JP4638971B2 - 生分解性発泡粘着テープ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は植物の結束を行うテープに関し、さらに詳しくは農業分野や一般家庭での植物栽培時に植物の支持具として用いる生分解性を有する結束テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般家庭や農園において野菜、果樹、花卉等の植物を栽培する際に、植物を柱状あるいは枠状の支持具によって支持するための結束具としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の非生分解性樹脂からなるフィルムに粘着剤を塗工した結束テープが一般的に使用されている。しかし、環境問題、ゴミ廃棄問題より、テープ素材としても環境に優しい商品が望まれてきた。
【0003】
近年、環境に優しいプラスチックとして生分解性の樹脂が開発されている。環境に対する負荷が小さいテープを供給する目的で、このような生分解性の素材をテープ基材として用いることが考えられる。現在上市されている生分解性樹脂をテープ基材として適用する場合、機械強度、生分解性、耐水性などを考慮すると脂肪族ポリエステルが好適である。脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等が代表的である。
【0004】
しかし、ポリ乳酸系の樹脂は、基本的に固くてもろいためテープ素材として使うためには可塑剤等を添加しなければならないうえに、生分解速度も遅いため、本発明の目的には好適でない。また、他の脂肪族ポリエステルは、テープ基材としての機械特性は充分なものもあるが、引きちぎり性が悪いという問題がある。具体的には、厚みが20μm〜50μm程度の薄いテープ基材は、手で引きちぎるときれいに切れることもあるが、ほとんどの場合テープ基材が延伸したように伸びた後に引きちぎれるうえにこしがなく、テープ基材としては不適切である。また、これより厚いテープ基材は、柔軟性に乏しく、手で切れないなどの問題がある。
【0005】
そこで、生分解性材料を用いたテープで上記のような問題を解決するための提案がいくつか試みられている。
【0006】
たとえば特開平09−125016は、生分解性を有し、かつ再生紙工場で処理可能なようにアルカリ溶液に対する溶解性を有する材料を用いることを提案している。このようなテープは環境に優しく、かつアルカリ溶解性を有するため紙と一緒に同一プロセスでアルカリ溶解処理が可能である。このテープは、ユーザーが使用時にテープを切断しやすくするために、可塑剤を添加し、可塑剤の量によって引き裂き強度を調整している。しかし、可塑剤の添加量を多くして引き裂き強度を調整すると、利用中に可塑剤がにじみでて粘着性を落とすという問題がある。なお、一般に生分解性ポリエステルはアルカリ溶解性があるため、アルカリでの分解処理が可能である。
【0007】
また、特開平09−266729は、結束テープの材料として生分解性脂肪族ポリエステルを選択し、シート状に成形する際に適度に延伸して延伸方向の引張強度を変えることで、分解、劣化速度をコントロールする方法を開示している。この方法は、シートの延伸倍率により使用時の強度、耐候性劣化速度、生分解速度をコントロールでき、耐候性劣化により引張強度の低下が早まるため、テープの取り外し時には冶具なしで引きちぎって廃棄できる。しかし、この方法では、シートを延伸しているため、結束時にはテープを切るための冶具を使用しなければならない。
【0008】
更に、特開平10−237401は、生分解性脂肪族ポリエステルに対して表面処理された無機材または表面処理されたでんぷん(コーンスターチなど)を10〜150重量部添加した、機械特性に優れ、生分解速度の速い安価なテープを開示している。この方法では、充填物を大量に添加して生分解性を速め、更に充填物を表面処理することで機械強度を上げることが可能となっている。しかし、このテープでは、添加剤の分散により機械強度がばらつく可能性が高い。また、無機物を大量に充填するとテープが固くなって植物を傷つけるなどの問題が生じる。一方、コーンスターチを充填した場合には、耐水性が落ちて長期の使用に問題が生じる。
【0009】
以上のように、従来の生分解性テープはいずれも、テープを装着する際の操作性、実用時の強度、取り外す際の操作性の全てを満足するものではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで我々は、かかる諸問題を解決した主として園芸用に用いられる弱粘着テープを提供することを目的として、自然界で分解する生分解性樹脂を基材として環境に優しいテープの作製を試みた。すなわち、本発明の目的は、環境に優しい生分解性の材料を用い、
(1)テープを屋外で使う利用者が、はさみ、カッター等の切断冶具を用いずに人の手でテープをきれいに引きちぎることができ、使用後もすぐに除去できるという利便性を有すること、
(2)粘着テープとして実用に耐えうる強度を有すること、
(3)植物に対する保護性を有すること
という相反する特性を兼ね備えた生分解性テープを供給することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
我々は更に鋭意検討を重ねた結果、従来はこのようなテープ基材には適用されていなかった生分解性樹脂の発泡体を適用し、ある発泡倍率の発泡体をテープ基材として用いることにより、可塑剤などの余分な添加剤の添加や、延伸などの工程を経ずに、上記に記載したような使用時及び使用後のいずれにおいても人の手で問題なく引きちぎれる引きちぎり性を満足できることを見出した。ここで、一般に樹脂を発泡させると強度が弱くなるため、実用に耐えうる強度を出すことができるかどうかが問題であった。我々は更に検討を重ねた結果、意外にも材料として脂肪族ポリエステルを用い、その発泡体の厚みを限定すれば、そのテープ自体が持っている引っ張り強度に加え、風などにより植物が揺れた場合にテープ基材の発泡体が植物の茎を面で受けるため発泡体の緩衝性が相乗的に力の緩和に作用することがわかった。この結果、未発泡体に比べ強度が弱いとされていた発泡体をテープ基材として用いても、園芸用テープとしての実用的な強度を保つことができることを見出した。また、所定の発泡倍率を有する発泡体からなるテープ基材は、結束する植物に対する保護、傷つけ防止の機能も有することがわかった。
【0012】
すなわち、本発明の植物結束用生分解性発泡粘着テープは、生分解性脂肪族ポリエステルからなり気孔率が87.5%以上である発泡シート基材の片面に、自己粘着性を有する粘着剤が塗工され、粘着剤塗工後の前記発泡シート基材は0.4mm以上3mm以下の厚みを有することを特徴とする。
【0013】
本発明の生分解性発泡粘着テープは、引っ張り強度が4.9N/cm2以上、引き裂き強度が4.9N/cm以上200N/cm以下であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明において、テープ基材として用いられる発泡体の主原料である生分解性脂肪族ポリエステルとしては、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジぺート、ポリラクチド、ポリエチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート等の脂肪族ポリエステル及びその誘導体、ポリシクロヘキシレンジメチルアジペート等の脂環族ポリエステル及びその誘導体の単体または2種以上の混合物が挙げられる。これらの中で、基材としての特性などを総合的に考慮するとポリブチレンサクシネートが好適である。また、発泡加工性を考慮すると長鎖分岐を有するものがより好適である。
【0015】
発泡体の気孔率は、本発明の第1のポイントとなる。テープの強度を人が手でちぎれる程度の強度に抑えるとともに、実用時に植物および支柱を保持できる強度を確保するという2つの特性のバランスを考え合わせると、発泡体の気孔率は87.5%以上が好ましい。更に、テープの強度と緩衝性を考慮すると、好ましくは90%以上96%以下、さらに好ましくは90%以上95%以下である。気孔率が87.5%未満では発泡体が固すぎて、手でちぎることが困難になる。
【0016】
テープの引き裂き性を出すためには、気孔率を上げればよいが、逆に気孔率を高すぎるとテープ基材の強度が落ちて実用時の強度が出ない。しかし、本発明の粘着テープで植物と支柱を固定する場合、植物の茎及び支柱はテープの粘着面にふれ、かつテープを引きちぎった際の短い辺と茎は平行に装着される。つまり、風などで植物が揺れ、茎に力が加わった場合、先ずテープ面の厚み方向でその衝撃を吸収し、さらに応力がかかった場合はテープの引っ張り方向に力が加わることになる。但し、このテープは粘着面同士をくっつけることにより使用されるため、応力は2本のテープに分散される。つまり、気孔率を限定することによる引き裂き性を維持しつつ、その気孔率での引っ張り強度をカバーするための適度な基材厚みを取ることにより基材の緩衝効果が作用し、テープ基材として発泡体のみを使っても本発明の用途に耐えうるものを作製できることを見出した。
【0017】
したがって、本発明では基材となる発泡体の気孔率とともに粘着剤塗工後の発泡シート基材の厚みを限定している。粘着剤塗工後の発泡シート基材の厚みは0.4mm以上3mm以下が好ましい。好ましくは0.5mm以上2mm以下、更に好ましくは0.5mm以上1.5mm以下である。厚みが0.4mm未満では、粘着テープの緩衝特性、機械強度に問題が生じる。また、3mmより厚くなると、気孔率が低い場合は引きちぎり性が出ないうえにテープが固くなりすぎ、気孔率が高い場合は機械強度が出ないため好ましくない。
【0018】
さらに、本発明において引きちぎり性、使用時の強度、緩衝性能のすべての効果をバランス良く出すためには、気孔率90〜96%、厚み0.5mm〜2.0mmの両者の条件を満たすテープ基材が更に好適である。
【0019】
本発明によるテープの機械特性は、発泡体の気孔率及び厚みにより決定されるが、その具体的な値として引っ張り強度が4.9N/cm2以上、引き裂き強度が4.9N/cm以上200N/cm以下であることが好ましい。
【0020】
引っ張り強度は、テープとしての実用強度から考えて4.9N/cm2が必要であり、好ましくは20N/cm2以上、さらに好ましくは30N/cm2以上、なお好ましくは50N/cm2がよい。4.9N/cm2未満では、実際に植物などに装着して使用した際にテープが切れてしまう等の問題が出てくる。
【0021】
引き裂き強度は、4.9N/cm以上200N/cm以下が必要であり、好ましくは20N/cm以上150N/cm以下、さらに好ましくは20N/cm以上120N/cm以下が良い。引き裂き強度が4.9N/cm未満では実用上の強度が出ず、また200N/cmより高い値では実際に手でちぎることが困難なため本発明の目的とする結束テープは実現できない。
【0022】
本発明において、テープ基材として用いられる発泡体は、上記の生分解性脂肪族ポリエステルを主成分とした原料を用い、これを加熱溶融して発泡剤と混合し、発泡シート状に成形することにより製造される。この際、発泡体の気孔率は主として発泡剤の添加量と成形条件にてコントロールできる。また、発泡体の厚みは、これに加えてダイ先端出口形状、引き取り速度等でコントロールできる。なお、本発明の範囲の発泡体が作製できれば、特に製造方法は限定されない。
【0023】
本発明における生分解性結束テープの基材シートの成形において使用される発泡剤としては、環境に対して負荷の少ない物理発泡剤が好ましい。物理発泡剤としては、炭酸ガス、窒素、圧縮空気、アルゴン等の不活性ガス、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、ペンタン等の炭化水素ガス、代替フロンガス(フロン22、フロン142b、フロン152a、フロン141b、フロン134aなど)等が挙げられる。この中で環境への負荷を考えると不活性ガスを用いるのが好適であり、更に発泡性を考慮すると、炭酸ガスが好適である。
【0024】
テープ基材となる発泡シートの成形においては、生分解性、環境への悪影響、テープとしての特性に影響を与えない程度で気泡核剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤など各種添加剤を用いてもよい。ただし、自然界に対する影響をより少なくするためには、原材料樹脂と発泡剤あるいはこれに微量の気泡核剤を添加する以外は余分な添加剤を用いない方がより好ましい。
【0025】
上記で成形された発泡体シートの片面に粘着剤を塗工し、巻き取り、切断工程を経て本発明の生分解性発泡粘着テープを製造することができる。
【0026】
本発明に用いられる粘着剤としては自己粘着性を有する、天然に存在する素材が用いられる。具体的には、天然系としては天然ゴムラテックスなど、合成系としてはIRラテックス、アクリル共重合ラテックス、アクリル変性ラテックス、酢酸ビニル共重合ラテックス、酢酸ビニル変性ラテックス(特開昭63−17945)、SBRラテックス、その他に、天然と合成をブレンドしたものなどの自己粘着性を示す粘着剤が使用される。このうち、環境への影響がないこと、粘着力などを考慮すると、特に天然ゴムラテックスが好適である。また、合成系の材料においても、土中での分解性を有するものであれば使用可能である。自己粘着性を示さない粘着剤を用いると粘着剤が植物に粘着し成長を阻害する、取り付け時他の物に接着し使用者の利便性が弱くなるなどの問題がある。
【0027】
なお、本発明において、基材となる発泡体と粘着剤の粘着力は0.49N/cm幅以上であることが必要となる。また、好ましくは0.98N/cm幅以上、さらに好ましくは1.96N/cm幅以上の粘着力を有することが良い。粘着力が0.49N/cm幅未満では、植物の茎等の反発力や自重よりも結束力が下回るなどの理由により実用上の機能を果たせないのでテープとして利用できない。粘着力は例えば粘着剤の種類、配合、塗工する粘着剤の厚み(量)などにより変えることができるが、環境に対する影響などを考え粘着剤の組成などを大きく変えられない場合などは、塗工量によりコントロールすることが好適である。
【0028】
なお、本発明においては、粘着力、引っ張り強度、引き裂き強度は上記に開示した範囲内で用途に応じて適切なバランスを取って設計される。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例とともに説明する。実施例及び比較例における各試料の評価は、下記に示したとおりである。なお、本実施例は本発明の内容を何ら限定するものではない。
【0030】
(テープ厚み)JIS−K6767に従って、測定子面積10cm2、測定子圧0.02N/cm2で0.1mm以上の精度のダイヤルゲージにて、粘着剤塗工後のテープ厚みを20点測定し、その平均値を求めた。
【0031】
(気孔率)粘着剤塗工前のテープ基材の密度を電子天秤(メトラー社製、AE−240)を用い、水中置換法により測定した。気孔率は、発泡体密度をρf、原料となる樹脂密度をρsとすると下記の式で定義される。
【0032】
気孔率=(ρs−ρf)/ρs
(機械強度)引っ張り強度はJIS K−6767 A法に従って測定した。
引き裂き強度はJIS K−6767に従って測定した。
【0033】
(粘着力)粘着力はJIS Z 0237に従って180゜引き剥がし法にて測定した。
【0034】
(引きちぎり性)テープを人の手で容易にきれいに引きちぎれるかどうかを検討した。引きちぎり性は下記の通りの基準で評価した。
優:人の手で問題なく引きちぎることが可能。
不可:引きちぎれることもあるが、基材が伸びてしまい切れにくいか、または引きちぎることができない。
【0035】
(生分解性)生分解性は、深さ10cmの地中に15mm幅×10cm長さのテープを埋め、土中埋設テストを行い評価した。その評価基準は以下の通りである。
優:1年以内に50%以上分解。
不可:1年以内に15%以上分解、または全く分解しない。
【0036】
実施例1
ベース樹脂として昭和高分子(株)製の脂肪族ポリエステル(商品名:ビオノーレ#1903 MI=2.5)のペレット100部およびタルク1.6部をドライブレンドで混合し、ホッパーより第1段の押出機に供給して溶融させ、押し出し機途中より炭酸ガスを3.0wt%注入した。その後、ギヤポンプ、冷却押し出し機を通し、サーキュラーダイにてリップ幅0.4mmのダイ出口から大気中に解放し、冷却マンドレルで冷却して発泡シートを製造した。以上のようにして、平均厚さ1.1mm、幅700mm、気孔率93.3%の良好な外観を示す発泡シートを製造することができた。この発泡シートの引っ張り強度および引き裂き強度を測定した。
【0037】
この発泡原反シートに、粘着剤として天然ゴムラテックスベースの粘着剤に、安定剤、粘着付与剤、粘度調整剤、ブロッキング防止剤を添加したものを塗工し、その後巻き取り、切断することにより、幅15mm×長さ5m巻きの粘着テープを作製した。この粘着テープのテープ厚み及び粘着力を測定した。また、この粘着テープを冶具を用いずに手で引きちぎったところ良好な引きちぎり性があることが確認された。更に実際に作製したテープを使用したが、粘着力、テープ強度とも実用上問題なかった。更に、このテープの生分解試験を行ったところ良好な生分解性を示した。これらの結果を表1に示す
以下の実施例2〜5については、設定を変更した条件およびそれに応じて変動した条件を説明し、評価結果をまとめて表1に示す。
【0038】
実施例2
ガスの注入量を2wt%とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを製造した。その結果、平均厚さ1.2mm、幅700mm、気孔率89.8%の良好な外観を示す発泡シートを製造することができた。このシートの機械特性を測定した。更に、実施例1と同様のテープ加工を行い、テープ厚み測定、粘着力測定、生分解性試験を行った。この粘着テープを冶具を用いずに手で引きちぎったところ良好な引きちぎり性があることが確認された。また実際に作製したテープを使用したが、粘着力、テープ強度とも実用上問題なかった。
【0039】
実施例3
ダイ出口幅を0.2mmにした以外は実施例1と同様にして発泡シートを製造した。その結果、平均厚さ0.6mm、幅700mm、気孔率92.3%の良好な外観を示す発泡シートを製造することができた。このシートの機械特性を測定した。更に、実施例1と同様のテープ加工を行い、テープ厚み測定、粘着力測定、生分解性試験を行った。この粘着テープを冶具を用いずに手で引きちぎったところ良好な引きちぎり性があることが確認された。また実際に作製したテープを使用したが、粘着力、テープ強度とも実用上問題なかった。
【0040】
実施例4
ダイ出口幅を0.5mm、炭酸ガス注入量を4%にした以外は実施例1と同様にして発泡シートを製造した。その結果、平均厚さ1.9mm、幅700mm、気孔率95.3%の良好な外観を示す発泡シートを製造することができた。このシートの機械特性を測定した。更に、実施例1と同様のテープ加工を行い、テープ厚み測定、粘着力測定、生分解性試験を行った。この粘着テープを冶具を用いずに手で引きちぎったところ良好な引きちぎり性があることが確認された。また実際に作製したテープを使用したが、粘着力、テープ強度とも実用上問題なかった。
【0041】
比較例1
テープ基材に平均厚さ100μmのビオノーレフィルムを用いた以外は実施例と同様にして発泡シートを製造し、テープ加工を行い、テープ厚み測定、粘着力測定、生分解性試験を行った。この粘着テープを冶具を用いずに手で引きちぎろうとしたが、基材が固くてうまく引きちぎることはできなかった。
【0042】
比較例2
ガス注入量を1.0%とした以外は実施例1と同様にして発泡シートを製造した。その結果、平均厚さ1.2mm、気孔率81.0%の発泡シートが得られた。更に、実施例1と同様のテープ加工を行い、テープ厚み測定、粘着力測定、生分解性試験を行った。この粘着テープを冶具を用いずに手で引きちぎろうとしたが、手でちぎることは容易ではなかった。
【0043】
比較例3
ガス注入量を1.0%、リップ幅を0.1mmとし、引き取り速度を上げて発泡成形した以外は実施例1と同様にして発泡シートを製造した結果、平均厚さは0.2mm、気孔率は90%であった。これをテープ加工しようとしたが、テープ基材が薄いため粘着加工時に基材が破れてしまいテープを製造することができなかった。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
以上のように、本発明の生分解性結束テープは、主成分が生分解性脂肪族ポリエステルからなる原料を用いてこれを発泡シートに成形した基材フィルムの片面に天然素材の自己粘着型の弱粘着層を設けたものであるので、使用開始、使用終了時には特別な冶具を用いず簡便に切り取り、結束、取り外しが可能となるうえに、基材に発泡体を用いても実用上の強度を損なうことがなく、植物の栽培期間に植物の成長を阻害、傷つけることなく結束できるという実用性を有する。更に、廃棄後の処理は土中にて生分解し、あるいは焼却処理においても燃焼熱が低いため炉を傷めないと同時に有害なガスは出ないという環境にも優しいテープであるという効果を有する。したがって、この発明による生分解性結束テープを、家庭菜園・ガーデニング・農園栽培における植物の支持具として用いれば、結束作業と使用前後の取り扱い作業が極めて容易となり、土壌中に放置しても短期間に分解するのでゴミとなるおそれがない。
Claims (2)
- 生分解性脂肪族ポリエステルからなり気孔率が87.5%以上である発泡シート基材の片面に、自己粘着性を有する粘着剤が塗工され、粘着剤塗工後の前記発泡シート基材は0.4mm以上3mm以下の厚みを有することを特徴とする植物結束用生分解性発泡粘着テープ。
- 引っ張り強度が4.9N/cm2以上、引き裂き強度が4.9N/cm以上200N/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載の植物結束用生分解性発泡粘着テープ。
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