JP4639726B2 - 液圧成形用予備成形体、液圧成形方法および液圧成形品 - Google Patents

液圧成形用予備成形体、液圧成形方法および液圧成形品 Download PDF

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Description

本発明は、液圧成形用予備成形体、液圧成形方法および液圧成形品に関する。
従来のサイドメンバ等の自動車の車体構造部材は、衝撃吸収性を向上させるために中空構造を有し、かつ強度を補うための補強リブが内側に配設されており、車体構造部材に適用される液圧成形品は、2枚の外面材および補強材を有する予備成形体の内部に液圧を供給し、膨出変形させて得られている(例えば、特許文献1および2参照。)。
特開2003−320960号公報 特開2004−82142号公報
しかし、補強材の変形は、外面材の場合と異なり材料流入を伴わず、補強材は、直線的に伸展することで補強リブを形成しており、補強材の破断が比較的発生し易い。そのため、補強リブを確実に形成し、液圧成形品の強度品質を安定的かつ良好に維持することが困難である問題を有する。
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、補強材の破断を抑制し得る液圧成形用予備成形体、安定的かつ良好な強度品質を有する液圧成形品を得るための液圧成形方法、および、安定的かつ良好な強度品質を有する液圧成形品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
重ね合わせて接合された縁部を有し、液圧成形品の外面を形成することとなる第1および第2外面材と、前記第1および第2外面材に接合され、前記外面の中空断面を仕切る補強リブを形成することとなる補強材と、を有する予備成形体であって、
前記補強材は、液圧成形による膨出変形の際に拡張し得る複数の開口部を有する
前記開口部は、千鳥状に配置されており、液圧成形による膨出変形の際に拡張することで、前記補強材の破断を引き起こす伸びを抑制する
ことを特徴とする予備成形体である。
上記目的を達成するための請求項23に記載の発明は、
請求項1〜22のいずれか1項に記載の予備成形体を、液圧成形品の外面形状に対応するキャビティを有する成形金型の内側に配置し、
前記予備成形体の内部に液圧を付与することで、前記予備成形体を膨出変形および複数かつ千鳥状に配置された前記開口部を拡張させ、前記補強材の破断を引き起こす伸びを抑制しつつ、前記液圧成形品の外面および前記液圧成形品の中空断面を仕切る補強リブを形成する
ことを特徴とする液圧成形方法である。
上記目的を達成するための請求項26に記載の発明は、
請求項2325のいずれか1項に記載の液圧成形方法を用いて成形される液圧成形品であって、
液圧成形品外面の中空断面が、拡張した複数かつ千鳥状に配置された前記開口部を有する補強リブによって仕切られている
ことを特徴とする液圧成形品である。
上記のように構成した本発明は、以下の効果を奏する。
請求項1に記載の発明によれば、液圧成形による膨出変形の際に、補強材が有する複数かつ千鳥状に配置された開口部を拡張させることが可能であり、開口部の拡張は、補強材の破断を引き起こす補強材の伸びを抑制する。したがって、補強材の破断を抑制し得る液圧成形用予備成形体を提供することができる。
請求項23に記載の発明によれば、液圧成形による膨出変形の際における補強材が有する複数かつ千鳥状に配置された開口部の拡張は、補強材の破断を引き起こす補強材の伸びを抑制する。そのため、補強材から補強リブを確実に形成し、液圧成形品の強度品質を安定的かつ良好に維持することが可能である。したがって、安定的かつ良好な強度品質を有する液圧成形品を得るための液圧成形方法を提供することが可能である。
請求項26に記載の発明によれば、外面の中空断面を仕切る補強リブは、拡張した複数かつ千鳥状に配置された開口部を有しており、液圧成形による膨出変形の際において、補強リブを形成する補強材の破断を引き起こす補強材の伸びが抑制されている。そのため、補強リブは、確実に形成されており、液圧成形品の強度品質が安定的かつ良好に維持されている。したがって、安定的かつ良好な強度品質を有する液圧成形品を提供することが可能である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、実施の形態1に係る液圧成形品を説明するための斜視図、図2は、図1に示される液圧成形品が適用される自動車部品を説明するための平面図である。
液圧成形品60は、中空状構造を形成する外面61,62および補強リブ63,64を有し、軽量化および高剛性化を必要とする自動車部品、例えば、サスペンション部品65のサイドメンバやクロスメンバに適用される。しかし、液圧成形品60は、ピラー部品、アスクル部品、あるいはボディサイド部品に適用することも可能である。
外面61,62は、重ね合わせ面OSに対して傾斜している側壁部61A,62Aと、側壁部61A,62Aによって囲まれる頂部61B,62Bとを有する。補強リブ63,64は、外面61,62の中空断面を仕切り、かつ側壁部61A,62Aを支持しており、重ね合わせ面OSに水平な方向(横方向)に関する剛性を向上させる。また、補強リブ63,64は、網目状のスリット(拡張した開口部)63A,64Aを有する。
図3は、実施の形態1に係る予備成形体を説明するための平面図、図4は、図3に示される予備成形体の背面図、図5は、図3の線V−Vに関する断面図、図6は、図3の線VI−VIに関する断面図である。
予備成形体50は、外面材および補強材を有する。外面材は、液圧成形品60の外面61,62を形成することとなる部材である。補強材は、液圧成形品60の補強リブ63,64を形成することとなる部材である。
外面材を構成する板材は、上板(第1外面材)10および下板(第2外面材)20からなり、重ね合わせられた縁部は、すみ肉溶接によって形成された接合部52を有する。接合部52の形成方式は、密閉性が確保され、かつ液圧成形性に悪影響を及ぼさなければ、特に限定されず、例えば、レーザ溶接、アーク溶接、あるいは、接着剤を適用することも可能である。
補強材を構成する板材は、略同一形状の上方中板(第1補強材)30および下方中板(第2補強材)40からなり、上板10および下板20の内側に重ね合せて配置される。外面材10,20および補強材30,40を構成する板材の素材は、特に限定されないが、例えば、冷間圧延鋼板や熱間圧延軟鋼板を適用することが可能である。
液圧成形品60の外面61を形成することとなる上板10は、中間部15と、中間部15を挟んで位置する端部11,16とを有する。中間部15の外周部位15Aおよび中央部位15Bは、外面61における側壁部61Aおよび頂部61Bを形成することとなる。一方の端部11は、ドーム状部12が形成されている。
液圧成形品60の外面62を形成することとなる下板20は、上板10より若干大きいサイズを有し、かつ上板10と相似形であり、上板10の中間部15と相対する中間部25と、上板10の端部11,16と相対する端部21,26とを有する。中間部25の外周部位25Aおよび中央部位25Bは、外面62における側壁部62Aおよび頂部62Bを形成することとなる。端部21は、ドーム状部12と位置合わされた開口部22を有する。
上方中板30および下方中板40は、略同一形状である。下方中板40の両端部41は、接合部54を介して、下板20に連結される。上方中板30の両端部31は、接合部56を介して、上板10に連結される。下方中板40の中央部位42は、接合部55を介して、上方中板30の中央部位32に、連結されている。
上方中板30および下方中板40の両端部31,41は、液圧成形品60の外面61,62における側壁部61A,62Aを形成することとなる上板10および下板20の中間部15,25の外周部位15A,25Aに接合される。そのため、予備成形体50から得られる液圧成形品は、側壁部61A,62Aを支持する補強リブ63,64を有することとなり、重ね合わせ面OSに平行な方向(横方向)に関する剛性を向上させることが可能である。
接合部54,55,56は、貫通溶接によって形成される。貫通溶接は、表面に位置する1枚目の板材と、その内側に位置する2枚目の板材とが相互に融接し、良好な接合強度が得られるため、好ましい。貫通溶接は、レーザ溶接や電子ビーム溶接などを、適用することが可能である。また、接合部54,55,56の形成方式は、接合強度が確保され、かつ液圧成形性に悪影響を及ぼさなければ、特に限定されず、例えば、接着剤を適用することも可能である。
図7は、図5および図6に示される予備成形体の補強材を構成する下方中板および上方中板の形状を説明するための平面図、図8は、図7に示される開口部の形状変化を説明するための拡大図である。
上方中板30および下方中板40は、例えば、エキスパンドメタル(JIS G 3351に規定)が適用されており、開口部35,45を有する。開口部35,45は、例えば、機械加工により千鳥状に切れ目(切込み)を入れることで、形成されており、液圧成形による膨出変形の際に拡張することで、上方中板30および下方中板40の破断を引き起こす伸びを抑制する。
開口部35,45は、非接合部(接合部54,55,56が配置される上方中板30および下方中板40の両端部31,41および中央部位42を除いた部位)に配置されており、接合に対する影響を抑制している。しかし、開口部35,45は、必要に応じて、全面に渡って形成することも可能である。
以上のように、予備成形体50は、液圧成形による膨出変形の際に、補強材30,40が有する開口部35,45を拡張させることが可能であり、開口部35,45の拡張は、補強材30,40の破断を引き起こす補強材30,40の伸びを抑制する。したがって、補強材30,40の破断を抑制することができる。
また、開口部35,45の存在により、補強材30,40の実質的な伸び特性が向上しているため、外面材10,20の幅と補強材30,40の幅との比率(液圧成形品の外面の外周長と補強リブ長との比率)の自由度が向上する。そのため、設計上の余裕および製造上の工程能力の拡大を図ることが可能である。また、補強材30,40の幅を短くしても、補強材30,40の破断は抑制されるため、補強材30,40を軽量化することもできる。
さらに、開口部35,45の形状は、液圧成形による膨出変形の際に拡張し得るものであれば、特に限定されず、例えば、菱形や亀甲形を適用することが可能である。また、開口部35,45の形成は、切欠きによって形成することも可能である。
図9は、図7に示される開口部を形成するための形成装置の一例を説明するための斜視図である。
開口部を形成するための形成装置は、例えば、エキスパンドメタル用の機械加工装置が適用され、波形の刃先を有する上刃38と、直線状の刃先を有する下刃39とを有する。上刃38は、上下動自在および長さ方向への移動自在に配置され、補強材30,40を構成することになる素材板39の上方に、位置決めされる。上刃38の刃先波形は、開口部35,45の長目寸法に対応する。下刃39は、素材板39の下方に固定配置され、素材板39の下部を支持する。
開口部の形成においては、まず、素材板39を、例えばピンチローラによって開口部35,45のストランド幅SWずつ送りながら、上刃38を、所定ストローク下降させ、下刃38と連携させることで、素材板39を切断かつ押し込み、その後上昇する。上刃38は、上昇位置で、刃先波形の半ピッチ分だけ長さ方向へ移動し、再び下降することで、素材板39を切断かつ押し込む。
このように、素材板39に間欠的な送りを与えると共に、上刃38の上下動と長さ方向への往復移動とを繰り返すことにより、開口部が形成される。なお、開口部35,45は隆起を有するため、重ね合せする場合、比較的大きな設置スペースを必要とし、予備成形体が大型化する。そのため、例えば圧延によるフラット加工を施すことが好ましい。
次に、予備成形体の補強材(下方中板および上方中板)の接合方法の一例を説明する。図10は、下板に対する下方中板の接合を説明するための断面図、図11は、図10に続く、下方中板に対する上方中板の接合を説明するための断面図、図12は、図11に続く、上方中板に対する上板の接合を説明するための断面図である。
まず、所定位置に配置された下板20に対して、下方中板40を配置する。そして、下方中板40の両方の端部41を、貫通溶接によって、下板20の中間部25の外周部位25Aに接合し、接合部54を形成する(図10参照)。
その後、下方中板40に対して上方中板30を重ね合うように載置し、上方中板30の中央部位32を、貫通溶接によって、下方中板40の中央部位42に接合し、接合部55を形成する(図11参照)。
そして、上板10が載置され、上板10の縁部と下板20の縁部とが、重ね合わされる。そして、上板10の中間部15の外周部位15Aを、貫通溶接によって、上方中板30の両方の端部31に接合し、接合部56を形成する(図12参照)。
最後に、上板10および下板20の重ね合わせられた縁部が接合され、予備成形体50が得られる(図6参照)。
なお、開口部35,45は、接合部54,55,56が配置される上方中板30および下方中板40の両端部31,41および中央部位42を除いた部位に配置されているため、上記接合に対して影響を及ぼさない。
図13は、実施の形態1に係る液圧成形装置を説明するための断面図、図14は、図13に示される液圧成形装置の上型を説明するための平面図、図15は、図13に示される液圧成形装置の下型を説明するための平面図である。
液圧成形装置は、成形金型(上型70および下型80)および液圧供給手段90を有する。上型70および下型80は、近接離間可能に設置され、予備成形体50が内側に配置されて、型締めされる。
上型70および下型80は、キャビティ面71,81と、押圧部75,85とを有する。キャビティ面71,81は、液圧成形品60の外面形状に対応しており、液圧成形品60の外面61,62における側壁部61A,62Aおよび頂部61B,62Bに対応する側壁および頂面(上面あるいは底面)を有する。押圧部75,85は、型締めによって予備成形体50の外周を把持する部位である。
上型70の押圧部75は、キャビティ面71から延長する凹部76と、凹部76の先端部76Aを取り囲むように配置される円弧状溝77,78とを有する。先端部76Aは、予備成形体50のドーム状部12を縦方向に2分割して得られる部位の外形形状に対応する断面形状を有する。円弧状溝77,78の中心は、先端部76Aの中央である。下型80の押圧部85は、ノズル部91が配置される略矩形の凹部86を有する。
なお、液圧成形装置は、上型70の押圧部75と下型80の押圧部85との間に配置される大型スペーサおよび小型スペーサ(不図示)をさらに有しており、上型70および下型80は、2段階に型締め自在に構成される。
大型スペーサの厚みは、接合部54,55,56が配置されている予備成形体50の部位の厚み(上板10および下板20と上方中板30および下方中板40の合計の厚み)に対応して設定される。小型のスペーサの厚みは、接合部52が配置されている予備成形体50の縁部の厚み(上板10および下板20の合計の厚み)に対応して設定される。
液圧供給手段90は、例えば、増圧シリンダを利用する圧力発生装置や、成形媒体源が連結されており、液圧回路99に連結される流路98とノズル部91とを有する。流路98は、下型80の内部を延長し、ノズル部91に達している。成形媒体は、例えば、水である。
ノズル部91は、予備成形体50のドーム状部12の内面に対応するドーム状部92と、ドーム状部92を取り囲むように配置される環状凸部94,95とを有する。環状凸部94,95は、上型70の押圧部75の円弧状溝77,78と位置合せされている。環状凸部94,95のサイズは、円弧状溝77,78のサイズより小さく、上板10,20の厚みを考慮して設定される。円弧状溝77,78および環状凸部94,95は、必要に応じて、適宜省略することも可能である。
ドーム状部92は、下板20の開口部22に挿入自在であり、また、流路98と連通している注入口93を有する。ノズル部91を開口部22に挿入し、予備成形体50のドーム状部12に配置する場合、液圧回路99から供給される成形媒体は、ノズル部91および開口部22を経由して、予備成形体50の内部に導入される。そのため、成形媒体は、予備成形体50の内部に液圧を付与し、予備成形体50を膨出変形させることが可能である。
次に、実施の形態1に係る液圧成形方法を説明する。図16は、型締めを説明するための断面図、図17は、図16の線XVII−XVIIに関する断面図、図18は、図17に続く、成形初期を説明するための断面図、図19は、図18に続く、型締めを説明するための断面図、図20は、図19に続く、成形中期を説明するための断面図、図21は、図20に続く、成形後期を説明するための断面図である。
まず、予備成形体50が、下型80に配置される。この際、液圧成形品60の外面62を形成することとなる下板20を、キャビティ面81に相対するように配置し、下板20の開口部22を、液圧供給手段90のノズル部91のドーム状部92に位置決めする。
その後、待機位置に退避していた上型70が降下し、下型80に近接することで、上型70および下型80が型締めされる(図16および図17参照)。この際、液圧成形品60の外面61を形成することとなる上板10を、キャビティ面71に相対するように配置し、上板10のドーム状部12を、上型70の押圧部75に位置する凹部76の先端部76Aに嵌合させる。
ドーム状部12の近傍部位は、上型70の押圧部75における円弧状溝77,78と、下型80の凹部86に配置されるノズル部91における環状凸部94,95とによって把持される。これにより、ドーム状部12の近傍部位には、屈曲した部位が環状に形成され、導入される成形媒体に対するシール性が向上する。
予備成形体50の接合部52,54,56は、大型スペーサ(不図示)によって所定のクリアランスが確保されている押圧部75,85に配置される。
液圧供給手段90は、液圧回路99から供給される成形媒体を、ノズル部91および開口部22を経由して、予備成形体50の内部に導入し、液圧を付与する。その結果、予備成形体50は、膨出変形し、予備成形体50の縁部がキャビティ面71,81に向かって移動し、材料流入が引起こされる。
予備成形体50の接合部54,56が、キャビティ面71,81の内部成形空間に移動すると(図18参照)、上型70および下型80の押圧部75,85の間に配置される大型スペーサ(不図示)が、小型スペーサに交換される。上型70は、小型スペーサの厚みに対応し、さらに降下し、型締することで、予備成形体50の縁部の厚みに対応する所定のクリアランスを確保する(図19参照)。
そして、成形媒体の供給が継続するに伴って、膨出変形する上板10および下板20に接合されている上方中板30および下方中板40は、引張られて引伸ばされる(図20参照)。この際、上方中板30および下方中板40の開口部35,45は、拡張することで、上方中板30および下方中板40の破断を引き起こす上方中板30および下方中板40の伸びを抑制する。
また、上方中板30および下方中板40の根元部は、接合部54,56の存在によって、L字状に屈曲し、その屈曲部の曲率半径が小さくなる。さらに、上方中板30および下方中板40は、接合部55を介して引張り合うため、加えられる力が均衡し、上方中板30および下方中板40の根元部の形状は、略同一となる。
予備成形体50の内部が最終液圧に到達すると、成形媒体の供給が停止され、所定時間保持されることで、予備成形体50の膨出が完了する(図21参照)。これにより、上板10および下板20は、液圧成形品60の外面61,62を形成し、上板10および下板20の中間部15,25の外周部位15A,25Aおよび中央部位15B,25Bは、外面61,62における重ね合わせ面OSに対して傾斜している側壁部61A,62Aおよび側壁部61A,62Aによって囲まれる頂部61B,62Bを形成する。
一方、上方中板30および下方中板40の両端部31,41は、側壁部61A,62Aに接合され、かつ、中央部位32,42が互いに接合されているため、上方中板30および下方中板40は、液圧成形品60の外面61,62の中空断面を仕切り、かつ外面61,62の側壁部61A,62Aを支持する補強リブ63,64を形成する。
そして、除圧した後、上型70を上昇させて型開し、液圧成形品を取り出し、切断などのトリミングが施される。
液圧成形品60の補強リブ63,64は、上方中板30および下方中板40の開口部35,45が拡張することで、破断を引き起こす伸びを抑制して確実に形成されるため、液圧成形品60の強度品質を安定的かつ良好に維持することが可能である。
以上のように、実施の形態1は、補強材の破断を抑制し得る液圧成形用予備成形体、安定的かつ良好な強度品質を有する液圧成形品を得るための液圧成形方法、および、安定的かつ良好な強度品質を有する液圧成形品を提供することができる。
なお、実施の形態1においては、外面材のいずれか一方に形成される開口部に、成形媒体を注入することによって、液圧を付与しているが、特にこの形態に限定されず、多様なタイプの予備成形体および液圧成形装置を適用することが可能である。
例えば、下板20の開口部22および液圧供給手段90のノズル部91を、複数とすることも可能である。また、予備成形体50の接合部54,56を、キャビティ面71,81の内部成形空間に、最初から配置されるように構成することで、スペーサの交換を不要とし、型締めを1回とすることも可能である。
図22および図23は、実施の形態1に係る開口部の変形例1および変形例2を説明するための平面図、図24は、実施の形態1に係る開口部の変形例3を説明するための概念図である。
上方中板30および下方中板40の開口部35,45は、両端部31,41および中央部位32,42の接合部に向かって均等に拡張するように構成することが好ましい。これは、例えば、図22に示されるように、両端部31,41および中央部位32,42に隣接する周辺領域33,43における開口部35,45の配置密度を、周辺領域33,43の間に位置する中央領域34,44における開口部35,45の配置密度より小さくすることで達成することが可能である。
また、開口部35,45の形状は、同一にすることに限定されず、例えば、図23に示されるように、上方中板30および下方中板40における配置位置に応じて、適宜変更することも可能である。
開口部35,45は、例えば、図24に示されるように、複数形成した円状の切欠きを適用し、軽量化を図ることも可能である。この場合、液圧成形の際における張力の発生方向を考慮し、開口部35,45の形状を略楕円とし、その長軸方向を、上方中板30および下方中板40の両端部31,41およびは中央部位32,42における接合方向に沿うように配置することが好ましい。
また、切欠きは、例えば、レーザ(穿孔)加工やファインブランキング(精密打ち抜き)加工を適用し、切欠きの内周を平滑とすることで、液圧成形の際にクラック等の起点となるのを避けることが好ましい。
図25は、実施の形態2に係る予備成形体を説明するための断面図、図26は、図25に示される予備成形体の補強材を構成する下方中板および上方中板の形状を説明するための断面図である。なお、以後においては、実施の形態1と同様の機能を有する部材については類似する符号を使用し、重複を避けるため、その説明を省略する。
実施の形態2は、上方中板および下方中板の形状を変更し、溶接歩留まりを向上させている点で、実施の形態1と概して異なる。
実施の形態2に係る上方中板130および下方中板140は、両端部の間の略中央に位置している凹部131,141を有する。凹部131,141は、例えば、屈曲形状を有し、プレス成形によって形成することが可能である。
凹部131,141は、接合部155に位置合せされており、貫通溶接される。貫通溶接による溶接熱は、板厚減少した箇所を優先的に移動し、また、板厚の2〜3倍の溶け込みを好ましくは必要とする。そのため、凹部131,141の底面の板厚Dは、凹部131,141の近傍(凹部131,141が形成されていない部位)の板厚Dより小さく、また、凹部131,141の幅Wは、板厚Dの2〜3倍となるように設定されている。
下方中板140は、凹部141下板120と相対するように設置され、その両方の端部が、接合部154を介して、下板120の中央部位に連結される。凹部141は、下方中板140と下板120との間に、略矩形形状の隙間Sを形成する。
上方中板130は、凹部131の背面部位132が下方中板140の凹部141の背面部位142と相対するように設置され、上方中板130は、接合部155を介して、下方中板140連結される。上方中板130の凹部131の背面部位132と下方中板140の凹部141の背面部位142とは、突起部を構成する(突起状である)ため、上方中板130と下方中板140との間に、薄く平坦な隙間 を形成する。
上板110は、上方中板130の凹部131相対するように設置され、上板110の中央部位は、接合部156を介して、上方中板130の両端部に連結される。上板110と上方中板130の凹部131とは、一体となり、略矩形形状の隙間 を形成する。上板110の縁部は、接合部152を介して、下板120の縁部に連結される。
次に、予備成形体150の補強材130,140の接合方法の一例を説明する。図27は、下板に対する下方中板の接合を説明するための断面図、図28は、図27に続く、下方中板に対する上方中板の接合を説明するための断面図、図29は、図28に続く、上方中板に対する上板の接合を説明するための断面図である。
まず、所定位置に配置された下板120に対して、凹部141が下板120と相対するように、下方中板140を配置する。そして、下方中板140の両方の端部を、貫通溶接によって、下板120に接合し、接合部154を形成する(図27参照)。
その後、下方中板140に対して上方中板130を載置し、上方中板130の凹部131の背面部位132を、下方中板140の凹部141の背面部位142と当接させる。そして、上方中板130の凹部131を、貫通溶接によって、下方中板140の凹部141の背面部位142に接合し、接合部155を形成する(図28参照)。
つまり、接合部155は、外面材(下板120)および補強材を構成する板材(上方中板130および下方中板140)が3枚以上積重ねられた状態で、表面に位置する1枚目の板材(上方中板130)を、その内側に位置する2枚目の板材(下方中板140)に溶接することで、形成される。
下方中板140の凹部141は、隙間Sを形成する。つまり、溶接の際に、2枚目の板材(下方中板140)と、その内側に位置する3枚目の板材(下板120)との間に、接合面と位置合わされた隙間Sが配置されている。したがって、隙間Sは、溶接熱の伝達を妨害し、2枚目の板材(下方中板140)と3枚目の板材(下板120)との誤溶接を防ぐことで、溶接歩留まりを向上させる。
上方中板130は、凹部131の背面部位132を介し、下方中板140の凹部141の背面部位142によって支持されるのみであり、比較的不安定である。そのため、上方中板130と下方中板140との間に形成される隙間Sに、噛まし板158,159を配置することで、不安定状態を解消する。また、隙間Sは、下方中板140と下板120とを接合することで発生する反りを吸収する機能を有しており、溶接不良を削減し、溶接歩留まりを向上させることが可能である。
接合部155の形成が完了すると、噛まし板158,159が取り外され、上板110が載置され、上板110の縁部と下板120の縁部とが、重ね合わされる。そして、上板110を、貫通溶接によって、上方中板130の両方の端部に接合し、接合部156を形成する(図29参照)。
この際、上方中板130と下方中板140との間には、隙間Sが存在する。つまり、接合部156は、外面材(上板110および下板120)および補強材を構成する板材(上方中板130および下方中板140)が3枚以上積重ねられた状態で、表面に位置する1枚目の板材(上板110)を、その内側に位置する2枚目の板材(上方中板130)に溶接することで、形成される。そして、2枚目の板材(上方中板130)と、その内側に位置する3枚目の板材(下方中板140)との間に、接合面と位置合わされた隙間Sが配置されている。
したがって、隙間Sは、溶接熱の伝達を妨害し、2枚の板材(上方中板130)と3枚目の板材(下方中板140)との誤溶接を防ぐことで、溶接歩留まりを向上させる。
接合部156の形成が完了すると、上板110および下板120の重ね合わせられた縁部が接合され、予備成形体150が得られる(図25参照)。
以上のように、実施の形態2においては、予備成形体150は、誤溶接を防ぐことで、溶接歩留まりが向上しており、予備成形体の製造コストを低下させることが可能であり、製造コストに優れた予備成形体を提供することができる。なお、隙間Sに配置される噛まし板158,159は、必要に応じて、適宜省略することも可能である。
図30は、実施の形態3に係る予備成形体を説明するための断面図である。
実施の形態3に係る予備成形体250は、上方中板と下方中板の形状が同一でない点で、実施の形態2に係る予備成形体150と概して異なっており、上方中板230は、略平坦であり、下方中板240は、両端部の間の略中央に位置している凹部241を有する。
下方中板240は、凹部241が下板220と相対するように設置され、下方中板240の両端部は、接合部254を介して、下板220に連結されており、凹部241は、下板220との間に隙間Sを形成している。
下方中板240の凹部241の背面部位242は、接合部255を介して、上方中板30は、連結されている。なお、符号232は、下方中板240の凹部241の背面部位242と当接する上方中板230の背面部位であり、背面部位232と背面部位242との当接面は、接合面を規定する。背面部位242は、突出形状を有するため、上方中板230と下方中板240との間に、隙間Sが形成される。
上述にように、下方中板240のみに凹部241が形成されており、接合部255の近傍の形状が、上下対称ではない。一方、液圧成形の初期においては、上方中板230および下方中板240は、圧縮加重による曲げ状態を経ることになる(図18参照)。
この際、接合部255における凹部241が配置される側が屈曲し易いため、実施の形態2に係る予備成形体250と異なり、初期曲げの方向が一定となり、接合部255の位置を略中央の位置に確実に保つことが可能となる。つまり、液圧成形における膨らみ量が異なることで、補強リブが歪な形状になるのを避けることが可能である。
以上のように、実施の形態3においては、実施の形態2に比較し、成形品の中空断面を仕切る補強リブの形状品質(精度)を向上させることが可能である。
図31は、実施の形態4に係る補強材を構成する下方中板および上方中板を説明するための断面図である。実施の形態4に係る予備成形体は、上方中板および下方中板に突起部が形成されている点で、実施の形態2に係る予備成形体150と概して異なる。
実施の形態4に係る突起部334,344は、凹部331,341の背面部位332,342を挟んで配置され、端部近傍に位置している。突起部334,344は、略平坦な頂部を有する屈曲形状を呈し、例えば、プレス成形によって形成することが可能である。なお、符号335,345は、突起部334,344の窪み状の背面部位を示している。
突起部334,344は、当接自在に位置決めされており、また、突起部334,344の高さは、凹部331,341の背面部位332,342の高さと一致している。
そのため、上方中板330の背面部位332と下方中板340の背面部位342とを相対させて、上方中板330を下方中板340に重ね合せる場合、上方中板330の突起部334および凹部331,341の背面部位332,342は、下方中板340の突起部344および凹部341の背面部位342と、それぞれ当接する。また、上方中板330と下方中板340との間に形成される隙間Sは、背面部位332,342の高さの合計と一致することとなる。
次に、図31に示される補強材の接合方法の一例を説明する。図32は、下方中板に対する上方中板の接合を説明するための断面図、図33は、図32に続く、下板に対する下方中板の接合を説明するための断面図、図34は、図33に続く、上方中板に対する上板の接合を説明するための断面図、図35は、図34に続く、下板に対する上板の接合を説明するための断面図である。
まず、所定位置に配置された下方中板340に対して、上方中板330を重ね合せ、上方中板330の突起部334および凹部331,341の背面部位332,342と、下方中板340の突起部344および凹部341の背面部位342とを、それぞれ当接させる。そして、上方中板330の凹部331を、貫通溶接によって、下方中板340の凹部341の背面部位342に接合し、接合部355を形成する(図32参照)。
上方中板330は、1箇所で支持される実施の形態2の場合と異なり、突起部334および凹部331の背面部位332を介し、下方中板340の突起部344および凹部341の背面部位342(合計3箇所)によって支持されるため、安定している。そのため、不安定状態を解消するための噛まし板158,159の適用が不要であり、噛まし板158,159に係る工数を削減することが可能であり、生産性に優れている。
その後、下板320に対して、下方中板340の凹部341が相対するように、上方中板330と下方中板340の接合体を配置する。そして、下板320を、貫通溶接によって、下方中板340の両方の端部に接合し、接合部354を形成する(図33参照)。溶接位置は、突起部344(背面部位345)の近傍である。
つまり、接合部354は、外面材(下板320)および補強材を構成する板材(上方中板330および下方中板340)が3枚以上積重ねられた状態で、表面に位置する1枚目の板材(下板320)を、その内側に位置する2枚目の板材(下方中板340)に溶接することで、形成される。
一方、上方中板330と下方中板340の間には、突起部334,344および凹部331,341の背面部位332,342の当接によって形成された隙間Sが存在している。したがって、隙間Sは、溶接熱の伝達を妨害し、2枚目の板材(下方中板340)と3枚目の板材(上方中板330)との誤溶接を防ぐことで、溶接歩留まりを向上させる。
接合部354の形成が完了すると、上板310が載置され、上板310の縁部と下板320の縁部とが、重ね合わされる。そして、上板310を、貫通溶接によって、上方中板330の両方の端部に接合し、接合部356を形成する(図34参照)。溶接位置は、突起部334(背面部位335)の近傍であり、上方中板330と下方中板340との間には、隙間Sが存在する。
つまり、接合部356は、外面材(上板310および下板320)および補強材を構成する板材(上方中板330および下方中板340)が3枚以上積重ねられた状態で、表面に位置する1枚目の板材(上板310)を、その内側に位置する2枚目の板材(上方中板330)に溶接することで、形成される。そして、2枚目の板材(上方中板330)と、その内側に位置する3枚目の板材(下方中板340)との間に、接合面と位置合わされた隙間Sが配置されている。
したがって、隙間Sは、溶接熱の伝達を妨害し、2枚目の板材(上方中板330)と3枚目の板材(下方中板340)との誤溶接を防ぐことで、溶接歩留まりを向上させる。
接合部356の形成が完了すると、上板310および下板320の重ね合わせられた縁部が接合され、予備成形体350が得られる(図35参照)。なお、符号352は、縁部に形成される接合部352を示している。
以上のように、実施の形態4においては、実施の形態2および実施の形態3に比較し、生産性を向上させることが可能である。
なお、突起部334,344の高さは、同一であることに限定されない。例えば、突起部334,344の合計の高さが、凹部331,341の背面部位332,342の合計と一致していれば、突起部334,344の各高さを、適宜異ならせることが可能である。また、上方中板330および下方中板340の一方のみに、突起部を形成することも可能である。この場合、突起部の高さは、凹部331,341の背面部位332,342の合計と一致することとなる。
図36は、実施の形態5に係る補強材を説明するための断面図である。
実施の形態5に係る予備成形体450は、上方中板の形状に関して、実施の形態4に係る予備成形体350と概して異なっており、実施の形態5においては、上方中板430は、略平坦であり、凹部および突起部を有しておらず、下方中板440は、凹部441および突起部444を有する。
上方中板430は、下方中板440の凹部441の背面部位442および突起部444(合計3箇所)によって支持されるため、安定している。そのため、実施の形態4の場合と同様に、工数を削減することが可能であり、生産性に優れている。
また、上方中板430と下方中板440の間には、上方中板430と、凹部441の背面部位442および突起部444との当接によって形成された隙間Sが存在している。そのため、接合部455が形成されている上方中板430と下方中板440の接合体を、下板420に配置し、突起部444(背面部位445)の近傍に、接合部454を形成する場合、隙間Sは、実施の形態4の場合と同様に、溶接熱の伝達を妨害し、下方中板440と上方中板430との誤溶接を防ぐことで、溶接歩留まりを向上させる。
さらに、接合部454の形成が完了した後で、上板410を、上方中板430に配置し、突起部444と当接する部位434の近傍に、接合部456を形成する場合、隙間Sは、実施の形態4の場合と同様に、溶接熱の伝達を妨害し、上方中板430と下方中板440との誤溶接を防ぐことで、溶接歩留まりを向上させる。
一方、予備成形体450においては、下方中板440のみに凹部441が形成されており、実施の形態3の場合と同様に、接合部455の近傍の形状が、上下対称ではない。したがって、液圧成形が適用される際、接合部455における凹部441が配置される側が屈曲し易いため、初期曲げの方向が一定となり、接合部455の位置を略中央の位置に確実に保つことが可能となる。つまり、液圧成形における膨らみ量が異なることで、補強リブが歪な形状になるのを避けることが可能である。
以上のように、実施の形態5においては、実施の形態4に比べて、成形品の中空断面を仕切る補強リブの形状品質(精度)を向上させることが可能である。
なお、突起部は、下方中板440に形成されることに限定されず、上方中板430に設けることも可能である。また、下方中板440と上方中板430の両方に突起部を形成することも可能である。この場合、突起部の合計の高さは、下方中板440の凹部441の背面部位442の高さと略一致させることが必要である。
図37は、実施の形態6に係る補強材を構成する上方中板を説明するための断面図、図38は、実施の形態6に係る補強材を構成する下方中板を説明するための断面図、図39は、図37の上方中板と図38の下方中板の嵌合構造を説明するための断面図である。
実施の形態6に係る予備成形体は、上方中板および下方中板の形状に関し、実施の形態4に係る予備成形体350(図25参照)と概して異なっており、実施の形態6に係る上方中板530は、凹部531の背面部位532を挟んで配置される突起部534を有する。突起部534は、略V字状であり、上方中板530の端部近傍に位置している。
一方、下方中板540は、凹部541の背面部位542を挟んで配置される受け部544を有する。受け部544は、例えば、プレス成形によって形成される突起部からなり、上方中板530の突起部534と嵌合自在に位置決めされている。受け部544は、上方中板530の突起部534と嵌合自在のくぼみ部544Aが形成された頂部を有する。なお、符号545は、受け部544の窪み状の背面部位を示している。
また、下方中板540の受け部544を、上方中板530の突起部534に嵌合させた際における下方中板540と上方中板530との間に形成される隙間Sは、上方中板530の凹部531の背面部位532の高さと下方中板540の凹部541の背面部位542の高さの合計と一致している。
下方中板540に対して上方中板530を重ね合せる場合、上方中板530の突起部534と下方中板540の受け部544とは、所定の位置で嵌合する。つまり、突起部534および受け部544は、下方中板540に対する上方中板530の位置決め機構として機能する。
したがって、上方中板530の凹部531を、貫通溶接によって、下方中板540の凹部541の背面部位542に接合し、接合部を形成する際(図32参照)、下方中板540に対する上方中板530の重ね合せは、容易かつ迅速に実施可能である。
以上のように、実施の形態6においては、実施の形態4に比較し、生産性を向上させることが可能である。
なお、上方中板530に受け部544を配置し、下方中板540の突起部534を配置することも可能である。
また、突起部534と受け部544の嵌合による位置決め機構は、実施の形態3に適用することも可能である。例えば、上方中板530に突起部534を配置し、下方中板540に受け部544を配置することで、下方中板540に対する上方中板530の重ね合せは、容易かつ迅速に実施可能となる。
この場合、下方中板540の受け部544を、上方中板530の突起部534に嵌合させた際における下方中板540と上方中板530との間に形成される隙間Sは、下方中板540の凹部541の背面部位542の高さと一致させる必要がある。また、上方中板530に受け部544を配置し、下方中板540に突起部534を配置することも可能である。
図40は、実施の形態7を説明するための断面図である。
実施の形態7は、予備成形体の形状および液圧成形装置の構成に関し、実施の形態1と概して異なっており、実施の形態7に係る予備成形体650は、液圧成形品の外面部を形成することとなる上板610および下板620と、液圧成形品の補強リブを形成することとなる上方中板630と下方中板640と、成形媒体を導入することによって液圧を付与するための非接合部651とを有する。
上方中板630および下方中板640は、上板610および下板620の内側に配置される。非接合部651は、上板610の端面と下板620との当接面によって構成され、当該当接面は、略円錐状に予備成形されている。非接合部651は、円状の開口部が配置される外側端面と、予備成形体650の内部に連通している内側先端部652を有する。つまり、予備成形体650は、外面材の一方610の端面と他方620の端面との当接面によって形成される開口部を有する。非接合部651は、端面全面に渡って配置される形態に限定されず、部分的に配置することも可能である。
上板610は、上型670のキャビティ面671に相対して配置される。下板620は、下型680のキャビティ面681に相対して配置される。キャビティ面671,681は、成形品の外面部にそれぞれ対応している。
液圧供給手段690は、液圧回路699に連結される流路698と、軸押しポンチ691と、軸押しシリンダ697とを有する。軸押しポンチ691は、上型670および下型680の側面に配置され、軸押しシリンダ697に連結されている。軸押しポンチ691は、ノズル部692を有する。
ノズル部692は、流路698と連通している注入口693を有し、かつ、非接合部651の形状と対応する略円錐状を呈している。軸押しシリンダ697は、軸押しポンチ691を、金型(上型670および下型680)側に向かって進退自在に支持している。軸押しシリンダ697の駆動源は、例えば、油圧あるいは空圧である。
予備成形体650の非接合部651は、その開口部にノズル部692が挿入されると、拡径すると共に、上型670および下型680により当該拡径が規制される。その結果、非接合部651は、ノズル部692に密着して、気密性が確保される。
ノズル部692の注入口693は、予備成形体650の内部に連通している内側先端部652と位置合せされる。そのため、液圧回路699から供給される成形媒体が、流路698および注入口693に導入されると、成形媒体は、非接合部651および内側先端部652を通過して、予備成形体650の内部に注入される。
したがって、液圧供給手段690は、予備成形体650の内部に液圧を付与して膨出変形させことが可能である。
以上のように、実施の形態7においては、外面材610,620の一方の端面と他方の端面との当接面によって形成される開口部に、成形媒体を導入することによって液圧を付与し、予備成形体650を膨出変形させることで、液圧成形品の外面部および液圧成形品の中空断面を仕切る補強リブを形成することが可能である。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲内で種々改変することができる。
例えば、目的とする液圧成形品の構成に応じて、第1および第2外面材を構成する板材の形状、補強材を構成する板材の形状、凹部の配置位置、予備成形体における補強材を構成する板材の配置形態などを、適宜変更することが可能である。
また、第1および第2補強材をオフセットして配置および接合することで、液圧成形品の中空断面を略水平方向および略垂直方向に均等に仕切る補強リブを形成することも可能である。また、第1および第2補強材の形状を、異ならせることで、液圧成形品の中空断面を不均等に仕切る補強リブを得ることも可能である。
実施の形態1に係る液圧成形品を説明するための斜視図である。 図1に示される液圧成形品が適用される自動車部品を説明するための平面図である。 実施の形態1に係る予備成形体を説明するための平面図である。 図3に示される予備成形体の背面図である。 図3の線V−Vに関する断面図である。 図3の線VI−VIに関する断面図である。 図5および図6に示される予備成形体の補強材を構成する下方中板および上方中板の形状を説明するための平面図である。 図7に示される開口部の形状変化を説明するための平面図である。

図7に示される開口部を形成するための形成装置の一例を説明するための斜視図である。 下方中板および上方中板の接合方法の一例を説明するための断面図であり、下板に対する下方中板の接合を示している。 図10に続く、下方中板に対する上方中板の接合を説明するための断面図である。 図11に続く、上方中板に対する上板の接合を説明するための断面図である。 実施の形態1に係る液圧成形装置を説明するための断面図である。 図13に示される液圧成形装置の上型を説明するための平面図である。 図13に示される液圧成形装置の下型を説明するための平面図である。 実施の形態1に係る液圧成形方法を説明するための断面図であり、型締めを示している。 図16の線XVII−XVIIに関する断面図である。 図17に続く、成形初期を説明するための断面図である。 図18に続く、型締めを説明するための断面図である。 図19に続く、成形中期を説明するための断面図である。 図20に続く、成形後期を説明するための断面図である。 実施の形態1に係る開口部の変形例1を説明するための平面図である。 実施の形態1に係る開口部の変形例2を説明するための平面図である。 実施の形態1に係る開口部の変形例3を説明するための概念図である。 実施の形態2に係る予備成形体を説明するための断面図である。 図25に示される予備成形体の補強材を構成する下方中板および上方中板の形状を説明するための断面図である。 予備成形体の補強材の接合方法の一例を説明するための断面図であり、下板に対する下方中板の接合を示している。 図27に続く、下方中板に対する上方中板の接合を説明するための断面図である。 図28に続く、上方中板に対する上板の接合を説明するための断面図である。 実施の形態3に係る予備成形体を説明するための断面図である。 実施の形態4に係る補強材を構成する下方中板および上方中板を説明するための断面図である。 図31に示される補強材の接合方法の一例を説明するための断面図であり、下方中板に対する上方中板の接合を示している。 図32に続く、下板に対する下方中板の接合説明するための断面図である。 図33に続く、上方中板に対する上板の接合を説明するための断面図である。 図34に続く、下板に対する上板の接合を説明するための断面図である。 実施の形態5に係る補強材を説明するための断面図である。 実施の形態6に係る補強材を構成する上方中板を説明するための断面図である。 実施の形態6に係る補強材を構成する下方中板を説明するための断面図である。 図37の上方中板と図38の下方中板の嵌合構造を説明するための断面図である。 実施の形態7を説明するための断面図である。
符号の説明
10・・上板(外面材)、
11,16・・端部、
12・・ドーム状部、
15・・中間部、
15A・・外周部位、
15B・・中央部位、
20・・下板(外面材)、
21,26・・端部、
22・・開口部、
25・・中間部、
25A・・外周部位、
25B・・中央部位、
30・・上方中板(補強材)、
31・・端部、
32・・中央部位、
33・・周辺領域、
34・・中央領域、
35・・開口部、
37・・素材板、
38・・上刃、
39・・下刃、
40・・下方中板(補強材)、
41・・端部、
42・・中央部位、
43・・周辺領域、
44・・中央領域、
45・・開口部、
50・・予備成形体、
52,54,55,56・・接合部、
60・・液圧成形品、
61,62・・外面、
61A,62A・・側壁部、
61B,62B・・頂部、
63,64・・補強リブ、
63A,64A・・網目状開口部(拡張した開口部)、
65・・サスペンション部品、
70・・上型、
71・・キャビティ面、
75・・押圧部、
76・・凹部、
76A・・先端部、
77,78・・円弧状溝、
80・・下型、
81・・キャビティ面、
85・・押圧部、
86・・凹部、
90・・液圧供給手段、
91・・ノズル部、
92・・ドーム状部、
93・・注入口、
94,95・・環状凸部、
98・・流路、
99・・液圧回路、
110・・上板(外面材)、
120・・下板(外面材)、
130・・上方中板(補強材)、
131・・凹部、
132・・背面部位、
140・・下方中板(補強材)、
141・・凹部、
142・・背面部位、
150・・予備成形体、
152,154,155,156・・接合部、
158,159・・噛まし板、
220・・下板(外面材)、
230・・上方中板(補強材)、
232・・背面部位、
240・・下方中板(補強材)、
241・・凹部、
242・・背面部位、
250・・予備成形体、
254,255・・接合部、
310・・上板(外面材)、
320・・下板(外面材)、
330・・上方中板(補強材)、
331・・凹部、
332・・背面部位、
334・・突起部、
335・・背面部位、
340・・下方中板(補強材)、
341・・凹部、
342・・背面部位、
344・・突起部、
345・・背面部位、
350・・予備成形体、
352,354,355,356・・接合部、
410・・上板(外面材)、
420・・下板(外面材)、
430・・上方中板(補強材)、
434・・当接する部位、
440・・下方中板(補強材)、
441・・凹部、
442・・背面部位、
444・・突起部、
445・・背面部位、
450・・予備成形体、
455,456・・接合部、
530・・上方中板(補強材)、
531・・凹部、
532・・背面部位、
534・・突起部、
540・・下方中板(補強材)、
541・・凹部、
542・・背面部位、
544・・受け部、
544A・・くぼみ部、
545・・背面部位、
610・・上板(外面材)、
620・・下板(外面材)、
630・・上方中板(補強材)、
640・・下方中板(補強材)、
650・・予備成形体、
651・・非接合部、
652・・内側先端部、
670・・上型、
671・・キャビティ面、
680・・下型、
681・・キャビティ面、
690・・液圧供給手段、
691・・ポンチ、
692・・ノズル部、
693・・注入口、
697・・シリンダ、
698・・流路、
699・・液圧回路、
,D・・板厚、
,S,S・・隙間、
SW・・ストランド幅、
W・・幅。

Claims (28)

  1. 重ね合わせて接合された縁部を有し、液圧成形品の外面を形成することとなる第1および第2外面材と、前記第1および第2外面材に接合され、前記外面の中空断面を仕切る補強リブを形成することとなる補強材と、を有する予備成形体であって、
    前記補強材は、液圧成形による膨出変形の際に拡張し得る複数の開口部を有し、
    前記開口部は、千鳥状に配置されており、液圧成形による膨出変形の際に拡張することで、前記補強材の破断を引き起こす伸びを抑制する
    ことを特徴とする予備成形体。
  2. 前記開口部は、切込みによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の予備成形体。
  3. 前記開口部は、非接合部に配置されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の予備成形体。
  4. 前記開口部の配置密度は、不均一であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の予備成形体。
  5. 前記第1および第2外面材と前記補強材とを構成する板材が3枚以上積重ねられた状態で、表面に位置する1枚目の板材を、前記1枚目の板材の内側に位置する2枚目の板材に溶接することで形成される接合部を有しており、
    前記溶接の際に、前記2枚目の板材と、前記2枚目の板材の内側に位置する3枚目の板材との間に、接合面と位置合わされた隙間が配置されている
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の予備成形体。
  6. 前記隙間は、前記2枚目の板材に形成された凹部から構成されることを特徴とする請求項に記載の予備成形体。
  7. 前記凹部は、屈曲形状を有することを特徴とする請求項に記載の予備成形体。
  8. 前記凹部の底面の板厚は、前記凹部の近傍の板厚より小さいことを特徴とする請求項又は請求項に記載の予備成形体。
  9. 前記2枚目の板材および/または前記3枚目の板材は、相対する面に突起部が形成されており、
    前記隙間は、前記突起部の当接によって形成されることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の予備成形体。
  10. 前記2枚目の板材は、前記補強材からなることを特徴とする請求項に記載の予備成形体。
  11. 前記補強材は、重ね合わせて配置される第1および第2補強材からなり、
    前記第1および第2補強材は、中央部位が互いに接合され、かつ、前記第1補強材の両端部は、前記第1外面材に接合され、また、前記第2補強材の両端部は、前記第2外面材に接合されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の予備成形体。
  12. 前記開口部は、前記第1および第2補強材の両端部および/又は中央部位における接合方向に沿って、配置されることを特徴とする請求項11に記載の予備成形体。
  13. 前記開口部は、前記両端部の接合部と前記中央部位の接合部との間に位置する非接合部に配置されることを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の予備成形体。
  14. 前記開口部は、前記両端部および前記中央部位の接合部に向かって均等に拡張するように構成されることを特徴とする請求項1113のいずれか1項に記載の予備成形体。
  15. 前記両端部および前記中央部位に隣接する周辺領域における前記開口部の配置密度は、前記周辺領域の間に位置する中央領域における前記開口部の配置密度より小さいことを特徴とする請求項14に記載の予備成形体。
  16. 前記補強材は、前記凹部が形成されている第1補強材と、略平坦な第2補強材とを有しており、
    前記凹部が前記第1外面材と相対するように配置されて、前記第1補強材の両端部が、前記第1外面材と溶接され、
    前記第2補強材における前記凹部の背面部位と当接する部位が、前記第1補強材と接合され、
    前記第2補強材の両端部が、前記第2外面材と溶接されていることを特徴とする請求項10に記載の予備成形体。
  17. 前記第1補強材の凹部は、前記第1補強材の両端部の間における略中央に位置していることを特徴とする請求項16に記載の予備成形体。
  18. 前記補強材は、前記凹部が形成されている第1補強材および第2補強材を有しており、
    前記第1補強材の凹部が前記第1外面材と相対するように配置されて、前記第1補強材の両端部が、前記第1外面材と溶接され、
    前記第2補強材の凹部が前記第2外面材と相対するように配置されて、前記第2補強材の凹部の背面部位が、前記第1補強材の凹部の背面部位と溶接され、
    前記第2補強材の両端部が、前記第2外面材と溶接されていることを特徴とする請求項10に記載の予備成形体。
  19. 前記第1補強材および前記第2補強材は、前記凹部の背面部位を挟んで配置される突起部を有し、前記第1補強材の突起部と前記第2補強材の突起部は、当接自在に位置決めされており、
    前記第2補強材の突起部を前記第2補強材の突起部に当接させた際における前記第1補強材と前記第2補強材との間に形成される隙間は、前記第1補強材の凹部の背面部位の高さと前記第2補強材の凹部の背面部位の高さの合計と一致していることを特徴とする請求項18に記載の予備成形体。
  20. 前記第2補強材は、前記凹部の背面部位を挟んで配置される突起部を有し、
    前記第1補強材は、前記凹部の背面部位を挟んで配置され、かつ前記突起部と嵌合自在に位置決めされた受け部を有し、
    前記第1補強材の受け部を、前記第2補強材の突起部に嵌合させた際における前記第1補強材と前記第2補強材との間に形成される隙間は、前記第1補強材の凹部の背面部位の高さと前記第2補強材の凹部の背面部位の高さの合計と一致していることを特徴とする請求項18に記載の予備成形体。
  21. 前記受け部は、前記突起部と嵌合自在のくぼみ部が形成された頂部を有する突起部からなることを特徴とする請求項20に記載の予備成形体。
  22. 前記第1補強材および第2補強材の凹部は、前記第1補強材および第2補強材の両端部の間における略中央に位置していることを特徴とする請求項1821のいずれか1項に記載の予備成形体。
  23. 請求項1〜22のいずれか1項に記載の予備成形体を、液圧成形品の外面形状に対応するキャビティを有する成形金型の内側に配置し、
    前記予備成形体の内部に液圧を付与することで、前記予備成形体を膨出変形および複数かつ千鳥状に配置された前記開口部を拡張させ、前記補強材の破断を引き起こす伸びを抑制しつつ、前記液圧成形品の外面および前記液圧成形品の中空断面を仕切る補強リブを形成する
    ことを特徴とする液圧成形方法。
  24. 前記第1および第2外面材の一方に形成される開口部に、成形媒体を注入することによって、液圧を付与することを特徴とする請求項23に記載の液圧成形方法。
  25. 前記第1外面材の端面と第2外面材の端面との当接面によって形成される開口部に、成形媒体を導入することによって液圧を付与することを特徴とする請求項23に記載の液圧成形方法。
  26. 請求項2325のいずれか1項に記載の液圧成形方法を用いて成形される液圧成形品であって、
    液圧成形品外面の中空断面が、拡張した複数かつ千鳥状に配置された前記開口部を有する補強リブによって仕切られている
    ことを特徴とする液圧成形品。
  27. 前記液圧成形品は、自動車の車体構造部材であることを特徴とする請求項26に記載の液圧成形品。
  28. 前記自動車の車体構造部材は、サスペンション部品であることを特徴とする請求項27に記載の液圧成形品。
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