JP5042456B2 - ステンシルマスクの製造方法 - Google Patents

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本発明は、電子線やイオンビーム等の荷電粒子線露光に用いられるステンシルマスクに関する。
近年、LSI等の微細化が急速に進み、これらの素子の更なる微細な回路パターンを形成するための技術として、リソグラフィー技術の開発が進められている。特に電子ビームリソグラフィーやイオンビームリソグラフィーはパターン線幅65nm以下の微細パターンの形成技術として開発が進められている。
これらの技術は、従来、露光光源として用いられているArFやKrF等のエキシマレーザーの代わりに電子ビームやイオンビームの荷電粒子線を露光源として利用する技術であり、電子線或いはイオンビームを荷電粒子線露光用マスク(転写マスク)に照射し、これらの荷電粒子線をマスク上の電子線透過孔により所望のパターンに形成して、ウェハ上のレジストを感光させ微細パターンを形成する。
これらの露光に用いられる荷電粒子線露光用マスクの製造にはSOI(ilicon
nsulator)基板が多く用いられている。図2に示すように、SOI基板(20)は、支持基板となる単結晶シリコン(23)上に中間絶縁層としての埋め込み酸化膜(Buried Oxide Layer:以下BOX層と記述)と呼ばれるシリコン酸化膜(22)が形成され、その上に活性層と呼ばれる単結晶シリコン(21)が形成された3層構造となっている。
荷電粒子線露光用マスクの製造に用いられるSOI基板は、通常、支持基板の厚みが525μm〜725μm、BOX層の厚みが0.5μm〜1.0μm、活性層の厚みは0.5μm〜2.0μm程度であり、これらの各層の膜厚は露光方式により使い分けられる。
SOI基板を用いた荷電粒子線露光用マスク(30)の構造例を図3に示す。支持基板には電子線を透過させるため開口部(35)が形成され、活性層上には電子線を微細パターンに形成するための電子線透過孔(34)が形成される。電子線透過孔が形成される活性層は単層自立膜(以下、メンブレンと記述)となっている。メンブレンの厚さは露光に使用する電子線の加速電圧や露光方式により異なるが、電子線透過孔を透過する電子線以外はメンブレンにより遮蔽もしくは散乱され、電子線透過孔を透過した電子線によってレジストが露光される。このようにメンブレン上に微細パターンが形成された荷電粒子線露光用マスク(転写マスク)はステンシルマスク(以下、ステンシルマスクと記述)と呼ばれる。
図4に製造工程例を示し、以下にステンシルマスクの製造工程の一例を説明する。まず、SOI基板(46)の支持基板側に開口部を形成するためのレジスト(47)を塗布する。このレジストを露光、現像し、開口部を有するレジストパターン(48)を形成する(図4(a)〜(c))。このレジストパターンをエッチングマスクとして、ドライエッチングもしくはウェットエッチングにより支持基板(43)をエッチングする。この際の支持基板のエッチングはBOX層(42)をエッチングストッパー層として行われ、支持基板の加工後にレジストとBOX層を除去して開口部(45)を完成し、ステンシルマスクブランク(400)を得る(図4(d))。
次に、メンブレンとなった活性層(41)への転写パターンとなる電子線透過孔(44
)の形成を行う。まず、活性層上に電子線透過孔形成用レジストを塗布し電子線描画等を用いてレジストを露光現像し、電子線透過孔形成用レジストパターン(49)を形成する(図4(e))。このレジストパターンをエッチングマスクとして活性層をエッチングし、電子線透過孔(44)を形成した後、レジストを剥離してステンシルマスク(410)が完成する(図4(f)〜(g))。
上述のステンシルマスクの製造方法は、支持基板を加工して開口部を形成した後にメンブレンとなった活性層の加工を行う方式を採っているが、先にBOX層をストッパー層として活性層に電子線透過孔を形成した後に、開口部を形成する方法によっても、上記ステンシルマスクの製造は可能である。
このように、通常ステンシルマスクの製造では、電子線透過孔と開口部を別個に形成するため、電子線透過孔及び開口部を形成する際にエッチングストッパー層が必要となる。ステンシルマスクの製造にSOI基板を使用する利点はBOX層をエッチングストッパー層として利用することが可能である点である。
シリコンウェハ上に活性層及びエッチングストッパー層をCVD(Chemical Vapor Deposition)法やPVD(Physical Vapor Deposition)法により形成する場合、各層の膜厚均一性の向上や、膜欠陥の管理が必要となり、ステンシルマスク製造にかかる工程数と製造コストが増加する。
これに対し技術完成度の高いSOI基板をステンシルマスク製造用基板として用い、活性層とBOX層をそれぞれメンブレン及びエッチングストッパー層として利用することで、ステンシルマスク製造にかかる工程数とコストを削減することが可能となる。このためSOI基板は電子線リソグラフィーやイオンビームリソグラフィーのステンシルマスク製造用の基板として多く用いられている。
あらかじめ活性層やエッチングストッパー層を有するSOI基板はステンシルマスクの製造には適しているが、実際にSOI基板をステンシルマスクとして用いる際に問題が生じる。それはSOI基板の反りに起因する転写精度の悪化である。大きな反りを有するSOI基板を用いて作製されたステンシルマスクは、その影響を受け、ステンシルマスク自体も反った状態となる。ステンシルマスクは露光機内の静電チャックにより設置されるが、ステンシルマスク自体に歪みが生じている場合、チャッキングの際に受ける機械的な力によりステンシルマスクの歪みが増大し、チャッキングされたステンシルマスクに再現性のない変形が生じる。
この変形によりメンブレン上に形成された微細パターンに位置ずれが発生し、露光時の転写精度や再現性に悪影響を及ぼす。このため、転写精度の高いステンシルマスクを製造するためには、反り変形の少ないSOI基板を用いてステンシルマスクを製造することが必要となる。
このSOI基板の反りはBOX層を構成するシリコン酸化膜が有する圧縮応力が原因となり発生している。一般に、膜応力は引っ張り応力と圧縮応力に分類され、引っ張り応力は膜自体が収縮する方向に力が働き、引っ張り応力を有する薄膜が形成された基板は薄膜側に凹型に変形する。圧縮応力は薄膜自身が伸長する方向に力が働くため、成膜後の基板は薄膜側に凸型に変形する。
一般に、引っ張り応力の値は正の数値で表され、圧縮応力の値は負の数値で表される。SOI基板の変形の原因となるBOX層の応力は圧縮応力であり、SOI基板はBOX層側に凸型に変形する。この反り量はSOI基板の製造方法により多少のばらつきは生じるが、その反り量はおおよそBOX層の応力と膜厚により決定する。
BOX層を構成するシリコン酸化膜は加熱処理により形成される熱酸化膜であり、その
応力は約300MPa程度の圧縮応力である。SOI基板全体の反り量はBOX層の応力の他にSOI基板を構成する各層の膜厚や口径等によっても異なるが、例えば、直径200mmのSOI基板で活性層の膜厚が2μm、BOX層の膜厚が1μm、支持基板の膜厚が725μmとした場合、BOX層が300MPaの圧縮応力を有すると仮定すると、SOI基板全体で活性層側に約85μm膨らんだ形の反りが発生することが予想される。
ステンシルマスクが露光機に設置された際に、チャッキングによる機械的な外力が加わった際に、その影響を受けないためにはステンシルマスクには高い平坦性が必要となる。
SOI基板の反りを抑える方法の一つとして、BOX層の膜厚を薄くする方法が考えられる。SOI基板の反り量はSOI基板の口径と活性層及び支持基板の膜厚が一定であれば、BOX層の応力と膜厚により決定される。BOX層を構成する熱酸化膜の応力は概ね250MPa〜300MPa程度の圧縮応力であるため、基板の反り量は略BOX層の膜厚によって決定する。従って、前述の直径200mm、活性層の膜厚2μm、支持基板の厚みが725μm、BOX層の膜厚が1μmで、その応力が300MPaの圧縮応力であるとすると、BOX層の厚みを1μmから0.1μmとすれば、SOI基板の反り量も1/10となり反り量は85μmから8.5μmとなり、理論上はSOI基板平坦性を10μm以下に抑えることが可能となる。
しかし、前述の通りBOX層は電子線透過孔や開口部を形成する際のエッチングストッパー層として用いられる。電子線透過孔の形成には高いアスペクト比を有するパターン形成が必要となるため、塩素ガスやフロロカーボン系ガス等のプラズマを用いたドライエッチング方式によって形成される。また、開口部の形成はドライエッチングだけでなく、開口部パターンのアスペクト比によっては水酸化カリウム(KOH)やテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド((CH4 )3NOH)等のアルカリ溶液を用いたシリコンの異方性ウェットエッチングによっても形成可能な場合もあるが、いずれにしても、電子線透過孔及び開口部の形成はBOX層をエッチングストッパーとして加工が行われる。
例えば、ドライエッチング方式を用いる場合、プラズマ密度の分布やエッチング速度に影響を与えるラジカルの基板へ供給量の差(ローディング効果)により、面内でエッチングレート差が生じる。また、ウェットエッチングであれば、槽内の温度分布やエッチング反応に寄与する水酸化物イオンの基板への供給量の差によってエッチングレートに差が生じる。エッチングレートに分布がある場合、SOI基板面内でシリコンのエッチングが先に完了した箇所はBOX層が露出し、シリコンエッチングが完了していない箇所のエッチングが完了するまでプラズマやイオンに曝される。
この際に、シリコンとシリコン酸化膜のエッチング選択比は無限大でないため、先にエッチングが完了して露出したBOX層も少しずつエッチングされ膜厚が減少する。このためBOX層はこれらのエッチングのエッチングストッパー層として十分に機能するための膜厚が必要となり、オーバーエッチングによるBOX層のエッチング量を考慮するとBOX層の膜厚は0.5μmは必要であると考えられる。一方、SOI基板の反り量を低減するためにはBOX層の膜厚を0.1μm以下にしなければならない。従って、BOX層の膜厚を薄くすることによってSOI基板の反り量を緩和する方法は実現が困難である。
また、SOI基板の反りを抑える他の方法として、SOI基板の支持基板側にシリコン酸化膜を形成し、このシリコン酸化膜の圧縮応力を用いてSOI基板の反り量を調整する方法(特許文献1参照)が提案されている。
しかし、特許文献1の方法では支持基板側に反り調整のためにシリコン酸化膜を形成するため、例えば、LEEPL(Low Energy Electron Beam Proximity Projectin Lithography)のようにステンシル
マスクの支持基板側を静電チャックにより吸着し、電子線を支持基板側から照射するような機構の露光機では、露光時の電子線照射により、反り調整層であるシリコン酸化膜に電荷が蓄積され、この蓄積された電荷により電子線が偏向し、転写精度を低下させる。
特開2002−151385号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、反り調整層を有したステンシルマスクを使用した際に発生する転写精度の低下、すなわち、露光時の電子線照射によって、反り調整層に電荷が蓄積され、この蓄積された電荷により電子線が偏向し転写精度が低下するといったことのないステンシルマスクを製造することのできるステンシルマスクブランクを提供することを課題とするものである。
また、上記ステンシルマスクブランクを用いて製造したステンシルマスク、及びその製造方法、並びに上記ステンシルマスクを用いた荷電粒子線のパターン露光方法を提供することを課題とする。
本発明は、SOI基板を用いたステンシルマスクの製造方法であって、前記SOI基板は、725μmの支持基板、1μmのBOX層、2μmの活性層を順に積層し、反り調整層として、前記支持基板側に多結晶シリコンターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタ法により1.5μmのアモルファスシリコン層を積層する工程と、前記SOI基板を250℃で1時間加熱処理する工程と、前記アモルファス上にレジストパターンを形成し、前記アモルファスシリコン層及び前記支持基板をフロロカーボン系ガスによりエッチングする工程と、前記レジストパターンをアセトンで除去する工程と、前記活性層に、電子線描画によりレジストパターンを形成し、塩素及び酸素の混合プラズマを用いてICP方式のドライエッチングにより電子線透過孔を形成する工程と、前記レジストパターンを有機溶剤を用いて除去する工程を具備するステンシルマスクの製造方法である。
本発明によれば、反り調整層を有したステンシルマスクを使用した際に、露光時の電子線照射によって、反り調整層に電荷が蓄積され、電子線が偏向し転写精度が低下するといったことのないステンシルマスクを得ることができる。
また、本発明では反り調整層として支持基板を構成する材料と同一材料であるシリコンを用いているので、反り調整層の加工と支持基板の加工に専用エッチング装置を別個に用意する必要はない。
また、本発明のパターン露光方法によると、試料基板上に形成されたレジストに対し、精度よいパターン露光が長期間可能となり、その結果、半導体等のパターンの製造を高い歩留りで行うことが出来る。
以下、本発明の内容をSOI基板を用いたステンシルマスクの製造工程を例にとり説明する。図1(a)〜(g)に、本発明を実施した場合のステンシルマスクの製造工程の断面図を示す。まず、SOI基板(10)を用意する(図1(a))。この際の活性層(11)及びBOX層(12)ならびに支持基板(13)の膜厚をそれぞれ、活性層2μm、BOX層1μm、支持基板725μmと仮定すると、BOX層の圧縮応力の影響によりSOI基板全体が活性層側に反った変形が発生する。このSOI基板の反り量はBOX層の膜厚と応力により決定される。
このSOI基板の支持基板側に、応力及び膜厚を制御した反り調整層(111)を形成し、SOI基板全体の反り量を調整する。反り調整層の形成方法にはスパッタ法、CVD法、蒸着法等の公知の薄膜形成法を用いることが可能である(図1(b))。
この際に用いる反り調整層の材料は導電性を有していることが必要となる。導電性が必要な理由は、露光の際に照射された電子線によりステンシルマスクが帯電すると、帯電した電荷により電子線が偏向しパターン転写精度が悪化するためである。
次に、支持基板上に形成した反り調整層(111)上に開口部形成のためレジストを塗布し、露光、現像により、開口パターンを有する開口部形成用レジストパターン(18)を形成する(図1(c))。このレジストをエッチングマスクとして反り調整層及び支持基板をエッチングストッパーであるBOX層までエッチングし、その後にレジストを剥膜し、BOX層を除去して開口部(15)を形成し、ステンシルマスクブランク(100)を得る(図1(d))。次に、電子線透過孔を形成するためのレジストパターン(19)を活性層上に形成し、このレジストパターンをエッチングマスクとして電子線透過孔(14)を形成する。電子線透過孔を形成した後にレジストを剥膜して、ステンシルマスク(112)を完成させる(図1(e)〜(g))。
以下、SOI基板を用いたステンシルマスクの製造工程を例にとり、実施例の詳細を説明する。まず、直径200mmのSOI基板を用意した。このSOI基板の層構成は活性層、BOX層、支持基板の厚みが、各々2μm、1μm、725μmである。このSOI基板の反り量を測定したところ活性層側に凸形状の変形を有し、その反り量は85μmであった。反り量はSOI基板自体の自重による影響を除外するため、活性層を上面にして測定した反り量と支持基板を上面にして測定した反り量の平均値を反り量と規定した。
このSOI基板の支持基板側に反り調整層として多結晶シリコンターゲットを用いて、DCマグネトロンスパッタ法によりアモルファスシリコン層を形成した。本実施例では、DCマグネトロンスパッタ法を用いてシリコン層を形成しているが、その他RF方式のスパッタ法でもシリコン層は形成可能であり、また、CVD法や蒸着法によっても形成可能である。
今回、反り調整層として成膜したアモルファスシリコン層の膜厚は1.5μmであり、アモルファスシリコン層形成直後のSOI基板の反り量は支持基板側に約100μmの反りが発生していたが、このSOI基板を250℃の温度で1時間加熱処理した後のSOI基板の反り量は活性層側に3.7μmの凸型の形状であることが確認された。
加熱処理を施した理由は、スパッタ法によって形成された薄膜の応力は熱的に不安定であるため、加熱処理により膜の結晶性を安定させ、マスク製造工程中の加熱処理等によって応力が変化するのを防ぐためである。
加熱によるスパッタ薄膜の応力変化は、膜中の結晶欠陥や結晶粒界の変化が原因と考え
られている。一般に加熱による応力変化は不可逆的な変化で、その後に同温度まで加熱されても応力に変化が生じないことが知られている。スパッタ法により反り調整層を形成する場合、レジストコート後のベーク等、その後のマスク製造工程で加熱される温度まで予め加熱処理を施しておくことで薄膜の応力変化を防ぐことが有効となる。
次に、開口部の形成を行う。支持基板側に開口部形成のためのレジストパターンを形成し、このレジストパターンをエッチングマスクとして、反り調整層であるアモルファスシリコン層、及び支持基板をICP(誘導結合型プラズマ:Inductivity Coupled Plasma)方式のドライエッチング装置でエッチングした。この際に用いたエッチングガスはフロロカーボン系ガスのCFであったが、その他、C、CHF等のフロロカーボン系ガスやClやBCl等の塩素系ガスもしくはこれらの混合ガスでもアモルファスシリコン及び支持基板のエッチングは可能である。アモルファスシリコン層及び支持基板の加工後にエッチングマスクとして使用したレジストをアセトンで除去して裏面開口部を完成させた。
本発明では反り調整層として支持基板を構成する材料と同一材料であるシリコンを用いているが、反り調整層を他のシリコン以外の材料で構成した場合は、反り調整層の加工と支持基板の加工は別個に行なうことが必要となる。この場合、反り調整層を加工するための専用エッチング装置を別個に用意することが必要となり、また、反り調整層のエッチング条件の最適化を行なうことが必要となる。
結果としてマスクの作製工程とコストが増大する。
また、シリコン以外の材料を反り調整層として用いた場合、その後の支持基板加工の際に、エッチング残渣発生の原因となる可能性があるので十分に注意することが必要となる。例えば、モリブデンを反り調整層として用いた場合、モリブデンは反応性に乏しい物質であるため、スパッタエッチング等で強制的に除去することが必要となる。この場合、イオン衝撃により、除去されたモリブデンはレジスト側壁へ際付着する。
レジスト側壁へ付着したモリブデンは、その後の支持基板エッチングの際に加えられるイオン衝撃により剥れ落ちることがあり、剥れ落ちたモリブデンがエッチングマスクとして作用して、支持基板の加工形状に悪影響を及ぼす結果となる。
このように、支持基板と異なる材料を反り調整層として用いる場合、応力制御性に加え、その加工性についても十分に検討を行うことが必要である。
次に、電子線透過孔を形成した。はじめに、電子線透過孔のレジストパターンを電子線描画により形成し、このレジストパターンをエッチングマスクとして電子線透過孔を形成する。活性層のシリコンのエッチングには塩素と酸素の混合プラズマを用いてICP方式のドライエッチングによりエッチングを行った。電子線透過孔形成後に残ったレジストは有機溶媒を用いて除去し、ステンシルマスクを完成させた。
このステンシルマスクの反り量を測定したところ、支持基板側に5μmほどの凸型の形状であり、アモルファスシリコン層を形成して反り量を調整した直後に比べ約9μmの反り量の変動が確認された。反り量が変動した理由としては、開口部形成の際にBOX層の除去によってBOX層が有する圧縮応力の影響が変化したことや、支持基板を構成するシリコンがエッチングされたことによるSOI基板全体の機械的強度変化等が考えられる。このBOX層除去や開口部形成による反り量の変化量は、エッチングにより除去されるBOX層及び支持基板の総量がSOI基板全体に占める割合から予測が可能であり、反り調整層を形成する際に予め変動量を予測して、SOI基板全体の反り量の変化を考慮した反り調整を施すことが有効となる。
本発明は、電子線やイオンビーム等の荷電粒子線露光に用いられるステンシルマスクの製造に利用することが可能である。
本発明のステンシルマスクの製造工程を示す断面図である。 SOI基板の構造を示す断面図である。 SOI基板を用いて製造されたステンシルマスクの構造例を示す断面図である。 SOI基板を用いたステンシルマスクの製造工程の一例を示す断面図である。
符号の説明
11、21、41・・・活性層を構成する単結晶シリコン
12、22、42・・・BOX層を構成するシリコン酸化膜
13、23、43・・・支持基板を構成する単結晶シリコン
14、34、44・・・電子線透過孔
15、35、45・・・開口部
18、48・・・開口部形成用レジストパターン
19、49・・・電子線透過孔形成用レジストパターン
10、20、46・・・SOI基板
30・・・ステンシルマスク
47・・・開口部形成用レジスト
111・・・反り調整層(アモルファスシリコン層)
100、400・・・ステンシルマスクブランク
112、410・・・ステンシルマスク

Claims (1)

  1. SOI基板を用いたステンシルマスクの製造方法であって、前記SOI基板は、725μmの支持基板、1μmのBOX層、2μmの活性層を順に積層し、反り調整層として、前記支持基板側に多結晶シリコンターゲットを用い、DCマグネトロンスパッタ法により1.5μmのアモルファスシリコン層を積層する工程と、前記SOI基板を250℃で1時間加熱処理する工程と、前記アモルファス上にレジストパターンを形成し、前記アモルファスシリコン層及び前記支持基板をフロロカーボン系ガスによりエッチングする工程と、前記レジストパターンをアセトンで除去する工程と、前記活性層に、電子線描画によりレジストパターンを形成し、塩素及び酸素の混合プラズマを用いてICP方式のドライエッチングにより電子線透過孔を形成する工程と、前記レジストパターンを有機溶剤を用いて除去する工程を具備するステンシルマスクの製造方法。
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