JP4631213B2 - プラズマディスプレイパネル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマディスプレイパネル、特に対向3電極面放電型ACプラズマディスプレイパネル及びその製造方法に関わり、動作特性の安定化および低電圧化の改善を図るため、特に蛍光体層に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイパネルは、ガス放電によって発生した紫外線によって蛍光体を励起発光させ、画像表示するディスプレイである。その放電の形成手法から交流(AC)型と直流(DC)型に分類することが出来る。AC型の特徴は、輝度、発光効率、寿命の点でDC型より優れている点である。さらに、AC型の中でも反射型面放電タイプは輝度、発光効率の点で特に際だっているため、このタイプが最も一般的である。
【0003】
従来の一例として、AC型プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)の概略を示す斜視図を図2に示す。このように、PDPは、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色を発光するセルが多数配列されて構成されている。
【0004】
以下に、この構造及び動作について説明する。まず、フロントパネルFP側から説明する。フロントパネルガラス21(最も一般的にはガラス板が使用される)上に透明電極34(ITOやSnO2が使用される)が複数本形成されている。ただし、この透明電極34ではシート抵抗が高く、大型パネルにおいては全画素に十分な電力を供給することが出来ないため、透明電極34上に銀の厚膜やアルミニウム薄膜やクロム/銅/クロム(Cr/Cu/Cr)の積層薄膜によるバス電極35が形成されている。このバス電極35によって、見かけ上透明電極34のシート抵抗が下がる。これらの電極上に透明な誘電体層24(低融点ガラスが使用される)および酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層25が形成されている。誘電体層24は、AC型プラズマディスプレイ特有の電流制限機能を有しており、DC型に比べて長寿命にできる要因となっている。保護層25は、放電によって誘電体層24がスパッタされて削られないように保護するためのもので、耐スパッタ性に優れ、高い2次電子放出係数(γ)を有して放電開始電圧を低減する働きをもつ。
【0005】
もう一方のバックパネルBP側について説明する。バックパネルガラス26上には画像データを書き込むデータ電極27、下地誘電体層33、隔壁28および蛍光体層30(R)、31(G)、32(B)が形成されている。ここで、データ電極27および隔壁28は、透明電極34と互いに直交するよう配置されており、また2本の隔壁28で囲まれた空間でもって放電空間29を形成しており、放電空間29内には放電ガスとしてネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスがおよそ66.5kPa(500Torr)の圧力で充填されている。さらに隔壁28、隣接する放電セル間を仕切り、誤放電や光学的クロストークを防ぐ役割をしている。
【0006】
この透明電極34間に、数十kHz〜数百kHzのAC電圧を印加して放電空間29に放電を発生させ、励起されたXe原子からの紫外線によって蛍光体層30、31、32を励起し可視光を発生させて表示動作を行う。
【0007】
次に、このパネルの電極配列図を図3に示す。電極はm×nのマトリックス構成であり、列方向にはm列のデータ電極D1〜Dmが配列されており、行方向にはn行の走査電極SCN1〜SCNnおよび維持電極SUS1〜SUSnが配列されている。
【0008】
このパネルを駆動するための駆動方法の動作駆動タイミング図を図4に示す。
【0009】
図4に示すように、1フィールド期間は、少なくとも書き込み期間、維持期間を有する第1ないし第nのサブフィールドで構成されており、各サブフィールドでは、維持パルス数が異なり、このサブフィールドの組み合わせで階調の表示を行うものである。1フィールドの中には、初期化期間、または消去期間を有するサブフィールドが少なくとも一つはあるものとする。一例として、図4では、初期化期間と消去期間の両方の期間を有するサブフィールドを一例として取り上げている。
【0010】
次に、各期間について説明する。
【0011】
まず図3の走査電極SCN1〜SCNnに初期化パルスを印加し、パネルの放電セル内の壁電荷を初期化する。次に、書き込み期間において、1行目の表示を行うため、1行目の走査電極SCN1に走査パルス電圧を印加し、放電セルに対応するデータ電極群D1〜Dmに書き込みパルス電圧を印加し、データ電極群D1〜Dmと1行目の走査電極SCN1との間に書き込み放電(アドレス放電)を起こし、誘電体層表面に壁電荷を蓄積し、1行目の書き込み動作(アドレス動作)を行う。以上のような動作が順次行われ、N行目の書き込み動作が終了し、1画面分の潜像が書き込まれる。次に維持期間において、データ電極群D1〜Dmを接地し、まず全ての維持電極群SUS1〜SUSnに維持パルス電圧を印加し、続いて全ての走査電極群SCN1〜SCNnに維持パルス電圧を印加し、続いて交互にこの動作を継続して維持パルス電圧を印加することにより、書き込み期間において書き込み動作が行われた放電セルにおいて維持放電の発光が継続して行われ、画面の表示が行われる。その後、消去期間において、幅の狭い消去パルスを印加することによって放電が発生し、壁電荷が消滅する為、消去動作が行われる。
【0012】
この様に、初期化期間、書き込み期間、維持期間、消去期間という一連の駆動方法により画像表示を行っている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
プラズマディスプレイパネルの抱える問題の一つとして、書き込み期間における書き込み不良が挙げられる。つまり、書き込み期間において、データ電極に電圧パルスが印加されている時間内に書き込み放電が起こらないことを意味する。
これには、放電が形成されるまでの時間(以下、tfと呼ぶ)、及び放電の統計遅れ時間(以下、tsと呼ぶ)と電圧パルス幅との関係で決まってくる。例えば、テレビジョン学会技術報告vol.19、No.66、1955年、P55〜66には、パルス幅tpwに対して放電の発生する確率N(tpw)/N0は、
N(tpw)/N0=1−exp(−(tpw−tf)/ts) (1)
で与えられ、放電の起こりやすさは、(1)式からtf、tsを小さくする必要がある。その中でもtsを小さくすることは、特に有効である。
【0014】
tsを小さくするには、印加される書き込みパルス電圧を高くすることで効果があるが、高価な高耐圧用出力ドライバーICの使用や、データ電極駆動回路の消費電力の上昇といった課題を有していた。
【0015】
特に、XGAパネルの駆動では、短い書き込みパルス時間内に放電を終わらせることが必要であり、その為には、データ電極駆動電圧はVGA画面表示の場合に比べて高くなるという課題があった。
【0016】
本発明は上記の課題を解決し、書き込み期間による書き込み不良を低減し、アドレス放電の安定な駆動を実現することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達するため、請求項1の発明のプラズマディスプレイパネルは、放電空間を介して対向する一対の基板の内、少なくとも一方の基板上に導電性電極と蛍光体層を順次積層した構造を有し、前記蛍光体層は、ZnO結晶格子の格子間に存在し、ドナーとして働く窒素イオン原子が含まれた、ZnOウィスカーを含むことを特徴とするものであり、初期化期間及び消去期間下り傾斜電圧印加時に、不純物原子が含まれたウィスカーによるイオンの二次電子放出(γ係数)が促進され、放電の規模が大きくなり、プライミングによる放電の統計遅れ時間(ts)を小さくすることができる。
【0020】
請求項2の発明のプラズマディスプレイパネルは、ウィスカーが前記蛍光体層に対して0.1重量%以上60重量%以下含まれていることを特徴とする。
【0021】
請求項の発明のプラズマディスプレイパネルは、ウィスカーが針状またはテトラポット状またはメッシュ状であることを特徴とする。
【0022】
請求項の発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、基板上に導電性電極を形成し、前記導電性電極と平行に前記基板上に隔壁を形成し、前記隔壁間にウィスカーと蛍光体粉末を混合し、インク吐出法によって塗布することによって蛍光体層を形成することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のいくつかの実施形態を添付の図面を参照して説明する。
【0024】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態に係わるプラズマディスプレイパネルは、従来のプラズマディスプレイパネルと蛍光体層の材料のみ違い、他の構成要素は同じである。以下に図2に沿って製法について説明する。
【0025】
(PDPの全体的な製法)
(フロントパネルの作製)
フロントパネルFPは、フロントパネルガラス21上にITOまたは酸化スズ(SnO2)などの透明導電性材料からなる透明電極34および銀(Ag)厚膜(厚み:2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)で構成したバス電極35を順次積層し、さらに酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi23)または酸化燐(PO4)を主成分(一例として、酸化鉛(PbO)70重量%、酸化硼素(B23)15重量%、酸化珪素(SiO2)15重量%)とする低融点ガラス(厚み20μm〜50μm)からなる誘電体層24をスクリーン印刷(ダイコート印刷またはフィルムラミネート法でも形成可能)によって形成されている。一例として銀電極の場合、紫外線感光性樹脂を含んだ銀電極用インクをスクリーン印刷法によりフロントパネルガラス21上に均一塗布して乾燥した後、露光現像によるパターニングと焼成によって形成する。次に、誘電体層24をプラズマによる損傷から保護するMgOからなる保護層25(厚み:100nm〜1000nm)が電子ビーム蒸着法または、スパッタリング法により形成され積層されている。
【0026】
(背面パネルの作製)
一方、バックパネルBP側はバックパネルガラス26上には銀(Ag)厚膜(厚み:2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)からなるデータ電極27、酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi23)または酸化燐(PO4)を主成分とする低融点ガラス(厚み5μm〜20μm)からなる下地誘電体層33を形成する。さらに、ガラスを主成分とする隔壁28を所定のピッチで形成し、更に隔壁28によって挟まれた各空間に赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体による蛍光体層30、31、32を形成することにより、バックパネルBP側が作製されている。ここで、下地誘電体層33は、隔壁28との密着性を改善するためのものであり、無いとプラズマディスプレイパネルが動作しないというものではない。また、蛍光体は、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体をそれぞれインク吐出法によって塗布することにより蛍光体層30、31、32を形成する。各色の蛍光体としては、一般的にプラズマディスプレイパネルに用いられる蛍光体材料を以下に示す。ここではこれらの蛍光体を通常の蛍光体として用いている。
赤色蛍光体:(YXGd1-X)BO3:Eu3+あるいはYBO3:Eu3+
緑色蛍光体:BaAl1219:MnあるいはZn2SiO4:Mn
青色蛍光体:BaMgAl1017:Eu2+
各色蛍光体は、以下のようにして作製される。
【0027】
青色蛍光体は、まず、原料として炭酸バリウム(BaCO3),炭酸マグネシウム(MgCO3),酸化アルミニウム(α−Al23)をモル比で1対1対5に配合する。次に、この混合物に対して、所定量の酸化ユーロピウム(Eu23)を添加する。そして、適量のフラックス(AlF2、BaCl2)と共にボールミルで混合し、1000℃〜1200℃で所定時間(例えば、5時間)、弱還元性雰囲気(H2,N2中)で焼成後、これをふるい分けして得る。
【0028】
赤色蛍光体は、原料として酸化イットリウム(Y23)と硼酸(H3BO3)とをモル比で0.5対1に配合する。次に、この混合物に対して、所定量の酸化ユーロピウム(Eu23)を添加し、適量のフラックスと共にボールミルで混合し、空気中950℃〜1200℃で所定時間(例えば、5時間)焼成した後、これをふるい分けして上記粉体が得る。
【0029】
緑色蛍光体は、原料として酸化亜鉛(ZnO),酸化硅素(SiO2)をモル比で2対1に配合する。次に、この混合物に対して所定量の酸化マンガン(Mn23)を添加し、ボールミルで混合後、空気中950℃〜1200℃で所定時間(例えば、5時間)焼成し、これをふるい分けして得る。
【0030】
また、本発明の実施の形態で使用した蛍光体は上記の蛍光体に不純物原子が含まれたウィスカーであるZnOを0.1重量%〜60重量%混合したものである。
【0031】
熱CVD法で作製されたテトラポット形状の酸化亜鉛(ZnO)ウィスカー(ウィスカー1本の足の長さ:1〜200μm、核部の足の太さ:0.01〜10μm、典型的には1本の足の長さ:5〜50μm、核部の足の太さ:0.05〜5μm)を市販のプラズマドーピング装置内に配置し、装置内にN2ガスを導入して窒素プラズマを発生させる。この時、第1の電極に負のバイアス(−5V〜−1000V)を印加すると、プラズマ中のN+イオンがこのバイアス分加速されてウィスカー内に注入される。窒素イオンはZnOウィスカーの表面近傍に注入され、2次イオン質量分析(SIMS)によってZnOウィスカーに注入した窒素原子量を測定したところ、その深さは0.1nm〜100nm(ナノ・メートル)である。
【0032】
エタノールやイソプロピルアルコールやアセトンやトルエンや酢酸ブチルや酢酸イソアミルなどの揮発性有機溶剤中に上記の窒素イオン原子を含むZnOウィスカーを上記の割合で蛍光体粉末と混合し分散する。その後、インク吐出法によって塗布することで赤、緑、青の蛍光体(30,31,32)を形成する。
【0033】
(パネル張り合わせによるPDPの作製)
次に、このようにして作製したフロントパネルとバックパネルとを封着用ガラスを用いて張り合わせると共に、隔壁28で仕切られた放電空間29内を高真空(1×10-4Pa)に排気した後、所定の組成の放電ガスを、所定の圧力で封入することによってプラズマディスプレイパネルを作製する。一例として、ネオンガスとキセノンガスの混合ガスを体積%でそれぞれ、95%、5%とし、圧力を66.5kPa(500Torr)としている。
【0034】
(PDPの駆動方法)
本発明の実施の形態に係わるプラズマディスプレイパネルにおける駆動方法は、従来のプラズマディスプレイパネルの駆動方法と同じ設定とし、通常の蛍光体の材料と本発明の蛍光体の材料の比較を行った。
【0035】
パネルの構造として、誘電体層24の厚さが30〜42μm、MgO保護層25の厚さが、0.5μm〜0.8μm、走査電極22と維持電極23間ギャップが40μm〜120μm、隔壁28の高さが80μm〜120μmの条件で実験を行った。
【0036】
VGA表示(画素数853×480)のパネルでは、一例として、隔壁間ピッチ360μm、誘電体層24の厚さが42μm、MgO保護層25の厚さが、0.8μm、走査電極22と維持電極23間ギャップが80μm、隔壁28の高さが120μm構成のパネルにおいて図4の電圧設定値をVa=400V、Vb=−100V、Vc=−20V、Vd=140V、Ve=150V、Vs=180V、Vdat=67Vとしている。
【0037】
42インチクラスのXGA表示(画素数が1024×768)のパネルでは、一例として、隔壁間ピッチは300μm、誘電体層24の厚さが35μm、MgO保護層25の厚さが、0.8μm、走査電極23と維持電極22間ギャップが80μm、隔壁28の高さが120μm構成のパネルにおいて図4の電圧設定値をVa=400V、Vb=−90V、Vc=−10V、Vd=140V、Ve=150V、Vs=160V、Vdat=67Vとしている。
【0038】
tsの測定には、以下の条件で行った。上記の設定電圧で、第7サブフィールドのみ、斜めパターンで各色単色のみ点灯した状態で、アドレス放電の放電の統計遅れ時間(ts)を測定した。
【0039】
通常の蛍光体と本発明の実施の形態で使用した窒素イオン原子が含まれたZnOウィスカー混合蛍光体におけるtsの結果を図1に示す。ここでは、上記に記載したVGA用パネルを使用した。通常の蛍光体(ZnO重量%=0)に比較して、0.1重量%〜60重量%でtsがR、Bで3割近く減少し、Gにいたっては、半分以下になっていることが確かめられた。
【0040】
このように、蛍光体層に窒素イオン原子を含むZnOウィスカーでtsが小さくなった理由としては、以下のように考えている。ZnOウィスカー中に注入された窒素イオンは、ZnO結晶格子の格子位置よりも格子間に存在し、ドナーとして働く。そのため元々、自然に存在する酸素空孔によって弱いn型を示す半導体であるZnOウィスカーの表面およびその近傍領域が、窒素イオンの存在によってより強いn型を示す。表面が強いn型になったことにより表面近傍に内部電界が生じ、電子がウィスカー表面に集められる。このことにより、初期化期間及び消去期間下り傾斜電圧印加時に、局所的に電界が集中し、ウィスカーのイオン衝撃による二次電子放出(γ係数)が促進され、放電の規模が大きくなり、プライミングにって放電の統計遅れ時間(ts)を小さくできたと考えられる。
【0041】
また、60重量%より大きくするとtsは小さくなるが、放電発光効率が低下し、実際に使用できるのは、0.1重量%〜60重量%の範囲である。より望ましくは、G以外の蛍光体にZnOを塗布する場合、色度がGに近くなるため0.1重量%〜30重量%の範囲である。テトラポット形状ZnOを使用しているが、針状ZnOやメッシュ状ZnOを使用しても同様に効果があった。
【0042】
また、XGA用のパネルにおいても同様の効果があった。
【0043】
プラズマドーピング時にドーピング量を制御し、窒素原子密度のピーク値を1014〜1019個/cm3変化させたウィスカーを作製したが、上記と同様な効果を得た。
【0044】
プラズマドーピング時に窒素ガスの代わりに、NO,NO2,N2O,N23,N24,N25,NO3,H2NNH2,HN3,NH43,NH3,NF3など他の窒素原子を含むガスを使用しても同様な効果を得た。
【0045】
また、ウィスカーへの不純物原子の注入は、市販のイオン注入装置を用いても、ウィスカーを加熱して不純物の熱拡散を使用してもよい。
【0046】
(実施の形態2)
本発明の第2の実施形態では、第1の実施形態で使用した蛍光体中に金属コートしたTiO2ウィスカーを用い、その他の各構成要素は第1の実施形態で説明したものと同様であり、それらの説明はここでは省略する。
【0047】
チタンアルコキシドを熱CVDでメッシュ形状TiO2ウィスカーを作製し、真空蒸着、スパッタ、CVD法によって、Ni,Li,Na,K,Mg,Al,Zn,Cr,Cu,Ag,Au金属を10nm〜800nmコートした。
【0048】
エタノールやイソプロピルアルコールやアセトンやトルエンや酢酸ブチルや酢酸イソアミルなどの揮発性有機溶剤中にメッシュ形状の金属コート酸化チタン(TiO2)ウィスカー(ウィスカー1本の足の長さ:0.1〜10μm、核部の足の太さ:0.01〜10μm、典型的には1本の足の長さ:0.3〜3μm、核部の足の太さ:0.03〜3μm)を蛍光体と一緒に分散した。
【0049】
上記の蛍光体を用いてtsを計測した。
【0050】
通常の蛍光体に比較して、0.1重量%〜60重量%でtsがR、Bで4割近く減少し、Gにいたっては、6割以下になっていることが確かめられた。蛍光体層に金属コートしたTiO2ウィスカーでtsが小さくなった理由としては、ウィスカーの先端は鋭利で局所的な電界が強く、その先にコートされた金属の仕事関数が小さいのでイオン衝撃による電子放出能力が更に向上したためと考えられる。
【0051】
また、針状TiO2やテトラポット状TiO2を使用しても同様に効果があった。また、XGA用のパネルにおいても同様の効果があった。また、ZnOまたはSiCまたはSi34またはAlNまたはBNまたはTiCウィスカーにおいても同様に効果があった。
【0052】
(実施の形態3)
本発明の第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態で使用した蛍光体中に熱CVDで針状SiCウィスカーを作製し、真空蒸着、スパッタ、CVD法によって、Ni,Li,Na,K,Mg,Al,Zn,Cr,Cu,Ag,Au金属を10nm〜800nmコートした。その他の各構成要素は第1及び第2の実施形態で説明したものと同様であり、それらの説明はここでは省略する。
【0053】
エタノールやイソプロピルアルコールやアセトンやトルエンや酢酸ブチルや酢酸イソアミルなどの揮発性有機溶剤中に針状形状の炭化珪素(SiC)ウィスカー(ウィスカー1本の足の長さ:0.1〜20μm、核部の足の太さ:0.01〜20μm、典型的には1本の足の長さ:0.3〜5μm、核部の足の太さ:0.03〜5μm)を分散した液を上記の割合で蛍光体粉末と混合した。
【0054】
上記の蛍光体を用いてtsを計測した。
【0055】
通常の蛍光体に比較して、0.1重量%〜60重量%でtsがR、Bで2割近く減少し、Gにいたっては、3割以下になっていることが確かめられた。
【0056】
また、SiCまたはSi34またはAlNまたはBNまたはTiCウィスカーにおいても同様に効果があった。また、メッシュ状TiO2やテトラポット状TiO2を使用しても同様に効果があった。また、XGA用のパネルにおいても同様の効果があった。
【0057】
以上から分かるように、本発明のプラズマディスプレイパネルはtsが小さく安定なアドレス放電が実現できている。
【0058】
【発明の効果】
本発明によれば、書き込み期間による書き込み不良を低減し、アドレス放電の安定な駆動を実現するプラズマディスプレイパネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常の蛍光体と本発明の実施の形態で使用した窒素イオン原子が含まれたZnOウィスカー混合蛍光体におけるtsの実験結果グラフ
【図2】AC型プラズマディスプレイパネルの概略を示す斜視図
【図3】電極配列図
【図4】AC型プラズマディスプレイの駆動波形を示す図
【符号の説明】
FP フロントパネル
BP バックパネル
21 フロントパネルガラス
22 維持電極
23 走査電極
24 誘電体層
25 保護層
26 バックパネルガラス
27 データ電極
28 隔壁
29 放電空間
30 蛍光体(R)
31 蛍光体(G)
32 蛍光体(B)
33 誘電体層
34 透明電極
35 バス電極

Claims (4)

  1. 放電空間を介して対向する一対の基板の内、少なくとも一方の基板上に導電性電極と蛍光体層を順次積層した構造を有し、前記蛍光体層は、ZnO結晶格子の格子間に存在し、ドナーとして働く窒素イオン原子が含まれた、ZnOウィスカーを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記ウィスカーが前記蛍光体層に対して0.1重量%以上60重量%以下含まれていることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記ウィスカーが針状粒子またはテトラポット状粒子またはメッシュ状粒子であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、基板上に導電性電極を形成し、前記導電性電極と平行に前記基板上に隔壁を形成し、前記隔壁間に不純物原子を含むウィスカーと蛍光体粉末を混合し、インク吐出法によって塗布することによって蛍光体層を形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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