JP4637631B2 - クロージング加工方法及びクロージング加工機 - Google Patents

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Description

本発明は、クロージング加工方法及びクロージング加工機の改良に関するものである。
金属パイプ材の開口端部を閉塞するクロージング加工方法はスピニング加工方法の一つである(特許文献1参照)。
このクロージング加工方法は金属パイプ材からなるワークを回転させ、ワークを加熱しながらワークに金型を押し当て、徐々に金型に近づけて塑性変形させる。
このクロージング加工に用いられるクロージング加工機は、ワークの外周面を把持する外径チャックと、外径チャックをワークと共に回転駆動するチャックスピンドルとを備え、回転するワークに対してオフセット量を持って回転する金型をワークに押し当ててワークをクロージング加工するようになっている。
従来のクロージング加工機は、クロージング加工時、金型がワークに押し当てられて摺接することにより、金型より高速回転するワークに追従して回転する。
特開2002−153930号公報
しかしながら、従来のクロージング加工機は、クロージング加工時、金型がワークに追従して加速するとき、金型と共に回転する駆動系の慣性質量が大きいため、金型の回転がワークの回転に速やかに追従することができず、タクト時間が長くなるという問題点があった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、回転する金型が回転するワークに速やかに追従できるクロージング加工方法及びクロージング加工機を提供することを目的とする。
本発明は、回転するワークに対して回転する金型を押し当ててワークをクロージング加工するクロージング加工方法において、金型を金型支持シャフトを介して回転可能に支持し、モータのトルクを動力伝達機構を介して金型支持シャフトに伝達し、金型支持シャフトから動力伝達機構に入力されるトルクをワンウェイクラッチを介して遮断し、クロージング加工時に金型がワークに押し当てられて摺接することにより金型より高速回転するワークに追従して回転することを特徴とするものとした。
本発明は、回転するワークに対して回転する金型を押し当ててワークをクロージング加工するクロージング加工機において、金型を回転可能に支持する金型支持シャフトと、モータのトルクを金型支持シャフトに伝達する動力伝達機構と、金型支持シャフトから動力伝達機構に入力されるトルクを遮断するワンウェイクラッチとを備え、クロージング加工時に金型がワークに押し当てられて摺接することにより金型より高速回転するワークに追従して回転するようにしたことを特徴とするものとした。
本発明は、クロージング加工時、金型がワークに押し当てられて摺接することにより、金型より高速回転するワークに追従して回転する。
金型がワークに追従して加速するとき、ワンウェイクラッチは金型支持シャフトから動力伝達機構に伝達されるトルクを遮断する。こうして金型支持シャフトからワンウェイクラッチを介して動力伝達機構が切り離されることにより、金型支持シャフトが動力伝達機構に対して自由に回転し、金型と共に回転する駆動系の慣性質量が削減される。このため、金型の回転がワークの回転に速やかに追従し、タクト時間を短縮することが可能となり、生産性を高められる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1〜図3にクロージング加工機1の全体構成を示す。図1〜図3において、互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定し、X軸が略水平横方向に延び、Y軸が略水平前後方向に延び、Z軸が略垂直方向に延びるものとし、クロージング加工機1の全体構成について説明する。
クロージング加工機1の中央部にはワーク9を回転駆動する2台のチャックスピンドル20と金型4を駆動する1台の金型駆動装置40が設けられる。各チャックスピンドル20は、後述するチャックスピンドル移動装置30を介して架台3に対してX軸方向について往復動し、クロージング加工機1の中央部へと交互に移動し、ワーク9を金型4に対峙させる。
クロージング加工機1は、高周波加熱装置2によって金属パイプ材からなるワーク9を加熱し、回転するワーク9に金型4を押し当ててワーク9を塑性変形させることによって、ワーク9の開口端部を閉塞するクロージング加工を行う。
クロージング加工機1の中央部には、ワーク9をクロージング加工するチャックスピンドル20の前方に位置してワーク9の端部を支持するスラストストッパ移動装置60と、芯金5をワーク9の内側に移動する芯金移動装置50とが設けられる。
クロージング加工機1の左右の後部にはそれぞれ一対のコンベア18とワーク投入装置10が設けられる。ワーク9は各コンベア18によってY軸方向前方に搬送された後、Y軸方向に移動可能な各ワーク投入装置10によってY軸方向前方に搬送され、左右のチャックスピンドル20に投入し把持される。
一方のチャックスピンドル20がクロージング加工機1の中央部に位置してクロージング加工を行っている間、他方のチャックスピンドル20がクロージング加工機1の左右端部のいずれかに位置して各ワーク投入装置10に搬送されるワーク9を受け取る。
クロージング加工機1の前部には、クロージング加工後のワーク9を搬出する搬出装置17が設けられる。搬出装置17はワーク9を把持するハンド13を架台3に対してX軸方向について往復動し、左右のチャックスピンドル20から押し出されるワーク9をクロージング加工機1の右前部に配置されたコンベア19へと搬送する。
クロージング加工を終えて1000℃以上に高温となるワーク9は、コンベア19によって冷却装置70(図3参照)へと搬送され、冷却装置70にて冷却される。冷却装置70はクロージング加工機1の前方右側に設けられている。
図4の(a)〜(g)にクロージング加工機1がワーク9にクロージング加工する一連の工程を示す。以下、このクロージング加工方法の各工程を順に説明する。
図4の(a)に示すように、ワーク投入装置10の内径チャック8をワーク9内に挿入し、その内径チャック8がワーク9の内周面を把持する。
図4の(b)に示すように、ワーク投入装置10が内径チャック8をY軸方向に前進させてワーク9をチャックスピンドル20の外径チャック7に挿入し、外径チャック7がワーク9の外周面を把持する。
図4の(c)に示すように、ワーク投入装置10が内径チャック8をY軸方向に後退させて内径チャック8をワーク9から抜き取る。続いてチャックスピンドル移動装置30がチャックスピンドル20をX軸方向に移動してワーク9を金型4に対峙する加工位置に停止させる。
図4の(d)に示すように、スラストストッパ移動装置60がスラストストッパ6をワーク9の基端部9bを支持するスラスト加工基準位置に移動する。
図4の(e)に示すように、芯金移動装置50が芯金5をワーク9の内側に投入する。
図4の(f)に示すように、チャックスピンドル20がワーク9と芯金5を回転駆動する。一方、金型駆動装置40が加熱された金型4をワーク9に押し当てる。これにより、金型4と芯金5の間でワーク9の先端部9aが次第に絞られ、最終的にワーク9の先端部9aを閉塞した底部9cを形成する。
図4の(g)に示すように、金型駆動装置40が金型4をY軸方向後方に移動し、ワーク9から離す。一方、スラストストッパ移動装置60がスラストストッパ6をY軸方向前方に移動してスラスト加工基準位置から離すとともに、芯金移動装置50が芯金5をワーク9の内側から抜き取る。
続けて別のワーク9をクロージング加工する場合、図4の(a)に示すように、チャックスピンドル移動装置30がチャックスピンドル20をX軸方向に移動してワーク9を内径チャック8に対峙させる。そして、図4の(b)に示すように、ワーク投入装置10が内径チャック8をY軸方向に前進させ、クロージング加工前のワーク9の基端部9bをクロージング加工済みのワーク9の底部9cに当接させてクロージング加工済みのワーク9を外径チャック7から押し出す。
一方、ワーク9のクロージング加工を終了する場合、図4の(h)に示すように、ワーク投入装置10が内径チャック8をY軸方向に前進させ、内径チャック8をクロージング加工済みのワーク9の底部9cに当接させてクロージング加工済みのワーク9を外径チャック7から押し出す。
以上、クロージング加工機1の全体構成を説明した。
次に図5〜図7に示す金型駆動装置40の構成を説明する。
金型駆動装置40は、その前端部に金型4が取り付けられる金型支持シャフト41と、この金型支持シャフト41を図示しない軸受を介して回転可能に支持する金型支持ケース42と、金型支持ケース42を搭載するスライド台43をY軸方向に移動可能に支持する2本のガイドレール44と、スライド台43をY軸方向に駆動する油圧シリンダ45とを備える。油圧シリンダ45は図示しないコントローラの出力に応じてクロージング加工時に金型支持ケース42をY軸方向について前方に移動し、金型4をワーク9に押し付ける。
金型駆動装置40は、金型4を回転可能に支持する金型支持シャフト41と、モータ46の回転を金型支持シャフト41に伝達する動力伝達機構401と、動力伝達機構401から金型支持シャフト41にトルクを入力する一方、金型支持シャフト41から動力伝達機構401に入力されるトルクを遮断するワンウェイクラッチ410とを備える。
ワンウェイクラッチ410はモータ46からのトルクを金型支持シャフト41に伝達するが、金型支持シャフト41からモータ46に伝達されるトルクを遮断する回転伝達機構を持つ。
動力伝達機構401はモータ46の出力軸402に連結されるプーリ403と、金型支持シャフト41側に連結されるプーリ404と、各プーリ403,404に渡って掛け回されるベルト405とを備える。
ワンウェイクラッチ410は金型支持シャフト41と動力伝達機構401の出力軸406の間に介装し、金型支持シャフト41から動力伝達機構401の出力軸406に伝達されるトルクを遮断するようにする。
動力伝達機構401の出力軸406はその一端がワンウェイクラッチ410を構成し、その他端にプーリ404が連結される。
クロージング加工を行う前の工程にて、モータ46がワンウェイクラッチ410を介して金型4を回転駆動するとともに、チャックスピンドル20を介してワーク9を回転駆動し、金型4の回転速度をワーク9の回転速度よりわずかに低く設定する。
クロージング加工を行う工程にて、金型4はワーク9に押し当てられて摺接することにより、金型4より高速回転するワーク9に追従してワーク9と略同一速度で回転する。
金型4がワーク9に追従して加速するとき、ワンウェイクラッチ410は金型支持シャフト41から動力伝達機構401の出力軸406に伝達されるトルクを遮断する。こうして金型支持シャフト41からワンウェイクラッチ410を介して動力伝達機構401の出力軸406が切り離されることにより、金型支持シャフト41が動力伝達機構401の出力軸406に対して自由に回転し、金型4と共に回転する駆動系の慣性質量が削減される。このため、金型4の回転がワーク9の回転に速やかに追従し、1本のワーク9をクロージング加工するのにかかるタクト時間を短縮することが可能となり、生産性を高められる。
これに対して、ワンウェイクラッチ410をモータ46の出力軸402と動力伝達機構401のプーリ402の間に介装した場合、金型4がワーク9に追従して加速するとき、ワンウェイクラッチ410が金型支持シャフト41からモータ46に伝達されるトルクを遮断しても、金型支持シャフト41は動力伝達機構401のプーリ403と共に回転し、ベルト405を循環させるため、金型4と共に回転する駆動系の慣性質量が大きく、金型4の回転がワーク9の回転に追従することが遅れ、タクト時間が増える。
なお、モータ46の回転を金型支持シャフト41に伝達する動力伝達機構401は、各プーリ403,404及びベルト405を備える構造に限らず、例えばギア等、他の機構を用いても良い。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明のクロージング加工方法及びクロージング加工機は、ワークの開口端部を閉塞するクロージング加工に限らず、回転するワークに対して金型をワークに押し当ててワークを絞り加工するスピニング加工に利用できる。
本発明の実施の形態を示すクロージング加工機の側面図。 同じくクロージング加工機の平面図。 同じくクロージング加工機の正面図。 同じくクロージング加工する工程を示す図。 同じく金型駆動装置の側面図。 同じく金型駆動装置の平面図。 同じく金型駆動の正面図。
符号の説明
1 クロージング加工機
2 加熱装置
4 金型
5 芯金
7 外径チャック
8 内径チャック
9 ワーク
10 ワーク投入装置
20 チャックスピンドル
40 金型駆動装置
41 金型支持シャフト
46 モータ
401 動力伝達機構
406 出力軸
410 ワンウェイクラッチ

Claims (2)

  1. 回転するワークに対して回転する金型を押し当ててこのワークをクロージング加工するクロージング加工方法において、
    前記金型を金型支持シャフトを介して回転可能に支持し、
    モータのトルクを動力伝達機構を介してこの金型支持シャフトに伝達し、
    前記金型支持シャフトからこの動力伝達機構に入力されるトルクをワンウェイクラッチを介して遮断し、
    クロージング加工時に前記金型が前記ワークに押し当てられて摺接することにより前記金型より高速回転する前記ワークに追従して回転することを特徴とするクロージング加工方法。
  2. 回転するワークに対して回転する金型を押し当ててこのワークをクロージング加工するクロージング加工機において、
    前記金型を回転可能に支持する金型支持シャフトと、
    モータのトルクをこの金型支持シャフトに伝達する動力伝達機構と、
    前記金型支持シャフトからこの動力伝達機構に入力されるトルクを遮断するワンウェイクラッチとを備え、
    クロージング加工時に前記金型が前記ワークに押し当てられて摺接することにより前記金型より高速回転する前記ワークに追従して回転するようにしたことを特徴とするクロージング加工機。
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