JP4634561B2 - 通信インタフェース装置、検査用接続装置、検査装置、検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信インタフェース装置、検査用接続装置、検査装置、検査方法にかかり、特に、コンピュータを用いられるSCSIやRS232C等の通信インタフェースを備えた通信インタフェース装置、及び通信インタフェース装置を検査する検査用接続装置、検査装置、検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータの機能を拡張する周辺装置に対して情報を授受する通信インタフェースが各種実用化されており、その1つに、SCSI(small computer system interface)が知られている。SCSIを用いれば、デイジーチェーンと呼ばれるいもづる式の接続により、コンピュータに、ハードディスクやプリンタ等の周辺装置を複数接続することができる。
【0003】
これらSCSI等の通信インタフェースを用いた装置(以下、通信インタフェース装置という。特にSCSIを用いたものをSCSI装置という。)は、予め作動や信号線の接続を検査する必要がある。例えば、SCSI装置では、出力信号と入力信号とを分離して入出力させる折り返し検査が行われている。すなわち、折り返し検査では、SCSI装置の出力信号をそのまま入力信号としてSCSI装置自体へ折り返させている。
【0004】
このようにSCSI装置の作動や信号線の接続を検査する折り返し検査では、ラップ・ツール(Wrap Tool)と呼ばれる接続装置が用いられる。このラップ・ツールは、主にSCSI信号の入力信号をそのまま出力信号として折り返すべく各端子が短絡されている。このような検査技術として、SCSIの信号線の接続の良否を検査する技術が提案されている(特開平5−73445号公報参照)。なお、ラップ・ツールは、上記のように単純な構成であるため、デイジチェーンしたSCSI装置の終端に取り付ける終端コネクタ(所謂ターミネータ)と同様の形状をしている。
【0005】
しかしながら、ラップ・ツールが終端コネクタと同様な形状をしているので、このラップ・ツールを用いて、SCSI装置を検査しようとした場合、終端コネクタを用いて検査を実行し不良判定がなされたり、検査終了後に誤って終端コネクタに代えてラップ・ツールを取り付けたまま動作させることによって誤動作したりする場合がある。
【0006】
この問題を解消するために、SCSI装置で2つのSCSI制御プリント板ユニットのコネクタについて双方をケーブル接続して検査する技術が提案されている(特開昭63−229550号公報参照)。この技術では、2つのSCSI制御プリント板ユニットについて、SCSIの各端子を相互に接続して信号授受の可否を判定することで2つのSCSI制御プリント板ユニットの検査を可能にしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のように、2つのSCSI装置のコネクタについて双方をケーブル接続すなわちSCSIの各端子を相互に接続したものをラップ・ツールとして検査する場合には、2つのSCSI装置が必要であり、自己のSCSI装置のみで検査することができない。
【0008】
また、一般的に、SCSI装置は、上述のようにデイジチェーンによる外部装置との接続を可能としてデータ授受するために、2つのコネクタを備えているものが多い。この2つのコネクタは、SCSI装置の内部に含まれているSCSIコントローラから信号線が共通に接続されている。このため、上記検査は、SCSI装置が備えている全てのコネクタについて実施しなければならない。
【0009】
この場合、従来のSCSIの各端子を相互に接続したケーブルによるラップ・ツールを用いて検査することはできるものの、終端コネクタと同様の形状をしたラップ・ツールによる一方のコネクタ側のみの検査で適正であると判定される場合がある。この場合には、検査終了後に誤ってラップ・ツールを取り付けたまま動作させることによる誤動作という問題が残存する。
【0010】
本発明は、上記事実を考慮して、簡易な構成でかつコンピュータ等に用いられる通信インタフェースの作動を検査することができる通信インタフェース装置、検査用接続装置、検査装置、検査方法を得ることが目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の通信インタフェース装置は、複数の入出力信号を制御することにより通信インタフェースを制御する制御手段を含んでいる。複数の入出力信号にはコンピュータで用いられる通信インタフェースの作動や信号線について接続を検査するために認識信号を含んでおり、制御手段は、この認識信号を出力しかつ出力した認識信号を入力させることにより検知する。認識信号は、電源手段からの一定電圧の供給電力を信号とすることができる。この場合の認識信号の検知は、入力側が一定電圧レベルに到達したか否かを判別することで検知できる。
【0012】
また、通信インタフェース装置は、分離手段及び複数の中継手段を含んでいる。分離手段は、制御手段の複数の入出力信号を伝送するために複数の信号線を備えており、認識信号を出力伝送する出力信号線及びこの認識信号を入力伝送すなわち制御手段で検知させるための認識信号線を含んでいる。これらの複数の信号線の各々は複数に分離されて制御手段の複数の入出力信号の群に対応する信号線群が複数形成される。分離された認識信号線の各々には電位降下手段が付加される。電位降下手段には抵抗があり、認識信号線の途中に抵抗を直列接続すればよい。分離手段の信号線群の各々には外部装置に中継するためのコネクタ等の中継手段が接続される。
【0013】
前記認識信号は、分離手段において分離された出力信号線の各々で伝送される。折り返し検査では、この認識信号が折り返されて入力される。すなわち認識信号は折り返されて認識信号線の各々を伝送される。この認識信号線には、電位降下手段が付加されており、認識信号の電位は降下する。ここで、信号線は、分離手段で分離したので、結合点を有することになり、2つの中継手段について一方の出力信号線と他方の認識信号線とが接続されるように、一方の認識信号線と他方の出力信号線とが接続されるように構成、すなわち、相互に接続することで電位降下手段は並列接続したことに相当する。これにより、電位降下手段の付加数に対応して電位が定まることになる。従って、電位降下手段を付加した数に対応して定まる電位を検出したか否かを判別することで、検査のための接続がなされたか否かを判別できる。このため、終端コネクタと略同形状のラップ・ツールを用いてSCSI装置を検査した場合には、複数ある電位降下手段の1つのみしか作用しないため、検査を実行させないように判別することができ、誤検査を防止できる。
【0014】
なお、前記電位降下手段は、電位を降下させるための抵抗等の素子でもよく、また、電位を上昇させるものであってもよい。すなわち、電位降下手段は、その電位の対応関係が定まるものであればよい。
【0015】
本発明の検査用接続装置は、上記の通信インタフェース装置に含まれる少なくとも2つの中継手段に対して接続する。この検査用接続装置は、分離手段で分離した第1の信号線群の入力信号線に接続するための第1の端子と、第2の信号線群の出力信号線に接続するための第2の端子とを接続した接続手段を備えている。これによって、上記で説明したように、2つの中継手段について一方の出力信号線と他方の認識信号線とが接続され、一方の認識信号線と他方の出力信号線とが接続されるので、電位降下手段は並列接続され、電位降下手段を付加した数に対応して定まる電位を検出したか否かを判別することで、検査のための接続がなされたか否かを判別できる。
【0016】
前記接続手段は、通信インタフェース装置の複数の中継手段に接続することが好ましい。そこで、第1の端子を含みかつ第1の信号線群の入力信号線に接続された第1中継手段に接続するための第1の接続手段と、第2の端子を含みかつ第2の信号線群の出力信号線に接続された第2中継手段に接続するための第2の接続手段とを独立して形成する。そして、接続ケーブルによって形成した第1の接続手段と第2の接続手段とを中継する。このようにすれば、終端コネクタと同様の形状をしたラップ・ツールを用いるのではなく、ケーブルの両端にコネクタを接続した物理形状が異なる接続ケーブル等の接続手段によって、容易に差異を判別できる。
【0017】
なお、上記では、通信インタフェース装置内の分離手段において、分離された認識信号線の各々に電位降下手段を付加しているが、認識信号の電位を降下させればよいので、電位降下手段は、通信インタフェース装置の外部に設けてもよい。そこで、本発明の検査用接続装置は、コンピュータで用いられる通信インタフェースの作動を検査するために認識信号を出力しかつ前記認識信号を入力させると共に、前記認識信号を含む複数の入出力信号を制御することにより前記通信インタフェースを制御する制御手段と、前記認識信号を出力伝送する出力信号線及び前記認識信号を入力伝送する認識信号線を含む前記制御手段の複数入出力信号の各々を伝送する複数の信号線を備え、かつ前記複数の信号線の各々を複数に分離して前記制御手段の複数の入出力信号に対応する信号線群を複数形成する分離手段と、前記分離手段の信号線群の各々を外部装置に中継するための複数の中継手段と、を含む通信インタフェース装置の検査用接続装置に、次の検査用接続装置を付加すればよい。すなわち、検査用接続装置は、前記2つの中継手段の一方に取り付けかつ、前記分離手段で分離した第1の信号線群の入力信号線に接続するための第1の端子を備えた第1コネクタと、他方の中継手段に取り付けかつ前記第2の信号線群の出力信号線に接続するための第2の端子を備えた第2コネクタとを備え、第1コネクタの第1端子と第2コネクタの第2端子とを電位降下手段を介在させて接続した特定接続手段と、を備える。
【0018】
また、本発明の通信インタフェース装置の検査装置は、コンピュータで用いられる通信インタフェースの作動を検査するために認識信号を出力しかつ前記認識信号を入力させると共に、前記認識信号を含む複数の入出力信号を制御することにより前記通信インタフェースを制御する制御手段と、前記認識信号を出力伝送する出力信号線及び前記認識信号を入力伝送する認識信号線を含む前記制御手段の複数入出力信号の各々を伝送する複数の信号線を備え、かつ前記複数の信号線の各々を複数に分離して前記制御手段の複数の入出力信号に対応する信号線群を複数形成すると共に、分離された前記認識信号線の各々に電位降下手段を付加した分離手段と、前記分離手段の信号線群の各々を外部装置に中継するための複数の中継手段と、前記少なくとも2つの中継手段に対して、前記分離手段で分離した第1の信号線群の入力信号線に接続するための第1の端子と、前記第2の信号線群の出力信号線に接続するための第2の端子とを直列接続した接続手段と、を備えている。
【0019】
この接続手段は、前記第1の端子を含みかつ前記第1の信号線群の入力信号線に接続された第1中継手段に接続するための第1の接続手段と、前記第2の端子を含みかつ前記第2の信号線群の出力信号線に接続された第2中継手段に接続するための第2の接続手段とを独立して形成すると共に、形成した第1の接続手段と第2の接続手段とを中継する接続ケーブルを備えることもできる。
【0020】
本発明の通信インタフェース装置の検査方法は、コンピュータで用いられる通信インタフェースの作動を検査するために認識信号を出力しかつ前記認識信号を入力させると共に、前記認識信号を含む複数の入出力信号を制御することにより前記通信インタフェースを制御し、前記認識信号を出力伝送する出力信号線及び前記認識信号を入力伝送する認識信号線を含む複数入出力信号の各々を伝送する複数の信号線について、各々を複数に分離して信号線群を複数形成し、分離した第1の信号線群の入力信号線を伝送した認識信号を、第2の信号線群の認識信号線に接続し、前記認識信号線を伝送する認識信号の各々を電位降下させる、ことで達成される。
【0021】
【発明の実施の形態】
図2には、本発明を実施するのに適した通信インタフェース装置の概略構成を模式的に示している。本実施の形態では、通信インタフェース装置として、パーソナル・コンピュータ等のハードウェアに用いて好適なSCSI装置を例として説明する。
【0022】
SCSI装置10は、通信インタフェースとしてSCSIを採用してデータ授受を制御するためのマイクロコンピュータを含んで構成されたSCSIコントローラ12を備えている。SCSIコントローラ12は、内部コネクタ18Aを有するストレート・ケーブル16を備えている。このストレート・ケーブル16はSCSIコントローラ12の入出力信号を伝送するためのものである。従って、コネクタ18AにもSCSIコントローラ12の入出力信号が伝送される。この内部コネクタ18A、ストレート・ケーブル16、及びSCSIコントローラ12は、SCSIの信号入出力を行うSCSI装置本体11を構成している。
【0023】
また、SCSI装置10は、外部の装置と信号入出力するために、2つのSCSIコネクタ22、24を備えており、SCSIコネクタ22、24は筐体に固定されている。これらのSCSIコネクタ22、24には分岐ケーブル20が接続されている。この分岐ケーブル20の一端は、内部コネクタ18Aに接続するための内部コネクタ18Bに接続される。一方、他端はSCSIコネクタ22、24に接続されている。内部コネクタ18Bには、SCSIコネクタ22、24の各々からの分岐ケーブル20について各々の信号線が共通に接続されている。従って、内部コネクタ18Bのピン配列は、SCSIコネクタ22、24と同一になっている。すなわち、内部コネクタ18B上の信号は、SCSIコネクタ22、24のそれぞれの共通な位置(ピン配列)に対応される。
【0024】
内部コネクタ18A,18Bを接続することで内部コネクタ18となり、SCSIコントローラ12と、SCSIコネクタ22、24を介してSCSI装置10の外部との信号授受が可能となる。この内部コネクタ18B、分岐ケーブル20、及びSCSIコネクタ22、24は、SCSIコントローラ12に対して同一で2つの信号入出力を可能とするY型ケーブル14を構成している。
【0025】
本実施の形態では、SCSI装置10内部の信号線に抵抗を付加している。詳細は後述するが(図1)、ストレート・ケーブル16上のラップ・テスト時に用いる信号線32に一端を接地した抵抗26の他端を接続し、分岐ケーブル20上のラップ・テスト時に用いる信号線34、36に抵抗28、30を付加している。
【0026】
なお、SCSIコントローラ12は、検査プログラムが格納され図示を省略したメモリを備えており、オペレータの指示や外部からの信号入力によって検査プログラムを実行するようになっている。
【0027】
また、上記SCSIコントローラ12は、本発明の制御手段に相当し、分岐ケーブル20またはY型ケーブル14は本発明の分離手段に相当する。また、SCSIコネクタ22、24は、本発明の複数の中継手段に相当する。
【0028】
SCSI装置10の検査を実施するときには、ツールを接続する。本実施の形態では、そのツールとしてラップ・ツール(Wrap Tool)40を用いている。ラップ・ツール40は、中継ケーブル46の両端に接続された接続コネクタ42、44で構成されている。接続コネクタ42をSCSIコネクタ22に(図2の矢印P方向に)接続し、接続コネクタ44をSCSIコネクタ24に接続した後にSCSIラップテスト(検査)をする。このように、本実施の形態では、終端コネクタと同様の形状をしたラップ・ツールを用いるのではなく、ケーブルの両端にコネクタを接続した物理形状が異なる接続ケーブルを用いている。なお、ラップ・ツール40は、一般的に用いられるSCSIケーブルと混同を避けるため、30cm未満の長さの中継ケーブル46を用いることが好ましい。これは、SCSIケーブルの長さについてANSIでは30cm以上と規定しているためである。
【0029】
図3には、ラップ・ツール40について、コネクタ42、44と中継ケーブル46の関係の一例を示した。図中、四角形内部の数値は、コネクタのピンアサインを示している。また、図4には、各ピンの信号名を示した。
【0030】
なお、SCSI装置10を構成するためには、図2及び図1に示した以外にも多くの電気回路等が必要である。但し、これらは当業者には周知であり、また、本発明の要旨を構成するものではないので、本明細書中では省略している。また、図面の錯綜を回避するため、図中の各ハードウェア・ブロック間の接続は一部のみ図示したが、本発明にかかるSCSI装置10に対してラップ・ツール40を用いたSCSIラップテストを実現するために付随する構成の接続関係を次に説明する。
【0031】
図1には、本発明にかかるSCSI装置10に対してラップ・ツール40を用いたSCSIラップテストを開始するために付随する構成の接続関係をブロック図として示した。
【0032】
SCSIコントローラ12からの信号線32には一端が接地された抵抗26の他端が接続されている。この信号線32は、内部コネクタ18を介して分岐ケーブル20に接続され、SCSIコネクタ22側の信号線34及びSCSIコネクタ24側の信号線36に接続される。信号線34の内部コネクタ18BとSCSIコネクタ22の間には抵抗28が直列に接続され、信号線36の内部コネクタ18BとSCSIコネクタ24の間には抵抗30が直列に接続される。また、ラップ・ツール40を認識するための信号(TEMPWR)を出力する出力装置38は内部コネクタ18を介して分岐ケーブル20に接続され、SCSIコネクタ22側の信号線35及びSCSIコネクタ24側の信号線37に接続される。
【0033】
なお、出力装置38が出力するラップ・ツール40を認識するための信号(TEMPWR)は、本発明の出力信号線を出力伝送する認識信号に相当する。
【0034】
分岐ケーブル20のSCSIコネクタ22側の信号線35は、SCSIコネクタ22及び接続コネクタ42を介して信号線48に接続される。この信号線48は、接続コネクタ44及びSCSIコネクタ24を介して信号線36に接続される。一方、分岐ケーブル20のSCSIコネクタ24側の信号線37は、SCSIコネクタ24及び接続コネクタ44を介して信号線50に接続される。この信号線50は、接続コネクタ42及びSCSIコネクタ22を介して信号線34に接続される。従って、ラップ・ツール40をSCSI装置10に接続することで、ラップ・ツール40を認識するための信号(TEMPWR)は、分岐ケーブル20によりSCSIコネクタ22、24に出力された後に、ラップ・ツール40においてもう一方のSCSIコネクタを介して信号線36、34に戻される。すなわち、ラップ・ツール40をSCSI装置10に接続することで、信号線34と37、信号線36と35が導通される。
【0035】
上記ラップ・ツール40は、本発明の接続手段に相当し、抵抗28、30は本発明の電位降下手段に相当する。なお、本実施の形態では、抵抗26を接続して電位を定めているので、抵抗26も本発明の電位降下手段の一部を構成する場合がある。また、SCSIコネクタ22に纏められた信号線は、本発明の分離手段で分離した第1の信号線群に相当し、SCSIコネクタ24に纏められた信号線は、第2の信号線群に相当する。また、第1の信号線群の入力信号線は、信号線35、37に相当し、第2の信号線群の出力信号線は、信号線34、36に相当する。さらに、入力信号線に接続するための第1の端子は、SCSIコネクタの第52ピンに対応する接続コネクタ42のピンに相当し、第2の端子は、第53ピンに対応する接続コネクタ44のピンに相当する。さらにまた、本発明の第1の接続手段は、接続コネクタ42に相当し、第2の接続手段は、接続コネクタ44に相当し、接続ケーブルは、中継ケーブル46に相当する。
【0036】
なお、本実施の形態では、出力装置38として一定電圧を供給可能な電源を採用している。この出力装置38は、SCSIコントローラ12の内部に設けてもよく、またSCSIコントローラ12の出力信号として供給してもよい。
【0037】
次に、SCSI装置10に対するラップ・ツール40を用いたSCSIラップテストについて詳細に説明する。このSCSIラップテストは、SCSI装置10を他の装置との信号授受を遮断状態にして、SCSIコントローラ12とSCSIコネクタ22、24との間の結線及びSCSIコントローラ12の動作確認をする検査である。
【0038】
図5に示すように、接続コネクタ42をSCSIコネクタ22、接続コネクタ44をSCSIコネクタ24に接続する。ラップ・ツール40では入出力が異なる信号端子に対応されている。従って、SCSIコントローラ12から出力された信号は、ラップ・ツール40の内部で別の信号に置きかえられて、SCSIコントローラ12に折り返される。このときに、折り返された信号の状態が出力信号と一致するか否かを判別することで、結線及びSCSIコントローラ12の動作確認をする。
【0039】
本実施の形態では、オペレータの指示や外部からの信号入力によって、SCSIコントローラ12で、図9に示した検査プログラムが実行される。まず、ステップ100においてSCSI装置10に接続されているラップ・ツールを認識し、認識結果から次のステップ102において正規ツールが接続されているか否かを判断する。正規のラップ・ツール40が接続されているときは、ステップ102で肯定され、次のステップ104において各ピン毎の検査を実行した後に、本検査ルーチンを終了する。一方、ステップ102で否定されたときは、他の接続装置が接続されているので、次のステップ106において他処理を実施する。この他処理は、誤った接続であることを促す(音や光で表示)がある。なお、ステップ106の処理を実行することなく本ルーチンを終了してもよい。
【0040】
このように、本実施の形態では、検査精度の向上や誤接続による障害を回避するために、SCSIラップテストを実施するにあたり、まずラップ・ツール40を認識している(ステップ100)。この認識は、図6及び図7に示すように、ラップ・ツール40を認識するための信号(TEMPWR)を出力し、ラップ・ツール40によって折り返された信号(PSCSIWRAP)の状態を、SCSIコントローラ12で認識する。この折り返された信号の状態が出力信号と一致(対応、後述)すれば、正規ツールと判別できる。本実施の形態の例では、信号(TEMPWR)は、SCSIコネクタの第52ピンに対応し、信号(PSCSIWRAP)は、第53ピンに対応する。このため、ラップ・ツール40では、第52ピンと第53ピンとが交差されて互いに入出力が対応する関係とされている(図3)。
【0041】
従って、上記ステップ102では、この折り返された信号(PSCSIWRAP)の状態が出力信号(TEMPWR)と対応するか否かを判別することで、結線及びSCSIコントローラ12の動作確認できる。ところで、出力信号(TEMPWR)を伝送する信号線32、34、36すなわちSCSI装置10内部のストレート・ケーブル16及び分岐ケーブル20には、抵抗26、28、30が介在している。
【0042】
本実施の形態のラップ・ツール40がSCSI装置10に接続されていると、信号線34と37、および信号線35と36が導通状態になる。このため、図8(C)に示すように、信号(TEMPWR)を出力する出力装置38とSCSIコントローラ12との間に、抵抗28と30が並列に接続されたことと等価になる。このとき、抵抗26の抵抗値をR1とし、抵抗28と30の抵抗値をR2とし、出力信号(TEMPWR)の電位レベルをVccとし、折り返された信号(PSCSIWRAP)の電位レベルをVwpとすると、次の(1)式の関係がある。
Vwp={R1/(R1+R2/2)}・Vcc ・・・(1)
従って、折り返された信号(PSCSIWRAP)を検知可能な最低電位レベルがVthであるときは、次の(2)式の関係が必要、すなわち、折り返された信号(PSCSIWRAP)の電位レベルVwpを最低電位レベルVth以上にする必要である。
Vwp≧Vth ・・・(2)
【0043】
一般的に、出力信号(TEMPWR)の電位レベルVccは定まっている場合が多いので、上記の(2)式を満たすように抵抗28と30の抵抗値を定めればよい。なお、SCSIコントローラ12のストレート・ケーブル16に付加した抵抗26の抵抗値が定められ、電位レベルVccおよび最低電位レベルVthが定められている場合には、抵抗28と30の抵抗値R2の許容範囲は次の(3)式である。
R1・{(Vcc/Vth)−1}≦R2≦2・R1{(Vcc/Vth)−1}
・・・(3)
【0044】
これによって、上記ステップ102では、最低電位レベルVthを超えた折り返された信号(PSCSIWRAP)を検出したか否かを判別することで、ラップ・ツール40の有効性を判断することができる。
【0045】
ところで、本実施の形態のSCSI装置10に、従来のもの、すなわち終端コネクタと同様の形状をした接続コネクタ1つからなるラップ・ツールを、誤って用いる場合がある。次にこの点を検証する。本実施の形態のSCSI装置10は、2つのSCSIコネクタ22と24を備えており、何れか一方のSCSIコネクタに接続すると、図8(B)に示すように、信号(TEMPWR)を出力する出力装置38とSCSIコントローラ12との間に、抵抗28、30の一方がに接続されたことと等価になる。このため、出力信号(TEMPWR)の電位レベルVcc、折り返された信号(PSCSIWRAP)の電位レベルV’wpの間は、次の(4)式の関係になる。
V’wp={R1/(R1+R2)}・Vcc ・・・(4)
【0046】
図8(B)に示す接続状態は、誤った接続であるので、これを回避するために、電位レベルV’wpを、上述の最低電位レベルVth未満((5)式参照)にする。
V’wp<Vth ・・・(5)
【0047】
従って、上記の(1)〜(5)式を満足するように、各値を設定すれば、終端コネクタと同様の形状をした接続コネクタ1つからなるラップ・ツールを、誤って用いる場合であっても、これを排除すなわち正規ツールであることを否定することができる。
【0048】
また、本実施の形態のSCSI装置10の内部である内部コネクタ18に、従来のもの、すなわち終端コネクタと同様の形状をした接続コネクタ1つからなるラップ・ツールを、接続して検査する場合、図8(A)に示すように、信号(TEMPWR)を出力する出力装置38とSCSIコントローラ12とは短絡されたことと等価になる。このため、出力信号(TEMPWR)の電位レベルVcc、折り返された信号(PSCSIWRAP)の電位レベルV”wpの間は、次の(6)式の関係になる。
V”wp=Vcc ・・・(6)
【0049】
図8(A)に示す接続状態では、電位レベルV”wpは、上述の最低電位レベルVthを超えるので検査を実行できる。この場合、SCSI装置10は、他のSCSI装置と確実に分離され、またSCSI装置10を実際に使用するときには、接続を戻さなければならないので、誤動作や障害を回避することができる。このため、通常の検査を実施してもよいことになる。
【0050】
このように、本実施の形態では、SCSI装置10の内部にある、ラップ・ツール40を認識するための信号(TEMPWR)が折り返された信号(PSCSIWRAP)が伝送される経路に抵抗を付加している。これによって、正規のラップ・ツールが接続されたときにのみ、折り返された信号を検知することができる。このため、異なるラップ・ツールの接続による誤検査や誤動作を生じさせることなく、SCSI装置のSCSIラップテスト(検査)を実施できる。
【0051】
また、ラップ・ツールとして、ケーブルの両端にコネクタを接続した物理形状が異なる接続ケーブル、すなわち中継ケーブル46の両端に接続コネクタ42、44を設けた構成にしているので、終端コネクタと同様の形状をしたラップ・ツールに対して、形状的に差異を有させることができ、誤使用を回避することができる。また、ラップ・ツール40の中継ケーブル46の長さを変更することで、一般的に用いられるSCSIケーブルと混同を避けることができ、ラップ・ツール40とSCSIケーブルとの差異を明確にすることもできる。
【0052】
さらに、両端にコネクタを接続した接続ケーブル構成のラップ・ツールを用いているので、2つのSCSIコネクタを有している一般的なSCSI装置において、これらのSCSIコネクタを他の装置から完全に分離でき、装置のみを独立して検査することができる。このため、オペレータの誤操作等の人為的な障害を最小限度に抑制することができる。
【0053】
なお、本実施の形態では、まず特定の信号線を用いてラップ・ツール40を認識した後にSCSIラップテストを実施した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、全ての信号線に抵抗等の電位降下手段を付加して、各信号線のテストを実施するときに判断してもよく、予め定めた信号線に抵抗等の電位降下手段を付加して該信号線のテストを実施するときに判断してもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、SCSI装置の内部に電位降下手段である抵抗を付加した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ラップ・ツールの信号線に付加してもよい。この場合には、本発明の第1コネクタがラップ・ツールの接続コネクタ42に相当し、第2コネクタが接続コネクタ44に相当する。
【0055】
なお、本実施の形態では、通信インタフェースとしてSCSIに適用した場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、装置自体に折り返し検査等のテストを実施する他の通信インタフェースに用いる装置への適用も可能である。他の通信インタフェースとしては、RS232CやRS422の規格で定まるインタフェース、パラレル・インタフェースがある。以上、本発明を特定の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、本発明の思想を考慮して当業者が容易に考えることができるさらに多くの実施の形態及び実施例を含むものである。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、通信インタフェースの作動や信号線について接続を検査するために、検査時に認識信号の電位を降下させるので、認識信号の電位を判別することで、検査への移行の可否を容易に判別することができる、という効果がある。
【0057】
また、通信インタフェース装置から外部装置に中継するためのコネクタ等の中継手段の複数について、検査用接続装置の接続手段によって接続するので、ケーブルの両端にコネクタを接続した物理形状が異なる接続ケーブル等のように容易に差異を判別できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかるSCSI装置及びラップ・ツールの接続関係を示す概略ブロック図の一例である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるSCSI装置及びラップ・ツールの概略ブロック図の一例である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるラップ・ツールの接続関係を示す概略ブロック図の一例である。
【図4】本発明の実施の形態にかかるラップ・ツールの信号ピンと信号名の関係の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかり、SCSI装置にラップ・ツールを用いて行うSCSIラップテストの説明図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかり、ラップ・ツールを認識するための信号の関係の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかるSCSI装置及びラップ・ツールにおいて、ラップ・ツールの認識時の信号の流れの説明図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかるSCSI装置にラップ・ツールを接続したときの、折返信号(PSCSIWRAP)に関する等価回路図である。
【図9】SCSIラップテストの処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 SCSI装置
12 SCSIコントローラ
14 Y型ケーブル
16 ストレート・ケーブル
20 分岐ケーブル
22、24 SCSIコネクタ
26、28、30 抵抗
34、35、36、37、48、50 信号線
40 ラップ・ツール
42、44 接続コネクタ
46 中継ケーブル
Claims (4)
- 通信インタフェース装置の検査用接続装置であって、
前記通信インタフェース装置は、
コンピュータで用いられる通信インタフェースの作動を検査するために認識信号を出力しかつ前記認識信号を入力させると共に、前記認識信号を含む複数の入出力信号を制御することにより前記通信インタフェースを制御する制御手段と、
前記制御手段の複数入出力信号の各々を伝送するための複数の信号線であって、前記認識信号を出力伝送する出力信号線及び前記認識信号を入力伝送する認識信号線を含む前記複数の信号線を備え、かつ前記複数の信号線の各々を複数に分離し、分離された前記認識信号線のそれぞれについて、その途中に電位降下手段を直列接続する分離手段と、
各々互いに異なる分離された前記認識信号線および前記出力信号線の組を外部装置に中継するための複数の中継手段とを含み、
前記検査用接続装置は、
前記通信インタフェース装置に含まれる2つの中継手段に対して、一方の中継手段が中継する認識信号線と他方の中継手段が中継する出力信号線とを接続し、かつ、前記一方の中継手段が中継する出力信号線と前記他方の中継手段が中継する認識信号線とを接続する接続手段を備えた、通信インタフェース装置の検査用接続装置。 - 前記接続手段は、前記一方の中継手段に接続するための第1の接続手段と、前記他方の中継手段に接続するための第2の接続手段とを独立して形成すると共に、前記一方の中継手段と前記第1の接続手段とを介して前記一方の中継手段が中継する認識信号線に接続され、かつ、前記他方の中継手段と前記第2の接続手段とを介して前記他方の中継手段が中継する出力信号線に接続される第1の信号線と、前記他方の中継手段と前記第2の接続手段とを介して前記他方の中継手段が中継する認識信号線に接続され、かつ、前記一方の中継手段と前記第1の接続手段とを介して前記一方の中継手段が中継する出力信号線に接続される第2の信号線とを含む接続ケーブルを備えたことを特徴とする請求項1に記載の通信インタフェース装置の検査用接続装置。
- 通信インタフェース装置の検査用接続装置であって、
前記通信インタフェース装置は、
コンピュータで用いられる通信インタフェースの作動を検査するために認識信号を出力しかつ前記認識信号を入力させると共に、前記認識信号を含む複数の入出力信号を制御することにより前記通信インタフェースを制御する制御手段と、
前記制御手段の複数入出力信号の各々を伝送するための複数の信号線であって、前記認識信号を出力伝送する出力信号線及び前記認識信号を入力伝送する認識信号線を含む前記複数の信号線を備え、かつ前記複数の信号線の各々を複数に分離する分離手段と、
各々互いに異なる分離された前記認識信号線および前記出力信号線の組を外部装置に中継するための複数の中継手段とを含み、
前記検査用接続装置は、
前記通信インタフェース装置に含まれる2つの中継手段に対して、一方の中継手段が中継する認識信号線と他方の中継手段が中継する出力信号線とを電位降下手段を介在させて接続し、かつ、前記一方の中継手段が中継する出力信号線と前記他方の中継手段が中継する認識信号線とを電位降下手段を介在させて接続する接続手段を備えた、通信インタフェース装置の検査用接続装置。 - 前記接続手段は、前記一方の中継手段に接続するための第1コネクタと、前記他方の中継手段に接続するための第2コネクタとを備え、前記一方の中継手段と前記第1コネクタとを介して前記一方の中継手段が中継する認識信号線に接続され、かつ、前記他方の中継手段と前記第2コネクタとを介して前記他方の中継手段が中継する出力信号線に接続される第1の信号線と、前記他方の中継手段と前記第2コネクタとを介して前記他方の中継手段が中継する認識信号線に接続され、かつ、前記一方の中継手段と前記第1コネクタとを介して前記一方の中継手段が中継する出力信号線に接続される第2の信号線とを含む特定接続手段とを備えたことを特徴とする請求項3に記載の通信インタフェース装置の検査用接続装置。
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