂等と共に溶媒(例えば、トルエン)に溶解又は分散させて、これをスクリーン印刷やスピンコートにより記録再生機能層2や基板1上に成膜する。そして、熱をかけ溶媒を蒸発させることにより印刷層4を形成することができる。
また、上記所定の材料を硬化性樹脂に溶解又は分散させて、これをスクリーン印刷やスピンコートにより記録再生機能層2や基板1上に成膜する。そして、熱や光で硬化性樹脂を硬化させることにより印刷層を形成することができる。ここで、硬化性樹脂としては光硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂を用いることができる。
(2)光記録媒体を光カードとする例(以下、この項において「光記録媒体」とは光カードを指す。):
通常、光記録媒体は平行に形成された複数の記録トラックを有する。そして、印刷用データの記録は、それぞれの記録トラックに沿ってレーザー光を走査することにより行なわれる。レーザー光による走査は、任意の記録トラックで行なえばよい。
図8は、光記録媒体(光カード)の一例を示す模式的な平面図である。図8に示すように、光記録媒体Pは、通常、扁平の直方体形状を有する。なお、図8に示すように、光記録媒体Pの四隅は、ユーザーの使い勝手を考慮して直角ではなく円弧形状となっている。本発明においては、図8のような形状も直方体に含めることとする。
図8に示すように、記録再生領域6には、上下をトラッキングトラック21に挟まれた記録トラック20が横方向に複数形成されている。そして、記録される情報は、記録ピット22の列として、記録トラック20内に形成されている。また、アドレス情報は、記録トラック20に沿って記録されている。
図9は、図8に示す光記録媒体PのB−B’面における模式的な断面図である。図9に示すように、光記録媒体Pは、基板23を有する記録再生機能層24と、情報記録再生面26と、印刷層25とを有する。
図9に示されるように、記録再生機能層24(具体的には、基板23)の上面が情報記録再生面26となっており、レーザー光は、情報記録再生面26から基板23を通過して記録再生機能層24の内部へと照射されるようになっている。そして、印刷層25は、記録再生機能層24を挟んで情報記録再生面26と反対側に位置している。
(2−1)記録再生機能層:
記録再生機能層24は基板23を有する。基板23にはレーザー光を透過する材料を用いればよい。このような材料としては、上記光ディスクで説明したものと同様のものを用いればよい。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。基板1の厚みは、通常、10μm〜10mmとする。なお、基板23が薄く、製造上の取り扱いが難しくなる場合には、記録再生機能層24と印刷層25との間に、所定の厚みを有するサポート基板を挿入してもよい。
基板23には、複数の記録トラック20が平行に形成されている。そして、各記録トラック20に沿ってアドレス情報が記録されている。アドレス情報の記録は、上記光ディスクの場合と同様にして行なえばよい。例えば、図8では図面の見やすさを考慮して、記録トラック20を直線的に形成しているが、記録トラック20を蛇行するように形成することによってアドレス情報を記録してもよい。また、例えば、トラッキングトラック21にスリット又はピット(図8、9では不図示)を形成することによって、アドレス情報を記録することもできる。
基板23の材料としてプラスチック材料を用いる場合は、例えば、射出成型等により、平板の直方体の形状と表面の記録トラック20、トラッキングトラック21とを一工程で形成することができる。
記録再生機能層24は、レーザー光による記録・再生が可能な層である。記録再生機能層24は、光記録媒体Pが、再生専用媒体(ROM媒体)の場合と、一度の記録のみ可能な追記型媒体(Write Once媒体)の場合と、記録消去を繰り返し行なえる書き換え型媒体(ReWritable媒体)の場合とにより、それぞれの目的に応じた層構成を採用することができる。この点については、上記説明した光ディスクの場合と同様である。つまり、記録再生機能層24は、上記説明した光ディスクにおける層構成を適宜応用して用いることができる。
(2−2)印刷層:
印刷層25はレーベル印刷を行なうための層である。印刷層25は、用いる印刷方式(例えば、インクジェットプリント、感熱方式等)により用いられる材料が異なる。但し、光記録媒体Pへの印刷用のデータの記録を行ないながら印刷を行なう点を考慮すると、感熱方式による印刷方式を用いることが好ましい。
印刷層25の詳細(例えば、印刷層25に用いる材料、印刷層25の膜厚、印刷層25の製造方法)については、上記光ディスクと同様にすればよい。このため、ここでの説明は省略する。
(B)印刷方法、印刷装置:
本発明の光記録媒体に対する印刷方法(以下、単に「本発明の印刷方法」と略称する場合がある。)は、光記録媒体の印刷層に印刷を行ない、印刷に用いた印刷用のデータを前記光記録媒体に記録する。
また、本発明の印刷方法を実施するための具体的な印刷装置としては、光記録媒体を駆動させる駆動手段と、印刷を行なう印刷手段と、印刷に用いた印刷用のデータを光記録媒体に記録する記録手段と、を有する装置(本発明の光記録媒体に対する印刷装置。以下、単に「本発明の印刷装置」と略称する場合がある。)を挙げることができる。
本発明の印刷方法及び印刷装置は、本発明の趣旨に反しない範囲において、様々な形態で実施することが可能である。このような印刷装置は、用いる光記録媒体の種類(例えば、光ディスク、光カード)によって異なる構成となる。そこで、印刷装置の具体例として、光記録媒体として光ディスクを用いる場合の印刷装置の一例、及び、光記録媒体として光カードを用いる場合の印刷装置の一例について以下説明する。
なお、本明細書において「位置情報に同期」又は「アドレス情報に同期」とは、位置情報又はアドレス情報の入出力タイミングに対する同期や、位置情報又はアドレス情報によって表わされる位相、角度、位置等の変化に対する同期など、位置情報又はアドレス情報との関係で可能となる各種の同期を広く指すものとする。
(1)光記録媒体を光ディスクとする場合の印刷装置の一例(以下、この項において「光記録媒体」とは光ディスクを指す。):
光記録媒体Mは通常、平面円環形状を有するので、印刷装置における駆動手段は、光記録媒体Mを回転させる回転手段として構成される。また、光記録媒体Mにおいては、通常、記録再生機能層2が基板1を有し、基板1に同心円状又はスパイラル上にアドレス情報が記録されている。このため、印刷層4への印刷を行なう場合には、上記アドレス情報を利用すると、高精度、高画質の印刷が行ないやすい。このような印刷装置の具体例について更に説明する。
上記実施形態に係る印刷方法に用いられる、本発明の印刷装置の代表的な実施の形態としては、上記回転手段、印刷手段、及び記録手段に加えて、以下の手段を有する印刷装置が挙げられる。つまり、光記録媒体Mへレーザー光を照射してアドレス情報を検出する検出手段、及び、検出手段より検出されたアドレス情報を用い、回転手段を制御して光記録媒体の制御を行ないながら、印刷手段を制御して印刷を行なう指令手段である。
(1−1)第1実施形態:
第1実施形態に係る光記録媒体に対する印刷装置(以下「第1実施形態の印刷装置」という場合がある。)について、図3〜5を用いて説明する。
図3(a),(b)は何れも、第1実施形態の印刷装置の構成の例を示す機能ブロック図である。具体的に、図3(a)は、アドレス情報を用いて光記録媒体の回転制御と印刷とを同時に行なう場合の印刷装置の構成の例を示しており、図3(b)は、アドレス情報を用いて印刷を行なう場合の印刷装置の構成の例を示している。なお、図3(a),(b)ともに、印刷装置の一部の要素についてはその部分断面を模式的に示している。
図4は、図3(a),(b)の印刷装置の一部(符号101で示す部分)の模式的な斜視図である。
図5(a)〜(c)は何れも、図3(a),(b)の印刷装置における指令手段の構成の例を示す機能ブロック図である。具体的に、図5(a),(b)は各々、図3(a)の印刷装置における指令手段の構成の例を示しており、図5(c)は、図3(b)の印刷装置における指令手段の構成の例を示している。
(アドレス情報を用いて光記録媒体の位置制御と印刷とを同時に行なう場合)
まず、アドレス情報を用いて光記録媒体の位置制御と印刷とを同時に行なう場合の印刷装置の具体例について、図3(a)及び図5(a),(b)を用いて説明する。なお、光記録媒体Mにおける位置制御は、実際には光記録媒体Mの回転制御となる。
図3(a)に示すように、印刷装置100は、サーボモータ16、回転台19、及びクランプ30から構成される回転手段と、光ピックアップ10、対物レンズ12、及びアドレス情報検出装置31から構成される検出手段と、サーマルヘッド14及びバックアップローラー15から構成される印刷手段と、検出手段から出力されるアドレス情報及び記憶手段Kから出力される印刷用のデータの入力を受けて回転手段及び印刷手段に指令を出すための指令手段Sと、印刷用のデータを記憶するための記憶手段(印刷用データ記憶手段)Kと、光ピックアップ10及び対物レンズ12を介して印刷用のデータを光記録媒体Mに記録したり光記録媒体Mから読み出したりするための記録・読み出し手段32と、印刷された光記録媒体Mのイメージ図を表示するための表示手段Hとを有する。また、図4には、図3(a)の点線で囲まれた印刷装置の一部101の模式的な斜視図が示されている。
光記録媒体Mの詳細は図3、図4では省略しているが、光記録媒体Mは、同心円状又はスパイラル状にアドレス情報が記録された基板と、レーザー光による記録・再生が可能な記録再生機能層と、レーザー光が入射する情報記録再生面と、記録再生機能層を挟んで情報記録再生面と反対側に存在する印刷層とを有する。また、図3、図4では、光記録媒体Mの印刷層は、感熱方式で印刷を行なうために、感熱発色層としている。このような光記録媒体Mの詳細については既に図1及び図2を用いて説明した通りであるので、説明は省略する。
光記録媒体Mは、回転台19の上に載置され、装置カバー(図示は省略する。)に取り付けられたクランプ30によって上方から保持される。回転台19の中央には光記録媒体Mのセンターホールの内径とほぼ同じ外径を有する係合突起が設けられ、光記録媒体Mのセンタリングを行なう。このように、回転台19とクランプ30とは、光記録媒体Mを保持するために用いられ、サーボモータ16により光記録媒体Mはその軸回りに回転駆動される。通常、光記録媒体Mを、一定角速度(constant angular velocity:CAV)で回転させる。
光記録媒体Mの印刷層(感熱発色層)表面には、サーマルヘッド14が接して設けられている。サーマルヘッド14は、光記録媒体Mの半径方向に延びるライン式のサーマルヘッドである。サーマルヘッド14は、光記録媒体Mの半径方向に沿って配置され、装置カバーに取り付けられたばね14aによって光記録媒体Mに向かって押圧力Ftで押圧される。なお、サーマルヘッド14を、光記録媒体Mの半径方向に沿って走査可能なシリアルヘッドで構成してもよい。
また、サーマルヘッド14は、薄膜サーマルヘッド、レーザー式サーマルヘッド、及びLED式サーマルヘッド等を用いることができる。中でも、レーザー式サーマルヘッド、及びLED式サーマルヘッドが好ましい。光記録媒体Mと非接触で印刷可能であり、発塵やヘッド汚れがなく、感熱ヘッドのクリーニングが不要になる等、メンテナンスが容易になるためである。さらに、非接触で印刷可能なため、凹凸のある表面にも印刷可能である利点を有する。
光記録媒体Mを挟んでサーマルヘッド14の反対側には、バックアップローラー15が光記録媒体Mの情報記録再生面3に接して設けられている。バックアップローラー15は、サーマルヘッド14による表面からの押圧力Ftに対抗し、光記録媒体Mを裏面から支持するローラーであり、光記録媒体Mの回転に伴って回転するようになっている。サーマルヘッド14が押圧する記録領域全体に対向するようにバックアップローラー15を配置しているため、ヘッド押圧力が均一化され、記録濃度むらの少ない高品質の画像を印刷できる。
より具体的には、バックアップローラー15は、光記録媒体Mの外周側ほど直径が大きくなる円錐ローラーで構成される。円錐ローラーの回転中心線は、光記録媒体Mの裏面中心を通過し、かつ、回転中心線と媒体裏面との成す角度が円錐母線の角度を規定する。こうした円錐ローラーを使用することによって、光記録媒体Mの中心からの半径が大きくなるほど線速度が増加する内外線速度差に対応可能になる。
なお、バックアップローラー15は、その表面が、弾性かつ硬度の低い材料(例えばゴム)で形成されている。このような材料をバックアップローラー15に用いることにより、光記録媒体Mの情報記録再生面3を保護しやすくなるとともに振動や回転ムラを吸収しやすくなる。
光記録媒体Mに同心円状又はスパイラル状に記録されたアドレス情報は、以下のようにして検出される。つまり、光ピックアップ10及び対物レンズ12を半径方向に適宜移動させながら、光ピックアップ10及び対物レンズ12より集光ビーム13を情報記録再生面3側から光記録媒体Mに照射する。そして集光ビーム13の反射光を検出することによって得られる信号を、アドレス情報検出装置31によりアドレス情報として検出する。なお、図3及び図4においては、説明の便宜上、光ピックアップ10及び対物レンズ12を光記録媒体Mの半径方向に移動させる移動装置については、その図示を省略している。このような移動装置としては、光記録媒体Mの記録再生に従来から用いられているものを適宜用いればよい。このように、光記録媒体Mのアドレス情報の検出は、通常の光記録媒体の再生装置と同様な再生システムを用いて行なえばよい。
以下に、印刷装置100を用いた印刷方法について説明する。
印刷装置100は、光記録媒体Mの半径方向を主走査方向とし、光記録媒体Mの円周方向を副走査方向としている。そして、印刷装置100は、光記録媒体Mの半径方向及び円周方向に配列する画素領域に対して、選択的に熱を供給して発色させて印刷を行なうようになっている。
印刷の開始に伴い、サーボモータ16に通電が開始されて光記録媒体Mの回転が開始される。次に、光ピックアップ10から対物レンズ12を介して集光ビーム13が情報記録再生面3に集光する。そして集光ビーム13の反射光を検出することによって得られる信号を、アドレス情報検出装置31によりアドレス情報として検出する。検出されたアドレス情報は、指令手段Sに入力される。同時に、外部ホストで作成された印刷用のデータがI/F及びCPUなどを介して、記憶手段Kから、指令手段Sに入力される。なお、アドレス情報検出装置31には、光ディスクドライブで従来から用いられている、アドレス情報の読み出し方法をそのまま用いればよい。
指令手段Sでは、入力されるアドレス情報より光記録媒体Mの回転制御を行なう。同時に、指令手段Sでは、入力されるアドレス情報と、印刷用のデータとから判断して、光記録媒体Mが印刷を行なうべき位置に達したと判断するたびに、サーマルヘッド14を起動するための信号をサーマルヘッド14に送る。上記信号により、光記録媒体Mの印刷層4(感熱発色層)の所定の位置に感熱方式の印刷が行なわれることになる。
そして、印刷を行ないながら、記録手段(記録手段は、記録・読み出し手段32、光ピックアップ10、及び対物レンズ12で構成される。)を用いて光記録媒体Mに印刷用のデータを記録する。具体的には、記憶手段Kから、記録・読み出し手段32、光ピックアップ10、及び対物レンズ12を介して、光記録媒体Mに印刷用のデータを記録する。このようにすることにより、光記録媒体Mに印刷を追加する際に、前回の印刷用のデータを記録・読み出し手段32を介して記憶手段Kに読み出して処理することができる。この結果、今回の追記する情報に関する文字・画像等のデータの印刷を、前回記録した情報に関する文字・画像等のデータの印刷位置に続けて印刷することが可能となる。特に、光記録媒体Mに記録される印刷用のデータが、印刷内容及び印刷位置に関するデータであると、上記の追加の印刷が良好に行ないやすくなる。
本実施形態においては、印刷を行ないながら、印刷用のデータの光記録媒体Mへの記録を行なっている。なお、本実施形態において印刷用のデータの記録を印刷と同時に行なう場合には、アドレス情報を検出しながら印刷用のデータを記録することとなる。このような方法を用いることにより、印刷・記録時間を短縮することが可能となる利点が発揮される。また、印刷と印刷用のデータの記録とを同時に行なえば、印刷と記録との間に、印刷装置にディスクの出し入れを行なわなくてもよくなる。この結果、印刷と印刷用のデータの記録とを、確実に同一の光記録媒体に行なうことができるようになる。無論、印刷用のデータの光記録媒体Mへの記録は、印刷の前又は印刷の後に行なってもよい。
印刷用のデータとしては、特に制限はないが、通常は、印刷内容に関するデータと、印刷位置に関するデータとが挙げられる。印刷内容に関するデータとしては、一般的には、光記録媒体Mに記録される情報に関連した文字・画像等のデータを挙げることができる。例えば、音楽情報が光記録媒体Mに記録されている場合には、印刷内容に関するデータとしては、曲名、演奏時間、及び演奏者等の情報を挙げることができる。また、例えば、ビデオ情報が光記録媒体Mに記録されている場合には、印刷内容に関するデータとしては、タイトル、上映時間、監督、主演者等の情報を挙げることができる。一方、印刷位置に関するデータとしては、例えば、印刷層4(感熱発色層)上の印刷箇所に関する情報等が挙げられる。
ここで、印刷された光記録媒体Mのイメージを視覚的に認識することを可能とするために、印刷される光記録媒体Mのイメージ図を表示するための表示手段Hを記憶手段Kに接続し、印刷用のデータを取り込んで、これを表示手段Hのモニターに表示させる。更に、表示手段Hにはキーボードやマウス、カーソルを動かすためのポインティングデバイスや押しボタン等の入力デバイスが接続されており、この入力デバイスを用いて印刷用のデータを編集することが可能となっている。このような表示手段Hを用いることにより、印刷用のデータの編集をモニター上で行なうことができるため、ユーザーにとって使い勝手がよい。ここで、使い勝手を更によくするために、表示手段Hには、光記録媒体Mへの印刷内容を編集するための所定のソフトウェアが内蔵されている。なお、記憶手段K、表示手段Hやそれに接続される入力デバイスは、印刷装置10Dと一体化されていても良い。
以上の手順により、印刷及び印刷用のデータの記録が行なわれた光記録媒体を得ることができる。
また、本実施態様において、記録手段(上記光ピックアップ10、対物レンズ12、及び記録・読み出し手段32から構成される)は、光記録媒体Mに記録した印刷用のデータを読み出すための読み出し機能を更に有している。このような機能を付加することにより、以下に説明する印刷の追加が行ないやすくなる。
印刷の追加(Additional Printing)を行なう場合には、以下の方法で行なうことが好ましい。つまり、光記録媒体Mに記録された印刷用のデータを読み出し、光記録媒体Mに印刷されている文字及び/又は画像、並びに前記印刷層に対する印刷位置を確認した後に、追加の印刷を行なうという方法である。具体的には、対物レンズ12を介して光記録媒体Mに集光ビーム13を照射して得られる光記録媒体Mからの反射光より、印刷用のデータを読み出す。そして、読み出された印刷用のデータを、記憶手段Kを介して表示手段Hに表示する。これにより、画面上で現在の印刷状況を把握することができる。そして、表示手段Hに内蔵された、印刷内容の編集ソフトウェアを用いて、表示手段Hの画面上で追加の印刷部分の編集を行なう。その後、追加部分に相当する印刷用のデータが記憶手段Kに出力され、この印刷用データを用いて、上述した方法と同様にして追加の印刷を行なう。この際に、追加印刷の印刷用データも光記録媒体Mに記録すれば、更にその後の追加印刷を良好に行ないやすくなる。
なお、表示手段Hを用いた編集の代わりに、追加の印刷用のデータをハードディスク等の外部の記憶装置(図3(a)及び図4では図示していない。)から読み出してもよい。そして、上記の追加の印刷用のデータを記憶手段Kに格納して、追加の印刷を行なえばよい。その際に、ユーザーにとって追加の印刷を行なう部分が認識できるように、追加の印刷の内容を表示手段Hに表示させてもよい。
次に、指令手段Sのより具体的な態様について説明する。
指令手段Sの具体的な態様としては、以下のものを挙げることができる。例えば、検出されたアドレス情報より光記録媒体Mの位置情報を検出し、この位置情報を用いて光記録媒体Mの位置制御(回転制御)を行なうとともに、位置情報に同期して前記印刷層に印刷を行なうように、指令手段Sを構成すればよい。この態様(以下適宜「第1の具体的な態様」という。)に係る指令手段Sの構成について、図5(a)を用いて説明する。
図5(a)は、第1の具体的な態様に係る指令手段Sの構成を示す機能ブロック図である。図5(a)に示される通り、指令手段Sは、アドレス情報検出装置31(検出手段)より検出されたアドレス情報を位置情報に変換する位置情報検出手段Iと、この位置情報を基に、サーボモータ16(回転手段)の制御及びサーマルヘッド14(印刷手段)の制御を行なう制御手段Cとからなっている。
位置情報検出手段Iにおいては、光記録媒体Mのアドレス情報をもとに光記録媒体Mの角度を検出する。そして、検出された光記録媒体Mの角度は制御手段Cに出力される。制御手段Cには、検出された上記角度に同期して、記憶手段Kから入力される印刷用のデータを基にサーマルヘッド14への通電を開始する。サーマルヘッド14の通電により、感熱発色レベルの熱エネルギーが光記録媒体Mの印刷層4(感熱発色層)に印加される。これによって、印刷層4(感熱発色層)が発色し、外部ホストで作成した文字・画像等のデータが光記録媒体Mに印刷される。そして、上記サーマルヘッド14への通電と同時に、検出された上記角度を用いて印刷の位置ずれを更に低減するように、印刷が行なわれる間のサーボモータ16の回転角速度を制御する。
指令手段Sの別の具体的な態様としては、検出されたアドレス情報を用いて光記録媒体Mの位置制御(回転制御)を行ない、この位置制御(回転制御)と並列に、検出された前記アドレス情報に同期して前記印刷層に印刷を行なうように、指令手段Sを構成すればよい。この態様(以下適宜「第2の具体的な態様」という。)に係る指令手段Sの構成について、図5(b)を用いて説明する。
図5(b)は、第2の具体的な態様に係る指令手段Sの構成を示す模式図である。図5(b)に示される通り、指令手段Sは、アドレス情報検出装置31(検出手段)より検出されたアドレス情報を用いてサーボモータ16(回転手段)を制御する駆動制御手段(以下「回転制御手段」という場合がある。)RCと、アドレス情報検出装置31(検出手段)より検出されたアドレス情報を用いてサーマルヘッド14(印刷手段)の制御を行なう印刷制御手段PRCとからなる。
まず、回転制御手段RCにおいては、光記録媒体Mのアドレス情報をもとにサーボモータ16(回転手段)の回転制御を行なう。通常、サーボモータ16は一定角速度での回転により近づくように回転が行なわれる。なお、上記説明では、アドレス情報を直接用いてサーボモータ16の回転制御を行なっている。当然ながら、アドレス情報を光記録媒体Mの位置情報(角度情報)に変換した後に、この位置情報を用いてサーボモータ16の回転制御を行なってもよい。
一方、印刷制御手段PRCにおいては、光記録媒体Mの印刷層上の所定位置に印刷を行なうべく、入力される光記録媒体Mのアドレス情報に同期して、記憶手段Kから入力される印刷用のデータを基にサーマルヘッド14への通電を開始する。サーマルヘッド14の通電により、感熱発色レベルの熱エネルギーが光記録媒体Mの印刷層4(感熱発色層)に印加される。これによって、印刷層4(感熱発色層)が発色し、光記録媒体Mに外部ホストで作成した文字・画像等のデータが印刷される。当然ながら、アドレス情報を光記録媒体Mの位置情報(角度情報)に変換した後に、この位置情報を用いてサーマルヘッド14への通電を行なってもよい。
このように、指令手段Sの第2の具体的な態様(図5(b)参照)においては、回転手段と印刷手段との制御がそれぞれ並列に行なわれる。
上記指令手段Sの第1及び第2の具体的な態様(図5(a),(b)参照)における共通点は、以下の通りである。つまり、何れの態様においても、サーボモータ16(回転手段)と回転台19の角度ではなく、光記録媒体Mに記録されているアドレス情報を基に、光記録媒体M上の角度情報を得ることができる。このようにすることにより、光記録媒体Mを取り外して再度、回転台19に装着し回転台19と光記録媒体Mとの角度がずれた場合においても、光記録媒体Mに記録されているアドレス情報を基に、角度のずれが無い状態で印刷を継続できる。すなわち、追加の画像の印刷を行なう際にも、前に印刷した画像とずれの無い画像を追加印刷することが可能となる。
上記指令手段Sの第1及び第2の具体的な態様のもう一つの共通点は、光記録媒体Mに記録されているアドレス情報を光ピックアップ10及びアドレス情報検出装置31で再生し、検出信号をサーボモータ16(回転手段)のフィードバック信号として利用する点にある。これによって、光記録媒体Mの回転角や回転速度を光記録媒体Mに記録されているデータと同様に非常に精度良く制御できるようになる。
一方、上記指令手段Sの第1及び第2の具体的な態様(図5(a),(b)参照)の相違点としては、以下のものを挙げることができる。
第1の具体的な態様(図5(a)参照)においては、サーボモータ16(回転手段)の回転制御とサーマルヘッド14の通電(印刷手段による印刷)とを、制御手段Cで同時に制御している。つまり、光記録媒体Mの角度情報から印刷位置をモニターして印刷をしながら、更に印刷ずれを低減するために、サーボモータ16(回転手段)の回転角速度を制御することができる。この結果、第1の具体的な態様(図5(a)参照)においては、印刷する画像の画質をより高画質にしやすい。また、追加の画像の印刷を行なう場合にも、前に印刷した画像とのずれをより抑制しやすくなる。但し、第1の具体的な態様は、印刷の状態をフィードバックしながら回転制御を行なうことが可能となる分、複雑な制御が必要となる傾向がある。
これに対して、第2の具体的な態様(図5(b))においては、サーボモータ16(回転手段)の回転制御は回転制御手段RCで行なわれる。一方、サーマルヘッド14の通電(印刷手段による印刷)は印刷制御手段PRCで行なわれる。つまり、アドレス情報を用いつつも、回転と印刷とはそれぞれ独立して制御される。この結果、印刷の状態をフィードバックして回転制御を行なうということはできないが、簡便な制御で対応することができる。例えば、文字情報を中心に印刷層4に印刷するような場合においては、本態様の指令手段Sを用いればよい。本態様においては、高い印刷精度を維持しつつも、制御回路のコストダウンが可能となる利点がある。
このように、印刷装置100の用いられる用途(例えば、画像情報を中心に印刷するか、文字情報を中心に印刷するか)やコストによって、上記第1及び第2の具体的な態様をそれぞれ選択すればよい。
(アドレス情報を用いて印刷を行なう場合)
次に、アドレス情報を用いて光記録媒体の印刷を行なう場合の印刷装置の具体例について、図3(b)及び図5(c)を用いて説明する。このような印刷装置を用いることにより、印刷品質を保ちながら印刷装置のコストダウンが可能となる。
図3(b)においては、図3(a)と同一の部位には同一の符号を用いている。図3(a)と図3(b)との相違点は、図3(a)では光記録媒体Mから検出されるアドレス情報を基に指令手段Sによってスピンドルモータ16(回転手段)の制御を行なっていたのに対し、図3(b)では回転基準信号生成手段Xを用いてスピンドルモータ16(回転手段)を駆動させるのみであり、アドレス情報を用いた回転制御は行なわない点にある。以下、この相違点を中心に説明する。
図3(b)に示すように、スピンドルモータ16(回転手段)の駆動は、印刷装置内部の基準信号によって行なわれる。具体的には、回転基準信号生成手段Xで回転基準信号が生成され、この回転基準信号に従ってスピンドルモータ16(回転手段)が回転させられる。一方、アドレス情報は指令手段Sに入力される。指令手段Sにおいては、検出される位置情報より判断して、光記録媒体Mが印刷を行なうべき位置に達したと判断するたびに、サーマルヘッド14を起動するための信号をサーマルヘッド14に送る。上記信号により、光記録媒体Mの印刷層4(感熱発色層)の所定の位置に感熱方式の印刷が行なわれることになる。
本態様では、指令手段Sによる回転制御が行なわれない分、図3(a)の場合と比較して回転精度は劣る傾向となる。しかし、印刷の制御をアドレス信号で行なうため、印刷イメージの位置ずれは補正可能である。
次に、指令手段Sのより具体的な態様について説明する。
指令手段Sの具体的な態様としては、以下のものを挙げることができる。例えば、検出されたアドレス情報より光記録媒体の位置情報を検出し、この位置情報に同期して前記印刷層に印刷を行なうように、指令手段Sを構成すればよい。この態様(以下適宜「第3の具体的な態様」という。)に係る指令手段Sの構成について、図5(c)を用いて説明する。
図5(c)は、第3の具体的な態様に係る指令手段Sの構成を示す機能ブロック図である。図5(c)に示される通り、指令手段Sは、アドレス情報検出装置31(検出手段)より検出されたアドレス情報を位置情報に変換する位置情報検出手段Iと、この位置情報をもとにサーマルヘッド14(印刷手段)の制御を行なう印刷制御手段PRCとからなっている。なお、位置情報検出手段Iは図5(a)と同じものを用いればよい。また、位置情報検出手段Iは省略することもできる。同様に、印刷制御手段PRCは図5(b)と同じものを用いればよい。
位置情報検出手段Iにおいては、光記録媒体Mのアドレス情報を基に光記録媒体Mの角度を検出する。そして、検出された光記録媒体Mの角度は印刷制御手段PRCに出力される。印刷制御手段PRCには、検出された上記角度に同期して、記憶手段Kから入力される印刷用のデータを基にサーマルヘッド14への通電を開始する。サーマルヘッド14の通電により、感熱発色レベルの熱エネルギーが光記録媒体Mの印刷層4(感熱発色層)に印加される。これによって、印刷層4(感熱発色層)が発色し、外部ホストで作成した文字・画像等のデータが光記録媒体Mに印刷される。
本態様においては、高い印刷精度を維持しつつも、制御回路のコストダウンが顕著となる利点がある。
(その他)
以上説明した第1実施形態においては、モーター16によって光記録媒体Mを回転させ、バックアップローラー15を従動ローラーとして用いた。しかし、バックアップローラーを駆動ローラーとして使用しても良い。すなわち、バックアップローラーをモーターで駆動して、上述のモーター16の代わりに回転制御を行なっても良い。
(異なる印刷装置による画像の追加の印刷)
すでに印刷が行なわれた光記録媒体Mに対して追加の印刷を行なうに際して、前回の印刷を行なった印刷装置100とは異なる印刷装置100を用いる場合がある。この場合、図4に示すサーマルヘッド14と光ピックアップ10との位置関係が、印刷装置100ごとに微妙に異なることが考えられる。つまり、実際に量産される印刷装置100においては、装置ごとにサーマルヘッド14及び光ピックアップ10の取り付けの誤差が存在することになる。また、印刷装置100のメーカーや機種ごとにサーマルヘッド14と光ピックアップ10との位置関係が異なることも考えられる。従って、前回の印刷とは異なる印刷装置100で追加の印刷を行なう場合、上記取付誤差及びメーカーや機種の違いによる影響により、追加の印刷イメージ(以下、印刷イメージとは、光記録媒体Mの印刷層に印刷された、文字、画像等をいう)と前回の印刷イメージとの間のつなぎ目に隙間が生じたり、追加の印刷が前回の印刷イメージに重なってしまう場合が起こりうる。そこで、印刷装置100毎の取付誤差、印刷装置100のメーカーや機種の違いを考慮して、以下の事項を行なうことが好ましい。
まず、印刷装置100の出荷時において、サーマルヘッド14と光ピックアップ10との位置関係を測定しておき、これを印刷装置100のメモリ等の記憶手段(相対位置記憶手段;図3では不図示)又は、指令手段Sに登録しておくことが好ましい。
具体的には、出荷に先立ち、図4における、サーマルヘッド14のスピンドル中心Zからの距離T、並びに、光ピックアップ10の対物レンズとスピンドル中心Zとを結ぶ直線と、サーマルヘッド14とスピンドル中心Zとを結ぶ直線とがなす角度θを測定する。そして、この測定データを印刷装置100のメモリ又は、指令手段Sに記録しておく。
このようにすれば、追加の印刷時に上記測定データを読み出すことにより、印刷装置100が、サーマルヘッド14と光ピックアップ10との相対的な位置関係を正確に認識して追加の印刷を行なうことができる。
この点につき、図3(a)を用いて具体的に説明する。
印刷層4に印刷イメージを有する光記録媒体Mを印刷装置100に装着して、追加の印刷を行なうに先立ち、光記録媒体Mに記録されている画像の印刷用のデータ(特に、印刷内容に関するデータと印刷位置に関するデータ)を、光ピックアップ10を介して記録・読み出し手段32で読み出す。そして、この印刷用のデータを記憶手段Kに格納し、必要に応じて表示手段Hに印刷された画像を表示させる。これによって、追加の印刷を行なうべき印刷層4上の最初の位置を印刷装置100が認識することとなる。しかし、追加の印刷を行なうに際し、サーマルヘッド14及び光ピックアップ10の相対的な位置関係を指令手段Sに認識させておかないと、印刷ずれが起こる可能性がある。そこで、出荷の際に得られた上記測定データ(即ち、相対的な位置関係)を印刷装置100のメモリ、又は指令手段Sに格納しておき、追加の印刷の際に指令手段Sに上記測定データを認識させることにより、追加の印刷を行なうべき印刷層上の最初の位置への正確な追加の印刷が行ないやすくなる。
この方法は、印刷装置100への新たな機構等をほとんど追加する必要がないために、コストを抑えつつ、追加の印刷を良好に行ないやすいという利点がある。なお、前記のメモリの機能を記憶装置Kに備えさせてもよい。
(ラインイメージセンサを用いた追加の印刷の実施形態)
追加の印刷の際の印刷のずれを抑制する別の方法として、ラインイメージセンサを用いることも好ましい。
ラインイメージセンサとは、一般的には、フォトダイオードとCCDとの組を、複数組平面状に配置したイメージセンサである。1回の露光でフォトダイオードが光電変換した電荷を各画素に対応するCCD素子にいっせいに転送し、続いてCCDに転送パルスを与え電荷を順次読み出すことによって、像を光電変換し、電子データとして認識することができる。
そのような、電子データとして認識することができる例としては、印刷イメージや、後述する画素N等の文字及び/又は画像等が挙げられる。
ラインイメージセンサの導入により、出荷時における、サーマルヘッド14と光ピックアップ10との位置関係の精密な制御や測定を行なわなくてもよくなる利点が発揮されやすくなる。また、印刷の度ごとに印刷位置の調整を行なうこともできるため、追加の印刷を行なっても高画質な画像が維持しやすくなる。また、上記サーマルヘッド14と光ピックアップ10との位置関係の測定を出荷時に行なったとしても、経年変化や搬送時の印刷装置100に加えられる振動等により、上記サーマルヘッド14と光ピックアップ10との位置関係が出荷時からずれる場合も考えられる。このような場合においても、ラインイメージセンサを用いることにより、追加の印刷を良好に行ないやすくなる。以下に、ラインイメージセンサを用いた印刷装置100の一例について説明する。
図14は、ラインイメージセンサ52を用いた印刷装置の一部の模式的な斜視図である。なお、図14において他の図と同一の要素については同一の符号を用いている。同図に示す通り、ラインイメージセンサ52は、光記録媒体Mの印刷層4上の半径に沿った所定の位置に設置されている。ラインイメージセンサ52の採用によって、以下のことが可能になる。
まず、ラインイメージセンサ52とサーマルヘッド14とを併用して、印刷層に試し書き(試験的な印刷)を行なう。これにより、サーマルヘッド14とラインイメージセンサ52との相対的な位置関係を、印刷装置100に正確に認識させやすくなる。
この点について、図15を用いて具体的に説明する。図15(a),(b)は何れも、図14の印刷装置の一部を上方から見た平面図である。具体的には、図15(a)は、試し書き用の画素Nがサーマルヘッド14で印刷された状態を示している。そして、図15(b)は、光記録媒体Mが時計回りに角度θ1だけ動いて、上記印刷された画素Nがラインイメージセンサ52によって認識される状態を示している。なお、図15において、他の図面と同一の要素については同一の符号を用いている。以下、図15を用いて、印刷層への試し書きによる、サーマルヘッド14とラインイメージセンサ52との相対的な位置の検出について説明する。
まず、図15(a)に示すように、サーマルヘッド14の座標位置y1に画素Nの印刷を行なう。この時、光ピックアップ10においてアドレス1が検出されている。
次に、図15(b)に示すように、図15(a)の位置から時計回りにθ1だけ回転させて、ラインイメージセンサ52で印刷された画素Nを認識する。このとき、画素Nが認識されるラインイメージセンサ52上での座標がx1となったとする。また、このとき光ピックアップ10で認識されるアドレスがアドレス2だったとする。この結果、まずサーマルヘッド14の座標y1がラインイメージセンサ52の座標x1に対応することがわかる。これにより、ラインイメージセンサ52とサーマルヘッド14の半径方向の相対的な位置関係を印刷装置100が認識できるようになる。
また、アドレス1とアドレス2とから、光記録媒体Mの回転角度θ1を検出することができる。この結果、ラインイメージセンサ52とスピンドル中心Zとを結ぶ直線と、サーマルヘッド14とスピンドル中心Zとを結ぶ直線とがなす角(θ1)を、印刷装置100が認識することができる。
以上を経て、サーマルヘッド14とラインイメージセンサ52との相対的な位置関係を印刷装置100が認識することができるようになる。従って、上記印刷された画素Nの試し書きによる調整を追加の印刷前に行なうことにより、追加の印刷を行なうべき位置を正確に検出しやすくなる。また、印刷装置100の周囲の環境の変化(例えば、温度や湿度の変化、運送時の振動)により、サーマルヘッド14とラインイメージセンサ52との相対的な位置関係にずれが生じたとしても、上記印刷された画素Nの試し書きによる調整を定期的に行なえば、上記ずれを適宜補正することが可能となり、追加の印刷を良好に行ないやすくなる。
なお、印刷装置100が周囲の環境の変化等の影響を受けにくく、サーマルヘッド14とラインイメージセンサ52の取り付け位置が、出荷時と比べずれが生じにくい場合には、以下の手法により補正を行うことも可能である。
すなわち、出荷時にスピンドル中心Zからサーマルヘッド14までの距離Tを測定して、これを印刷装置100のメモリ(図3には不図示)又は指令手段Sに記憶させておけば、スピンドル中心Zからの座標は、“T+y1”となる。また、出荷時にスピンドル中心Zからラインイメージセンサ52までの距離Uを測定して、これを印刷装置100のメモリ(図3には不図示)又は指令手段Sに記憶させておけば、スピンドル中心Zからの座標は、“U+x1”となる。この場合、T+y1=U+x1となるので、y1=x1+U−Tとなり、y1とx1との関係をより精密に検出しやすくなる。
次に、ラインイメージセンサ52が、追加の印刷を開始する前に印刷層4上に印刷されている印刷イメージを認識する。これにより、追加の印刷を所望の位置に行なうことができるようになる。
具体的には、ラインイメージセンサ52を駆動させて印刷イメージの認識を可能にした状態で、光ピックアップ10を用いてアドレス情報を検出させながら、光記録媒体Mを1回転(必要に応じて複数回の回転であってもよい)させる。これにより印刷層4の印刷イメージ、及び該印刷イメージの印刷位置(すなわち、ラインイメージセンサ52における半径方向(前述の主走査方向に相当する)の座標、及び対応するアドレス情報)を認識することができる。
このとき、アドレス情報の検出は、ラインイメージセンサ52が作動している際に行なってもよいし、ラインイメージセンサ52に印刷イメージが到達した時点のアドレス情報のみを検出してもよい。
さらに、光記録媒体Mに記録された上記印刷イメージの印刷用のデータを、光ピックアップ10で読み出して印刷装置100に認識させる。印刷イメージの読み取りと印刷用のデータの認識は同時に行なってもよいし、どちらか片方を先に行なってもよい。
以上により、実際の印刷イメージがラインイメージセンサ52で認識されると、その時点における印刷イメージの位置(すなわち、ラインイメージセンサ52における半径方向の座標、及びアドレス情報)も認識される。さらに先に求めたサーマルヘッド14とラインイメージセンサ52との相対的な位置関係を用いることで、印刷用データのうち印刷位置に関するデータを、実際の印刷イメージの位置に合わせて適宜補正できるようになる。その結果、追加の印刷を行なう際の印刷位置を、印刷装置100がより精密に認識できるようになり、追加の印刷を良好に行なえるようになる。
また、アドレス情報の検出を、ラインイメージセンサ52に印刷イメージが到達した時点のみ検出している場合には、印刷の開始位置を印刷装置100に認識させることができ、追加の印刷を良好に行なうことができる。
なお、ラインイメージセンサ52の光記録媒体Mの半径方向の長さは、光記録媒体Mの印刷層全面を十分認識できる長さであることが好ましい。具体的には光記録媒体Mの半径の長さと同じ、またはそれ以上であることが好ましい。
(位置センサを用いた画像の追加の印刷)
追加の印刷の際の印刷のずれを抑制するさらに別の方法として、ラインイメージセンサの代わりに位置センサを用いることも考えられる。
位置センサとは、フォトダイオードとCCDの組を、複数組平面状に配置したイメージセンサである。1回の露光でフォトダイオードが光電変換した電荷を、各画素に対応するCCD素子にいっせいに転送し、続いてCCDに転送パルスを与え電荷を順次読み出すことによって、像を光電変換し、電子データとして認識することができる。ただし、ラインイメージセンサと異なり、位置センサは印刷層4の半径方向全幅を読み取れる必要はなく、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の読み取り幅にすることができる。
なお、電子データとして認識することができる例としては、印刷イメージや、後述する画素N、及び後述する印54等の文字及び/又は画像等が挙げられる。
以下に、位置センサを用いる場合について2つの実施の態様を例にとって説明する。図16,17,18は、第一の実施の態様における、位置センサ53を用いた印刷装置の一部の模式的な平面図である。図19,20は、第二の実施の態様における、位置センサ53を用いた印刷装置の一部の模式的な平面図である。なお、図16〜20においては他の図と同一の要素については同一の符号を用いている。
(位置センサを用いる第一の実施の態様)
本実施の態様においては、光記録媒体Mのセンターホール付近の透明な領域(例えば、記録層や反射層等が形成されておらずポリカーボネート基板のみの領域)に、半径方向に延在する線分を印54として設ける。本実施の態様においては、印54は一本の黒色の線分として表されているが、半径方向に延在する複数の線分として設けてもよい。なお、線分の長さは、図17(a)に示すように、位置センサ53で印54の線分の外側の端部が認識可能な様に、位置センサ53下に印54の一部が通過できる長さならば特に制限はないが、該透明な領域の幅(即ち、光記録媒体Mの半径方向における当該領域の長さ)と同じ長さであることが好ましい。また、複数の線分を設ける場合は、全ての線分の長さが等しいことが好ましい。さらに、前記複数の線分の外側の端部(スピンドル中心Zから遠い方の端部)は、スピンドル中心Zから等距離にあることが好ましい。ただし、前記複数の線分の外側の端部が、該透明な領域と記録層の境界上にあることが好ましい。
また、位置センサ53は、光記録媒体Mの印刷層4上の半径に沿った所定の位置に設置されている。具体的には、図16に示す通り、位置センサ53は、一部が光記録媒体Mの上記透明な領域上に位置するように、また他の一部は印刷層4上に位置するように、配置される。光記録媒体Mの透明な領域上に設けられた印54及び位置センサ53の採用によって、光記録媒体Mと位置センサ53との位置関係を検出することができる。また、位置センサ53の位置を介して、光ピックアップ10とサーマルヘッド14との相対的な位置関係を検出することができる。
このような検出方法は、(1)光記録媒体Mと位置センサ53との半径方向の位置関係を検出するステップ、(2)位置センサ53とスピンドル中心Zとを結ぶ直線と、光ピックアップ10とスピンドル中心Zとを結ぶ直線とがなす角を検出するステップ、(3)位置センサ53とサーマルヘッド14との半径方向の相対的な位置関係を検出するステップ、(4)位置センサ53とスピンドル中心Zとを結ぶ直線と、サーマルヘッド14とスピンドル中心Zとを結ぶ直線とがなす角を検出するステップの4ステップから成り立っている。これらのステップは、本発明の効果を著しく害さない限り、任意の順序で行なってよく、また並行して行なってもよい。ここでは、その一例として、上記の順序で実施した場合の具体例を図16、図17、及び図18を用いながら説明する。
最初に、光記録媒体Mと位置センサ53との半径方向の位置関係の検出ステップについて説明する。なお、図16及び図17(a),(b)は何れも、位置センサ53を用いた印刷装置100の一部の模式的な平面図である。
まず出荷に先立ち、図17(a)に示すように、光記録媒体Mを回転させて位置センサ53下に印54を移動させ、位置センサ53によって印54を認識する。このとき、印54の読み取られた部分の長さを印刷装置100のメモリ(図3には不図示)又は指令手段Sに記憶させておく。さらに、図16に示すように、スピンドル中心Zと位置センサ53との出荷時における距離Qを予め測定しておき、同様に印刷装置100のメモリ(図3には不図示)又は指令手段Sに記憶させておく。
そして、追加の印刷の際に、光記録媒体Mと位置センサ53との半径方向の位置関係の検出を行なう。具体的には、上記と同様の方法で位置センサ53に印54を認識させる。印54の読み取られた部分の長さを、予め測定された出荷時の値と比較することによって、位置センサ53が出荷時と比較して、半径方向にどの程度すれが生じているか印刷装置100に認識させることができる。さらに算出されたずれの値(正又は負の値)をQの値に加算することによって、位置センサ53とスピンドル中心Zとの現時点における距離(図示されていないが、これを「Q’」とする)を検出し、印刷装置100に認識させることができる。言い換えれば、印54の線分の外側の端部を基準として半径方向の位置が補正されることとなる。
次に、位置センサ53とスピンドル中心とを結ぶ直線と、光ピックアップ10とスピンドル中心Zとを結ぶ直線とがなす角の検出のステップについて、図17を用いて説明する。
まず、図17(a)は、光記録媒体Mを一定速度で回転させて位置センサ53下に印54を移動させた状態である。次に、この状態からさらに光記録媒体Mを回転させて、図17(b)に示すように、光ピックアップ10を印54が検出可能な半径位置まで移動させ、印54が形成されている面に光ピックアップ10から照射されるレーザー光の焦点を合わせ、印54が焦点に位置するようにさせる。本実施の態様においては、印54が黒色のため、レーザー光の焦点が印54上に存在するときは、光ピックアップ10で検出される反射光強度が最小となる。光記録媒体Mを回転させた状態で、光ピックアップ10で印54にレーザー光の焦点を合わせて印54を読み出すと、戻り(反射)光量が印54をレーザー光の焦点が通過するときに高、低、高の順で変化し、これを検出することにより光ピックアップ10で印54を検出することが可能となる。
上記操作により、図17(a)から図17(b)の間の時間を測定する。一方、光記録媒体Mの回転速度から光記録媒体Mが1回転に要する時間を算出できる。このため、上記操作によって得られた、印54が位置センサ53から光ピックアップ10まで移動するのに要する時間と、1回転に要する時間とから、位置センサ53とスピンドル中心Zとを結ぶ直線と、光ピックアップ10とスピンドル中心Zとを結ぶ直線とがなす角度(θ2)を算出することができる。この結果、θ2を印刷装置100が認識することができる。
なお、本実施の態様では、印54は黒色の線分を用いているが、印54は、位置センサ53及び光ピックアップ10で検出可能な印であればよく、その形状等は制限されない。例えば、印54として、溝、突起、印刷マーク、シボ加工された梨地模様を用いてもよい。また、反射層や記録層を除去して形成した印や、記録層に記録を行って印をつけて、これを印54としてもよい。さらに、印54が有色の印の場合、その色は黒には制限されないが、使用するレーザー光を吸収する色の方が好ましい。
次に、位置センサ53とサーマルヘッド14との半径方向の相対的な位置関係の検出のステップ、及び位置センサ53とスピンドル中心Zとを結ぶ直線と、サーマルヘッド14とスピンドル中心Zとを結ぶ直線とがなす角の検出のステップについて図18を用いて説明する。
図18(a),(b)は何れも、位置センサ53を用いた印刷装置の一部の模式的な平面図であり、位置センサ53とサーマルヘッド14との相対的な位置関係(半径方向及び角度)の検出操作を説明するための図である。以下に、図18を用いて、光ピックアップ10とサーマルヘッド14との相対的な位置(半径方向及び角度)の検出の操作について説明する。
図18(a)に示すように、サーマルヘッドの座標位置y2に画素Nの印刷を行なう。但し、画素Nの印刷は、位置センサ53の検出範囲内となるような半径位置において行なわれる。また、この時、光ピックアップ10においてアドレス3が検出されている。
そして、図18(b)に示すように、図18(a)の位置から時計回りにθ3だけ回転させて、位置センサ53で印刷された画素Nを認識する。このとき、画素Nが認識される位置センサ53上での座標がx2であったとする。また、このとき光ピックアップ10で検出されるアドレスがアドレス4だったとする。
この結果、まずサーマルヘッド14の座標y2が位置センサ53の座標x2に対応することがわかる。これにより、位置センサ53とサーマルヘッド14との半径方向の相対的な位置関係を印刷装置100が認識できるようになる。
なお、上述のように、スピンドル中心Zからの位置センサ53の距離Q’があらかじめ算出されている。そこで、以上の操作を経て得られたy2、及びx2を用いれば、位置センサ53を介して、サーマルヘッド14のスピンドル中心Zからの距離も算出されることになる。
すなわち、サーマルヘッド14の光記録媒体Mに対する位置を印刷装置100が認識できることとなり、半径方向に関して、印刷用のデータで指定された位置に印刷を行なうよう制御することができる。
また、アドレス3とアドレス4とから、光記録媒体Mの回転角度θ3を検出することができる。この結果、位置センサ53とスピンドル中心Zとを結ぶ直線と、サーマルヘッド14とスピンドル中心Zとを結ぶ直線とがなす角(θ3)を、印刷装置100が認識することができる。
以上の操作を経て得られた、θ2、及びθ3を用いれば、位置センサ53を介して、光ピックアップ10とサーマルヘッド14との相対的な位置を印刷装置100が認識できることとなる。
そのため、上記半径方向の印刷の位置の制御と合わせて、光ピックアップ10で検出したアドレス情報を基準とすれば、印刷用のデータで指定された所望の位置に印刷を行なうことができる。
光記録媒体Mに印刷用のデータが記録されているので、光ピックアップ10を介して上記情報を印刷装置100に読み出せば、追加の印刷を最初に行なうべき位置を印刷装置100が認識できる。
そして、上記Q’、y2、x2、θ2、θ3の各情報から、光ピックアップ10とサーマルヘッド14との円周方向における相対的な位置関係、およびサーマルヘッド14のスピンドル中心Zからの距離をより正確に検出できる。
この結果、追加の印刷を最初に行なうべき位置が実際にサーマルヘッド14のどの位置に該当するかをより正確に把握することができ、追加の印刷を行なうべき位置により精度の高い印刷ができるようになる。
特に、印刷装置100の周囲の環境の変化(例えば、温度や湿度の変化、運送時の振動)により、サーマルヘッド14、位置センサ53、及び光ピックアップ10の相対的な位置関係にずれが生じたとしても、上記操作を定期的に行なえば、上記ずれを適宜補正することが可能となり、追加の印刷を良好に行ないやすくなる。
(位置センサを用いる第二の実施の態様)
本実施の態様においては、位置センサ53は、光ピックアップ10と同じ角度位置(前述の副走査方向に相当する)に設置されている。具体的には、図19に示す通り、位置センサ53は、一部が光記録媒体Mの外径よりも外側に位置するように、また他の一部は印刷層上に位置するように、配置される。位置センサ53の角度位置と光ピックアップ10の角度位置とを同一とすることで、光記録媒体Mと位置センサ53の位置関係、及び位置センサ53の位置を介して、光ピックアップ10とサーマルヘッド14との相対的な位置関係を検出することができる。
このような検出方法は、(1)光ピックアップ10を介した、光記録媒体Mと位置センサ53との位置関係を検出するステップ、(2)位置センサ53とサーマルヘッド14との半径方向の相対的な位置関係を検出するステップ、(3)位置センサ53とスピンドル中心Zとを結ぶ直線と、サーマルヘッド14とスピンドル中心Zとを結ぶ直線とがなす角を検出するステップから成り立っている。これらのステップは、本発明の効果を著しく損なわない限り、任意の順序で行なってよく、また並行して行なってもよい。ここでは、その一例として、上記の順序で実施した場合の具体例を図19、及び図20を用いながら説明する。
まず、光ピックアップ10を介した、光記録媒体Mと位置センサ53との位置関係の検出のステップについて説明する。図19、及び図20(a),(b),(c)は何れも、位置センサ53を用いた印刷装置の一部の模式的な平面図である。まず出荷に先立ち、図20(a)に示すように、光ピックアップ10が移動しながら、光記録媒体Mの予め定められたアドレス(ここでは、仮にアドレスWとする)を検出し、その検出した位置から予め定められた所定の距離(ただし、位置センサ53に直接レーザー光を照射できる範囲)だけ光ピックアップ10を外側に移動し、光ピックアップ10から位置センサ53に対してレーザー光を照射させる。このとき、照射されたレーザー光の焦点の位置センサ53上での位置を印刷装置100のメモリ(図3には不図示)又は指令手段Sに記憶させておく。さらに、図19に示すように、スピンドル中心Zと位置センサ53との出荷時における距離Rを予め測定しておき、同様に印刷装置100のメモリ(図3には不図示)又は指令手段Sに記憶させておく。
そして、追加の印刷の際に、光ピックアップ10を介した、光記録媒体Mと位置センサ53との位置関係の検出を行なう。具体的には、光ピックアップ10がアドレスWを検出し、検出した位置から、出荷時の測定と同様の所定の距離だけ外側に移動して、位置センサ53にレーザー光を照射する。レーザー光が照射された位置センサ53上での位置を、予め測定された出荷時の位置センサ上の位置と比較することによって、位置センサが出荷時の位置センサと比較して、半径方向及び円周方向にどの程度ずれを生じているか印刷装置100に認識させることができる。さらに算出されたずれの値(正又は負の値)をRの値に加算することによって、位置センサ53とスピンドル中心Zとの現時点における距離(図示されていないが、これを「R’」とする)を検出し、印刷装置100に認識させることができる。
次に、位置センサ53とサーマルヘッド14との半径方向の相対的な位置関係の検出ステップ、及び位置センサ53とスピンドル中心Zとを結ぶ直線と、サーマルヘッド14とスピンドル中心Zとを結ぶ直線とがなす角の検出ステップについて、図20を用いて説明する。
図20(b)に示すように、サーマルヘッド14の座標位置y3に画素Nの印刷を行なう。但し、画素Nの印刷は、位置センサ53が認識できる範囲内となるような半径位置に行なわれる。そして、この時、光ピックアップ10においてアドレス5が検出されている。そして、図20(c)に示すように、図20(b)の位置から時計回りにθ4だけ回転させて、位置センサ53で印刷された画素Nを認識する。このとき、画素Nが認識される位置センサ53上での座標がx3であったとする。また、このとき光ピックアップ10で検出されるアドレスがアドレス6だったとする。
この結果、まずサーマルヘッド14の座標y3が位置センサ53の座標x3に対応することがわかる。これにより、位置センサ53とサーマルヘッド14の半径方向の相対的な位置関係を印刷装置100が認識できるようになる。
なお、スピンドル中心Zからの位置センサ53の距離R’が算出されている。そこで、以上の操作を経て得られたy3、及びx3を用いれば、サーマルヘッド14のスピンドル中心Zからの距離も算出されることになる。
すなわち、サーマルヘッド14の光記録媒体Mに対する位置を印刷装置100が認識できることとなり、半径方向に関して、印刷用のデータで指定された所望の位置に印刷を行なうよう制御することができる。
また、アドレス5とアドレス6とから、光記録媒体Mの回転角度θ4を検出することができる。この結果、位置センサ53とスピンドル中心Zとを結ぶ直線と、サーマルヘッド14とスピンドル中心Zとを結ぶ直線とがなす角(θ4)を、印刷装置100が認識することができる。
なお、位置センサ53は、出荷時と比較して円周方向のずれも算出されている。アドレス6検出時に該ずれを加味することで、より正確にθ4を、印刷装置100が認識することができる。
以上の操作を経て得られた、R’、y3、x3、及びθ4の各情報を利用すれば、位置センサ53を基準として、光ピックアップ10及びサーマルヘッド14の相対的な位置関係、及びサーマルヘッド14のスピンドル中心Zからの距離を印刷装置100が認識できることとなる。
そのため、上記半径方向の印刷位置の制御と合わせて、光ピックアップ10で認識したアドレス情報を基準とすれば、印刷用のデータで指定された所望の位置に印刷を行なうことができる。
光記録媒体Mに印刷用のデータが記録されているので、光ピックアップ10を介して上記情報を印刷装置100に読み出せば、追加の印刷を最初に行なうべき位置を印刷装置100が認識できる。
そして、R’、y3、x3、及びθ4の各情報から、光ピックアップ10とサーマルヘッド14との円周方向に対する相対的な位置関係、及びサーマルヘッド14のスピンドル中心Zからの距離をより正確に検出できる。
この結果、追加の印刷を最初に行なうべき位置が実際にサーマルヘッド14のどの位置に該当するかをより正確に把握することができ、追加の印刷を行なうべき位置により精度の高い印刷ができるようになる。
特に、印刷装置100の周囲の環境の変化(例えば、温度や湿度の変化、運送時の振動)により、サーマルヘッド14、位置センサ53、及び光ピックアップ10の相対的な位置関係にずれが生じたとしても、上記操作を定期的に行なえば、上記ずれを適宜補正することが可能となり、追加の印刷を良好に行ないやすくなる。
上記図15で説明したラインイメージセンサ52を用いる場合と、図16〜20で説明した位置センサ53を用いる場合と、を以下に比較する。
ラインイメージセンサ52を用いる場合は、ラインイメージセンサ52が光記録媒体Mの半径全体を認識することができるので、試し書きを行なう画素Nの半径位置の制限がない。一方で、位置センサ53を用いる場合は、位置センサ53が認識可能な範囲内に試し書き用の画素Nを印刷することになる。また、ラインイメージセンサ52は、光記録媒体Mの印刷イメージの全面を認識することができるので、光記録媒体Mに印刷用のデータが記録されていなくても、追加の印刷を良好に行なうことができる。さらに、一般的に、ラインイメージセンサ52は位置センサ53よりも高価なので、位置センサ53を採用することにより印刷装置100のコストダウンを図ることができる。さらには、位置センサ53を用いる場合においても、光ピックアップ10の取付位置と位置センサ53の取付位置との円周方向の位置関係を合わせておけば(第二の実施の態様)、各要素の相対的な位置を検出する際の手順を簡略化しやすくなる。
(1−2)第2実施形態:
上記第1実施形態においては、円錐形のバックアップローラー15を使用する例を示したが、互いに独立回転する複数の個別ローラー33aで構成することも可能である。以下にこのような例を示す。
図6は、第2実施形態の印刷装置の要部の構成を示す模式断面図である。なお、図6は、図3において点線部で表した部分(印刷装置の一部101)に相当する部分のみを示している。印刷装置の一部101以外の部分については、図6では図示を省略しているが、図3と同様とすればよい。また、図6においては、図3と同一の構成要素については、同一の符号を用いている。
以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
光記録媒体Mは、回転台19の上に載置され、装置カバーに取り付けられたクランプ30によって上方から保持される。回転台19の中央には光記録媒体Mのセンターホールとほぼ同じ外径を有する係合突起が設けられ、光記録媒体Mのセンタリングを行なう。
サーマルヘッド14は光記録媒体Mの半径方向に沿って配置され、装置カバーに取り付けられたばね14aによって光記録媒体Mに向かって押圧力Ftで押圧される。
バックアップローラー33は、押圧力Ftに対抗するように光記録媒体Mの半径方向に沿って配置され、互いに独立回転する複数の個別ローラー33aで構成される。各個別ローラー33aは、光記録媒体Mの接触半径によって変化する線速度に応じて互いに独立して回転するため、内外線速度差に起因した滑りが生じなくなり、光記録媒体Mの回転面を安定に支持している。そして、各個別ローラー33aは軸33bに軸支持され、光記録媒体Mの回転に応じて従動回転する。
こうしてサーマルヘッド14が押圧する記録領域全体に対向するように多数の個別ローラー33aを配置しているため、光記録媒体Mに加わるヘッド押圧力が均一化され、記録濃度むらの少ない高品質の画像を印刷できる。また、光記録媒体Mの情報記録再生面3を保護するとともに振動や回転ムラを吸収するため、個別ローラー33aは弾性かつ硬度の低い材料、たとえばゴム等で形成するのが好ましい。
上記の第2実施形態は、従動ローラーを使用して光記録媒体Mの駆動機構を別に設けた構成である。この構成に加えて、光記録媒体Mの回転面をより安定的に支持するために、更に以下のような狭持ローラー対を用いてもよい。以下にこのような変形例を示す。
図7(a),(b)は何れも、第2実施形態の変形例に係る印刷装置の要部の構成を示す模式図である。具体的に、図7(a)は、印刷装置の一部の上方投影図であり、図7(b)は、印刷装置の一部の断面図である。なお、図7(a),(b)は、図3において点線部で表した部分(印刷装置の一部101)に相当する部分のみを示している。印刷装置の一部101以外の部分については、図7(a),(b)では図示を省略しているが、図3と同様とすればよい。また、図7(a),(b)においては、図3と同一の構成要素については、同一の符号を用いている。
以下、第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図7(a),(b)に示されるように、本変形例においては、狭持ローラー対(50a,51a),(50b,51b),(50c,51c)を設ける。具体的には、上部ローラー50a、50b、50cを、光記録媒体Mの印刷層4上に接して、ほぼ120゜の間隔で3カ所設ける。そして、光記録媒体Mを挟んで、それぞれの上部ローラー50a,50b,50cの反対側に、下部ローラー51a,51b,51cをそれぞれ設ける。このような狭持ローラー対(50a,51a),(50b,51b),(50c,51c)を設けることにより、光記録媒体Mの回転をより安定的に行ないやすくなる。
なお、このような狭持ローラー対を、第1実施形態の構成に追加して設けることも可能である。
(2)光記録媒体を光カードとする場合の印刷装置の一例(以下、この項において「光記録媒体」とは光カードを指す。):
光記録媒体Pにおいては、上記説明したように、通常、記録再生機能層24が平行に形成された記録トラック20を複数有するので、印刷装置における駆動手段は、光記録媒体Pを記録トラック20に平行又は垂直に移動させる移動手段として構成される。また、光記録媒体Pにおいては、通常、記録トラック20に沿ってアドレス情報が記録されている。このため、印刷層25へ印刷を行なう場合には、上記アドレス情報を利用すると、高精度、高画質の印刷が行ないやすい。このような印刷装置の具体例について更に説明する。
(2−1)第3実施形態:
第3実施形態に係る光記録媒体に対する印刷装置(以下「第3実施形態の印刷装置」という場合がある。)について、図10〜12を用いて説明する。図10(a),(b)は何れも、第3実施形態の印刷装置の構成を示す機能ブロック図である。具体的に、図10(a)は、アドレス情報を用いて、光記録媒体の移動制御と印刷とを同時に行なう場合の印刷装置の構成の例を示しており、図10(b)は、アドレス情報を用いて印刷を行なう場合の印刷装置の構成の例を示している。なお、図10(a),(b)ともに、印刷装置の一部の要素についてはその部分断面を模式的に示している。
図11は、図10(a),(b)の印刷装置の一部(符号1010で示す部分)の模式的な斜視図である。
図12(a)〜(c)は何れも、図10(a),(b)の印刷装置における指令手段の構成の例を示す機能ブロック図である。図12(a),(b)は各々、図10(a)の印刷装置における指令手段の構成の例を示しており、図12(c)は、図10(b)の印刷装置における指令手段の構成の例を示している。
(アドレス情報を用いて光記録媒体の位置制御と印刷とを同時に行なう場合)
まず、アドレス情報を用いて光記録媒体の位置制御と印刷とを同時に行なう場合の印刷装置の具体例について、図10(a)、図11、及び図12(a),(b)を用いて説明する。なお、光記録媒体Pにおける位置制御は、実際は光記録媒体Pの移動制御となる。
図10(a)に示すように、印刷装置1000は、搬送ローラー29、及びトレイ27から構成される移動手段と、光ピックアップ11、対物レンズ120、及びアドレス情報検出装置310から構成される検出手段と、サーマルヘッド140及びバックアップローラー150から構成される印刷手段と、アドレス情報検出装置310から出力されるアドレス情報及び記憶手段K’から出力される印刷用のデータの入力を受けて移動手段及び印刷手段に指令を出すための指令手段S’と、印刷用のデータを記憶するための記憶手段K’と、光ピックアップ11及び対物レンズ120を介して印刷用のデータを光記録媒体Pに記録したり光記録媒体Pから読み出したりするための記録・読み出し手段320と、印刷された光記録媒体Pのイメージ図を表示するための表示手段H’とを有する。また、図11には、図10(a)の点線で囲まれた印刷装置の一部1010の模式的な斜視図が示されている。図11では、トレイ27の右側が一部省略されている。
光記録媒体Pの詳細は図10(a)、図11では省略しているが、光記録媒体Pは、レーザー光による記録又は再生が可能な記録再生機能層と、レーザー光が入射する情報記録再生面と、記録再生機能層を挟んで情報記録再生面と反対側に存在する印刷層とを有する。そして、記録再生機能層が平行に形成された記録トラックを複数有し、記録トラックに沿ってアドレス情報が記録されている。また、図10(a)、図11では、光記録媒体Pの印刷層は、感熱方式で印刷を行なうために、感熱発色層としている。このような光記録媒体Pの詳細については既に図8及び図9を用いて説明した通りであるので、説明は省略する。
光記録媒体Pは、トレイ27上に保持される。トレイ27の上下面には一対の搬送ローラー29が圧接されており、搬送ローラー29が駆動することにより、トレイ27が左右に移動するようになっている。
光記録媒体Pの印刷層(感熱発色層)表面には、サーマルヘッド140が接して設けられている。サーマルヘッド140は、光記録媒体Pの幅方向(光記録媒体Pの幅方向とは、光記録媒体Pの長辺に対して垂直な方向をいう。以下同様である。)に延びるライン式のサーマルヘッドである。サーマルヘッド140は、光記録媒体Pの幅方向に沿って配置され、装置カバーに取り付けられたばね140aによって光記録媒体Pに向かって押圧力Ftで押圧される。ここで、サーマルヘッド140は、光記録媒体Pの幅とほぼ同一の長さを有するようになっており、印刷層25の幅方向の印刷を一度にできるように構成されている。なお、サーマルヘッド140を、光記録媒体Pの記録トラックと垂直方向(光記録媒体Pの幅方向)に沿って走査可能なシリアルヘッドで構成してもよい。
また、サーマルヘッド140は、薄膜サーマルヘッド、レーザー式サーマルヘッド、及びLED式サーマルヘッド等を用いることができる。中でも、レーザー式サーマルヘッド、及びLED式サーマルヘッドが好ましい。光記録媒体Mと非接触で印刷可能であり、発塵やヘッド汚れがなく、感熱ヘッドのクリーニングが不要になる等、メンテナンスが容易になるためである。さらに、非接触で印刷可能なため、凹凸のある表面にも印刷可能である利点を有する。
光記録媒体Pを挟んでサーマルヘッド140の反対側には、バックアップローラー150が光記録媒体Pの情報記録再生面26に接して設けられている。バックアップローラー150は、サーマルヘッド140による表面からの押圧力Ftに対抗し、光記録媒体Pを裏面から支持するローラーであり、光記録媒体Pの移動に伴って回転するようになっている。サーマルヘッド140が押圧する記録領域全体に対向するようにバックアップローラー150を配置しているため、ヘッド押圧力が均一化され、記録濃度むらの少ない高品質の画像を印刷できる。
なお、バックアップローラー150は、その表面が、弾性かつ硬度の低い材料(例えばゴム)で形成されている。このような材料をバックアップローラー150に用いることにより、光記録媒体Pの情報記録再生面26を保護しやすくなるとともに振動や回転ムラを吸収しやすくなる。
光記録媒体Pに記録されたアドレス情報は、以下のようにして検出される。つまり、移動手段(搬送ローラー29、トレイ27)によって、光記録媒体Pを図10(a)における横方向に移動させる。同時に、光ピックアップ11及び対物レンズ120より集光ビーム130を情報記録再生面26側から光記録媒体Pの記録トラック(図10(a)、11では不図示)に照射する。そして集光ビーム130の反射光を検出することによって得られる信号を、アドレス情報検出装置310によりアドレス情報として検出する。なお、必要に応じて、光ピックアップ11及び対物レンズ120は、光記録媒体Pの幅方向に移動可能になっている(図11参照)。また、対物レンズ120自体も、数10μm程度の範囲で光記録媒体Pの幅方向に移動可能になっている。つまり、光記録媒体P上の幅方向の大きな移動は、光ピックアップ11を移動させることによって行なう。一方で、隣接する記録トラック間等の微少な移動は、対物レンズ120を光記録媒体Pの幅方向に動かすことによって行なうようになっている。なお、図10(a)及び図11においては、説明の便宜上、光ピックアップ11及び対物レンズ120を光記録媒体Pの幅方向に移動させる移動装置については、その図示を省略している。また、光記録媒体Pのアドレス情報の検出は、通常の光ディスクの再生装置と同様な再生システムを用いて行なえばよい。
以下に、印刷装置1000を用いた印刷方法について説明する。
印刷装置1000は、光記録媒体Pの幅方向を主走査方向とし、光記録媒体Pの長辺方向を副走査方向としている。そして、印刷装置1000は、光記録媒体Pの幅方向に配列する画素領域に対して、選択的に熱を供給して発色させて印刷を行なうようになっている。
印刷の開始に伴い、搬送ローラー29を駆動するモーター(図10(a)では不図示)に通電を開始して光記録媒体Pの移動を開始する。なお、光記録媒体Pの移動は、図10(a)における左右への往復移動となる。次に、光ピックアップ11を光記録媒体Pの幅方向に移動させて、アドレス情報を検出するための所定の記録トラックの近傍に移動させる。そして、光ピックアップ11から対物レンズ120を介して集光ビーム130を情報記録再生面26(記録トラック)に集光する。更に、集光ビーム130の反射光を検出することによって得られる信号を、アドレス情報検出装置310によりアドレス情報として検出する。検出されたアドレス情報は、指令手段S’に入力される。同時に、外部ホストで作成された印刷用のデータがI/F及びCPUなどを介して、記憶手段K’から、指令手段S’に入力される。なお、アドレス情報検出装置310には、例えば、光ディスクドライブで従来から用いられている、アドレス情報の読み出し方法をそのまま用いればよい。
指令手段S’では、入力されるアドレス情報より光記録媒体Pの位置制御を行なう。具体的には、搬送ローラー29のモーターへの駆動制御を行なう。同時に、指令手段S’では、入力されるアドレス情報と、印刷用のデータとから判断して、光記録媒体Pが印刷を行なうべき位置に達したと判断するたびに、サーマルヘッド140を起動するための信号をサーマルヘッド140に送る。上記信号により、光記録媒体Pの印刷層25(感熱発色層)の所定の位置に感熱方式の印刷が行なわれることになる。
そして、印刷を行ないながら、記録手段(記録手段は、記録・読み出し手段320、光ピックアップ11、及び対物レンズ120で構成される。)を用いて光記録媒体Pに印刷用のデータを記録する。具体的には、記憶手段K’から、記録・読み出し手段320、光ピックアップ11、及び対物レンズ120を介して、光記録媒体Pに印刷用のデータを記録する。このようにすることにより、光記録媒体Pに印刷を追加する際に、前回の印刷用のデータを記録・読み出し手段320を介して記憶手段K’に読み出して処理することができる。この結果、今回の追記する情報に関する文字・画像等のデータの印刷を、前回記録した情報に関する文字・画像等のデータの印刷位置に続けて印刷することが可能となる。特に、光記録媒体Pに記録される印刷用のデータが、印刷内容及び印刷位置に関するデータであると、上記の追加の印刷が良好に行ないやすくなる。
本実施形態においては、印刷を行ないながら、印刷用のデータの光記録媒体Pへの記録を行なっている。なお、本実施形態において印刷用のデータの記録を印刷と同時に行なう場合には、アドレス情報を検出しながら印刷用のデータを記録することとなる。このような方法を用いることにより、印刷・記録時間を短縮することが可能となる利点が発揮される。また、印刷と印刷用のデータの記録とを同時に行なえば、印刷と記録との間に、印刷装置に光記録媒体Pの出し入れを行なわなくてもよくなる。この結果、印刷と印刷用のデータの記録とを、確実に同一の光記録媒体に行なうことができるようになる。無論、印刷用のデータの光記録媒体Pへの記録は、印刷の前又は印刷の後に行なってもよい。
印刷用のデータとしては、特に制限はないが、通常は、印刷内容に関するデータと、印刷位置に関するデータとが挙げられる。印刷内容に関するデータとしては、一般的には、光記録媒体Pに記録される情報に関連した文字・画像等のデータを挙げることができる。例えば、音楽情報が光記録媒体Pに記録されている場合には、印刷内容に関するデータとしては、曲名、演奏時間、及び演奏者等の情報を挙げることができる。また、例えば、ビデオ情報が光記録媒体Pに記録されている場合には、印刷内容に関するデータとしては、タイトル、上映時間、監督、主演者等の情報を挙げることができる。一方、印刷位置に関するデータとしては、例えば、印刷層25(感熱発色層)上の印刷箇所に関する情報等が挙げられる。
ここで、印刷された光記録媒体Pのイメージを視覚的に認識することを可能とするために、印刷される光記録媒体Pのイメージ図を表示するための表示手段H’を記憶手段K’に接続し、印刷用のデータを取り込んで、これを表示手段H’のモニターに表示させる。更に、表示手段H’にはキーボードやマウス、カーソルを動かすためのポインティングデバイスや押しボタン等の入力デバイスが接続されており、この入力デバイスを用いて印刷用のデータを編集することが可能となっている。このような表示手段H’を用いることにより、印刷用のデータの編集をモニター上で行なうことができるため、ユーザーにとって使い勝手がよい。ここで、使い勝手を更によくするために、表示手段H’には、光記録媒体Pへの印刷内容を編集するための所定のソフトウェアが内蔵されている。なお、記憶手段K、表示手段Hやそれに接続される入力デバイスは、印刷装置10Dと一体化されていても良い。
以上の手順により、印刷及び印刷用のデータの記録が行なわれた光記録媒体を得ることができる。
また、本実施態様において、記録手段(上記光ピックアップ11、対物レンズ120、及び記録・読み出し手段320から構成される)は、光記録媒体Pに記録した印刷用のデータを読み出すための読み出し機能を更に有している。このような機能を付加することにより、以下に説明する印刷の追加が行ないやすくなる。
印刷の追加(Additional Printing)を行なう場合には、以下の方法で行なうことが好ましい。つまり、光記録媒体Pに記録された印刷用のデータを読み出し、光記録媒体Pに印刷されている文字及び/又は画像、並びに前記印刷層に対する印刷位置を確認した後に、追加の印刷を行なうという方法である。具体的には、対物レンズ120を介して光記録媒体Pに集光ビーム130を照射して得られる光記録媒体Pからの反射光より、印刷用のデータを読み出す。そして、読み出された印刷用のデータを、記憶手段K’を介して表示手段H’に表示する。これにより、画面上で現在の印刷状況を把握することができる。そして、表示手段H’に内蔵された、印刷内容の編集ソフトウェアを用いて、表示手段H’の画面上で追加の印刷部分の編集を行なう。その後、追加部分に相当する印刷用のデータが記憶手段K’に出力され、この印刷用データを用いて、上述した方法と同様にして追加の印刷を行なう。この際に、追加印刷の印刷用データも光記録媒体Pに記録すれば、更にその後の追加印刷を良好に行ないやすくなる。
なお、表示手段H’を用いた編集の代わりに、追加の印刷用のデータをハードディスク等の外部の記憶装置(図10(a)及び図11では図示していない。)から読み出してもよい。そして、上記の追加の印刷用のデータを記憶手段K’に格納して、追加の印刷を行なえばよい。その際に、ユーザーにとって追加の印刷を行なう部分が認識できるように、追加の印刷の内容を表示手段H’に表示させてもよい。
次に、指令手段S’のより具体的な態様について説明する。
指令手段S’の具体的な態様としては、以下のものを挙げることができる。例えば、検出されたアドレス情報より光記録媒体Pの位置情報を検出し、この位置情報を用いて光記録媒体Pの位置制御(移動制御)を行なうとともに、位置情報に同期して前記印刷層に印刷を行なうように、指令手段S’を構成すればよい。この態様(以下適宜「第1の具体的な態様」という。)に係る指令手段S’の構成について、図12(a)を用いて説明する。
図12(a)は、第1の具体的な態様に係る指令手段S’の構成を示す機能ブロック図である。図12(a)に示される通り、指令手段S’は、アドレス情報検出装置310(検出手段)より検出されたアドレス情報を位置情報に変換する位置情報検出手段I’と、この位置情報を基に、搬送ローラー29(移動手段)の制御及びサーマルヘッド140(印刷手段)の制御を行なう制御手段C’とからなっている。
位置情報検出手段I’においては、光記録媒体Pのアドレス情報をもとに光記録媒体Pの位置を検出する。そして、検出された光記録媒体Pの位置は制御手段C’に出力される。制御手段C’には、検出された上記位置に同期して、記憶手段K’から入力される印刷用のデータを基にサーマルヘッド140への通電を開始する。サーマルヘッド140の通電により、感熱発色レベルの熱エネルギーが光記録媒体Pの印刷層25(感熱発色層)に印加される。これによって、印刷層25(感熱発色層)が発色し、外部ホストで作成した文字・画像等のデータが光記録媒体Pに印刷される。そして、上記サーマルヘッド140への通電と同時に、検出された上記位置を用いて印刷の位置ずれを更に低減するように、印刷が行なわれる間の搬送ローラー29の回転速度を制御する。搬送ローラー29の回転が制御されることにより、トレイ27の位置制御、ひいては光記録媒体Pの位置制御が行なわれることとなる。
指令手段S’の別の具体的な態様としては、検出されたアドレス情報を用いて光記録媒体Pの位置制御(移動制御)を行ない、この位置制御(移動制御)と並列に、検出された前記アドレス情報に同期して印刷層25に印刷を行なうように、指令手段S’を構成すればよい。この態様(以下適宜「第2の具体的な態様」という。)に係る指令手段S’の構成について、図12(b)を用いて説明する。
図12(b)は、第2の具体的な態様に係る指令手段S’の構成を示す模式図である。図12(b)に示される通り、指令手段S’は、アドレス情報検出装置310(検出手段)より検出されたアドレス情報を用いて搬送ローラー29(移動手段)を制御する駆動制御手段(以下、移動制御手段という場合がある。)TCと、アドレス情報検出装置310(検出手段)より検出されたアドレス情報を用いてサーマルヘッド140(印刷手段)の制御を行なう印刷制御手段PRC’とからなる。
まず、移動制御手段TCにおいては、光記録媒体Pのアドレス情報をもとに搬送ローラー29の(移動手段)の位置制御を行なう。具体的には、搬送ローラー29の回転が制御されることにより、トレイ27の位置制御、ひいては光記録媒体Pの位置制御が行なわれることとなる。なお、上記説明においては、アドレス情報を直接用いて搬送ローラー29の回転制御を行なっているが、アドレス情報を光記録媒体Pの位置情報に変換した後に、この位置情報を用いて搬送ローラー29の回転制御を行なってもよい。
一方、印刷制御手段PRC’においては、光記録媒体Pの印刷層上の所定位置に印刷を行なうべく、入力される光記録媒体Pのアドレス情報に同期して、記憶手段K’から入力される印刷用のデータを基にサーマルヘッド140への通電を開始する。サーマルヘッド140の通電により、感熱発色レベルの熱エネルギーが光記録媒体Pの印刷層25(感熱発色層)に印加される。これによって、印刷層25(感熱発色層)が発色し、光記録媒体Pに外部ホストで作成した文字・画像等のデータが印刷される。当然ながら、アドレス情報を光記録媒体Pの位置情報(角度情報)に変換した後に、この位置情報を用いてサーマルヘッド140への通電を行なってもよい。
このように、指令手段S’の第2の具体的な態様(図12(b)参照)においては、移動手段と印刷手段との制御がそれぞれ並列に行なわれる。
上記指令手段S’の第1及び第2の具体的な態様(図12(a),(b)参照)における共通点は、以下の通りである。つまり、何れの態様においても、搬送ローラー29(移動手段)による位置情報ではなく、光記録媒体Pに記録されているアドレス情報を基に、光記録媒体P上の位置情報を得ることができる。このようにすることにより、光記録媒体Pを取り外して再度トレイ27に装着した場合に、光記録媒体Pとサーマルヘッド140との間にずれが生じた場合においても、光記録媒体Pに記録されているアドレス情報を基に、位置のずれが無い状態で印刷を継続できる。すなわち、追加の画像の印刷を行なう際にも、前に印刷した画像とずれの無い画像を追加印刷することが可能となる。
上記指令手段S’の第1及び第2の具体的な態様のもう一つの共通点は、光記録媒体Pに記録されているアドレス情報を光ピックアップ11及びアドレス情報検出装置310で再生し、検出信号を搬送ローラー29(移動手段)のフィードバック信号として利用する点にある。これによって、光記録媒体Pの移動量や移動速度を光記録媒体Pに記録されているデータと同様に非常に精度良く制御できるようになる。
一方、上記指令手段S’の第1及び第2の具体的な態様(図12(a),(b)参照)の相違点としては、以下のものを挙げることができる。
第1の具体的な態様(図12(a)参照)においては、搬送ローラー29(移動手段)の移動制御とサーマルヘッド140の通電(印刷手段による印刷)とを、制御手段C’で同時に制御している。つまり、光記録媒体Pの位置情報から印刷位置をモニターして印刷をしながら、更に印刷ずれを低減するために、搬送ローラー29(移動手段)の移動速度を制御することができる。この結果、第1の具体的な態様(図12(a)参照)においては、印刷する画像の画質をより高画質にしやすい。また、追加の画像の印刷を行なう場合にも、前に印刷した画像とのずれをより抑制しやすくなる。但し、第1の具体的な態様は、印刷の状態をフィードバックして回転制御を行なうことが可能となる分、複雑な制御が必要となる傾向にある。
これに対して、第2の具体的な態様(図12(b))においては、搬送ローラー29(移動手段)の移動制御は移動制御手段TCで行なわれる。一方、サーマルヘッド140の通電(印刷手段による印刷)は印刷制御手段PRC’で行なわれる。つまり、アドレス情報を用いつつも、移動と印刷とはそれぞれ独立して制御される。この結果、印刷の状態をフィードバックして移動制御を行なうということはできないが、簡便な制御で対応することができる。例えば、文字情報を中心に印刷層25に印刷するような場合においては、本態様の指令手段S’を用いればよい。本態様においては、高い印刷精度を維持しつつも、制御回路のコストダウンが可能となる利点がある。
このように、印刷装置1000の用いられる用途(例えば、画像情報を中心に印刷するか、文字情報を中心に印刷するか)やコストによって、上記第1及び第2の具体的な態様をそれぞれ選択すればよい。
なお、上記説明においては、トレイ27の移動を搬送ローラー29にて行なったが、搬送方法はこれに限られるものではない。例えば、リニアモーターや、送りねじ、タイミングベルトを用いてもよい。その他、一般的な直線移動手段を用いてもよい。
(アドレス情報を用いて印刷を行なう場合)
次に、アドレス情報を用いて光記録媒体の印刷を行なう場合の印刷装置の具体例について、図10(b)及び図12(c)を用いて説明する。このような印刷装置を用いることにより、印刷品質を保ちながら印刷装置のコストダウンが可能となる。
図10(b)においては、図10(a)と同一の部位には同一の符号を用いている。図10(a)と図10(b)との相違点は、図10(a)では光記録媒体Pから検出されるアドレス情報を基に指令手段S’によって搬送ローラー29(移動手段)の制御を行なっていたのに対し、図10(b)では移動基準信号生成手段Yを用いて搬送ローラー29(移動手段)を駆動させるのみであり、アドレス情報を用いた移動制御は行なわない点にある。以下、この相違点を中心に説明する。
図10(b)に示すように、搬送ローラー29(移動手段)の駆動は、印刷装置内部の基準信号によって行なわれる。具体的には、移動基準信号生成手段Yで回転基準信号が生成され、この回転基準信号に従って搬送ローラー29(移動手段)が回転させられる。搬送ローラー29の回転により、トレイ27の移動、ひいては光記録媒体Pの移動が行なわれることとなる。なお、光記録媒体Pは、図10(b)において左右に往復移動をするように、搬送ローラー29(移動手段)の駆動が行なわれる。
一方、アドレス情報は指令手段S’に入力される。指令手段S’においては、検出される位置情報より判断して、光記録媒体Pが印刷を行なうべき位置に達したと判断するたびに、サーマルヘッド140を起動するための信号をサーマルヘッド140に送る。上記信号により、光記録媒体Pの印刷層25(感熱発色層)の所定の位置に感熱方式の印刷が行なわれることになる。
本態様では、指令手段S’による移動制御が行なわれない分、図10(a)の場合と比較して移動精度(位置精度)は劣る傾向となる。しかし、印刷の制御をアドレス信号で行なうため、印刷イメージの位置ずれは補正可能である。
次に、指令手段S’のより具体的な態様について説明する。
指令手段S’の具体的な態様としては、以下のものを挙げることができる。例えば、検出されたアドレス情報より光記録媒体Pの位置情報を検出し、この位置情報に同期して前記印刷層に印刷を行なうように、指令手段S’を構成すればよい。この態様(以下適宜「第3の具体的な態様」という。)に係る指令手段S’の構成について、図12(c)を用いて説明する。
図12(c)は、第3の具体的な態様に係る指令手段S’の構成を示す機能ブロック図である。図12(c)に示される通り、指令手段S’は、アドレス情報検出装置310(検出手段)より検出されたアドレス情報を位置情報に変換する位置情報検出手段I’と、この位置情報をもとにサーマルヘッド140(印刷手段)の制御を行なう印刷制御手段PRC’とからなっている。なお、位置情報検出手段I’は図12(a)と同じものを用いればよい。また、位置情報検出手段I’は省略することもできる。同様に、印刷制御手段PRC’は図12(b)と同じものを用いればよい。
位置情報検出手段I’においては、光記録媒体Pのアドレス情報を基に光記録媒体Pの位置を検出する。そして、検出された光記録媒体Pの位置は印刷制御手段PRC’に出力される。印刷制御手段PRC’には、検出された上記位置に同期して、記憶手段K’から入力される印刷用のデータを基にサーマルヘッド140への通電を開始する。サーマルヘッド140の通電により、感熱発色レベルの熱エネルギーが光記録媒体Pの印刷層25(感熱発色層)に印加される。これによって、印刷層25(感熱発色層)が発色し、外部ホストで作成した文字・画像等のデータが光記録媒体Pに印刷される。
本態様においては、高い印刷精度を維持しつつも、制御回路のコストダウンが顕著となる利点がある。
(2−2)第4実施形態:
上記第3実施形態においては、トレイ27(光記録媒体P)は往復移動(図10(a),(b)においては、左右方向にのみ移動)する。また、光ピックアップ11は、光記録媒体Pの幅方向に移動することが可能なように構成されている(図11参照)。更に、サーマルヘッド140としてライン式のサーマルヘッドを用いた。これに伴い、バックアップローラー150も光記録媒体Pの幅とほぼ同等の長さを有するローラーを用いた。
これに対して、第4実施形態においては、トレイが往復運動のみでなく、光記録媒体Pの幅方向にも移動可能なように形成される。また、光ピックアップは固定されている。但し、記録トラック間の微少な移動を行なうために、対物レンズは、数十μm程度の範囲で光記録媒体Pの幅方向に移動可能になっている。更に、サーマルヘッドとして、例えばシリアルヘッドのような印刷幅の狭いものを用いている。そして、バックアップローラー150の代わりに、バックアップボールを用いている。
上記以外については、第4実施形態は第3実施形態と同様とすればよい。以下、上記相違点を中心に説明する。
図13(a),(b)は、第4実施形態の印刷装置の要部の構成を示す模式的な図である。具体的に、図13(a)は、第4実施形態の印刷装置の要部の斜視図であり、図13(b)は、第4実施形態の印刷装置の要部の断面図である。ここで、図13(b)は、図13(a)のC−C’面における模式的な断面図である。図13(a),(b)においては、図11と同一の構成要素については、同一の符号を用いている。
なお、図13(a),(b)は、図10(a),(b)において点線部で表した部分(印刷装置の一部1010)に相当する部分のみを示している。印刷装置の一部1010以外の部分については、図13(a),(b)では図示を省略しているが、図10(a),(b)と同様とすればよい。但し、トレイの移動(移動手段)については、図10(a),(b)とは同様とすることはできない。なぜなら、図10(a),(b)では搬送ローラー29にて往復運動のみをおこなっているが、図13(a),(b)においては、トレイ27は、左右の往復のみならず、光記録媒体Pの幅方向にも移動させる必要があるからである(図13(a)参照)。このような移動手段としては、例えば、リニアモーター、送りねじ、タイミングベルト等による公知の直線移動手段を、直行する二軸方向に用いればよい。
図13(a),(b)に示すように、光ピックアップ11は固定されている。更に、サーマルヘッド1400としてシリアルヘッドを用いている。光記録媒体Pを挟んでサーマルヘッド1400に対応する位置に、バックアップボール160を設けている。
印刷の開始に伴い、トレイ27を駆動するモーター(不図示)に通電が開始されて光記録媒体Pが、光記録媒体Pの長辺方向/光記録媒体Pの幅方向に往復移動(上下/左右の往復運動)を行なう(図13(a)参照)。この往復移動は規則的に行なわれることが好ましい。このような規則的な移動の例として、以下のものを挙げることができる。つまり、まず、光ピックアップ11が光記録媒体Pの長辺方向に平行に形成された1つの記録トラックの一端から他端まで走査するように左右の移動を行なう。その後、対物レンズ120を微少に移動させることにより、光ピックアップ11から照射される集光ビーム130の焦点を、上記記録トラックに隣接する記録トラックに移動させる。そして、当該隣接する記録トラックの一端から他端まで走査するように左右の移動を行なう。上記操作を繰り返し、対物レンズ120がその可動範囲の限界に達した場合には、対物レンズ120が記録トラックを垂直方向に走査可能となる位置まで、トレイ27を光記録媒体Pの幅方向に移動させて、光ピックアップ11の相対的な移動を行なう。以後、上記操作を適宜繰り返していく。
上記のトレイ27の上下左右の往復運動に伴い、光ピックアップ11から対物レンズ120を介して集光ビーム130が情報記録再生面26に集光する。そして集光ビーム130の反射光を検出することによって得られる信号を、アドレス情報検出装置310(図10(a),(b)参照)によりアドレス情報として検出する。検出されたアドレス情報は、指令手段S’ (図10(a),(b)参照)に入力される。一方、外部ホストで作成された印刷用のデータがI/F及びCPUなどを介して、記憶手段K’ (図10(a),(b)参照)から、指令手段S’ (図10(a),(b)参照)に入力される。指令手段S’ (図10(a),(b)参照)では、入力されるアドレス情報と、印刷用のデータとから判断して、光記録媒体Pが印刷を行なうべき位置に達したと判断するたびに、サーマルヘッド1400を起動するための信号をサーマルヘッド1400に送る。上記信号により、光記録媒体Pの印刷層25(感熱発色層)の所定の位置に感熱方式の印刷が行なわれることになる。