以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明によるインクジェット式記録装置(液体噴射装置の一例)の第1の実施の形態の概略斜視図であり、図2は、その装置内部の印字機構を示す概略構成図である。図1及び図2に示すように、本実施の形態のインクジェット式記録装置は、筐体3と、黒インクカートリッジ1(液体容器)及びカラーインクカートリッジ2(液体容器)が載置されるキャリッジ11とを備えている。
図1に示すように、筐体3の上面には、操作パネル4が設けられている。この場合、操作パネル4には、電源スイッチ5、インクカートリッジ交換指令スイッチ6、黒インククリーニング指令スイッチ7、カラーインククリーニング指令スイッチ8、黒インクインクエンド表示器9及びカラーインクインクエンド表示器10が設けられている。
図2に示すように、キャリッジ11は、タイミングベルト12を介してキャリッジ駆動モータ13に接続される共に、ガイド部材14に摺動可能に支持されている。ガイド部材14は、プラテン15と平行に配置されている。これにより、キャリッジ11はプラテン15に平行に往復移動可能となっている。この移動方向は主操作方向と呼ばれる。
キャリッジ11の下方面には、黒インクを吐出するための複数のノズル開口が配列された黒インク用記録ヘッド17と、イエロー、マゼンタ及びシアンの3色のカラーインクをそれぞれ吐出するための複数のノズル開口が配列されたカラーインク用記録ヘッド18とが設けられている。
黒インク用記録ヘッド17及びカラーインク用記録ヘッド18が対向する面には、記録紙などの記録媒体16が、主操作方向と直交する方向に移動可能に支持されている。この方向は副操作方向と呼ばれる。
記録ヘッド17及び18の非印刷領域の一部(図2の右側領域)には、キャッピングユニット19(クリーニング部)が配置されている。キャッピングユニット19は、黒インク用記録ヘッド17のノズル開口を封止するキャップ20aと、カラーインク用記録ヘッド18のノズル開口を各色毎に封止するキャップ20b〜20dとを有している。
この場合、これらのキャップ20a〜20dは、同一のスライダ21に搭載されており、モータ等によって駆動される4連構成のポンプユニット23a〜23d(クリーニング部)にチューブ(図示せず)を介してそれぞれ接続されている。これにより、各キャップ20a〜20dは独立に負圧の供給を受けて、対応する記録ヘッド17及び18の各色毎のノズル開口からインクを吸引する、すなわち、クリーニング処理(液体排出処理)を行うようになっている。
図3は、黒インクカートリッジ1の斜視図である。図3に示すように、黒インクカートリッジ1は、黒インクを収容するインク室1aを有しており、インク室1aと黒インク用記録ヘッド17のインク連通路17aとを接続可能なインク供給口26が底面25に設けられている。また、当該底面25には、電気的に書換え可能なメモリ装置である半導体記憶手段27(記憶部)が設けられている。また、半導体記憶手段27へのアクセスのための電気接点33も、底面25に設けられている。
この場合、半導体記憶手段27は、当該黒インクカートリッジ1の製造時点に関する情報、例えば製造年月日と、インク室1aに収容されるインクの特性に関する情報とを記憶している。インク室1aには、フォーム材に浸透された態様で黒色の顔料インクが収容されている。
一方、図4は、カラーインクカートリッジ2の斜視図である。図4に示すように、カラーインクカートリッジ2は、カラーインクとしてのイエロー、マゼンダ、シアンの各インクを個別に収容するインク室2a、2b、2cを有しており、各インク室2a、2b、2cとカラーインク用記録ヘッド18のインク連通路18aとを接続可能なインク供給口29〜31が、底面28に設けられている。また、当該底面28には、電気的に書換え可能なメモリ装置である半導体記憶手段32(記憶部)が設けられている。また、半導体記憶手段32へのアクセスのための電気接点34も、底面28に設けられている。
この場合、半導体記憶手段32は、当該カラーインクカートリッジ2の製造時点に関する情報、例えば製造年月日と、各インク室2a〜2cに収容されるインクの特性に関する情報とを記憶している。各インク室2a〜2cには、フォーム材に浸透された態様で各色の顔料インクが収容されている。
図5は、図3及び図4に示す各カートリッジ1及び2が装着されるヘッドホルダ35(液体容器設置部)を示す斜視図である。図5に示すように、ヘッドホルダ35には、各カートリッジ1及び2の電気接点33及び34と電気的に接触可能な電気接点36及び37が設けられている。これらの電気接点36及び37は、半導体記憶手段27及び32に記憶された情報を読取る情報読取部38及び39にそれぞれ接続されている。情報読取部38及び39は、フレキシブルケーブル40によって、記録装置本体の制御装置41(図2参照)に接続されている。
半導体記憶手段27及び32は、書込みできない読取り専用の記憶手段であってもよい。あるいは、これらが書込み可能な記憶手段である場合、情報読取部38及び39は、半導体記録手段27及び32に対する書込み機能を有していてもよい。
具体的には、半導体記録手段27及び32は、ICチップにより構成され得る。もっとも、半導体記録手段27及び32は、バーコード、磁気テープ等、公知の任意の記憶部材に置換され得る。その場合、情報読取部38及び39の態様も、各記憶部材に合わせて変更され得る。
図6は、制御装置41の概略ブロック図である。図6に示すように、キャリッジ11の各インクカートリッジ1、2が対向する位置に押圧スイッチ43、44がそれぞれ設けられている。各押圧スイッチ43、44は、インクカートリッジ交換判定部42に接続され、各インクカートリッジ1、2が交換されたか否かが判定されるようになっている。
キャリッジモータ制御部45は、主制御部46からの制御を受けて、キャリッジ11をプラテン15と平行に移動させるようになっている。
吸引制御部47(クリーニング(液体排出)制御部の制御本体部)は、主制御部46による制御を受けて、キャリッジモータ制御部45を介して記録ヘッド17及び18のノズル開口をキャッピングユニット19によって封止させると共に、ポンプ駆動部48を介して各吸引ポンプ23a〜23dの吸引力や吸引時間を制御するようになっている。
印字・フラッシング制御部49は、ホスト(図示せず)からの記録データに基づいてヘッド駆動部50を駆動させ、記録ヘッド17及び18のノズル開口からインク滴を適宜に吐出させて印字を実行するようになっている。さらに、インクの増粘の程度等に応じてヘッド駆動部50を駆動させ、記録ヘッド17及び18のノズル開口部分のインクを微振動させてフラッシング処理を実行するようになっている。
主制御部46は、ホスト(図示せず)からの記録データ等に基づいて、キャリッジモータ制御部45、印字・フラッシング制御部49及び吸引制御部47を制御するようになっている。また、主制御部46は、現在時点を認識する時計機能部46aに接続されている。時計機能部46aは、独自に時計機能を有していてもよいが、通常はホストから時計情報を得るようになっている。
ここで、本実施の形態の主制御部46は、インクカートリッジ交換判定部42が黒インクカートリッジ1が交換されたことを判定した場合、新しい黒インクカートリッジ1の半導体記憶手段27に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ1が製造された製造年月日及び当該インクカートリッジ1が収容する黒インクの特性に関する情報を、情報読取部38を介して取得するようになっている。
そして、主制御部46に設けられた演算部46b(クリーニング(液体排出)制御部及びインクエンド判別部の演算部)が、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量及びインク消費予定量を演算するようになっている。この演算方法について、図7を用いて説明する。
図7に示すように、製造直後のインクカートリッジ1のインク室1aに含まれる黒インクは、上方部においても底部においても略同一のインク濃度である。しかしながら、製造後所定の向き(インク供給口26が下方となる向き)で保管される状態が継続すると、重力による顔料の沈降の影響により、図7中の矢印に示すように、インク室1aの底部においてはインク濃度が高くなり、上方部においてはインク濃度が低くなる。
従って、製造後に所定時間以上が経過した場合、インク室1aの底部のインクAは極めて高いインク濃度となっているため、記録を高品質に行うことが困難である。そこで、このようなインクAをクリーニング処理によって排出すべく、インクの初期吸引量(初期排出量)は経過時間の長さに応じて領域Aの分だけ多く設定される。
主制御部46及び吸引制御部47は、このインクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23aを制御して、インクカートリッジ交換時におけるインク充填吸引処理を実行するようになっている。
逆に、製造後に所定時間以上が経過した場合、インク室1aの上方部のインクBは極めて低いインク濃度となっているため、記録を高品質に行うことが困難である。そこで、このようなインクBを使用することを積極的に回避すべく、インク消費予定量は領域Bの分だけ少なく設定される。
主制御部46は、このインク消費予定量を、インクエンド制御部51に送るようになっている。インクエンド制御部51については後述する。
同様に、本実施の形態の主制御部46は、インクカートリッジ交換判定部42がカラーインクカートリッジ2が交換されたことを判定した場合、新しいカラーインクカートリッジ2の半導体記憶手段32に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ2が製造された製造年月日及び当該インクカートリッジ2が収容する各インクの特性に関する情報を、情報読取部39を介して取得するようになっている。
そして、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、各色毎に、インクの初期吸引量及びインク消費予定量を演算するようになっている。この演算方法については、図7を用いて前述した方法と略同様である。
すなわち、図7に示すように、製造直後のインクカートリッジ2の各インク室2a〜2cに含まれる各インクは、上方部においても底部においても略同一のインク濃度であるが、製造後所定の向き(インク供給口29〜31が下方となる向き)で保管される状態が継続すると、重力による顔料の沈降の影響により、インク室2a〜2cの底部においてはインク濃度が高くなり、上方部においてはインク濃度が低くなる。
従って、製造後に所定時間以上が経過した場合、インク室2a〜2cの底部のインクAは極めて高いインク濃度となっているため、記録を高品質に行うことが困難である。そこで、このようなインクAをクリーニング処理によって排出すべく、各インクの初期吸引量は経過時間の長さに応じて領域Aの分だけ多く設定される。
主制御部46及び吸引制御部47は、この各インクの初期吸引量に応じて対応する各吸引ポンプ23b〜23dを制御して、インクカートリッジ交換時における各インクの充填吸引処理を実行するようになっている。
逆に、製造後に所定時間以上が経過した場合、インク室2a〜2cの上方部のインクBは極めて低いインク濃度となっているため、記録を高品質に行うことが困難である。そこで、このようなインクBを使用することを積極的に回避すべく、各インクのインク消費予定量は領域Bの分だけ少なく設定される。
主制御部46は、この各インク消費予定量を、インクエンド制御部51に送るようになっている。
インクエンド制御部51について、図8を用いて説明する。図8は、インクエンド制御部51の概略ブロック図である。図8に示すように、インクエンド制御部51は、黒インク消費量を積算する黒インク消費量積算部51aと、黒インクのインク消費予定量記憶部52aと、各カラー色のインク消費量をそれぞれ積算するカラーインク消費量積算部51b〜51dと、各カラー色のインク消費予定量記憶部52b〜52dと、黒インク残量比較部53と、カラーインク残量比較部54と、を有している。
各インク消費量積算部51a〜51dは、各色毎に、記録のために吐出されるインク吐出量(吐出数及び各吐出における吐出量の積の和)及びクリーニング処理により吸引されるインク吸引量の和を積算するようになっている。
各インク消費予定量記憶部52a〜52dには、前述のように主制御部46から送られる値が記憶されるようになっている。
黒インク残量比較部53(液体エンド判別部の判別本体部)は、黒インク消費量積算部51aが積算した黒インクの消費量と、インク消費予定量記憶部52aに記憶された黒インクの消費予定量とを比較して、前者の方が後者を上回った時に黒インクのインクエンドを判別し、当該信号を黒インクインクエンド表示器9に送るようになっている。
カラーインク残量比較部54(液体エンド判別部の判別本体部)は、カラーインク消費量積算部51b〜51dが積算した各カラーインクの消費量と、インク消費予定量記憶部52b〜52dに記憶された各インクの消費予定量とをそれぞれ比較して、前者の方が後者を上回るインク(色)が存在した時に当該インクのインクエンドを判別し、当該信号をカラーインクインクエンド表示器10に送るようになっている。
次に、以上のような構成よりなる本実施の形態の作用について説明する。
黒インクカートリッジ1が交換されると、インクカートリッジ交換判定部42が押圧スイッチ43からの信号によって黒インクカートリッジ1が交換されたことを判定する。
そして、主制御部46が、新しい黒インクカートリッジ1の半導体記憶手段27に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ1が製造された製造年月日及び当該インクカートリッジ1が収容する黒インクの特性に関する情報を、情報読取部38を介して取得する。
次に、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算する。さらに演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、黒インクの初期吸引量及びインク消費予定量を演算する。
製造後に所定時間以上が経過した場合、インク室1aの底部のインクA(図7参照)は極めて高いインク濃度となっており、記録を高品質に行うことが困難であるため、このようなインクAをクリーニング処理によって排出すべく、インクの初期吸引量は経過時間の長さに応じて領域Aの分だけ多く設定される。
逆に、製造後に所定時間以上が経過した場合、インク室1aの上方部のインクB(図7参照)は極めて低いインク濃度となっており、記録を高品質に行うことが困難であるため、このようなインクBを使用することを積極的に回避すべく、インク消費予定量は領域Bの分だけ少なく設定される。主制御部46は、このインク消費予定量をインクエンド制御部51に送って、インク消費予定量記憶部52aに記憶させる。
主制御部46及び吸引制御部47は、求めたインクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23aを制御して、インクカートリッジ交換時における黒インクの充填吸引処理を実行する。
その後の記録装置の使用過程において、インク消費量積算部51aは、記録のためにノズル開口から吐出される黒インクの吐出量(吐出数及び各吐出における吐出量の積の和)及びクリーニング処理により吸引される黒インクの吸引量の和を積算する。
そして、黒インク残量比較部53が、黒インク消費量積算部51aが積算した黒インクの消費量と、インク消費予定量記憶部52aに記憶された黒インクの消費予定量とを比較して、前者の方が後者を上回った時に黒インクのインクエンドを判別し、当該信号を黒インクインクエンド表示器9に送る。
同様に、カラーインクカートリッジ2が交換されると、インクカートリッジ交換判定部42が押圧スイッチ44からの信号によってカラーインクカートリッジ2が交換されたことを判定する。
そして、主制御部46が、新しいカラーインクカートリッジ2の半導体記憶手段32に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ2が製造された製造年月日及び当該インクカートリッジ2が収容する各カラーインクの特性に関する情報を、情報読取部39を介して取得する。
次に、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算する。さらに演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、各カラーインクの初期吸引量及びインク消費予定量を演算する。
製造後に所定時間以上が経過した場合、各インク室2a〜2cの底部のインクA(図7参照)は極めて高いインク濃度となっており、記録を高品質に行うことが困難であるため、このようなインクAをクリーニング処理によって排出すべく、各インクの初期吸引量は経過時間の長さに応じて領域Aの分だけ多く設定される。
逆に、製造後に所定時間以上が経過した場合、各インク室2a〜2cの上方部のインクB(図7参照)は極めて低いインク濃度となっており、記録を高品質に行うことが困難であるため、このようなインクBを使用することを積極的に回避すべく、各インクの消費予定量は領域Bの分だけ少なく設定される。主制御部46は、この各インク消費予定量をインクエンド制御部51に送って、インク消費予定量記憶部52b〜52dにそれぞれ記憶させる。
主制御部46及び吸引制御部47は、求めた各インクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23b〜23dを制御して、インクカートリッジ交換時における各カラーインクの充填吸引処理を実行する。
その後の記録装置の使用過程において、インク消費量積算部51b〜51dは、記録のためにノズル開口から吐出される各カラーインクの吐出量及びクリーニング処理により吸引される各カラーインクの吸引量の和を、それぞれの色毎に積算する。
そして、カラーインク残量比較部54が、各カラーインク消費量積算部51b〜51dが積算した各インクの消費量と、各インク消費予定量記憶部52b〜52dに記憶された各インク消費予定量とをそれぞれ比較して、前者の方が後者を上回る色が存在した時に当該インク(色)のインクエンドを判別し、当該信号をカラーインクインクエンド表示器10に送る。
以上のように、本実施の形態によれば、インクカートリッジ1、2の製造時点に関する情報に基づいて吸引ポンプ23a〜23dが制御されるため、インクカートリッジ1、2の交換時に、適切なインクの充填吸引処理(クリーニング)が実施され得る。
本実施の形態では、演算部46bがインクカートリッジ1、2の製造年月日から現在時点までの経過時間を演算し、経過時間の長さに応じて、インクの初期吸引量がより多くなるように吸引ポンプ23a〜23dを制御するようになっているため、製造時点からの経過時間が長いために最初にノズル開口に導入されるインクの濃度が所定レベルを超えて高い場合に、当該インクを吸引(クリーニング)によって排出させることが可能である。
更に、カラーインクカートリッジ2については、各インク室2a〜2cに収容された各インクの各々について、インクカートリッジ2の製造時点に関する情報に基づいて吸引ポンプ23b〜23dが制御されるため、インクカートリッジの交換時に、各インク毎の適切な充填吸引処理(クリーニング)が実施され得る。
また、本実施の形態によれば、インクカートリッジ1、2の製造時点に関する情報とインク消費量とに基づいてインクエンドが判別されるため、所定のレベルのインク濃度でのインクエンドを適切に判別することができる。
本実施の形態では、演算部46bがインクカートリッジ1、2の製造年月日から現在時点までの経過時間を演算し、経過時間の長さに応じて、より少ないインク消費量でインクエンドを判別するようになっているため、製造時点からの経過時間が長いために残り少ないインクの濃度が所定レベルを超えて低い場合に、当該インクの消費前にインクエンドを判別することが可能である。
更に、カラーインクカートリッジ2については、各インク室2a〜2cに収容された各インクの各々について、インクカートリッジ2の製造時点に関する情報及び各インクの消費量に基づいてインクエンドを判別するため、各インク毎に適切なインクエンドを判別することができる。
なお、本実施の形態では、インク消費量として、ノズル開口からのインク吐出量とインク吸引量との和を積算しているので、より正確にインク消費量を把握することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態のインクジェット式記録装置について図9及び図10を用いて説明する。図9は、本発明の第2の実施の形態のインクジェット式記録装置内部の印字機構を示す概略構成図であり、図10は、図9の装置の制御系を示す概略ブロック図である。
図9及び図10に示すように、本実施の形態のインクジェット式記録装置のキャッピングユニット19は、黒インク用記録ヘッド17のノズル開口を封止するキャップ20aと、カラーインク用記録ヘッド18のノズル開口を共通に封止するキャップ20eとを有している。
この場合、これらのキャップ20a、20eは、同一のスライダ21に搭載されており、モータ等によって駆動される2連構成のポンプユニット23a、23e(クリーニング部)にチューブ(図示せず)を介してそれぞれ接続されている。これにより、各キャップ20a、20eは独立に負圧の供給を受けて、対応する記録ヘッド17及び18のノズル開口からインクを吸引する、すなわち、クリーニング処理を行うようになっている。
その他の構成は、図1乃至図8に示す第1の実施の形態と同様の構成である。第2の実施の形態において、図1乃至図8に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においても、カラーインクカートリッジ2が交換されると、インクカートリッジ交換判定部42が押圧スイッチ44からの信号によってカラーインクカートリッジ2が交換されたことを判定する。
そして、主制御部46が、新しいカラーインクカートリッジ2の半導体記憶手段32に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ2が製造された製造年月日及び当該インクカートリッジ2が収容する各カラーインクの特性に関する情報を、情報読取部39を介して取得する。
次に、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算する。さらに演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、各カラーインクの初期吸引量及びインク消費予定量を演算する。
主制御部46は、この各インク消費予定量をインクエンド制御部51に送って、インク消費予定量記憶部52b〜52dにそれぞれ記憶させる。
主制御部46及び吸引制御部47は、求めた各インクの初期吸引量のうちで最大の初期吸引量に応じて、吸引ポンプ23eを制御して、インクカートリッジ交換時における各カラーインクの充填吸引処理を実行する。
以上のように、本実施の形態によれば、インクカートリッジ1、2の製造時点に関する情報に基づいて吸引ポンプ23a、23eが制御されるため、インクカートリッジ1、2の交換時に、適切なインクの充填吸引処理(クリーニング)が実施され得る。
本実施の形態では、演算部46bがインクカートリッジ1、2の製造年月日から現在時点までの経過時間を演算し、経過時間の長さに応じて、インクの初期吸引量がより多くなるように吸引ポンプ23a、23eを制御するようになっているため、製造時点からの経過時間が長いために最初にノズル開口に導入されるインクの濃度が所定レベルを超えて高い場合に、当該インクを吸引(クリーニング)によって排出させることが可能である。
特に、カラーインクカートリッジ2については、各インク室2a〜2cに収容された各インクに対して共通に、インクカートリッジ2の製造時点に関する情報に基づいて吸引ポンプ23eが制御されるため、インクカートリッジの交換時に、簡便な充填吸引処理(クリーニング)が実施され得る。
次に、本発明の第3の実施の形態のインクジェット式記録装置について図11及び図12を用いて説明する。図11は、本発明の第3の実施の形態のインクジェット式記録装置内部の印字機構を示す概略構成図であり、図12は、図11の装置の制御系を示す概略ブロック図である。
図11及び図12に示すように、本実施の形態のインクジェット式記録装置のキャッピングユニット19は、黒インク用記録ヘッド17のノズル開口とカラーインク用記録ヘッド18のノズル開口とを共通に封止するキャップ20gを有している。
この場合、共通のキャップ20gは、スライダ21に搭載されており、モータ等によって駆動される単一のポンプユニット23g(クリーニング部)にチューブ(図示せず)を介して接続されている。これにより、キャップ20gは負圧の供給を受けて、記録ヘッド17及び18の全ノズル開口からインクを吸引する、すなわち、クリーニング処理を行うようになっている。
その他の構成は、図9及び図10に示す第2の実施の形態と同様の構成である。第3の実施の形態において、図9及び図10に示す第2の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態においても、黒インクカートリッジ1が交換されると、インクカートリッジ交換判定部42が押圧スイッチ43からの信号によって黒インクカートリッジ1が交換されたことを判定する。
そして、主制御部46が、新しい黒インクカートリッジ1の半導体記憶手段27に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ1が製造された製造年月日及び当該インクカートリッジ1が収容する黒インクの特性に関する情報を、情報読取部38を介して取得する。
次に、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算する。さらに演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、黒インクの初期吸引量及びインク消費予定量を演算する。
主制御部46は、このインク消費予定量をインクエンド制御部51に送って、インク消費予定量記憶部52aに記憶させる。
主制御部46及び吸引制御部47は、求めたインクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23gを制御して、インクカートリッジ交換時における黒インクの充填吸引処理を実行する。
同様に、カラーインクカートリッジ2が交換されると、インクカートリッジ交換判定部42が押圧スイッチ44からの信号によってカラーインクカートリッジ2が交換されたことを判定する。
そして、主制御部46が、新しいカラーインクカートリッジ2の半導体記憶手段32に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ2が製造された製造年月日及び当該インクカートリッジ2が収容する各カラーインクの特性に関する情報を、情報読取部39を介して取得する。
次に、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算する。さらに演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、各カラーインクの初期吸引量及びインク消費予定量を演算する。
主制御部46は、この各インク消費予定量をインクエンド制御部51に送って、インク消費予定量記憶部52b〜52dにそれぞれ記憶させる。
主制御部46及び吸引制御部47は、求めた各インクの初期吸引量のうち最大の初期吸引量に応じて吸引ポンプ23gを制御して、インクカートリッジ交換時における各カラーインクの充填吸引処理を実行する。
黒インクカートリッジ1及びカラーインクカートリッジ2が同時に交換される時には、黒インクとカラーの各インクの初期吸引量のうちで最大の初期吸引量に応じて吸引ポンプ23gが制御されて、インクカートリッジ交換時における各カラーインクの充填吸引処理が実行される。
以上のように、本実施の形態によれば、インクカートリッジ1、2の製造時点に関する情報に基づいて吸引ポンプ23gが制御されるため、インクカートリッジ1、2の交換時に、適切なインクの充填吸引処理(クリーニング)が実施され得る。
本実施の形態では、演算部46bがインクカートリッジ1、2の製造年月日から現在時点までの経過時間を演算し、経過時間の長さに応じて、インクの初期吸引量がより多くなるように吸引ポンプ23gを制御するようになっているため、製造時点からの経過時間が長いために最初にノズル開口に導入されるインクの濃度が所定レベルを超えて高い場合に、当該インクを吸引(クリーニング)によって排出させることが可能である。
なお、以上の各実施の形態では、黒インク用記録ヘッド17とカラーインク用記録ヘッド18とが別個に構成されているが、これらは一体に形成されていてもよい。
また、以上の各実施の形態では、液体排出部としてクリーニング部が作動する態様となっているが、液体排出部としてフラッシング部が作動してもよい。ここで、フラッシング部とは、主として、キャッピングユニット19及び印字・フラッシング制御部49からなる。
この場合、例えば印字・フラッシング制御部49は、主制御部46による制御を受けて、キャリッジモータ制御部45を介して記録ヘッド17及び18のノズル開口をキャッピングユニット19によって封止させると共に、ヘッド駆動部50を駆動させて前記の各インクの初期吸引量と同一量のインクをノズル開口から吐出させる。
このようなフラッシング処理によっても、インクカートリッジ交換時における各インクの充填処理を好適に実行することができる。
なお、以上の各実施の形態では、インクカートリッジが製造された製造年月日に基づいて各インクの初期吸引量及び消費予定量が決定されている。しかしながら、より広くは、各インクの初期吸引量及び消費予定量は、インク室におけるインクの沈降状態に関する他の情報に基づいて決定されてもよい。
例えば、黒インクカートリッジ1の半導体記憶手段27は、当該インクカートリッジ1が収容する黒インクについての特性として、沈降特性情報を記憶し得る。この場合、前記の各実施の形態の主制御部46は、インクカートリッジ設置判定部42が黒インクカートリッジ1が設置されたことを判定した場合、新しい黒インクカートリッジ1の半導体記憶手段27に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ1が製造された製造年月日と当該インクカートリッジ1が収容する黒インクについての沈降特性情報とを、情報読取部38を介して取得する。
例えば、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算し、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算方法について、図13を用いて説明する。
図13は、あるインクカートリッジでの、製造後2年間の静置状態の後に吐出されたインクについて、OD値を測定したグラフである。OD値は、インクの濃度に略比例する指標である。
図13に示すように、消費インク量が0〜5gの範囲では、OD値が急激に上昇しており、5g〜20gの範囲では、OD値が徐々に低下して、以後は所定レベルにて安定する。従って、この場合には、インクの初期吸引量を少なくとも5g以上とすることが好ましい。
図13に示すようなOD値の所定レベルに対する偏差の程度は、インクの沈降現象の継続時間、この場合、製造年月日から現在時点までの経過時間に依存する。
従って、製造後に所定時間以上が経過した場合、インクの沈降現象によって濃度差が生じているインクをクリーニング処理によって排出すべく、インクの初期吸引量は製造後経過時間の長さに応じて多く設定される。ここで、製造後経過時間の長さに加えて、黒インクの沈降特性情報(沈降現象の発生のし易さ)が考慮され得る。この場合、演算部46bが沈降状態推定部として機能する。
あるいは、インクカートリッジ設置判定部42が黒インクカートリッジ1が設置されたことを判定した場合、主制御部46は、時計機能部46aを利用して当該設置時に関する情報を取得する。
インクカートリッジの形態によっては、インクカートリッジ内の狭い流路部分でのインクの沈降状態が、インクカートリッジの設置前に使用者が当該インクカートリッジを上下等に振ったり転回させたりすることによって解消可能な場合がある。このような場合、その後のインクジェット記録装置において問題となり得るインクの沈降現象は、インクカートリッジの設置時点から継続することになる。
従って、この場合、好ましくは、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された設置時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図13のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、黒インクの沈降特性情報が考慮され得る。
あるいは、主制御部46は、時計機能部46aを利用して、前回の黒インク吐出時に関する情報を取得する。
インクジェット記録装置の使用の態様によっては、前回の黒インク吐出時から長時間に亘って黒インクの使用が中断される場合がある。このような場合、その後のインクジェット記録装置において問題となり得るインクの沈降現象は、前回のインク吐出時点から継続することになる。
従って、この場合、好ましくは、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された前回のインク吐出時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図13のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、黒インクの沈降特性情報が考慮され得る。
あるいは、インクカートリッジが攪拌機構等によって攪拌され得る場合、前回のインクカートリッジ攪拌時に関する情報は、インクカートリッジの半導体記憶手段27に記憶され得る。この場合、当該情報は、情報読取部38を介して取得され得る。
あるいは、インクジェット記憶装置内にインクカートリッジを攪拌する攪拌機構が設けられている場合、主制御部46が、時計機能部46aを利用して、前回のインクカートリッジ攪拌時に関する情報を取得してもよい。
以上のような場合、当該攪拌機構を活用して、インク吐出の前にインクの沈降状態を常に解消させることが好ましい。しかしながら、当該攪拌機構の使用と濃度差の生じたインクのクリーニング(吸引)とが、コスト等の諸要因を加味して選択的になされ得る場合がある。このような場合、インクジェット記録装置において問題となり得るインクの沈降現象は、前回の攪拌時点から継続することになる。
従って、この場合、好ましくは、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された前回の攪拌時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図13のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、黒インクの沈降特性情報が考慮され得る。
主制御部46及び吸引制御部47は、求めた黒インクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23aを制御して、インクカートリッジ設置時等におけるインク充填吸引処理を実行するようになっている。
同様に、例えば、前記の各実施の形態の主制御部46は、インクカートリッジ設置判定部42がカラーインクカートリッジ2が設置されたことを判定した場合、新しいカラーインクカートリッジ2の半導体記憶手段32に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ2が製造された製造年月日と当該インクカートリッジ2が収容する各インクの沈降特性情報とを、情報読取部39を介して取得するようになっている。
そして、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、各カラーインクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算の詳細については、黒インクの場合と略同様である。ここで、経過時間の長さに加えて、各カラーインクの沈降特性情報(沈降現象の発生のし易さ)が考慮されることが好ましい。
あるいは、インクカートリッジ設置判定部42がカラーインクカートリッジ2が設置されたことを判定した場合、主制御部46は、時計機能部46aを利用して当該設置時に関する情報を取得する。
この場合、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された設置時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図13のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、各カラーインクの沈降特性情報が考慮され得る。
あるいは、主制御部46は、時計機能部46aを利用して、前回のカラーインク吐出時に関する情報を取得する。
この場合、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された前回のカラーインク吐出時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図13のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、各カラーインクの沈降特性情報が考慮され得る。
あるいは、カラーインクカートリッジが攪拌機構等によって攪拌され得る場合、前回のインクカートリッジ攪拌時に関する情報は、インクカートリッジの半導体記憶手段32に記憶され得る。この場合、当該情報は、情報読取部39を介して取得され得る。
あるいは、インクジェット記憶装置内にカラーインクカートリッジを攪拌する攪拌機構が設けられている場合、主制御部46が、時計機能部46aを利用して、前回のインクカートリッジ攪拌時に関する情報を取得してもよい。
これらの場合、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された前回の攪拌時点から現在時点までの経過時間を演算するようになっている。
そして、演算部46bは、この経過時間の長さに基づいて、インクの初期吸引量を演算するようになっている。この演算についても、図13のように予め測定されたデータに基づいて行われ得る。また、この場合でも、経過時間の長さに加えて、各カラーインクの沈降特性情報が考慮され得る。
主制御部46及び吸引制御部47は、求めた各インクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23b〜23dを制御して、インクカートリッジ設置時等におけるインク充填吸引処理を実行するようになっている。
次に、以上の場合の作用について説明する。
黒インクカートリッジ1が設置(交換)されると、インクカートリッジ設置判定部42が押圧スイッチ43からの信号によって黒インクカートリッジ1が設置(交換)されたことを判定する。
そして、主制御部46が、新しい黒インクカートリッジ1の半導体記憶手段27に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ1が製造された製造年月日、当該インクカートリッジ1が収容する黒インクの沈降特性情報、前回のインクカートリッジ攪拌時に関する情報、等を情報読取部38を介して取得する。
次に、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、インクカートリッジの設置時点から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、黒インクの前吐出時点から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、インクカートリッジの前攪拌時点から現在時点までの経過時間を演算する。
さらに演算部46bは、この経過時間の長さと黒インクの沈降特性情報とに基づいて、黒インクの沈降状態を推定し、黒インクの初期吸引量を演算する。
前記経過時間が所定時間以上である場合、インクの沈降現象によって濃度差が発生していると推定される。このため、高品質の記録を行うことが困難な濃度のインクをクリーニング処理によって排出すべく、インクの初期吸引量は前記経過時間の長さに応じて多く設定される。
主制御部46及び吸引制御部47は、求めたインクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23aを制御して、インクカートリッジ設置時等における黒インクの充填吸引処理を実行する。
同様に、カラーインクカートリッジ2が設置(交換)されると、インクカートリッジ設置判定部42が押圧スイッチ44からの信号によってカラーインクカートリッジ2が交換されたことを判定する。
そして、主制御部46が、新しいカラーインクカートリッジ2の半導体記憶手段32に記憶された情報、すなわち、当該インクカートリッジ2が製造された製造年月日、当該インクカートリッジ2が収容する各カラーインクの沈降特性情報、前回のインクカートリッジ攪拌時に関する情報、等を情報読取部39を介して取得する。
次に、主制御部46に設けられた演算部46bが、取得された製造年月日から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、インクカートリッジの設置時点から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、各インクの前吐出時点から現在時点までの経過時間を演算する。あるいは、インクカートリッジの前攪拌時点から現在時点までの経過時間を演算する。
さらに演算部46bは、この経過時間の長さと各インクの沈降特性情報とに基づいて、各インクの沈降状態を推定し、各インクの初期吸引量を演算する。
前記経過時間が所定時間以上である場合、インクの沈降現象によって濃度差が発生していると推定される。このため、高品質の記録を行うことが困難な濃度のインクをクリーニング処理によって排出すべく、各インクの初期吸引量は前記経過時間の長さに応じて多く設定される。
主制御部46及び吸引制御部47は、求めた各インクの初期吸引量に応じて吸引ポンプ23b〜23dを制御して、インクカートリッジ設置時等における各カラーインクの充填吸引処理を実行する。
以上の場合、インクカートリッジ1、2内の各インクの沈降状態に関する適宜の情報に基づいて吸引ポンプ23a〜23dが制御される。この場合でも、インクカートリッジ1、2の設置時等に、適切なインクの充填吸引処理(クリーニング)が実施され得る。
なお、本発明は、インクジェット式記録装置以外の任意の液体噴射装置に適用され得る。液体の例としては、インクの他に、グルー、マニキュア等が使用され得る。