特許文献1,2が提案する技術によれば、プレカット加工データの設計作業を大幅に改善することができる。しかし、例えば特許文献2が出力する金物取付配置図や金物取付図だけでは、継手・仕口部分の設計が正しく行われているか否かを容易に判断できない場合があるという問題があった。
特許文献3,4が提案するパース等の三次元表示は、設計者にとって有効な情報となる。しかしながら、全体の構造材の配置密度等を把握するのには適していても、構造材同士の連結部分を特定してチェック等を行う場合には、却って表示が複雑でチェック等の作業がやり難いという問題がある。
そこで、本発明は、木造家屋の設計に当たり、必要な部分の設計結果を容易にチェックすることができる様にすることを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明のCADデータ表示装置は、住宅の構造材の配置を設計するCADによって設計された構造材の配置情報を記憶しているCADデータ記憶手段と、ディスプレイ画面に表示すべき住宅の階層を指定する階層指定手段と、該階層指定手段の指定した階層の構造材の配置情報を前記記憶手段から読み出して平面図として表示する平面図表示手段とを備え、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1−1)前記平面図表示手段の表示している平面図中で立体表示すべき範囲を指定する範囲指定手段を備えていること。
(1−2)前記平面図表示手段が表示している平面図中で、前記範囲指定手段によって指定された範囲に含まれる構造材を特定する構造材特定手段を備えていること。
(1−3)前記構造材特定手段が特定した構造材について、前記範囲指定手段の指定した範囲の最外面上に表れるべき切断面の情報を算出する切断面算出手段を備えていること。
(1−4)前記構造材特定手段によって特定された構造材について、前記CADデータ記憶手段の記憶している構造材の配置情報と前記切断面算出手段の算出した切断面の情報とに基づいて、前記範囲指定手段によって指定された範囲内の構造材については立体的な画像として表示し、当該範囲外の構造材については前記階層指定手段によって指定された階層面での平面的な画像として表示する三次元画像表示手段を備えていること。
(1−5)前記三次元画像表示手段の表示している画像を対象として、少なくとも、回転・拡大・縮小をした状態の画像を表示させる編集表示手段を備えていること。
(12−1)前記CADデータ記憶手段が、継手・仕口に関わる情報として金物の取り付け位置と種類とを特定する情報を記憶していること。
(12−2)前記CADを用いて住宅の設計を行う際に継手・仕口として採用し得る金物の種類と寸法・形状とを対応させた金物データを記憶している金物データ記憶手段を備えていること。
(12−3)前記CADデータ記憶手段の記憶している一軒の住宅の設計データに含まれる継手・仕口に関わる情報を読み出して、当該住宅に使用される金物が三次元空間内で占める範囲を算出する金物占有範囲算出手段を備えていること。
(12−4)前記CADデータ記憶手段の記憶している一軒の住宅の設計データに含まれる構造材の情報を読み出して、当該住宅に使用される構造材が前記三次元空間内で占める範囲を算出する構造材占有範囲算出手段を備えていること。
(12−5)前記三次元空間内において、金物同士及び金物と構造材の占有範囲が重なった場合にエラーとするか否かを判定するためのエラー判定条件を記憶している金物エラー判定条件記憶手段を備えていること。
(12−6)前記金物占有範囲算出手段の算出結果と前記構造材占有範囲算出手段の算出結果とを読み出して、前記一軒の住宅の設計データに含まれる金物同士、金物と構造材の占有範囲とが重なっているか否かをチェックし、重なっている場合はさらに前記金物エラー判定条件記憶手段の記憶しているエラー判定条件に該当するか否かを判定する金物エラー判定手段を備えていること。
(12−7)前記金物エラー判定手段の判定結果をリスト表示する金物エラーリスト表示手段を備えていること。
(12−8)前記金物エラーリスト表示手段の表示したリストから画面表示させるエラー発生箇所を指定するエラー発生箇所指定手段を備えていること。
(12−9)前記エラー発生箇所指定手段によって画面表示の対象として指定されたエラー発生箇所の周囲所定範囲を、前記範囲指定手段によって指定される範囲とするエラーチェック時表示範囲指定手段を備えていること。
(12−10)前記三次元画像表示手段は、前記エラーチェック時表示範囲指定手段によって範囲指定がなされたときは、前記三次元画像として表示する画像の内、前記金物エラー判定手段によってエラーと判定された金物及び構造材をエラーと判定されなかった金物及び構造材とは表示態様を異ならせて表示する手段として構成されていること。
上記(1−1)〜(1−5)の構成を採用した本発明のCADデータ表示装置によれば、多数の横架材や柱材などによって構成される住宅の構造の一部を、範囲指定手段によって指定し、当該範囲内についてだけ立体的な表示とすることができる。ここで、建築用CADでは、平面図、立面図等の二次元表示と、パース図の様な三次元表示とを切り替えたり、別ウインドウで表示可能としたものがある(特許文献3など)。しかし、こうした従来の装置では、三次元画像を表示するとき、建物の構造の全部が三次元表示とされることから、オペレータが注目しようとした部位を把握し難い。これに対し、本発明のCADデータ表示装置によれば、オペレータが注目しようとして指定した範囲だけを立体的な画像とし、その範囲外の部分は平面的な画像のままとすることで、注目箇所を把握し易いという作用・効果が発揮される。
即ち、本発明によれば、三次元画像が表示されたときに、オペレータが注目しようとした箇所を正しく指定できているか否かは、その他の部分の二次元的な表示の画像との位置関係から、直ちに判明する。そして、注目すべき箇所を正しく特定できたら、その後は、編集表示手段を操作して、回転・拡大・縮小等を行い、注目箇所の構造の確認をすることができる。なお、本発明において構造材とは、主として、横架材、柱材等の骨組みに関係する材をいうが、壁材等のパネルも構造材に含めて構わない。
同じく上記目的を達成するためになされた本発明のCADデータ表示装置は、住宅の構造材の配置を設計するCADによって設計された構造材の配置情報を記憶しているCADデータ記憶手段と、ディスプレイ画面に表示すべき住宅の階層を指定する階層指定手段と、該階層指定手段の指定した階層の構造材の配置情報を前記記憶手段から読み出して平面図として表示する平面図表示手段とを備え、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(6−1)前記平面図表示手段の表示している平面図中で立体表示すべき範囲を指定する範囲指定手段を備えていること。
(6−2)前記平面図表示手段が表示している平面図中で、前記範囲指定手段によって指定された範囲に含まれる構造材を特定する構造材特定手段を備えていること。
(6−3)前記構造材特定手段が特定した構造材について、前記範囲指定手段の指定した範囲の最外面上に表れるべき切断面の情報を算出する切断面算出手段を備えていること。
(6−4)前記構造材特定手段によって特定された構造材について、前記CADデータ記憶手段の記憶している構造材の配置情報と前記切断面算出手段の算出した切断面の情報とに基づいて、前記範囲指定手段によって指定された範囲内の構造材を、前記平面図表示手段の表示領域と別に設けられる三次元表示領域に立体的な三次元画像として表示する三次元画像表示手段を備えていること。
(6−5)前記三次元画像表示手段の表示している画像を対象として、少なくとも、回転・拡大・縮小をした状態の画像を表示させる編集表示手段を備えていること。
(6−6)前記平面図表示手段は、前記範囲指定手段が指定した範囲を前記平面図に重ねて表示する手段として構成されていること。
(12−1)前記CADデータ記憶手段が、継手・仕口に関わる情報として金物の取り付け位置と種類とを特定する情報を記憶していること。
(12−2)前記CADを用いて住宅の設計を行う際に継手・仕口として採用し得る金物の種類と寸法・形状とを対応させた金物データを記憶している金物データ記憶手段を備えていること。
(12−3)前記CADデータ記憶手段の記憶している一軒の住宅の設計データに含まれる継手・仕口に関わる情報を読み出して、当該住宅に使用される金物が三次元空間内で占める範囲を算出する金物占有範囲算出手段を備えていること。
(12−4)前記CADデータ記憶手段の記憶している一軒の住宅の設計データに含まれる構造材の情報を読み出して、当該住宅に使用される構造材が前記三次元空間内で占める範囲を算出する構造材占有範囲算出手段を備えていること。
(12−5)前記三次元空間内において、金物同士及び金物と構造材の占有範囲が重なった場合にエラーとするか否かを判定するためのエラー判定条件を記憶している金物エラー判定条件記憶手段を備えていること。
(12−6)前記金物占有範囲算出手段の算出結果と前記構造材占有範囲算出手段の算出結果とを読み出して、前記一軒の住宅の設計データに含まれる金物同士、金物と構造材の占有範囲とが重なっているか否かをチェックし、重なっている場合はさらに前記金物エラー判定条件記憶手段の記憶しているエラー判定条件に該当するか否かを判定する金物エラー判定手段を備えていること。
(12−7)前記金物エラー判定手段の判定結果をリスト表示する金物エラーリスト表示手段を備えていること。
(12−8)前記金物エラーリスト表示手段の表示したリストから画面表示させるエラー発生箇所を指定するエラー発生箇所指定手段を備えていること。
(12−9)前記エラー発生箇所指定手段によって画面表示の対象として指定されたエラー発生箇所の周囲所定範囲を、前記範囲指定手段によって指定される範囲とするエラーチェック時表示範囲指定手段を備えていること。
(12−10)前記三次元画像表示手段は、前記エラーチェック時表示範囲指定手段によって範囲指定がなされたときは、前記三次元画像として表示する画像の内、前記金物エラー判定手段によってエラーと判定された金物及び構造材をエラーと判定されなかった金物及び構造材とは表示態様を異ならせて表示する手段として構成されていること。
上記(6−1)〜(6−6)の構成を採用した本発明のCADデータ表示装置は、二次元表示と三次元表示を別ウインドウで表示するものであるが、三次元表示されているのは二次元表示されている平面図の全てではなく、範囲指定手段が指定した範囲だけである。よって、特許文献3などの従来の建築CADにおけるパース図の表示の様な煩雑な表示とならず、注目箇所を容易に把握することができる。一方、この様に一部のみを三次元表示するけれども、(6−6)の構成を備えているので、二次元表示において指定範囲が容易に把握できる。従って、作業中に電話等が入ってオペレータが作業を中断した様な場合においても、作業に戻ったときにどこをチェックしていたかが分からなくなるといったことがない。
また、上述した本願各発明では、(12−1)〜(12−10)の構成をも備えることにより、金物同士、あるいは金物と構造材の間に干渉が起こっているか否かを自動的にチェックすると共に、本発明の目的である一部分の三次元表示の機能により、当該干渉がどの様な状態なのかを容易に確認することができる。従って、金物又は構造材をどの程度どの方向に移動したら干渉しない状態になるかを直ちに判断することができる。
このエラーチェック機能を備えたCADデータ表示装置は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(13−1)前記金物エラー判定手段によるエラー判定を実施する際に、判定対象とする金物の種類及び構造部材の種類を指定するエラー判定対象指定手段を備えていること。
かかる構成を備えさせることで、エラーの発生可能性のないものをチェック対象から外すこともできる。もちろん、全部の金物及び構造部材をチェック対象としておいても構わない。
このCADデータ表示装置は、さらに、以下の構成をも備えるとよい。
(14−1)前記エラー判定対象指定手段によって判定対象に指定された金物の種類に応じて、当該金物を中心とする所定範囲内に存在する金物及び構造部材を前記エラー判定手段によるエラー判定の対象とするための該所定範囲を設定する判定対象選択条件設定手段を備えていること。
(14−2)前記エラー判定手段は、前記一軒の住宅の設計データの中から、前記エラー判定対象指定手段によって判定対象に指定された金物から一つを判定基準として設定し、該設定された判定基準の金物を中心として前記判定対象選択手段が設定している前記所定範囲内に存在する金物及び構造部材を特定し、該特定された金物及び構造部材と、前記設定した判定基準の金物との間で前記エラー判定を実施する処理を実施する手段として構成されていること。
(14−3)前記エラー判定手段は、(14−2)の処理を、前記エラー判定対象指定手段によって判定対象にされた金物の全てについて実施する様に構成されていること。
かかる構成を備えることにより、エラー判定においては金物を一つ設定してその周囲所定範囲内の金物及び構造部材とだけエラー判定条件に該当するか否かを判定するだけでよいことから、無駄な処理をしなくてよい。これにより、処理時間を短縮できる効果を発揮すると共に、無駄な処理をしないことによる誤判定防止効果も達成される。
また、これらのエラーチェック機能を備えたCADデータ表示装置は、さらに、以下の(15−1)及び(15−2)並びに(16−1)及び(16−2)の構成のいずれか又は両方を備えることができる。
(15−1)前記三次元画像表示手段が表示した継手・仕口を指定して、三次元画面の中で継手・仕口を移動させる継手・仕口移動手段を備えていること。
(15−2)前記継手・仕口移動手段が移動した継手・仕口について、移動後の位置座標に基づいて、前記CADデータ記憶手段の記憶内容を書き換える継手・仕口位置更新手段を備えていること。
(16−1)前記三次元画像表示手段が表示した継手・仕口を指定して、継手・仕口の種類を変更する継手・仕口種類変更手段を備えていること。
(16−2)前記継手・仕口種類変更手段によって種類が変更された継手・仕口について、変更後の種類の継手・仕口に、前記CADデータ記憶手段の記憶内容を書き換える継手・仕口種類更新手段を備えていること。
上記構成を備えることにより、エラーチェック機能を利用して判明したエラー箇所において、継手・仕口の移動、継手・仕口の種類の変更等によるCADデータの修正をビジュアルな操作で容易に実行することができる。
また、本発明のCADデータ表示装置は、さらに、以下の(17−1)及び(17−2)の構成を備えることができる。
(17−1)前記三次元画像表示手段が表示した構造材を指定して、構造材の寸法を変更する構造材寸法変更手段を備えていること。
(17−2)前記構造材寸法変更手段によって寸法が変更された構造材について、変更後の寸法に、前記CADデータ記憶手段の記憶内容を書き換える構造材寸法更新手段を備えていること。
上記構成を備えることにより、本発明の機能を利用して注目箇所をチェックした結果、構造材の寸法を変更した方がよいときは、CADデータの書換を容易に実行することができる。
本発明によれば、木造家屋の設計に当たり、必要な部分の設計結果を容易にチェックすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。第1実施形態のプレカット加工データ作成支援装置1は、図1に示す様に、CAD/CAMデータ作成プログラムがインストールされたハードディスク2を備えるパーソナルコンピュータ3と、ディスプレイ4と、キーボード5と、マウス6と、CD−ROMドライブ7と、FDドライブ8と、プリンタ9とを備えている。ハードディスク2には、CAD/CAMデータ作成プログラムがインストールされると共に、このプログラムを実行するために必要な各種情報がインストールされている。
ハードディスク2には、特開2005−165906、特開2005−165907、特開2005−165908、特開2005−165909及び特開2005−165918の実施形態として開示したCAD/CAMデータ作成プログラム及び当該プログラムを実行するための各種情報がインストールされている。
このCAD/CAMデータ作成プログラムを実行することにより、図2に示す様に、ディスプレイ4上において間取りを決定し、図3に示す様に、各階層の横架材及び柱材等の配置を示す伏図を作成することができる。
本実施形態では、さらに、金物工法における接合金物や在来工法における補助金物のデータベースもハードディスク2にインストールされている。この金物データベースには、金物の種類及び型番と、その形状・寸法に関するデータとが記憶されている。設計者は、横架材及び柱材の配置を決定した後、各構造材同士の金物の種類及び型番を決定し、継手・仕口データとして入力する。
これにより、CAD機能による構造材の配置及び金物の決定がなされ、その結果は、CADデータとしてハードディスク2の記憶領域に記憶される。
このCADデータは、住宅を構成する構造材の名称、構造材の種類、両端の三次元位置座標、端部の加工の種類、金物の種類及び型番と三次元位置座標からなり、ハードディスク2に記憶される。
以上の様にしてCAD機能を用いて設計された後、図4に示す様に、チェックすべき階層を指定して伏図を表示させ、チェックする箇所の中心点を指定すると、切り出しボックス10が表れる。本実施形態では、この切り出しボックス10として、オペレータが指定した点を中心とする所定寸法の立方体を採用している。なお、この立方体の寸法は、デフォルト値から任意に変更することができる。
この後、CADプログラムの備えている三次元表示エンジンを作動させ、図5に示す様に、切り出しボックス10内に含まれる構造材については立体的な画像として表示し、切り出しボックス10の外の構造材については、当該階層面での平面的な画像として表示する。但し、この平面的な画像も、本実施形態では、高さ方向のボリュームを無視しているだけであって、データ自体は三次元座標データに基づいている。
図5は、既に画像を回転させた状態を示しており、指定されている階層において、切り出しボックス10に含まれる部分の構造材については、切り出しボックス10の最外面を切断面とするソリッドな三次元画像として表示され、それ以外の部分は、階層面の高さの位置座標に基づいて、回転後の位置座標を決定した平面的な画像として表示される。
そして、三次元表示エンジンの機能により、拡大を指令すると、図6に示す様に、切り出しボックス10の範囲内を拡大して確認することができる。図示の様に、切り出しボックス10の範囲内に存在する金物21,22は、三次元形状の画像としてその構造材への取付位置に画像表示される。このとき、木口面に設けられる金物22は、図示の様に、構造材の切断面からはみ出す部分だけが表示される。金物のデータとしては、形状全体の情報を持っているが、構造材の内部に組み込まれた部分は構造材のソリッドモデルを前面に表示することで隠してしまうのである。また、金物22は、図6において表示されている部分は、本来は切り出しボックス10の外に位置するのであるが、構造材の様に切り出しボックス10の最外面で切断することなく表示する。
次に、上記機能を達成するための表示プログラムの内容について、図7〜図9のフローチャートに基づいて説明する。この表示プログラムは、CAD装置により住宅の構造設計が完了している状態で起動し、表示対象の住宅の指定を要求する(S10)。この要求に対して、オペレータが住宅を指定すると(S10:YES)、続いて、表示すべき階層の指定を要求する(S20)。この要求に対してオペレータが、表示すべき階層を指定すると(S20:YES)、ハードディスク2のCADデータ記憶領域から表示対象の住宅の表示対象の階層のデータを読み出し(S30)、当該住宅の当該階層の構造材の配置を平面図として表示する(S40)。先に示した図3は、ある住宅の2階の階層を指定して平面図を表示させた状態である。
この状態において、表示プログラムは、オペレータが立体表示すべき箇所を指定するのを待つ(S50)。オペレータは、マウス6を操作して、例えば、図4に示した様に、画面上の点を指定して立体表示を指令すると、マウス6によって指定された点の位置座標を中心とする切り出しボックス10の8つのコーナーの位置座標を演算し(S60)、この演算結果に基づいて、切り出しボックス10内に含まれる構造材を特定する(S70)。
ここで、切り出しボックス10内に含まれるとは、全部が含まれるものと一部が含まれるものの両方を意味する。こうして切り出しボックス10内に含まれている構造材を特定したら、さらに、切り出しボックス10の最外面と交差する構造材を特定する(S80)。
ここで、画面上には、図3に示す様に平面図が表示されているけれども、S30のデータ読み出しでは、例えば、2階から上方に伸びる柱については、データとしてはその上端の位置座標も読み出されている。従って、S80の処理では、横架材だけでなく、柱材についても切り出しボックス10の最外面と交差する構造材としての特定が行われる。また、S70,S80の処理では、図3の平面図に表示されている横架材及び柱材以外の構造材も判定対象となる。例えば、切り出しボックス10が窓を含む様な指定がなされた場合は、表示されている階層より上方に位置する窓台も切り出しボックス10内に一部でも含まれていれば含まれる構造材として特定され、切り出しボックス10と交差する場合は、交差する構造材としての特定もなされる。
次に、切り出しボックス10の最外面と交差する構造材として特定したものについて、当該交差した面で切断した切断面の位置座標を算出する(S90)。続いて、S80で特定した構造材の全てについて、切り出しボックス10の最外面と交差しないものはCADデータそのままのソリッドモデルとして、一方切断面の位置座標が算出された構造材については、当該切断面を端部とするソリッドモデルとして立体画像データを生成する(S100)。
続いて、切り出しボックス10内に含まれる金物を特定する(S110)。この金物の特定も、表示対象として指定された住宅のCADデータに基づいて実施される。即ち、CADによる設計が完了した状態においては、金物についても、取付位置や取付方向等が座標データとして特定し得る状態になっているのである。
こうして切り出しボックス10内に含まれる金物を特定したら、これらについてもソリッドモデルの立体画像データを生成する(S120)。そして、金物の立体画像データと、先に生成した構造材の立体画像データとをディスプレイ4に表示する(S130)。このとき、構造材と金物の立体画像の座標が重なる場合は、構造材が前面側となる様に表示する。従って、構造材の端部に設けられる金物は、端部から飛び出している部分だけが画像として表示される。そして、切り出しボックス10内に存在していても、構造材と構造材の内部に埋設された状態となる金物は表示されない。
こうして立体画像を表示しても、オペレータが回転を指示しないままだと、図4に示す様に、平面図と大差ない表示状態となる。しかし、オペレータがマウス操作によって回転を指示すると(S140→S150)、三次元表示エンジンの機能により、指令された方向に指令された角度だけ立体画像の回転が行われる(S160)。このとき、切り出しボックス10内に含まれる画像はソリッドモデルの立体画像として回転表示され、切り出しボックス10の外に位置する表示対象階層の構造材は、恰も平面図のままの状態で回転表示される(図5参照)。これは、図3,図4は平面図として見えるものの、実際には、CADデータにおいて階層面までの高さデータが存在していることから、切り出しボックス10を土星と考えたときの土星の輪の様に回転表示されるのである。
また、オペレータがマウス操作によって移動を指令した場合は(S140→S152)、指令された方向に指令された量だけ画像を移動させる(S162)。さらに、オペレータがマウス操作によって拡大を指令した場合は(S140→S154)、指令された拡大率に基づいて画像を拡大し(S164)、逆に、縮小を指令した場合は(S140→S156)、指令された縮小率に基づいて画像を縮小する(S166)。これらは、三次元表示エンジンとして一般的に知られている機能である。一般の三次元エンジンと異なるのは、切り出しボックス内だけがソリッドモデルとして表示され、切り出しボックス外は指定された階層面の線図として表示されている点である。この様な表示態様を取ることにより、図5に示した様に、チェック箇所を正しく指定していることの確認が容易に実施でき、特に、その後、図6に示す様に、拡大して細部を表示させる際に混乱を生じない。
また、回転・移動・拡大・縮小等の操作を経て、オペレータがマウス操作によって金物編集を指令したときは(S170)、金物編集ルーチンを起動する(S200)。
金物編集ルーチンでは、オペレータによる金物の指定を待ち(S210)、マウスクリック等の操作によって金物が指定されたら(S210:YES)、次に、マウスドラッグによって指定された金物について移動が指令されたか、あるいはマウス右クリックによって金物の変更が指令されたかを判定する(S220,S230)。
金物の移動が指令されたときは(S220:YES)、マウスのドラッグ方向及びドラッグ量に基づいて、指定された金物の画像を移動する(S240)。そして、位置決定が指令されたら(S250:YES)、CADデータにおける当該金物の取付位置情報を移動後の新たな座標データに基づいて更新する(S260)。
また、金物の変更が指令されたときは(S230:YES)、指定された金物と同種の金物として選択可能な金物リスト一覧を表示する(S270)。このとき、現在の金物の欄をブリンクや色違い表示などによって分かりやすく表示する。そして、オペレータが金物リスト一覧から金物を選択するのを待ち(S280)、選択がなされたら、金物リスト一覧を消して立体画像表示の状態に戻すと共に(S290)、新たに選択された金物のデータに基づいて、金物の画像を変更する(S300)。そして、決定が指令されたら(S310:YES)、CADデータにおける当該取付位置の金物の種類を新たに選択されたものへと更新する(S320)。
なお、他の階層への表示の変更が指令されたときはS30へ戻り(S330)、チェック箇所の変更が指令されたときはS60へ戻り(S340)、住宅の変更が指令されたときはS20へ戻る(S350)。そして、終了が指令されたときは、本プログラムを終了する(S360)。
以上説明した様に、本実施形態によれば、多数の横架材や柱材などによって構成される住宅の構造の一部を、指定した点を中心とする所定の範囲内についてだけ立体的な表示とすることができる。しかも、このとき、画面を切り替えたり、別ウインドウでの表示ではなく、同じ画面において、指定した範囲内だけソリッドモデルとし、当該範囲外については高さ方向の厚さを無視した階層面の線図のみとしているので、注目箇所を把握し易い。
即ち、三次元画像が表示されたときに、オペレータが注目しようとした箇所を正しく指定できているか否かは、その他の部分の二次元的な表示の画像との位置関係から、直ちに判明する。そして、注目すべき箇所を正しく特定できたら、その後は、回転・移動・拡大・縮小等を行い、注目箇所の構造の確認をすることができる。
また、この際に、金物の位置や種類が適切であるか否かをも容易に確認することができる。特に、構造材は切り出しボックス10との交差部分で切断して見やすくする一方、金物は切り出しボックス10との交差部分で切断することなく表示するという様に、構造材の表示方法と継手・仕口の表示方法を変えていることにより、継手・仕口の確認が容易になっている。
さらに、注目箇所をチェックした結果、継手・仕口を移動させた方がよかったり、継手・仕口の種類を変更した方がよいという場合に、CADデータの書換を、ビジュアルな操作で容易に実行することができる。
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態のプレカット加工データ作成支援装置31は、図11に示す様に、CAD/CAMデータ作成プログラムがインストールされたハードディスク32を備えるパーソナルコンピュータ33と、ディスプレイ34と、キーボード35と、マウス36と、CD−ROMドライブ37と、FDドライブ38と、プリンタ39とを備えている。ハードディスク32には、CAD/CAMデータ作成プログラムがインストールされると共に、このプログラムを実行するために必要な各種情報がインストールされている。
ハードディスク32には、特開2005−165906、特開2005−165907、特開2005−165908、特開2005−165909及び特開2005−165918の実施形態として開示したCAD/CAMデータ作成プログラム及び当該プログラムを実行するための各種情報がインストールされている。
このCAD/CAMデータ作成プログラムを実行することにより、第1実施形態において説明した様に、図2,図3に示した様に、ディスプレイ34上において間取りを決定し、各階層の横架材及び柱材等の配置を示す伏図を作成することができる。
本実施形態では、さらに、金物工法における接合金物や在来工法における補助金物のデータベースもハードディスク22にインストールされている。この金物データベースには、金物の種類及び型番と、その形状・寸法に関するデータとが記憶されている。設計者は、横架材及び柱材の配置を決定した後、各構造材同士の金物の種類及び型番を決定し、継手・仕口データとして入力する。
これにより、CAD機能による構造材の配置及び金物の決定がなされ、その結果は、CADデータとしてハードディスク32の記憶領域に記憶される。
このCADデータは、住宅を構成する構造材の名称、構造材の種類、両端の三次元位置座標、端部の加工の種類、金物の種類及び型番と三次元位置座標からなり、ハードディスク32に記憶される。
まず、本実施形態によって実現されるビューア機能をその表示画面と共に説明する。CAD機能を用いて構造部材の配置及び継手・仕口に用いる金物の種類、型番等を決定した後、当該設計の完了した住宅の設計データを指定し、さらに、チェックすべき階層を指定してビューアプログラムを起動する。
すると、図12に示す様なビューア画面40が開かれる。このビューア画面40は、左側約1/3の領域にチェックすべき階層の伏図が二次元画像として表示される伏図ウインドウ41と、その右側の約2/3の領域に三次元画像を表示するための三次元表示ウインドウ42とを備えている。
このビューア画面40の伏図表示ウインドウ41において、図13に示す様に、チェックする範囲を四角形の切り出し範囲43として指定する。すると、三次元表示エンジンが起動され、右側の三次元表示ウインドウ42に、切り出し範囲43に対応する三次元画像が表示される。このとき、演算処理によって、切り出しボックスが算出されている。この切り出しボックスは、オペレータが指定した切り出し範囲43を高さ方向中心位置とする直方体領域として算出される。この直方体領域を決定する高さ方向の値はデフォルト値として設定されている。
三次元表示エンジンは、切り出し範囲43を指定することによって定まる直方体(切り出しボックス)内に含まれる構造材及び金物を立体的なソリッドモデルの画像として表示する。なお、図13のビューア画面40は、切り出し範囲43を確定した直後の状態を示しており、三次元画像として切り出された部分も見た目は平面図となっている。
この三次元表示ウインドウ42内の画像表示は、三次元表示エンジンによって管理されるので、図14に示す様に、画像を回転させて斜視図の状態にすることもできる。また、図示を省略したが、拡大・縮小はもちろん、画面内での上下移動によって拡大したときの表示状態を変更するなどの各種編集表示を実行することができる。
また、ビューア画面40の三次元表示ウインドウ42内に示されている上矢印マーク44は、現在表示中の画像を特定する切り出しボックスを、一つ上の階層まで拡張する機能を起動するためのボタンである。同じく、ビューア画面40の三次元表示ウインドウ42内に示されている下矢印マーク45は、現在表示中の画像を特定する切り出しボックスを、一つ下の階層まで拡張する機能を起動するためのボタンである。さらに、ビューア画面40の三次元表示ウインドウ42内に示されている「透」マーク46は、現在表示中の画像を、ソリッドモデル表示からスケルトンモデル表示に切り替えるためのプログラムを起動するためのボタンである。
図14の状態から上矢印マーク44をクリックすると、図15に示す様に、切り出しボックスの垂直方向の範囲が一つ上の階層までの高さ分だけ上方に拡張された結果として三次元画像が切り出されて表示された状態となる。
一方、図14の状態から下矢印マーク45をクリックすると、図16に示す様に、切り出しボックスの垂直方向の範囲が一つ下の階層までの高さ分だけ下方に拡張された結果として三次元画像が切り出されて表示された状態となる。
また、図14の状態から「透」マーク46をクリックすると、図17に示す様に、ソリッドモデル表示では隠れていた背面側の線も表示される。なお、このとき、背面側の線であることが分かる様に、ソリッドモデルとして表示した場合の面は着色状態としたままで、この面の背面に背面側の線が透けて見える様な表示態様にしている。
また、この図17のスケルトン表示のときに、いずれかの構造材を指定してクリックすると図18に示す様に、指定された構造材51の色を変更する。また、構造材を指定してダブルクリックすると、図19に示す様に、当該構造材が消えた状態の表示に変更する。この結果、構造材の内部を貫通する様に取り付ける金物が最前画面として見える状態となる。この結果、図19の表示状態で三次元画像を回転させると、図20に示す様に、金物及び表示から消した構造材のホゾが嵌るホゾ穴がハッキリと見えた状態にすることができる。そして、この図20の状態で金物52を指定してダブルクリックすると、この金物を表示しない状態に変更することができる。この結果、図21に示す様に、前述のホゾ穴をしっかりと確認できる様になる。なお、これら表示から消された構造材や金物はデータとしては保持されており、三次元表示エンジンによる表示対象から除外されただけである。
なお、本実施形態では、屋根のある階層では、図22に示す様に、指定された範囲が含まれる屋根の傾斜面53と小屋裏の天井面54とを線図で表示する。これは、屋根の傾斜の方向に対して構造部材が正しく配置されていることを確認したり、小屋の収まり具合を確認したりスル際の便宜を図ったものである。
図23は、この屋根の階層のドーマーの辺りを範囲指定して切り出した三次元表示画面を回転し、拡大した様子を示している。前述の屋根の傾斜面及び天井面が表示されることで、回転操作を繰り返したとしても屋根面がどこであるかが分からなくなったりしない。
ここで、本実施形態では、屋根の構造についてチェックが必要な箇所は、図24に伏図表示ウインドウ41を拡大して示した様に、隅木やドーマーの辺りになることが多いことを考慮して、図中○印で示した様に、範囲指定を容易にするために予め、ドーマーや隅木の端部に屋根構造表示指定位置47を示してある。しかしながら、これらドーマー周辺部などだけでなくチェックしたい場合には、図25に示す様に任意の長方形範囲48で指定することにより、他の階層におけるチェックの場合と同様の機能を発揮することができる様になっている。
また、本実施形態では、さらに、干渉チェック機能が追加されている。この干渉チェック機能は、図26に示す様に、金物及び構造部材の名称リスト61においてチェックをしたもの同士が干渉しているか否かをチェックする機能である。なお、チェック対象は任意に設定できるが、デフォルトとしては全ての金物同士、金物と構造部材の間での干渉をチェックする様に設定されている。
図27は、この干渉チェック機能を用いて干渉が生じている箇所をチェックしている様子を示している。三次元表示ウインドウにおいて他の部材と色を変えて表示されているのが干渉を起こしている部品62,63である。
次に、以上の機能を達成するためにインストールされているプログラムの内容を説明する。このプログラムは、CAD装置により住宅の構造設計が完了している状態で起動すると、まず、図28に示す様に、表示すべき住宅の指定を要求する(S510)。この要求に対して、オペレータが表示すべき住宅を指定すると(S510:YES)、続いて、表示すべき階層の指定を要求する(S520)。この要求に対してオペレータが、表示すべき階層を指定すると(S520:YES)、ハードディスク32のCADデータ記憶領域から指定された住宅の指定された階層のデータを読み出し(S530)、当該住宅の当該階層の構造材の配置を平面図(伏図)として表示する(S540)。
この状態において、表示プログラムは、オペレータが立体表示すべき箇所を指定するのを待つ(S550)。オペレータは、マウス36を操作して、図13の伏図表示ウインドウ41内に例示した様に、画面上に矩形の切り出し範囲を指定する。すると、切り出し範囲に指定された矩形の四隅の位置座標を算出する(S560)。そして、これら4点の位置座標のそれぞれについて、高さ方向の位置座標に所定値をプラスした上方の4点の位置座標と、所定値をマイナスした下方の4点の位置座標とを算出する(S565)。こうして算出された上方4点と下方4点の計8点の位置座標によって特定される直方体を切り出しボックスとして、当該切り出しボックス内に含まれる構造材を特定する(S570)。
ここで、切り出しボックス内に含まれるとは、全部が含まれるものと一部が含まれるものの両方を意味する。こうして切り出しボックス内に含まれている構造材を特定したら、さらに、切り出しボックスの最外面と交差する構造材を特定する(S580)。
このS570,S580の演算処理は、第1実施形態のS70,S80の演算処理と同じ処理である。
次に、切り出しボックスの最外面と交差する構造材として特定したものについて、当該交差した面で切断した切断面の位置座標を算出する(S590)。続いて、S580で特定した構造材の全てについて、切り出しボックスの最外面と交差しないものはCADデータそのままのソリッドモデルとして、一方切断面の位置座標が算出された構造材については、当該切断面を端部とするソリッドモデルとして立体画像データを生成する(S600)。
続いて、切り出しボックス内に含まれる金物を特定する(S610)。この金物の特定も、表示対象として指定された住宅のCADデータに基づいて実施される。即ち、CADによる設計が完了した状態においては、金物についても、取付位置や取付方向等が座標データとして特定し得る状態になっているのである。
こうして切り出しボックス内に含まれる金物を特定したら、これらについてもソリッドモデルの立体画像データを生成する(S620)。そして、金物の立体画像データと、先に生成した構造材の立体画像データとをディスプレイ34の三次元表示ウインドウ42に表示する(S630)。このとき、構造材と金物の立体画像の座標が重なる場合は、構造材が前面側となる様に表示する。従って、構造材の端部に設けられる金物は、端部から飛び出している部分だけが画像として表示される。そして、切り出しボックス内に存在していても、構造材と構造材の内部に埋設された状態となる金物は表示されない。
こうして立体画像を表示しても、オペレータが回転を指示しないままだと、図13の三次元表示ウインドウ42に示す様に、切り出した部分が上方から見た状態で、一見、伏図の一部が表示されているだけの様に見える。しかし、オペレータがマウス操作によって回転を指示すると(S640→S650)、三次元表示エンジンの機能により、指令された方向に指令された角度だけ立体画像の回転が行われる(S660)。
また、図29に示す様に、オペレータがマウス操作によって移動を指令した場合は(S640→S652)、指令された方向に指令された量だけ画像を移動させる(S662)。さらに、オペレータがマウス操作によって拡大を指令した場合は(S640→S654)、指令された拡大率に基づいて画像を拡大し(S664)、逆に、縮小を指令した場合は(S640→S656)、指令された縮小率に基づいて画像を縮小する(S666)。これらは、三次元表示エンジンとして一般的に知られている機能である。一般の三次元エンジンと異なるのは、切り出しボックス内だけがソリッドモデルとして表示されている点である。また、三次元表示ウインドウの左には、伏図表示ウインドウ41が、切り出しを指定した範囲が矩形の枠で表示されている。従って、例えば、途中で作業を中断した場合にも、伏図表示ウインドウ41を見れば、現在、チェックのために三次元表示ウインドウに表示しているのがどの辺りの構造であるかが容易に理解できる。
また、三次元表示ウインドウ42内に示されている上矢印マーク44をクリックすることにより(S640→S657)、現在表示中の構造材を一つ上の階層まで表示する上伸ばしルーチン(S700)が起動される。また、三次元表示ウインドウ42内に示されている下矢印マーク45をクリックすることにより(S640→S658)、現在表示中の構造材を一つ下の階層まで表示する下伸ばしルーチン(S800)が起動される。さらに、三次元表示ウインドウ42内に示されている「透」マーク46をクリックすることにより(S640→S659)、現在表示中の画像をソリッドモデル表示とスケルトンモデル表示の切り替えをする表示切替ルーチン(S900)が起動される。
上伸ばしルーチンでは、図30に示す様に、S565で決定した切り出しボックスの8点の位置座標の内、上の4点の位置座標に対して、階層間高さを加えた結果を上面とする切り出しボックスに変更する(S710)。そして、S570〜S600と同様に、この変更後の切り出しボックス内に含まれる構造材を特定し、切り出しボックスの最外面と交差する構造材については切断面の位置座標を算出し、切り出しボックスの最外面と交差しないものはCADデータそのままのソリッドモデルとして、一方切断面の位置座標が算出された構造材については、当該切断面を端部とするソリッドモデルとして立体画像データを生成する(S720〜S750)。
続いて、S610〜S630と同様に、S710で変更された後の切り出しボックス内に含まれる金物を特定すると共に、そのソリッドモデルの立体画像データを生成し、継構造材の立体画像データとをディスプレイ34の三次元表示ウインドウ42に表示する(S760〜S780)。
下伸ばしルーチンでは、図31に示す様に、S565で決定した切り出しボックスの8点の位置座標の内、下の4点の位置座標に対して、階層間高さを減じた結果を下面とする切り出しボックスに変更する(S810)。そして、S570〜S600と同様に、この変更後の切り出しボックス内に含まれる構造材を特定し、切り出しボックスの最外面と交差する構造材については切断面の位置座標を算出し、切り出しボックスの最外面と交差しないものはCADデータそのままのソリッドモデルとして、一方切断面の位置座標が算出された構造材については、当該切断面を端部とするソリッドモデルとして立体画像データを生成する(S820〜S850)。
続いて、S610〜S630と同様に、S810で変更された後の切り出しボックス内に含まれる金物を特定すると共に、そのソリッドモデルの立体画像データを生成し、継構造材の立体画像データとをディスプレイ34の三次元表示ウインドウ42に表示する(S860〜S880)。
表示切替ルーチンでは、図32に示す様に、現在の表示状態がソリッドモデル表示であるときは(S910:YES)、各構造部材の外形線が全て表示されたスケルトンモデルの表示に切り替える(S920)。一方、現在の表示状態がスケルトンモデル表示であるときは(S910:NO)、構造部材をソリッドモデルに戻す(S930)。なお、スケルトンモデル表示のときも金物はソリッドモデルで表示する。
また、本実施形態では、三次元表示ウインドウ42内に表示されている構造材及び金物(以下、「部品」という。)の中のいずれかが1回クリックされると(S671)、クリックされた部品の色を変更して目立たせる(S672)。また、ダブルクリックされた場合は(S673)、当該部品を非表示状態にする(S674)。
以上の様な処理を実施する結果、先に説明した図12〜図25に示した様なビューア表示が実施される。なお、屋根の階層を表示する場合は、上述した矩形で切り出し範囲を指定する方法の他に、図24に示した○印の箇所を指定することにより自動的に矩形の範囲を決定し、その矩形の範囲に基づいてS570以下の処理を実行させる方法も備えている。これは、住宅最上層の屋根の構造はほぼ同様の部材の組み方をするので、チェックすべき箇所も自ずと特定の部位になる場合が多いことから、範囲指定の手間を省くために備わった機能である。
なお、図33に示す様に、他の階層への表示の変更が指令されたときはS530へ戻り(S671)、チェック箇所の変更が指令されたときはS560へ戻り(S672)、住宅の変更が指令されたときはS520へ戻る(S673)。そして、終了が指令されたときは、本プログラムを終了する(S674)。
次に、金物同士、金物と構造材との干渉が発生しているか否かをチェックするためのエラーチェックプログラムについて説明する。図34に示す様に、このエラーチェックプログラムが起動されると、図26に示した様なチェック対象を特定するための名称リストを表示する(S1010)。この名称リストは、デフォルトとして全ての金物及び構造部材(以下、「部品」という。)をチェック対象としている。従って、チェック対象から除外したいときは、名称リストのチェックボックスのチェックマークを外すことができる。
チェック開始が指令されたら(S1020)、名称リストにおいてチェックマークが付されている部品を設計データから抽出すると共に(S1030)、三次元表示エンジンによってソリッドモデルとして把握されている部品毎の占有範囲を読み込む(S1040)。
次に、S1040で占有範囲を読み込んだ部品の中から、金物の一つを判定基準に設定する(S1050)。そして、この判定基準の金物を中心とする切り出しボックスを設定する(S1060)。この切り出しボックスは、金物の種類に応じて、当該金物のソリッドモデルの規準位置(例えば、重心)を原点とする直方体の領域として予め設定されている。こうして切り出しボックスが設定されると、この切り出しボックス内に含まれる部品を特定する(S1070)。次に、こうして特定した各部品と、判定基準の金物とを、それらの占有範囲同士を比較して、エラー判定条件に合致しているか否かを判定する(S1080)。
ここで、占有範囲同士が重なっているときはエラーと判定する。占有範囲同士が重なっていない場合であっても、占有範囲同士の間に、エラー判定条件としての空間を確保できない場合もエラーと判定する。なお、この方法は、占有範囲をソリッドモデルのボリューム自体とした場合の方法である。この方法の他に、金物については、そのネジ締め等のスペースを考慮して、ボリューム自体よりも大きな直方体あるいは球体などを占有範囲として設定しておくこともできる。この場合は、占有範囲同士が重なっているか否かがエラー判定条件となる。
こうしてエラー判定を実施した結果、エラーと判定された部品がある場合は、その判定結果をエラーリスト表示する(S1090)。このエラーリストは、判定基準の金物の名称と、当金物と干渉を起こすと判定された部品の名称とを一覧にしたもので、データ的には、判定基準の金物の規準位置(例えば、重心)を特定できる様になっている。従って、オペレータが、このエラーリストの中で確認しようとする行をクリックすると(S1100)、当該行の判定基準金物の規準位置を中心として、S1050と同様に切り出しボックスを設定し(S1110)、S570と同様に、当該切り出しボックス内に含まれる構造材を特定する(S1120)。
以下、S580〜S620と同様に、切り出しボックスと交差する構造材の切断面の位置座標を算出し、構造材の立体画像データを生成し、切り出しボックス内の金物を特定して立体画像データを生成する(S1130〜S1170)。そして、エラーリストの対象行において特定された部品については、判定基準金物を赤色のソリッドモデルとし、当該判定基準金物に対して干渉していると判定された部品を青色のソリッドモデルとして一目で分かる様にした状態で、S630と同様の三次元画像表示を実行する(S1180)。
この結果、図26に例示した様に、一目で干渉箇所を理解できる画像が表示される。これにより、干渉の状況を把握し、部品の位置をどの程度、どの方向に移動したら干渉を避けることができるかをイメージとして容易に認識することができる。
こうして干渉箇所を認識した後、図35に示す金物編集ルーチン(S1200)や、図36に示す構造材編集ルーチン(S1400)を起動して修正作業を実施することができる。
金物編集ルーチンでは、オペレータによる金物の指定を待ち(S1210)、マウスクリック等の操作によって金物が指定されたら(S1210:YES)、次に、マウスドラッグによって指定された金物について移動が指令されたか、あるいはマウス右クリックによって金物の変更が指令されたかを判定する(S1220,S1230)。
金物の移動が指令されたときは(S1220:YES)、マウスのドラッグ方向及びドラッグ量に基づいて、指定された金物の画像を移動する(S1240)。そして、位置決定が指令されたら(S1250:YES)、CADデータにおける当該金物の取付位置情報を移動後の新たな座標データに基づいて更新する(S1260)。
また、金物の変更が指令されたときは(S1230:YES)、指定された金物と同種の金物として選択可能な金物リスト一覧を表示する(S1270)。このとき、現在の金物の欄をブリンクや色違い表示などによって分かりやすく表示する。そして、オペレータが金物リスト一覧から金物を選択するのを待ち(S1280)、選択がなされたら、金物リスト一覧を消して立体画像表示の状態に戻すと共に(S1290)、新たに選択された金物のデータに基づいて、金物の画像を変更する(S1300)。そして、決定が指令されたら(S1310:YES)、CADデータにおける当該取付位置の金物の種類を新たに選択されたものへと更新する(S1320)。
構造材編集ルーチンは、構造材の指定を待ち、指定されたら寸法変更の入力を待ち、入力されたら当該構造材について寸法変更した画像を生成して表示し、決定入力を待って、CADデータ中の当該構造材の寸法データを更新する様にしたルーチン(S1410〜S1450)である。
以上説明した様に、第2実施形態によれば、多数の横架材や柱材などによって構成される住宅の構造の一部を、指定した範囲内についてだけ立体的な表示とすることができる。このとき、伏図及び指定した範囲を伏図表示ウインドウ41に表示しているから、作業を中断するなどした場合にも、どこをチェックしていたかを容易に知ることができる。
また、エラーチェック機能により、設計データの中の修正が必要な部分を特定し、これも部分的に切り出して三次元表示することで、どの様な干渉が起こっているかを容易に確認することができ、その修正方法を速やかに検討することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の態様にて実施することができる。
例えば、壁材等のパネルについても、切り出しボックス内に存在するものは切り出しボックスとの交差面で切断したソリッドモデルとして表示する様にしてもよい。
また、切り出しボックス内において、構造材と共に家具・調度品を線図等で重ねて表示したり、あるいは家具・調度品を立体画像で表示する様にしてもよい。この場合、家具・調度品の表示方法においては、金物の場合の様に、切り出しボックスの最外面との交差面で切断することなく表示するとよい。例えば、2階の洋室にピアノを置くという様な場合に、その位置の床の補強が十分であることを施主にビジュアルに表示するといった使用方法においても本発明の構造材の表示方法は有効である。
さらに、金物工法に限らず、在来工法の継手・仕口を実施形態において金物を表示したのと同様の手法で表示し、また、その位置やサイズの変更等をビジュアル操作で実施できる様にしても構わない。この場合、在来工法の継手・仕口は、継手・仕口の種類及びサイズ等に基づいてソリッドモデルとして描画可能なデータを準備しておき、金物と同様に、切り出しボックス10と交差しても切断しない様にしておくと分かりやすい。
加えて、実施形態では、切り出しボックスのサイズの指定について特に説明しなかったが、オペレータが切り出しボックスのサイズを任意に指定できる様にしてもよいことはもちろんである。また、立方体の切り出しボックスに限らず、本発明における範囲指定手段としては、直方体のボックスを用いてもよいし、球体とすることも否定するものではない。
また、第1実施形態においても、第2実施形態と同様に、構造材についても切り出しボックス10内に表示されたものの梁成を変更することができる様にしておいて、CADデータを書き換える様にしてもよい。この場合、マウス操作による入力ではなく、数値入力により、例えば、梁成を105mmから120mmに変更するといった操作にしておくとよい。金物の移動量についても、マウスドラッグではなく、数値入力によって移動量を指定する様にしてもよい。この場合、図10に示した様に、構造材の指定を待ち、指定されたら寸法変更の入力を待ち、入力されたら当該構造材について寸法変更した画像を生成して表示し、決定入力を待って、CADデータ中の当該構造材の寸法データを更新する様にした構造材編集ルーチン(S410〜S450)を表示プログラムとリンクさせておくとよい。