JP4642443B2 - マルチビジョンプロジェクターシステム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、モニタスクリーンに3D映像などが映し出されるアトラクション会場の内部空間が形成され、椅子に腰掛けたユーザに対して同一の映像等の視覚効果を与えるプロジェクターシステムと、その映像に同期してユーザごとに異なる音声を聞き取らせる音響システムとが記載されている。
1つのスクリーンに1つの投影器から映像を投影する場合、例えば、鑑賞者が少人数でもスクリーンが占有されるため、スクリーンや映写室の設備が多くなって効率が悪いという問題がある。
マルチビジョンシステムの場合、1つのスクリーンで複数の映像を投影するので、設備の効率は向上することができるが、互いに関連のない映像が投影される場合、他の映像が鑑賞の妨げとなるという問題がある。
特許文献1に記載の技術をマルチビジョンシステムに適用する場合、各鑑賞者が異なる音声を聞き取ることができるので、音声に対応した映像を選択的に鑑賞しやすくなる効果は期待できるものの、他の映像が視界に入るので視覚的には鑑賞の妨げとなる要因が残るという問題がある。例えば、会議の説明資料など秘密性のある映像は投影するわけにはいかないという問題がある。
一方、1つのスクリーンの共通領域に映像を投影することによりスクリーンを兼用し、異なる映像を異なる音声とともに、異なる鑑賞者グループごとに鑑賞できるようなプロジェクターシステムはこれまで知られていなかった。
この発明によれば、入射される映像を入射方向に応じてそれぞれに指向性を有する拡散光として投射できるようにしたスクリーンにより、複数の投影器により互いに異なる方向から投影された映像を、所定方向を中心とした拡散光の範囲に投射できる。そのため、1つのスクリーンを兼用して、複数の映像を所定方向に投射し、それぞれの所定方向で、特定の映像のみを鑑賞できる鑑賞領域を設定することができる。そして、スピーカーによりそれら複数の鑑賞領域で鑑賞できる映像に応じた音声を放射するので、鑑賞領域内の鑑賞者は他の映像や音声に妨げられることなく1つの映像と音声とを鑑賞することができる。
また、鑑賞領域が防音ブース内に設けられるので、開口部を除く方向から到達する音声を遮音することができるので、スピーカーからの音声がより聞き取りやすくなる。
この発明によれば、スピーカーをスクリーンの近傍に配置し、複数の鑑賞領域のそれぞれの方向への指向性を有する音声を放射するので、映像に対応する音声のみをそれぞれの鑑賞領域に確実に放射することができる。また、映像の見える方向から音声が放射されるので、鑑賞者が臨場感のある音声を聞きながら映像を鑑賞することができる。
この発明によれば、複数の鑑賞領域の内部または近傍に、その鑑賞領域内の範囲に指向性を有するスピーカーが少なくとも1つずつ配置されるので、各鑑賞領域内で鑑賞できる映像に対応した音声を確実に放射できる。また、指向性の程度や音量を比較的小さい設定とすることができるため、簡素なスピーカーであっても他の鑑賞領域への音漏れを防止しやすい。
この発明によれば、スピーカーが、複数の鑑賞領域のそれぞれに音声を放射する音声放射スピーカーと、隣接する鑑賞領域の音声と逆位相に調整された音声を発生する消音スピーカーとからなるので、鑑賞領域のそれぞれにおいて、隣接する鑑賞領域の音声が消音スピーカーの音声と干渉して消音される。そのため、各鑑賞領域で、隣接する鑑賞領域の音声に妨げられることなく、音声放射スピーカーの音声を確実に聞き取ることが可能となる。
この発明によれば、リアプロジェクターシステムとなるため、投影器と鑑賞領域とが確実に分離され、レイアウトすることが容易となる。
この発明によれば、透過型スクリーンが、水平方向において45°以下の範囲に拡散させるので、水平方向に複数の鑑賞領域を設けることが容易となる。45°より大きい角度範囲に拡散すると、光軸上を進む映像は分離できるものの、画角が大きい周辺部の映像同士が重なり合い、いわゆるクロストークが発生しやすくなり、複数の鑑賞領域を設けることが困難となる。
この発明によれば、フロントプロジェクターシステムとなるので、投影器の配置位置と鑑賞領域とを近接させることができるので、相互の位置関係の調整や投影器の操作が容易となる。また、鑑賞領域にブースなどを構築する場合、投影器の設置部材と兼用することが可能となる。
この発明によれば、反射型スクリーンが、水平方向において45°以下の範囲に拡散させるので、水平方向に複数の鑑賞領域を設けることが容易となる。45°より大きい角度範囲に拡散すると、光軸上を進む映像は分離できるものの、画角が大きい周辺部の映像同士が重なり合い、いわゆるクロストークが発生しやすくなり、複数の鑑賞領域を設けることが困難となる。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るマルチビジョンプロジェクターシステムについて説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係るマルチビジョンプロジェクターシステムの概略構成について説明するための平面視の模式説明図である。図1(b)は、図1(a)におけるa−a断面(b−b断面、c−c断面)の模式説明図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係るマルチビジョンプロジェクターシステムに用いる反射型スクリーンの構成を説明するための厚さ方向断面の部分拡大模式図および正面模式図である。
その概略構成は、図1(a)に示すように、投影器4A、4B、4C、スクリーン支持部材14により床200に対して略垂直に支持された平板状の反射スクリーン1(反射型スクリーン)、およびスピーカー20A、20B、20Cからなる。
そして、例えば曲り梁状などの支持部材13により床200上に支持されている。
投影器4A、4B、4Cの構成は、互いに同一または異なる構成を有する別体の装置であってもよいし、映像の出射口の位置が異なっていれば、単一装置から複数の映像を投影する装置部分であってもよい。また制御部や信号源が共通であってもよい。
以下では、投影器4A、4B、4Cに共通する説明を行う場合に添字A、B、Cを省略して投影器4と総称する場合がある。また誤解の恐れがない限り、投影光5A、5B、5Cや、後述する映像反射光6A、6B、6Cも、それぞれ投影光5、映像反射光6と称する場合がある。
投影器4Bの下方には、投影光5Bが反射された映像反射光6Bが到達して、反射スクリーン1上の投影光5Bの像を鑑賞することができる鑑賞領域Bが形成されている。
なお、鑑賞領域Bは仮想的な3次元空間の領域であり、図示では2点鎖線の楕円が描かれているものの、本実施形態ではそのような区画線や仕切は存在せず、その代り、内部にテーブル12が配置され、その周りに適宜人数の鑑賞者7が着席できる椅子など(不図示)が配置されている(後述する鑑賞領域A、Cも同様)。したがって、テーブル12の周りに着席すれば、鑑賞者7の目が確実に鑑賞領域B内に位置するようになっている。
そして、投影器4A、4Cの下方には、投影光5A、5Cが反射スクリーン1で反射された映像反射光6A、6Cがそれぞれ到達し、投影光5A、5Cの像を鑑賞することができる鑑賞領域A、Cが形成されている。
投影器4A、4Cの高さ方向の位置は、投影器4Bと異なっていてもよく、必要なら反射スクリーン1に対して下側の位置に設けてもよいが、本実施形態では、投影器4Bと同じ高さに設定されている。
反射スクリーン1は、入射光を入射方向に対して略180°をなす方向(所定方向)に反射するとともに、この方向を中心に一定角度、例えば30°以下の範囲に拡散させるための反射部材である。
ここで、拡散光の角度範囲は、光強度分布のピーク値Imaxに対して0.2%以上、および角度範囲における光強度分布の平均値Iaveの0.4%以上、のいずれかを満足する角度範囲として定義するものとする。このように構成し、投影側の最大輝度をコントロールすることにより実質的に格段考の角度範囲外に光がもれていないことと同等となる。
反射スクリーン1の概略構成は、図2(a)に示すように、拡散板2(拡散素子)、コーナーキューブアレイ3からなり、それらの間隔を一定に保持した状態で、反射スクリーン1の前面側(投影器4側、図示右側)からこの順に配置されている。
反射スクリーン1の正面視形状は、幅W、高さHの略矩形状であり、対角長がL=√(W2+H2)である(図2(b)参照)。
拡散板2の材質としては、例えば、合成樹脂、ガラス板などが採用できる。
また、薄層シート状に形成した透過拡散シートを透明平板上に貼り付けて形成してもよい。
また、基板材料と屈折率の異なる光透過性の微小粉体などを表面に設けたり、板厚内に分散させたりしてもよい。後者の場合、厳密には透過拡散面は形成されないが、拡散板2の板厚が薄い場合には、近似的に板厚中央に透過拡散面が形成されたものと見なすことができる。
透過面2bは、光利用効率を向上するためには透過率が高いことが好ましく、必要に応じて反射防止コートを施してもよい。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るマルチビジョンプロジェクターシステムの反射型スクリーンに用いることができるコーナーキューブ群の概略構成を説明するための、平面視模式説明図およびそのD−D断面図である。
平板部3Bの拡散板2側には、拡散板2の透過面2bと略平行に配置された入射面3aが形成されている。
LC=2・LT/√3 ・・・(1)
ピッチLCは、三角錐部3Aの底面の内接円径となっており、コーナーキューブプリズム30の実質的な大きさの代表値となっている。
LCの大きさは、必要な解像度に応じて設定することができる。例えば、反射スクリーン1上で、幅Wの黒ラインと幅Wの白ラインが交替するパターンを解像する解像度を設定するには、次式を満足することが必要である。
LC<W ・・・(2)
また、式(2)を満足しても、拡散板2の拡散領域の範囲が大きく、コーナーキューブプリズム30の大きさを超えた範囲で拡散されると解像度が低下してしまう。そのため、拡散板2の凹凸のピッチをLdとして、次式を満足することが好ましい。
LC>Ld ・・・(3)
解像力を向上するには、Ldはさらに小さいことが好ましく、次式を満足することがより好ましい。
LC>2・Ld ・・・(3a)
また、透明基板をフォトリソグラフィプロセスによりエッチングして製造することもできる。
コーナーキューブアレイ3を製造する際、コーナーキューブアレイ3をいくつかに分割したコーナーキューブユニットを製作し、それらを境界で接合するようしてもよい。このようにすれば、大型のコーナーキューブアレイ3を製造することが容易となる。また、例えば金型を製造する場合には、金型の製造が容易となり、精度よい金型を製造できるという利点がある。
また、必要であれば、単一のコーナーキューブプリズム30をコーナーキューブユニットとしてもよい。
スピーカー20A、20B、20Cとしては、音響放射範囲が、鑑賞領域A、B、Cに含まれるような指向性を有する適宜のスピーカーが採用できる。指向性の程度は各鑑賞領域の大きさやスピーカー20に対する位置関係により適宜に設定できる。
このようにすれば、音声21がそれぞれの鑑賞領域から漏れたとしても、各鑑賞領域の鑑賞者7は各鑑賞領域に応じた音声21を聞き取ることができる。
高い指向性を実現するためには以下のような公知技術を採用することができる。
例えば、2次元的に配置された複数のスピーカーのそれぞれの音圧および周波数特性を制御するディジタルフィルタなどの制御部を備え、適宜の指向性パターンを有する音声を合成するスピーカーシステムを好適に採用することができる(例えば、特開平5−41897号公報参照)。
また、強力な超音波信号に可聴域の音波を乗せて搬送し、空気の復調作用により放射方向の特定の空間で可聴域成分の音声が放射されるようにしたパラメトリックスピーカーを好適に採用することができる(例えば、特開2000−3182公報参照)。
また、同一音声を放射する複数のスピーカーを列状に配置したり、1つの音源により音響管内を伝搬する音波を音響管と直交する方向に複数箇所から放射可能に設けたりして、特定の領域に同位相の音波を複数放射し、その領域で音圧が増大させることにより、指向性の高い音声を放射するスピーカーシステムを好適に採用することができる(例えば、特開平11−234784号公報参照)。
また、例えばセラミック圧電素子などの複数の電気音響変換素子を音響放射方向にスライド可能に配列し、それぞれの電気音響変換素子によりパラメトリックスピーカーを構成し、それぞれの電気音響変換素子の位置を制御することにより、それらが超音波として搬送する可聴域の音声が特定の領域に集まるように構成したスピーカーシステムを好適に採用できる(例えば、特開2004−112211公報参照)。
図4(a)は、本発明の第1の実施形態に係る反射型スクリーンの作用について説明するための模式説明図である。図4(b)は、同じく反射型スクリーンの指向性について説明するための模式説明図である。図4(c)は、図4(b)の反射光の光強度分布を説明するための模式グラフである。グラフの横軸は反射角度、縦軸は光強度である。図5は、本発明の第1の実施形態に係るマルチビジョンプロジェクターシステムの作用について説明するための平面視の模式光路図である。
投影光5は、透過拡散面2aに入射すると、透過拡散面2aに反射防止コートが施されていない場合は、反射光5bとして一部が拡散されつつ反射される。
それ以外の光は、透過拡散面2aを透過して、光軸に対して例えば角度φ1、φ2の範囲で拡散する拡散光50としてコーナーキューブアレイ3に入射する。
コーナーキューブアレイ3の反射面3b…は、互いに直交しているため、拡散光50は、再帰性反射される。すなわち、入射角によらず、入射方向に対して180°方向に反射され、略拡散された位置に戻る。厳密には平面視で点Pからわずかにずれた位置に戻るが、コーナーキューブプリズム30の大きさを代表するピッチLCを十分小さく設定しているので、このずれ量は無視することができる。
したがって、図4(a)に示すように、近似的に点Pに戻るとしてもよい。すなわち、拡散光50は、入射角が(θ+φ1)〜(θ−φ2)の範囲で点Pに再入射する。そして、それぞれの光線が再度透過拡散面2aの拡散作用を受け、(θ+φ1)〜(θ−φ2)よりやや広い角度範囲(θ+θ2)〜(θ−θ1)の間の映像反射光6cとして光源側(図示右側)に進む。
本実施形態では、拡散板2の拡散の度合を調整して、0°<θ1≦30°、0°<θ2≦30°としている。そのため、少なくとも3方向から反射スクリーン1に入射させたときに、拡散光をそれぞれ独立の領域に反射させることが可能となっている。より多くの独立の領域に反射させるには、指向性の大きさは、より小さいことが好ましく、例えば、θ1、θ2の値を25°以内、20°以内、10°以内などのように指向性の大きさを調整することが好ましい。
0°<θ1+θ2≦45° ・・・(4)
式(4)を満足することにより、投影光5の投射画角が大きい場合でも、クロストークの発生を防止することができるので、各投影器4や各鑑賞領域をレイアウトすることが容易となる。
また、本実施形態では、透過拡散面2aの透過光をコーナーキューブアレイ3で反射して透過拡散面2aから出射するので、光量損失が少なく光利用効率に優れる反射スクリーンとなっている。
この光強度分布を、図4(c)に曲線500として示した。破線で示す曲線501は、比較のため、出射角が角度θ方向である一般的な拡散反射面の光強度分布を示したものである。
このような指向性の強さは、角度θ1、θ2の大きさで表され、透過拡散面2aの拡散の度合を設定することにより可変することができる。本実施形態では、映像反射光6として、大部分が透過拡散面2aを2回通過する光を用いているので、透過拡散面2aの拡散の度合を一般の拡散板に比べて半分にすることができる。したがって、それだけ拡散板2の透明度を向上できるから、拡散板2による光量損失を大幅に低減できる。
また、本実施形態は、反射スクリーン1に対する入射方向が拡散光の反射方向の範囲に含まれる例ともなっている。
なお、上記の指向性の説明は、図4により垂直方向断面の例で説明したが、水平方向断面でも同様である。
投影器4Aは、反射スクリーン1から距離dだけ離れた位置に配置される。
反射スクリーン1に向けて投影光5Aが投射されると、点KAから所定の放射角(∠SKAT)で拡がって、反射スクリーン1上の共通投影領域35に投射される。
反射スクリーン1に投射された投影光5Aは、反射スクリーン1により、入射方向に対して略180°をなす方向に再帰性反射されるとともに、その方向に対して一定の角度範囲(θ1+θ2)内に拡散された映像反射光6Aが形成される。ここで、θ1=∠KASJA、θ2=∠KASMAとする。
すなわち、投影器4Aの配置位置では、平面視において、点KAを中心に、線分JAMAの範囲に映像反射光6Aが戻る。
したがって、線分JAMAの範囲では、線分STの範囲の投影光5Aの情報を観察できる。
△SQTの領域は、投影光5A、5Bが重なり、両方の像が混在する領域である。つまり、映像反射光6A(6B)が到達する範囲のうちこの領域以外では、投影光5A(5B)の像のみを鑑賞することができる。したがって、少なくとも距離d0以上離れた領域では確実に両方の像の混在を避けることができる。
以上は、2次元で説明したが、3次元の場合も同様に理解される。
上記の説明では、各投影器4が反射スクリーン1から等距離に配置されたものとして説明したが、例えば、投影器4A、4Cを反射スクリーン1側に近づけてもよいことは明らかであり、例えば図1のような放射状の配置構成をとることができる。
また、各鑑賞領域には、それぞれスピーカー20A、20B、20Cからそれらの鑑賞領域に対してそれぞれ指向性を有する音声21C、21B、21Aが放射され、それによりそれぞれの鑑賞領域内で他の音声、暗騒音に比べて高い音圧レベルとされるので、投影光5A、5B、5Cにそれぞれ対応した音声を鑑賞することができる。
したがって、1つの反射スクリーン1に複数の投影光5を投射して、そのうち1つに対応する映像と音声とを各鑑賞領域で独立に鑑賞することができるので、反射スクリーン1を有効利用することができる。
また、鑑賞領域A、B、C以外の領域、例えば、反射スクリーン1から見て鑑賞領域A、B、Cの後側に設けられた領域X、Yなどでは、各鑑賞領域の映像や音声を見たり聞いたりできないので、それらのスペースを他の用途、例えば会議スペースなどとして有効利用することができる。
また、再帰性反射を用いるので、投影光5の近傍に鑑賞領域を設定することができ、投影位置の調整などが容易となる。
また、各投影器4は各鑑賞領域が重ならなければ、拡散光の角度範囲内で、入射角度を自由に設定できるので、反射スクリーン1に対する投影器4の配置自由度、配置個数の自由度が高いという利点がある。
また、各投影器4の近傍に各鑑賞領域を設けるので、鑑賞者7が鑑賞しながら、投影器4を操作しやすくなるから好都合である。
図6は、本発明の第1の実施形態の変形例に係るマルチビジョンプロジェクターシステムの概略構成について説明するための平面視模式図である。
本変形例のプロジェクターシステム101(マルチビジョンプロジェクターシステム)は、上記実施形態のプロジェクターシステム100の反射スクリーン1に代えて、反射スクリーン102(反射型スクリーン)を備える。
そして、上記実施形態と同様の構成の投影器4A、4Cを備えるが、反射スクリーン102に対して、投影器4Aが入射角θで投影光5Cと重なる範囲に投影光5Aを投射し、投影器4Cが投影光5Aの出射角θの方向から投影光5Cを投射するように配置したものである。
また、上記実施形態と同様の構成のスピーカー20A、20Cを備えるが、この場合、スピーカー20A(20C)からは、鑑賞領域A(C)で鑑賞される投影光5C(5A)の投射による等映像に対応する音声21C(21A)を放射する構成とされている。以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
ただし、透過拡散面を透過した拡散光の反射部材102bによる反射光が拡散された位置の近傍を通過するように、拡散部材102aの透過拡散面は、略反射部材102b上に設けることが好ましい。
また、鑑賞領域A、Cには、それぞれスピーカー20A、20Cからそれらの鑑賞領域に対してそれぞれ指向性を有する音声21C、21Aが放射され、それによりそれぞれの鑑賞領域内で他の音声、暗騒音に比べて高い音圧レベルとされるので、投影光5C、5Aの投射による投影像にそれぞれ対応した音声を鑑賞することができる。
したがって、1つの反射スクリーン102に複数の投影光5を投射して、そのうち1つに対応する映像と音声とを各鑑賞領域で独立に鑑賞することができるので、反射スクリーン102を有効利用することができる。
その際、反射スクリーン102として平滑なミラー面を有する反射部材102bを用いることができるので、反射スクリーン102を容易に製造することができるという利点がある。
次に、本発明の第2の実施形態に係るマルチビジョンプロジェクターシステムについて説明する。
図7(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態に係るマルチビジョンプロジェクターシステムの概略構成について説明するための斜視模式説明図および各投影光の光軸を含む断面視の模式説明図である。
投影光5は反射スクリーン1の共通投影領域35上で、指向性を有する拡散光である映像反射光6A、6B、6Cが反射され、略水平方向の前方領域に互いに独立した鑑賞領域A、B、Cが第1の実施形態と略同様の位置に形成される。
各防音ブース22には、それぞれテーブル12が配置され、その周りに適宜人数の鑑賞者7が着席できる椅子など(不図示)が配置されている。したがって、テーブル12の周りに着席すると、鑑賞者7の目が確実に鑑賞領域内に位置するようになっている。
スピーカー20A(20B、20C)は、防音ブース22A(22B、22c)内であれば、適宜の位置に配置することができるが、本実施形態では、防音ブース22A(22B、22C)の内側の天井部に設置されている。この他にも、テーブル12の上や防音ブース22の内側の壁面なども好適である。
また、秘密性の高い映像、音声であっても落ち着いて鑑賞することができ、それらを見ながら会議を開く場合などにきわめて好都合である。
また、防音ブース22の内部にスピーカー20を配置するため、高い指向性を備えなくとも音漏れを防止できるから、比較的指向性が低い簡素な構成を採用することができるという利点がある。また、スピーカー20の配置位置、音量などによっては、ほとんど指向性がないスピーカーを採用することもできる。
次に、本発明の第3の実施形態に係るマルチビジョンプロジェクターシステムについて説明する。
図8(a)は、本発明の第3の実施形態に係るマルチビジョンプロジェクターシステムの概略構成について説明するための平面視模式説明図である。図8(b)は、図8(a)におけるe−e断面(f−f断面、g−g断面)の模式説明図である。
スピーカー24A(24B、24C)は、スピーカー20などと同様の構成を有し鑑賞領域A(B、C)に向けて指向性を有する音声21Aを放射するもので、音源制御装置27A(27B、27c)に接続されている。そして、例えば柱状などの支持部材13により床200上に支持されて、鑑賞領域A、B、Cの上方を略覆うように設けられた取付板23A(23B、23C)の下面側に設置されている。
取付板23A(23B、23C)は、鑑賞領域A(B、C)に対してスピーカー24A(24B、24C)を位置決めして保持するとともに、それらの後方(図示上側)からの騒音を遮音する機能を有している。
スピーカー24A、24B、24Cは、図8には複数設けた例を示しているが、例えば鑑賞領域が狭いなどの場合は1つでもよい。
消音スピーカー25A(25B、25C)は、取付板23A(23B、23C)の下面側に位置決めして設置されている。消音スピーカー25A(25B、25C)は、図8には複数設けた例を示しているが、例えば鑑賞領域が狭いなどの場合は1つでもよい。
各鑑賞領域において鑑賞の妨げとなりやすいのは隣接する鑑賞領域からの漏れ伝わる音声であるから、例えば、消音音波26Bとして、隣接する鑑賞領域A、Cから漏れてくる音声21A、21Cと逆の位相を有する音波を採用することができる。そして、鑑賞領域B内に到達した音声21A、21Cとの干渉を利用して音圧レベルを低減するようにしている。
また、消音音波26A、26Cは、同様に、音声21Bを消音するために音声21Bと逆の位相を有する消音音波26A、26Cを採用することができる。
このようにして、各鑑賞領域で、隣接する鑑賞領域からの漏れ音声が消音されるから、例えば防音ブースなどに覆われていなくても、隣接する鑑賞領域からの漏れ音声に妨げられることなく映像および音声を鑑賞できる。そのため、防音ブースなどの設備を設けることなく、開放的な雰囲気で鑑賞することができる。
このように、逆位相に調整される音声は、少なくとも音声21A、21Cを含んでいればよく、それ以外の騒音成分を含んでいてもよいものである。
この場合、鑑賞領域の大きさに応じて、指向性の高い複数の消音スピーカーを設けて、細かい領域に分けて消音を行うとより高い消音効果が得られる。
次に、本発明の第4の実施形態に係るマルチビジョンプロジェクターシステムについて説明する。
図9(a)は、本発明の第4の実施形態に係るマルチビジョンプロジェクターシステムの主要部の概略構成について説明するための背面側からの斜視模式説明図である。図9(b)は、図9(a)における各投影光の光軸を含む断面視の模式説明図である。図9(c)は、図9(b)の平面視の模式光路図である。
このため、スクリーンの前方領域は、図1のスクリーンの前方領域と略同一の構成を有するので、図示および説明を省略する。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
そして、プロジェクター装置106の前面側(図9(b)の図示左側)に略垂直方向に設けられている。
なお、本実施形態では、各投影光5がすべて共通投影領域35上に投射された例となっている。
図9(b)において、符号45、46、47は、それぞれ光源、空間変調素子、投影レンズを示す。
このためスクリーンが、反射型スクリーンであるか透過型スクリーンであるかの違いはあるものの、第1の実施形態と同様にして、各投影光5の像がそれぞれ対応した鑑賞領域のみで鑑賞できるものである。
一方、スピーカー20A、20B、20Cによれば、第1の実施形態と同様に各鑑賞領域内で、各投影光5に対応した音声21A、21B、21Cが鑑賞できるものである。
このようにリアプロジェクターシステムによれば、投影器が、スクリーンの背面側に設けられるので、スクリーンの前方領域に大きな空きスペースが形成されるという利点がある。
その際、各投影光5が背面投射スクリーン110上で重なり合う共通投影領域35の大きさや範囲は、同一としてもよいし、可変するようにしてもよい。
この場合、透過拡散面2aが表面に露出しないので、ゴミや汚れに強い構成とすることができるという利点がある。仮に透過面2bにゴミや汚れが付着した場合でも、滑らかな平面または曲面からなるため、容易に清掃することができる。
この場合、光透過性を有しない材料でもコーナーキューブアレイを構成することができるという利点がある。
投影器が1つで、スピーカーもそれに対応して1つの場合は、どのように構成しても映像、音声が他の鑑賞領域と重なるという問題は生じないが、鑑賞領域を限定的に設定できるため、秘密性を必要とする例えば会議などのために鑑賞領域をブースやついたてなどにより覆うことなく容易に設定できるものである。また、その他の空間を鑑賞目的以外の用途に有効活用できるという利点がある。
全部が同じ場合にはクロストークの問題は生じないものの、大画面であっても空間的に限定された複数の鑑賞領域を設けることができるという利点を有することは同様である。
また、同一の映像であっても、鑑賞領域ごとに異なる音声を放射するようにしてもよい。例えば、同一の外国語映画をある鑑賞領域では字幕版で上映し、別の鑑賞領域では吹替版上映するといったような単一スクリーンからなる映画館を構成することができる。
例えば、透過拡散面とコーナーキューブアレイとの間にハーフミラーを形成して、映像光を分岐すれば、入射方向と正反射方向との2方向を所定方向とする反射スクリーンを構成することができる。
また、鏡面の正反射方向を所定方向とする反射スクリーンは、反射スクリーン102の構成に限定されるものではない。
2 拡散板(拡散素子)
2a 透過拡散面
2b 透過面
3 コーナーキューブアレイ
3A 三角錐部
3a 入射面
3b 反射面
3c 頂点
4A、4B、4C 投影器
5A、5B、5C 投影光
6A、6B、6C 映像反射光
20A、20B、20C スピーカー
21A、21B、21C 音声
22A、22B、22C 防音ブース
22a 開口部
24A、24B、24C スピーカー(音声放射スピーカー)
25A、25B、25C 消音スピーカー
26A、26B、26C 消音音波
27A、27B、27C 音源制御装置
30 コーナーキューブプリズム
35 共通投影領域(共通領域)
50 拡散光(透過光)
60A、60B、60C 映像透過光
100、101、103、104、105 プロジェクターシステム(マルチビジョンプロジェクターシステム)
102a 拡散部材
102b 反射部材
110 背面投射スクリーン(透過型スクリーン)
Claims (8)
- 映像を互いに異なる方向から投影する複数の投影器と、
該複数の投影器により投影された複数の映像を、入射方向に応じてそれぞれ所定方向に指向性を有する拡散光として投射するスクリーンと、
該スクリーンから投射された複数の映像が混じることなく、それぞれ個別に鑑賞できるようにした複数の鑑賞領域と、
該複数の鑑賞領域で個別に鑑賞される映像に対応した音声を前記複数の鑑賞領域に個別に放射可能とするスピーカーとを備え、
前記鑑賞領域が、前記スクリーンに向かう方向に開口部を有し開口部を除いて遮音された防音ブース内に設けられたことを特徴とするマルチビジョンプロジェクターシステム。 - 前記スピーカーが、前記スクリーンの近傍に配置され、前記複数の鑑賞領域のそれぞれの方向への指向性を有する音声を放射することを特徴とする請求項1に記載のマルチビジョンプロジェクターシステム。
- 前記スピーカーを複数備え、該複数のスピーカーが、前記複数の鑑賞領域の内部または近傍に少なくとも1つずつ配置され、配置された前記鑑賞領域内の範囲に指向性を有する構成とされたことを特徴とする請求項1に記載のマルチビジョンプロジェクターシステム。
- 前記スピーカーが、
前記複数の鑑賞領域のそれぞれに向けて音声を放射する音声放射スピーカーと、
前記複数の鑑賞領域のそれぞれに隣接する鑑賞領域からの音声を消音するために前記隣接する鑑賞領域の音声と逆位相に調整された音声を放射する消音スピーカーとからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマルチビジョンプロジェクターシステム。 - 前記複数の投影器からの各映像を、前記複数の鑑賞領域から見て、前記スクリーンの裏面側から投影することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマルチビジョンプロジェクターシステム。
- 前記スクリーンが入射光を透過して拡散させる透過型スクリーンからなり、
前記透過型スクリーンが、入射光を少なくとも水平方向において45°以下の範囲に拡散させることを特徴とする請求項5に記載のマルチビジョンプロジェクターシステム。 - 前記複数の投影器からの各映像を、前記複数の鑑賞領域から見て、前記スクリーンの表面側から投影することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマルチビジョンプロジェクターシステム。
- 前記スクリーンが入射光を反射して拡散させる反射型スクリーンからなり、
該反射型スクリーンが、入射光を少なくとも水平方向において45°以下の範囲に拡散させることを特徴とする請求項7に記載のマルチビジョンプロジェクターシステム。
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