以下、本発明の実施の形態例を図面を参照しながら説明する。木製フラッシュ構造物設計装置は、専用ハードウェアから構成された装置であっても良いし、スタンドアロンのコンピュータ及びそれにインストールされた専用プログラムとから構成されていても良い。また、専用プログラムがインストールされたサーバに対し、クライアント端末がインターネット等のネットワークを介してアクセスして設計を行うクライアントサーバシステムにより構成されていても良い。いずれにせよ、木製フラッシュ構造物設計装置の具体的な形態は任意に選択することができる。以下では、木製フラッシュ構造物として建具の例を用いて、建具設計装置、建具設計方法について説明する。
次に、芯材配置を設計しようとする建具の例を図1に示す。図1の建具1は、向かって右側がヒンジ金具22により建築物に開閉自在に固定されるドアである。建具1の構成要素としては、全体の縦横の寸法、ガラスが嵌め込まれた窓10、複数の表板11と13とを組み合わせた境界線である板境界12、建具表面に設けられた溝である目地14、錠20ドアや取っ手21の金具類がある。もちろん窓が複数あるなど、図1に記載の無い構成要素をさらに含んでいても良い。また、建具外観の構成要素のデジタルデータがすでにある場合は、それをインターネットのようなネットワークや各種の記憶媒体を介して読み込むようにしても良い。以下、入力された建具の外観デザインデータに基づいて芯材配置を決定する建具設計方法を説明する。
図2は、建具設計装置で実行される建具設計方法の一連の処理の概略を示したフローチャートである。これに基づいて建具設計方法を説明する。建具設計処理が開始されると、まず建具外観の構成要素の入力を促す画面がディスプレイ上に表示される(S100ステップ)。画面中で建具の構成要素を選択入力し、必要な寸法や位置の情報を入力する。なお、ここでは建具の外周も建具の構成要素の1つと見なしている。画面は、一覧表形式で部材の種類、部材製品名、取付位置、必要な部材寸法等を入力するのでも良いし、グラフィカルインターフェイスにより、部材図形を画面上で選択、ドラッグ、寸法入力等の操作により入力するのでも良い。入力された構成要素のデータは、後述の外観構成要素データとして建具設計装置の記憶部に格納される。構成要素の入力が完了すると、続いて芯材設計に入る。
この例では、芯材設計は、基本芯材の配置(S200ステップ)、不要芯材の消去(S300ステップ)、補強芯材の配置(S400ステップ)、補助芯材の配置(S500ステップ)という4段階で行っている。まず、入力された構成要素から必要とされる基本芯材を建具外周に達するまで最大限に配置し、これらから一定の条件に従って不要な芯材を消去するようにする。そして、必要により一定の条件に従って補強芯材や補助芯材を配置する。このようなステップを経ることにより、様々な構成要素の組み合わせに対して、的確な芯材設計を行うことが可能になる。以下、各ステップにおける処理を具体的に説明する。
まず、基本芯材の配置処理(S200ステップ)をより具体的に示したフローチャートを図3に示す。処理が開始されると、上記の外観構成要素データと後述の芯材種別テーブルとに従って、まず建具外周に沿って外枠芯材が配置される(S210ステップ)。ここで外枠芯材と呼んでいるのは、建具全体の縦横寸法から規定される外周枠の全周に沿って定型的に配置される芯材を言う。図1に例示した建具1において、基本芯材の配置処理がなされた段階の芯材構造2の模式図を図5に示す(図5の平面内に平面座標系が設けられている。)。各芯材は建具の縦横方向に各辺が平行で、同じ細長い幅の長方形の図形で表され、複数の芯材が同じ平面座標位置に重複可能である。図5で上端芯材30、左端芯材31、下端芯材32、右端芯材33が外枠芯材に該当する。なお、各芯材はいずれも1本とするが原則であるが、下端芯材32に関してのみ強度上の要求から2本を積み重ねて配置する必要があり、図5でもそのようにあらかじめ設定されている。芯材配置状態のデータは後述の芯材配置データに格納される。
続いて、建具のその他の構成要素に対応して芯材を配置する。まず、窓10に対応して窓枠芯材40〜43を配置する(S220ステップ)。窓枠芯材としては、窓の外周に接して芯材を縦横方向に配置する部材データがあらかじめ後述の芯材種別テーブルに用意されている。窓枠芯材の部材データは、窓に対する芯材の配置位置を規定しているが、窓の縦横寸法に対応して横方向の芯材40、41の縦位置と、縦方向芯材42、43の横位置は可変である。また、各芯材の長さは特定されておらず、窓枠芯材40〜43が芯材構造中に配置されると、図5に示したように、各窓枠芯材の建具の外周の内側に位置する部分が有効となる。つまり、建具外周に達するまでの最大長さとなる部分が芯材として有効となる。
なお、ここにいう外周に達するとは、外枠芯材に窓枠芯材が結果的に接合される状態になれば良く、外枠芯材厚み分だけ窓枠芯材の先端が外周から内側に離れた位置まで配置されるのでも良く、必ずしも外周に直接達していなくとも良いことを意味する。以下の他の芯材でも同様である。
窓枠部材のデータ例25を図4(1)に示す。窓枠部材25は、窓10の大きさに対応して縦寸法aと横寸法bとが可変であるようにして、窓10に接する2本の縦方向芯材42、43と横方向芯材40、41とが組み合わされている。4本の芯材40〜43は、その幅と方向は一定であるが長さは任意である。
次に、板境界44と目地45に沿って、それぞれに窓枠芯材と同様に最大限の長さで芯材が配置される(S230ステップ)。板境界44とは、デザイン上の要請から建具の表板が複数組み合わされて用いられる場合に、異なる表板が接する境界部分を言う。板境界には、建具の強度上の要求から、板境界44の建具内部の同じ位置に芯材を配置する必要がある。そのため、板境界芯材として、板境界に沿って板境界と同じ位置に配置される部材データがあらかじめ後述の芯材種別テーブルに用意されている。板境界芯材の部材データは、板境界に対する芯材の配置位置を規定するだけで、芯材の長さは規定されておらず、板境界芯材44が芯材構造中に配置されると、図5に示したように、板境界芯材の建具の外周の内側に位置する部分が有効となる特性を有する。つまり、建具外周に達するまでの最大長さとなる部分が板境界芯材として有効となる。
板境界部材のデータ例26を図4(2)に示す。板境界部材は、板境界を長さ方向の中心とする長方形の部材であって、幅は一定で長さが任意であり、方向は縦方向又は横方向のいずれかである。図4(2)には縦方向で示している。他の部材に関しても窓枠部材や板境界部材と同様に、それぞれの構成要素に対して、どの位置にどの方向の芯材を設けるかがあらかじめ規定されている。
目地45は、板境界と同様にやはりデザイン上の要請から表板に設けられた溝であり、板境界の場合と同様に、目地と同じ平面位置の建具内部に芯材を配置する必要がある。目地芯材としては、板境界芯材の場合と同様にして芯材種別テーブルにあらかじめ用意されている。目地芯材の部材データの特性に関しても板境界芯材と同様である。
次に、錠20とドア取っ手21に対応する金具芯材46が配置される(S240ステップ)。金具芯材46としては、錠20とドア取っ手21とを包含して、金具芯材左右端のうち、建具外周に近い側の外周に接する位置に配置される部材データがあらかじめ後述の芯材種別テーブルに用意されている。金具芯材46の部材データは、芯材の縦横の寸法が規定された長方形であり、配置位置が指定可能になっている。
金具芯材46が配置されて、基本芯材の配置処理は終了する。配置された全部の芯材のデータは建具ごとに後述の芯材配置データに格納される。図5は、この段階の芯材構造2を表した図である。各芯材は、金具芯材46を除いて、建具外周に接するように長さ方向の最大長さに設定されている。また、各芯材は互いに交点で交差し、部分的に重複した状態にある。なお、芯材のある交点からそれに隣接する交点までの部分を芯材部分と呼ぶことがある(交点自体は除く)。
このように建具を構成する構成要素に基づいて、まず外周に至るまでの最大限の長さで各芯材を配置するので、芯材の量の不足や長さの不足による建具の力学的な構造欠陥が生じにくい。また、各構成要素ごとに芯材を配置すべき位置があらかじめ特定されているので、それぞれの構成要素を支えるために必要な芯材が不足なく配置可能となる。
次に、このような基本芯材が配置された芯材構造2から、芯材の重複部分の解消と不要部分の消去とを行う除去処理(S300ステップ)を行う。除去処理は大きく分けて2つのステップからなる。これを図6のフローチャートに示す。最初のステップは、芯材どうしの交点や外枠芯材と金具芯材との重複部分のように複数の芯材が同じ平面座標位置に重複している部分で、いずれの芯材が優先されるかを決定して芯材の重複を解消する処理である(S310ステップ)。この処理の詳しいフローを図7のフローチャートで示す。
処理が開始されると、各芯材の占める座標に基づいて複数の芯材が重複している部分を検索する(S311ステップ)。いずれかの重複部分が検索された場合は、フローは下に分岐してその重複部分を占める複数の芯材の優先度を比較する(S312ステップ)。ここで、優先度は、後述する芯材種別テーブルに、各芯材がS200ステップで配置処理された際の構成要素に基づいてあらかじめ定められて格納されている。優先度の設定は、建具にとって構造上重要と判断される芯材を優先するように設定されており、例えば、この例では、外枠芯材が最優先であり、次いで金具芯材、板境界芯材(以下、続く)の順で優先されるように設定されている。重複している芯材の優先度を比較して差異がある場合は、フローは下に分岐して、芯材の優先度が高い芯材を優先するように重複部分を処理する(S313ステップ)。この処理を図8を用いて説明する。
図8(1)は、図2の芯材構造2における上端芯材30と窓枠芯材42の交点部分を拡大した図である。上端芯材30と窓枠芯材42は、それらの交点である重複部分50で重複している。検索により重複部分50が検索されると、重複部分を占める両方の芯材の優先度が比較される。すると、上端芯材30は外枠芯材であるから窓枠芯材42より優先度が高い。そのため、重複部分50では上端芯材30が優先するフラグが立てられ、図8(2)に示した状態となる。これで重複部分50が実質的に解消される。
一方、S312ステップで優先度を比較したが差異が無い場合、つまり同じ優先度である場合は、フローは右に分岐して、縦優先又は横優先を設定した事前の選択に基づいて優先処理を行う(S314ステップ)。ここで、縦優先とは交差している芯材のうち、縦方向に長い芯材を優先して交点で連続させて横方向の芯材は交点で分割することを意味し、横優先とは交差している芯材のうち、横方向に長い芯材を交点で優先して連続させ、縦方向芯材は交点で分割することを意味する。いずれを用いるかは、全体処理が開始した際に後述の縦横パターンテーブルから入力された設定に従って行うことができる。この処理の例を図9を用いて説明する
図9(1)は、図5の芯材構造2における上端芯材30と左端芯材31との交点部分を拡大した図である。上端芯材30と左端芯材31は、それらの交点である重複部分51で重複している。検索により重複部分51が検索されると、重複部分を占める両方の芯材の優先度が比較される。すると、上端芯材30も左端芯材31も共に外枠芯材であるから優先度は同じで差異がない。そのため、縦優先か横優先かによりいずれを優先するかが判断されることになる。図9(2)は、横優先が設定されている場合の処理結果を示す。重複部分51では横方向に長い芯材である上端芯材30が優先する処理がなされている。これで重複部分51が実質的に解消される。
S313ステップまたはS314ステップの重複部分に対する優先処理がなされると、フローはS311ステップに戻り、優先処理がなされていない次の重複部分が検索される。全部の重複部分に対して優先処理がなされ、新たな重複部分が検索されない場合、フローは右に分岐して処理が終了する。図5に例示した芯材構造2に対して、図7のフローによる優先処理がなされた結果の芯材構造3を図10に示す。芯材の各交点や重複部分が、優先度と横優先の設定により解消されていることがわかる。
次に、図10の芯材構造3では、建具を構成する全部の構成要素に対応する全部の芯材が最大限に配置されたままであるため、構造上過剰な芯材配置が行われていることになる。そのため、構造上不要と判断される芯材部分を消去する処理(図6のS320ステップ)を行い、芯材量を減らして建具を軽量化すると共に建具作製の手間を減らす。芯材の消去は、芯材交点と芯材交点とに挟まれ、芯材交点を含まない芯材部分を単位として行う。
ここで、芯材消去処理で用いる「空間」の概念について説明する。図10の芯材構造3では複数の芯材が縦横に配置されているが、これらの芯材に周囲を囲まれており内部に芯材を有さない多角形を「空間」と呼ぶ。ただし空間には、窓の部分を含まない。窓の内側はガラスが入るため芯材が配置できず、かつ窓周囲の芯材部分は構造上の必要性から消去できないことによる。また、金具芯材は無視して空間を認識する。これは金具芯材の部分には消去できる芯材部分が無いことによる。この前提で、図10の芯材構造3では、いずれの空間も長方形をなしていることがわかる。これから空間だけを抽出した模式図を図11に示す。図11には、芯材構造3に基づいて、窓10等の部分を除き、建具の平面が様々な大きさの空間71〜85に分割された状態が示されている。この図11に対応するデータは、後述の空間データに格納される。この空間概念を用いて、十分な建具強度を維持したまま、不要な芯材を消去することができる。
空間の概念を用いて行う芯材消去処理の詳しいフローを図12に示す。処理が開始されると、まず、芯材構造に含まれる空間を認識し(S321ステップ)、次いで、それぞれの空間の面積を演算する(S322ステップ)。これらの空間のデータは後述の空間データに格納される。
次に、これらの空間のうちで、面積が最小の空間を1つ選択し、空間データの該当部分に選択済みフラグを立てる(S323ステップ)。最小の空間を選択するのは、最小の空間を囲む芯材部分は芯材の配置密度が最も高い部分であるから、それらの芯材部分の中に不要な芯材部分が存在する確率が最も高いからである。続いて選択された空間に隣接する空間を1つ選ぶ(S324ステップ)。隣接空間が複数ある場合は、選択空間に対してあらかじめ定めた位置の空間を最初に選ぶように設定しておき、その空間がすでに選ばれているかまたは存在しない場合に、時計回り又は反時計回りに順番に選ぶようにしても良い。または、単にランダムに選ぶようにしても良い。
次に、選択空間と隣接空間とを仕切る芯材部分に着目して、その芯材部分が必須であるか否かを判断する(S325ステップ)。必須であるか否かは、着目する芯材部分が建具のいずれかの構成要素と直接的な位置関係が有るか否かによって判断される。具体的には、芯材部分ごとに、各構成要素との関係と必要度とを格納した後述の必要度テーブルにより判断される。必要度テーブルには、例えば、外周に接している芯材部分や窓に直接接している芯材部分または目地と同じ位置にある芯材部分等の、いずれかの構成要素に直接的な位置関係がある芯材部分に関しては必須とするデータが、また、いずれかの構成要素に基因して配置されたものの、いずれの構成要素に接したり同じ平面位置であったりするような直接的な位置関係がない芯材部分に関しては任意とするデータが格納されている。このように、芯材部分ごとに必須か否かを判断するので、不要な芯材部分を的確に消去することが可能になる。
着目する芯材部分が必要度テーブルを参照して必須ではない(任意)と判断された場合、フローはS325ステップから下に分岐し、選択空間と隣接空間とが合体して構成される合体空間が長方形をなすか否かが判断される(S326ステップ)。このような判断を行うのは、合体空間が長方形ではない多角形となる場合は、そのような形状が力学的に不安定で建具の強度を低下させる原因となり易いため、そのような多角形の発生を防止するためである。合体空間が長方形となる場合には、フローは下に分岐して選択空間と隣接空間との間を仕切る芯材部分が消去され、選択空間と隣接空間とが合体して新たな空間を形成する(S327ステップ)。その際、この芯材部分の消去を反映するように、芯材配置データと空間データと後述の芯材部分データとが書き換えられる。なお、新しく生まれた合体空間に関しては、空間データの選択済みフラグは空白のままとするから、その後に合体空間がさらに隣接する空間と合体することも可能となる。
続いて、空間データに格納された全部の空間について、選択済みフラグが立っているか否か、すなわち全部の空間について選択がなされたか否かが判定され(S328ステップ)、まだ選択されていない空間がある場合にはフローはS323ステップに戻り、新しい空間を選択して芯材部分の消去処理を繰り返す。
一方、S325ステップにおいて、着目する芯材部分が必要度テーブルを参照して必須であると判断された場合は、芯材部分データに交点等の優先を反映したデータとして芯材部分のデータが格納され、さらにフローが右に分岐してS330ステップに移る。また、S326ステップにおいて、合体空間が長方形にならない場合は着目する芯材部分を消去すべきではないので、芯材部分データに交点等の優先を反映したデータとして芯材部分のデータが格納されてから、フローは右に分岐してS330ステップに移る。
S330ステップでは、選択空間に隣接するすべての空間を選んだか否かが判断される()。すべての隣接空間をすでに選んでいた場合は、フローは下に分岐して、先の選択空間を除いて最小の面積の未選択の空間を新たに選択し(S331ステップ)、S324ステップに戻る。また、S330ステップでまだ選んでいない隣接空間が有る場合には、まだ選んでいない隣接空間の1つを新たに選択して(S332ステップ)、S325ステップに戻る。
このようにして、空間データに格納された全部の空間が選択され、それらを囲む全部の芯材部分の各々について消去が可能であるか否かが判断され、可能な限り芯材部分の消去が行われる。そして、S328ステップにおいて全部の空間に関して選択がなされたと判断された場合は、フローは下に分岐して消去処理を終了する。これで可能な限りの芯材部分が消去された芯材構造が得られる。このようにして、芯材部分単位で一定条件下で芯材消去処理を行うので、建具に必要な強度を維持して全部の建具構成要素を的確に支えることができ、さらに、芯材配置に偏りがない芯材設計が可能となる。
図10に記載の芯材構造3に対して、図12のフローによる消去処理がなされた結果を図13に示す。図13に示した芯材構造4では、図10の芯材構造3に比較して、多くの芯材が短くなるように、芯材部分の消去処理がなされているにも係わらず、芯材が必要な部分には確実に芯材が配置されていることがわかる。しかも、芯材は建具全体にわたってバランス良く配置されており、力学的に不安定となるような芯材の偏りも生じていないことがわかる。これで図2のS300ステップの不要芯材の除去処理が終了する。
続いて、必要により補強芯材の配置処理を行う(S400ステップ)。この処理を行うことにより、芯材配置のバランスを維持したまま、できるだけ少ない芯材の増加で効果的に建具の強度をより高くすることができる。この処理の概略フローを図14に示す。図14に示したように、補強芯材の配置処理は、最上部空間又は最下部空間の補強処理(S410ステップ)と、面積が大きすぎる空間の補強処理(S420ステップ)と、縦横比が大きくかつ長辺が長すぎる空間の補強処理(S430ステップ)との3つの処理があり、いずれか1つだけを行っても良いし全部を行っても良い。また、それらの順序も任意である。ここでは全部を行う場合で説明する。
まず、最上部空間又は最下部空間の補強処理(S410ステップ)の詳しいフローを図15に示す。処理が開始されると、まず、上記の基本芯材配置処理と不要芯材除去処理を経て得られた芯材構造に対して、最上部の空間の数が2つ以下であるか否かが判断される(S411ステップ)。ここで最上部の空間とは、建具外周のうち上端に接する空間を言う。例えば、図11の空間構造の場合は、空間71〜74が最上部空間となり、最上部空間が4つ有ることになる。また、図13の芯材構造4の場合は、上端芯材30に接する空間は2つであるから最上部空間の数は2つとなる。なお、この例では2つを基準としているが、芯材の太さや建具の用途に応じて適切な数を選択すればよい。
最上部の空間の数が2つ以下の場合は、フローは下に分岐して最上部空間を横方向に3つに分割するように縦方向の補強芯材を追加する(S412ステップ)。具体的には、最上部空間が1つの場合は3分割し、最上部空間が2つの場合は、広い方の空間を2分割するように縦方向の補強芯材を追加する。これにより、建具の中で最も力がかかる最上部の空間が変型に強くなり、建具全体の強度が増加する。続いてS413ステップに移る。一方、S411ステップにおいて最上部空間の数が2つを超える場合は、すでに強度的に十分と考えられるので、フローは左に分岐してS413ステップに移る。
続いて、最下部の空間に対しても同様の処理を行う(S413〜414ステップ)。最下部空間とは、建具外周のうち下端に接する空間を言う。図13の芯材構造4の場合は、下端芯材31に接する空間は2つであるから最下部空間の数も2つとなる。これにより、最下部空間に関しても、建具強度をより高くする補強がなされる。補強処理は最下部空間に対してだけ行っても良いし、最上部空間だけに行っても良いし、両方に行っても良い。好ましくは建具強度と重量及び製作の手間の観点から最下部空間だけに行うことであり、より好ましくは両方に補強を行うことである。これで最上部空間または最下部空間への補強処理が終了する。
このように、最上部及び/または最下部の空間に補強芯材を必要により追加することで、建具の強度をより高くすることができる。例えば、建具の構成要素が少なく、そのため、基本処理により配置された芯材が建具全体に少ないような芯材構造の建具の場合であっても、建具全体の強度を比較的高くすることができる。
次に、面積が大きすぎる空間の補強処理(S420ステップ)について説明する。これは、建具の構成要素の数が少なかったり、構成要素の位置が偏っていたりする場合に、いずれかの空間の面積が大きくなりすぎて建具全体の強度が低下するような場合に特に効果がある。この処理の詳しいフローを図16のフローチャートに示す。処理が開始すると、まず心材構造に含まれる各空間の面積を演算する(S421ステップ)。すでに各空間の面積のデータがある場合は、このステップは省略しても良い。続いてこの補強処理にとって未選択の空間を1つ選択する(S422ステップ)。選択する空間は任意の空間でも良いが、最も面積が大きい空間を選択しても良い。
続いて、選択した空間の面積が、建具の合計面積の25%以上であるか否かが判断される(S423ステップ)。この25%は、使用する芯材の太さや強度、建具の用途等に応じて適宜定めればよいが、この例では標準的に25%としている。空間の面積が25%以上である場合には、フローは下に分岐して、選択空間が縦方向に2分割されるように横方向芯材を追加する(S424ステップ)。これは、面積が全体の25%を超える空間は、面積が広すぎて建具強度が低下しやすいことによる。また、縦方向芯材ではなく横方向芯材を追加しているのは、建具が一般的に縦長であるため、横方向芯材を追加する方が建具強度がより向上しやすく好ましいからである。もちろん縦方向芯材を追加するようにしても良い。これに基づいて空間データが修正されて(S425ステップ)、S426ステップに移る。
一方、S423ステップにおいて、選択した空間の面積が25%未満であった場合は、特に補強が必要ではないので、そのままS426ステップに移行する。S426ステップでは、全部の空間について選択が終了したか否か、すなわち全部の空間について補強芯材追加の判断がなされたか否かを判断する(S426ステップ)。未選択の空間が有る場合は、フローはS422ステップに戻って処理を繰り返す。未選択の空間が無く、全部の空間について選択が終了している場合は、処理を終了する。
このように、芯材構造の中から面積が大きすぎる空間を探して補強芯材を追加するようにしているので、何らかの事情によりそのような空間が発生したとしても、強度の高い建具を設計することができる。
次に、縦横比が大きくかつ長辺が長すぎる空間の補強処理(S430ステップ)について説明する。この処理は、基本芯材の配置処理と不要芯材の除去処理とにより芯材を配置した場合に、細長くて比較的大きい空間が生じると、その部分で建具の強度が弱くなりやすいので、それを防止することを目的としている。この補強処理の詳しいフローを図17のフローチャートに示す。
補強処理が開始されると、まず補強処理に関して未選択の空間を1つ選択し(S431ステップ)、その空間の縦横比を演算する(S432ステップ)。次いで、縦横比が5/1以上であるか否かが判断される(S433ステップ)。縦横比が5/1以上の空間は、縦方向の長さに対して横方向の長さが著しく短い縦方向に細長いので、建具の強度を低下させる場合があるためである。なお、縦横比が1/5以下である場合も5/1以上の場合と同様に空間が細長くなるが、1/5以下の場合は、空間が横長になる一方で建具は縦長であること、横長で強度上の問題が生じやすい最上部空間と最下部空間とにはS410ステップで補強可能なことから、この例では、縦横比による補強処理には含めないことにしている。ただし、縦横比による補強処理に含めてもかまわない。
S433ステップで縦横比が5/1以上であれば、フローは下に分岐し、次に選択空間の長辺の長さが60cm以上であるか否かが判断される(S434ステップ)。ここで60cmとしたのは、建具の強度に影響が生じする長さの例示であり、芯材の太さや建具の用途に応じて適切な数字を設定すればよい。
長辺の長さが60cm以上の場合は、フローは下に分岐して、長辺を2分割するように横方向の補強芯材が追加され(S435ステップ)、空間データと芯材部分データとが修正される(S436ステップ)。続いて、全部の空間について選択がなされたか否かが判断され(S437ステップ)、未選択の空間が残っている場合は、フローは左に分岐してS431ステップに戻り、新しい空間に対して処理を繰り返す。一方、S437ステップで全部の空間について選択が終了していれば、フローは下に分岐して縦横比による補強処理が終了する。
この補強処理により、先の基本芯材の配置処理と不要芯材の消去処理とにより、縦に細長くて比較的大きい空間が発生した場合に、その空間に基因する建具全体の強度低下をあらかじめ防止することができる。
これで、図14で示した3種類の補強処理を説明したが、その他の補強処理を加えても良いことは言うまでもない。図13の芯材構造4に対して、図14の補強処理を行った場合の結果を図18に示す。図18の芯材構造5では、芯材構造4と比較して、5本の補強芯材47〜51が追加されていることがわかる。このうち、補強芯材47と48は、図14のS410ステップの最上部空間と最下部空間に対する補強処理で設けられた補強芯材であり、補強芯材49は、同じくS420ステップの面積が大きすぎる空間に対する補強処理で設けられた補強芯材であり、補強芯材50、51は、S430ステップの縦横比等が大きすぎる空間に対する補強処理で設けられた補強芯材である。
図18の芯材構造5から理解できるように、芯材の偏りなどが生じることなく適切な部分に補強芯材が追加されていることがわかる。なお、補強芯材の配置に当たっては、すでに配置されている芯材と交点が重複しないように、配置済み芯材の幅を前提として補強芯材の始点と終点の位置座標が決定される。
さらに、必要により補助芯材を配置する処理を行っても良い(図2のS500ステップ)。ここにいう補助芯材とは、建具の構造上は特に必要ではないが、芯材を設けた方が建具の使い勝手が良くなる場合に補助的に設ける芯材を言う。補助芯材の例としては、建具の表板が薄い等の場合に、表板が押されても凹まないようにするために追加する芯材が挙げられる。また、その他の目的で補助芯材を追加するようにしても良い。
最後に、上記のようにして決定された芯材構造に基づいて、建具の芯材構造の設計図と、必要な芯材のリストを作成する(図2のS600ステップ)。設計図と芯材リストは、あらかじめ用意された設計図テーブルからテンプレートを読み出し、芯材配置データと芯材部分データに格納されている各芯材のデータを用いて設計図を作成する。作成された設計図とリストのデータは設計図データに格納される。
これで、図2に記載の全部のステップの処理が終了し、建具の芯材設計が完了する。以上説明してきたように、建具外観の構成要素が入力されると、それらの構成要素に基づいて基本芯材が最大長さとなるように配置され、続いて不要な芯材が一定の条件に基づいて消去されるようになっているから、必要な芯材が過不足や偏りが無く、かつ構成要素の配置に対応して的確に芯材が配置される。
次に、このような建具設計方法を実行するための建具設計装置について説明する。図2は、スタンドアロンのコンピュータに専用プログラムをインストールして構成した建具設計装置を制御面からみた概略構成を示したブロック図である。この建具設計装置100は、ハードディスクのごとき記憶装置により構成された記憶部300と、CPUとRAM内に、記憶部から随時読み出されたプログラムとデータとで構成された処理部200と、インターネット等のネットワークに接続するための通信インターフェイス400と、キーボードやマウス等の入力装置401と、CRTや液晶表示装置であるディスプレイ402と、プリンタ403とが、必要なインターフェイスを介して共通バスで接続されて構成されている。
まず、建具設計装置100の記憶部300から説明する。記憶部300には、外観構成要素データ301、芯材種別テーブル302、縦横パターンテーブル303、芯材配置データ304、空間データ305、必要度テーブル306、芯材部分データ307、設計図テーブル308、設計図データ309、及びコンピュータの動作に必要な各種のプログラム類やその他の画面情報類(図示していない)が格納されている。
外観構成要素データ301は、図1に示されたごとき新たに製作しようとする建具の、特定の外観を構成するために必要な全部の構成要素のデータである。このデータの例を図20に示す。建具を構成するのに必要な構成要素がすべて列挙され、建具の平面座標系における構成要素の配置される位置、窓枠の大きさのような設計に必要な寸法等が格納されている。外観構成要素データ301は、図2のS100ステップにより新しい建具の外観データが入力されるごとに作成される。
芯材種別テーブル302は、基本芯材が配置される基因となる構成要素ごとに、構成要素に対してどの位置と方向に芯材を配置するかをあらかじめ定めた部材データを格納したテーブルである。図21にこのテーブルの例を示す。建具の芯材構造を設計するにあたっては、構成要素に対応する部材がこのテーブルから選択され、基本芯材が配置される。部材データとしては、例えば、構成要素が外枠の場合、外枠に対応して配置すべき芯材は建具外周に接するように配置する旨のデータが格納されている。また、窓枠部材に対しては、図4(1)のごとき部材データが、板境界部材に対しては図4(2)に記載のごとき部材データが格納され、その他の部材についても同様である。寸法データは、金具部材のような寸法データが特に必要な部材に関して格納されている。
また、芯材種別テーブル302には、芯材構造において複数の芯材の平面位置に重複部分がある場合に、いずれの芯材を優先させるかをあらかじめ定めた優先度のデータが格納されている。この例では、外枠に対応する芯材をもっとも優先し、次に、金具に対応する芯材が続くように設定してある。この優先度を定めることにより、重複部分が生じても事後的に調整することが可能となり、基本芯材を配置する際に芯材重複を考慮することなく配置することが可能になった。なお、この例では、部材データに含まれる芯材はすべて長方形で、縦横の寸法が異なるだけの形状として説明しているが、長方形以外の形状の芯材、例えば三角形の芯材(火打材)や六角形の芯材(筋交い)を部材データに含めることは任意である。
縦横パターンテーブル303は、芯材構造において優先度が同じ芯材が重複している場合に、縦方向芯材と横方向芯材のいずれを優先するかを決定するために、建具設計ごとに、又は全部の建具に関して、選択されるべきパラメータをあらかじめ格納したテーブルである。この例を図22に示す。
芯材配置データ304は、新しい建具が設計されるごとに作成され、建具の設計において基本芯材が配置された芯材構造に含まれる全部の芯材のデータを含む。この例を図23に示す。このデータには、それぞれの芯材がどの構成要素に基因して基本配置されたかを示す芯材種別、芯材の平面座標系における始点位置を示す始点座標、終点位置を示す終点座標、芯材が重複した場合にいずれが優先されるべきかを判断するための優先度のデータも格納されている。芯材配置データ304は設計中の芯材構造が変化するごとに適宜修正される。
空間データ305は、図11に例示したごときの、芯材構造に対応して認識される空間のデータを、芯材構造ごとに格納したデータである。この空間データの例を図24に示す。この例では空間は長方形であるから、長方形を規定する4頂点座標のデータが格納されている。なお、この例では長方形が縦方向の辺と横方向の辺とからなるから、4頂点の座標に変えて、いずれかの頂点座標とその対角点の座標とを格納するようにしても良い。また、空間データ305には、補強芯材の配置処理で求める長方形の面積や縦横比、選択済みフラグのデータも格納可能になっている。空間データ305は、不要芯材の消去処理に伴って作成され、芯材構造が変化するにつれて修正される。
必要度テーブル306は、芯材の交点に挟まれた芯材部分ごとに、芯材部分が配置された位置における構成要素との関係に基づいて、あらかじめ定められた必要度のデータを格納したテーブルである。この例を図25に示す。例えば、外枠芯材に含まれる芯材部分に関しては、いずれも外周に接するから、図25のテーブルからいずれの芯材部分も必須であることがわかる。同様に、窓枠芯材のうち窓枠に直接に接する芯材部分は必須であるが、窓枠芯材ではあるが窓枠に直接接するわけではない芯材部分は必須ではない(任意)ことがわかる。
芯材部分データ307は、芯材の交点で区分された芯材部分ごとに、それらの全部の始点と終点とを特定したデータである。この例を図26に示す。このデータは、芯材配置データ304から作成され、まず基本芯材の配置ステップが完了した後に作成され、芯材重複部分の解消処理や芯材部分の消去処理、補強芯材や補助芯材の追加処理がなされるごとに、それらを反映して修正される。
設計図テーブル308は、建具の全体設計図、芯材構造の設計図、各芯材の設計図、芯材と建具構成要素のリスト等の、それぞれのテンプレートからなる。これらを用いて、新たに設計される建具の設計図や部品図等が作成される。また、設計図データ309は、実際に上記の建具設計方法に基づいて設計された建具の全体設計図、芯材構造の設計図、各芯材の設計図、芯材と建具構成要素のリスト等を含む。
次に、建具設計装置の処理部200の機能について説明する。この例では、処理部200は、建具外観入力部201、基本芯材配置部202、芯材重複解消部203、芯材消去部204、補強芯材配置部205、補助芯材配置部206、図面作成部207、出力部208とを備えてなる。これらが行う処理について順次説明する。
建具外観入力部201は、図2のフローチャートのS100ステップを担当し、新たに建具設計が開始されると、建具外観の構成要素の入力を促す画面をディスプレイ402上に表示する。入力装置401を用いて建具の構成要素が選択入力され、また、必要な寸法や位置の情報が入力されると、それらを順次受け付けて外観構成要素データ301に格納する。また、建具の縦優先または横優先の選択入力を促し、入力結果を芯材配置データ304に格納する。
基本芯材配置部202は、図2のS200ステップ(図3のS210〜240ステップ)の処理を担当し、外観構成要素に対応して基本芯材を配置する処理を行う。具体的には、外観構成要素データ301と芯材種別テーブル302とから、建具内部に外枠芯材や窓枠芯材を配置する。その際、窓枠芯材や目地芯材等を建具外周に達するまでの最大限長さとなるように配置する。最初にこのように、構成要素に対応した芯材を最大限に配置することで、予期せぬ強度不足や構成要素に対する支え不足などの構造欠陥の問題が生じにくくなる。いずれの部材から配置するかの順番は任意であり、特に限定されない。芯材配置の際、芯材どうしの交点等で芯材重複が生じても良い。基本芯材配置部202は、芯材の配置結果を芯材配置データ304に格納する。
芯材重複解消部203は、図6のS310ステップ(図7のフロー)の処理を担当し、基本芯材の配置の結果生じた、芯材どうしの交点等の重複部分を解消する処理を行う。芯材重複解消部203は、まず芯材配置データ304から芯材が、建具の平面座標系において重複する箇所を検索し、重複部分を検索した場合には、重複している芯材の優先度を比較し、優先度が高い芯材の方に優先フラグを立てる。優先度が同じ場合は、S100ステップで入力された縦優先若しくは横優先の設定に従って、優先フラグを立てる。これを全部の重複部分に対して行い、いずれの芯材が優先されるかを決定する。
このように、まず芯材を互いに重複させてでも最大限に配置し、その後で重複部分を解消する処理を行うことで、建具の強度不足や構成要素の支持不足等の構造欠陥が生じにくく、かつ実際に建具が製作できる芯材構造が得られる。
芯材消去部204は、図6のS320ステップ(図12のフロー)を担当し、基本芯材が最大限は位置された芯材構造から、不要な芯材部分を消去する。具体的には、芯材部分で囲まれる空間面積を演算して最小面積の空間を選択し、その選択空間とそれに隣接する空間との間の仕切りになっている芯材部分の必要度を、構成要素との位置関係により判断し、さらに、選択空間と隣接空間とで構成される合体空間が長方形をなすか否かを判断し、芯材部分が必須ではなく、かつ合体空間が長方形となる場合に、仕切りになっている芯材部分を消去する処理を行う。続いて、残りの空間のうちの最小面積の空間に対して同様の処理を行い、順次全部の空間について同じ処理を行う。これにより、最少限の芯材で、建具に必要な強度を維持して全部の建具構成要素を的確に支えることができ、さらに、芯材配置に偏りがない芯材構造の設計が可能となる。
補強芯材配置部205は、図2のS400ステップ(図14のS410〜430ステップ)を担当し、必要により芯材構造を補強する芯材を配置する。まず、芯材構造の最上部空間(または最下部空間)の数が一定数(例えば、2つ)以下である場合に、最上部空間(または最下部空間)をさらに分割するように縦方向芯材を追加し、一定数(例えば、3つ)以上の空間の数となるように処理する。また、芯材構造の中に一定以上の面積を有する空間が有った場合に、その空間を2分割するように横方向芯材を追加する。さらに、空間の縦横比が一定(例えば5/1)以上でかつその長辺の長さが一定(例えば、60cm)以上の場合に、長辺を2分割するように芯材を追加する。これらの処理を行うことにより、最少限の芯材追加でもっとも効率的に、建具の強度をより高くすることが可能になる。
補助芯材配置部206は、建具の構造上は特に必要ではないが、建具の表板が薄くて凹みやすいなどの場合に必要により、面積が大きい空間部分に凹みが生じないようにするための補助芯材を追加する。これは、補強芯材配置部の面積が大きすぎる場合の補強の目安となる基準面積を小さくすることで対処するようにしても良い。他の原因による補助芯材配置処理を含めても良いことは言うまでもない。
図面作成部207は、図2のS600ステップを担当し、あらかじめ用意された設計図テーブル308から設計図及びリストのテンプレートを読み出し、芯材配置データ304と芯材部分データ307に格納されている各芯材のデータを用いて設計図を作成する。作成された設計図とリストのデータは設計図データ309に格納される。
出力部208は、設計図データ309を読み出し、必要によりディスプレイ402に設計図や部品リストを表示したり、通信インターフェイス400を介してネットワークに送信する処理を行う。
以上、建具設計方法の説明及び、建具設計装置の構成と動作の説明を行って、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記の具体的態様に限定されるものではなく、様々な変型が可能である。例えば、上記では木製フラッシュ構造物が建具の場合で説明したが、家具類の棚板、側板、天板等のごとき、必ずしも建具とは言えないが、建具と同様に木製フラッシュ構造物が広く用いられている場合にも適用できる。また、芯材は縦方向と横方向とに配置し、これらの組み合わせで芯材構造を決定することを前提として説明を行っているが、交点を斜めにつないで配置する斜交い芯材や、交点の隅に配置する三角形の火打芯材を含めるようにしてもよい。また、上記のフローでは、芯材重複部分の解消処理は、基本芯材の配置処理に続いて行っているが、補助芯材も含めた全部の芯材の配置が完了し、芯材構造の設計図を作成する段階で行うようにしても良い。
また、本発明は、コンピュータに木製フラッシュ構造物設計方法を実行させるためのプログラムであってもよい。また、そのプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。ここで、記録媒体とは、フレキシブルディスク、CD、DVD、MO、フラッシュメモリ等のリムーバブル媒体、内蔵か外付けかを問わないHD等をいう。記録媒体には、プログラムを分割して格納し、インストール時に同じコンピュータにインストールして使用するようにしても良い。