JP4644311B1 - 電圧計測装置と電力監視システム - Google Patents

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Abstract

【課題】単相三線式の2系統の電圧を簡単に測定することのできる電圧測定装置と、この電圧測定装置を使用した電力監視システムを提供する。
【解決手段】単相三線の二系統の交流電圧を測定する電圧測定装置410であって、前記二系統のうちの一方の系統の主幹に流れる電流を検出する電流検出器40aと、他方の系統の主幹に流れる電流を検出する電流検出器40bと、一方の系統の分岐幹の電圧を検出する交流電圧検出回路440と、この交流電圧検出回路440が検出する電圧と、電流検出器40aが検出する電流と、電流検出器40bが検出する電流とに基づいて他方の系統の分岐幹の電圧を求める交流電圧算出回路450とを有する。
【選択図】 図4

Description

この発明は、単相三線の交流電圧を測定する電圧測定装置とこの電圧測定装置を用いた電力監視システムとに関する。
現在、一般家庭では、交流の低圧配線として単相三線式が普及している。この単相三線式は、ゼロ電位となる中性相の電線L1と、所定の電圧が印加される2つの電線L2,L3とを有し、電線L1と電線L2との間に100ボルトの電圧が印加され、電線L1と電線L3との間に100ボルトの電圧が印加されている。すなわち、100ボルトの電圧を供給するために2系統の電線L2,L3を有している。
また、電線L2の交流電圧と電線L3の交流電圧とが逆相になっており、電線L2と電線L3との間では200ボルトの電圧が得られるようになっている。
ところで、単相三線式の場合、図11に示すように第2系統での消費電力が大きくなると第2系統の電圧が大きく低下し、逆に第1系統の消費電力が大きくなると第1系統の電圧が大きく低下する。このため、第1,第2系統の電力を正確に求めるには第1,第2系統の電圧をそれぞれ求める必要がある。
単相三線式の2系統でそれぞれ電力を求める場合、各電線間(L1−L2,L1−L2)に電圧計測回路をそれぞれ接続すれば(特許文献1参照)、各電圧を求めることができ、この電圧と電線L2,L3に流れる電流とから電力を求めることができることになる。
特開平11−133065号公報
しかしながら、電圧計測回路を各電線間にそれぞれ接続しなければならず、その取り付け工事は煩雑であり、このため2系統の電圧測定は面倒であるという問題がある。
この発明の目的は、単相三線式の2系統の電圧を簡単に測定することのできる電圧測定装置と、この電圧測定装置を使用した電力監視システムを提供することにある。
請求項1の発明は、単相三線の二系統の交流電圧を測定する電圧測定装置であって、
前記二系統のうちの一方の系統の主幹に流れる電流を検出する第1電流検出手段と、
他方の系統の主幹に流れる電流を検出する第2電流検出手段と、
一方の系統の分岐幹の電圧を検出する電圧検出手段と、
この電圧検出手段が検出する電圧と、第1電流検出手段が検出する電流と、第2電流検出手段が検出する電流とから他方の系統の分岐幹の電圧を求める演算手段とを有することを特徴とする。
請求項4の発明は、電力を表示する表示部を有する電力監視部を備えた電力監視システムであって、
請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電圧測定装置を有し、
前記電力監視部は、前記電圧測定装置の電圧検出手段が検出した所定時間経過後の一方の系統の分岐幹の電圧と、前記演算手段が求めた他方の系統の分岐幹の電圧と、第1,第2電流検出手段が検出する所定時間経過後の電流とから一方の系統の主幹の電力と他方の系統の主幹の電力とを求めて前記表示部に表示することを特徴とする。
この発明によれば、他方の系統の分岐幹の電圧を演算手段が求めるので、2系統の電圧を簡単に測定することができる。
この発明の電圧測定装置の原理を説明するための説明図である。 この発明に係る電力監視システムとこれを使用した太陽光発電システムの構成等を示したブロック図である。 図2に示す電力監視システムの計測ユニットの外観を示した斜視図である。 計測ユニット内の回路を示したブロック図である。 集計管理装置の構成を示したブロック図である。 図4に示す位相差検出回路の第1系統側の動作を示したタイムチャートである。 図4に示す位相差検出回路の第2系統側の動作を示したタイムチャートである。 第2実施例の計測ユニットの構成を示すブロック図である。 計測ユニットの主要部の動作を示すフロー図である。 第1系統の主幹の電流の変化とその変化率を示したグラフである。 単相三線式の電力と電圧との関係を示したグラフである。
以下、この発明に係る電圧測定装置と電力監視システムの実施の形態である実施例を図面に基づいて説明する。
[原理]
先ず、この発明に係る電圧測定装置の原理について説明する。
図1は、単相三線の回路図と実際の配線網とを概略的に示したものである。図1において、Vnは電力網側の電圧(常時一定で6.6kv(もしくは3.3kv)±3%以内に収まっている)、Ztは柱上トランス(変圧器)の等価インピーダンス、Zeは低圧配電線の等価インピーダンス、Znは低圧配電中性線の等価インピーダンス、Zsは引込線の等価インピーダンス、Zaはa回路(a系統)の宅内配線と負荷(家電負荷)の等価インピーダンス、Zbはb回路(b系統)の宅内配線と負荷(家電負荷)の等価インピーダンスである。また、Zwを配電線部分のインピーダンスの合算値とする。
ここで、Vnは常時一定であり、変圧器のインピーダンスが一定であるので、変圧器の二次側から見た電力網側が作る単相三線の二系統の各電圧(V0)が一定で等しい。すなわち、
Va0=Vb0=V0 …(1)
となる。
また、Zwは下記の式で表すことができる。
Zw=Zt+2Zs+Ze+Zn …(2)
a回路のR点の電圧をVRとすると、
VR=Ia×Za=V0−Ia×Zw …(3)
となる。
b回路のT点の電圧をVTとすると、
VT=Ib×Zb=V0−Ib×Zw …(4)
となる。なお、V0は電力消費がないとき(すなわち負荷側が解放状態のとき)の電圧である。
Ib=Iaのときの電流、電圧、負荷インピーダンスをそれぞれ
Ia1=Ib1、VR1=VT1、Za1=Zb1とし、
Ib≠Iaのときの電流、電圧、負荷インピーダンスをそれぞれ
Ia2、Ib2、VR2、VT2、Za2、Zb2とする。
Ia、IbおよびVRは常時測定され既知であるとする。
(3)式から次式が成立する。
VR1=Ia1×Za1=V0−Ia1×Zw …(5)
VR2=Ia2×Za2=V0−Ia2×Zw …(6)
(5),(6)式からZwについて求めると、
VR1−VR2=(Ia2−Ia1)×Zw となる。
したがって、Zw=(VR1−VR2)/(Ia2−Ia1) …(7)
となる。
(5),(6)式からV0について求めると、
V0=VR1+Ia1×Zw
=VR1+Ia1×(VR1−VR2)/(Ia2−Ia1)…(8)
となる。
(7),(8)式を(4)式に適用し負荷バランスが崩れた場合のb回路の電圧VT2は、
VT2=V0−Ib2×Zw
=VR1+Ia1×((VR1−VR2)/(Ia2−Ia1))−
Ib2×(VR1−VR2)/(Ia2−Ia1)
=VR1+(Ia1−Ib2)×((VR1−VR2)/(Ia2−Ia1))
…(9)
となる。
VR1、Ia1は予め測定して求めておくものであり、VR2、Ia2、Ib2を測定して求めればVT2は(9)式から求めることができる。
[第1実施例]
次に、上記原理を利用して単相三線の電圧を測定する電圧測定装置と、この電圧測定装置を用いた電力監視システムの実施例を説明する。
図2は上記の電力監視システム300を適用した太陽光発電システムS1を示すものであり、この太陽光発電システムS1は、戸建て住宅などの建物H毎に配置されて、発電した電力を後述する電力負荷装置に供給するとともに余剰電力を商用電源側に売電したり、太陽光発電だけでは負荷に供給する電力が不足する場合に商用電源側から買電したりするシステムである。
まず、この建物Hについて説明すると、この建物Hは、電力会社の発電所や地域毎に設置されたコジェネレーション(以下、「コジェネ」という。)設備などの系統電力から電力の供給を受けるための電力網としての系統電力網Eに接続されている。
この系統電力網Eと建物Hに配線された単相三線式の第1系統の主幹21aと第2系統の主幹21bと中性相の主幹21cとが電力量メータE1,E2を介して繋がっており、主幹21aは分電盤20の分岐幹(第1系統:一方の系統)22a,23aに繋がっている。また、主幹21bは分電盤20の分岐幹(第2系統:他方の系統)22b,23bに繋がっている。なお、中性相の分岐幹は省略してある。
そして、この電力量メータE1によって系統電力網Eから建物Hへ流れる電力量が計測され、電力量メータE2によって建物Hから系統電力網Eへ流れる電力量が計測される。すなわち、電力量メータE1は買電した電力量を積算し、電力量メータE2は売電した電力量を積算していく。
太陽光発電システムS1は、分散型の発電装置としての太陽光発電装置5と、パワーコンディショナ51と、電力を一時的に蓄えておく蓄電装置としての蓄電池60と、パワーコンディショナ61とを備えている。
この太陽光発電装置5は、太陽エネルギーとしての太陽光を、太陽電池を利用することによって、直接、電力に変換して発電をおこなう装置である。この太陽光発電装置5は、太陽光を受けることができる時間帯にのみ電力を供給することが可能な装置である。
また、太陽光発電装置5によって発電された直流電力は、パワーコンディショナ51によって交流電力に変換されて分電盤20に入力される。さらに、蓄電池60に充電又は蓄電池60から放電される際にも、パワーコンディショナ61によって直流と交流の変換がおこなわれる。
なお、補助配線20cからは、太陽光発電装置5で発電された電力が分電盤20に入力される。また、蓄電池60と分電盤20とは、補助配線20dによって接続され、分電盤20から蓄電池60への充電及び蓄電池60から分電盤20への放電がおこなわれる。
建物Hには、様々なエネルギー負荷装置が設置されている。例えば、エアコンなどの空調装置、照明スタンドやシーリングライトなどの照明装置、並びに冷蔵庫やテレビなどの家電装置などの電力によって稼働する電力負荷装置10A,10Bがある。電力負荷装置10A,10Bは、図示しない電源コンセントに接続されて分電盤20の分岐幹22aに接続される。
電力監視システム300は、集計管理装置(電力監視部)303と計測ユニット400と主幹21a,21bの交流電流を検出する電流検出器(第1,第2電流検出手段)40a,40bと各分岐幹22a,23a,22b,23bの交流電流を検出する電流検出器320a,321a,320b,321bとを備えている。各分岐幹23a,22b,23bには分岐幹22aと同様に電力負荷装置(図示せず)が接続される。
電流検出器40a,40bは、クランプ式に構成されており、分電盤20から主幹21a,21bを取り外さなくても分電盤20内の主幹21a,21bに取り付けられるようになっている。
電流検出器320a,321a,320b,321bも電流検出器40a,40bと同様な構成となっており、分岐幹22a,23a,22b,23bを取り外さなくても分電盤20内の分岐幹22a,23a,22b,23bに取り付けられるようになっている。
計測ユニット400は、図3および図4に示すように、筐体401内に設けられた電圧測定装置410の主要部と位相差検出回路(アナログ回路)110とデータ制御部420と送信部430とを備えている。
また、計測ユニット400は電源コンセントに差し込む電源プラグ(プラグ)404を備えている。プラグ404は電源コード405を介して位相差検出回路(位相差検出手段)110と電圧測定装置410とに接続されている。
電圧測定装置410は、図4に示すように、分岐幹22a(図2参照)の電圧を検出する交流電圧検出回路(電圧検出手段)440と、この交流電圧検出回路440が検出した交流電圧と電流検出器40a,40bが検出する交流電流とから分岐幹22b,23bの電圧を算出する交流電圧算出回路(演算手段)450とを有している。
交流電圧算出回路450は(9)式に基づいて分岐幹22b,23bの電圧を算出する。
ここで、(9)式のVR2は交流電圧検出回路440が検出した交流電圧であり、Ia2,Ib2は電流検出器40a,40bが検出する電流である。
データ制御部420は、電流検出器40a,40bが検出する交流電流と、電流検出器320a,321a,320b,321bが検出する交流電流と、交流電圧検出回路440が検出する交流電圧と、交流電圧算出回路450が算出する交流電圧と、論理回路115A,115Bから出力される位相差信号の各データを例えば1秒ごとの周期でメモリ(図示せず)に記憶させていく。
送信部430は、データ制御部420によってメモリに記憶された30秒分の各データを集計管理装置303へ送信する。この送信は無線通信で行う。
位相差検出回路110は、分岐幹22aの交流電圧波形を検出する交流電圧波形検出回路111と、電流検出器40aが検出した交流電流から主幹21aの交流電流波形を検出する交流電流波形検出回路112Aと、主幹21bの交流電流波形を検出する交流電流波形検出回路112Bと、交流電圧波形検出回路111が検出した交流電圧波形の電圧が予め設定したゼロ電圧(基準電圧)以上のときHレベル信号(第1検出信号)を出力する比較器(第1比較器)113と、交流電流波形検出回路112Aが検出した交流電流波形の電流が予め設定したゼロ電流(基準電流)以上のときHレベル信号(第2検出信号)を出力する比較器(第2比較器)114Aと、交流電流波形検出回路112Bが検出した交流電流波形の電流が予め設定したゼロ電流(基準電流)以上のときHレベル信号(第3検出信号)を出力する比較器(第3比較器)114Bと、比較器113,114Aの出力信号の排他的論理和をとって交流電圧と交流電流との間に位相差があるか否かを検出する論理回路(排他的論理和回路)115Aと、比較器113の出力を否定するノット回路116と、このノット回路116と比較器114Bの出力信号の排他的論理和をとって交流電圧と交流電流との間に位相差があるか否かを検出する論理回路(排他的論理和回路路)115Bとを有している。
交流電流波形検出回路112Aおよび交流電流波形検出回路112Bはこの実施例では増幅器である。
論理回路115A,115Bは、位相差を検出したときHレベル信号である位相差検出信号をそれぞれ出力する。
交流電圧波形検出回路111は、直列接続した2つの抵抗(図示せず)を分岐幹22aの電線間に接続したもので、2つの抵抗でその電線間の交流電圧を分圧した交流電圧を出力するものである。
集計管理装置303は、図5に示すように、通信部32とデータ蓄積部33とRAM37と表示部38と制御部331とを有している。
制御部331は、通信部32が受信した各データに基づいて、主幹21a,21bや分岐幹22a,23a,22b,23bの電力を求めるとともに売電または買電を判断し、この判断した売電または買電と求めた各電力を表示部38に表示させる。また、制御部331はいままでに売電した積算電力量と買電した積算電力量を集計して表示部38に表示させる。
この集計管理装置303は、図2に示すように、ルータ41a、ゲートウェイ41bを介してインターネットなどの外部の通信網Nに繋がっている。そして、同じく通信網Nに接続された外部のサーバ4との間で、計測値などのデータの送受信や制御信号の送受信などを行うことができる。
また、建物H内のルータ41aに接続されたコンピュータ41は、集計管理装置303と無線でデータの送受信をおこなうことができる構成となっている。
そして、このコンピュータ41のモニタ(図示せず)に、集計管理装置303のデータ蓄積部33に記録された計測値、サーバ4に蓄積された計測値、それらの計測値の統計処理結果、電力消費量の評価などを表示させることができる。また、計測された計測値の詳細データを、リアルタイムにモニタに表示させることもできる。
さらに、コンピュータ41によって集計管理装置303の設定値を変更したり、集計管理装置303などの制御プログラムの更新を指示したりすることもできる。
[動 作]
次に、上記のように構成される電圧測定装置410と電力監視システム300の動作について説明する。
先ず、図2に示すように電流検出器40a,40bを分電盤20内の主幹21a,21bに取り付けるとともに、分電盤20内の分岐幹22a,23a,22b,23bに電流検出器320a,321a,320b,321bに取り付ける。
次に、計測ユニット400のプラグ404を分電盤20の近くにあるコンセントに差し込む。この場合、コンセントが第1系統の分岐幹22aに接続されていることを予め確認しておく。コンセントが分電盤20の近くにあるのでその確認は可能である。
いま、太陽光発電システムS1の太陽光発電装置5によって発電された直流電力がパワーコンディショナ51によって交流電力に変換されて分電盤20に入力され、電力負荷装置である空調負荷10Aや照明負荷10Bや他の家電負荷に供給されており、この太陽光発電装置5の発電量が不足して、系統電力網Eから買電している場合について説明する。
電流検出器40a,40bは主幹21a,21bに流れる交流電流を検出し、この検出した交流電流が計測ユニット400の電圧測定装置410に入力する。また、電流検出器320a,321a,320b,321bが分岐幹22a,23a,22b,23bに流れる交流電流をそれぞれ検出し、これら検出した検出電流が計測ユニット400のデータ制御部420へ入力する。
一方、計測ユニット400の電圧測定装置410の交流電圧検出回路440が分岐幹22aの交流電圧を検出する。
電圧測定装置410の交流電圧算出回路450は、交流電圧検出回路440が検出した第1系統の分岐幹22aの交流電圧(VR2)と、電流検出器40a,40bが検出した主幹21a,21bの交流電流(Ia2,Ib2)とに基づいて、第2系統の分岐幹22b,23bの交流電圧を(9)式に基づいて算出する。
他方、計測ユニット400の位相差検出回路110の交流電圧波形検出回路111が分岐幹22aの交流電圧の波形を例えば図6のAaに示すように検出する。同様に、交流電流波形検出回路112Aが主幹21aの交流電流の波形を図6のBaに示すように検出する。
交流電圧波形検出回路111が図6のAaに示すように交流電圧の波形を検出すると、その波形がゼロボルト以上のとき比較器113からHレベル信号が出力される。すなわち、時点t0〜t1,t2〜t3で比較器113がHレベル信号を出力する。
交流電流波形検出回路112Aが図6のBaに示すように交流電流の波形を検出すると、その波形がゼロアンペア以上のとき比較器114AからHレベル信号が出力される。すなわち、時点t0〜t1,t2〜t3で比較器114AがHレベル信号を出力する。
論理回路115Aは、比較器113から出力されるHレベル信号と、比較器114Aから出力されるHレベル信号との排他的論理和をとる。この論理和の結果は、「L」であることによりLレベル信号を図6に示すように出力する。すなわち、位相差検出回路110は第1系統の主幹21aの交流電圧と交流電流とに位相差が無いとしてLレベル信号を出力することになる。このLレベル信号がデータ制御部420へ出力される。
同様に、交流電流波形検出回路112Bが図7のBaに示すように交流電流の波形を検出すると、その波形がゼロアンペア以上のとき比較器114BからHレベル信号が出力される。すなわち、時点t1〜t2,t3〜t4で比較器114BがHレベル信号を出力する。
一方、ノット回路116は、比較器113から出力される信号を反転させるものであるから、時点t1〜t2,t3〜t4でHレベル信号を出力することになる。
論理回路115Bは、ノット回路116から出力されるHレベル信号と、比較器114Bから出力されるHレベル信号との排他的論理和をとる。この論理和の結果は、「L」であることによりLレベル信号を図6に示すように出力する。すなわち、位相差検出回路110は第2系統の主幹21bの交流電圧と交流電流とに位相差が無いとしてLレベル信号(位相差検出信号)を出力することになる。このLレベル信号がデータ制御部420へ出力される。
なお、第1系統の主幹21aの電圧と第2系統の主幹21bの電圧とが逆位相となっているので、交流電流波形検出回路112Bが検出する交流電流の波形は、交流電流波形検出回路112Aが検出する交流電流の波形と逆位相となり、図7のBaに示す波形となる。
データ制御部420は、電圧測定装置410の交流電圧検出回路440が検出した電圧と、交流電圧算出回路450が算出した電圧と、電流検出器320a,321a,320b,321bが検出した電流と、論理回路115A,115BからのLレベルの信号とを1秒周期でメモリ(図示せず)に記憶させていく。
送信部430は、データ制御部420によって記憶されたメモリのデータ(30秒分のデータ)を無線通信で集計管理装置303へ送信する。
集計管理装置303の通信部32が計測ユニット400の送信部430から送信されてきたデータを受信すると、制御部331は、その受信したデータに基づいて主幹21a,21bの電力を求めるとともに各分岐幹22a,23a,22b,23bの電力を求め、さらに、位相差検出信号のデータ(Lレベル信号のデータ)に基づいて買電であることを判断する。制御部331は、さらに求めた各電力を表示部38に表示させるとともに、主幹21a,21bの電力が買電であることを表示部38に表示させる。
次に、太陽光発電装置5の発電量が十分にあり、系統電力網Eへ売電している場合について説明する。
図6のAbに示すように交流電圧波形検出回路111が検出する交流電圧の波形に対して、交流電流波形検出回路112Aが検出する交流電流の波形は図6のBbに示すように位相が180度ずれる。このため、比較器114AからHレベル信号が出力されるのは時点t4〜t5,t6〜t7のときである。また、比較器113からは、時点t4〜t5,t6〜t7のときHレベル信号が出力されている。
したがって、論理回路115Aは、時点t4以後はHレベル信号を出力することになる。すなわち、位相差検出回路110は第1系統の主幹21aの交流電圧と交流電流とに位相差が有るとしてHレベル信号(位相差検出信号)を出力することになる。このHレベル信号がデータ制御部420へ出力される。
同様に、交流電流波形検出回路112Bが図7のBbに示すように交流電流の波形を検出すると、その波形がゼロアンペア以上のとき比較器114BからHレベル信号が出力される。すなわち、時点t4〜t5,t6〜t7で比較器114BがHレベル信号を出力する。
一方、ノット回路116は、時点t5〜t6,t7〜t8のときHレベル信号を出力することになる。これは、比較器113から時点t4〜t5,t6〜t7でHレベル信号が出力されていることによる。
論理回路115Bは、ノット回路116から出力されるHレベル信号と、比較器114Bから出力されるHレベル信号との排他的論理和をとる。この論理和の結果は、「H」であることによりHレベル信号を図7に示すように出力する。
すなわち、位相差検出回路110は、第2系統の主幹21bの交流電圧と交流電流とに位相差が有るとしてHレベル信号を出力することになる。このHレベル信号がデータ制御部420へ出力される。
データ制御部420は、上記と同様に交流電圧検出回路440が検出した電圧と、交流電圧算出回路450が算出した電圧と、電流検出器320a,321a,320b,321bが検出した電流と、論理回路115A,115BからのHレベルの信号とをそれぞれ送信用のデータに処理する。
送信部430は、データ制御部420が処理したデータを無線通信で集計管理装置303へ送信する。
集計管理装置303の通信部32が計測ユニット400の送信部430から送信されてきたデータを受信すると、制御部331は、その受信したデータに基づいて主幹21a,21bの電力を求めるとともに各分岐幹22a,23a,22b,23bの電力を求め、さらに、位相差検出信号のデータ(Hレベル信号のデータ)に基づいて売電であることを判断する。制御部331は、さらに求めた各電力を表示部38に表示させるとともに、主幹21a,21bの電力が売電であることを表示部38に表示させる。
ところで、計測ユニット400の電圧測定装置410は、プラグ404をコンセントに差し込むだけで、第1,第2系統の分岐幹の電圧を測定するので、その測定は至って簡単である。すなわち、単相三線式の2系統の電圧を簡単に測定することができる。
上記実施例では、計測ユニット400のプラグ404を差し込むコンセントが第1系統に接続されていることが判っていることが前提となっているが、判らない場合には、電圧測定装置410の交流電圧検出回路440で分電盤20内の分岐幹22aまたは分岐幹23aの電圧を直接検出するようにしてもよい。この場合、交流電圧検出回路440と分電盤20内の分岐幹22aまたは分岐幹23aとを電気的に接続するための工事を行う必要があるが、第2系統の分岐幹22b,23bの両電圧を検出する電圧検出回路を設ける必要がなく、しかもこの電圧検出回路と二つの分岐幹22b,23bとを電気的に接続する工事を行う必要がない。このため、煩雑な工事を必要とせず、単相三線式の2系統の電圧を簡単に測定することができることになる。
[第2実施例]
図8は第2実施例の計測ユニット500の構成を示すブロック図である。この計測ユニット500は、筐体401内に設けられた電圧測定装置510の主要部と位相差検出回路(アナログ回路)110とデータ制御部420と送信部430とを備えている。
電圧測定装置510は、交流電圧検出回路440と、この交流電圧検出回路440が検出した交流電圧と電流検出器40a,40bが検出する交流電流とから分岐幹22b,23bの電圧を算出する交流電圧演算部(演算手段)550とを有している。
交流電圧演算部550は、電流検出器40a,40bが検出する交流電流や交流電圧検出回路440が検出した交流電圧を一時保存するメモリ551を有している。他の構成は第1実施例と同様なのでその説明は省略する。
[動 作]
次に、計測ユニット500の交流電圧演算部550の動作を図9に示すフロー図に基づいて説明する。なお、図9においてステップをSで表記する。
ステップ1では、Va,Ia,Ibを測定する。つまり、交流電圧検出回路440が分岐幹22aの交流電圧Vaすなわち第1系統の主幹21aの電圧を検出し、電流検出器40a,40bが第1,第2系統の主幹21a,21bに流れる交流電流Ia,Ibを検出する。
ステップ2では、測定した交流電圧VaをVa1とし、測定した交流電流Ia,IbをIa1,Ib1として交流電圧演算部550がメモリ551に保存(記憶)する。
ステップ3では、メモリ551に保存してから1分間経過したか否かが判断され、ノーであればステップ3へ戻り、1分(所定時間)経過するまでこのステップ3で待機することになる。そして、1分経過するとイエスと判断されてステップ4へ進む。
ステップ4では、ステップ1と同様にVa,Ia,Ibを測定する。
ステップ5では、ステップ4で測定したVa,Ia,IbをVa2,Ia2,Ib2としてメモリ551に保存する。
ステップ6では、電流検出器40aが検出した電流の変化量dIaを次式により計算する。すなわち、1分間の間に変化した主幹21aの電流量を計算する。この演算は交流電圧演算部550が行う。
dIa=Ia1−Ia2
ステップ7では、変化量dIaが予め設定した閾値dIthを以上であるかを判断する。ノーであればステップ10へ進み、イエスであればステップ8へ進む。
ステップ8では、第1系統の引込線インピーダンス(配電線部分のインピーダンス)であるZwnewを下記の(10)式により求める。なお、(10)式は原理で説明した(7)式と同じ式であり、VR1=Va1、VR2=Va2である。
Zwnew=(Va1−Va2)/(Ia2−Ia1) …(10)
ステップ9では、引込線インピーダンスZwを更新する。すなわち、前回求めた引込線インピーダンスZwを今回求めた引込線インピーダンスZwnewに書き換える。
ステップ10では、下記の(11)式により分岐幹22bの交流電圧、すなわち第2系統の主幹21bの交流電圧Vb2を求めてステップ1へ戻る。
Vb2=Va1+(Ia1−Ib2)×Zw …(11)
この(11)式は(9)式から求めたものである。すなわち、Vb2は(9)式のVT2であり、Va1は(9)式のVR1であり、Zw=(VR1−VR2)/(Ia2−Ia1)である。(10)式および(11)式の演算も交流電圧演算部550が行う。
なお、Va1は所定時間経過前の電圧、Va2は所定時間経過後の電圧、Ia1は所定時間経過前の電流、Ib2は所定時間経過後の電流、Ia1−Ia2は所定時間経過後の電流の変化量、Va1−Va2は所定時間経過後の電圧の変化量である。
このように、第1系統の主幹21aの電流Ia1,Ia2と、第1系統の主幹21aの電圧Va1,Va2とから第1系統の引込線インピーダンスZwを求め(ステップ8)、この引込線インピーダンスZwと第1系統の主幹21a,21bの電流Ia1,Ib2と第1系統の主幹21aの電圧Va1とから第2系統の主幹21bの交流電圧Vb2を求めていく(ステップ10)。
そして、ステップ1ないしステップ10の処理動作が繰り返し行われていくと、第1分岐幹22a,23aに接続される家電負荷の消費電力が大きくなって主幹21aに流れる電流が図10の(A)に示すように増加した場合(期間T1)や、ノイズにより主幹21aの電流Iaが変化した場合(期間T2)に、電流の変化dIaが図10の(B)に示すように求められていくことになる。
電流の変化量dIaは期間T1では閾値dIth以上となり、ステップ8で引込線インピーダンスZwnewを求めて更新するが、主幹21aの電流Iaがノイズにより変化した場合(期間T2)、このノイズによる電流Iaの変化は小さく、この電流Iaの変化量dIaは閾値dIthより小さく、閾値Zwは更新されない。このため、ノイズなどによる電流Iaの変化の影響を受けずに、第2系統の主幹21bの交流電圧Vb2を求めることができることになる。
第2系統の主幹21bの交流電圧Vb2が求められると、データ制御部420は、交流電圧Vb2と、交流電圧検出回路440が検出した電圧Va2と、電流検出器320a,321a,320b,321bが検出した電流と、論理回路115A,115BからのHレベルの信号とをそれぞれ送信用のデータに処理する。
送信部430は、第1実施例と同様にデータ制御部420が処理したデータを無線通信で集計管理装置303へ送信する。
この第2実施例によれば、第1実施例と同様な効果の他に、ノイズなどによる電流Iaの変化の影響を受けずに、第2系統の主幹21bの電力を求めることができる。
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
20 分電盤
21a 主幹
21b 主幹
22a,23a 分岐幹
22b,23b 分岐幹
40a 電流検出器(第1電流検出手段)
40b 電流検出器(第2電流検出手段)
110 位相差検出回路(位相差検出手段)
410 電圧測定装置
400 計測ユニット
440 交流電圧検出回路(電圧検出手段)
450 交流電圧算出回路(演算手段)
500 計測ユニット
510 電圧測定装置
550 交流電圧演算部(演算手段)

Claims (5)

  1. 単相三線の二系統の交流電圧を測定する電圧測定装置であって、
    前記二系統のうちの一方の系統の主幹に流れる電流を検出する第1電流検出手段と、
    他方の系統の主幹に流れる電流を検出する第2電流検出手段と、
    一方の系統の分岐幹の電圧を検出する電圧検出手段と、
    この電圧検出手段が検出する電圧と、第1電流検出手段が検出する電流と、第2電流検出手段が検出する電流とから他方の系統の分岐幹の電圧を求める演算手段とを有することを特徴とする電圧測定装置。
  2. 一方の系統の主幹に分電盤を介して接続された一方の系統の分岐幹のコンセントに接続する計測ユニットを備え、
    この計測ユニットは、前記電圧検出手段および演算手段を有していることを特徴とする請求項1に記載の電圧測定装置。
  3. 前記演算手段は、第1電流検出手段が検出する所定時間経過後の電流の変化量と、前記電圧検出手段が検出する所定時間経過後の電圧の変化量とから一方の系統のインピーダンスを求め、このインピーダンスと、前記電圧検出手段が検出した所定時間経過前の電圧と、第1電流検出手段が検出した所定時間経過前の電流と、第2電流検出手段が検出する所定時間経過後の電流とにより、他方の系統の分岐幹の電圧を求めることを特徴とする請求項2に記載の電圧測定装置。
  4. 電力を表示する表示部を有する電力監視部を備えた電力監視システムであって、
    請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の電圧測定装置を有し、
    前記電力監視部は、前記電圧測定装置の電圧検出手段が検出した所定時間経過後の一方の系統の分岐幹の電圧と、前記演算手段が求めた他方の系統の分岐幹の電圧と、第1,第2電流検出手段が検出する所定時間経過後の電流とから一方の系統の主幹の電力と他方の系統の主幹の電力とを求めて前記表示部に表示することを特徴とする電力監視システム。
  5. 前記計測ユニットは、前記一方の主幹と他方の主幹の交流電圧とその主幹の交流電流とに位相差があるか否かを検出する位相差検出手段を有し、
    前記電力監視部は、前記位相差検出手段が検出した位相差に基づいて売電または買電を前記表示部に表示することを特徴とする請求項4に記載の電力監視システム。
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