JP4634566B2 - 樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂添加剤そのものが分解性を有する新規な樹脂組成物に関する。
本発明の樹脂組成物は、濡れ性向上させた新規な樹脂組成物であり、例えば自然環境下や生体内で分解される分解性プラスチックや生体吸収性プラスチックとして特に有用である。さらに本発明は、脂肪族ポリエステル等の樹脂の加水分解を促進する方法、及び、その熱劣化を抑制する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)等に代表されるポリヒドロキシカルボン酸類は、自然環境下や生体内で水分や酵素等により分解される生分解性プラスチックとして利用されている。
【0003】
また例えば、特開昭62−64824号には、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド(GLD)と、乳酸の環状二量体であるラクチド(LTD)とを開環共重合させることにより、徐放性製剤の基材用として有用な低分子量、多分散性の乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)を得る方法が開示されている。
【0004】
近年、地球環境の悪化にともない、樹脂のリサイクルや生体に安全で地球環境に負荷の少ない添加剤等への関心が高まっている。また、消費者ニーズの多様化に伴い、ポリヒドロキシカルボン酸等の生分解性プラスチックに対するニーズも高度化してきている。例えば、樹脂可塑剤の1つであるフタル酸エステル系可塑剤は、内分泌撹乱物質(環境ホルモン)としてその安全性が問題視されている。
そこで、フタル酸エステル系可塑剤の使用制限の提言や、より安全な樹脂添加剤への代替えの為の樹脂添加剤の研究も行なわれている。
【0005】
また、例えば、PLAは、加工性が良く成形品の機械的強度が優れているため、使い捨ての容器、包装材等の用途に利用されている。しかし、コンポスト以外の条件下(例えば、海水中、土中等)での分解速度が比較的遅いため、数ヶ月内で分解消滅して欲しい用途には使いにくいという欠点がある。
【0006】
そこで、PLAの加水分解速度を向上させるために、例えば、ポリエチレングリコール等の親水性添加剤を混合する方法も考えられる。しかしながら、PLAは親水性が低いため、ポリエチレングリコール等の親水性物質とは相溶しにくい。したがって、添加剤が成形時や成形後に浮き出したり(ブリードアウト)、成形品の機械的強度が低下したり、透明性等の外観が損なわれたりするので、実用的ではない。
【0007】
本発明者らの知る限りにおいては、例えば、PLA等の脂肪族ポリエステルに何らかの添加剤を添加し、脂肪族ポリエステルの性質(機械的強度、外観等)を著しく損なうことなく、分解性を効果的に促進する方法は、未だ見出されていない。
【0008】
一方、徐放性製剤の分野においても、比較的短期間において薬剤を徐放する製剤へのニーズが高い。PLAは、体内での分解速度が遅すぎるため、薬剤を放出した後に長く体内に残存することとなり、好ましくない。そのため、PLAの代わりに、低分子量のPLGAを用いるなど、生体内での分解が速い製剤の検討がなされている。しかしながら、PLGAもやはり万能ではなく、例えば、
(1) PLGAは非結晶性でガラス転移点(Tg)が30〜45℃付近であるため、夏場に製剤が軟化・融着する、
(2) 疎水性の薬剤を含有させて製剤化する際の、薬剤取り込み率(製剤中への薬剤の含有率)が上がらない、
(3) 共重合体ゆえに、ポリマー製造過程においてロット間に品質のばらつきが見られる
等の問題点が指摘されている。
【0009】
したがって、PLA等の結晶性かつ疎水性のホモポリマーの生体内分解性を促進することができると、徐放性製剤分野においても大きな貢献となると考えられる。すなわち、生体内で使用する用途においても、脂肪族ポリエステルの分解を促進する方法が望まれているのである。
【0010】
また、PLA等の脂肪族ポリエステルは、特に高分子量のポリマーの場合、成形時の加熱により分子量低下が顕著に起きることが知られている。しかしながら、脂肪族ポリエステルの熱劣化抑制の有効な方法は、未だ知られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、加水分解が促進され、かつ熱劣化が抑制された新規な樹脂組成物を提供することにある。
【0012】
本発明のさらなる目的は、樹脂に添加剤を混合した際に、分離することなく混合でき、しかもその添加剤により、脂肪族ポリエステル等の樹脂の加水分解を促進でき、あるいは熱劣化を抑制できる方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、親水性セグメントと疎水性セグメントを有する共重合体をポリエステル等の樹脂に混合すると、分離することなく混合できるだけでなく、樹脂の濡れ性を向上でき、これにより加水分解を促進できることを見出した。さらに、特にポリヒドロキシカルボン酸等の樹脂に混合した場合は、ポリヒドロキシカルボン酸の性質を損なうことなく、分解速度を向上し、しかも加熱時の熱劣化を抑制する点で著しい効果を奏することを見い出した。
【0014】
すなわち本発明は、親水性セグメント(a−1)として下記化学構造式(3)で表されるポリコハク酸イミドセグメントを有し、疎水性セグメント(a−2)として下記化学構造式(4)で表されるポリヒドロキシカルボン酸セグメントを有し、コハク酸イミド単位の割合が1〜33モル%、ヒドロキシカルボン酸単位の割合が67〜99モル%であるブロック又はグラフト共重合体(A)と、
【化7】
Figure 0004634566
(式(3)中、mは1以上100以下の数であり、式(4)中、Rはメチル基又は水素原子を示し、nは1以上1000以下の数である。)
ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボート系樹脂及び分解性樹脂からなる群より選択される樹脂(B)とを含有し、
共重合体(A)と樹脂(B)の重量組成比[(A)/(B)]が[1/99]〜[33/67]である樹脂組成物である。
【0015】
さらに本発明は、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボート系樹脂及び分解性樹脂からなる群より選択される重量平均分子量3000以上50万以下の樹脂(B)に、
親水性セグメント(a−1)として前記化学構造式(3)で表されるポリコハク酸イミドセグメントを有し、疎水性セグメント(a−2)として前記化学構造式(4)で表されるポリヒドロキシカルボン酸セグメントを有し、コハク酸イミド単位の割合が1〜33モル%、ヒドロキシカルボン酸単位の割合が67〜99モル%である重量平均分子量1000以上10万以下のブロック又はグラフト共重合体(A)を
共重合体(A)と樹脂(B)の重量組成比[(A)/(B)]が[1/99]〜[33/67]となるように混合して樹脂(B)の加水分解を促進し又は樹脂(B)の熱劣化を抑制することを特徴とする樹脂組成物の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物は、ブロック又はグラフト共重合体(A)と、樹脂(B)とを含有してなる。
【0017】
本発明に用いる樹脂(B)は、特に限定されないが、分解性樹脂を含む下記の樹脂がその代表として挙げられる。
【0018】
1.ポリオレフィン系樹脂類
高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等。エチレン、プロピレン、ブチレンなどの1種類以上のオレフィンモノマーから合成されたホモポリマーまたはコポリマー、その他の任意のモノマーとのコポリマー、あるいはこれらの混合物など。
【0019】
2.ポリスチレン系樹脂類
ポリスチレン、アクリトニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等。1種類以上のスチレン系モノマーから合成されたホモポリマーまたはコポリマー、その他の任意のモノマーとのコポリマー、あるいはこれらの混合物など。
【0020】
3.ポリカーボネート類
ポリオキシメチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリテレフタル酸エチレン、ポリフェニレンオキシドなどの1種類以上から合成されたホモポリマーあるいはコポリマー、その他の任意のモノマーとのコポリマー、あるいはこれらの混合物など。
【0021】
4.分解性樹脂
4−1.脂肪族ポリエステル類
(1)ポリヒドロキシカルボン酸類
α−ヒドロキシモノカルボン酸類(例えば、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシカプリン酸)、ヒドロキシジカルボン酸類(例えば、リンゴ酸)、ヒドロキシトリカルボン酸類(例えば、クエン酸)などの1種類以上のヒドロキシカルボン酸類から合成されたホモポリマーまたはコポリマー、その他の任意のモノマーとのコポリマー、あるいはこれらの混合物など。
【0022】
(2)ポリラクチド類
グリコライド、ラクタイド、ベンジルマロラクトナート、マライトベンジルエステル、3−〔(ベンジルオキシカルボニル)メチル〕−1,4−ジオキサン−2,5−ジオンなどの1種類以上のラクチド類から合成されたホモポリマーまたはコポリマー、その他の任意のモノマーとのコポリマー、あるいはこれらの混合物など。
【0023】
(3)ポリラクトン類
β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、N−ベンジルオキシカルボニル−L−セリン−β−ラクトンなどの1種類以上のラクトン類から合成されたホモポリマーまたはコポリマー、その他の任意のモノマーとのコポリマー、あるいはこれらの混合物など。特に、これらはα−ヒドロキシ酸の環状2量体であるグリコライド、ラクタイドなどとも共重合可能である。
【0024】
4−2.ポリアンヒドリド類
例えば、ポリ〔1,3−ビス(p−カルボキシフェノキシ)メタン〕、ポリ(テレフタル酸−セバシン酸無水物など。
【0025】
4−3.分解性ポリカーボネート類
例えば、ポリ(オキシカルボニルオキシエチレン)、スピロオルソポリカーボネートなど。
【0026】
4−5.ポリオルソエステル類
例えば、ポリ{3,9−ビス(エチリデン−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン−1,6−ヘキサンジオール}など。
【0027】
4−6.ポリ−α−シアノアクリル酸エステル類
例えば、ポリ−α−シアノアクリル酸イソブチルなど。
【0028】
4−7.ポリホスファゼン類
例えば、ポリジアミノホスファゼンなど。
【0029】
4−8.その他の分解性樹脂
ポリヒドロキシエステル等に代表される微生物生産合成樹脂、前記各種の樹脂にデンプンや変性デンプン 、皮粉、微細化セルロース等を配合することにより、分解性を付与した樹脂など。
【0030】
以上列挙した種々の樹脂のうち、共重合体(A)と樹脂(B)が分離せず、より均一に混合するという点から、ポリオレフィン系樹類、ポリカーボネート類、分解性樹脂が好ましく、特に分解性樹脂が好ましい。分解性樹脂の中では、共重合体(A)との相溶性の点から、脂肪族ポリエステル類、ポリラクチド類、ポリラクトン類が好ましく、脂肪族ポリエステル類がより好ましく、ポリヒドロキシカルボン酸類が最も好ましい。
【0031】
本発明において、ポリヒドロキシカルボン酸とは、水酸基とカルボキシル基とを併せ有するヒドロキシカルボン酸の重合体又は共重合体を意味する。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシブタン酸、ヒドロキシプロピオン酸等が好ましい。ポリヒドロキシカルボン酸中には、ヒドロキシカルボン酸以外の構成要素(共重合単位)が存在していてもよい。ただし、ポリヒドロキシカルボン酸中に、少なくともヒドロキシカルボン酸由来の構成単位の割合は、20モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましい。
【0032】
最も好適に使用されるポリヒドロキシカルボン酸は、ポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトンである。
【0033】
本発明において、樹脂(B)の分子量は特に限定されない。ただし、共重合体(A)との混合のし易さを考慮すると、樹脂(B)の重量平均分子量は、1000以上100万以下が好ましく、3000以上50万以下がより好ましい。
【0034】
本発明に用いる共重合体(A)は、親水性セグメント(a−1)として前記化学構造式(3)で表されるポリコハク酸イミドセグメントを有し、疎水性セグメント(a−2)として前記化学構造式(4)で表されるポリヒドロキシカルボン酸セグメントを有するブロック又はグラフト共重合体である。
【0035】
本発明において、「疎水性セグメント」とは、特に水に難溶または不溶である分解性ポリマーまたはそれから誘導されたセグメントであり、もう一方の親水性セグメントよりも疎水的なものである。「親水性セグメント」とは、水に可溶、あるいは難溶であっても、疎水性セグメントよりも親水的であるポリマーまたはそれから誘導されたセグメントである。
【0036】
共重合体(A)の親水性セグメント(a−1)の好ましい形態は、アスパラギン酸由来する構造単位からなるものであり、疎水性セグメント(a−2)の好ましい形態は、下記のヒドロキシカルボン酸類、ポリラクチド類、ポリラクトン類、カーボネート類に由来する構造単位からなるものである。
【0037】
1.ヒドロキシカルボン酸類
α−ヒドロキシモノカルボン酸類(例えば、グリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシカプリン酸)、ヒドロキシジカルボン酸類(例えば、リンゴ酸)、ヒドロキシトリカルボン酸類(例えば、クエン酸)など。
【0038】
2.ラクチド類
例えば、グリコライド、ラクタイド、p−ジオキサノン、1,4−ベンジルマロラクトナート、マライトベンジルエステル、3−〔(ベンジルオキシカルボニル)メチル〕−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、テトラメチルグリコライドなど。
【0039】
3.ラクトン類
例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、α,α−ビスクロロメチルプロプオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、3−n−プロピル−δ−バレロラクトン、6,6−ジメチル−δ−バレロラクトン、3,3,6−トリメチル−1,4−ジオキサン−ジオン、3,3,6−トリメチル−1,4−ジオキサン−ジオン、ε−カプロラクトン、ジオキセパノン、4−メチル−7−イソプロピル−ε−カプロラクトン、N−ベンジルオキシカルボニル−L−セリン−β−ラクトンなど。
【0040】
4.カーボネート類
例えば、エチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートトリメチレンカーボネート、ネオペンチレンカーボネート、エチレンオキソレート、プロピレンオキソレートなど。
【0041】
また、上記ヒドロキシカルボン酸類、およびヒドロキシカルボン酸類から誘導されるラクチド類、ラクトン類を含む群からなる少なくとも1種類以上を含むものは、ヒドロキシカルボン酸と総称される。また、特に、先に例示したグリコール酸、乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸などは、α−ヒドロキシカルボン酸と総称される。
【0042】
共重合体(A)の疎水性セグメント(a−2)の好ましい形態は、ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位のものである。特に、α−ヒドロキシカルボン酸、グリコライド、ラクタイド、p−ジオキサノン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンを用いることが好ましい。このうち、グリコール酸、乳酸、グリコライド、ラクタイド、ε−カプロラクトンを用いることがより好ましい。
【0043】
本発明の共重合体(A)としては、アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体が好ましい。これは、アスパラギン酸と、ヒドロキシカルボン酸、又は、ラクチド、グリコリド、p−ジオキサノン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等との共重合反応により得られる。アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸の構造中には、少なくともアスパラギン酸に由来する構成単位と、ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位とが共存する共重合体である。この共重合体中には、アスパラギン酸に由来する構成単位が1モル%以上及びヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位が1モル%以上含まれていることが好ましい。なお、アスパラギン酸は、脱水縮合してコハク酸イミド単位もつ重合体を生成するが、アスパラギン酸に由来する構成単位とは、このようなコハク酸イミド単位をも含む意味である。
【0044】
コハク酸イミド単位とは、下記化学構造式(1)で表される構造単位をいう。
【0045】
【化4】
Figure 0004634566
【0046】
アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体中のアスパラギン酸由来単位とヒドロキシカルボン酸由来単位との組成比は、好ましくは1/1〜1/50である。
【0047】
アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体におけるヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位を構成する為に、好ましくは、α−ヒドロキシカルボン酸、グリコライド、ラクタイド、p−ジオキサノン、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンからなる群より選択された少なくとも1種を用いる。さらに好ましくは、グリコール酸、乳酸、グリコライド、ラクタイド、p−ジオキサノン、2−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ吉草酸、2−ヒドロキシカプロン酸、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトンからなる群より選択された少なくとも1種を用いる。特に好ましくは、グリコール酸、乳酸、グリコライド、ラクタイド及びε−カプロラクトンからなる群より選択された少なくとも1種を用いる。最も好ましくは、乳酸を用いる。
【0048】
アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体中にはアスパラギン酸やヒドロキシカルボン酸以外の構成要素が共重合により存在していてもよい。ただし、その量はアスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体の性質を大きく損なわない程度であることが必要であり、かかる点を考慮すると、その量はおよそ20モル%以下である。
【0049】
アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体の製造方法は、特に限定されない。一般には、アスパラギン酸とヒドロキシカルボン酸とを所望の比で混合し、加熱減圧下に脱水重縮合することにより得ることができる。また、ラクチド(LTD)、グリコリド(GLD)、カプロラクトン(CL)等のヒドロキシカルボン酸の無水環状化合物とアスパラギン酸とを反応させて得ることもできる。
【0050】
本発明における好ましいアスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体は、例えば、アスパラギン酸と、ラクチド、グリコリド、乳酸及びグリコール酸よりなる群から選択された1種以上の化合物との混合物を加熱することにより得られる。ここで得られる共重合体は、繰り返し構造単位として、少なくともコハク酸イミド単位および/またはアスパラギン酸単位と、乳酸単位および/またはグリコール酸単位とを併せ持つ共重合体である。
【0051】
本発明の樹脂組成物は、例えば、重量平均分子量が3000以上50万以下であるポリヒドロキシカルボン酸に、重量平均分子量が1000以上10万以下のアスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体を混合することにより得られる。その組成比は、ポリヒドロキシカルボン酸100重量部に対し、アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体0.01〜3300重量部が好ましい。アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体の組成比が大きい場合には、分解速度の大きな熱可塑性樹脂組成物となる。ポリヒドロキシカルボン酸に対するアスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体の組成比が小さ過ぎると、ポリヒドロキシカルボン酸の分解速度の促進効果や熱劣化抑制効果が期待しにくい。
【0052】
ポリヒドロキシカルボン酸のもつ性質を大きく損なわない組成物を所望する場合は、好ましくは、アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体とポリヒドロキシカルボン酸との重量組成比を、1/99〜33/67程度にする。
【0053】
このように、樹脂(ポリヒドロキシカルボン酸等)に、アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体を1〜50重量%混合することによって、樹脂の加水分解を促進することができ、また樹脂の熱劣化を抑制することができる。
【0054】
ポリヒドロキシカルボン酸に、アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体を混合する方法は特に限定されない。好ましくは、両者を加熱溶融するか、溶媒に溶解させ、攪拌混合する。
【0055】
アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体中に存在するヒドロキシカルボン酸セグメントにより、両者は良く相溶する。例えば、重量平均分子量15万程度のPLA95重量部に、アスパラギン酸と乳酸の共重合体組成比が1/5である重量平均分子量2万のアスパラギン酸−乳酸共重合体を5重量部添加し、小型ニーダーを用いて200℃で溶融混合した場合、両者は良く相溶し、プレス等の加工を施すことにより、PLAフィルムとほぼ同等の透明性をもったフィルムが得られる。得られたこのフィルムは、PLAフィルムとほとんど同等の機械的強度(引張強度、伸び、弾性率等)を示す。
【0056】
例えば、重量平均分子量15万程度のPLAフィルムは、37℃、中性の水中に浸漬しておいても、5ヶ月程度では機械的強度や外観にほとんど変化が現れない。一方、上記範囲内の本発明の樹脂組成物から得られるフィルムは、同条件下で、およそ1ヶ月で白化し、5ヶ月ほどでフィルムの強度が0となり、分子量は2万以下にまで低下する。
【0057】
また、例えば、PLA95重量部にポリアスパラギン酸5重量部またはポリコハク酸イミド5重量部をそれぞれ添加して同様にニーダーで混合を試みても、両者は相溶せず、プレスしても不均一不透明な低強度のフィルムしか得られない。
【0058】
ポリヒドロキシカルボン酸は、熱に弱く、押し出しや射出等の成形時の加熱によって分子量が低下しやすいことが知られている。そして、驚くべきことに、ポリヒドロキシカルボン酸にアスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体を混合することにより熱劣化が抑制されるのである。
【0059】
また、例えば、重量平均分子量28万のPLAは、空気中220℃で溶融すると、1時間後には分子量が14万、重量減少5.6%であり、2時間後、3時間後にはそれぞれ分子量が6万、4万に低下する。一方、同じ重量平均分子量28万のPLA95重量部にアスパラギン酸と乳酸の共重合体組成比が1/5である重量平均分子量2万のアスパラギン酸−乳酸共重合体を5重量部添加、混合した場合、同条件下で加熱溶融しても1時間後の分子量が21万、重量減少0.4%であり、2時間後、3時間後においてもそれぞれ分子量は18万、13万であり、明らかに熱劣化を抑制する効果が認められる。
【0060】
アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体は、代表的には、アスパラギン酸と、ラクチド及び/又はグリコリドとの混合物を加熱することにより生成する共重合体の構成単位であるコハク酸イミド単位を加水分解により開環して得られる、繰り返し構造単位としてアスパラギン酸単位と、乳酸単位及び/又はグリコール酸単位とを有する重合体である。また、分子鎖末端のカルボキル基は必ずしもCOOH基である必要はなく、アルカリ金属、アルカリ土類金属やアミン等の塩基との塩を形成していてもよい。
【0061】
アスパラギン酸と、ラクチド、グリコリド、乳酸、グリコール酸からなる群から選択された少なくとも1種以上の化合物との混合物を加熱することにより得られる、繰り返し構造単位として、少なくともコハク酸イミド単位および/またはアスパラギン酸単位と、乳酸単位および/またはグリコール酸単位とをもつ共重合体は、例えば核磁気共鳴(NMR)スペクトル測定や赤外吸収(IR)スペクトル測定等の公知の分析手法によって構造を確認することができる。
【0062】
アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体の構造に含まれるアスパラギン酸単位は、α−アミド型単量体単位およびβ−アミド型単量体単位が混在し得るものであり、両者の比は特に限定されない。
【0063】
アスパラギン酸−ヒドロキシカルボン酸共重合体の分子量については、ポリヒドロキシカルボン酸と良好に混合でき、、分解促進効果や熱劣化抑制効果を大きくする点から、重量平均分子量がおよそ1000以上10万以下であることが好ましい。
【0064】
本発明において、分解促進効果を奏する理由は、樹脂(B)に共重合体(A)を混合することにより、樹脂組成物としての濡れ性が向上することにあると考えられる。濡れ性が向上したかどうかは、共重合体(A)と樹脂(B)を含む樹脂組成物からなるフィルムと、樹脂(B)のみからなるフィルムにおける、水滴との接触角を測定することで判断することができる。この場合、樹脂フィルムは、キャストフィルム、熱プレスフィルム、延伸フィルム等の何れでも良い。共重合体(A)を添加前と添加後の比較において、接触角の差が2度以上ならば樹脂の濡れ性が向上したといえ、4度以上ならば非常に濡れ性が向上したと言える。
【0065】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明の内容を詳細に説明する。なお、実施例中に示した物性値等は以下のようにして測定した。
【0066】
[1] ポリマーの重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)
試料をジメチルホルムアミド(DMF)またはクロロホルムに溶解し(濃度0.5重量%)、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下「GPC」という)により、ポリマーの重量平均分子量(以下「Mw」という)及び分子量分布(以下「Mw/Mn」という)を求めた。標準物質にはポリスチレンを用いた。
【0067】
[2] 赤外吸収(IR)スペクトル
ポリマー試料粉体をKBr粉末とよく混合し、脱気しながら加圧することにより錠剤を成形し、FT−IR装置にてスペクトルを測定した。
【0068】
[3] 核磁気共鳴スペクトル(NMRスペクトル)
重水素化ジメチルスルホキシドに試料を溶解し(濃度7重量%)、核磁気共鳴測定装置を使用し、室温にてH−NMR(400MHz)およC−NMRスペクトル(100MHz)を測定した。
【0069】
[4] フィルムの引張強度、引張弾性率、破断伸び
ダンベル型に打ち抜いたフィルム試験片を、引張試験機を用いて、引張速度20mm/minで引張り、応力を測定することにより、引張破断強度、引張弾性率、破断伸びを求めた。
【0070】
[5] 成分Aと成分Bの混ざり方評価
フィルムにした際の、成分Aと、成分Bの混ざり方を下記の方法で判断した。
【0071】
◎:成分Aと成分Bが分離することなく、均一で透明に混ざっている。
○:成分Aと成分Bが分離することなく、均一に混ざっている。
△:成分Aと成分Bが分離することなく、混ざっている。
【0072】
[調製例1]
撹拌装置、脱気口をつけたガラス製反応器にL−アスパラギン酸13.3g(0.1モル)およびL−ラクチド28.8g(0.2モル)をはかり入れた。この場合、仕込みのアスパラギン酸と乳酸とのモル比は1:4になる。反応器を180℃のオイルバスに浸漬し、撹拌した。融点98℃のラクチドが溶融し、不溶のアスパラギン酸の白色粉末が浮遊した状態で加熱を続行した。30分〜1時間程度で粉末は次第に消滅し、黄色の反応液の粘度が上昇した。加熱開始から1時間半後に、反応系を徐々に減圧にし、2時間後には1mmHgに達した。さらに2時間加熱を続けた後、反応器をオイルバスから取り出し、反応溶液を取り出して冷却固化させた。得られた薄黄褐色透明の固体を粉砕し、粉末状ポリマーを得た。DMF系GPCによるMwは6500、Mw/Mnは7.4であった。
【0073】
このポリマー10gをDMF20gに溶解した後、水400ml中に投入し、生成した沈澱を回収することにより精製した。精製収率は81%であった。精製後のポリマーのMwは9400、Mw/Mnは1.22であった。
【0074】
NMR測定の結果から、ポリマー中のアスパラギン酸由来単位(アスパラギン酸単位とコハク酸イミド単位)と乳酸単位との組成比は、1:3.9であった。
【0075】
NMRスペクトルや、IRスペクトルの解析により、得られたポリマーの構造は下記化学構造式(16)のようであると推定した。但し、化学構造式中のコハク酸イミド単位の一部は、開環し、化学構造式(17)又は化学構造式(18)の構造となっているものが含まれると推定した。
【0076】
【化5】
Figure 0004634566
【0077】
(式(16)中、p、q、r、sは、0又は正の整数である。式(17)及び式(18)中、m、nは、0又は正の整数である。)
【0078】
[調製例2]
撹拌装置、脱気口をつけたガラス製反応器にL−アスパラギン酸13.3g(0.1モル)およびL−ラクチド36.0g(0.25モル)をはかり入れた。この場合、仕込みのアスパラギン酸と乳酸とのモル比は1:5になる。反応器を180℃のオイルバスに浸漬し、撹拌した。融点98℃のラクチドが溶融し、不溶のアスパラギン酸の白色粉末が浮遊した状態で加熱を続行した。30分〜1時間程度で粉末は次第に消滅し、黄色の反応液の粘度が上昇した。加熱開始から1時間半経過した後、反応系を徐々に減圧にし、2時間後には1mmHgに達した。さらに2時間加熱を続けた後、オイルバスの温度を160℃に下げ、さらに15時間反応を続けた。反応器をオイルバスから取り出し、反応溶液を取り出して冷却固化させた。得られた薄黄褐色透明の固体を粉砕し、粉末状ポリマーを得た。DMF系GPCによるMwは14700、Mw/Mnは1.38であった。
【0079】
このポリマー10gをDMF20gに溶解した後、水400ml中に投入し、生成した沈澱を回収することにより精製した。精製収率は94%であった。精製後のポリマーのMwは16300、Mw/Mnは1.37であった。
NMR測定の結果から、ポリマー中のアスパラギン酸由来単位と乳酸単位との組成比は、1:5.1であった。
【0080】
[調製例3]
撹拌装置、脱気口をつけたガラス製反応器にL−アスパラギン酸13.3g(0.1モル)および90%L−乳酸水溶液40g(乳酸0.4モル)をはかり入れた。この場合、仕込みのアスパラギン酸と乳酸とのモル比は1:4になる。反応器を180℃のオイルバスに浸漬し、撹拌した。
【0081】
アスパラギン酸の白色粉末はすぐに溶解し、反応溶液は微黄色透明となった。加熱開始から1時間半経過した後、反応系を徐々に減圧にし、2時間後には1mmHgに達した。さらに2時間加熱を続けた。反応器をオイルバスから取り出し、反応溶液を取り出して冷却固化させた。得られた薄黄褐色透明の固体を粉砕し、粉末状ポリマーを得た。DMF系GPCによるMwは3400、Mw/Mnは12.6であった。
【0082】
[調製例4]
撹拌装置、脱気口をつけたガラス製反応器にL−アスパラギン酸6.7g(0.05モル)およびL−ラクチド36.0g(0.25モル)をはかり入れた。この場合、仕込みのアスパラギン酸と乳酸とのモル比は1:10になる。反応器を180℃のオイルバスに浸漬し、撹拌した。融点98℃のラクチドが溶融し、不溶のアスパラギン酸の白色粉末が浮遊した状態で加熱を続行した。1時間程度で粉末は次第に消滅し、黄色の反応液の粘度が上昇した。加熱開始から2時間半経過後、反応系を徐々に減圧にし、3時間後には1mmHgに達した。オイルバスの温度を160℃に下げ、さらに30時間反応を続けた。反応終了後、反応器をオイルバスから取り出し、反応溶液を取り出して冷却固化させた。得られた薄黄褐色透明の固体を粉砕し、粉末状ポリマーを得た。DMF系GPCによるMwは34000、Mw/Mnは1.44であった。
【0083】
このポリマー10gをDMF20gに溶解した後、水400ml中に投入し、生成した沈澱を回収することにより精製した。精製収率は95%であった。精製後のポリマーのMwは36000、Mw/Mnは1.32であった。
【0084】
NMR測定の結果から、ポリマー中のアスパラギン酸由来単位と乳酸単位との組成比は、1:10.4であった。
【0085】
[調製例5]
調製例1で得られたポリマーの粉末4.21gを、蒸留水150mlに懸濁した。液のpHは4であった。撹拌し、液のpHを見ながら、そこへ1Nの水酸化ナトリウム水溶液をゆっくり滴下していった。水酸化ナトリウム水溶液を滴下する度に、液のpHは4から9に上がり、すぐに4に低下した。水酸化ナトリウム水溶液の滴下量が増すにつれ、pHの戻りが遅くなる傾向を示した。液中に懸濁していたポリマー粒子が次第に可溶化していき、水酸化ナトリウム水溶液の滴下量が0.4gに達したとき、ポリマー粒子はほとんど消滅し、液は微黄色透明となった。pHは6.2であった。この液を濃縮乾固し、得られた黄褐色固体をメタノールに溶解し、アセトニトリル中に投入して再沈澱させて白色ポリマー固体を回収した。得られたポリマーのDMF系GPCによるMwは9000、Mw/Mnは1.2であった。
【0086】
[調製例6]
アスパラギン酸をオーブン内にて窒素気流下220℃で2時間加熱して褐色の粉末を得た。NMRやIR測定により、この褐色粉末がポリコハク酸イミドであることを確認した。DMF系GPCにより測定したMwは15,000であった。
【0087】
[実施例1]
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが12.9万のポリL−乳酸(PLA)38gに、調製例2で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体(アスパラギン酸:乳酸=1:5、DMF系GPCのMw1.6万)を2g添加し、小型ニーダーを用いて200℃で5分間ブレンドした。得られたポリ乳酸組成物を、190℃で熱プレスしてフィルムを調製した。
【0088】
得られたポリ乳酸組成物フィルムは無色透明であり、Mwは10.8万であった。フィルムの引張強度は61MPa、引張弾性率は1.1GPa、破断伸びは10%であり、アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加しないPLAフィルムの外観や機械的物性とほとんど変わらないものであった。
【0089】
このポリ乳酸組成物フィルム数枚を、キャップ付きの容器に入れたpH7.3の燐酸緩衝溶液の中に浸漬し、該容器を37℃の恒温オーブン中に入れた。所定期間ごとにフィルムを取り出して乾燥し、引張強度、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
【0090】
浸漬時間の経過とともにフィルムは次第に白化、不透明化していった。1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムの引張強度は、それぞれ48MPa、40MPa、26MPa、0MPa(フィルムがもろくて測定不能)であった。また、1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムのMwはそれぞれ8.7万、7.5万、5.1万、4.5万であった。
【0091】
ポリ乳酸はアスパラギン酸−乳酸共重合体をブレンドした組成物とすることによって、効果的に加水分解速度が促進されていた。
【0092】
[比較例1]
アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加しないこと以外は実施例1と同様に、クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが12.9万のPLA38gを、小型ニーダーを用いて200℃で5分間溶融攪拌した後、190℃で熱プレスしてフィルムを調製した。
【0093】
PLAプレスフィルムは無色透明であり、Mwは9.8万であった。フィルムの引張強度は58MPa、引張弾性率は1.1GPa、破断伸びは8%であった。
【0094】
このPLAフィルム数枚を、実施例1と同様にキャップ付きの容器に入れたpH7.3の燐酸緩衝溶液の中に浸漬し、該容器を37℃の恒温オーブン中に入れた。所定期間ごとにフィルムを取り出して乾燥し、引張強度、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
【0095】
1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムの引張強度は、それぞれ62MPa、58MPa、57MPa、55MPaであり、5ヶ月経過してもほとんど強度の低下はなく、また、フィルムも無色透明のままで外観にもほとんど変化はなかった。
【0096】
1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムのMwはそれぞれ9.2万、9.0万、8.7万、8.0万であり、分子量の低下も遅いものであった。また、11ヶ月を経過してもPLAフィルムの重量保持率は99%であった。
【0097】
[比較例2]
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが12.9万のポリL−乳酸(PLA)38gに、調製例6で得られたポリコハク酸イミドを2g添加し、小型ニーダーを用いて200℃で5分間ブレンドした。得られたポリ乳酸組成物を、190℃で熱プレスしてフィルムを調製した。
【0098】
得られたポリ乳酸組成物フィルムは不均一不透明な白色まだらのフィルムであり、Mwは9.6万であった。フィルムの引張強度は39MPa、引張弾性率は1.8GPa、破断伸びは5%であり、PLAフィルムの外観や機械的物性を著しく損なっていた。
【0099】
このポリ乳酸組成物フィルム数枚を実施例1と同様にキャップ付きの容器に入れたpH7.3の燐酸緩衝溶液の中に浸漬し、該容器を37℃の恒温オーブン中に入れた。所定期間ごとにフィルムを取り出して乾燥し、引張強度、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
【0100】
1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムの引張強度は、それぞれ36MPa、42MPa、40MPa、38MPaであり、ほとんど強度の低下はなかった。
【0101】
また、1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムのMwはそれぞれ9.0万、8.9万、8.5万、8.2万であり、分子量の低下も遅いものであった。
【0102】
[実施例2]
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが12.9万のPLA38gに、調製例3で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体(アスパラギン酸:乳酸=1:4、DMF系GPCのMw3400)を2g添加し、小型ニーダーを用いて200℃で5分間ブレンドした。得られたポリ乳酸組成物を、190℃で熱プレスしてフィルムを調製した。
【0103】
得られたポリ乳酸組成物フィルムは無色透明であり、Mwは9.7万であった。フィルムの引張強度は59MPa、引張弾性率は1.2GPa、破断伸びは8%であり、アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加しないPLAフィルムの外観や機械的物性とほとんど変わらないものであった。
【0104】
このポリ乳酸組成物フィルム数枚を重量測定した後、実施例1と同様に、pH7.3、37℃の燐酸緩衝溶液の中に浸漬した。所定期間ごとにフィルムを取り出して乾燥し、引張強度、Mw(クロロホルム系GPC)、重量保持率を測定した。
【0105】
浸漬時間の経過とともにフィルムは次第に白化、不透明化していった。1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムの引張強度は、それぞれ40MPa、25MPa、0MPa、0MPaであった。
【0106】
また、1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムのMwはそれぞれ6.7万、4.2万、2.7万、2.4万であった。
【0107】
また、1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムの重量保持率は、それぞれ99%、99%、97%、90%であった。
【0108】
ポリ乳酸はアスパラギン酸−乳酸共重合体をブレンドした組成物とすることによって、効果的に加水分解速度が促進されていた。
【0109】
[実施例3]
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが11.1万のPLA39gに、調製例1で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体(アスパラギン酸:乳酸=1:4、DMF系GPCのMw9400)を1g添加し、小型ニーダーを用いて200℃で5分間ブレンドした。得られたポリ乳酸組成物を、190℃で熱プレスしてフィルムを調製した。
【0110】
得られたポリ乳酸組成物フィルムは無色透明であり、Mwは9.3万であった。フィルムの引張強度は62MPa、引張弾性率は1.2GPa、破断伸びは8%であり、アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加しないPLAフィルムの外観や機械的物性とほとんど変わらないものであった。
【0111】
このポリ乳酸組成物フィルム数枚を重量測定した後、実施例1と同様に、pH7.3、37℃の燐酸緩衝溶液の中に浸漬した。所定期間ごとにフィルムを取り出して乾燥し、引張強度、Mw(クロロホルム系GPC)、重量保持率を測定した。
【0112】
浸漬時間の経過とともにフィルムは1ヶ月経過したあたりから次第に白化、不透明化していった。5ヶ月経過した頃にはフィルム強度はほぼ0になり、もろい白色不透明のフィルムとなった。
【0113】
5ヶ月後、7ヶ月後、9ヶ月後、11ヶ月後のフィルムのMwはそれぞれ4.5万、2.4万、1.5万、1.5万であった。
【0114】
また、5ヶ月後、7ヶ月後、9ヶ月後、11ヶ月後のフィルムの重量保持率は、それぞれ99%、93%、88%、82%であった。
【0115】
ポリ乳酸はアスパラギン酸−乳酸共重合体をブレンドした組成物とすることによって、効果的に加水分解速度が促進されていた。
【0116】
[実施例4]
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが11.1万のPLA39gに、調製例5で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体(アスパラギン酸:乳酸=1:4、DMF系のMw9000)を1g添加し、小型ニーダーを用いて200℃で5分間ブレンドした。得られたポリ乳酸組成物を、190℃で熱プレスしてフィルムを調製した。
【0117】
得られたポリ乳酸組成物フィルムはやや白い透明であり、Mwは8.2万であった。フィルムの引張強度は62MPa、引張弾性率は1.1GPa、破断伸びは8%であり、アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加しないPLAフィルムの外観や機械的物性とほとんど変わらないものであった。
【0118】
このポリ乳酸組成物フィルム数枚を重量測定した後、実施例1と同様に、pH7.3、37℃の燐酸緩衝溶液の中に浸漬した。所定期間ごとにフィルムを取り出して乾燥し、引張強度、Mw(クロロホルム系GPC)、重量保持率を測定した。
【0119】
浸漬1日後には、フィルムは既に白化、不透明化していた。5ヶ月経過した頃にはフィルム強度はほぼ0になり、もろい白色不透明のフィルムとなった。
【0120】
5ヶ月後、7ヶ月後、9ヶ月後、11ヶ月後のフィルムのMwはそれぞれ4.1万、2.5万、1.7万、1.7万であった。
【0121】
また、5ヶ月後、7ヶ月後、9ヶ月後、11ヶ月後のフィルムの重量保持率は、それぞれ97%、95%、91%、90%であった。
【0122】
ポリ乳酸はアスパラギン酸−乳酸共重合体をブレンドした組成物とすることによって、効果的に加水分解速度が促進されていた。
【0123】
[実施例5]
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが12.9万のPLA36gに、調製例4で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体(アスパラギン酸:乳酸=1:10、DMF系GPCのMw36000)を4g添加し、小型ニーダーを用いて200℃で5分間ブレンドした。得られたポリ乳酸組成物を、190℃で熱プレスしてフィルムを調製した。
【0124】
得られたポリ乳酸組成物フィルムは無色透明であり、Mwは10.2万であった。フィルムの引張強度は58MPa、引張弾性率は1.0GPa、破断伸びは11%であり、アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加しないPLAフィルムの外観や機械的物性とほとんど変わらないものであった。
【0125】
このポリ乳酸組成物フィルム数枚を、実施例1と同様に、pH7.3、37℃の燐酸緩衝溶液の中に浸漬した。所定期間ごとにフィルムを取り出して乾燥し、引張強度、Mw(クロロホルム系GPC)を測定した。
【0126】
浸漬時間の経過とともにフィルムは次第に白化、不透明化していった。1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムの引張強度は、それぞれ42MPa、36MPa、28MPa、12MPaであった。
【0127】
また、1ヶ月後、2ヶ月後、3.5ヶ月後、5ヶ月後のフィルムのMwはそれぞれ8.1万、7.2万、5.0万、4.5万であった。
【0128】
ポリ乳酸はアスパラギン酸−乳酸共重合体をブレンドした組成物とすることによって、効果的に加水分解速度が促進されていた。
【0129】
[実施例6]
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが13.4万のポリε−カプロラクトン(PCL)0.95gに、調製例2と同様にして得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体(アスパラギン酸:乳酸=1:5、DMF系GPCのMw2.4万)を0.05g添加し、クロロホルム9gにて溶解した。該溶液をシャーレ上にキャストし、クロロホルムを乾燥により徐々に除去することにより、アスパラギン酸−乳酸共重合体を5%含むPCL組成物のフィルムを調製した。
【0130】
このPCL組成物フィルムを、キャップ付きの容器に入れたpH7.3の燐酸緩衝溶液の中に浸漬し、該容器を37℃の恒温オーブン中に入れた。
【0131】
1ヶ月後、フィルムを取り出して乾燥し、Mw(クロロホルム系GPC)を測定したところ、11.0万であった。比較例3との比較からもわかるように、PCLの水中での加水分解は極めて遅いが、PCLにアスパラギン酸−乳酸共重合体をブレンドした組成物とすることによって、効果的に加水分解速度が促進されていた。
【0132】
[比較例3]
アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加しないこと以外は実施例6と同様に、クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが13.4万のPCL1.0gをクロロホルムに溶解した。該溶液をシャーレ上にキャストし、クロロホルムを乾燥により徐々に除去することにより、アスパラギン酸−乳酸共重合体を含まないPCLフィルムを調製した。
【0133】
このPCLフィルムを、キャップ付きの容器に入れたpH7.3の燐酸緩衝溶液の中に浸漬し、該容器を37℃の恒温オーブン中に入れた。
【0134】
1ヶ月後、フィルムを取り出して乾燥し、Mw(クロロホルム系GPC)を測定したところ、13.4万であり、ほとんど分解していなかった。
【0135】
[実施例7]
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが28.3万で、重合触媒残渣としてスズを150ppm含有するポリL−乳酸(PLA)3.8gをクロロホルム20mlに溶解し、調製例2で得られたアスパラギン酸−乳酸共重合体(アスパラギン酸:乳酸=1:5、Mw1.6万)を0.2g添加して混合溶解した。該溶液をシャーレ上にキャストし、クロロホルムを乾燥により徐々に除去することにより、アスパラギン酸−乳酸共重合体を5%含むポリ乳酸組成物のフィルムを調製した。
【0136】
このポリ乳酸組成物フィルムを試験管に入れ、220℃のオイルバス中に該試験管を所定時間浸漬した。
【0137】
1時間後、2時間後、3時間後の試料のMw(クロロホルム系GPC)はそれぞれ、21.1万、17.5万、13.1万であった。1時間後の熱分解によるサンプル重量減少は、0.4%であった。
【0138】
ポリ乳酸はアスパラギン酸−乳酸共重合体をブレンドした組成物とすることによって、効果的に熱分解が抑制された。
【0139】
[比較例4]
クロロホルム系GPCによる重量平均分子量Mwが28.3万で、重合触媒残渣としてスズを150ppm含有するポリL−乳酸(PLA)4.0gをクロロホルム20mlに溶解した。該溶液をシャーレ上にキャストし、クロロホルムを乾燥により徐々に除去することにより、PLAフィルムを調製した。
【0140】
このPLAフィルムを試験管に入れ、220℃のオイルバス中に該試験管を所定時間浸漬した。
【0141】
1時間後、2時間後、3時間後の試料のMw(クロロホルム系GPC)はそれぞれ、14.2万、6.3万、4.4万であった。1時間後の熱分解によるサンプル重量減少は、5.6%であった。
【0142】
[実施例8]
三井化学株式会社製のEVOLUE SP0540 のポリエチレンパウダー50gに調製例2で有られたアスパラギン酸−乳酸共重合体(アスパラギン酸:乳酸=1:5、DMF系のMw16300)を2.5g添加し、乳鉢ですりつぶしながらブレンドした。得られた組成物を160℃で熱プレスしてフィルムを調製した。得られたポリエチレン組成物フィルムは、やや薄い褐色の透明なフィルムであり、アスパラギン酸−乳酸共重合体とポリエチレンは、分離することなく混合していた。このフィルムにおける水滴の接触角を測定したところ72度であった。
【0143】
[比較例5]
アスパラギン酸−乳酸共重合体を添加しないこと以外は、実施例8と同様に、ポリエチレンパウダー50gを、170℃で熱プレスしてフィルムを調製した。得られたポリエチレン組成物フィルムは、透明なフィルムであった。このフィルムにおける水滴の接触角を測定したところ78度であった。
【0144】
[実施例9、10]
実施例9では帝人社製のポリカーボネートパウダーL−1250wpを、実施例10では、よのペットボトルリサイクル株式会社製のクリアフレークを粉砕したものを使用したこと以外は、実施例8と同様な操作および測定を行なった。結果は表2の通りである。
【0145】
[比較例6、7]
比較例6では帝人社製のポリカーボネートパウダーL−1250wpを、比較例7では、よのペットボトルリサイクル株式会社製のクリアフレークを粉砕したものを使用したこと以外は、比較例5と同様な操作および測定を行なった。結果は表2の通りである。
【0146】
【表1】
Figure 0004634566
【0147】
【表2】
Figure 0004634566
【0148】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、共重合体(A)の添加により、濡れ性、分解性が向上し、熱劣化が抑制された樹脂組成物が得られる。

Claims (9)

  1. 親水性セグメント(a−1)として下記化学構造式(3)で表されるポリコハク酸イミドセグメントを有し、疎水性セグメント(a−2)として下記化学構造式(4)で表されるポリヒドロキシカルボン酸セグメントを有し、コハク酸イミド単位の割合が1〜33モル%、ヒドロキシカルボン酸単位の割合が67〜99モル%であるブロック又はグラフト共重合体(A)と、
    Figure 0004634566
    (式(3)中、mは1以上100以下の数であり、式(4)中、Rはメチル基又は水素原子を示し、nは1以上1000以下の数である。)
    ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボート系樹脂及び分解性樹脂からなる群より選択される樹脂(B)とを含有し、
    共重合体(A)と樹脂(B)の重量組成比[(A)/(B)]が[1/99]〜[33/67]である樹脂組成物。
  2. 樹脂(B)が、分解性樹脂である請求項記載の樹脂組成物。
  3. 共重合体(A)の重量平均分子量が1000以上10万以下である請求項1記載の樹脂組成物。
  4. 共重合体(A)が、親水性セグメント(a−1)として、下記化学構造式(5)で表されるセグメント(a−1−1)と、下記化学構造式(6)で表されるセグメント(a−1−2)と、下記化学構造式(7)で表されるポリヒドロキシカルボン酸セグメント(a−2−1)とを併せ有する枝分かれ状共重合体であり、
    共重合体(A)中の化学構造式(8)で表されるアスパラギン酸由来の単位の割合は1〜33モル%、ヒドロキシカルボン酸単位の割合は67〜99モル%であり、共重合体(A)の分子末端は、アミノ基、水酸基、カルボキシル基及びカルボン酸塩からなる群より選択された少なくとも1種の基からなる請求項1記載の樹脂組成物。
    Figure 0004634566
    (式(5)中、xは0以上100以下の数であり、式(6)中、yは0以上100以下の整数であり、Mは金属または水素であり、(7)中、zは2以上1000以下の数であり、Rはメチル基または水素を示す。)
  5. 樹脂(B)が、脂肪族ポリエステルである請求項1記載の樹脂組成物。
  6. ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボート系樹脂及び分解性樹脂からなる群より選択される重量平均分子量3000以上50万以下の樹脂(B)に、
    親水性セグメント(a−1)として下記化学構造式(3)で表されるポリコハク酸イミドセグメントを有し、疎水性セグメント(a−2)として下記化学構造式(4)で表されるポリヒドロキシカルボン酸セグメントを有し、コハク酸イミド単位の割合が1〜33モル%、ヒドロキシカルボン酸単位の割合が67〜99モル%である重量平均分子量1000以上10万以下のブロック又はグラフト共重合体(A)を
    Figure 0004634566
    (式(3)中、mは1以上100以下の数であり、式(4)中、Rはメチル基又は水素原子を示し、nは1以上1000以下の数である。)
    共重合体(A)と樹脂(B)の重量組成比[(A)/(B)]が[1/99]〜[33/67]となるように混合して樹脂(B)の加水分解を促進することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  7. 樹脂(B)が、重量平均分子量3000以上50万以下の脂肪族ポリエステルである請求項6記載の方法。
  8. ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボート系樹脂及び分解性樹脂からなる群より選択される重量平均分子量3000以上50万以下の樹脂(B)に、
    親水性セグメント(a−1)として下記化学構造式(3)で表されるポリコハク酸イミドセグメントを有し、疎水性セグメント(a−2)として下記化学構造式(4)で表されるポリヒドロキシカルボン酸セグメントを有し、コハク酸イミド単位の割合が1〜33モル%、ヒドロキシカルボン酸単位の割合が67〜99モル%である重量平均分子量1000以上10万以下のブロック又はグラフト共重合体(A)を
    Figure 0004634566
    (式(3)中、mは1以上100以下の数であり、式(4)中、Rはメチル基又は水素原子を示し、nは1以上1000以下の数である。)
    共重合体(A)と樹脂(B)の重量組成比[(A)/(B)]が[1/99]〜[33/67]となるように混合して樹脂(B)の熱劣化を抑制することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  9. 樹脂(B)が、重量平均分子量3000以上50万以下の脂肪族ポリエステルである請求項8記載の方法。
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