JP4639823B2 - 荷電粒子線露光用マスクブランク、荷電粒子線露光用マスク、及びその製造方法、並びにパターン露光方法 - Google Patents

荷電粒子線露光用マスクブランク、荷電粒子線露光用マスク、及びその製造方法、並びにパターン露光方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子線やイオンビーム等の荷電粒子線露光に用いられる荷電粒子線露光用マスク(転写マスク)に関する。
近年、LSI等の微細化が急速に進み、これらの素子の更なる微細な回路パターンを形成するための技術として、リソグラフィー技術の開発が進められている。特に電子ビームリソグラフィーやイオンビームリソグラフィーはパターン線幅65nm以下の微細パターンの形成技術として開発が進められている。
これらの技術は、従来、露光光源として用いられているArFやKrF等のエキシマレーザーの代わりに電子ビームやイオンビームの荷電粒子線を露光源として利用する技術であり、電子線或いはイオンビームを荷電粒子線露光用マスク(転写マスク)に照射し、これらの荷電粒子線をマスク上の電子線透過孔により所望のパターンに形成して、ウェハ上のレジストを感光させ微細パターンを形成する。
これらの露光に用いられる荷電粒子線露光用マスクの製造にはSOI(ilicon
nsulator)基板が多く用いられている。図2に示すように、SOI基板(20)は、支持基板となる単結晶シリコン(23)上に埋め込み酸化膜(Buried Oxide Layer:以下BOX層と記述)と呼ばれるシリコン酸化膜(22)が形成され、その上に活性層と呼ばれる単結晶シリコン(21)が形成された3層構造となっている。
荷電粒子線露光用マスクの製造に用いられるSOI基板は、通常、支持基板の厚みが525μm〜725μm、BOX層の厚みが0.5μm〜1.0μm、活性層の厚みは0.5μm〜2.0μm程度であり、これらの各層の膜厚は露光方式により使い分けられる。
SOI基板を用いた荷電粒子線露光用マスク(30)の構造例を図3に示す。支持基板には電子線を透過させるため開口部(35)が形成され、活性層上には電子線を微細パターンに形成するための電子線透過孔(34)が形成される。電子線透過孔が形成される活性層は単層自立膜(以下、メンブレンと記述)となっている。メンブレンの厚さは露光に使用する電子線の加速電圧や露光方式により異なるが、電子線透過孔を透過する電子線以外はメンブレンにより遮蔽もしくは散乱され、電子線透過孔を透過した電子線によってレジストが露光される。このようにメンブレン上に微細パターンが形成された荷電粒子線露光用マスク(転写マスク)はステンシルマスク(以下、ステンシルマスクと記述)と呼ばれる。
図4に製造工程例を示し、以下にステンシルマスクの製造工程の一例を説明する。まず、SOI基板(46)の支持基板側に開口部を形成するためのレジスト(47)を塗布する。このレジストを露光、現像し、開口部を有するレジストパターン(48)を形成する(図4(a)〜(c))。このレジストパターンをエッチングマスクとして、ドライエッチングもしくはウェットエッチングにより支持基板をエッチングする。この際の支持基板のエッチングはBOX層(45)をエッチングストッパー層として行われ、支持基板の加工後にレジストとBOX層を除去して開口部(49)を完成する(図4(d)〜(e))。
開口部は、ドライエッチング法とウェットエッチング法のいずれの方法によっても形成
が可能である。ドライエッチング法では、一般にCF4 やC2 6 、SF6 等のフッ素系のガスやCl2 等の塩素系のガスを用いたプラズマエッチングにより行われる。ドライエッチング法による支持基板の加工ではエッチング条件の調整により支持基板を垂直に加工することが可能である。
ウェットエッチング法により開口部を形成する場合、水酸化カリウム水溶液やテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等のアルカリ溶液を用いたシリコンの異方性エッチングを用いる。この場合、単結晶シリコンの溶解速度が結晶方位によって異なる性質を利用してエッチングを行う。
一般的に結晶方位(100)面と結晶方位(111)面のエッチングレート差を利用する場合が多く、この場合側壁に(111)面が露出し、側壁テーパー角はおよそ54.7°となる。このため形成可能なメンブレンの間隔や形状に制限がある。例えば、開口部を垂直に形成できないため、隣接するメンブレンの間隔は一定値以上必要となる。また、エッチングはシリコンの結晶方位に沿って進行するため、形成される開口部も結晶方位に則った形状となる。このため、完全な円形パターンを形成することは難しい。
しかし、ウェットエッチング法ではドライエッチング法に比べ設備コストが安価であり、また、ドライエッチング法でしばしば問題となる残渣や異物の発生等の問題が少ない。また、ウェットエッチング法ではエッチングレートはおおよそエッチング液の濃度と温度によって決定されるため、ドライエッチング法で問題となるエッチングレートの面内分布の問題も少ない。このため、大面積の開口部を形成する場合には、ウェットエッチング法が有利となる。
次に、メンブレンとなった活性層(21)への電子線透過孔(44)の形成を行う。まず、活性層上に電子線透過孔形成用のレジストを塗布し電子線描画等を用いてレジストを露光現像し、電子線透過孔のレジストパターン(43)を形成する(図4(f))。このレジストパターンをエッチングマスクとして活性層をエッチングし、電子線透過孔(44)を形成した後、レジストを剥離してステンシルマスク(410)が完成する(図4(g))。
活性層のエッチングには高アスペクト比の開口が必要となるため、一般にはプラズマを用いたドライエッチングにより形成する。上述のステンシルマスクの製造方法は、支持基板を加工して開口部を形成した後にメンブレンとなった活性層の加工を行う方式を採っているが、先にBOX層をストッパー層として活性層に電子線透過孔を形成した後に、開口部を形成する方法によっても、上記ステンシルマスクの製造は可能である。
このように、通常ステンシルマスクの製造では、電子線透過孔と開口部を別個に形成するため、電子線透過孔及び開口部を形成する際にエッチングストッパー層が必要となる。ステンシルマスクの製造にSOI基板を使用する利点はBOX層をエッチングストッパー層として利用することが可能である点である。
シリコンウェハ上に活性層及びエッチングストッパー層をCVD(Chemical Vapor Deposition)法やPVD(Physical Vapor Deposition)法により形成する場合、各層の膜厚均一性の向上や、膜欠陥の管理が必要となり、ステンシルマスク製造にかかる工程数と製造コストが増加する。
これに対し技術完成度の高いSOI基板をステンシルマスク製造用基板として用い、活性層とBOX層をそれぞれメンブレン及びエッチングストッパー層として利用することで、ステンシルマスク製造にかかる工程数とコストを削減することが可能となる。このためSOI基板は電子線リソグラフィーやイオンビームリソグラフィーのステンシルマスク製造用の基板として多く用いられている。
あらかじめ活性層やエッチングストッパー層を有するSOI基板はステンシルマスクの製造には適しているが、実際にSOI基板をステンシルマスクとして用いる際に問題が生じる。それはSOI基板の反りに起因する転写精度の悪化である。大きな反りを有するSOI基板を用いて作製されたステンシルマスクは、その影響を受け、ステンシルマスク自体も反った状態となる。ステンシルマスクは露光機内の静電チャックにより設置されるが、ステンシルマスク自体に歪みが生じている場合、チャッキングの際に受ける機械的な力によりステンシルマスクの歪みが増大し、チャッキングされたステンシルマスクに再現性のない変形が生じる。
この変形によりメンブレン上に形成された微細パターンに位置ずれが発生し、露光時の転写精度や再現性に悪影響を及ぼす。このため、転写精度の高いステンシルマスクを製造するためには、反り変形の少ないSOI基板を用いてステンシルマスクを製造することが必要となる。
このSOI基板の反りはBOX層を構成するシリコン酸化膜が有する圧縮応力が原因となり発生している。一般に、膜応力は引っ張り応力と圧縮応力に分類され、引っ張り応力は膜自体が収縮する方向に力が働き、引っ張り応力を有する薄膜が形成された基板は薄膜側に凹型に変形する。圧縮応力は薄膜自身が伸長する方向に力が働くため、成膜後の基板は薄膜側に凸型に変形する。
一般に、引っ張り応力の値は正の数値で表され、圧縮応力の値は負の数値で表される。SOI基板の変形の原因となるBOX層の応力は圧縮応力であり、SOI基板はBOX層側に凸型に変形する。この反り量はSOI基板の製造方法により多少のばらつきは生じるが、その反り量はおおよそBOX層の応力と膜厚により決定する。
BOX層を構成するシリコン酸化膜は加熱処理により形成される熱酸化膜であり、その応力は約300MPa程度の圧縮応力である。SOI基板全体の反り量はBOX層の応力の他にSOI基板を構成する各層の膜厚や口径等によっても異なるが、例えば、直径200mmのSOI基板で活性層の膜厚が2μm、BOX層の膜厚が1μm、支持基板の膜厚が725μmとした場合、BOX層が300MPaの圧縮応力を有すると仮定すると、SOI基板全体で活性層側に約85μm膨らんだ形の反りが発生することが予想される。
ステンシルマスクが露光機に設置された際に、チャッキングによる機械的な外力が加わった際に、その影響を受けないためにはステンシルマスクには高い平坦性が必要となる。
SOI基板の反りを抑える方法の一つとして、SOI基板の支持基板側に圧縮応力及び膜厚を制御した薄膜、すなわち、反り調整層を形成し、SOI基板の反り量を調整する方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法によれば、SOI基板の反り量を制御してステンシルマスクを製造することが可能となり、マスクの転写精度を向上させることが可能である。
しかし、前述のように大口径のメンブレンを形成するためにはウェットエッチング法により開口部を形成することが有効となるが、開口部の形成をKOH等の強アルカリを用いたシリコン異方性ウェットエッチングによって形成する場合、反り調整層には圧縮応力と膜厚の制御性に加え、強アルカリに対するエッチング耐性が必要となる。これらの特性を同時に満たす膜は少なく、反り調整層として用いることが可能な材料が限られる。
また、異方性ウェットエッチングでは単結晶シリコンの結晶方位ごとのアルカリ溶液速度差を利用し、エッチングレートが他の結晶方位に比べ極端に小さい結晶方位(111)面を側壁として利用するが、結晶方位(111)方向へも僅かにエッチングが進行する。このため、例えば、結晶方位(111)面を側壁として結晶方位(100)面をエッチングして開口部を形成すると、図5に示すように、反り調整層(54)直下のシリコンがエッチングされてアンダーカットが発生し、アンダーカットが発生した箇所の反り調整層は
ひさし(55)のように空中に浮いた形となる。
反り調整層の応力はBOX層の圧縮応力に対抗するため圧縮応力となっているため、アンダーカットによって形成された反り調整膜のひさし部分は衝撃により破損し易く、ひさしが破損すると破損した反り調整層の破片はマスクに貼りつき、一度貼りついた破片を選択的に除去することは非常に困難となる。
前述の通り、露光機のスループット向上のためにはメンブレンサイズの拡大が有効であるが、これに伴い開口部の面積も拡大する必要がある。支持基板の加工をプラズマを用いたドライエッチングで行う場合、エッチング面積の増大に伴う、エッチングレートの面内分布の悪化が顕著となるため、大面積の開口部形成にはウェットエッチングが有効であり、反り調整を施したSOI基板においてウェットエッチング法による開口部を形成可能にすることが必要となる。
特願2002−275460
本発明は、上述の技術背景に鑑みてなされたものであり、反り調整層を有したSOI基板を用いた荷電粒子線露光用マスク(ステンシルマスク)の製造において、ウェットエッチング法により開口部形成を行った際に発生する反り調整層のひさしを選択的に除去し、マスク製造の歩留まりを向上させることのできる荷電粒子線露光用マスクブランクを提供することを課題とするものである。
また、上記荷電粒子線露光用マスクブランクを用いて製造した荷電粒子線露光用マスク、及びその製造方法、並びに上記荷電粒子線露光用マスクを用いた荷電粒子線のパターン露光方法を提供することを課題とする。
本発明は、SOI基板の支持基板側に設けられた反り調整層上に、アルカリ耐性を有し、前記反り調整層の材料とは異なる材料を用いた保護層が形成されていることを特徴とする荷電粒子線露光用マスクブランクの製造方法であって、
前記支持基板に開口部を設け、該開口部に形成される反り調整層のひさしは、保護層をマスクとして選択的にエッチング除去することを特徴とする荷電粒子線露光用マスクブランクの製造方法である。
また、本発明は、上記発明による荷電粒子線露光用マスクブランクにおいて、前記反り調整層の材料は、シリコン、ジルコニウム、モリブデン、金、白金、銀、銅、パラジウム、タングステン、チタン、タンタル、ハフニウム、アルミニウム、クロム、インジウムからなる群の内、1種類もしくは2種類以上の金属であることを特徴とする荷電粒子線露光用マスクブランクである。
また、本発明は、上記発明による荷電粒子線露光用マスクブランクにおいて、前記保護層の材料は、シリコン、ジルコニウム、モリブデン、金、白金、銀、パラジウム、タングステン、チタン、タンタル、ハフニウム、クロム、インジウムからなる群の内、1種類以上の金属又は合金、もしくはこれらの酸化物又は窒化物であることを特徴とする荷電粒子線露光用マスクブランクである。
本発明によれば、反り調整層を有したSOI基板を用いたステンシルマスクの製造において、反り調整層上に保護膜を形成することにより、強アルカリ溶液を用いたウェットエッチングにより開口部を形成した場合においても、アンダーカットの発生による反り調整層のひさしの破損を防止することが可能となる。これにより、ステンシルマスク製造の歩留まりが向上する。
また、上記の発明を実施することで、反り調整層にアルカリ耐性が不用となり、反り調整膜として利用できる材料の範囲を増やすことが可能となる。
また、本発明のパターン露光方法によると、試料基板上に形成されたレジストに対し、精度よいパターン露光が長期間可能となり、その結果、半導体等のパターンの製造を高い歩留りで行うことが出来る。
以下、本発明の内容をSOI基板を用いたステンシルマスクの製造工程を例にとり説明する。図1(a)〜(h)に、本発明を実施した場合のステンシルマスクの製造工程の断面図を示す。まず、SOI基板を用意する(図1(a))。この際の活性層(11)及びBOX層(12)ならびに支持基板(13)の膜厚をそれぞれ、活性層2μm、BOX層1μm、支持基板725μmと仮定すると、BOX層の圧縮応力の影響によりSOI基板全体が活性層側に反った変形が発生する。このSOI基板の反り量はBOX層の膜厚と応力により決定される。
このSOI基板の支持基板側に、応力及び膜厚を制御した反り調整層(111)を形成し、SOI基板全体の反り量を調整する。反り調整層の形成方法にはスパッタ法、CVD法、蒸着法等の公知の薄膜形成法を用いることが可能である。
この際に用いる反り調整層の材料は導電性を有していることが必要となる。導電性が必要な理由は、露光の際に照射された電子線によりステンシルマスクが帯電すると、帯電した電荷により電子線が偏向しパターン転写精度が悪化するためである。
次に、反り調整層(111)上に、支持基板のウェットエッチング後に発生するひさしの破損防止のため、反り調整層の保護層(112)を形成する(図1(b))。この保護層の形成にはスパッタ法、CVD法、蒸着法等の公知の薄膜形成法を用いることが可能である。保護層はエッチングにより発生するひさしの機械的強度を増加させるため、なるべく厚くすることが望ましいが、保護膜の応力によってもSOI基板が変形するので、保護膜の応力も低く抑えることが望ましく、また、衝撃に対する強度を考慮すると、保護膜自体の応力は引っ張り応力であるであることが望ましい。
次に、支持基板上に形成した保護層(112)上に開口部形成のためレジストを塗布し、露光、現像により、開口パターンを有する開口部形成用レジストパターン(18)を形成する。このレジストをエッチングマスクとして保護層及び反り調整層をパターニング(117)し(図1(c))、アルカリ溶液を用いて支持基板をBOX層までエッチングする。支持基板のエッチングにより、保護層及び反り調整層により構成されるひさし(113)が形成される(図1(d))。
次に、保護層をエッチングマスクとしてアンダーカットによりひさしとなった反り調整
層のみを選択的にエッチングする。これによりひさし(115)は保護層のみで構成されることになる(図1(e))。
次に、保護層及びBOX層を順次エッチングし、開口部(15)を完成させる(図1(f))。この際に、保護層がジルコニウムやタンタル等によって構成されていれば、BOX層剥離の際に用いる弗化水素酸によりBOX層と同時に保護層を除去することが可能となり、工程数の削減を図ることが可能である。
次に、電子線透過孔を形成するためのレジストパターン(14)を活性層(11)上に形成し、このレジストパターンをエッチングマスクとして電子線透過孔(19)を形成する。電子線透過孔を形成した後にレジストを剥膜して、ステンシルマスク(116)を完成させる(図1(g)〜(h))。
反り調整層と保護層の組み合わせは、反り調整層保護の観点から反り調整層を構成する材料と同一のエッチャントでエッチングされないものを保護層として選ぶことが必要となります。従って、反り調整層と保護層の関係は、異なるエッチャントでエッチング可能となる組み合わせということになります。
例えば、反り調整層:クロム、保護層:タンタル、チタン、ジルコニウムにおいては、フッ化水素酸で保護層のみ溶解する。また、例えば、反り調整層:ジルコニウム、保護層:チタン、タングステンにおいては、硫酸加水で保護層のみ溶解する。
また、保護層が有する応力もSOI基板の反り量の変動要因となるので、実際には保護層自体にも応力の制御性が必要となり、保護層の候補に列挙した材料は、応力が0MPaに近い状態で形成されることが必要となる。応力面からは反り調整層と保護層には相関性は特にない。
また、本発明は、上述のステンシルマスクに荷電粒子線を照射し、転写パターンの形状に荷電粒子線を成形する工程を具備する荷電粒子線の露光方法を提供するものである。かかる露光方法によると、試料基板上に形成されたレジストに対し、精度よいパターン露光が可能となり、その結果、半導体等のパターンの製造を高い歩留りで行うことが可能となる。
以下、SOI基板を用いたステンシルマスクの製造プロセスを例にとり、実施例の詳細を説明する。まず、直径200mmのSOI基板を用意した。このSOI基板の層構成は活性層、BOX層、支持基板の厚みが、各々2μm、1μm、725μmである。このSOI基板の反り量を測定したところ活性層側に凸形状の変形を有し、その反り量は85μmであった。反り量はSOI基板自体の自重による影響を除外するため、活性層を上面にして測定した反り量と支持基板を上面にして測定した反り量の平均値を反り量と規定した。
このSOI基板の支持基板側に反り調整層としてクロムターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ法によりクロム膜を成膜した。本発明では反り調整層としてクロム膜を形成しているが、反り調整層は導電性があり、圧縮応力領域で応力制御が可能な薄膜であれば他の材料を用いることも可能であり、例えば、シリコン、ジルコニウム、モリブデン、金、白金、チタン、タンタル、ハフニウム、銀、タングステン、銅、インジウム、炭素、等の材料を用いても反り調整層の形成は可能である。また、これらの材料を用いた反り調整層は公知の成膜方法により形成が可能であり、CVD法やスパッタ法、蒸着法等により形成することが可能である。
今回、反り調整層として成膜したクロム膜の膜厚は1.5μmであり、クロム膜成膜直
後のSOI基板の反り量は支持基板側に約150μmの反りが発生していたが、このSOI基板を180℃の温度で1時間加熱処理した後のSOI基板の反り量は活性層側に10μmの凸型の形状であることが確認された。
加熱処理を施した理由は、スパッタ法によって成膜された薄膜の応力は熱的に不安定であるため、加熱処理により膜の結晶性を安定させ、マスク製造工程中の加熱処理等によって応力が変化するのを防ぐためである。
加熱によるスパッタ薄膜の応力変化は、膜中の結晶欠陥や結晶粒界の変化が原因と考えられている。一般に加熱による応力変化は不可逆的な変化で、その後に同温度まで加熱されても応力に変化が生じないことが知られている。スパッタ法により反り調整層を形成する場合、レジストコート後のベーク等、その後のマスク作製工程で加熱される温度まで予め加熱処理を施しておくことで薄膜の応力変化を防ぐことが有効となる。
次に、反り調整層上に保護層を形成した。保護層にはジルコニウムターゲットを用いてDCスパッタ法により、ジルコニウム膜を成膜した。保護層は、その後のアルカリ溶液による開口部形成の際のエッチングマスクとして使用するため、アルカリ溶液に対する耐性が必要となる。
保護層を構成する材料としては、シリコン、ジルコニウム、モリブデン、金、白金、銀、パラジウム、タングステン、チタン、タンタル、ハフニウム、クロム、インジウムからなる群の内1種類以上の金属または合金、もしくはこれらの金属または合金の酸化物もしくは窒化物が利用可能であり、これらの材料の形成方法としては、CVD法、スパッタ法、蒸着法等の公知の成膜方法により形成することが可能である。
次に、開口部形成のため、保護層上にレジストを塗布し露光現像を行って開口パターンを形成した。このレジストパターンをエッチングマスクとして保護層と反り調整層のパターニングを行った。保護層であるジルコニウムのパターニングには1%濃度の弗化水素酸を用い、反り調整層であるクロムのエッチングには硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸の混合溶液を用いた。エッチングマスクとして使用したレジストは保護層及び反り調整層のパターニング後に有機溶媒により除去した。
次に、開口部形成のため支持基板のエッチングを行った。支持基板のエッチングは80℃に加熱した重量濃度30%の水酸化カリウム水溶液を用い、シリコンの異方性エッチングによりBOX層まで支持基板をエッチングした。支持基板のエッチング後に、結晶方位(111)方向へのエッチングにより形成された反り調整層直下のアンダーカット量を計測したところ、このアンダーカットの長さは約40μmであり、反り調整層であるクロムと保護層であるジルコニウムからなる幅が40μmのひさしが形成されていた。
次に、支持基板加工後のSOI基板を硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸の混合溶液に浸漬し、保護層であるジルコニウム層をエッチングマスクとして、ひさしとなったクロムをエッチングした。その後に保護層であるジルコニウム層及びBOX層を5%の弗化水素酸により除去して開口部を完成させた。
次に、電子線透過孔の形成を行った。はじめに、電子線透過孔形成用のレジストをコートし、電子線描画を用いて電子線透過孔のレジストパターンを形成した。このレジストパターンをエッチングマスクとして活性層をエッチングし電子線透過孔を形成した。活性層のシリコンのエッチングには塩素と酸素の混合ガスを用いてICP方式のドライエッチングによりエッチングを行った。電子線透過孔形成後に残ったレジストは有機溶媒を用いて除去し、ステンシルマスクを完成させた。
完成させたステンシルマスクの反り量は約5μmであり、活性層側に凸型の形状であっ
た。この反り量はクロムを成膜してSOI基板の反り量調整を行った直後に比べ約5μmの反り量の変動が確認された。反り量が変動した理由としては、開口部形成の際にBOX層の除去によってBOX層の圧縮応力がSOI基板の反り量に与えている影響の度合いが変化したことや、支持基板を構成するシリコンがエッチングされたことによるSOI基板全体の機械的強度変化等が考えられる。このBOX層除去や開口部形成による反り量の変化量は、エッチングにより除去されるBOX層及び支持基板の総量がSOI基板全体に占める割合から予測が可能であり、反り調整層を形成する際に予め変動量を予測して、SOI基板全体の反り量の変化を考慮した反り調整を施すことが有効となる。
本発明は、電子線やイオンビーム等の荷電粒子線露光に用いられるステンシルマスクの製造方法に利用することが可能である。
本発明のステンシルマスクの製造工程を示す断面図である。 SOI基板の構造を示す断面図である。 SOI基板を用いて製造されたステンシルマスクの構造例を示す断面図である。 SOI基板を用いたステンシルマスクの製造工程の一例を示す断面図である。 反り調整層付SOI基板の支持基板異方性ウェットエッチング後の断面図である。
符号の説明
11、21、51・・・活性層を構成する単結晶シリコン
12、22、45、52・・・BOX層を構成するシリコン酸化膜
13、23、53・・・支持基板を構成する単結晶シリコン
14、43・・・電子線透過孔形成用レジストパターン
15、35、49・・・開口部
18、48・・・開口部形成用レジストパターン
19、34、44・・・電子線透過孔
20、46・・・SOI基板
30・・・荷電粒子線露光用マスク
47・・・開口部形成用レジスト
54、111・・・反り調整層
55・・・反り調整層により構成されるひさし
112・・・反り調整層保護層
113・・・反り調整層及び保護層により構成されるひさし
115・・・保護層により構成されるひさし
116・・・反り調整がなされたステンシルマスク
117・・・反り調整層及び保護層からなる開口部形成用パターン
410・・・反り調整がなされていないステンシルマスク

Claims (3)

  1. SOI基板の支持基板側に設けられた反り調整層上に、アルカリ耐性を有し、前記反り調整層の材料とは異なる材料を用いた保護層が形成されていることを特徴とする荷電粒子線露光用マスクブランクの製造方法であって、
    前記支持基板に開口部を設け、該開口部に形成される反り調整層のひさしは、保護層をマスクとして選択的にエッチング除去することを特徴とする荷電粒子線露光用マスクブランクの製造方法。
  2. 前記反り調整層の材料は、シリコン、ジルコニウム、モリブデン、金、白金、銀、銅、パラジウム、タングステン、チタン、タンタル、ハフニウム、アルミニウム、クロム、インジウムからなる群の内、1種類もしくは2種類以上の金属であることを特徴とする請求項1記載の荷電粒子線露光用マスクブランクの製造方法。
  3. 前記保護層の材料は、シリコン、ジルコニウム、モリブデン、金、白金、銀、パラジウム、タングステン、チタン、タンタル、ハフニウム、クロム、インジウムからなる群の内、1種類以上の金属又は合金、もしくはこれらの酸化物又は窒化物であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の荷電粒子線露光用マスクブランクの製造方法。
JP2005021063A 2005-01-28 2005-01-28 荷電粒子線露光用マスクブランク、荷電粒子線露光用マスク、及びその製造方法、並びにパターン露光方法 Expired - Fee Related JP4639823B2 (ja)

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