JP4634579B2 - 放射線遮蔽体 - Google Patents

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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉などの高放射線環境下において作業員が作業するために設置する放射線遮蔽体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、原子炉内において放射線が高い場所で作業する場合、放射線遮蔽体を設置して放射線の雰囲気線量を十分低いレベルに低下する方法が採られている。例えば、炉内構造物の取替工事などを行う場合は、放射化した原子炉圧力容器からの線量を抑えるために放射線遮蔽体を原子炉圧力容器の内壁面に取り付けて作業を行っている。
【0003】
すなわち、炉内構造物の取替を実施するに際し、炉内に作業員がアクセスするために設置する放射線遮蔽体は、図10(A),(B)に示すように原子炉圧力容器1とジェットポンプ2との間の狭隘部に複数の遮蔽体単体3を設置していた。これらの遮蔽体単体3は、図10(C)に示すように天井クレーン4の吊具5に掛止されたワイヤ6により原子炉圧力容器1のフランジ1aから吊り下げられている。
【0004】
この場合、ジェットポンプ2を新規なものに取り替える作業では、原子炉圧力容器1の内壁面にライザブレース2aを直接溶接するため、このライザブレース2aの遮蔽体単体3の該当部に開口部3aを形成するとともに、図11(A),(B)に示すように、この開口部3aを覆うために取外し可能なシールド板7を予め取り付けておき、ライザブレース2aの溶接時には、このシールド板7を取り外して作業を行っている。また、ライザブレース2aの溶接完了後には、同じ形状および大きさの蓋は取り付けられないので、別の蓋を作業員が取り付けて放射線の漏れを防止していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように従来の放射線遮蔽体では、図11(A),(B)に示すようにシールド板7は複数のボルト8で取り付けられており、これを作業員が取り外した後、ライザブレース2aを自動溶接し、その後開口部3aを塞ぐため別の蓋をライザブレース2aに干渉しないよう取り付けていた。このシールド板7を取り外した場合、開口部3a付近の雰囲気放射線量当量率は10mSv/h以上となるため、この位置での作業員の作業時間は10〜20分程度が限界であり、しかも被曝量も大きいため相当の人数の作業員にて作業を行っていた。なお、国内法規上は、放射線作業従事者一作業員当たりの年間累積被曝線量の許容値は50mSv以下である。
【0006】
したがって、上述のように設置した従来の放射線遮蔽体では、放射線のシールド板7の取り外しや、ライザブレース2a取付後の別の蓋の取付けは作業員が行うため、このとき原子炉圧力容器1から発生する放射線によって、多大な被曝を受けることになる。
【0007】
また、原子炉圧力容器1のサイズが小さいプラントでは、燃料との距離が近いため、原子炉圧力容器1の放射化量が従来プラントの約4倍程度になっており、作業員が近づいて作業を行う従来の方法は、上記作業時間の観点から非常に困難であるという問題があった。
【0008】
本発明はかかる従来の事情を考慮してなされたものであり、遠隔操作によって開閉蓋を開閉することで、作業員の多大な被曝を未然に防止する放射線遮蔽体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明では、原子炉圧力容器とこの原子炉圧力容器内に設けられたジェットポンプとの間に設置され、放射線を遮蔽する遮蔽体単体を複数並設した放射線遮蔽体において、前記遮蔽体単体に炉内構造物挿入用の開口部を形成し、この開口部に遠隔操作で開閉する開閉蓋と、この開閉蓋を開閉する駆動手段とを設け、前記開閉蓋に形成した部分開口を閉止可能な部分開閉蓋を備え、前記ジェットポンプのライザブレースを取付後に前記部分開閉蓋を開くことによって前記開閉蓋を閉止可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、遮蔽体単体の開口部に遠隔操作で開閉可能な開閉蓋を設け、遮蔽体単体に開閉蓋を開閉するための駆動手段を取り付けたことにより、作業者の被爆を未然に防ぐことができるとともに、ライザブレースの取付後に部分開閉蓋を取り外し、開閉蓋を閉止可能としたことにより、ジェットポンプの据付後でも、開閉蓋を閉止させることができる。
【0017】
請求項記載の発明では、請求項1記載の放射線遮蔽体において、遮蔽体単体にガイド溝を形成する一方、このガイド溝に沿って移動する案内軸を開閉蓋に設け、この開閉蓋が所定の軌跡で開閉移動することを特徴とする。
【0018】
請求項記載の発明によれば、遮蔽体単体にガイド溝を形成し、このガイド溝に沿って移動する案内軸を開閉蓋に設けたことにより、開閉蓋が所定の軌跡で確実に開閉移動することとなる。
【0019】
請求項記載の発明では、請求項1記載の放射線遮蔽体において、遮蔽体単体に取り付けられた開閉蓋は、水密構造であることを特徴とする。
【0020】
請求項記載の発明によれば、開閉蓋を水密構造としたことにより、炉内構造物の取外し後に水中遠隔操作で遮蔽体単体と共に据付け、ジェットポンプ据付後に水中遠隔操作で炉内から取外し可能となる。
【0021】
請求項記載の発明では、請求項1記載の放射線遮蔽体において、駆動手段に開閉蓋の開閉速度を変更するスピードコントローラを設けたことを特徴とする。
【0022】
請求項記載の発明によれば、駆動手段にスピードコントローラを設けたことにより、開閉蓋の開閉速度を高精度に制御することができる。
【0023】
請求項記載の発明では、請求項1記載の放射線遮蔽体において、開閉蓋を任意の位置に移動させるスカラ機構を設けたことを特徴とする。
【0024】
請求項記載の発明によれば、開閉蓋を任意の位置に移動させるスカラ機構を設けたことにより、ジェットポンプのライザ管と干渉せずに開閉蓋を開閉させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1は本発明に係る放射線遮蔽体の第1実施形態を示す正面図である。なお、従来の構成と同一の部分には、図10および図11と同一の符号を用いて説明する。また、図1では2枚の遮蔽体単体を水平方向に連結した状態を示している。
【0027】
図1に示すように、2枚の遮蔽体単体10,10は、それぞれ長尺(長さ約7m)で円弧状かつ短冊状(幅約30cm〜50cm)に形成されるとともに、上端部近傍および下端に取り付けられた連結部11により互いに連結して一体化されている。
【0028】
この一体化された遮蔽体単体10,10の上部および中央部近傍には、原子炉圧力容器1に設置されたブラケットなどの突起物(図示せず)との干渉を回避するための切欠部12が穿設され、その中央部にはジェットポンプ2を固定するライザブレース2aを原子炉圧力容器1の内壁面に取り付ける際、ライザブレース2aを挿入するために部分的に開閉可能な開口部10aが形成され、さらにその下部には原子炉圧力容器1のノズルにジェットポンプ2のライザ管を挿入するために開閉可能なライザ管挿入口14が形成されている。したがって、これら切欠部12、開口部10aおよびライザ管挿入口14は炉内構造物の干渉を回避する開口部を形成している。
【0029】
また、遮蔽体単体10は、据付時に最も放射化した炉心部分に相当する上部から下部近傍まで二点鎖線のハッチングで示すタングステン合金部15を有し、このタングステン合金部15はそのタングステンが比重17以上で、本実施形態では比重18の合金が使用されている。
【0030】
さらに、遮蔽体単体10は、タングステン合金部15の上部に白抜きで示すステンレス鋼部17が連設されるとともに、その下部にクロスハッチングで示す鉛部18が連設されている。そして、ステンレス鋼部17の上部には、吊耳19およびワイヤ取付部20が配設される一方、鉛部18の底部には、複数の遮蔽体単体10を組み付ける際、互いに隣接する遮蔽体単体10同士を連結する連結具21が固定されている。
【0031】
次に、図2(A)〜(D)に基づいて本実施形態における原子炉の炉内構造物の取替方法について説明する。
【0032】
まず、図2(A)に示すようにジェットポンプ2およびシュラウド25などの炉内構造物は、原子炉圧力容器1内において水中遠隔操作で複数に切断撤去された後、図2(B)に示すように原子炉圧力容器1内の放射化されたクラッドを取り除くために化学除染ないし機械除染が行われる。
【0033】
この状態では、炉心部分に相当する位置での放射化された原子炉圧力容器1からの放射線が強いため、炉内に作業員が入ることはできない。そこで図2(C)に示すように炉心部近傍に相当する範囲の原子炉圧力容器1内面に複数の遮蔽体単体1を水中遠隔操作で設置する。
【0034】
この場合、複数の遮蔽体単体10はワイヤにより原子炉圧力容器1のフランジから吊り下げられ、鉛部18の底部に固定された連結具21により互いに隣接する遮蔽体単体10同士を連結すると同時に、互いに接合する各遮蔽体単体10の側面に設けたテーパ部または係合部を係合させることにより、複数の遮蔽体単体10を組み付けて位置決めする。これにより、放射化した原子炉圧力容器1からの放射線を遮って作業員が炉内に入ってクラッド除去作業などを行うことができるようになる。
【0035】
その作業終了後、ジェットポンプ2およびシュラウド25など、新規な炉内構造物を気中で据え付けて復旧した後、図2(D)に示すように再び水位を上げ原子炉圧力容器1とジェットポンプ2との間の狭隘部から遮蔽体単体10を遠隔操作で取り外す。なお、図2において、符号26は上部格子板、27は炉心支持板である。
【0036】
このように、遮蔽体単体10は、原子炉圧力容器1の内壁と炉内構造物であるジェットポンプ2との隙間に設置されるものの、ジェットポンプ2を取り付ける際には、原子炉圧力容器1の壁面にライザブレース2aを溶接する必要があるため、図1に示すように遮蔽体本体10の開口部10aを開閉可能なシールド機構30を取り付けておき、ライザブレース2aの溶接時には、このシールド機構30を開いて作業を行っている。
【0037】
そして、遮蔽体単体10,10は、ジェットポンプ2の据付後に干渉せずに取り外すことができるように、ライザブレース2aの取付中心位置に対し、炉内から向かって左右対称に取り付けられている。
【0038】
次に、本実施形態のシールド機構30を図3〜図7に基づいて説明する。
【0039】
図3は図1のシールド機構を示す正面図、図4は図3の部分開閉蓋を示す構成図、図5および図6は図3のシールド板の開閉状態を示す斜視図,平面図、図7は図3のシールド板の開閉移動軌跡を示す説明図である。
【0040】
図3に示すように、遮蔽体単体10には、ライザブレース2aを挿入するために部分的に開口する開口部10aが形成され、この開口部10aに対して開閉蓋としてのシールド板31,31が左右対称に取り付けられ、ライザブレース2aの取付時、シールド板31が開いて開口する。
【0041】
なお、以下の説明では、シールド板31,31は、左右両者共同様の構成であるので、片側のシールド板31の構成についてのみを説明する。
【0042】
このシールド板31は、遮蔽体単体10と同様にタングステン合金または鉛などにより正面コ字状に形成され、シールド板31の幅方向中央には、上下にそれぞれ回転軸32を介して開閉アーム33a,33bの各一端が回転可能に取り付けられており、この上部の開閉アーム33aの他端は、回転軸34を介して遮蔽体単体10内壁面に固定された固定板35に回転可能に取り付けられている。
【0043】
一方、下部の開閉アーム33bの他端は、回転軸34と、この回転軸34に一端が固着された自在継手36と、この自在継手36の他端が固着され、かつ遠隔操作により駆動する駆動手段としての回転駆動部37とを介して遮蔽体単体10内壁面に固定された固定板35に取り付けられている。
【0044】
この回転駆動部37は、空気圧にて駆動するエアモータ、油圧にて駆動する油圧モータまたは電動モータなどの駆動源から選択され、本実施形態では空気圧にて回転するエアモータが使用されている。この場合、回転駆動部37に圧縮空気を供給する駆動ホース(図示せず)は、遮蔽体単体10に沿って上方に引き回され、原子炉外のオペレーションフロアに設置された制御装置に導かれている。なお、油圧にて駆動する油圧モータを使用する場合には、回転駆動部37に駆動ホースが接続される一方、電動モータを使用する場合には、回転駆動部37にケーブルが接続される。
【0045】
また、回転駆動部37には、図示しないスピードコントローラが取り付けられ、このスピードコントローラにより回転駆動部37の駆動軸の回転速度を制御することで、シールド板31の開閉速度が変更可能となる。
【0046】
ここで、シールド板31と回転軸32との連結部には、図示しないベアリングが介挿され、このベアリングを介挿したことによりシールド板31が容易に回転可能となる。
【0047】
さらに、シールド板31の中央部には、部分開口部38が切欠き形成され、この部分開口部38は部分開閉蓋40により閉止可能である。この部分開閉蓋40は、図4に示すように底部に複数のピン41が下方に突出するように植設される一方、このピン41が嵌合する嵌合溝42が開閉アーム43の一端に穿設されている。したがって、部分開閉蓋40のピン41が開閉アーム43の嵌合溝42に嵌合することにより、開閉アーム43に部分開閉蓋40が固定される。
【0048】
この開閉アーム43の他端には回転軸44が固着され、この回転軸44が固定ブロツク45に回転可能に軸支され、この固定ブロツク45は図示しない固定手段によりシールド板31に固定され、内部に回転軸44が固着された傘歯車46と、この傘歯車46と噛み合う傘歯車47とが取り付けられ、この傘歯車47は、回転駆動部48の駆動軸に固着されている。この回転駆動部48は、シールド板31に設置された回転駆動部37と同様に、空気圧にて回転駆動するエアモータが使用される。
【0049】
したがって、回転駆動部48に圧縮空気を供給して回転駆動部48を遠隔操作により駆動し、その駆動軸を回転させることで、傘歯車47および傘歯車46を介して回転軸44を回転させ、これにより開閉アーム43および部分開閉蓋40が開閉することになる。
【0050】
また、部分開閉蓋40の上部には、図3,図6および図7に示すようにフック49が起立可能に設置され、このフック49は通常時、部分開閉蓋40から上方に突出しないように倒れているものの、部分開閉蓋40の取外し時には、このフック49をポールの先端にフックを取り付けた冶具(図示せず)のフックで引っ掛けて上方に引っ張り、部分開閉蓋40のピン41を開閉アーム43の嵌合溝42から引き抜くことで、部分開閉蓋40を開閉アーム43から取り外せるようにしてある。
【0051】
以上述べたシールド機構30、部分開閉蓋40およびその機構は、遮蔽体単体10に予め取り付けられており、これらのシールド機構30および部分開閉蓋40は、遮蔽体単体10の取付け、取外しを水中で行うため、水密構造または水中仕様となっている。
【0052】
一方、シールド板31の下端には、図3に示すようにカムフォロア付の案内軸50が下方に突出するように取り付けられており、この案内軸50がこの遮蔽体単体10の開口部10aの下縁に予め形成されたガイド溝51に嵌め込まれている。このため、開閉アーム33a,33bを回動させて遮蔽体単体10からシールド板31を引き出そうとすると、案内軸50が取り付けられたシールド板31の端部は、このガイド溝51に沿って移動することになる。
【0053】
次に、本実施形態のシールド機構30の作用を説明する。
【0054】
まず、図3および図5に示すように、回転駆動部37に駆動ホース(図示せず)から圧縮空気を供給すると、その駆動軸が回転し、この回転駆動力を自在継手36、回転軸34を介して開閉アーム33bに伝達することで、開閉アーム33bは開閉アーム33aとともに、回転軸34を中心として回動し、シールド板31を回動させる。
【0055】
そして、シールド板31を開閉アーム33a,33bの回動機構で遮蔽体単体10から引き出そうとすると、案内軸50が取り付けられたシールド板31の端部は、遮蔽体単体10のガイド溝51に沿って移動する。これにより、シールド板31は開閉アーム33a,33bの回転軸32を中心として回動しながら引き出されることになる。このようにして、開閉アーム33a,33bが所定の角度回動したとき、シールド板31はガイド溝51に沿って完全に引き出されることになる。
【0056】
この時のシールド板31が引き出される軌跡を図6および図7に示す。因みに、シールド板31がこのような軌跡をとる必要があるのは、ジェットポンプ2のライザ管2bを取り付けた後にシールド板31を開ける必要があり、この際ライザ管2bと干渉しないようにするためである。
【0057】
図8は本実施形態におけるライザブレースの溶接状態を示す説明図である。図8に示すように、溶接機53によってライザブレース2aの溶接後、シールド板31を閉めるときはシールド板31の中央部分が、溶接により取り付けられたライザブレース2aと干渉する。そのため、本実施形態では、シールド板31が全開位置に達した後、このシールド板31の中央部分に閉止された部分開閉蓋40を開閉アーム43によって回転して開き、この部分開閉蓋40の上部に設置されたフック49をポールの先端にフックを取り付けた冶具(図示せず)のフックで引っ掛けて上方に引っ張り、部分開閉蓋40のピン41を開閉アーム43の嵌合溝42から引き抜くことで、部分開閉蓋40を開閉アーム43から取り外せるようにしてある。
【0058】
ここで、部分開閉蓋40を開けるには、回転駆動部48を遠隔操作により駆動し、その駆動軸を回転させることで、傘歯車47および傘歯車46を介して回転軸44を回転させ、これにより開閉アーム43および部分開閉蓋40を回動させる。
【0059】
なお、シールド板31の回転軸34の上端には、図3に示すように六角ボルト52が固定され、放射線遮蔽体2の開閉機構の駆動部が故障した場合、この六角ボルト52に操作ポール先端に取り付けた六角溝付きの回転冶具(図示せず)を燃料交換機上などから作業員が挿入し、シールド板31の開閉を遠隔手動操作で行うことができる。
【0060】
このように本実施形態によれば、遮蔽体単体10の開口部10aを遠隔操作にて開閉可能なシールド板31を設けたことにより、遮蔽体単体10の開口部10aをシールド板31により作業員が直接閉止することがなくなるので、作業員の多大な被曝を未然に防止することができる。
【0061】
また、ジェットポンプ2のライザブレース2aを原子炉圧力容器1に取り付けた際、シールド板31はジェットポンプ2を回避して開閉移動するので、原子炉圧力容器1とジェットポンプ2との間の狭隘部を開閉移動可能となる。
【0062】
さらに、遮蔽体単体10にシールド板31を開閉するための回転駆動部37を取り付けたことにより、遠隔操作によりシールド板31を開閉することが容易になる。
【0063】
そして、本実施形態によれば、部分開閉蓋40をライザブレース2aの取付後に取り外し、シールド板31を閉止可能としたことにより、ジェットポンプ2の据付後でも、シールド板31を閉止させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、遮蔽体単体10にガイド溝51を形成し、このガイド溝51に沿って移動する案内軸50をシールド板31に設けたことにより、シールド板31が所定の軌跡で確実に開閉移動することとなる。
【0065】
さらに、シールド板31を水密構造としたことにより、炉内構造物の取外し後に水中遠隔操作で遮蔽体単体10と共に据付け、ジェットポンプ2の据付後に水中遠隔操作で炉内から取外しが可能となる。
【0066】
そして、回転駆動部37にシールド板31の開閉速度を変更するスピードコントローラを設けたことにより、開閉速度を高精度に制御することができる。
【0067】
[第2実施形態]
図9(A)〜(C)は本発明に係る放射線遮蔽体の第2実施形態のシールド板開閉装置を示す斜視図である。なお、前記第1実施形態と同一または対応する部分には同一の符号を付して説明する。また、シールド板31の構成は、前記第1実施形態と同一であるのでその説明を省略する。
【0068】
本実施形態では、シールド板31にシールド板開閉装置55が予め取り付けられておらず、複数の遮蔽体単体10およびライザ管2bを取り付けた後、図9(A)に示すようにシールド板31上部に設置した開閉軸受39にシールド板開閉装置55の開閉軸56を挿入して取り付ける(図9(B))。このシールド板開閉装置55の上部にはスカラ機構57が取り付けられている。
【0069】
このスカラ機構57とは、開閉軸56を含む3本の軸が回転モータ軸受58に内包されるハーモニック同軸電動モータ(図示せず)により、3軸の回転動作を行うことにより、任意の位置に物体(この場合、シールド板31)を移動させることができる機構である。
【0070】
この回転動作を予め決められた軌跡(例えば、第1実施形態の図6および図7に示した軌跡)をコンピュータに記憶させて制御することにより、シールド板31を移動させることができる。
【0071】
したがって、本実施形態でも、前記第1実施形態と同様にライザ管2bと干渉せずにシールド板31を開き、部分開閉蓋40を取り外してライザブレース2aを溶接後、シールド板31を閉じることができる(図9(C))。
【0072】
このように本実施形態によれば、シールド板31を任意の位置に移動させるスカラ機構57を設けたことにより、ジェットポンプ2のライザ管2bと干渉せずにシールド板31を開閉させることができる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る放射線遮蔽体によれば、放射化した原子炉圧力容器などにライザーブレースなどの炉内構造物を取り付けるために遮蔽体単体の開閉蓋を開ける際、その開閉蓋の開閉を自動遠隔操作で行うことにより、作業員が多大な被曝をすることなく作業が行え、高放射化プラントにおける作業においても有効な放射線遮蔽環境を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る放射線遮蔽体の第1実施形態を示す正面図。
【図2】(A)〜(D)は本実施形態における炉内構造物の取替方法の手順を示す説明図。
【図3】図1のシールド機構を示す正面図。
【図4】図3の部分開閉蓋を示す構成図。
【図5】図3のシールド板の開閉状態を示す斜視図。
【図6】図3のシールド板の開閉状態を示す平面図。
【図7】図3のシールド板の開閉移動軌跡を示す説明図。
【図8】本実施形態におけるライザブレースの溶接状態を示す説明図。
【図9】(A)〜(C)は本発明に係る放射線遮蔽体の第2実施形態のシールド板開閉装置を示す斜視図。
【図10】(A)は従来の放射線遮蔽体の据付状態を示す斜視図、(B)は(A)のA方向矢視図、(C)は全体の取付状態を示す斜視図。
【図11】(A)は従来の放射線遮蔽体の開閉蓋を示す断面図、(B)は(A)の正面図。
【符号の説明】
1 原子炉圧力容器
2 ジェットポンプ
2a ライザブレース
2b ライザ管
10 遮蔽体単体
10a 開口部
30 シールド機構
31 シールド板(開閉蓋)
32 回転軸
33a,33b 開閉アーム
34 回転軸
37 回転駆動部(駆動手段)
38 部分開口部
40 部分開閉蓋
41 ピン
42 嵌合溝
43 開閉アーム
44 回転軸
48 回転駆動部
49 フック
50 案内軸
51 ガイド溝
55 シールド板開閉装置
56 開閉軸
57 スカラ機構

Claims (5)

  1. 原子炉圧力容器とこの原子炉圧力容器内に設けられたジェットポンプとの間に設置され、
    放射線を遮蔽する遮蔽体単体を複数並設した放射線遮蔽体において、
    前記遮蔽体単体に炉内構造物挿入用の開口部を形成し、この開口部に遠隔操作で開閉する開閉蓋と、この開閉蓋を開閉する駆動手段とを設け
    前記開閉蓋に形成した部分開口を閉止可能な部分開閉蓋を備え、
    前記ジェットポンプのライザブレースを取付後に前記部分開閉蓋を開くことによって前記開閉蓋を閉止可能としたことを特徴とする放射線遮蔽体。
  2. 請求項1記載の放射線遮蔽体において、遮蔽体単体にガイド溝を形成する一方、このガイド溝に沿って移動する案内軸を開閉蓋に設け、この開閉蓋が所定の軌跡で開閉移動することを特徴とする放射線遮蔽体。
  3. 請求項1記載の放射線遮蔽体において、遮蔽体単体に取り付けられた開閉蓋は、水密構造であることを特徴とする放射線遮蔽体。
  4. 請求項1記載の放射線遮蔽体において、駆動手段に開閉蓋の開閉速度を変更するスピードコントローラを設けたことを特徴とする放射線遮蔽体。
  5. 請求項1記載の放射線遮蔽体において、開閉蓋を任意の位置に移動させるスカラ機構を設けたことを特徴とする放射線遮蔽体。
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