JP2004107406A - 生分解性樹脂製ネット及び生分解性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】生分解性の樹脂組成物を用いて、生分解性ネットの成形性、使用時の物性、廃棄後の生化学的分解性等の点においてバランスがとれ、押出成形によって高品質で大量生産に耐え、製造コストの低減を図ることができる生分解性樹脂製ネットを提供することを目的とする。
【解決手段】ポリカプロラクトン(a)、ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂で、該ポリエステル樹脂が低分子量のポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂に脂肪族ポリイソシアネートを添加、反応させてウレタン結合によって高分子量化した脂肪族ポリエステル樹脂(b)およびエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル(c)からなる生分解性樹脂製ネット、および前記三者を成分として含む生分解性樹脂組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリカプロラクトン(a)、ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂で、該ポリエステル樹脂が低分子量のポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂に脂肪族ポリイソシアネートを添加、反応させてウレタン結合によって高分子量化した脂肪族ポリエステル樹脂(b)およびエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル(c)からなる生分解性樹脂製ネット、および前記三者を成分として含む生分解性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性樹脂製ネット及び生分解性樹脂組成物に関し、より詳細には、生分解性樹脂組成物を押出成形によって形成される生分解性樹脂製ネット及び生分解性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、みかん、りんご等の果実包装や、タマネギ、ジャガイモ、栗等の野菜包装として、さらには台所の生ごみ廃棄用、植物生育等のための農業用、漁網等の漁業用等に、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなる繊維又は繊維束を縦糸及び横糸に使用して織ったネットが利用されている。
このようなネットは、その用途に応じて種々の性質を備える必要がある。例えば、ネットに商品を入れて運搬したり、店頭へ置いたときに、内容物の重量等によりネットが破れて商品等が外へ出ないような強度、ネットに商品を入れた際に、内容物の位置が保持されやすく、運搬時の荷崩れを防止したり、店頭に陳列したときに見た目をきれいにするフィット性、さらに、漁業や農業等に使用される場合には、相当の強度のほかに耐光性等を備えることが必要とされる。
【0003】
しかし、これらのネットは、上記の性質を備えるのみならず、使用後に処分しやすい性質であることをも必要とされる。つまり、通常、これらのネットは使い捨てにされるため、使用後に回収されて廃棄される場合にはごみの量を増大させ、田畑、湖沼、海、土壌、河川等自然界に放置される場合には、半永久的に河川や地中に残留し、その土地の景観を損なうのみならず、自然環境を破壊することとなる。
そこで、近年、合成樹脂からなる繊維等の代わりに、生分解性樹脂を用いる技術が開発されている。ここで、生分解性樹脂とは、材料としての使用時には汎用のプラスチックスとほぼ同等の物性をもつが、廃棄後、土上、土壌中、堆肥中、活性汚泥中、水中等の自然環境下においては速やかにバクテリアやカビ等の微生物により生化学的に分解、資化される高分子をいう。
このような生分解性樹脂としては、例えば、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート/ポリヒドロキシバリレート共重合体、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂の他、澱粉−EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)系樹脂、EVOH系樹脂−脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂−ポリオレフィン系樹脂等のブレンド系の樹脂組成物が知られており、これらの樹脂又は樹脂組成物はフィルム等の形状に成形されて実用に供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、下記特許文献1にはポリカプロラクトンのようなラクトン樹脂に脂肪酸アミド等を添加した樹脂組成物を成形したコンポスト化用網状ゴミ袋が開示されているが、ラクトン樹脂単独では融点が低いため、用途が制限される。融点が低いというラクトン樹脂における問題を解決するために、例えば、特許文献2および3には、本発明におけるようなラクトン系樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との混合物として、各種成形物に成形して使用することが開示されているが、エステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルの使用は開示されていないし、本発明のようにそれを添加することにより、成形時に樹脂にかかる背圧が適度に保たれ、かつ、目やにの発生が低減し、結果として連続成形時間が大幅に延びること、また、押出し成形後のネットを2〜8倍に延伸できるようになり、強度が向上することなどは全く開示されていない。
【0005】
ネットを製造するためには、一般的に円形の共通軸線をもった内側及び外側の一対の押出ダイスを備えた押出成形機により押出成形を行う。そのためには、一対の押出ダイスにそれぞれ形成された非常に小さな孔から溶融樹脂を均一かつ安定して吐出することが必要であるが、上記のような公知の樹脂組成物では、樹脂が吐出されるダイス孔に多量の目やにが発生し、安定したストランド成形が困難であった。
さらに成形時の目やにがネットに付着・混入し、延伸工程における延伸切れの大きな要因となり工業的生産には適さないという問題があった。
例えば、特許文献4には、本発明と類似の樹脂混合物に脂肪酸アミドとともにステアリン酸モノグリセリド(グリセリンモノステアリン酸エステル)を液状滑剤として添加した樹脂組成物やそれを本発明で採用する成形法と同じような成形法により得られる崩壊性ゴミ袋が開示されている。しかしながら、同公報にはエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルの使用は開示されていないし、本発明のようにそれを添加することにより、目やにの発生が低減し、結果として連続成形時間が大幅に延びること、また、押出し成形後のネットを2〜8倍に延伸できるようになり、強度が向上することなどは全く開示されていない。
上記のように、生分解性ネットとして要求される物性、廃棄後に要求される生化学的分解性等の他、製造時に要求される成形性においてバランスの取れた採れたものは未だ提案されていない。
本発明は、農林用・園芸用・土木用ネット等ストランド径が大きい(3mmを超える)場合はその製造時に目やにが発生しにくい傾向があるが、果実用などストランド径が小さい(1mm未満)ネットの場合に、特に目やにが発生しやすいという問題があるため、特に、本発明の樹脂組成物を用いて製造すると効果が大である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、生分解性の樹脂組成物を用いて、生分解性ネットの成形性、使用時の物性、廃棄後の生化学的分解性等の点においてバランスがとれ、押出成形によって高品質で大量生産に耐え、製造コストの低減を図ることができる生分解性樹脂製ネット及び生分解性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−72202号公報
【特許文献2】
特開平9−67513号公報
【特許文献3】
特開平9−194700号公報
【特許文献4】
特開平11−157601号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来から公知のラクトン系樹脂と脂肪族ポリエステルとを組み合わせ、さらに特定の可塑剤を添加することにより、各種物性、廃棄後の生分解性等の点においてバランスの取れた成形物を与える生分解性樹脂組成物となり、それを成形することにより生分解性樹脂製ネットが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、ラクトン系樹脂(a)、ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂で、該ポリエステル樹脂が低分子量のポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂に脂肪族ポリイソシアネートを添加、反応させてウレタン結合によって高分子量化した脂肪族ポリエステル樹脂(b)およびエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリングリセリン脂肪酸エステル(c)からなる生分解性樹脂組成物を押出成形して得られることを特徴とする生分解性樹脂製ネットが提供される。
また、本発明によれば、ラクトン系樹脂(a)5〜50重量部、低分子量のポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂に脂肪族ポリイソシアネートを添加、反応させてウレタン結合によって高分子量化した脂肪族ポリエステル樹脂(b)100重量部およびエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル2〜12重量部からなる生分解性樹脂組成物が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるラクトン系樹脂(a)は、生分解性のネットを製造するために用いられるものであり、生分解性であることが必要である。具体的には、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトンの単独重合体又はこれら2種以上のモノマーの共重合体、これらの単独又は共重合体の混合物が挙げられる。これらの重合体又は共重合体は、常温で軟化しないものが好ましく、この観点から、高分子量であって軟化点が55℃程度以上で、安定した性質を有するものが適当である。なかでも、数平均分子量が10,000〜200,000程度のポリカプロラクトンが好ましい。数平均分子量が10,000未満では、得られたネットの強度が不足するので、好ましくない。数平均分子量が200,000を超えるものは製造するのが難しく実用的ではない。
ポリカプロラクトンを使用することにより、得られたネットは柔軟性に優れており、特に果実用ネットとして使用する場合に好適に用いられる。これに対して、例えば、ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂単独でネットが作成された場合、剛性が大き過ぎて実用化が困難である。さらに、ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂にポリ乳酸を加えた場合は、得られたネットが硬すぎて実用化が困難である。
【0010】
本発明において使用される脂肪族ポリエステル樹脂(b)は、生分解性であることが必要であり、例えば、ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂(このような樹脂としては、昭和高分子株式会社のビオノーレ#1903、#1001、#1003、#3001等に代表される低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成されるポリエステル樹脂を例示することができる)が挙げられる。なお、上記本発明において使用される脂肪族ポリエステル樹脂(b)は、低分子量のポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系脂肪族ポリエステル樹脂(b’)に脂肪族イソシアネートを添加、反応させてウレタン結合により高分子量化したものである。脂肪族ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル{OCN−(CH2)4−CH(−NCO)(−COOCH3)}、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、中でもヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂は、数平均分子量が20,000以上のものが好ましい。
本発明では、各成分の混合順序は特に制限はない。各成分を一度に混合して組成物としてもよいし、二成分、例えば上記のポリカプロラクトンとポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系脂肪族ポリエステルをブレンドした混合物を使用することができる。具体例として、例えば、前記特開平9−67513号公報に記載されているようなコハク酸と1,4−ブタンジオールとから得られるポリエステル樹脂とラクトン樹脂とのブレンド物等が例示できる。
【0011】
ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系脂肪族ポリエステル樹脂としては、GPCによる標準ポリスチレン換算で数平均分子量が20,000以上200,000以下、好ましくは40,000以上200,000以下のものが使用できる。
数平均分子量が20,000未満では、得られたネットの強度が不足するので、好ましくない。数平均分子量が200,000を超えるものは溶融時の粘度が高くなり、成形性が悪いため好ましくない。
【0012】
本発明における可塑剤としては、グリセリンモノアセテート等のエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルを使用することが必須である。これらの脂肪酸エステルとしては、例えばグリセリンジアセテートモノラウレート、グリセリンジアセテートモノオレート、グリセリンモノアセテートモノステアレートを挙げることができ、これらを単独又は組み合わせて、好適に使用することができる。これらの中では、特にグリセリンジアセテートモノラウレート、グリセリンジアセテートモノオレート等のグリセリンジアセテートモノ高級脂肪酸エステル(炭素数10以上の高級脂肪酸エステル)が好ましい。エステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルを添加することにより、成形時、溶融粘度が低下するので押出機のスクリューへの負荷が低下するとともに樹脂圧力も低下させることができる。
また、この可塑剤に加えて、生分解性を有する滑剤またはブロッキング防止剤を使用してもよい。そのような滑剤またはブロッキング防止剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、精製ステアリン酸アミド、高純度ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド、高純度ベヘン酸アミド等の飽和高級脂肪酸アミド類、精製オレイン酸アミド、精製エルカ酸アミド、高精製エルカ酸アミド、リシノール酸アミドのような不飽和脂肪酸モノアミド類、置換アミド類、飽和または不飽和ビスアミド類のような固体滑剤が挙げられ、これらを単独又は混合物として使用することができる。これらは通常融点87℃〜160℃程度の固体であるが、本発明の実施においては融点87℃〜130℃のものが好適に用いられる。また、常温で液状の滑剤としては、流動パラフィンも好ましく使用できる。
【0013】
本発明における樹脂組成物においては、例えば、ラクトン系樹脂(a)とポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系の脂肪族ポリエステル樹脂(b)との混合物に対して、可塑剤であるエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル(c)を、該(b)100重量部基準で2〜12重量部程度、さらに2〜11重量部程度、特には2〜8重量部程度添加することが好ましい。
上記混合比率の範囲において、エステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルの比率が高くなると逆に目やにの発生が増加したり、成形時に樹脂の流れが大きくなりすぎて押し出されたストランドが捩れたり背圧がかからず成形そのものが不可能になったりするので、好ましくない。逆に、エステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルの比率が低くなると成形時に目やにの発生を防止する効果が出ないだけでなく、樹脂圧力が高く、成形機のスクリュー負荷が大きくなるため安定な長時間の連続成形が困難となるので、好ましくない。
また、(a)と(b)とは、(5〜50):100程度の重量比が適当である。ラクトン系樹脂(a)と脂肪族ポリエステル樹脂(b)との比率が上記の範囲の上限値を超えて、ラクトン系樹脂(a)の比率が高くなると樹脂組成物の融点が低下し過ぎるので、好ましくない。逆に、脂肪族ポリエステル樹脂の比率が高くなると樹脂組成物およびネットの生分解性が低下したり、溶融時の流動性が低下するので、好ましくない。従って、本発明の樹脂組成物においては、ラクトン系樹脂(a):ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系の脂肪族ポリエステル樹脂(b):可塑剤であるエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル(c)が(5〜50):(100):(2〜12)程度の重量比で混合されていることが好ましい。
上記脂肪酸アミドの添加量は(a)および(b)からなる樹脂組成物100部に対し0.2〜5重量部、好ましくは、0.3〜1.5重量部である。0.2重量部未満では、ブロッキング防止効果や離型効果が発揮されず、逆に、5重量部を超えると、樹脂組成物が過滑性になることによって樹脂の混練が不均一になり、成形が不安定になるとともに、成形されたネットの機械的特性やヒートシール性も低下するので、好ましくない。
【0014】
また、特許公開2001−329149号公報に開示されているような樹脂組成物[ポリカプロラクトン、脂肪族ポリエステル樹脂、およびタルクのような無機物、ラクトン系芳香族ポリエステル樹脂をブレンドしたもの]に本発明における可塑剤であるエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルを適用して本発明の樹脂組成物とすると、成形性の向上効果が大である。
なお、本発明における樹脂組成物には、ネットの成形の際に有効な添加剤を、得られたネットの生分解性に影響を与えない程度の量及び種類で加えてもよい。添加剤としては、熱安定剤、ブロッキング防止剤、核剤、酸化防止剤、光分解剤、生分解促進剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、防臭剤、充填材、着色剤又はこれらの混合物が挙げられる。
樹脂のブレンドおよびエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルを混練する方法には制限はなく、一般的な公知の方法が使用できる。具体的には、それぞれの原料樹脂ペレットや粉体、液体、固体の添加剤をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで混合し、単軸や2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混合機に供給して溶融混練することができる。
【0015】
ネットを製造するための押出成形は、例えば、特公昭34−4185号公報、特公昭38−21224号公報等に記載されている装置を用いて、記載されている方法に準じて行うことができる。具体的には、いわゆるネトロン社方式(ダイヤ目合ネット)及びリカル社方式(スクエア目合ネット)のいずれでもよく、当該分野で一般に使用されている押出機に、円周上に多数の孔が形成された同軸のインダイス及びアウトダイスによって構成される円形ダイスや、円錐表面をもった固定ダイスと先端に孔を有し、上下運動する可動ダイスとから構成される円形ダイス等を搭載した装置を用いることができる。この際の条件、例えば、ダイスのサイズ、回転方向、回転数、可動距離、設定温度、樹脂の温度、押出圧力、押出量等は、特に限定されるものではなく、樹脂組成物の組成、得ようとするネット構造、性能等に応じて適宜調整することができる。
【0016】
本発明の生分解性樹脂製ネットは、種々の用途に使用することができる。例えば、そのまま又は加工して、農業用(植栽又は植生等)、漁業用(引き網、底引き網、刺網、張り網、たも等)、土木用(地盤補強等)、建築用、園芸用(花、茶、果実、野菜等の栽培時の日照調節、野鳥による被害防止等)、日用生活用品(生ごみ廃棄用水切りネット、果樹や野菜の収納用等)、医療品用(ガーゼ、包帯、マスク、オムツ又は生理用品等)等に使用することができる。特に、柔軟性を有し、ストランド径の小さいネットとして、果実収納用に代表される日用生活用品として好適に用いることができる。とりわけ、ラクトン系樹脂(a)として、ポリカプロラクトンを使用した場合、柔軟性が付与されるので好ましい。
【0017】
本発明の生分解性樹脂製ネットは、用途毎にそのストランド径を変えることができ、例えば、0.1mmから10mmまで種々のものが挙げられる。ストランド径を好ましくは、0.1〜3mm、より好ましくは、0.1〜2mm、特に好ましくは、0.1〜1mmのように細くする場合に、目やにの抑制効果が著しい。
また、ネットは一重であっても、多重であってもよい。さらに、本発明の生分解性樹脂製ネットは、延伸されたものでもよいし、未延伸であってもよい。延伸する場合には、1軸延伸、2軸延伸のいずれでもよいが、1軸延伸が好ましい。延伸により、ネットの強度を向上させることができる。延伸温度は、使用する樹脂の種類によって適宜調整することができるが好ましくは80℃〜20℃、より好ましくは50℃〜20℃の範囲である。
延伸倍率は、例えば一軸延伸の場合、図1に示す第1引取機の速度と第2引取機の速度との比で決定することができ、1軸延伸、2軸延伸のいずれにおいても、通常、2〜8倍程度、より好ましくは、2〜5倍の範囲である。延伸倍率が2倍未満では、ネットにおける強度の改善効果が小さく、逆に、延伸倍率が8倍を超えた場合、延伸時にネットが切断し、安定に生産できなくなるので好ましくない。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の生分解性樹脂製ネットの実施例を具体的に説明する。
【0019】
調製例1
ポリカプロラクトン(PCL−H7、ダイセル化学工業(株)製)20重量%と、ポリブチレンサクシネート(ビオノーレ#1001、昭和高分子(株)製)45重量%と、ポリブチレンサクシネート・アジペート(ビオノーレ#3001、昭和高分子(株)製)25重量%と、タルク(WSハイトロンA、竹原化学工業(株)製:充填材)5重量%と、グリセリンジアセテートモノラウレート(リケマールPL012、理研ビタミン(株)製:可塑剤)5重量%とを二軸スクリュータイプのベント式押出機に入れ、ダイス温度180℃で押出して樹脂組成物のペレットを得た。
【0020】
調製例2
ポリカプロラクトン(PCL−H7、ダイセル化学工業(株)製)20重量%と、ポリブチレンサクシネート(ビオノーレ#1001、昭和高分子(株)製)43重量%と、ポリブチレンサクシネート・アジペート(ビオノーレ#3001、昭和高分子(株)製)25重量%と、タルク(WSハイトロンA、竹原化学工業(株)製:充填材)5重量%と、グリセリンジアセテートモノラウレート(リケマールPL012、理研ビタミン(株)製)5重量%と、ステアリン酸アマイド(AP1、日本化成(株)製)1重量%と、ラクトン系PBT(ペルプレンS1002、東洋紡績(株)製)1重量%とから、調製例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。
【0021】
実施例1
調製例1で得られたペレットを、シングル押出機(製品名:IKG社、PMS65−28)を用いた押出成形により、延伸することなく、生分解性樹脂製ネットを形成した。なお、シングル押出機は、65mmφのスクリューを有し、ネトロン社方式によりネットを形成するものであり、2.5インチダイスの先端に円周上に各240個の孔を有する内外のリップを同軸上に形成された円形ダイスを備えている。なお、各孔の大きさ(断面積)は2.2mm2である。
【0022】
成形条件
押出機:65φシングル押出機
ダイ温度:150℃
シリンダー温度:130〜150℃(シリンダーの最初のゾーンから最後のゾーンの設定温度)
スクリューの回転数:10〜50rpm
樹脂圧力:20〜45MPa
吐出量:20〜60kg/分
これらペレット状の樹脂組成物の成形中、いずれの場合も、目やにはほとんど発生せず、樹脂圧力は低く、溶融粘度、ストランド径、回転数の負荷等の調整は良好であり、ネットの巻き具合(ネットの巻き取り時の折れ難さ、ネットのすべり難さ、腰の有無)も良好で連続運転を3時間以上継続することができた。
なお、得られたネットのストランド径は、0.15〜0.35mm、接点長さは0.80〜1.20mm、接点幅は0.10〜0.35mmであった。
【0023】
このようにして得られたネットについて、ヒートシール性、裁断性、水切り使用性能、生分解性、ストランド径、接点長さ、接点幅をそれぞれ測定した。
ヒートシール性は、成形した筒状ネットの一方を熱板によりヒートシールして袋状とし、その強度を測定することにより評価したが、破れない十分なヒートシール強度が得られた。
裁断性は、ネットの一方の端部をヒートシール後、シールバーにより裁断することにより裁断し易さを評価したが、容易に直線状にカットできた。
水切り使用性能は、ヒートシールにより水切り袋を完成させ、排水口と三角コーナーへ取り付け使用した。その結果、水切れ性がよく、目が適度に細かいため、小さいゴミも流さず捕獲できた。
生分解性では、地中において6ヶ月で約12重量%の減量が認められた。
【0024】
実施例2
調製例2で得られたペレットを、実施例1と同様に、シングル押出機を用いた押出成形により、図1に示すような製造ラインにおいて延伸を行いながら生分解性樹脂製ネットを形成した。
【0025】
成形条件
押出機:65φシングル押出機
ダイ温度:150℃
シリンダー温度:130〜150℃
スクリューの回転数:30〜120rpm
樹脂圧力:20〜45MPa
延伸温度:50℃以下
延伸倍率:2〜4倍
吐出量:20〜60kg/分
これらペレット状の樹脂組成物の成形中、樹脂圧力が低く、溶融粘度、ストランド径、回転数の負荷等の調整は良好であり、ネットの巻き具合、ヒートシール性のいずれも良好であった。目やにを発生することなく連続運転を3時間以上継続することができた。また、延伸によるネットの破断はほとんどなかった。
【0026】
このようにして得られたネットについて、ネット強度、ネット復元性、バンチシール性、フィット性、生分解性、ストランド径、接点長さ、接点幅をそれぞれ測定した。
ネット強度は、延伸ネットをMD方向に100mmで円筒形に切り取り、100mm径の丸棒を通し、引張速度200mm/分で引張試験を行い、破断時の強度を測定したところ、10kgf以上の強度が確認され、ネットとして十分な強度が得られた。
ネット復元性は、延伸ネットをMD方向に50mmで円筒形に切り取り、10mm径の丸棒へ通し、200mm長さまで伸ばし、15秒間放置し、その後のネットの復元長さを測定した。その結果、40mm以内となり、十分な復元性が得られた。
【0027】
バンチシール性は、延伸ネット端部をバーナー又は熱風にさらすことにより、ネットを溶融させバンチシール加工を行えるか否かを確認した。その結果、容易にバンチシール加工が行えた。
フィット性は、延伸ネット端部にバンチシール加工を行ったネットに野球ボール(硬球)を3個直線状に入れ、ボール間の最小ネット径を計測し、ボール径に対して何パーセントの径になっているかを測定した。その結果、75〜85%であった。
【0028】
また、得られたネットの生分解性を試験したところ、地中において6ヶ月で約12重量%の減量が認められた。
得られたネットのストランド径は、0.15〜0.30mm、接点長さは0.60〜0.75mm、接点幅は0.60〜0.75mmであった。
【0029】
比較例1
調製例1におけるグリセリンジアセテートモノラウレートの替わりにステアリン酸モノグリセリド(以下、SMGと表記する)を使用して樹脂組成物を調製し、実施例1と同様に、シングル押出機を用いた押出成形により、生分解性樹脂製ネットを成形した。成形中、ダイスの吐出口において目やにの発生が多く、連続運転は30分程度しか継続できなかった。
【0030】
実施例3〜5、比較例2〜7
下記の表1に示す条件で上記実施例および比較例と同様に行なった。
以上の実施例1〜5および比較例1〜7における樹脂その他の配合組成、運転条件および得られた結果をまとめて下記の表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1から明らかなように、可塑剤(PL012)を添加しなかった比較例1、5〜7や可塑剤(PL012)を脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し12重量部以上添加した比較例2〜4においては目やに発生のため30分しか連続運転できなかったのに対して、可塑剤(PL012)を適量添加した実施例1〜5においては、目やに発生なしに3時間以上安定に運転できることがわかった。
【0033】
なお、参考例1および2として、生分解性樹脂ではないポリエチレン樹脂(住友化学化学製、PE−L705)を使用した場合の運転結果を併せて上記表1に示す。
すなわち、表1中の実施例における数値は溶融時の流動性が優れているポリエチレン樹脂に近い数値であることがわかる。
なお、表1における各数値の単位は以下の通りである。すなわち、組成は重量%、目付はg/m、スクリュー回転数はrpm、スクリュー負荷はアンペア、樹脂圧力はkgf/cm2、吐出量はkg/時間である。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、生分解性が向上し、生分解性ネットの成形性、使用時の物性、廃棄後の生化学的分解性等の点においてバランスのとれた、生分解性ネットおよびそれを与える樹脂組成物が得られる。
また、生分解性樹脂で成形したネットを延伸させることにより従来のように強度やフィット性を有するネットを得ることが可能となった。
さらに、これまで使用していた樹脂は土中に埋めても分解はしなかったが、本発明の生分解樹脂を使用したネットは、従来のネットと同様に包装資材としても使用でき、その後廃棄処理をされても土中で分解するため、自然環境を守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生分解性樹脂製ネットの製造ラインを示す要部の概略図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、生分解性樹脂製ネット及び生分解性樹脂組成物に関し、より詳細には、生分解性樹脂組成物を押出成形によって形成される生分解性樹脂製ネット及び生分解性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、みかん、りんご等の果実包装や、タマネギ、ジャガイモ、栗等の野菜包装として、さらには台所の生ごみ廃棄用、植物生育等のための農業用、漁網等の漁業用等に、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂からなる繊維又は繊維束を縦糸及び横糸に使用して織ったネットが利用されている。
このようなネットは、その用途に応じて種々の性質を備える必要がある。例えば、ネットに商品を入れて運搬したり、店頭へ置いたときに、内容物の重量等によりネットが破れて商品等が外へ出ないような強度、ネットに商品を入れた際に、内容物の位置が保持されやすく、運搬時の荷崩れを防止したり、店頭に陳列したときに見た目をきれいにするフィット性、さらに、漁業や農業等に使用される場合には、相当の強度のほかに耐光性等を備えることが必要とされる。
【0003】
しかし、これらのネットは、上記の性質を備えるのみならず、使用後に処分しやすい性質であることをも必要とされる。つまり、通常、これらのネットは使い捨てにされるため、使用後に回収されて廃棄される場合にはごみの量を増大させ、田畑、湖沼、海、土壌、河川等自然界に放置される場合には、半永久的に河川や地中に残留し、その土地の景観を損なうのみならず、自然環境を破壊することとなる。
そこで、近年、合成樹脂からなる繊維等の代わりに、生分解性樹脂を用いる技術が開発されている。ここで、生分解性樹脂とは、材料としての使用時には汎用のプラスチックスとほぼ同等の物性をもつが、廃棄後、土上、土壌中、堆肥中、活性汚泥中、水中等の自然環境下においては速やかにバクテリアやカビ等の微生物により生化学的に分解、資化される高分子をいう。
このような生分解性樹脂としては、例えば、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート/ポリヒドロキシバリレート共重合体、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステル系生分解性樹脂の他、澱粉−EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)系樹脂、EVOH系樹脂−脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂−ポリオレフィン系樹脂等のブレンド系の樹脂組成物が知られており、これらの樹脂又は樹脂組成物はフィルム等の形状に成形されて実用に供されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、下記特許文献1にはポリカプロラクトンのようなラクトン樹脂に脂肪酸アミド等を添加した樹脂組成物を成形したコンポスト化用網状ゴミ袋が開示されているが、ラクトン樹脂単独では融点が低いため、用途が制限される。融点が低いというラクトン樹脂における問題を解決するために、例えば、特許文献2および3には、本発明におけるようなラクトン系樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との混合物として、各種成形物に成形して使用することが開示されているが、エステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルの使用は開示されていないし、本発明のようにそれを添加することにより、成形時に樹脂にかかる背圧が適度に保たれ、かつ、目やにの発生が低減し、結果として連続成形時間が大幅に延びること、また、押出し成形後のネットを2〜8倍に延伸できるようになり、強度が向上することなどは全く開示されていない。
【0005】
ネットを製造するためには、一般的に円形の共通軸線をもった内側及び外側の一対の押出ダイスを備えた押出成形機により押出成形を行う。そのためには、一対の押出ダイスにそれぞれ形成された非常に小さな孔から溶融樹脂を均一かつ安定して吐出することが必要であるが、上記のような公知の樹脂組成物では、樹脂が吐出されるダイス孔に多量の目やにが発生し、安定したストランド成形が困難であった。
さらに成形時の目やにがネットに付着・混入し、延伸工程における延伸切れの大きな要因となり工業的生産には適さないという問題があった。
例えば、特許文献4には、本発明と類似の樹脂混合物に脂肪酸アミドとともにステアリン酸モノグリセリド(グリセリンモノステアリン酸エステル)を液状滑剤として添加した樹脂組成物やそれを本発明で採用する成形法と同じような成形法により得られる崩壊性ゴミ袋が開示されている。しかしながら、同公報にはエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルの使用は開示されていないし、本発明のようにそれを添加することにより、目やにの発生が低減し、結果として連続成形時間が大幅に延びること、また、押出し成形後のネットを2〜8倍に延伸できるようになり、強度が向上することなどは全く開示されていない。
上記のように、生分解性ネットとして要求される物性、廃棄後に要求される生化学的分解性等の他、製造時に要求される成形性においてバランスの取れた採れたものは未だ提案されていない。
本発明は、農林用・園芸用・土木用ネット等ストランド径が大きい(3mmを超える)場合はその製造時に目やにが発生しにくい傾向があるが、果実用などストランド径が小さい(1mm未満)ネットの場合に、特に目やにが発生しやすいという問題があるため、特に、本発明の樹脂組成物を用いて製造すると効果が大である。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、生分解性の樹脂組成物を用いて、生分解性ネットの成形性、使用時の物性、廃棄後の生化学的分解性等の点においてバランスがとれ、押出成形によって高品質で大量生産に耐え、製造コストの低減を図ることができる生分解性樹脂製ネット及び生分解性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−72202号公報
【特許文献2】
特開平9−67513号公報
【特許文献3】
特開平9−194700号公報
【特許文献4】
特開平11−157601号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはかかる目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来から公知のラクトン系樹脂と脂肪族ポリエステルとを組み合わせ、さらに特定の可塑剤を添加することにより、各種物性、廃棄後の生分解性等の点においてバランスの取れた成形物を与える生分解性樹脂組成物となり、それを成形することにより生分解性樹脂製ネットが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、ラクトン系樹脂(a)、ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂で、該ポリエステル樹脂が低分子量のポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂に脂肪族ポリイソシアネートを添加、反応させてウレタン結合によって高分子量化した脂肪族ポリエステル樹脂(b)およびエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリングリセリン脂肪酸エステル(c)からなる生分解性樹脂組成物を押出成形して得られることを特徴とする生分解性樹脂製ネットが提供される。
また、本発明によれば、ラクトン系樹脂(a)5〜50重量部、低分子量のポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂に脂肪族ポリイソシアネートを添加、反応させてウレタン結合によって高分子量化した脂肪族ポリエステル樹脂(b)100重量部およびエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル2〜12重量部からなる生分解性樹脂組成物が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において使用されるラクトン系樹脂(a)は、生分解性のネットを製造するために用いられるものであり、生分解性であることが必要である。具体的には、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトンの単独重合体又はこれら2種以上のモノマーの共重合体、これらの単独又は共重合体の混合物が挙げられる。これらの重合体又は共重合体は、常温で軟化しないものが好ましく、この観点から、高分子量であって軟化点が55℃程度以上で、安定した性質を有するものが適当である。なかでも、数平均分子量が10,000〜200,000程度のポリカプロラクトンが好ましい。数平均分子量が10,000未満では、得られたネットの強度が不足するので、好ましくない。数平均分子量が200,000を超えるものは製造するのが難しく実用的ではない。
ポリカプロラクトンを使用することにより、得られたネットは柔軟性に優れており、特に果実用ネットとして使用する場合に好適に用いられる。これに対して、例えば、ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂単独でネットが作成された場合、剛性が大き過ぎて実用化が困難である。さらに、ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂にポリ乳酸を加えた場合は、得られたネットが硬すぎて実用化が困難である。
【0010】
本発明において使用される脂肪族ポリエステル樹脂(b)は、生分解性であることが必要であり、例えば、ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂(このような樹脂としては、昭和高分子株式会社のビオノーレ#1903、#1001、#1003、#3001等に代表される低分子量脂肪族ジカルボン酸と低分子量脂肪族ジオールより合成されるポリエステル樹脂を例示することができる)が挙げられる。なお、上記本発明において使用される脂肪族ポリエステル樹脂(b)は、低分子量のポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系脂肪族ポリエステル樹脂(b’)に脂肪族イソシアネートを添加、反応させてウレタン結合により高分子量化したものである。脂肪族ジイソシアネート化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル{OCN−(CH2)4−CH(−NCO)(−COOCH3)}、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、中でもヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。ウレタン結合を含む脂肪族ポリエステル樹脂は、数平均分子量が20,000以上のものが好ましい。
本発明では、各成分の混合順序は特に制限はない。各成分を一度に混合して組成物としてもよいし、二成分、例えば上記のポリカプロラクトンとポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系脂肪族ポリエステルをブレンドした混合物を使用することができる。具体例として、例えば、前記特開平9−67513号公報に記載されているようなコハク酸と1,4−ブタンジオールとから得られるポリエステル樹脂とラクトン樹脂とのブレンド物等が例示できる。
【0011】
ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系脂肪族ポリエステル樹脂としては、GPCによる標準ポリスチレン換算で数平均分子量が20,000以上200,000以下、好ましくは40,000以上200,000以下のものが使用できる。
数平均分子量が20,000未満では、得られたネットの強度が不足するので、好ましくない。数平均分子量が200,000を超えるものは溶融時の粘度が高くなり、成形性が悪いため好ましくない。
【0012】
本発明における可塑剤としては、グリセリンモノアセテート等のエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルを使用することが必須である。これらの脂肪酸エステルとしては、例えばグリセリンジアセテートモノラウレート、グリセリンジアセテートモノオレート、グリセリンモノアセテートモノステアレートを挙げることができ、これらを単独又は組み合わせて、好適に使用することができる。これらの中では、特にグリセリンジアセテートモノラウレート、グリセリンジアセテートモノオレート等のグリセリンジアセテートモノ高級脂肪酸エステル(炭素数10以上の高級脂肪酸エステル)が好ましい。エステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルを添加することにより、成形時、溶融粘度が低下するので押出機のスクリューへの負荷が低下するとともに樹脂圧力も低下させることができる。
また、この可塑剤に加えて、生分解性を有する滑剤またはブロッキング防止剤を使用してもよい。そのような滑剤またはブロッキング防止剤としては、例えば、ステアリン酸アミド、精製ステアリン酸アミド、高純度ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド、高純度ベヘン酸アミド等の飽和高級脂肪酸アミド類、精製オレイン酸アミド、精製エルカ酸アミド、高精製エルカ酸アミド、リシノール酸アミドのような不飽和脂肪酸モノアミド類、置換アミド類、飽和または不飽和ビスアミド類のような固体滑剤が挙げられ、これらを単独又は混合物として使用することができる。これらは通常融点87℃〜160℃程度の固体であるが、本発明の実施においては融点87℃〜130℃のものが好適に用いられる。また、常温で液状の滑剤としては、流動パラフィンも好ましく使用できる。
【0013】
本発明における樹脂組成物においては、例えば、ラクトン系樹脂(a)とポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系の脂肪族ポリエステル樹脂(b)との混合物に対して、可塑剤であるエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル(c)を、該(b)100重量部基準で2〜12重量部程度、さらに2〜11重量部程度、特には2〜8重量部程度添加することが好ましい。
上記混合比率の範囲において、エステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルの比率が高くなると逆に目やにの発生が増加したり、成形時に樹脂の流れが大きくなりすぎて押し出されたストランドが捩れたり背圧がかからず成形そのものが不可能になったりするので、好ましくない。逆に、エステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルの比率が低くなると成形時に目やにの発生を防止する効果が出ないだけでなく、樹脂圧力が高く、成形機のスクリュー負荷が大きくなるため安定な長時間の連続成形が困難となるので、好ましくない。
また、(a)と(b)とは、(5〜50):100程度の重量比が適当である。ラクトン系樹脂(a)と脂肪族ポリエステル樹脂(b)との比率が上記の範囲の上限値を超えて、ラクトン系樹脂(a)の比率が高くなると樹脂組成物の融点が低下し過ぎるので、好ましくない。逆に、脂肪族ポリエステル樹脂の比率が高くなると樹脂組成物およびネットの生分解性が低下したり、溶融時の流動性が低下するので、好ましくない。従って、本発明の樹脂組成物においては、ラクトン系樹脂(a):ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系の脂肪族ポリエステル樹脂(b):可塑剤であるエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル(c)が(5〜50):(100):(2〜12)程度の重量比で混合されていることが好ましい。
上記脂肪酸アミドの添加量は(a)および(b)からなる樹脂組成物100部に対し0.2〜5重量部、好ましくは、0.3〜1.5重量部である。0.2重量部未満では、ブロッキング防止効果や離型効果が発揮されず、逆に、5重量部を超えると、樹脂組成物が過滑性になることによって樹脂の混練が不均一になり、成形が不安定になるとともに、成形されたネットの機械的特性やヒートシール性も低下するので、好ましくない。
【0014】
また、特許公開2001−329149号公報に開示されているような樹脂組成物[ポリカプロラクトン、脂肪族ポリエステル樹脂、およびタルクのような無機物、ラクトン系芳香族ポリエステル樹脂をブレンドしたもの]に本発明における可塑剤であるエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルを適用して本発明の樹脂組成物とすると、成形性の向上効果が大である。
なお、本発明における樹脂組成物には、ネットの成形の際に有効な添加剤を、得られたネットの生分解性に影響を与えない程度の量及び種類で加えてもよい。添加剤としては、熱安定剤、ブロッキング防止剤、核剤、酸化防止剤、光分解剤、生分解促進剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、防臭剤、充填材、着色剤又はこれらの混合物が挙げられる。
樹脂のブレンドおよびエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステルを混練する方法には制限はなく、一般的な公知の方法が使用できる。具体的には、それぞれの原料樹脂ペレットや粉体、液体、固体の添加剤をヘンシェルミキサーやリボンミキサーで混合し、単軸や2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロールなどの公知の溶融混合機に供給して溶融混練することができる。
【0015】
ネットを製造するための押出成形は、例えば、特公昭34−4185号公報、特公昭38−21224号公報等に記載されている装置を用いて、記載されている方法に準じて行うことができる。具体的には、いわゆるネトロン社方式(ダイヤ目合ネット)及びリカル社方式(スクエア目合ネット)のいずれでもよく、当該分野で一般に使用されている押出機に、円周上に多数の孔が形成された同軸のインダイス及びアウトダイスによって構成される円形ダイスや、円錐表面をもった固定ダイスと先端に孔を有し、上下運動する可動ダイスとから構成される円形ダイス等を搭載した装置を用いることができる。この際の条件、例えば、ダイスのサイズ、回転方向、回転数、可動距離、設定温度、樹脂の温度、押出圧力、押出量等は、特に限定されるものではなく、樹脂組成物の組成、得ようとするネット構造、性能等に応じて適宜調整することができる。
【0016】
本発明の生分解性樹脂製ネットは、種々の用途に使用することができる。例えば、そのまま又は加工して、農業用(植栽又は植生等)、漁業用(引き網、底引き網、刺網、張り網、たも等)、土木用(地盤補強等)、建築用、園芸用(花、茶、果実、野菜等の栽培時の日照調節、野鳥による被害防止等)、日用生活用品(生ごみ廃棄用水切りネット、果樹や野菜の収納用等)、医療品用(ガーゼ、包帯、マスク、オムツ又は生理用品等)等に使用することができる。特に、柔軟性を有し、ストランド径の小さいネットとして、果実収納用に代表される日用生活用品として好適に用いることができる。とりわけ、ラクトン系樹脂(a)として、ポリカプロラクトンを使用した場合、柔軟性が付与されるので好ましい。
【0017】
本発明の生分解性樹脂製ネットは、用途毎にそのストランド径を変えることができ、例えば、0.1mmから10mmまで種々のものが挙げられる。ストランド径を好ましくは、0.1〜3mm、より好ましくは、0.1〜2mm、特に好ましくは、0.1〜1mmのように細くする場合に、目やにの抑制効果が著しい。
また、ネットは一重であっても、多重であってもよい。さらに、本発明の生分解性樹脂製ネットは、延伸されたものでもよいし、未延伸であってもよい。延伸する場合には、1軸延伸、2軸延伸のいずれでもよいが、1軸延伸が好ましい。延伸により、ネットの強度を向上させることができる。延伸温度は、使用する樹脂の種類によって適宜調整することができるが好ましくは80℃〜20℃、より好ましくは50℃〜20℃の範囲である。
延伸倍率は、例えば一軸延伸の場合、図1に示す第1引取機の速度と第2引取機の速度との比で決定することができ、1軸延伸、2軸延伸のいずれにおいても、通常、2〜8倍程度、より好ましくは、2〜5倍の範囲である。延伸倍率が2倍未満では、ネットにおける強度の改善効果が小さく、逆に、延伸倍率が8倍を超えた場合、延伸時にネットが切断し、安定に生産できなくなるので好ましくない。
【0018】
【実施例】
以下、本発明の生分解性樹脂製ネットの実施例を具体的に説明する。
【0019】
調製例1
ポリカプロラクトン(PCL−H7、ダイセル化学工業(株)製)20重量%と、ポリブチレンサクシネート(ビオノーレ#1001、昭和高分子(株)製)45重量%と、ポリブチレンサクシネート・アジペート(ビオノーレ#3001、昭和高分子(株)製)25重量%と、タルク(WSハイトロンA、竹原化学工業(株)製:充填材)5重量%と、グリセリンジアセテートモノラウレート(リケマールPL012、理研ビタミン(株)製:可塑剤)5重量%とを二軸スクリュータイプのベント式押出機に入れ、ダイス温度180℃で押出して樹脂組成物のペレットを得た。
【0020】
調製例2
ポリカプロラクトン(PCL−H7、ダイセル化学工業(株)製)20重量%と、ポリブチレンサクシネート(ビオノーレ#1001、昭和高分子(株)製)43重量%と、ポリブチレンサクシネート・アジペート(ビオノーレ#3001、昭和高分子(株)製)25重量%と、タルク(WSハイトロンA、竹原化学工業(株)製:充填材)5重量%と、グリセリンジアセテートモノラウレート(リケマールPL012、理研ビタミン(株)製)5重量%と、ステアリン酸アマイド(AP1、日本化成(株)製)1重量%と、ラクトン系PBT(ペルプレンS1002、東洋紡績(株)製)1重量%とから、調製例1と同様にして樹脂組成物のペレットを得た。
【0021】
実施例1
調製例1で得られたペレットを、シングル押出機(製品名:IKG社、PMS65−28)を用いた押出成形により、延伸することなく、生分解性樹脂製ネットを形成した。なお、シングル押出機は、65mmφのスクリューを有し、ネトロン社方式によりネットを形成するものであり、2.5インチダイスの先端に円周上に各240個の孔を有する内外のリップを同軸上に形成された円形ダイスを備えている。なお、各孔の大きさ(断面積)は2.2mm2である。
【0022】
成形条件
押出機:65φシングル押出機
ダイ温度:150℃
シリンダー温度:130〜150℃(シリンダーの最初のゾーンから最後のゾーンの設定温度)
スクリューの回転数:10〜50rpm
樹脂圧力:20〜45MPa
吐出量:20〜60kg/分
これらペレット状の樹脂組成物の成形中、いずれの場合も、目やにはほとんど発生せず、樹脂圧力は低く、溶融粘度、ストランド径、回転数の負荷等の調整は良好であり、ネットの巻き具合(ネットの巻き取り時の折れ難さ、ネットのすべり難さ、腰の有無)も良好で連続運転を3時間以上継続することができた。
なお、得られたネットのストランド径は、0.15〜0.35mm、接点長さは0.80〜1.20mm、接点幅は0.10〜0.35mmであった。
【0023】
このようにして得られたネットについて、ヒートシール性、裁断性、水切り使用性能、生分解性、ストランド径、接点長さ、接点幅をそれぞれ測定した。
ヒートシール性は、成形した筒状ネットの一方を熱板によりヒートシールして袋状とし、その強度を測定することにより評価したが、破れない十分なヒートシール強度が得られた。
裁断性は、ネットの一方の端部をヒートシール後、シールバーにより裁断することにより裁断し易さを評価したが、容易に直線状にカットできた。
水切り使用性能は、ヒートシールにより水切り袋を完成させ、排水口と三角コーナーへ取り付け使用した。その結果、水切れ性がよく、目が適度に細かいため、小さいゴミも流さず捕獲できた。
生分解性では、地中において6ヶ月で約12重量%の減量が認められた。
【0024】
実施例2
調製例2で得られたペレットを、実施例1と同様に、シングル押出機を用いた押出成形により、図1に示すような製造ラインにおいて延伸を行いながら生分解性樹脂製ネットを形成した。
【0025】
成形条件
押出機:65φシングル押出機
ダイ温度:150℃
シリンダー温度:130〜150℃
スクリューの回転数:30〜120rpm
樹脂圧力:20〜45MPa
延伸温度:50℃以下
延伸倍率:2〜4倍
吐出量:20〜60kg/分
これらペレット状の樹脂組成物の成形中、樹脂圧力が低く、溶融粘度、ストランド径、回転数の負荷等の調整は良好であり、ネットの巻き具合、ヒートシール性のいずれも良好であった。目やにを発生することなく連続運転を3時間以上継続することができた。また、延伸によるネットの破断はほとんどなかった。
【0026】
このようにして得られたネットについて、ネット強度、ネット復元性、バンチシール性、フィット性、生分解性、ストランド径、接点長さ、接点幅をそれぞれ測定した。
ネット強度は、延伸ネットをMD方向に100mmで円筒形に切り取り、100mm径の丸棒を通し、引張速度200mm/分で引張試験を行い、破断時の強度を測定したところ、10kgf以上の強度が確認され、ネットとして十分な強度が得られた。
ネット復元性は、延伸ネットをMD方向に50mmで円筒形に切り取り、10mm径の丸棒へ通し、200mm長さまで伸ばし、15秒間放置し、その後のネットの復元長さを測定した。その結果、40mm以内となり、十分な復元性が得られた。
【0027】
バンチシール性は、延伸ネット端部をバーナー又は熱風にさらすことにより、ネットを溶融させバンチシール加工を行えるか否かを確認した。その結果、容易にバンチシール加工が行えた。
フィット性は、延伸ネット端部にバンチシール加工を行ったネットに野球ボール(硬球)を3個直線状に入れ、ボール間の最小ネット径を計測し、ボール径に対して何パーセントの径になっているかを測定した。その結果、75〜85%であった。
【0028】
また、得られたネットの生分解性を試験したところ、地中において6ヶ月で約12重量%の減量が認められた。
得られたネットのストランド径は、0.15〜0.30mm、接点長さは0.60〜0.75mm、接点幅は0.60〜0.75mmであった。
【0029】
比較例1
調製例1におけるグリセリンジアセテートモノラウレートの替わりにステアリン酸モノグリセリド(以下、SMGと表記する)を使用して樹脂組成物を調製し、実施例1と同様に、シングル押出機を用いた押出成形により、生分解性樹脂製ネットを成形した。成形中、ダイスの吐出口において目やにの発生が多く、連続運転は30分程度しか継続できなかった。
【0030】
実施例3〜5、比較例2〜7
下記の表1に示す条件で上記実施例および比較例と同様に行なった。
以上の実施例1〜5および比較例1〜7における樹脂その他の配合組成、運転条件および得られた結果をまとめて下記の表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1から明らかなように、可塑剤(PL012)を添加しなかった比較例1、5〜7や可塑剤(PL012)を脂肪族ポリエステル樹脂100重量部に対し12重量部以上添加した比較例2〜4においては目やに発生のため30分しか連続運転できなかったのに対して、可塑剤(PL012)を適量添加した実施例1〜5においては、目やに発生なしに3時間以上安定に運転できることがわかった。
【0033】
なお、参考例1および2として、生分解性樹脂ではないポリエチレン樹脂(住友化学化学製、PE−L705)を使用した場合の運転結果を併せて上記表1に示す。
すなわち、表1中の実施例における数値は溶融時の流動性が優れているポリエチレン樹脂に近い数値であることがわかる。
なお、表1における各数値の単位は以下の通りである。すなわち、組成は重量%、目付はg/m、スクリュー回転数はrpm、スクリュー負荷はアンペア、樹脂圧力はkgf/cm2、吐出量はkg/時間である。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、生分解性が向上し、生分解性ネットの成形性、使用時の物性、廃棄後の生化学的分解性等の点においてバランスのとれた、生分解性ネットおよびそれを与える樹脂組成物が得られる。
また、生分解性樹脂で成形したネットを延伸させることにより従来のように強度やフィット性を有するネットを得ることが可能となった。
さらに、これまで使用していた樹脂は土中に埋めても分解はしなかったが、本発明の生分解樹脂を使用したネットは、従来のネットと同様に包装資材としても使用でき、その後廃棄処理をされても土中で分解するため、自然環境を守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生分解性樹脂製ネットの製造ラインを示す要部の概略図である。
Claims (10)
- ラクトン系樹脂(a)、ポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂で該ポリエステル樹脂が低分子量のポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂(b’)に脂肪族ポリイソシアネートを添加、反応させてウレタン結合によって高分子量化した脂肪族ポリエステル樹脂(b)およびエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル(c)からなる生分解性樹脂組成物を一体押出成形して得られることを特徴とする生分解性樹脂製ネット。
- ラクトン系樹脂(a)が、ポリカプロラクトンである請求項1に記載の生分解性樹脂製ネット。
- エステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル(c)が、グリセリンジアセテートモノラウレートである請求項1に記載のネット。
- ラクトン系樹脂(a)、脂肪族ポリエステル樹脂(b)及びエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル(c)が(5〜50):(100):(2〜12)の重量比で混合されてなる請求項1〜3のいずれか1つに記載のネット。
- さらに、脂肪酸アミドを含む請求項1〜4のいずれか1つに記載のネット。
- さらに、タルクを含む請求項1〜4のいずれか1つに記載のネット。
- さらに、ラクトン系ポリブチレンテレフタレート樹脂を含む請求項1〜4のいずれか1つに記載のネット。
- 押出成形後、1軸または2軸で2〜8倍の延伸倍率で延伸されたものである請求項1〜7のいずれか1つに記載のネット。
- 日用生活品、果実又は野菜収納用、農業用、漁業用、土木用、園芸用、医療用に使用される請求項1〜8のいずれか1つに記載のネット。
- ラクトン系樹脂(a)5〜50重量部、低分子量のポリブチレンサクシネート系及び/またはポリブチレンサクシネート・アジペート系のポリエステル樹脂に脂肪族ポリイソシアネートを添加、反応させてウレタン結合によって高分子量化した脂肪族ポリエステル樹脂(b)100重量部およびエステルとなる脂肪酸のうち少なくとも1つが酢酸であるグリセリン脂肪酸エステル2〜12重量部からなる生分解性樹脂組成物。
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CN1923892B (zh) * | 2005-08-30 | 2010-11-10 | 吉林金源北方科技发展有限公司 | 一种降解型复合材料 |
JP2013227076A (ja) * | 2012-03-30 | 2013-11-07 | Mitsui Chemicals Tohcello Inc | 食品鮮度保持用発泡ネット及び発泡シート |
WO2023218421A1 (en) * | 2022-05-12 | 2023-11-16 | Reliance Industries Limited | A process for the preparation of biodegradable net articles |
-
2002
- 2002-09-13 JP JP2002269271A patent/JP2004107406A/ja not_active Withdrawn
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