JP2003242892A - プラズマディスプレイ装置 - Google Patents

プラズマディスプレイ装置

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JP2003242892A
JP2003242892A JP2002037602A JP2002037602A JP2003242892A JP 2003242892 A JP2003242892 A JP 2003242892A JP 2002037602 A JP2002037602 A JP 2002037602A JP 2002037602 A JP2002037602 A JP 2002037602A JP 2003242892 A JP2003242892 A JP 2003242892A
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Japan
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discharge
plasma display
gas
electrode
voltage
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JP2002037602A
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Keizo Suzuki
敬三 鈴木
Kirin Ka
希倫 何
Hiroshi Kajiyama
博司 梶山
Tatsuya Miyake
竜也 三宅
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発光効率が高く放電電圧の低いプラズマディ
スプレイ装置を実現する。 【解決手段】 すくなくとも複数の放電セルを構成要素
とするプラズマディスプレイパネルを有するプラズマデ
ィスプレイ装置の、上記放電セルは、該放電セルに電圧
を印加するための電極と、該電極を少なくとも部分的に
覆う保護膜と、放電を形成するための放電ガスを少なく
とも構成要素の一部とし、上記放電ガスは、キセノン
(Xe)ガスを少なくとも構成要素の一部とし、上記保護
膜のXe+イオンに関する2次電子放出係数gXe+が0.05以
上と大きな保護膜を用いる。 【効果】 高画質で安価なプラズマディスプレイ装置を
実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマディスプレ
イパネル(以降PDPと略す)を用いたプラズマディスプ
レイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大型でかつ厚みの薄いカラー表示
装置として、プラズマディスプレイ装置が期待されてい
る。特にAC面放電型PDPは、構造の単純さと高信頼性の
ために最も実用化の進んでいる方式である。以下、AC面
放電型PDPを主たる従来技術として本発明の説明を行う
が、本発明の内容は広くプラズマディスプレイ装置全体
に適用できるものである。
【0003】プラズマディスプレイ装置とは、すくなく
とも複数の放電セルを構成要素とするプラズマディスプ
レイパネルを有しており、上記放電セル内で放電により
プラズマを形成し、このプラズマの効果により可視光を
形成して画像表示を行う装置である。プラズマの効果で
可視光を形成する方法には、プラズマから直接発光する
可視光を利用する方法と、プラズマから発光する紫外線
により蛍光体を発光させこの可視光を利用する方法があ
る。通常は、後者の方法が用いられる。
【0004】このプラズマディスプレイ装置において、
技術改善が最も強く望まれるのが発光効率である。発光
効率とは、表示画面の光束(輝度と表示面積の積に比
例)をその表示を行うためにパネルに投入した電力で割
った値である。通常は、lm/Wの単位で表す。発光効率が
高いほど、小さなパネル投入電力で明るい表示画面を実
現できる。すなわち、プラズマディスプレイ装置におい
てはより高い発光効率が望まれる。
【0005】また、プラズマディスプレイ装置において
その装置コスト(その装置を製造、形成するための費
用)を低減することも重要な課題である。プラズマディ
スプレイ装置のコストを低減するためには駆動回路系の
コストを低減することが特に重要であり、このためには
放電電圧を低減することが重要である。さらに、プラズ
マディスプレイ装置の寿命(使用可能期間)を長くする
ことも重要であり、このためにもやはり放電電圧を低減
することが重要となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、発光
効率が高くかつ放電電圧の低いプラズマディスプレイ装
置を実現することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】PDPの放電ガスは、通常
キセノン(Xe)ガスをその構成要素の少なくとも一部とし
て含んでいる。これは、プラズマ中の励起Xeガスから発
光する紫外線が蛍光体発光に適しているからである。通
常は、ネオンガスとキセノンガスとの混合ガス(Ne+Xe)
が用いられ、さらに他のガスが添加される場合もある。
【0008】PDPの発光効率を増大するには、紫外線発
生効率を増大することが有効であり、キセノンガスの組
成比aXeを増大させるか、放電プラズマの電子温度Teを
減少させることが最も有効である。このことは、文献、
Keizo Suzuki, Yoshimi Kawanami, Shirun Ho, Norihir
o Uemura, Yusuke Yajima, Noriyuki Kouchi and Yoshi
hiko Hatano: “Theoretical formulation of the VUV
production efficiency in a plasma display pane
l”, J. Appl. Phys., Vol. 88, pp. 5605-5611 (200
0)、に示されている。特にキセノンガスの組成比aXeを
増大させる方法は、手段が簡単であるため実用的価値が
大きい。キセノンガスの組成比aXeを増大させることに
より発光効率が増大するのは、放電ガス中に占めるXe原
子の割合が大きくなり蛍光体を発光させる紫外線がより
多く形成されるからである。すなわち紫外線発生効率が
増大するからである。
【0009】ところが、キセノンガスの組成比aXeを増
大させると放電に必要な印加電圧が増大する。この理由
は以下の通りである。PDPでは通常グロー放電が用いら
れており、陰極表面にイオンが入射するときに発生する
2次電子が放電発生と放電継続を支援している。陰極表
面の2次電子発生性能は、陰極表面に一個のイオンが入
射するときに発生する2次電子の個数で表現され、2次
電子放出係数と呼ばれる。また、通常PDPでは電極は保
護膜で覆われており、上記の陰極表面は保護膜表面とな
る。通常のPDPでは、ネオン(Ne)ガスとキセノン(Xe)ガ
スを混合したガス(Ne+Xe)が放電ガスとして用いられ
る。ネオンガスを組成成分として用いるのは、陰極にネ
オンイオンNe+が入射したときの2次電子放出係数gNe+
が大きく、これにより放電電圧が低くなるからである。
キセノンガスを組成成分として用いるのは、上記したご
とくプラズマ中の励起Xeガスから発光する紫外線が蛍光
体発光に適しているからである。さて、このようなPDP
においてキセノンガスの組成比aXeを増大させると陰極
に入射するイオンに占めるキセノンイオンXe+の割合が
増大する。ところが、陰極にキセノンイオンNe+が入射
したときの2次電子放出係数gXe+がgNe+に比べて極めて
小さいため、キセノンガスの組成比aXeの増大により放
電電圧が増大してしまう。たとえば、保護膜として酸化
マグネシウム(MgO)を用いた場合、概略gNe+=0.25〜0.
5、gXe+≦0.035である。このことは、文献、S. Ho, M.
Saji, S. Ihara, M. Shiiki, K. Suzuki, A. Yuhara,
A. Yokoyama,M. Ishigaki, R. Sato, N. Kouchi and Y.
Hatano: “Numerical analysis ofdischarge voltage
and light emission efficiency in AC-PDPs”, IDW'9
8, PDP1-2, pp. 479-482 (1998)、に示されている。
【0010】本発明者らは、研究により、保護膜へのXe
+イオン入射による2次電子放出係数gXe+を増大すると
放電電圧が低減することを明らかにした。また、2次電
子放出係数gXe+の値と放電電圧の関係を定量的に明らか
にした。さらに、2次電子放出係数gXe+を増大して放電
電圧を低減することにより、放電の電子温度が低下して
発光効率がさらに増大することも明らかにした。このよ
うな効果は、放電ガス中のキセノンガスの組成比aXeを
増大すると、一層顕著になることも明らかにした。特に
aXeが8%以上において上記の効果は顕著である。
【0011】本発明の本質は、上記研究成果に基づき、
低放電電圧、低コストで高発光高率なPDPを実現する具
体的技術を明らかにしたことである。
【0012】すなわち、本発明の特徴は、(1)すくなく
とも複数の放電セルを構成要素とするプラズマディスプ
レイパネルを有するプラズマディスプレイ装置の、上記
放電セルは、該放電セルに電圧を印加するための電極
と、該電極を少なくとも部分的に覆う保護膜と、放電を
形成するための放電ガスを少なくとも構成要素の一部と
し、上記放電ガスは、キセノン(Xe)ガスを少なくとも
構成要素の一部とし、上記保護膜のXe+イオンに関する
2次電子放出係数gXe+が0.05以上であるプラズマディス
プレイ装置にある。
【0013】(2)上記保護膜のXe+イオンに関する2次電
子放出係数gXe+が0.2以上であることがさらに好まし
い。
【0014】(3)上記放電ガス中の上記Xeガスの組成比
が8%以上であることが好ましい。また、本発明の特徴
は、(4)すくなくとも複数の放電セルを構成要素とする
プラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプ
レイ装置の、上記放電セルは、該放電セルに電圧を印加
するための電極と、該電極を少なくとも部分的に覆う保
護膜と、放電を形成するための放電ガスを少なくとも構
成要素の一部とし、上記放電ガスは、キセノン(Xe)ガ
スを少なくとも構成要素の一部とし、上記放電ガス中の
上記Xeガスの組成比が8%以上であり、上記放電セルに電
圧を印加するための電極に表示放電電極対が含まれてお
り、上記プラズマディスプレイパネルの駆動に表示放電
が存在し、上記表示放電において該表示放電電圧(上記
表示放電電極対に印可する電圧差の直流成分の絶対値)
が170V以下であるプラズマディスプレイ装置にある。
【0015】さらに、本発明の特徴は、(5)上記(1)から
(4)のプラズマディスプレイ装置を用いた画像表示シス
テムにある。
【0016】
【発明の実施の形態】(作用の説明)保護膜へのXe+イ
オン入射による2次電子放出係数gXe+を増大することに
より放電電圧が低減すること、したがって放電ガス中の
キセノンガス組成比aXeが大きい条件で低電圧、低電子
温度の放電が可能になり、したがって低放電電圧、低コ
ストで高発光高率なPDPを実現することができる。
【0017】以下、本発明の実施形態を説明する。
【0018】(基本構造と動作の説明)図2は本発明を
適用するPDPの構造の一部を示す分解斜視図であり、前
面ガラス基板21の下面には透明な共通電極(以降X電極
と称す)22-1乃至22-2と、透明な独立電極(以降Y電極
または走査電極と称す)23-1乃至23-2を付設する。ま
た、X電極22-1乃至22-2とY電極23-1乃至23-2には、それ
ぞれXバス電極24-1乃至24-2とYバス電極25-1乃至25-2を
積層付設する。さらに、X電極22-1乃至22-2、Y電極23-1
乃至23-2、Xバス電極24-1乃至24-2、Yバス電極25-1乃至
25-2を誘電体26によって被覆し、酸化マグネシウム(Mg
O)等の保護膜(保護層ともいう)27を付設する。この
ようにして一体加工したものを前面板と呼ぶ。X電極22-
1乃至22-2、Y電極23-1乃至23-2、Xバス電極24-1乃至24-
2、Yバス電極25-1乃至25-2をまとめて表示放電電極(X
とYの対の概念を含む時は表示放電電極対)と総称す
る。また、上記ではX電極22-1乃至22-2、Y電極23-1乃至
23-2を透明電極と説明したが、このほうが明るい(輝度
の大きな)パネルができるからであり、必ずしも透明で
ある必要はないことは言うまでもない。また、保護膜27
の材料として酸化マグネシウム(MgO)を具体的に示し
たが、必ずしもこれである必要はない。保護膜27の目的
は、入射するイオンから表示放電電極と誘電体26を保護
することと、イオン入射に伴う2次電子放出により放電
発生と放電継続を支援することであり、このような目的
を達することが出来れば他の材料であっても構わない。
【0019】一方、背面ガラス基板28の上面には、X電
極22-1乃至22-2、Y電極23-1乃至23-2と直角に立体交差
する電極(以降A電極またはアドレス電極と称す)29を
付設し、該A電極29を誘電体30によって被覆し、該誘電
体30の上に隔壁31をA電極29と平行に設ける。さらに、
隔壁31の壁面と誘電体30の上面によって形成される凹領
域の内側に蛍光体32を塗布する。このようにして一体加
工したものを背面板と呼ぶ。
【0020】図3は図2中の矢印D1の方向から見たPDPの
断面図であり、画素の最小単位であるセル1個を示して
いる。以下、セルのことを放電セルとも呼ぶ。
【0021】図3より、A電極29は2つの隔壁31の中間に
位置し前面ガラス基板21と背面ガラス基板28、隔壁31に
囲まれた放電空間33にはプラズマを生成するためのガス
(放電ガス)を充填する。尚、放電空間33は隔壁31によ
り空間的に区切られることもあるし、隔壁31と前面ガラ
ス基板21の放電空間側面との間に間隙を設け空間的に連
続にすることもある。カラーPDPでは、通常セル内に
塗布する蛍光体には、赤、緑、青用の3種類がある。こ
の3種類の別々の蛍光体を塗布した3セルをまとめて1
画素とする。このようなセル、または画素が複数個集合
した領域を表示領域と呼ぶ。本発明を適用するPDPは、
このような表示領域を含み真空封着機能、電極取り出し
機能等他の必要な機能を有する。
【0022】図4は図2中の矢印D2の方向からみたPDPの
断面図であり、1個のセルを示している。セルの境界は
概略点線で示す位置である。図4より、3は電子、4は正
イオン、5は正壁電荷、6は負壁電荷を示す。これは、PD
Pの駆動の中のある時点での電荷の状態を表わしている
ものであり、その電荷配置に特別な意味は無い。
【0023】図4には、例として、Y電極23-1に負の電圧
を、A電極29とX電極22-1に(相対的に)正の電圧を印加
して放電が発生、終了した模式図を表している。この結
果、Y電極23-1とX電極22-1の間の放電を開始するための
補助となる壁電荷の形成(これを書き込みと称す)が行
われている。この状態でY電極23-1とX電極22-1の間に適
当な逆の電圧を印加すると、誘電体26(および保護膜2
7)を介して両電極の間の放電空間で放電が起こる。放
電終了後Y電極23-1とX電極22-1の印加電圧を逆にする
と、新たに放電が発生する。これを繰り返すことにより
継続的に放電を形成できる。これを表示放電(又は維持
放電)と呼ぶ。
【0024】図5はPDPを用いたプラズマディスプレイ装
置およびこれに映像源を接続した画像表示システムを示
す図である。駆動回路は,映像源からの表示画面の信号
を受取り,これを以下に説明するような手順でPDPの駆
動信号に変換してPDPを駆動する。
【0025】図6は図2に示したPDPに1枚の画を表示す
るのに要する1TVフィールド期間の動作を示す図であ
る。図6(A)はタイムチャートである。(I)に示す
ように1TVフィールド期間40は複数の異なる発光回数を
持つサブフィールド41乃至48に分割されている。各サブ
フィールド毎の発光と非発光の選択により階調を表現す
る。各サブフィールドは(II)に示すように予備放電
期間49、発光セルを規定する書き込み放電期間50、発光
表示期間51からなる。
【0026】図6(B)は、図6(A)の書き込み放電
期間50においてA電極、X電極、およびY電極に印加され
る電圧波形を示す。波形52は従来技術による書き込み放
電期間50に於ける1本のA電極に印加する電圧波形、波形
53はX電極に印加する電圧波形、54、55はY電極のi番目
と(i+1)番目に印加する電圧波形であり、それぞれの
電圧をV0,V1,V2(V)とする。図6(B)より、Y電極
のi行目にスキャンパルス56が印加された時、A電極29と
の交点に位置するセルで書き込み放電が起こる。又、Y
電極のi行目にスキャンパルス56が印加された時、A電極
29がグランド電位であれば書き込み放電は起こらない。
このように、書き込み放電期間50に於いてY電極にはス
キャンパルスが1回印加され、A電極29にはスキャンパル
スに対応して発光セルではV0、非発光セルではグランド
電位となる。この書き込み放電が起こった放電セルで
は、放電で生じた電荷がY電極を覆う誘電体および保護
膜の表面に形成される。この電荷によって発生する電界
の助けによって後述する表示放電のオンオフを制御でき
る。すなわち、書き込み放電を起こした放電セルは発光
セルとなり、それ以外は非発光セルとなる。
【0027】図6(C)は図6(A)の発光表示期間51
の間に表示放電電極であるX電極とY電極の間に一斉に印
加される電圧パルスを示した。X電極には電圧波形58
が、Y電極には電圧波形59が印加される。どちらも同じ
極性の電圧V3(V)のパルスが交互に印加されることに
より、X電極とY電極との間の相対電圧は反転を繰り返
す。この間にX電極とY電極の間の放電ガス中で起こる放
電を表示放電と称す。ここでは、表示放電はパルス的に
交互に行なわれる。
【0028】以上では、書き込み放電期間と発光表示期
間が分離している駆動方式(書き込み表示分離駆動方
式)で表示放電を説明したが、表示放電の本質は表示に
必要な発光を意図的に実現するための放電であり、他の
駆動でもこのような放電を表示放電と認識するのは言う
までもない。
【0029】以上、本発明を適用するPDP構成の一例を
示した。
【0030】以下で、上記PDPの構成を基本として、本
発明の実施例を説明する。 (特徴的構造と動作説明)図1に、「本発明を適用する
PDP構成の一例」に本発明を適用した時の放電、発光特
性をシミュレーションで評価した結果をまとめてある。
用いたシミュレーション技術は、前出の文献、S. Ho,
M. Saji, S. Ihara, M. Shiiki, K. Suzuki, A. Yuhar
a, A. Yokoyama, M. Ishigaki, R. Sato, N. Kouchi an
d Y. Hatano: “Numerical analysis of discharge vo
ltage and light emission efficiency in AC-PDPs”,
IDW'98, PDP1-2, pp. 479-482 (1998)、に記載してあ
り、放電、発光特性に関して十分信頼できる結果を与え
る。図1において、gXe+は保護膜表面にキセノンイオン
Xe+が入射したときの2次電子放出係数であり、gXe+:
保護膜表面に1個のキセノンイオンXe+が入射したと
きに保護膜表面から放出される電子の個数として定義さ
れる。実際に測定するためには、PDPから保護膜の形成
された前面板の一部を切り出し(または、同様の保護膜
の形成された試料基板を別途作成し)、これを真空室に
導入し、保護膜表面にキセノンイオンXe+を照射し、キ
セノンイオンXe+の照射電流Ixe+と保護膜表面からの電
子放出に伴う電流Ieを求めることにより、
【0031】
【式1】 として実験的に求めることができる。測定法の詳細は、
文献、Heiji Uchiike, Kenji Miura, Norihiko Nakayam
a, Tsutae Shinoda and Yoshifumi Fukushima:”Secon
dary Electron Emission Characteristics of Dielectr
ic Materials inAC-Operated Plasma Display Panel
s”, IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, VOL. E
D-23, NO. 11 (1976)、に記載されている。ここでは、
キセノンイオンXe+に関する2次電子放出係数gXe+につ
いて説明したが、他の入射イオン、例えばネオンンイオ
ンNe+に関する2次電子放出係数gNe+も、同様の測定に
より入射ネオンイオンNe+電流INe+と放出電子電流Ieを
求めることにより、
【0032】
【式2】 として実験的に求めることができる。Xeガス組成比aXe
は、放電ガス中に占めるXeガス原子の数密度比であり、
放電ガスの全圧をPとし、Xeガスの分圧をPxeとすると、
aXe=Pxe/Pとして定義される。また実験的には、質量分
析器等を用いて放電ガス中の原子(分子)組成とその比
率を測定することによりaXeを求めることができる。図
1中の放電ガス圧力Pは、通常の圧力測定装置により測
定することができる。表示放電電圧Vsは、図6(C)の
発光表示期間51の間に表示放電電極であるX電極とY電極
の間に一斉に印加される電圧パルス58と59の電圧V3
(V)のことであり。もっと厳密には、表示放電電極対
(X電極とY電極)に印可する電圧差の直流成分の絶対値
のことである。ここで、直流成分と説明したのは、実際
のパネル駆動では配線の容量とインダクタンスにより表
示放電電極対に印可する電圧差が交流的に変動し、この
交流変動成分を除いた部分であることを明確にするため
である。実効的には、交流変動成分が減衰した時の電圧
差と考えてもよい。紫外線発生効率は、放電で形成され
る紫外線量(形成される紫外線の電力)を放電形成に用
いた電力で割った値である。発光効率比は、PDPの発光
効率が紫外線発生効率に比例するとして、従来駆動条件
(gXe+=0.02, aXe=4%, P=500Torr)での発光効率を基準
に規格化した値である。
【0033】図1より以下のことがわかる。 1.従来のPDPに用いられて保護膜では、保護膜表面で
のキセノンイオンXe+の2次電子放出係数gXe+は0.035以
下であり、たとえばgXe+=0.02では発光効率を増大させ
るためにaXeを大きくすると、表示放電電圧Vsが急激に
増大してしまう。すなわち、gXe+=0.02程度の低い値で
は、高発光効率と低表示放電電圧を同時に満足すること
ができない。 2.一方、gXe+を大きくすると、表示放電電圧Vsが減少
して、かつ発光効率がさらに増大する。すなわち、gXe+
を大きくすることにより、高発光効率と低表示放電電圧
を同時に満足することが可能となる。 3.gXe+≧0.05で2.の効果が現れ、表示放電電圧の低
減と発光効率の増大を具体的に実現できる。 4.gXe+=0.2では2.の効果はさらに顕著となり、例え
ば、gXe+=0.2, aXe=8%,P=500Torrにおいて、実用的な表
示放電電圧170Vを保持したままで発光効率を従来値の1.
52倍に増大することが可能となる。gXe+の値を0.2以上
に大きくすれば、2.の効果はさらに増大することは図
1が示す傾向より明らかである。 5.aXeを8%以上にすると、aXe=4%に比べて発光効率は
顕著な増大を示すが、gXe+=0.02の従来条件では表示放
電電圧が220V以上となり実用上の困難を生じる。しか
し、この表示放電電圧もgXe+を0.05さらには0.2以上に
すると顕著な低減を示し、回路コスト面から特別な実用
的価値が生じる。すなわち、aXeが8%以上でgXe+が0.05
以上さらには0.2以上の条件は特別な実用的価値を持っ
ている。 6.上記5.において表示放電電圧Vsが170V以下である
ことは従来の表示放電電圧から増大しないという意味で
特別な価値がある。今回の研究で、高発光効率を実現で
きるaXe≧8%においてgXe+を0.2以上にすることによりVs
≦170Vが実現できることが明らかになった。すなわち、
aXe≧8%でVs≦170Vは実現可能であり、かつ特別な価値
のある条件である。 7.放電ガス圧力を低下すると発光効率が低下するた
め、実用的にはP≧300Torrが一般に用いられる条件であ
る。このことと6.の結果を合わせると、P≧300Torr
かつaXe≧8%でVs≦170Vは実現可能であり、かつ特別な
価値のある条件である。このP≧300Torrの条件は、さら
に実用的な信頼性を考慮するとP≧400Torrが望ましい場
合もある。
【0034】保護膜のgXe+を増大するには、複数の具体
的方法が可能である。例えば、MgO膜の結晶性、結晶欠
陥、不純物の制御によっても可能である。また、MgO以
外の材料例えばBaO等の材料を用いることによっても可
能である。これらの方法は、文献、Sean J. Yoon, Inso
ok Lee, Jong-Wan Lee and Byungdu Oh: “A Theoreti
cal Study of the Secondary Electron Emission from
MgO Surface”, IDW'99 Proceedings of The Sixth Int
ernational Display Workshops, PDP p1-7, pp. 643-64
6 (1999)、および文献、Yasushi Motoyama, Hideomi Ma
tsuzaki and Hiroshi Murakami: “A Study of the Se
condary Electron Yield g of Insulator Cathodes for
Plasma Display Panels”, IEEE TRANSACTIONS ON ELE
CTRON DEVICES, VOL. 48, NO. 8 (2001)、に示されてい
る。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、発光効率が高く放電電
圧の低いプラズマディスプレイ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示した図。
【図2】本発明のプラズマディスプレイパネルの構造の
一部を示す分解斜視図。
【図3】図2中の矢印D1の方向から見たプラズマディスプ
レイパネルの断面図。
【図4】図2中の矢印D2の方向から見たプラズマディスプ
レイパネルの断面図。
【図5】PDPを用いた画像表示システムを示した図。
【図6】PDPに1枚の画を表示する1TVフィールド期間の動
作を示した図。
【符号の説明】
3…電子、4…正イオン、5…正壁電荷、6…負壁電荷、21
…前面ガラス基板、22-1乃至22-2…X電極、23-1乃至23-
2…Y電極、24-1乃至24-2…Xバス電極、25-1乃至25-2…Y
バス電極、26…誘電体、27…保護膜(保護層)、28…背
面ガラス基板、29…A電極、30…誘電体、31…隔壁、32
…蛍光体、33…放電空間、40…TVフィールド、41乃至4
8、41-1乃至48-1、41-2乃至48-2…サブフィールド、4
9、49-1、49-2…予備放電期間、50、50-1、50-2…書き
込み放電期間、51…発光表示期間、52…1本のA電極に印
加する電圧波形、53…X電極に印加する電圧波形、54…Y
電極のi番目に印加する電圧波形、55…Y電極のi+1番目
に印加する電圧波形、56…Y電極のi行目に印加されるス
キャンパルス、57…Y電極のi+1行目に印加されるスキャ
ンパルス、58…X電極に印加される電圧波形、59…Y電極
に印加される電圧波形、100…プラズマディスプレイパ
ネルまたはPDP、101…駆動回路、102…映像源、103…プ
ラズマディスプレイ装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 梶山 博司 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 三宅 竜也 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 5C040 FA01 FA04 GB03 GB14 GE10 GJ02 KB29 MA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】すくなくとも複数の放電セルを構成要素と
    するプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディ
    スプレイ装置の、上記放電セルは、該放電セルに電圧を
    印加するための電極と、該電極を少なくとも部分的に覆
    う保護膜と、放電を形成するための放電ガスを少なくと
    も構成要素の一部とし、上記放電ガスは、キセノン(X
    e)ガスを少なくとも構成要素の一部とし、上記保護膜
    のXe+イオンに関する2次電子放出係数gXe+が0.05以上
    であることを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
  2. 【請求項2】上記保護膜のXe+イオンに関する2次電子
    放出係数gXe+が0.2以上であることを特徴とする請求項
    1に記載のプラズマディスプレイ装置。
  3. 【請求項3】上記放電ガス中の上記Xeガスの組成比が8%
    以上であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ
    ディスプレイ装置。
  4. 【請求項4】すくなくとも複数の放電セルを構成要素と
    するプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディ
    スプレイ装置の、上記放電セルは、該放電セルに電圧を
    印加するための電極と、該電極を少なくとも部分的に覆
    う保護膜と、放電を形成するための放電ガスを少なくと
    も構成要素の一部とし、上記放電ガスは、キセノン(X
    e)ガスを少なくとも構成要素の一部とし、上記放電ガ
    ス中の上記Xeガスの組成比が8%以上であり、上記放電セ
    ルに電圧を印加するための電極に表示放電電極対が含ま
    れており、上記プラズマディスプレイパネルの駆動に表
    示放電が存在し、上記表示放電において該表示放電電圧
    (上記表示放電電極対に印可する電圧差の直流成分の絶
    対値)が170V以下であることを特徴とするプラズマディ
    スプレイ装置。
  5. 【請求項5】請求項1から4のプラズマディスプレイ装
    置を用いた画像表示システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009140611A (ja) * 2007-12-03 2009-06-25 Ulvac Japan Ltd プラズマディスプレイパネル用保護膜及びプラズマディスプレイパネル
JP2009140617A (ja) * 2007-12-03 2009-06-25 Tateho Chem Ind Co Ltd プラズマディスプレイパネル用酸化マグネシウム蒸着材及び保護膜

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