JP4633258B2 - ポリマーの治療的使用 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、不溶性のポリマーが体腔に沈積する条件下に、体腔へポリマーを導入する治療法におけるポリマーの使用に関する。本発明においては、両性イオン性ペンダント基を有するポリマーが用いられ、これによって生体適合性が最適化される。
【0002】
現在動脈瘤に対して選択される治療法は、動脈瘤への白金コイルの充填を伴う。これらのコイルの被覆に関して、表面への血液凝固性を増大し、細胞成長因子等の放出を可能にすることにより表面を生物学的に活性にする面である程度研究がなされている(ドイツ特許DE−A−第19647280号)。他の研究は、しばしば生体適合性の溶媒中の溶液から単にポリマーを沈殿させることにより動脈瘤を塞栓するためのポリマー系の使用に注力している(WO−A−第9745131号)。特に日本のあるグループは、DMSOのような溶媒中で、硬化性ポリマー(酢酸セルロース)と共にX線造影剤を含む液体組成物を用いてある程度成功している。ポリマーは血液と接触した場合に動脈瘤中でその場で沈殿を引き起こす(JP−A−第06−107549号、J.Neurosurg.,83(3),531,1995)。他の手段はその場で直接モノマーを重合させるものであり、一つの例は迅速に重合しかつ無毒性の鉄−アクリル系化合物である(J.Neurosurg.,47(2),137,1977)。更に他の手段としてUS−A−第5,749,894号に記述されているのは、一つのコイルと入射輻射線によって融解し動脈瘤中においてその場で再硬化する重合組成物を導入する方法である。ポリマーの例はポリアルケン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリアミド、及び多糖類である。
【0003】
医療使用におけるポリイオン複合体の使用は多年にわたって示唆されてきた。事実マイケル(Michaels)は、動脈瘤を注封又は封入するためのそのような複合体の溶液の使用に言及し、それらの材料は体内組織によって適度に許容されると述べている。Ioplex 101(ポリ(トリエチル−(3&4)−ビニルフェニルアンモニウムブロミド)及びポリ(ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム)の複合体)は生医学的使用のために集中して研究されてきた(Vogel et al.、J.Macromol.Sci.,Chem.,,675,1970;Marshall et al., J.Biomed.Mater.Res.,,357,1970; Bruck et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci., 283,332,1977)。この系の類似物の研究が、電荷と構造の複合体への効果及び血小板に対するその挙動を判定する目的で行われ(Kataoka et al.,Makromol.Chem.,179.1121,1978&181,1363,1980)そして人工肝臓支持システムの開発において封入材として用いられている(Kataoka et al.,JinkoZoki(人口臓器),,296,1979)。
【0004】
Nakabayashiらは、両性イオン性ペンダント基を有するポリマーのポリイオン複合体の、血小板の選択的付着のための使用を既に記述している(Ishihara,K.らによるJ.Biomed.Mater.Res.,28(11),1347,1994,Ishihara,K.らによるAdv.Biomat.Biomed.Eng.DrugDeliverySyst.(1995)227−228、及び日本特許JP−A−7−第238124号)。彼らの発明は特に2−メタクロイルオキシメチルホスホリルコリン(MPC)、メタクリル酸ブチル(BMA)、及びメタクリル酸スルホプロピル(SPM)又はメタクリル酸トリメチルアンモニウムプロピル(TPM)からなる3成分ポリマー系の使用を特許請求している。彼らはこれから更に、MPC:BMAのモル比が2:98〜50:50、そしてこれら2成分対イオン性モノマー(SPM又はTPM)のモル比が98:2〜80:20である組成物を特定している。これらの系は、血小板の結合と活性化の面で好ましい性質を持つ、弱いイオン性の相互作用を持つ被覆を生成するように設計されているようである。これらの参考資料に述べられているポリイオン複合体はガラスビーズ上への被膜としてテストされ、製品の一つは人工肝臓支持システムのために用いられる活性炭を封入する使用について試験中であるといわれている。
【0005】
本発明においては、治療又は診断によるヒト又は動物の処置方法において使用するための組成物の製造方法における荷電ポリマーの使用であって、該処置方法において、荷電ポリマー含有組成物が体腔内に導入されそして多価の荷電対イオンを含有する別の組成物と接触され、こうして荷電ポリマーが体腔内で不溶性なるものであり、かつ該荷電ポリマーが両性イオンペンダント基を有することを特徴とする、新たな使用が提供される。
【0006】
本発明はまた治療方法それ自体も含む。
【0007】
本発明においては、不溶性のポリマーがゲルとして体腔内に沈積する。ポリマーはその場で不溶性になり、そしてその場に一定期間、例えば少なくとも数時間,何日間または何週間か残留するべきである。ゲルはポリマーマトリックスと該マトリックス全体に分布する溶媒を含む。好ましくはゲル中の溶媒は水性であり実質的に有機溶媒を含まない。
【0008】
ゲル貯留物は体腔への治療活性のある物質、又は造影剤のような診断剤を送達する輸送手段として用いてもよい。造影剤は例えば医療実務者が不溶性ポリマーの位置を可視化できるように導入してもよく、このこと自体が患者への治療的利益または診断上の利便を提供する。本発明の好ましい態様によれば、不溶性ポリマーはそのため体腔において治療活性物質又は造影剤と組み合わされる。
【0009】
ゲル化したポリマーは、電磁線(おそらく高周波)に対し不透明な、粒子又は非粒子の固形物質についての被覆又は封入剤となりうる。不透明な物質は、例えばUS−A−第5,667,767号に記述されるようなタンタル、酸化タンタル及び硫酸バリウムのような、あるいはUS−A−第5,695,480号に記述されるような金、タングステン,及び白金を包含する造影剤であることができる。不透明物質は、粒子でもよくまた識別可能な物理的形状を有する固形物、例えば1mm又はそれ以上の寸法を有する金属コイル、フィラメント、線、網、または管のようなものでもよい。例えばUS−A−第4,994,069号、US−A−第5,122,136号、US−A−第5,226,911号、又はUS−A−第5,702,361号に記述されているようなコイル類を含めてもよい。
【0010】
本発明は特に血管の塞栓、又は動脈瘤の充填のために有用である。そしてポリマーは上述の従来技術に述べられているものと類似の方法で用いられる。本発明はまた治療的又は美容目的の充填剤、例えば腫瘍の摘出後の使用、唇または乳房の整形用、筋肉制御の改善、例えば尿失禁抑制のための括約筋用、管腔内のゲル被覆、動脈管開存症の治療、あるいは滑液の置換または補充用に用いられてもよい。
【0011】
荷電ポリマーは、不溶化処理以前の、体腔内に導入される組成物においては溶解性である。その組成物は好ましくは水性である。従って、ポリマーは、好ましくは水溶性である。体腔内に導入すべき別の組成物中の対イオンもまた好ましくは可溶性である。この別の組成物が水性であることは最も好都合であり、それ故この対イオンは水溶性である形の水性組成物の溶液で導入されることが好ましい。
【0012】
二つの組成物は体腔中で混合されても、あるいは体腔内へ導入される直前に混合されてもよい。好ましくはそれらは、各々の組成物用の分離した内腔を持ち、不溶性の、通常ゲル状のポリマーを体腔中の望ましい位置にカテーテルから送達する直前に両組成物を接触させ混合することを可能にする手段を備えた、この目的のために設計されたカテーテルを用いて導入する。
【0013】
対イオンは無機性でも有機性でもよい。それは2または3価に荷電可溶性イオン、例えば金属カチオン、または多価オキシアニオンでもよい。カルシウムイオンは適当な多価カチオンである。
【0014】
本発明においては好ましくは、対イオンは高分子電解質である。二つのポリマーの対イオン的電荷が、両ポリマーを密接に混合した際に相互を誘引し、それによってブレンドを不溶化(ゲル化)させる。ブレンドはその結果ポリイオン(または高分子電解質)複合体となる。ポリイオン複合体を生成するポリマーの少なくとも一つは、両性イオン性ペンダント基を有する必要がある。好ましくは両ポリマー共に両性イオン性ペンダント基を有する。必須の要件である両性イオン性ペンダント基を持つ荷電ポリマーは、アニオン性でもカチオン性でもよいが、好ましくはアニオン性である。従って対イオンは好ましくはカチオン性である。
【0015】
本発明の一部の態様においては、ポリカチオン性ポリマーは永久カチオン性ペンダント基を有するであろう。これらは第四級アンモニウムまたはホスホニウムまたは第三級スルホニウム基でもよい。他の態様においては、カチオン性の基は永久的カチオンでなくてもよい。それらは弱いまたは強い塩基であってもよい。例えばそれはpH感受性を提供するように選び、二つの第一ポリマー間の誘引の程度がそのpHによって制御されるようにしてもよい。
【0016】
同様に、アニオンは弱いあるいは強い酸のアニオンであって、所望によりあらかじめ定めたpH範囲以内でpH感受性あるいは非感受性になるように選んでももよい。
【0017】
適当なカチオン性の基は、N+1 3、P+1 3、またはS+1 2であり
式中R1基は同一または異なるものであり、各々が水素、C1 4−アルキルまたはアリール(好ましくはフェニル)であるか、またはR1基の二つとそれらが結合するヘテロ原子を合わせて、5〜7原子を含む飽和または不飽和の複素環を形成する。好ましくはカチオン性の基は永久カチオン性である、すなわち各R1は水素以外である。好ましくはカチオン性の基はN+1 3であり、ここで各R1はC1 4−アルキル、好ましくはメチルである。
【0018】
適当なアニオン性の基はカルボンキシレート、カーボネート、スルホネート、スルフェート、ホスホネート、またはホスホフェートである。好ましくはアニオン性の基は1価である。スルホネートが特に好都合である。
【0019】
本発明において用いるポリイオン複合体においては、ポリカチオン性ポリマー及びポリアニオン性ポリマーは、好ましくはカチオン性の基とアニオン性の基が2:1〜1:2の当量比となるような比率で用いる。好ましくはアニオンはカチオンに対してほぼ等当量で存在し、この比は好ましくは1.5:1〜1:1.5、または好ましくは1.2:1〜1:1.2、例えば約1:1である。
【0020】
ゲル化した条件において両性イオン性基の含量は、不溶性ポリマーを生成するポリマー1種または複数種を生成するモノマーの総モル数基準で好ましくは1〜75モル%、好ましくは20〜50%の範囲である(荷電ポリマー1種または複数種が両性イオン性モノマーを含むエチレン性不飽和モノマーから生成する好ましい態様の場合)。
【0021】
荷電ポリマー中に含まれるイオン性ポリマー中のイオン性モノマーの量は、好ましくは少なくとも1モル%、より好ましくは少なくとも5モル%、例えば少なくとも10%である。この量が約30〜40モル%より多い場合(そしてPIC中の対イオン性電荷がほぼ均合っている場合)該または各々のポリマーはまた好ましくは少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%の両性イオン性モノマーを含むべきである。
【0022】
荷電ポリマーが少なくとも一つの、両性イオン性ペンダント基を含むイオン性の荷電ポリマーを含む好ましい態様のためには、両性イオン性のイオン性基(複数)の比率は好ましくは5:1〜1:5、好ましくは2:1〜1:3である。
【0023】
荷電ポリマー中及び好ましい対イオン中のイオン性及び両性イオン性モノマーの総含量は、好ましくは少なくとも25モル%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、最大100%、より好ましくは最大80%、最も好ましくは50〜70%の範囲である。ポリマー1種または複数種の残りの成分は非イオン性モノマーであり、これらは主として希釈剤として作用するか、またはポリマー1種または複数種に望ましい物性を与えてもよい。非イオン性モノマーは疎水性ペンダント基を含んでもよい。
【0024】
ポリイオン複合体中のアニオン性ポリマーのカチオン性ポリマーに対する比率及び両性イオン性および疎水性希釈剤基の相対的量は、各々がポリマーの一つを含む2種以上の溶液からの2種以上の対イオン性ポリマーを混合することにより生成する通常水性ゲルであるゲルのゲル物性を測定することによって判定してもよい。ゲル物性を調査するための適当な技術は、下記実施例3に記載する。
【0025】
本発明において用いるポリマーの両性イオン性ペンダント基は、例えばアニオン性の2価の電荷中心及びカチオン性の1価の電荷中心、またはその逆状態を持つことにより、あるいは二つのカチオン性電荷中心と一つのアニオン性電荷中心、またはその逆状態を持つことによって、総括的電荷を持ってもよい。しかしながら、両性イオンは好ましくは総括的電荷を持たず,最も好ましくは1価のカチオン電荷中心一つと1価のアニオン電荷中心一つを持つ。
【0026】
好ましくは両性イオン性基中のカチオン電荷中心は永久性である、すなわちそれは好ましくは第四級アンモニウムまたはホスホニウムまたは第三級スルホニウム基である。好ましくはアニオンは永久性である、すなわちそれは体内のpHにおいて、例えばpH5〜8の範囲において実質的に完全にイオン化する。それは好ましくは、リン酸、ホスホン酸、硫酸、またはスルホン酸アニオンである。
【0027】
両性イオン性基はベタイン基(すなわちこの場合カチオンのほうがアニオンよりもバックボーンに近接する)、例えばスルホ−、カルボキシ−、又はホスホベタインであってもよい。ベタイン基は総括電荷を持つべきではなく、そして好ましくはカルボキシ−、又はスルホベタインである。もしそれがホスホベタインであるならば、末端リン酸基はジエステル、すなわちアルコールでエステル化されていなければならない。このようなグループは一般式Iで示すことができる。
【0028】
【化9】
Figure 0004633258
【0029】
式中、X2は原子価結合、−O−、−S−または−NH−、好ましくは−O−であり;
Vはカルボン酸、スルホン酸又はリン酸ジエステル(1価の電荷を持つ)アニオンであり;
2は原子価結合(X2と共に)またはアルカンジイル、−C(O)アルカンジイル−、または−C(O)NHアルカンジイル、好ましくはアルカンジイルでありそして好ましくはアルカンジイル鎖中に1〜6炭素原子を含み;
3基は同一または異なり、そして各々が水素または1〜4炭素原子のアルキルであるかあるいは複数のR3基はそれらが結合した窒素と一緒になって5〜7原子の複素環を形成し;そして
4は1〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6炭素原子のアルカンジイルである。
【0030】
一つの好ましいスルホベタインモノマーは式IIを有する。
【0031】
【化10】
Figure 0004633258
【0032】
式中、R5基は同一または異なり、そして各々が水素またはC1 4アルキルであり、nは2〜4である。
【0033】
好ましくはR5基は同一である。またR5基の少なくとも一つがメチルであるのが好ましく、より好ましくはR5基は双方ともメチルである。
【0034】
好ましくはnは2または3、より好ましくは3である。
【0035】
これに代わるものとしての両性イオン性グループは、α炭素原子(これにアミン基とカルボン酸基が結合している)が連結基を通してポリマーAの主鎖と結合するアミノ酸の一部でもよい。このようなグループは一般式IIIによって示すことができる。
【0036】
【化11】
Figure 0004633258
【0037】
式中、X3は原子価結合、−O−、−S−、または−NH−、好ましくは−O−であり
6は原子価結合(場合によりX3と共に)またはアルカンジイル、−C(O)アルカンジイル−、または−C(O)NHアルカンジイル、好ましくはアルカンジイルでありそして好ましくは1〜6炭素原子を含み;そして
7基は同一または異なり、そして各々が水素又は1〜4炭素原子のアルキル、好ましくはメチルであるか、あるいはR7基の二つとそれらが結合する窒素原子が一緒になって5〜7原子の複素環を形成するか、またはR7基の三つとそれらが結合する窒素原子が一緒になって各環内に5〜7原子を含む縮合環構造を形成する。
【0038】
好ましくは両性イオンは式IVを有する。
【0039】
【化12】
Figure 0004633258
【0040】
式中、X4及びX5部分は、同一または異なり、−O−、−S−、−NH−または原子価結合、好ましくは−O−であり、そして
+はアンモニウム、ホスホニウム、またはスルホニウムカチオン性の基およびアニオン性とカチオン性の部分を結合する基、好ましくはC1 12−アルカンジイル基を含むグループである。
【0041】
好ましくはWはカチオン性の基としてアンモニア基、より好ましくは第四級アンモニウム基を含む。
【0042】
+グループはたとえば下式の基であってもよい。
−W1−N+8 3、−W1−P+9 3、−W1−S+9 2、または−W1−Het+
ここで:
1は1又はそれ以上、好ましくは2〜6炭素原子の、場合により一つまたはそれ以上のエチレン性不飽和二重または三重結合、二置換されたアリール、アルキレンアリール、アリールアルキレン、あるいはアルキレンアリールアルキレン、二置換されたシクロアルキル、アルキレンシクロアルキル、シクロアルキルアルキレン又はアルキレンシクロアルキルアルキレン、を含むアルカンジイルであり、このW1基は場合により,一つまたはそれ以上の置換フッ素及び/又は一つまたはそれ以上の官能基を含み;そして
8基は同一または異なり、そして各々が水素又は1〜4炭素原子のアルキル、好ましくはメチル、またはフェニルのようなアリールであるか、あるいはR8基の二つとそれらが結合する窒素原子が一緒になって5〜7原子の複素環を形成するか、またはR8基の三つとそれらが結合する窒素原子が一緒になって各環内に5〜7原子を含む縮合環構造を形成し、そして場合により一つまたはそれ以上のR8基が親水性官能基によって置換され、そして
9基は同一または異なり、そして各々がR8またはOR8基であり、ここでR8は上記で定義されるものであり;そして
Hetは芳香族の窒素−、リン−、イオウ−、好ましくは窒素−含有環、例えばピリジンである。
【0043】
好ましくはW1は直鎖状アルカンジイル基、もっとも好ましくは1,2−エタンジイルである。
【0044】
式IVの好ましいグループは式Vの基である。
【0045】
【化13】
Figure 0004633258
【0046】
式中、R10基は同一または異なり、そして各々が水素またはC1 4アルキルであり、そしてmは1〜4である。
【0047】
好ましくはR10基は同一である。またR10基の少なくとも一つはメチルであることが好ましく、R10基はすべてメチルであることがより好ましい。
【0048】
好ましくはmは2または3、より好ましくは2である。
【0049】
これに代わるものとしてのリン酸アンモニウムエステル基Vは、本発明者が以前に開示したWO−A−第93/01221号に定義されている式VB、VC、またはVDのグリセロール誘導体で置き換えてもよい。
【0050】
両性イオン性ペンダント基を持つポリマー1種または複数種は、ある環境下においては天然ポリマーの誘導体を用いることが好ましいかもしれないが、好ましくは全面的に合成物である。好ましくはそのポリマー1種または複数種は 式VIのモノマーを含むラジカル重合可能なエチレン様不飽和モノマーから生成される。
【0051】
YBX VI
式中、
Bは直鎖状または分岐状アルカンジイル、アルカンジイルオキサアルカンジイルまたはアルカンジイルオリゴ(オキサアルカンジイル)鎖であり場合により一つまたはそれ以上のフッ素原子を最大過フッ素化物鎖を含むまでの範囲で含むかあるいは、もしXまたはYがBと結合した末端炭素原子を含むならば、原子価結合であり;
Xは両性イオン性の基であり;そして
Yは下記から選ばれたエチレン性不飽和の重合可能基であり、
【0052】
【化14】
Figure 0004633258
【0053】
CH2=C(R)−CH2−O−,CH2=C(R)−CH2OC(O)−,CH2=C(R)OC(O)−,CH2=C(R)−O−,CH2=C(R)CH2OC(O)N(R11)−,R12OOCCR=CRC(O)−O−,RCH=CHC(O)O−,RCH=C(COOR12)CH2−C(O)−O−,
【0054】
【化15】
Figure 0004633258
【0055】
式中:
Rは水素またはC1〜C4アルキル基であり;
11は水素またはC1〜C4アルキル基であるか、あるいはR11は、BおよびXが上記で定義された、−B−Xであり;そして
12は水素またはC1〜C4アルキル基または、BおよびXが上記で定義された、BXであり;
Aは−O−または−NR11−であり;
Kは基−(CH2pOC(O)−、−(CH2pC(O)O−、−(CH2pOC(O)O−、−(CH2pNR13−、−(CH2pNR13C(O)−、−(CH2pC(O)NR13−、−(CH2pNR13C(O)O−、−(CH2pOC(O)NR13−、−(CH2pNR13C(O)NR13−(ここでR13基は同一または異なるものである)、−(CH2pO−、−(CH2pSO3−、または、場合によりBとの結合において、原子価結合であり、そしてpは1〜12でありそしてR13は水素またはC1〜C4アルキル基であり;
好ましくはYはCH2=C(R)COA−の基であり、ここでRはHまたはメチル、好ましくはメチルであり、そしてここでAは好ましくはOである。
【0056】
Bは好ましくは1〜12、好ましくは2〜6炭素原子のアルカンジイル基であり、最も好ましくはqが2〜6である(CH2q基である。
【0057】
両性イオン性基を有するポリマーがポリイオン複合体の一部である場合、そのポリマーはエチレン性不飽和モノマー中に式VIIのイオン性モノマーを含むことによって生成される。
【0058】
11Q VII
式中、Y1はYと同じ基から選ばれ;
1はBと同じグループから選ばれ;そして
Qはイオン性グループであるかまたはイオン化が可能である。
【0059】
Qはカチオン性の基Q1またはアニオン性の基Q2であってもよい。カチオン性の基Q1は好ましくは上記のようなものである。アニオン性の基Q2は好ましくは上記のグループより選ばれる。
【0060】
エチレン性不飽和モノマーと共重合可能な他の適当な型のカチオン性モノマーは、ハロゲン化ジアリルジアルキルアンモニウム、例えば塩化ジアリルジメチルアンモニウムである。
【0061】
エチレン性不飽和モノマーは好ましくは更に非イオン性モノマーを含む。非イオン性モノマーは両性イオン性ペンダント基を有するポリマーに、望まれる可溶性,親水性、または疎水性を与えるように選ばれてもよい。非イオン性モノマーはまたポリマーに、その場で生成される不溶性ポリマーの機械的性質に影響を持つような物理的性質を与えるものであってもよい。例えば疎水性の基は他の疎水性の基に対し、あるいは基質またはその場で生成する生物学的化合物に対し、不溶性ポリマーを望ましい応用目的に特に適当なものにするような分子間または分子内の相互作用を及ぼすものでもよい。
【0062】
好ましくは非イオン性モノマーは一般式VIIIを有する。
【0063】
214 VIII
式中、Y2はYと同一の基でから選ばれ;そして
14は、場合により置換されたC1-24−アルキルまたは−アルケニル基である非イオン性有機基である。アルキルまたはアルケニル基中の、場合による置換基は、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシおよびオリゴ−アルコキシ基(ここでアルコキシ基は1〜6、好ましくは2または3炭素原子を持つ);アリール基、好ましくは場合により置換されたフェニル基;フェニル基中の場合による置換基は水酸基、ハロゲン原子またはアルキル基である;アシル基、特にC1 6アルカノイル基;アシロキシ基、特にC1 6−アルカノイルオキシ基;アシルアミノ基、特にC1 6アルカノイルアミノ(これらのアルカノイル基のいかなるものもハロゲン原子及び水酸基から選ばれた置換基を持ってもよい)、およびアルコキシ基である。好ましいR14基はC1 24−非置換アルキル、より好ましくはC4 18−アルキルである。
【0064】
非イオン性モノマーは好ましくはエチレン性不飽和モノマー中に存在し、後者からは荷電ポリマー及び/又は対イオン性高分子電解質が、モル比で1〜75%、好ましくは20〜70%、より好ましくは30〜50%の範囲で生成する。
【0065】
本発明の特に好ましい使用は、動脈瘤の治療である。荷電ポリマー及び対イオンは、水溶液または水性ディスパージョンの形でカテーテルを経由して混合され、動脈瘤の腔内でその場でゲルを生成することができるであろう。充填されれば動脈瘤には血液が占める空洞がなくなり、血管破裂の危険性がなくなるであろう。
【0066】
ゲル化した(不溶性)ポリマーの両性イオン性基は、第二のポリマーと体腔中で接触する動脈瘤の内壁または他の組織または生体液からの反応を最小化して、生体適合性をもたらすと信じられている。
【0067】
【実施例】
本発明をさらに付随する実施例中において例示する。これらの実施例においては、下記の標準法を用いた:
固有粘度
各ポリマーの20%w/v溶液を脱イオン水を用いて調製した。溶液は、6cm 20コーンをつけたTA Instruments CSL2−100レオメーターを用いて37℃の温度でフロー試験(せん断速度 1〜1999s-1)に供した。得られた粘度対せん断速度図から、200s-1における値をとって溶液の粘度(Pa.s)を求めた。
フィブリノーゲン吸着
この試験は実質的にWO−A−第93/01221号の記述に従って実施した。
バイシンコニン酸(Bicinchoninic酸)タンパク質検定
タンパク質吸着の評価をマイクロBicinchoninic酸(m−BCA)タンパク質検定(Pierce & Warrinerキット)を用いて実施したが、これはタンパク質によるCu(II)のCu(I)への還元により生成するCu(I)複合体のBCAによる比色検出に依存する方法である。被覆した及び被覆なしのPET小片を免疫学的検定に記載された方法で調製したが、但しこの場合それらは半分に切り二つの9x15mmの小片として検定した。試料を4mlの0.5mgml-1フィブリノーゲン溶液中で10分間室温でインキュベートした。被覆なしPETのブランク試料の細片を同様に4mlのPBS中でインキュベートした。試料とブランクの両方をDiaCent 2000セル洗浄器で洗い、次に清浄な管へ移して100μlのPBS及び1mlのm−BCA作用試薬と共に60℃でインキュベートした。100μl溶液中のタンパク質の必要量を与えるようにウシ血清アルブミン(BSA)標準曲線を構成した。標準品を上記と同様に1mlの作用試薬と共にインキュベートした。300μlアリコートの試料の吸収をマイクロプレート読取器中で562nmで測定した。
使用した略号
モノマーの略号 化学名
Mpc メタクリロキシエチルホスホリルコリン(リン酸2−メタクリロイルオキシエチル−2’−トリメチルアンモニウムエチル内部塩
Bma メタクリル酸ブチル(疎水性希釈剤)
Tem 2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレートクロリド塩
Spm 3−メタクリロイルオキシプロピルスルホン酸カリウム塩
EtOH エタノール
TFE 2,2,2−トリフルオロエタノール
THF テトラヒドロフラン
MeOH メタノール
DI Water 脱イオン水
DCM ジクロロメタン
PBS リン酸塩緩衝溶液
PET ポリテレフタル酸エチレン
実施例1: PC含有ポリイオンの一般的製造法
ポリマーは下記に概説する標準法に従いフリーラジカル溶液重合法を用いて開発した。リン酸2−(メタクリロイルオキシエチル)−2’−(トリメチル−アンモニウムエチル)内部塩(Mpc)を、以前にWO−A−第95/14702号に記載された方法に従って製造した。Bma、Spm、及びBmaはすべて市販されている。
【0068】
三つ口丸底フラスコ(500ml)にデービスコンデンサー、窒素入口,及び温度計をつけた。コンデンサーの頂部に塩化カルシウム保護管をつけ、磁気回転子をフラスコに加えた。次に反応装置を窒素ガスを用いてパージした。
【0069】
Mpcの必要量を計重し、そして適当な反応溶媒中で溶解するまで攪拌した。これに適当量の他のコモノマー(イオン性モノマー及びもし必要ならば疎水性希釈剤)を加えた。開始剤のタイプと添加量は用いた反応溶媒に応じて選んだ。
【0070】
次いで溶液をブフナー漏斗を用いて真空下反応機内へろ過した。窒素を20分間一定速度で流して溶液を脱ガスし、その後窒素流量を下げ温度を使用溶媒に応じた適当なレベルまで上げた。重合を窒素雰囲気下で実施し、温度を16〜40時間維持した。
【0071】
重合が終わると加熱源をとり除き溶液を室温まで放冷した。揮発性の反応溶媒または混合溶媒を用いた場合は、回転式蒸発法で、ポリマーが発泡を始める点まで溶媒を除いた。この泡状物を次に適当な溶媒/非溶媒の組合せ(典型的には9:1 DCM:MeOH)中に再溶解し、そして非溶媒、典型的にはアセトン(1000ml)中に攪拌を続けながら滴下して沈殿させた。沈殿を窒素雰囲気下真空ろ過によって集め、真空中50℃で16時間乾燥した。
【0072】
水を反応溶媒に用いた場合は、溶液を放冷しポリマーを限外ろ過によって精製し、低分子量種を除いた。続いて分析を行うためのポリマーを冷凍乾燥によって分離することができた。
【0073】
分離した各ポリマーは構造確認のためNMR及び元素分析に供した。
【0074】
表1は選ばれた範囲のポリイオン化合物類の製造データの要約であり、表2はそれらのポリマーの分離データである。表3はそれらのポリマーの1HNMRによる特性評価を示す。大部分の場合元素分析は理論値と比較して妥当であった(ポリマーに関する期待値に対し10%以内の誤差);一方表4は、各ポリカチオン及びポリアニオン中のTem及びSpm含有の程度を測定するために、基軸元素に関するデータを、リン:窒素及びリン:イオウ比に絞って要約したものである。これは最終ポリマーの組成物対供給モノマーの比率(表1〜3に示される)の関係をよりよく定義するために続いて使用することができる。ポリイオン類の20%w/v水溶液の固有粘度を、分子量の概略指標として、レオメーターで測定し表5に示した。
実施例2: PC含有高分子電解質水溶液の混合によるポリイオン複合体(PIC)の生成
表6は、実施例1で製造した各種ポリイオンの20%w/v水溶液を混合(各比率は重合混合物中のモノマー量基準であり、ポリマー分析から得たモノマー量基準ではない)した際の観察の一部の要約である。
【0075】
0.5gの各ポリマーを2.5mlの脱イオン水に完全に溶解し澄明な溶液を得た。表中の各対の一方の溶液を他方に注ぎスパチュラで完全に混合した。ポリ(Tem)(Spm)対のような一部の例ではゲル化は殆ど瞬間的であり、濃厚で膨張した、系中の水をすべて含んだ塊を生成した。これをしばらく放置すると、ゲルは、若干量の水を基質から放出して、僅かに収縮することが観察された。ここで注意すべきことは、ゲルはモル比率(モノマー供給または分析で得たポリマー中の含有基に基づく)ではなく等重量基準で混合したことである。
【0076】
表6に行った観察について論じまたそれらを三元状態図にプロットすることにより、そこにはいくつかの傾向が見てとれる(図1)。疎水性成分の比率が高いポリマー系においては、得られるポリマーは非水溶性でありそのため水溶液からPICを生成することができない(他の溶媒系からはなお可能であるかもしれないが)。PC成分の比率が高い系においては、各々のポリマーおよび得られるPICでも共に水溶性が維持される。イオン性/親水性/疎水性の正しいバランスが得られた場合、ゲルはポリイオン複合体として生成する。このゲルは、親水性が減じた場合またイオン成分の比率がより高い場合は「より硬い」傾向がある。
【0077】
これらから、この型の系におけるPICの生成に関しては一般化が可能である(図2)。動脈瘤充填用のゲルの生成に関しては、ゲルが生成した後はその場所に止まるような性質が要求されるであろう。
実施例3: ポリイオン複合体のゲル化性の判定
図2に示したような、二つのポリイオン溶液の混合物がゲルを生成する能力を考察する場合、観察結果を数量化することができれば有用である。本例においては、各ポリマーの20%(w/v)溶液を作り、相互に混合し、一夜放置して沈降させた。生成したPICは、6cm 20コーンをつけたTA Instruments CSL2−100レオメーターを用い、37℃で可変トルク振動試験(10〜100mN.m)に供した。これから、二つのパラメーター、すなわち弾性係数G’および粘性係数G”が測定できた。表7は各種のPIC混合物に関するこれらのパラメーターの、80mN.mにおける測定値の要約である。ポリイオンは、用いたモノマー比率に基づいて定義し、ポリマー中のイオン性基の分析値基準ではない。
【0078】
生成した異なったPIC間には、明らかに粘弾性に関して広い分布がみられた。それらの値は表6に示した観察と一致し、図1及び2を補強するものである。G’およびG”値が低い際には、溶液を混合した場合ゲル化はほとんど起きなかった。これらの値が高いときは(ほぼ>10Pa)、安定したゲルが得られた。G”の値がG’の値より大きいときは、物質は弾性よりむしろ粘性を持ち、力を受けた場合弾性的に反応するよりむしろ流動する傾向をもつ。G’がG”より大きいときは逆の現象となり、受ける力に対抗する傾向を持つ、より弾性的な物質となる。これは特定の使用における物質の挙動を推定する上で有用な指標である。動脈瘤充填物質を検討する場合には、血流の影響で空洞から洗い流されないようなゲルを得ることが望ましいであろうから。
実施例4: PC−PICの生物学的性能
PICの生物学的性能を評価するためには、一旦生成した複合体を溶解する溶媒系を開発することが必要であった。PICは、水、水と混和する有機溶媒、および強くイオン化された単純電解質の三成分溶媒系に溶解することが知られている。上記の本発明のPICについて溶解性試験を行い、それらは水、エタノール、NaClの三成分混合溶媒に可溶性であることが判明した。従ってPICの溶液を用いて再生可能な被覆をPET上に施すことが可能であり、これを生物学的評価に用いることができた。タンパク質と材料の相互作用の程度の評価を行うために、細片を二重抗体フィブリノーゲン検定(Fg)およびマイクロbicinchoninic酸タンパク質検定(μ−BCA)に供した。表8は結果の要約である。ここでもポリイオンは使用モノマーの比率に基づき定義した。
【0079】
データから、ポリイオン複合体の被覆は対照のPET片よりも低い程度のタンパク質吸着を示すことがわかる。Tem及びSpm(4.3)のホモポリマーを混合して作った比較用PICは、Mpcを含むPICよりもタンパク質吸着を減らす効果が低い。このことはMpcが表面の「生体適合性」を改善するという見解と一致する。
【0080】
【表1】
Figure 0004633258
【0081】
【表2】
Figure 0004633258
【0082】
【表3】
Figure 0004633258
【0083】
【表4】
Figure 0004633258
【0084】
【表5】
Figure 0004633258
【0085】
【表6】
Figure 0004633258
【0086】
【表7】
Figure 0004633258
【0087】
【表8】
Figure 0004633258

【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、MpcxBmayTemzおよびMpcxBmaySpmz系(略号に関しては実施例参照)に基づく系からのポリイオン複合体生成に関する状態図であり;
【図2】 図2は、ポリイオン複合体の生成に関する一般化した図であり;そして
【図3】 図3は、MpcxGmayTemzおよびMpcxBmaySpmzに基づく系からのポリイオン複合体生成に関する状態図である。

Claims (23)

  1. 治療又は診断によるヒト又は動物の処置方法において使用するための組成物の製造方法における荷電ポリマーの使用であって、該処置方法において、荷電ポリマー含有組成物が体腔内に導入されそして多価の荷電対イオンを含有する別の組成物と接触され、こうして荷電ポリマーが体腔内で不溶性となるものであり、かつ荷電ポリマーが両性イオン性ペンダント基を有し、かつ、
    a)該荷電ポリマーが水溶性であり、
    b)該荷電ポリマーが該組成物中で溶液状態にあり、
    c)該荷電対イオンが高分子電解質であり、
    d)該荷電ポリマー中の荷電基対該対イオン中の対イオン基が2:1〜1:2の範囲内にあり、
    e)
    該荷電ポリマーが
    (i)下記一般式VIで表される両性イオン性モノマー:
    YBX VI
    式中、
    Bは直鎖状または分岐状アルカンジイル、アルカンジイルオキサアルカンジイルまたはアルカンジイルオリゴ(オキサアルカンジイル)鎖であり、一つまたはそれ以上のフッ素原子を最大過フッ素化物鎖を含むまでの範囲で含んでいてもよく、あるいは、XまたはYがBと結合した末端炭素原子を含む場合には、原子価結合であり;
    Xは、式V:
    Figure 0004633258
    式中、R 10 基は同一または異なり、そして各々が水素またはC 1 4 アルキルであり、そしてmは1〜4である、
    で表される両性イオン性の基であり;そして
    Yは下記から選ばれるエチレン性不飽和の重合可能基であり、
    Figure 0004633258
    CH 2 =C(R)−CH 2 −O−,CH 2 =C(R)−CH 2 OC(O)−,CH 2 =C(R)OC(O)−,CH 2 =C(R)−O−,CH 2 =C(R)CH 2 OC(O)N(R 11 )−,R 12 OOCCR=CRC(O)−O−,RCH=CHC(O)O−,RCH=C(COOR 12 )CH 2 −C(O)−O−,
    Figure 0004633258
    式中:
    Rは水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;
    11 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であるか、あるいはR 11 は、BおよびXが上記で定義された、-B−Xであり;そして
    12 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基または、BおよびXは上記で定義された、BXであり;
    Aは−O−または−NR 11 −であり;そして
    Kは基−(CH 2 p OC(O)−、−(CH 2 p C(O)O−、−(CH 2 p OC(O)O−、−(CH 2 p NR 13 −、−(CH 2 p NR 13 C(O)−、−(CH 2 p C(O)NR 13 −、−(CH 2 p NR 13 C(O)O−、−(CH 2 p OC(O)NR 13 −、−(CH 2 p NR 13 C(O)NR 13 −(ここでR 13 基は同一または異なり)、−(CH 2 p O−、−(CH 2 p SO 3 −、または、KはBと組み合わさって、原子価結合であり、そしてpは1〜12でありそしてR 13 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基である、
    (ii)下記一般式VIIで表されるカチオン性またはアニオン性モノマー:
    1 1 VII
    式中、Y 1 は下記から選ばれるエチレン性不飽和の重合可能基であり、
    Figure 0004633258
    CH 2 =C(R 15 )−CH 2 −O−,CH 2 =C(R 15 )−CH 2 OC(O)−,CH 2 =C(R 15 )OC(O)−,CH 2 =C(R 15 )−O−,CH 2 =C(R 15 )CH 2 OC(O)N(R 16 )−,R 17 OOCCR 15 =CR 15 C(O)−O−,R 15 CH=CHC(O)O−,R 15 CH=C(COOR 17 )CH 2 −C(O)−O−,
    Figure 0004633258
    式中:
    15 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;
    16 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であるか、あるいはR 16 は、B 1 およびQが下記で定義される、−B 1 −Qであり;
    17 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;
    Aは−O−または−NR 16 −であり;
    Kは基−(CH 2 r OC(O)−、−(CH 2 r C(O)O−、−(CH 2 r OC(O)O−、−(CH 2 r NR 18 −、−(CH 2 r NR 18 C(O)−、−(CH 2 r C(O)NR 18 −、−(CH 2 r NR 18 C(O)O−、−(CH 2 r OC(O)NR 18 −、−(CH 2 r NR 18 C(O)NR 18 −(ここでR 18 基は同一または異なり)、−(CH 2 r O−、−(CH 2 r SO 3 −、または、KはB 1 と組み合わさって、原子価結合であり、そしてrは1〜12でありそしてR 18 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;
    1 が直鎖状または分岐状アルカンジイル、アルカンジイルオキサアルカンジイルまたはアルカンジイルオリゴ(オキサアルカンジイル)鎖であり、一つまたはそれ以上のフッ素原子を最大過フッ素化物鎖を含むまでの範囲で含むことができ、あるいは、QまたはY 1 がB 1 と結合した末端炭素原子を含む場合には、原子価結合であることができ;そして
    Qは、N + 1 3 で表され、各R 1 が水素もしくはC 1 〜C 4 アルキルであるカチオン性の基Q 1 であるか、またはカルボン酸塩およびスルホン酸塩から選ばれるアニオン性の基Q 2 である、および
    (iii)下記一般式VIIIで表される非イオン性モノマー:
    2 14 VIII
    式中、
    2 が下記から選ばれるエチレン性不飽和の重合可能基であり、
    Figure 0004633258
    CH 2 =C(R 19 )−CH 2 −O−,CH 2 =C(R 19 )−CH 2 OC(O)−,CH 2 =C(R 19 )OC(O)−,CH 2 =C(R 19 )−O−,CH 2 =C(R 19 )CH 2 OC(O)N(R 20 )−,R 21 OOCCR 19 =CR 19 C(O)−O−,R 19 CH=CHC(O)O−,R 19 CH=C(COOR 21 )CH 2 −C(O)−O−,
    Figure 0004633258
    式中:
    19 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;
    20 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であるか、あるいはR 20 はR 14 であり;
    21 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基またはR 14 であり;
    Aは−O−または−NR 20 −であり;
    Kは基−(CH 2 s OC(O)−、−(CH 2 s C(O)O−、−(CH 2 s OC(O)O−、−(CH 2 s NR 22 −、−(CH 2 s NR 22 C(O)−、−(CH 2 s C(O)NR 22 −、−(CH 2 s NR 22 C(O)O−、−(CH 2 s OC(O)NR 22 −、−(CH 2 s NR 22 C(O)NR 22 −(ここでR 22 基は同一または異なり)、−(CH 2 s O−、−(CH 2 s SO 3 −、または原子価結合であり、そしてsは1〜12でありそしてR 22 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;そして
    14 は、水酸基;ハロゲン原子;アルコキシおよびオリゴ−アルコキシ基であってアルコキシ基が1〜6炭素原子を持つもの;非置換もしくは置換されたフェニル基(置換されたフェニル基中の置換基は水酸基、ハロゲン原子およびアルキル基から選ばれる);C 1 6 −アルカノイル基;C 1 6 −アルカノイルオキシ基;及びC 1 6 アルカノイルアミノ(これらのアルカノイル基のうちいかなるものもハロゲン原子及び水酸基から選ばれる置換基を持ってもよい)、ならびにアルコキシ基、からなるグループから選ばれる置換基によって置換されていてもよいC 1-24 −アルキルまたは−アルケニル基である、
    を含むエチレン性不飽和モノマーから形成され、
    f)該非イオン性モノマーが該エチレン性不飽和モノマー中の20〜70モル%の範囲内にあり、
    g)該両性イオン性モノマー対該イオン性モノマーのモル比が2:1〜1:3にあり、ならびに
    h)該エチレン性不飽和モノマー中の該両性イオン性モノマーと該イオン性モノマーの総モル量が30〜80%の範囲内にある、
    ことを特徴とする上記使用。
  2. 処置方法において不溶性のポリマーが治療的に活性な薬剤又は診断用薬剤である薬剤と組み合わされる請求項1記載の使用。
  3. 薬剤が画像形成剤である請求項2記載の使用。
  4. 体腔が血管である先行する請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
  5. 処置方法が静脈の塞栓又は動脈瘤の充填のためのものである請求項4記載の使用。
  6. 分子電解質が両性イオン性ペンダント基を有する請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
  7. 高分子電解質の両性イオン性基が、一般式IV
    Figure 0004633258
    式中、X4及びX5部分は、同一または異なり、−O−、−S−、−NH−または原子価結合、好ましくは−O−であり、そして
    +はアンモニウム、ホスホニウムまたはスルホニウムカチオン基、並びにアニオン性及びカチオン性の部分と結合する基、好ましくはC112−アルカンジイル基を含んでなる基である、
    で表される請求項に記載の使用。
  8. Wが下式
    −W1−N+8 3、−W1−P+9 3、−W1−S+9 2または−W1−Het+
    式中:
    11〜6炭素原子の、一つまたはそれ以上のエチレン性不飽和二重または三重結合、二置換されたアリール、アルキレンアリール、アリールアルキレン、又はアルキレンアリールアルキレン、二置換されたシクロアルキル、アルキレンシクロアルキル、シクロアルキルアルキレン又はアルキレンシクロアルキルアルキレンを含んでいてもよいアルカンジイルであり、このW1基は一つまたはそれ以上のフッ素置換基及び/又は一つまたはそれ以上の官能基を含んでいてもよく;そして
    8の各々の基は同一または異なり、そして各々が水素又は1〜4炭素原子のアルキル、またはフェニルであるか、あるいはR8基二つはそれらが結合する窒素原子と一緒になって5〜7原子を含む複素環を形成するか、またはR8基三つはそれらが結合する窒素原子と一緒になって各環内に5〜7原子を含む縮合環構造を形成し、そして一つまたはそれ以上のR8基が親水性官能基によって置換されていてもよく、そして
    9基は同一または異なり、そして各々がR8またはOR8基であり、ここでR8は上記で定義されるものであり;そして
    Hetは芳香族の窒素−、リン−もしくはイオウ−含環の基である請求項記載の使用。
  9. 1が直鎖状アルカンジイル基である請求項記載の使用。
  10. 1 が1,2−エタンジイルである請求項8または9記載の使用
  11. 高分子電解質の両性イオンが式V:
    Figure 0004633258
    式中、R10基は同一または異なり、そして各々が水素またはC14アルキルであり、そしてmは1〜4である
    で表される請求項7〜9のいずれかに記載の使用。
  12. YがCH2=C(R)COAであり、ここでRが水素またはメチルであり、そしてAがOである請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
  13. BがC112アルキレンである請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
  14. が(CH 2 q であり、ここで、qが2〜6である請求項13記載の使用。
  15. 高分子電解質が請求項1において、(ii)のカチオン性またはアニオン性モノマーについて定義する一般式VIIで表されるモノマーを包含するエチレン性不飽和モノマーから生成される請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
  16. 高分子電解質が請求項1において、(i)の両性イオン性モノマーについて定義する一般式VIで表されるモノマーをも包含するエチレン性不飽和モノマーから生成される、請求項15記載の使用。
  17. 2がCH2=C(CH3)COでありR14が非置換のC1-18−アルキルまたは−アルケニル基である、請求項1〜16のいずれかに記載の使用。
  18. 14 がn−ブチルである、請求項17記載の使用。
  19. 非イオン性モノマーがエチレン性不飽和モノマー中に、30〜50モル%の範囲で含まれる、請求項1〜18のいずれかに記載の使用。
  20. 荷電ポリマー中の荷電基対該対イオン中の対イオン性基の当量比が1.2:1〜1:1.2の範囲である、請求項1〜19のいずれかに記載の使用。
  21. 療又は診断による人間又は動物の処置用の製薬学的製剤であって、有効成分として、荷電ポリマーを含み、該荷電性ポリマーが体腔内へ導入され、体腔内で対イオンを含む別の組成物と接触させ、それによりポリマーが体腔内で不溶性となり、そして荷電ポリマーが両性イオン性ペンダント基を有し、かつ、
    a)該荷電ポリマーが水溶性であり、
    b)該荷電ポリマーが該組成物中で溶液状態にあり、
    c)該荷電対イオンが高分子電解質であり、
    d)該荷電ポリマー中の荷電基対該対イオン中の対イオン基が2:1〜1:2の範囲内にあり、
    e)
    該荷電ポリマーが
    (i)下記一般式VIで表される両性イオン性モノマー:
    YBX VI
    式中、
    Bは直鎖状または分岐状アルカンジイル、アルカンジイルオキサアルカンジイルまたはアルカンジイルオリゴ(オキサアルカンジイル)鎖であり、一つまたはそれ以上のフッ素原子を最大過フッ素化物鎖を含むまでの範囲で含んでいてもよく、あるいは、XまたはYがBと結合した末端炭素原子を含む場合には、原子価結合であり;
    Xは式V:
    Figure 0004633258
    式中、R 10 基は同一または異なり、そして各々が水素またはC 1 4 アルキルであり、そしてmは1〜4である
    で表される両性イオン性の基であり;そして
    Yは下記から選ばれるエチレン性不飽和の重合可能基であり、
    Figure 0004633258
    CH 2 =C(R)−CH 2 −O−,CH 2 =C(R)−CH 2 OC(O)−,CH 2 =C(R)OC(O)−,CH 2 =C(R)−O−,CH 2 =C(R)CH 2 OC(O)N(R 11 )−,R 12 OOCCR=CRC(O)−O−,RCH=CHC(O)O−,RCH=C(COOR 12 )CH 2 −C(O)−O−,
    Figure 0004633258
    式中:
    Rは水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;
    11 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であるか、あるいはR 11 は、BおよびXが上記で定義された、-B−Xであり;そして
    12 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基または、BおよびXは上記で定義された、BXであり;
    Aは−O−または−NR 11 −であり;そして
    Kは基−(CH 2 p OC(O)−、−(CH 2 p C(O)O−、−(CH 2 p OC(O)O−、−(CH 2 p NR 13 −、−(CH 2 p NR 13 C(O)−、−(CH 2 p C(O)NR 13 −、−(CH 2 p NR 13 C(O)O−、−(CH 2 p OC(O)NR 13 −、−(CH 2 p NR 13 C(O)NR 13 −(ここでR 13 基は同一または異なり)、−(CH 2 p O−、−(CH 2 p SO 3 −、または、KはBと組み合わさって、原子価結合であることができ、そしてpは1〜12でありそしてR 13 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基である、
    (ii)下記一般式VIIで表されるカチオン性またはアニオン性モノマー:
    1 1 VII
    式中、Y 1 は下記から選ばれるエチレン性不飽和の重合可能基であり、
    Figure 0004633258
    CH 2 =C(R 15 )−CH 2 −O−,CH 2 =C(R 15 )−CH 2 OC(O)−,CH 2 =C(R 15 )OC(O)−,CH 2 =C(R 15 )−O−,CH 2 =C(R 15 )CH 2 OC(O)N(R 16 )−,R 17 OOCCR 15 =CR 15 C(O)−O−,R 15 CH=CHC(O)O−,R 15 CH=C(COOR 17 )CH 2 −C(O)−O−,
    Figure 0004633258
    式中:
    15 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;
    16 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であるか、あるいはR 16 は、B 1 およびQが下記で定義される、−B 1 −Qであり;
    17 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;
    Aは−O−または−NR 16 −であり;
    Kは基−(CH 2 r OC(O)−、−(CH 2 r C(O)O−、−(CH 2 r OC(O)O−、−(CH 2 r NR 18 −、−(CH 2 r NR 18 C(O)−、−(CH 2 r C(O)NR 18 −、−(CH 2 r NR 18 C(O)O−、−(CH 2 r OC(O)NR 18 −、−(CH 2 r NR 18 C(O)NR 18 −(ここでR 18 基は同一または異なり)、−(CH 2 r O−、−(CH 2 r SO 3 −、または、KはB 1 と組み合わさって、原子価結合であることができ、そしてrは1〜12でありそしてR 18 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;
    1 が直鎖状または分岐状アルカンジイル、アルカンジイルオキサアルカンジイルまたはアルカンジイルオリゴ(オキサアルカンジイル)鎖であり、一つまたはそれ以上のフッ素原子を最大過フッ素化物鎖を含むまでの範囲で含んでいてもよく、あるいは、QまたはY 1 がB 1 と結合した末端炭素原子を含む場合には、原子価結合であることができ;そして
    Qは、N + 1 3 で表され、各R 1 が水素もしくはC 1 〜C 4 アルキルであるカチオン性の基Q 1 であるか、またはカルボン酸塩およびスルホン酸塩から選ばれるアニオン性の基Q 2 である、および
    (iii)下記一般式VIIIで表される非イオン性モノマー:
    2 14 VIII
    式中、
    2 が下記から選ばれるエチレン性不飽和の重合可能基であり、
    Figure 0004633258
    CH 2 =C(R 19 )−CH 2 −O−,CH 2 =C(R 19 )−CH 2 OC(O)−,CH 2 =C(R 19 )OC(O)−,CH 2 =C(R 19 )−O−,CH 2 =C(R 19 )CH 2 OC(O)N(R 20 )−,R 21 OOCCR 19 =CR 19 C(O)−O−,R 19 CH=CHC(O)O−,R 19 CH=C(COOR 21 )CH 2 −C(O)−O−,
    Figure 0004633258
    式中:
    19 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;
    20 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であるか、あるいはR 20 はR 14 であり;
    21 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基またはR 14 であり;
    Aは−O−または−NR 20 −であり;
    Kは基−(CH 2 s OC(O)−、−(CH 2 s C(O)O−、−(CH 2 s OC(O)O−、−(CH 2 s NR 22 −、−(CH 2 s NR 22 C(O)−、−(CH 2 s C(O)NR 22 −、−(CH 2 s NR 22 C(O)O−、−(CH 2 s OC(O)NR 22 −、−(CH 2 s NR 22 C(O)NR 22 −(ここでR 22 基は同一または異なり)、−(CH 2 s O−、−(CH 2 s SO 3 −、または原子価結合であり、そしてsは1〜12でありそしてR 22 は水素またはC 1 〜C 4 アルキル基であり;そして
    14 は、水酸基;ハロゲン原子;アルコキシおよびオリゴ−アルコキシ基であってアルコキシ基が1〜6炭素原子を持つもの;置換されていてもよいフェニル基(フェニル基の置換基は水酸基、ハロゲン原子およびアルキル基から選ばれる);C 1 6 −アルカノイル基;C 1 6 −アルカノイルオキシ基;及びC 1 6 アルカノイルアミノ(これらのアルカノイル基のうちいかなるものもハロゲン原子及び水酸基から選ばれる置換基を持ってもよい)、ならびにアルコキシ基、からなるグループから選ばれる置換基によって置換されていてもよいC 1-24 −アルキルまたは−アルケニル基である、
    を含むエチレン性不飽和モノマーから形成され、
    f)該非イオン性モノマーが該エチレン性不飽和モノマー中に、20〜70モル%の範囲内にあり、
    g)該両性イオン性モノマー対該イオン性モノマーのモル比が2:1〜1:3にあり、ならびに
    h)該エチレン性不飽和モノマー中に該両性イオン性モノマーと該イオン性モノマーの総モル量が30〜80%の範囲内にある、
    ことを特徴とする上記製剤。
  22. 体腔が血管である、請求項21記載の製剤
  23. 血管に動脈瘤が存在する、請求項22記載の製剤
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