JP4642592B2 - 即席食品 - Google Patents

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Description

本発明は、災害に備えて保存しておくとともに、緊急時に携帯して必要に応じて食するのに適した小型の即席食品に関する。
例えばカップ麺等、お湯で復元することで可食となる固形食品をカップ状容器に封入してなる即席食品は従来から知られている。
これらの即席食品においては、固形食品に注がれるお湯を収容するスペースを予め確保しておく必要があることから、カップの容積は、固形食品自体の体積に比べてかなり大きなものとされている。このため、搬送、貯蔵、携帯等には不便であり、この問題を解決するための容器が種々考案されている。
特許文献1および特許文献2では、蛇腹を利用してカップの内容積を可変とし、お湯を注ぐ前段階における容器を小サイズ化している。すなわち、固形食品は収縮状態にあるカップ内に封入されていて、お湯を注ぐ際には、蛇腹を引っ張ってカップを拡大し、そこにお湯を注いで固形食品を復元する。
また、特許文献3に開示された電子レンジで調理するための紙容器においては、容器上部を折り畳んで内容物が封入されていて、調理の際には、折り畳まれた容器上部を上方へ拡げることで、当該拡がった部分が容器の一部となるよう構成されている。これにより、輸送、保管時における容器サイズの小型化が達成されている。
実開平3−123870号公報 実開昭54−102428号公報 特開2002−347740号公報
しかしながら、上記いずれの従来例においても、調理前における容器の大きさをある程度小さく保ってはいるものの、これを極限まで突き詰めてはいない。その理由は、これらの即席食品は、日常の食生活において便利に利用できるものであって、容器の大きさについても、輸送や貯蔵が極端に不便とならなればそれで足りる、との考えに基づいていると考えられる。
特に災害等の緊急時に備えて、大量貯蔵および簡易携行に適した常備用保存食として、その小サイズ化を極限にまで突き詰めた即席食品は、これまで提案されていない。本発明は、そのように小サイズ化された緊急用の即席食品を提供することを目的としている。
本発明は、上記課題を有効に解決するために創案されたものであって、以下の特徴を備えた即席食品を提供する。
本発明の即席食品は、水分を加えて復元することで可食となる固形食品を容器内に封入してなる。容器は、ほぼ全面が固形食品に接する底壁と、固形食品に沿って底壁の全周に延在するとともに固形食品の高さよりも高い周壁と、を有していて、底壁上に置かれた固形食品の上面に沿って上記周壁の上部を折り畳んでシール融着することで、固形食品は容器内に封入されている。
固形食品を食する際には、折り畳まれた上記周壁の上部を拡げることで、底壁上に置かれた固形食品の高さよりも高い周壁が構成され、これにより上記容器は、少なくとも固形食品を復元するために注がれる水分を収容し得る容積を有するに至る。
本発明の即席食品において、「ほぼ全面」が固形食品に「接する」底壁とは、厳密な意味では「全面」でなくても、殆ど全面をもって底壁が固形食品を支持していることを意味し、また、当該面上のすべてのポイント(点)が固形食品と接触している必要はない。
また、固形食品は、水分(お湯あるいは水)を加えて復元することで可食となるもので、それ自体は一般的に知られたものである。代表的には、フライ麺、熱風乾燥麺、これら即席麺を圧縮成形した圧縮即席麺等の麺類や、乾燥α化米等を挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
上記構成を有する本発明の即席食品によれば、容器を封止した状態において、内部の固形食品の底面、側面、上面の全体に対して、容器の各内壁面が殆ど隙間のない状態で、固形食品を包み込んでいる。したがって、固形食品自体の体積に対して、容器を含めた全体のサイズの増分が極限にまで抑えられている。
特に、周壁の上部を拡げる前における容器を実質的に直方体形状とし、その内部に、実質的に直方体形状の固形食品(麺類等)、または粒状の固形食品(乾燥α化米等)を、容器の内壁面全体に接するように封入した場合には、容器の内壁面と固形食品との間に実質上隙間は存在しない。
以上のような本発明の即席食品は、特に災害に備えた常備用、非常用として適しており、最小限のスペースに大量の食品を保管することが可能である。しかも個々の食品は、緊急時において、その1つあるいは複数を携帯するのに非常に便利である。
本発明の即席食品を喫食する場合は、周壁上部を拡げるように開封して容器の内容積を拡大し、ここに水分(水あるいはお湯)を注いで、内部の固形食品を復元する。このように、調理あるいは喫食のための容器として必要なスペースを、容器を開封することによって得ることができる。
また、容器の各内壁面が殆ど隙間のない状態で固形食品を包み込んでいるので、固形食品が容器内で動いて破損するということはない。さらに、内部の固形食品によって容器の各内壁面が支えられた状態になるで、容器の強度が増し、移送時や、多数を積み重ねて保管する状態でも、容器の変形や破損を起こしにくい。
なお、限られたスペースに大量保存するという観点からは、容器の形状は、実質的に直方体(すべての面が矩形形状である六面体)であることが好ましい。
本発明の実施形態を添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。図1は、一実施形態に係る即席食品10を、容器上部を開いた状態において示している。即席食品10は、容器20内に固形食品30を封入して構成されている。
固形食品30は、水分(お湯あるいは水)を加えることで可食となるもので、カップ麺等のインスタント食品として一般的に知られているものである。
容器20は、固形食品30の上面に沿うようにして、周壁21の上部を折り畳むことで封止状態となる。この封止状態で、即席食品10は、貯蔵し、輸送し、あるいは携帯する。
周壁上部の折畳み方法は、適宜の方法を採用すればよいが、例えば、図2および図3に示した方法を採用できる。
図2では、周壁の両サイドを内側に折り込むようにして、周壁21を折り畳んでシールしている。図2のシール方法では、折り込まれた周壁の頂点部分21aにおいてシールが不十分になり易いので、周壁21の上端に段差を設けて、この段の高くなった部分22同士を重ねてその全体をシールすることで、十分な密封性を保っている。図2(a)は折畳み途中の状態を、図2(b)は折畳み後の状態を示している。
なお、容器20の底面側は、図2に示したのと同様のシール方法によって密封されている(図4参照)。
一方、図3では、周壁21の両サイドが外方に突出するように、周壁21を折り畳んでシールしている。図3(a)は折畳み途中の状態を、図3(b)は折畳み後の状態を示している。
図3では周壁21の上端に段の高くなった部分22が存在するが、図3のシール方法によれば、図6に示した例のようにシール融着部を一直線状にできるので、拡げた状態の周壁21の上端縁21bを段差のない直線状に構成することが可能になり(図6参照)、したがって、容器を構成するブランク材の形状をシンプルにできるという利点がある。
図2および図3に示したシール方法のいずれも、そのシール方法自体は一般的に知られたものである。
図2(b)あるいは図3(b)の折畳み状態から、周壁上部を拡げることで、図1に示した状態となる。すなわち、折り畳まれた周壁上部を拡げて図1の状態にすることで、底壁上に置かれた固形食品30の高さよりも高い周壁21が構成され、これにより容器20は、固形食品30を復元するために注がれる水分を収容し得る容積を有するに至る。この状態で、お湯または水を加えて復元することで固形食品が可食となる。一般には、お湯を使用することが好ましいが、災害時等の非常事態においては固形食品を水で復元することも可能である。水で復元できる固形食品としては、特公昭57−8594号公報に記載された、水で復元する即席麺があり、当該即席麺を用いることで、非常用として優れた食品となる。
なお、図1から分かるように、容器20の底壁の面積は、固形食品30の上方からの投影面積と実質的に等しい。すなわち、容器20の底壁内面は、そのほぼ全面が固形食品30に接触している。
そして、周壁20は、固形食品30に沿って容器底壁の全周に延在している。すなわち、固形食品30の周面と容器20の周壁21との間には、実質的に隙間は存在しない。
また、図1のように周壁上部を拡げた状態では、周壁21は、底壁上に置かれた固形食品30の高さよりも高く構成されているが、周壁上部は、固形食品30の上面に沿って折り畳まれ、シールされる。
したがって、容器を封止した状態においては、固形食品30の底面、側面、上面の全体に対して、容器20が実質上隙間を介することなく、固形食品30を包み込んでいる。したがって、内部に封入される固形食品30自体の体積に対して、容器20を含めた全体のサイズの増分が極限にまで抑えられている。
つまり、図2(b)および図3(b)に示したように、本発明の即席食品は、その全体の体積が内部の固形食品30自体の体積と殆ど変わらない、極めてコンパクトなものである。
以上のように構成された本発明の即席食品は、特に災害に備えた常備用として適しており、最小限のスペースに大量の食品を保管することが可能である。しかも個々の食品は、極限まで小サイズ化されているので、緊急時において、その1つあるいは複数を携帯するのに非常に便利である。
≪「ほぼ全面」の意味≫
本発明においては、容器20の底壁の「ほぼ全面」が固形食品30に接していて、そのような底壁の全周に渡って、固形食品30に沿うように延在する側壁21が連設されている。ここでいう「ほぼ全面」の意味合いを説明する。
「ほぼ全面」とは、厳密な意味で全面とは言えなくても、実質上全面(殆ど全ての面)と言える場合を含む趣旨である。
例えば、図1〜4に示した例では、容器20の底壁内面は4つの直線で囲まれた四角形状であるのに対して、図1に現れた固形食品30を上方から見た場合、その外形は大略的には四角形であるが、その四辺は正確な直線ではなく内側に湾曲していることもある。そのような場合でも、容器の底壁内面は「ほぼ全面」が固形食品30に接している、と言える。
また、図9に模式的に示した場合のように、四角形の底壁23上に、円柱状の複数のブロックに分けた固形食品130を立てて並べた場合には、円柱状の各固形食品130と直線状の底壁周辺との間に僅かな隙間が生じるが、このような場合でも、容器の底壁23はその「ほぼ全面」が固形食品130に接している、と言える。つまり、容器の側壁21の内面と固形食品130との間には隙間は殆ど存在しない。
なお、図9は、封止状態にある容器20の外形を一点鎖線で示し、内部に封入された円柱状の固形食品130を実線で示したものである。固形食品130は、一部分のみを図示しているが、実際には、容器20内に敷き詰められる。
さらには、図10に模式的に示した場合のように、四角形の底壁23上に、円柱状の複数のブロックに分けた固形食品130を寝かせて並べた場合には、各固形食品130と底壁23とは線接触に近い状態となるが、このような場合でも、固形食品130は全体として上方からの投影面積が底壁23の面積に等しいので、容器底壁23の内面は、その「ほぼ全面」が固形食品130に接触している、と言える。この場合も、容器の底壁23の内面(あるいは周壁21の内面)と固形食品130との間には隙間は殆ど存在しない。
なお、図10は、封止状態にある容器20の外形を一点鎖線で示し、内部に封入された円柱状の固形食品130を実線で示したものである。固形食品130は、一部分のみを図示しているが、実際には、容器20内に敷き詰められる。
以上のように「ほぼ全面」が接するとは、複数の円柱状ブロック(あるいは、それに近い変形ブロック)と平坦な容器内壁面との接触状態をも含む概念である。しかしながら、容器内壁面と固形食品との間の隙間をさらに小さくして、一定容積の容器内により多くの食料を保存するという観点からは、図1〜図4に示した麺塊のような実質的に直方体形状の固形食品とすることが好ましい。あるいは、乾燥α化米等の粒状の固形食品を容器内に充満させることが好ましい。
これにより、固形食品は、容器の内壁面全体に接するように封入されることとなり、その結果、容器の内壁面と固形食品との間に実質上隙間は存在しなくなる。
≪「接する」の意味≫
ここで、「固形食品が内壁面全体に接する」とは、当該内壁面上の全てのポイント(点)に固形食品が接触しているという意味ではない。例えば、即席麺の麺塊は、その表面は平滑ではなく、多数の凹凸や空隙を含んでいる。これを平坦な内壁面で支持した場合、厳密な意味では面全体が接しているとは言えないが、本発明における「内壁面全体に接する」にはこのような状態を含む。
また、乾燥α化米等の粒状の固形食品を考えると、平面と粒状体との接触状態は、厳密な意味では接触していないポイント(点)も存在するが、このような場合も本発明における「内壁面全体に接する」に含まれる。
≪即席食品の形状≫
本発明の即席食品は、出荷前または家庭等において、限られたスペース内に効率的に収納するため、図2(b)や図3(b)に示したような実質的な直方体(すべての面が矩形形状である六面体)の形状が好ましい。ただし、その具体的な寸法は、内容物である固形食品の大きさや種類に応じて、適宜設定すればよい。
この場合、容器20内に封入される固形食品30自体も、図1〜図4に示した例のように、実質的に直方体とするのが好ましい。ここで「実質的に直方体」とは、図1〜図4の例では、固形麺や具材等を含めた内容物である固形食品全体が、厳密ではなくとも、大略的な意味において直方体形状を為し、その結果、容器20も含めた即席食品全体を、図2(b)や図3(b)に示したような大略直方体の形態に為し得ることを意味する。他の種類の固形食品を使用する場合も同じである。
例えば、乾燥α化米等の粒状の固形食品を使用する場合には、封止状態における容器自体の形状を実質的な直方体としておけば、粒状の固形食品を当該容器の内壁面全体に接するように封入することができる。
≪周壁の高さ≫
固形食品30として、フライ麺または熱風乾燥麺を使用する場合、水分を加えて復元した後の体積は、固形時に比べて約1.7倍程度となる。このような食品自体の体積膨張と、注がれる水分量とを考慮して、開封状態における周壁の高さは、固形食品30自体の高さの1.7倍以上、好ましくは2倍以上とする。
図5(a)では、固形食品30の高さHに対して、開封状態にある周壁21の高さを2Hとした場合を示している。
また、固形食品30として、即席麺を圧縮成形した圧縮即席麺を使用する場合(その製法は、特公平3-29375号公報に開示されたものを採用できる)、水分を加えて復元した後の体積を、固形時に比べて最大で4倍程度(スープの量を含む)とすることができる。すなわち、圧縮即席麺を使用する場合、その体積膨張等を考慮して、開封状態における周壁21の高さは、最大で固形食品30自体の高さの5倍程度あればよいことになる。
図5(b)では、固形食品30の高さHに対して、開封状態にある周壁21の高さを5Hとした場合を示している。
以上のように、固形食品30として、即席麺、または即席麺を圧縮して成形した圧縮即席麺を使用する場合、固形食品30の高さをHとすると、開封状態にある周壁21の高さは、1.7H以上5H以下、好ましくは2H以上5H以下とする。
≪ブロック状に分割された固形食品≫
なお、容器20内に封入される固形食品30は、全体が1つの塊であってもよいが、複数のブロックに分割した上で封入しておく方が好ましい。災害時等にはお湯を準備できず水しか利用できない場合も想定されるが、水を使用して復元する場合でも、固形食品がブロック分けされていれば、注がれた水と固形食品との接触面積が大きくなり、固形食品の復元具合がよくなる。
ブロック分けする場合の各ブロックの形態としては、例えば図9および図10に示したような円柱状であってもよいし、立方体その他、適宜の形態を採用することができる。
≪積層構成≫
本発明の即席食品10は、水または湯を入れて復元して喫食する。その際、開封状態とした容器自体が喫食用の容器となる必要がある。したがって、容器20は、水または湯を入れた場合にも漏れが生じないように、耐水性または耐熱水性を有するシート材で構成する必要があり、さらには、喫食用の容器としての剛性を備える必要もある。
また、本発明の即席食品10は、一般のカップ麺等とは異なり、災害等に備えた常備食として長期間保存されるものであるから、容器20の密封性は、通常のインスタント食品と比べて高いものが要求される。
以上のような容器20としては、例えば、容器の外側から内側に向かって「ポリエチレン層/紙層/ポリエチレン層/アルミニウム層/ポリエチレン層/ポリエチレンフィルム」の積層構造とすることができる。紙層は、容器に強度を与える基材層であり、アルミニウム層は、湿気等を遮断して機密性を保つためのバリア層である。
このような積層構造それ自体は、高い密封性を達成するものとして一般的に知られたものである。勿論、必要な密封性、耐水性、剛性を確保できる限りにおいて、他の積層構成を採用することも可能である。
≪開封しやすい構成≫
本発明においては、容器20の密封性を高めるため、各シール部は強固に融着される。特に、長期保存性を持たせるためにアルミニウム層を積層したシートを用いる場合に、開封が困難となることもある。したがって、開封作業を容易にするための構成を工夫することが好ましい。以下に、幾つかの例を説明する。
図6の例では、周壁21の上端縁21bに沿って直線状に延在するシール融着部40の下方側に、破断用のミシン目41を設けている。ミシン目41に沿って破り取ることで、比較的簡単に開封することができる。
このミシン目41は、例えば、上記積層構造中の紙層を貫通して形成されている。積層構造中の他のアルミニウム層等には切込みを形成していないので、十分な密封性は確保される。
なお、シール融着部40よりも下方側にミシン目41が存在すればよく、シール融着部40およびミシン目41の具体的な形態は図示のものに限られない。
図7の例では、まず、図6では直線状に延在していたシール融着部40を、中央において上方に突出する山型形状としている。このように形成されたシール融着部42の頂点42a付近の位置において、周壁21の対向する2つの壁面の上端縁21bに摘み部分25a、25bを設けている。摘み部分25a、25bは互いに位置をズラして配置しているので、使用者は、簡単にこれを摘んで拡げることができる。また、摘み部分25a、25bの近傍の位置には、山型形状のシール融着部42の頂点42aが存在するので、シール融着部42に作用する力が頂点42aの部分に集中し、これにより、比較的小さな力で開封することができる。
シール融着部42は図示したような山型の形状に限られず、シール融着部の1箇所が突出していてそこに力が集中するような形状であれば、摘み部分25a、25bとの相乗効果により、開封を容易にできる。
また、摘み部分25a、25bの位置についても、適宜変更することが可能である。両摘み部分25aおよび25bは、図示したようにその位置を左右にズラしておく方が好都合であるが、必ずしもその必要はなく、重なり合っていてもよい。
図8の例では、周壁21の上端縁21bに沿って直線状に延在するシール融着部43の一端を下方側に湾曲させている。すなわち、シール融着部43は、周壁上端縁21bに沿って延在する第1部分43aと、折畳み状態にある周壁21の一側辺(図8中、左側の端縁)近傍において下方側に向かって湾曲する第2部分43bと、を有している。
そして、第2部分43bの近傍位置において、周壁21の上記一側辺に上下方向のスリット27を形成している。
このように構成した場合には、周壁21のスリット27の部分を摘んで引っ張り開けると、シール融着部43の湾曲点44の部分に力が集中して、矢印方向に向かって簡単に引っ張り開けることができる。スリット27の深さは、少なくとも周壁21の上端縁21bから第1部分43aまでの距離に等しいことが好ましい。
なお、図8の例では、スリット27の部分を摘んで引っ張り開ける動作を容易にするために、スリット27の先端近傍に切欠き28を形成することが好ましい。
小麦粉950gに澱粉50gを粉体混合し、これに食塩8g、かんすい2g、ポリリン酸ナトリウム1gを溶解した練り水340mlを加えて、ミキサーで約15分間混練してドウを形成した。これを連続圧延機で圧延して麺厚0.7mmの麺帯とし、角刃20番で切り出して麺線とした。この麺線を2分間蒸し機で蒸して、1000mlの水に対して食塩100g、グルタミン酸ソーダ50g、醤油150mlを溶解した着味液に約5秒間浸漬し、次いで1食分(100g)づつにカットした。
カットした麺線を、縦10.0cm、横10.0cm、高さ(深さ)2.7cmの直方体の通液性のフライリテーナに軽く押し込む状態で充填し、通液性の蓋をして150℃のパーム油中に約2分半投入してフライ処理した。
このようにして製造した、およそ縦9.8cm、横9.3cm、高さ2.7cmの直方体形状の味付け即席麺を、図1〜図4に示した形状の容器内に封入した。容器の寸法は、周壁上部を拡げた状態における底部から開口縁までの高さが8.0cmで、封止時における内面寸法は、縦9.8cm、横9.8cm、高さ3.0cmである。
なお、容器は、外側から内側に向かって「ポリエチレン層(20μ)/紙層(340g/m)/ポリエチレン層(20μ)/アルミニウム層(7μ)/ポリエチレン層(20μ)/ポリエチレンフィルム(40μ)」の積層構造を有するシートを、図1、4に示すような形態として、底面となる部分を熱シールして成形したものである。
また、このシートの製造方法としては、まず、紙層の表側にポリエチレンを押出し積層する。他方、当該紙層の裏側に、接着層としてのポリエチレン層を介してアルミ泊を積層し、さらにその上に、接着層としてのポリエチレン層を介してポリエチレンフィルムを積層した。
容器内に即席麺を挿入後、周壁上部の開口縁を図3に示すように折り畳んでシール融着し、即席食品とした。このように製造した即席食品は、即席麺の麺塊と容器内壁との間に実質的に隙間が存在しない極めてコンパクトなものであった。
続いて、このようにして製造した図3(b)の形態の即席食品を開封し、図1のように開口させた。そして、熱湯を290ml(深さ4.5cmまで)注加し、約3分間放置して湯戻しした後、開封状態にある容器をそのまま食器として使用して、喫食した。
本発明の一実施形態に係る即席食品を、容器の上部を開けた状態で示す斜視図。 容器の上部を折り畳んでシールする方法を説明する説明図。 容器の上部を折り畳んでシールする方法を説明する説明図。 容器の底面を示す斜視図。 容器の周壁の高さについて説明する説明図。 容器の開封を容易にするための構成例を示す説明図。 容器の開封を容易にするための別の構成例を示す説明図。 容器の開封を容易にするためのさらに別の構成例を示す説明図。 円柱状のブロックに分割された固形食品を、立てて底壁上に並べて封止した例を示す模式図。 円柱状のブロックに分割された固形食品を、寝かせて底壁上に並べたて封止した例を示す模式図。
符号の説明
10 即席食品
20 容器
21 容器の周壁
21a
21b 周壁の上端縁
23 容器の底壁
25a、25b 摘み部分
27 スリット
28 切欠き
30、130 固形食品
40 シール融着部
41 ミシン目
42 シール融着部
42a シール融着部の頂点
43 シール融着部
43a シール融着部の第1部分
43b シール融着部の第2部分
44 湾曲点

Claims (6)

  1. 水分を加えて復元することで可食となる固形食品(30)を容器(20)内に封入してなる即席食品であって、
    容器(20)は、ほぼ全面が固形食品に接する底壁と、固形食品に沿って底壁の全周に延在するとともに固形食品の高さよりも高い周壁(21)と、を有しており、
    底壁上に置かれた固形食品(30)の上面に沿って上記周壁(21)の上部を折り畳んでシール融着することで、固形食品(30)は容器(20)内に封入されており、
    固形食品(30)を食する際には、折り畳まれた上記周壁(21)の上部を拡げることで、底壁上に置かれた固形食品(30)の高さよりも高い周壁(21)が構成され、これにより上記容器(20)は、少なくとも固形食品(30)を復元するために注がれる水分を収容し得る容積を有するに至り、
    上記周壁(21)の上部を拡げる前における容器(20)が実質的に直方体形状であって、固形食品(30)が、当該容器の内壁面全体に接するように、容器内に封入されていることを特徴とする、即席食品。
  2. 上記固形食品は、複数のブロックに分割されて容器(20)内に封入されていることを特徴とする、請求項1記載の即席食品。
  3. 上記固形食品(30)は、即席麺、または即席麺を圧縮して成形した圧縮即席麺であって、
    上部を拡げた状態における上記周壁(21)の高さは、固形食品(30)の高さの1.7倍以上、5倍以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の即席食品。
  4. 上記周壁のシール融着部(40)は、周壁上端縁(21b)に沿って延在していて、当該周壁(21)上でシール融着部(40)よりも下方側の位置に、開封用の破断線(41)を設けたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の即席食品。
  5. 上記周壁のシール融着部(42)は、その一部分(42a)が周壁上端縁(21b)の近傍に向かって突出していて、
    当該周壁(21)は、シール融着部(42)の当該一部分(42a)の近傍位置において、対向する2つ壁部の上端に摘み部分(25a、25b)を有していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の即席食品。
  6. 上記周壁のシール融着部(43)は、周壁上端縁(21b)に沿って延在する第1部分(43a)と、折畳み状態にある周壁の一側辺近傍において下方側に向かって第1部分から湾曲する第2部分(43b)と、を有していて、
    周壁の上記一側辺に、少なくとも周壁の上端縁(21b)から第1部分(43a)までの距離に等しい深さのスリット(27)を設けたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1つに記載の即席食品。
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