JP4636380B2 - 車両用ドア構造 - Google Patents

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本発明は、ドアパネルとドアトリムを備えた車両用ドア構造に関する。
車両のダッシュパネルに熱伝導体を取り付け、これをインスツルメントパネルの外郭に当接させている車両内装部品に関する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。この従来技術による内装部品は、熱伝導体を介して、外郭上の熱をダッシュパネルへと逃し、日光の照射によって高温となった外郭上の温度を低下させることができる。
しかしながら、上述した従来技術においては、ダッシュパネルに固定された熱伝導体を、外郭に当接させるためには、ダッシュパネル、外郭および熱伝導体等を精度よく形成しなければならない。すなわち、これらの構成間の部品精度がばらついていると、熱伝導体と外郭との間に隙間が生じ、外郭から熱を逃す機能を有しなかったり、反対に、熱伝導体が外郭に押し付けられて、熱伝導体および外郭に応力が発生して、歪、変形の原因となることがある。また、これを避けるために、各部品精度を向上させると、その製造のための手間が増えて、製造コストが増大するという問題があった。
特開2004−42745公報(第1図)
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ドアパネルとドアトリムを備えた車両用ドアに適用した場合、ドアトリム上の温度を低下させることが可能で、低コストな車両用ドア構造を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、発明は、ドアパネルと該ドアパネルに装着されたドアトリムのうちの一側に、可撓性を有した熱伝導部材の一端が取り付けられ、相手側に前記熱伝導部材の他端が撓みながら当接することを特徴とする車両用ドア構造とした。
また、前記熱伝導部材はフィルム状に形成され、その一対の端部を重ね合わせて、前記ドアトリムと前記ドアパネルのうちの一側に固定することにより、相手側に対してループ状に突出して当接するものとすることができる。
また、前記熱伝導部材は、平板状の基体の一面に、熱伝導性の良好な金属箔が接合されて形成されており、該金属箔は前記ドアトリムおよび前記ドアパネルの双方に当接しているものとすることができる。
また、前記金属箔は導電性が良好な材質によって形成されており、前記熱伝導部材には前記ドアトリムを貫通して、車室外側から内側へと進入し、前記ドアトリム上に固定されたハンドリング部が形成されており、該ハンドリング部においては、車両の乗員が触れることが可能なように、前記金属箔が露出しているものとすることができる。
ドアパネルとドアパネルに装着されたドアトリムのうちの一側に、可撓性を有した熱伝導部材の一端が取り付けられ、相手側に熱伝導部材の他端を撓ませながら当接させることで、熱伝導部材を介して、ドアトリムからドアパネルへと熱を伝播させ、ドアトリム上の温度を低下させる構成とした。これにより、熱伝導部材等の寸法精度を向上させなくとも、相手側の表面形状に追従して、熱伝導部材を無理なく相手側に当接させて、ドアトリムの温度を低下させることができるとともに、取り付けが容易で、低コストな車両用ドア構造にすることができる。
熱伝導部材はフィルム状に形成され、その一対の端部を重ね合わせて、ドアトリムとドアパネルのうちの一側に固定することにより、相手側に対してループ状に突出して当接する構成とした。これにより、容易に可撓性を有した熱伝導部材を形成することができ、相手側の形状等にばらつきがあっても、そのいずれかの部位に当接させることが可能となる。
熱伝導部材は、平板状の基体の一面に、熱伝導性の良好な金属箔が接合されて形成されており、金属箔はドアトリムおよびドアパネルの双方に当接している構成とした。これにより、金属箔を介して、ドアトリムからの放熱をいっそう確実に行える。
金属箔は導電性が良好な材質によって形成されており、熱伝導部材にはドアトリムを貫通して、車室外側から内側へと進入し、ドアトリム上に固定されたハンドリング部が形成されており、ハンドリング部においては、車両の乗員が触れることが可能なように、金属箔が露出している構成とした。これにより、ドアトリム上の温度を低下させる機能に加え、車両の乗員がハンドリング部の金属箔に触れることで、身体に帯電していた静電気を放電することも可能となる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1および図2によって説明する。説明中、図2において、ドアトリム2の左方が車室内側である。実施形態2乃至実施形態4に関する、図3乃至図5についても同様である。車両用ドア構造1を形成するドアトリム2は、ポリプロピレンによって、それぞれ一体に成形されたアッパベース21とロアベース22とが、上下方向に連結されて形成されている。アッパベース21は、日光の照射により、内装部材中において、最も高温になる部位の一つである。ドアトリム2は、車両用ドアの鋼板にて形成されたインナパネル3(図2示、本発明のドアパネルに該当する)の車室内側に装着されて、車両用ドア構造1を形成している。ロアベース22の車室内方には、アームレスト23が突出しており、これの後方上面には、合成樹脂にて形成されたクッション材24が装着されている。また、アームレスト23の上面には、乗員がドアの開閉の際に手を挿入するための凹部であるプルハンドル25が設けられている。
アッパベース21の車室外側には、複数の熱伝導部材4が取り付けられている。熱伝導部材4は、ポリイミド樹脂による薄い平板状の基体41と、熱伝導性および導電性に優れた銅箔42とをラミネートしてフィルム状に形成されており、可撓性を有している(図2示)。尚、銅箔42に代えて、アルミニウム、鉄あるいはそれらの複合材等の、熱伝導性および導電性に優れた金属箔を使用してもよい。熱伝導部材4はその一対の端部を重ね合わせて、アッパベース21に立設された取付ボス21aを貫通させた後、取付ボス21aを超音波溶着によって加締める(2箇所)ことにより、アッパベース21上に固定されている。
熱伝導部材4は、アッパベース21に固定されることにより、銅箔42が外側に露出してループ状に突出する。これにより、ドアトリム2をインナパネル3に装着すると、熱伝導部材4は、撓みながらインナパネル3に十分な面積だけ当接し、基体41の一面に接合された銅箔42は、ドアトリム2とインナパネル3の双方に接触する(図2示)。ドアトリム2とインナパネル3の双方に当接した熱伝導部材4は、ドアトリム2からインナパネル3へと熱を伝播させ、直射日光により加熱されたドアトリム2の温度を低下させる。
本実施形態によれば、インナパネル3に装着されたドアトリム2に、可撓性を有した熱伝導部材4の一端が取り付けられ、インナパネル3に熱伝導部材4の他端を撓ませながら当接させることで、熱伝導部材4を介して、ドアトリム2からインナパネル3へと熱を伝播させ、ドアトリム2上の温度を低下させる構成とした。これにより、熱伝導部材4等の寸法精度を向上させなくとも、インナパネル3の表面形状に追従して、熱伝導部材4を無理なくインナパネル3に当接させて、ドアトリム2の温度を低下させることができるとともに、取り付けが容易で、低コストな車両用ドア構造1にすることができる。
また、熱伝導部材4はフィルム状に形成され、その一対の端部を重ね合わせて、ドアトリム2に固定することにより、インナパネル3に対してループ状に突出して当接する構成とした。これにより、ドアトリム2上に、可撓性を有した熱伝導部材4を容易に形成することができ、インナパネル3に形状等のばらつきがあっても、そのいずれかの部位に当接することが可能となる。また、熱伝導部材4は、平板状の基体41の一面に、熱伝導性の良好な銅箔42が接合されて形成されており、銅箔42はドアトリム2およびドアパネル3の双方に当接している構成とした。これにより、銅箔42を介して、ドアトリム2からの放熱をいっそう確実に行える。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図3によって説明する。本実施形態による車両用ドア構造1Aの熱伝導部材5は、実施形態1による熱伝導部材4と同様に、ポリイミド樹脂による平板状の基体51と、銅箔52とをラミネートして形成されており、可撓性を有している。熱伝導部材5は、その上端が折り返されてアッパベース21の車室外側に、接着剤あるいは両面テープにて接合されている。また、ロアベース22の上端部には、ウレタン発泡体、またはポリプロピレンの発泡ビーズ等の熱伝導性の低い材質によって形成された弾性部材6が接合されており、弾性部材6はロアベース22と熱伝導部材5との間に弾発的に介装されている。
これにより、弾性部材6は、熱伝導部材5をインナパネル3に強く押し当てるため、熱伝導部材5はインナパネル3に撓みながら十分な面積だけ当接している。熱伝導部材5のインナパネル3側には、銅箔52が設けられており、銅箔52は、ドアトリム2およびインナパネル3の双方に当接し、ドアトリム2からインナパネル3へと熱を伝播させ、ドアトリム2上の温度を低下させている。
本実施形態によれば、ドアトリム2と熱伝導部材5との間には、弾性部材6が弾発的に介装されて、弾性部材6は熱伝導部材5をインナパネル3に押し当てる構成とした。これにより、熱伝導部材5はインナパネル3に強く押圧され、インナパネル3に確実に熱を逃すことができる。
<実施形態3>
図4は本発明の実施形態3を示す。本実施形態による車両用ドア構造1Bの熱伝導部材7は、実施形態2による熱伝導部材5を、更に下方に延ばしたものであって、その下端部は、ドアトリム2に接合された実施形態2と同様の弾性部材6によって、インナパネル3の下方部に強く押し当てられている。実施形態2による熱伝導部材5と同様に、熱伝導部材7のインナパネル3側には、銅箔72が設けられているため、銅箔72は、ドアトリム2およびインナパネル3の双方に、十分な面積だけ当接している。本実施形態による熱伝導部材7は、実施形態2による熱伝導部材5の当接部よりも温度の低い、インナパネル3の下方部に接触しているため、いっそう効率的に、ドアトリム2の熱をインナパネル3に逃すことができる。
<実施形態4>
図5および図6は本発明の実施形態4を示す。本実施形態による車両用ドア構造1Cの熱伝導部材8は、ポリイミド樹脂による基体81と銅箔82とをラミネートして形成されている。熱伝導部材8は、実施形態3による熱伝導部材7と同形状をし、ドアトリム2の熱をインナパネル3に逃す伝導部83と、その下端部において、伝導部83と一体化されたハンドリング部84を備えている(図6示)。ハンドリング部84は、伝導部83と分かれて上方へと延びた後、前述したドアトリム2のプルハンドル25を貫通して、車室外側から内側へと進入し、先端がロアベース22とクッション材24との間に挟持されることにより、ドアトリム2上に固定されている(図5示)。
熱伝導部材8の下端部は、ドアトリム2に接合された実施形態3と同様の弾性部材6によって、インナパネル3の下方部に強く押し当てられている。また、熱伝導部材8のインナパネル3側には、銅箔82が設けられているため、伝導部83上の銅箔82は、ドアトリム2およびインナパネル3の双方に、十分な面積だけ当接しており、一方、プルハンドル25内のハンドリング部84においては、車両の乗員が手で触れることが可能なように、銅箔82が露出している。
本実施形態による熱伝導部材8は、導電性が良好な銅箔82を具備しており、熱伝導部材8にはドアトリム2を貫通して、車室外側から内側へと進入し、ドアトリム2のプルハンドル25内に固定されたハンドリング部84が形成されており、ハンドリング部84においては、車両の乗員が触れることが可能なように、銅箔82が露出している構成とした。これにより、ドアトリム2上の温度を低下させる機能に加え、車両の乗員がハンドリング部84の銅箔82に手で触れることで、乗員の身体に帯電していた静電気を放電することも可能となる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)熱伝導部材をインナパネル側に取り付け、ドアトリムに当接させるようにしてもよい。
(2)弾性部材を熱伝導部材に取り付け、ドアトリムに弾発的に当接させて、その反力で熱伝導部材をインナパネルに押し当てるようにしてもよい。
(3)熱伝導部材は、熱伝導性を満足する合成樹脂材料のみで形成してもよい。
実施形態1によるドアトリムの斜視図である。 実施形態1による車両用ドア構造の要部断面図である。 実施形態2による車両用ドア構造の要部断面図である。 実施形態3による車両用ドア構造の断面図である。 実施形態4による車両用ドア構造の断面図である。 図5に示した熱伝導部材の全体斜視図である。
符号の説明
1、1A、1B、1C…車両用ドア構造
2…ドアトリム
3…インナパネル
4、5、7、8…熱伝導部材
6…弾性部材
41、51、71、81…基体
42、52、72、82…銅箔
84…ハンドリング部

Claims (3)

  1. ドアパネルと該ドアパネルに装着されたドアトリムのうちの一側に、可撓性を有した熱伝導部材の一端が取り付けられ、相手側に前記熱伝導部材の他端が撓みながら当接し、
    前記熱伝導部材はフィルム状に形成され、その一対の端部を重ね合わせて、前記ドアトリムと前記ドアパネルのうちの一側に固定することにより、前記相手側に対してループ状に突出して当接することを特徴とする車両用ドア構造。
  2. 前記熱伝導部材は、平板状の基体の一面に、熱伝導性の良好な金属箔が接合されて形成されており、該金属箔は前記ドアトリムおよび前記ドアパネルの双方に当接していることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア構造。
  3. 前記金属箔は導電性が良好な材質によって形成されており、前記熱伝導部材には前記ドアトリムを貫通して、車室外側から内側へと進入し、前記ドアトリム上に固定されたハンドリング部が形成されており、該ハンドリング部においては、車両の乗員が触れることが可能なように、前記金属箔が露出していることを特徴とする請求項2に記載の車両用ドア構造。
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