JP2002352727A - プラズマディスプレイパネル及びその製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネル及びその製造方法

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JP2002352727A
JP2002352727A JP2001158711A JP2001158711A JP2002352727A JP 2002352727 A JP2002352727 A JP 2002352727A JP 2001158711 A JP2001158711 A JP 2001158711A JP 2001158711 A JP2001158711 A JP 2001158711A JP 2002352727 A JP2002352727 A JP 2002352727A
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勝利 真銅
Shigeyuki Okumura
茂行 奥村
Takatsugu Kurata
隆次 倉田
Akira Shiokawa
塩川  晃
Tetsuya Imai
徹也 今井
Koji Akiyama
浩二 秋山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 書き込み期間による書き込み不良を低減し、
アドレス放電の安定な駆動を実現するプラズマディスプ
レイパネルを提供する。 【解決手段】 放電空間を介して対向する一対の基板の
内、少なくとも一方の基板上に導電性電極と蛍光体層を
順次積層した構造を有し、前記蛍光体層に不純物原子が
含まれたウィスカーが混合されていることを特徴とする
プラズマディスプレイパネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマディスプレ
イパネル、特に対向3電極面放電型ACプラズマディス
プレイパネル及びその製造方法に関わり、動作特性の安
定化および低電圧化の改善を図るため、特に蛍光体層に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラズマディスプレイパネルは、ガス放
電によって発生した紫外線によって蛍光体を励起発光さ
せ、画像表示するディスプレイである。その放電の形成
手法から交流(AC)型と直流(DC)型に分類するこ
とが出来る。AC型の特徴は、輝度、発光効率、寿命の
点でDC型より優れている点である。さらに、AC型の
中でも反射型面放電タイプは輝度、発光効率の点で特に
際だっているため、このタイプが最も一般的である。
【0003】従来の一例として、AC型プラズマディス
プレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)の概略を示す斜視
図を図2に示す。このように、PDPは、R(赤)、G
(緑)、B(青)の各色を発光するセルが多数配列され
て構成されている。
【0004】以下に、この構造及び動作について説明す
る。まず、フロントパネルFP側から説明する。フロン
トパネルガラス21(最も一般的にはガラス板が使用さ
れる)上に透明電極34(ITOやSnO2が使用され
る)が複数本形成されている。ただし、この透明電極3
4ではシート抵抗が高く、大型パネルにおいては全画素
に十分な電力を供給することが出来ないため、透明電極
34上に銀の厚膜やアルミニウム薄膜やクロム/銅/ク
ロム(Cr/Cu/Cr)の積層薄膜によるバス電極3
5が形成されている。このバス電極35によって、見か
け上透明電極34のシート抵抗が下がる。これらの電極
上に透明な誘電体層24(低融点ガラスが使用される)
および酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層25
が形成されている。誘電体層24は、AC型プラズマデ
ィスプレイ特有の電流制限機能を有しており、DC型に
比べて長寿命にできる要因となっている。保護層25
は、放電によって誘電体層24がスパッタされて削られ
ないように保護するためのもので、耐スパッタ性に優
れ、高い2次電子放出係数(γ)を有して放電開始電圧
を低減する働きをもつ。
【0005】もう一方のバックパネルBP側について説
明する。バックパネルガラス26上には画像データを書
き込むデータ電極27、下地誘電体層33、隔壁28お
よび蛍光体層30(R)、31(G)、32(B)が形
成されている。ここで、データ電極27および隔壁28
は、透明電極34と互いに直交するよう配置されてお
り、また2本の隔壁28で囲まれた空間でもって放電空
間29を形成しており、放電空間29内には放電ガスと
してネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスがお
よそ66.5kPa(500Torr)の圧力で充填さ
れている。さらに隔壁28、隣接する放電セル間を仕切
り、誤放電や光学的クロストークを防ぐ役割をしてい
る。
【0006】この透明電極34間に、数十kHz〜数百
kHzのAC電圧を印加して放電空間29に放電を発生
させ、励起されたXe原子からの紫外線によって蛍光体
層30、31、32を励起し可視光を発生させて表示動
作を行う。
【0007】次に、このパネルの電極配列図を図3に示
す。電極はm×nのマトリックス構成であり、列方向に
はm列のデータ電極D1〜Dmが配列されており、行方
向にはn行の走査電極SCN1〜SCNnおよび維持電
極SUS1〜SUSnが配列されている。
【0008】このパネルを駆動するための駆動方法の動
作駆動タイミング図を図4に示す。
【0009】図4に示すように、1フィールド期間は、
少なくとも書き込み期間、維持期間を有する第1ないし
第nのサブフィールドで構成されており、各サブフィー
ルドでは、維持パルス数が異なり、このサブフィールド
の組み合わせで階調の表示を行うものである。1フィー
ルドの中には、初期化期間、または消去期間を有するサ
ブフィールドが少なくとも一つはあるものとする。一例
として、図4では、初期化期間と消去期間の両方の期間
を有するサブフィールドを一例として取り上げている。
【0010】次に、各期間について説明する。
【0011】まず図3の走査電極SCN1〜SCNnに
初期化パルスを印加し、パネルの放電セル内の壁電荷を
初期化する。次に、書き込み期間において、1行目の表
示を行うため、1行目の走査電極SCN1に走査パルス
電圧を印加し、放電セルに対応するデータ電極群D1〜
Dmに書き込みパルス電圧を印加し、データ電極群D1
〜Dmと1行目の走査電極SCN1との間に書き込み放
電(アドレス放電)を起こし、誘電体層表面に壁電荷を
蓄積し、1行目の書き込み動作(アドレス動作)を行
う。以上のような動作が順次行われ、N行目の書き込み
動作が終了し、1画面分の潜像が書き込まれる。次に維
持期間において、データ電極群D1〜Dmを接地し、ま
ず全ての維持電極群SUS1〜SUSnに維持パルス電
圧を印加し、続いて全ての走査電極群SCN1〜SCN
nに維持パルス電圧を印加し、続いて交互にこの動作を
継続して維持パルス電圧を印加することにより、書き込
み期間において書き込み動作が行われた放電セルにおい
て維持放電の発光が継続して行われ、画面の表示が行わ
れる。その後、消去期間において、幅の狭い消去パルス
を印加することによって放電が発生し、壁電荷が消滅す
る為、消去動作が行われる。
【0012】この様に、初期化期間、書き込み期間、維
持期間、消去期間という一連の駆動方法により画像表示
を行っている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】プラズマディスプレイ
パネルの抱える問題の一つとして、書き込み期間におけ
る書き込み不良が挙げられる。つまり、書き込み期間に
おいて、データ電極に電圧パルスが印加されている時間
内に書き込み放電が起こらないことを意味する。これに
は、放電が形成されるまでの時間(以下、tfと呼
ぶ)、及び放電の統計遅れ時間(以下、tsと呼ぶ)と
電圧パルス幅との関係で決まってくる。例えば、テレビ
ジョン学会技術報告vol.19、No.66、1955
年、P55〜66には、パルス幅tpwに対して放電の発
生する確率N(tpw)/N0は、 N(tpw)/N0=1−exp(−(tpw−tf)/ts) (1) で与えられ、放電の起こりやすさは、(1)式からt
f、tsを小さくする必要がある。その中でもtsを小
さくすることは、特に有効である。
【0014】tsを小さくするには、印加される書き込
みパルス電圧を高くすることで効果があるが、高価な高
耐圧用出力ドライバーICの使用や、データ電極駆動回
路の消費電力の上昇といった課題を有していた。
【0015】特に、XGAパネルの駆動では、短い書き
込みパルス時間内に放電を終わらせることが必要であ
り、その為には、データ電極駆動電圧はVGA画面表示
の場合に比べて高くなるという課題があった。
【0016】本発明は上記の課題を解決し、書き込み期
間による書き込み不良を低減し、アドレス放電の安定な
駆動を実現することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達するため、
請求項1の発明のプラズマディスプレイパネルは、放電
空間を介して対向する一対の基板の内、少なくとも一方
の基板上に導電性電極と蛍光体層を順次積層した構造を
有し、前記蛍光体層に不純物原子が含まれたウィスカー
が混合されていることを特徴とするものであり、初期化
期間及び消去期間下り傾斜電圧印加時に、不純物原子が
含まれたウィスカーによるイオンの二次電子放出(γ係
数)が促進され、放電の規模が大きくなり、プライミン
グによる放電の統計遅れ時間(ts)を小さくすること
ができる。
【0018】請求項2の発明のプラズマディスプレイパ
ネルは、ウィスカーがZnOまたはTiO2またはSi
Cを主成分とすることを特徴とする。
【0019】請求項3の発明のプラズマディスプレイパ
ネルは、不純物原子が窒素イオンまたは金属であること
を特徴とする。
【0020】請求項4の発明のプラズマディスプレイパ
ネルは、ウィスカーが0.1重量%以上60重量%以下
含まれていることを特徴とする。
【0021】請求項5の発明のプラズマディスプレイパ
ネルは、ウィスカーが針状またはテトラポット状または
メッシュ状であることを特徴とする。
【0022】請求項6の発明のプラズマディスプレイパ
ネルの製造方法は、基板上に導電性電極を形成し、前記
導電性電極と平行に前記基板上に隔壁を形成し、前記隔
壁間にウィスカーと蛍光体粉末を混合し、インク吐出法
によって塗布することによって蛍光体層を形成すること
を特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施形
態を添付の図面を参照して説明する。
【0024】(実施の形態1)本発明の実施の形態に係
わるプラズマディスプレイパネルは、従来のプラズマデ
ィスプレイパネルと蛍光体層の材料のみ違い、他の構成
要素は同じである。以下に図2に沿って製法について説
明する。
【0025】(PDPの全体的な製法) (フロントパネルの作製)フロントパネルFPは、フロ
ントパネルガラス21上にITOまたは酸化スズ(Sn
2)などの透明導電性材料からなる透明電極34およ
び銀(Ag)厚膜(厚み:2μm〜10μm)、アルミ
ニウム(Al)薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)また
はCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μ
m)で構成したバス電極35を順次積層し、さらに酸化
鉛(PbO)または酸化ビスマス(Bi23)または酸
化燐(PO4)を主成分(一例として、酸化鉛(Pb
O)70重量%、酸化硼素(B23)15重量%、酸化
珪素(SiO2)15重量%)とする低融点ガラス(厚
み20μm〜50μm)からなる誘電体層24をスクリ
ーン印刷(ダイコート印刷またはフィルムラミネート法
でも形成可能)によって形成されている。一例として銀
電極の場合、紫外線感光性樹脂を含んだ銀電極用インク
をスクリーン印刷法によりフロントパネルガラス21上
に均一塗布して乾燥した後、露光現像によるパターニン
グと焼成によって形成する。次に、誘電体層24をプラ
ズマによる損傷から保護するMgOからなる保護層25
(厚み:100nm〜1000nm)が電子ビーム蒸着
法または、スパッタリング法により形成され積層されて
いる。
【0026】(背面パネルの作製)一方、バックパネル
BP側はバックパネルガラス26上には銀(Ag)厚膜
(厚み:2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄
膜(厚み:0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/C
r積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)からなるデー
タ電極27、酸化鉛(PbO)または酸化ビスマス(B
23)または酸化燐(PO4)を主成分とする低融点
ガラス(厚み5μm〜20μm)からなる下地誘電体層
33を形成する。さらに、ガラスを主成分とする隔壁2
8を所定のピッチで形成し、更に隔壁28によって挟ま
れた各空間に赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体によ
る蛍光体層30、31、32を形成することにより、バ
ックパネルBP側が作製されている。ここで、下地誘電
体層33は、隔壁28との密着性を改善するためのもの
であり、無いとプラズマディスプレイパネルが動作しな
いというものではない。また、蛍光体は、赤色蛍光体、
緑色蛍光体、青色蛍光体をそれぞれインク吐出法によっ
て塗布することにより蛍光体層30、31、32を形成
する。各色の蛍光体としては、一般的にプラズマディス
プレイパネルに用いられる蛍光体材料を以下に示す。こ
こではこれらの蛍光体を通常の蛍光体として用いてい
る。 赤色蛍光体:(YXGd1-X)BO3:Eu3+あるいはY
BO3:Eu3+ 緑色蛍光体:BaAl1219:MnあるいはZn2Si
4:Mn 青色蛍光体:BaMgAl1017:Eu2+ 各色蛍光体は、以下のようにして作製される。
【0027】青色蛍光体は、まず、原料として炭酸バリ
ウム(BaCO3),炭酸マグネシウム(MgCO3),
酸化アルミニウム(α−Al23)をモル比で1対1対
5に配合する。次に、この混合物に対して、所定量の酸
化ユーロピウム(Eu23)を添加する。そして、適量
のフラックス(AlF2、BaCl2)と共にボールミル
で混合し、1000℃〜1200℃で所定時間(例え
ば、5時間)、弱還元性雰囲気(H2,N2中)で焼成
後、これをふるい分けして得る。
【0028】赤色蛍光体は、原料として酸化イットリウ
ム(Y23)と硼酸(H3BO3)とをモル比で0.5対
1に配合する。次に、この混合物に対して、所定量の酸
化ユーロピウム(Eu23)を添加し、適量のフラック
スと共にボールミルで混合し、空気中950℃〜120
0℃で所定時間(例えば、5時間)焼成した後、これを
ふるい分けして上記粉体が得る。
【0029】緑色蛍光体は、原料として酸化亜鉛(Zn
O),酸化硅素(SiO2)をモル比で2対1に配合す
る。次に、この混合物に対して所定量の酸化マンガン
(Mn 23)を添加し、ボールミルで混合後、空気中9
50℃〜1200℃で所定時間(例えば、5時間)焼成
し、これをふるい分けして得る。
【0030】また、本発明の実施の形態で使用した蛍光
体は上記の蛍光体に不純物原子が含まれたウィスカーで
あるZnOを0.1重量%〜60重量%混合したもので
ある。
【0031】熱CVD法で作製されたテトラポット形状
の酸化亜鉛(ZnO)ウィスカー(ウィスカー1本の足
の長さ:1〜200μm、核部の足の太さ:0.01〜
10μm、典型的には1本の足の長さ:5〜50μm、
核部の足の太さ:0.05〜5μm)を市販のプラズマ
ドーピング装置内に配置し、装置内にN2ガスを導入し
て窒素プラズマを発生させる。この時、第1の電極に負
のバイアス(−5V〜−1000V)を印加すると、プ
ラズマ中のN+イオンがこのバイアス分加速されてウィ
スカー内に注入される。窒素イオンはZnOウィスカー
の表面近傍に注入され、2次イオン質量分析(SIM
S)によってZnOウィスカーに注入した窒素原子量を
測定したところ、その深さは0.1nm〜100nm
(ナノ・メートル)である。
【0032】エタノールやイソプロピルアルコールやア
セトンやトルエンや酢酸ブチルや酢酸イソアミルなどの
揮発性有機溶剤中に上記の窒素イオン原子を含むZnO
ウィスカーを上記の割合で蛍光体粉末と混合し分散す
る。その後、インク吐出法によって塗布することで赤、
緑、青の蛍光体(30,31,32)を形成する。
【0033】(パネル張り合わせによるPDPの作製)
次に、このようにして作製したフロントパネルとバック
パネルとを封着用ガラスを用いて張り合わせると共に、
隔壁28で仕切られた放電空間29内を高真空(1×1
-4Pa)に排気した後、所定の組成の放電ガスを、所
定の圧力で封入することによってプラズマディスプレイ
パネルを作製する。一例として、ネオンガスとキセノン
ガスの混合ガスを体積%でそれぞれ、95%、5%と
し、圧力を66.5kPa(500Torr)としてい
る。
【0034】(PDPの駆動方法)本発明の実施の形態
に係わるプラズマディスプレイパネルにおける駆動方法
は、従来のプラズマディスプレイパネルの駆動方法と同
じ設定とし、通常の蛍光体の材料と本発明の蛍光体の材
料の比較を行った。
【0035】パネルの構造として、誘電体層24の厚さ
が30〜42μm、MgO保護層25の厚さが、0.5
μm〜0.8μm、走査電極22と維持電極23間ギャ
ップが40μm〜120μm、隔壁28の高さが80μ
m〜120μmの条件で実験を行った。
【0036】VGA表示(画素数853×480)のパ
ネルでは、一例として、隔壁間ピッチ360μm、誘電
体層24の厚さが42μm、MgO保護層25の厚さ
が、0.8μm、走査電極22と維持電極23間ギャッ
プが80μm、隔壁28の高さが120μm構成のパネ
ルにおいて図4の電圧設定値をVa=400V、Vb=
−100V、Vc=−20V、Vd=140V、Ve=
150V、Vs=180V、Vdat=67Vとしてい
る。
【0037】42インチクラスのXGA表示(画素数が
1024×768)のパネルでは、一例として、隔壁間
ピッチは300μm、誘電体層24の厚さが35μm、
MgO保護層25の厚さが、0.8μm、走査電極23
と維持電極22間ギャップが80μm、隔壁28の高さ
が120μm構成のパネルにおいて図4の電圧設定値を
Va=400V、Vb=−90V、Vc=−10V、V
d=140V、Ve=150V、Vs=160V、Vd
at=67Vとしている。
【0038】tsの測定には、以下の条件で行った。上
記の設定電圧で、第7サブフィールドのみ、斜めパター
ンで各色単色のみ点灯した状態で、アドレス放電の放電
の統計遅れ時間(ts)を測定した。
【0039】通常の蛍光体と本発明の実施の形態で使用
した窒素イオン原子が含まれたZnOウィスカー混合蛍
光体におけるtsの結果を図1に示す。ここでは、上記
に記載したVGA用パネルを使用した。通常の蛍光体
(ZnO重量%=0)に比較して、0.1重量%〜60
重量%でtsがR、Bで3割近く減少し、Gにいたって
は、半分以下になっていることが確かめられた。
【0040】このように、蛍光体層に窒素イオン原子を
含むZnOウィスカーでtsが小さくなった理由として
は、以下のように考えている。ZnOウィスカー中に注
入された窒素イオンは、ZnO結晶格子の格子位置より
も格子間に存在し、ドナーとして働く。そのため元々、
自然に存在する酸素空孔によって弱いn型を示す半導体
であるZnOウィスカーの表面およびその近傍領域が、
窒素イオンの存在によってより強いn型を示す。表面が
強いn型になったことにより表面近傍に内部電界が生
じ、電子がウィスカー表面に集められる。このことによ
り、初期化期間及び消去期間下り傾斜電圧印加時に、局
所的に電界が集中し、ウィスカーのイオン衝撃による二
次電子放出(γ係数)が促進され、放電の規模が大きく
なり、プライミングにって放電の統計遅れ時間(ts)
を小さくできたと考えられる。
【0041】また、60重量%より大きくするとtsは
小さくなるが、放電発光効率が低下し、実際に使用でき
るのは、0.1重量%〜60重量%の範囲である。より
望ましくは、G以外の蛍光体にZnOを塗布する場合、
色度がGに近くなるため0.1重量%〜30重量%の範
囲である。テトラポット形状ZnOを使用しているが、
針状ZnOやメッシュ状ZnOを使用しても同様に効果
があった。
【0042】また、XGA用のパネルにおいても同様の
効果があった。
【0043】プラズマドーピング時にドーピング量を制
御し、窒素原子密度のピーク値を1014〜1019個/c
3変化させたウィスカーを作製したが、上記と同様な
効果を得た。
【0044】プラズマドーピング時に窒素ガスの代わり
に、NO,NO2,N2O,N23,N24,N25,N
3,H2NNH2,HN3,NH43,NH3,NF3など
他の窒素原子を含むガスを使用しても同様な効果を得
た。
【0045】また、ウィスカーへの不純物原子の注入
は、市販のイオン注入装置を用いても、ウィスカーを加
熱して不純物の熱拡散を使用してもよい。
【0046】(実施の形態2)本発明の第2の実施形態
では、第1の実施形態で使用した蛍光体中に金属コート
したTiO2ウィスカーを用い、その他の各構成要素は
第1の実施形態で説明したものと同様であり、それらの
説明はここでは省略する。
【0047】チタンアルコキシドを熱CVDでメッシュ
形状TiO2ウィスカーを作製し、真空蒸着、スパッ
タ、CVD法によって、Ni,Li,Na,K,Mg,
Al,Zn,Cr,Cu,Ag,Au金属を10nm〜
800nmコートした。
【0048】エタノールやイソプロピルアルコールやア
セトンやトルエンや酢酸ブチルや酢酸イソアミルなどの
揮発性有機溶剤中にメッシュ形状の金属コート酸化チタ
ン(TiO2)ウィスカー(ウィスカー1本の足の長
さ:0.1〜10μm、核部の足の太さ:0.01〜1
0μm、典型的には1本の足の長さ:0.3〜3μm、
核部の足の太さ:0.03〜3μm)を蛍光体と一緒に
分散した。
【0049】上記の蛍光体を用いてtsを計測した。
【0050】通常の蛍光体に比較して、0.1重量%〜
60重量%でtsがR、Bで4割近く減少し、Gにいた
っては、6割以下になっていることが確かめられた。蛍
光体層に金属コートしたTiO2ウィスカーでtsが小
さくなった理由としては、ウィスカーの先端は鋭利で局
所的な電界が強く、その先にコートされた金属の仕事関
数が小さいのでイオン衝撃による電子放出能力が更に向
上したためと考えられる。
【0051】また、針状TiO2やテトラポット状Ti
2を使用しても同様に効果があった。また、XGA用
のパネルにおいても同様の効果があった。また、ZnO
またはSiCまたはSi34またはAlNまたはBNま
たはTiCウィスカーにおいても同様に効果があった。
【0052】(実施の形態3)本発明の第3の実施形態
では、第1及び第2の実施形態で使用した蛍光体中に熱
CVDで針状SiCウィスカーを作製し、真空蒸着、ス
パッタ、CVD法によって、Ni,Li,Na,K,M
g,Al,Zn,Cr,Cu,Ag,Au金属を10n
m〜800nmコートした。その他の各構成要素は第1
及び第2の実施形態で説明したものと同様であり、それ
らの説明はここでは省略する。
【0053】エタノールやイソプロピルアルコールやア
セトンやトルエンや酢酸ブチルや酢酸イソアミルなどの
揮発性有機溶剤中に針状形状の炭化珪素(SiC)ウィ
スカー(ウィスカー1本の足の長さ:0.1〜20μ
m、核部の足の太さ:0.01〜20μm、典型的には
1本の足の長さ:0.3〜5μm、核部の足の太さ:
0.03〜5μm)を分散した液を上記の割合で蛍光体
粉末と混合した。
【0054】上記の蛍光体を用いてtsを計測した。
【0055】通常の蛍光体に比較して、0.1重量%〜
60重量%でtsがR、Bで2割近く減少し、Gにいた
っては、3割以下になっていることが確かめられた。
【0056】また、SiCまたはSi34またはAlN
またはBNまたはTiCウィスカーにおいても同様に効
果があった。また、メッシュ状TiO2やテトラポット
状TiO2を使用しても同様に効果があった。また、X
GA用のパネルにおいても同様の効果があった。
【0057】以上から分かるように、本発明のプラズマ
ディスプレイパネルはtsが小さく安定なアドレス放電
が実現できている。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、書き込み期間による書
き込み不良を低減し、アドレス放電の安定な駆動を実現
するプラズマディスプレイパネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】通常の蛍光体と本発明の実施の形態で使用した
窒素イオン原子が含まれたZnOウィスカー混合蛍光体
におけるtsの実験結果グラフ
【図2】AC型プラズマディスプレイパネルの概略を示
す斜視図
【図3】電極配列図
【図4】AC型プラズマディスプレイの駆動波形を示す
【符号の説明】
FP フロントパネル BP バックパネル 21 フロントパネルガラス 22 維持電極 23 走査電極 24 誘電体層 25 保護層 26 バックパネルガラス 27 データ電極 28 隔壁 29 放電空間 30 蛍光体(R) 31 蛍光体(G) 32 蛍光体(B) 33 誘電体層 34 透明電極 35 バス電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉田 隆次 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 塩川 晃 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 今井 徹也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 秋山 浩二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5C028 FF04 FF11 5C040 FA01 GB03 GB14 GG07 GG09 MA16 5C058 AA11 AB01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電空間を介して対向する一対の基板の
    内、少なくとも一方の基板上に導電性電極と蛍光体層を
    順次積層した構造を有し、前記蛍光体層に不純物原子が
    含まれたウィスカーが混合されていることを特徴とする
    プラズマディスプレイパネル。
  2. 【請求項2】 前記ウィスカーがZnOまたはTiO2
    またはSiCを主成分とすることを特徴とする請求項1
    に記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 【請求項3】 前記不純物原子が窒素イオンまたは金属
    であることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディ
    スプレイパネル。
  4. 【請求項4】 前記ウィスカーが0.1重量%以上60
    重量%以下含まれていることを特徴とする請求項1に記
    載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 【請求項5】 前記ウィスカーが針状粒子またはテトラ
    ポット状粒子またはメッシュ状粒子であることを特徴と
    する請求項1に記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のプラズマディスプレイ
    の製造方法において、基板上に導電性電極を形成し、前
    記導電性電極と平行に前記基板上に隔壁を形成し、前記
    隔壁間に不純物原子を含むウィスカーと蛍光体粉末を混
    合し、インク吐出法によって塗布することによって蛍光
    体層を形成することを特徴とするプラズマディスプレイ
    の製造方法。
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