<全体構成>
まず、図1を用いて、本実施例1に係るスロットマシン100の全体構成について説明する。なお、図1はスロットマシン100の外観斜視図を示したものである。
スロットマシン100は、略箱状の本体101と、この本体101の前面開口部に取り付けられた前面扉102とを有して構成されている。スロットマシン100の本体101の中央内部には、外周面に複数種類の図柄が所定コマ数だけ配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。本実施例1において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形枠材に貼り付けられて各リール110〜112が構成されている。リール110〜112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110〜112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。なお、本実施例1では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
又、各々のリール110〜112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。このバックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110〜112の近傍には、投光部と受光部からなる光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間を、リールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン114上に表示されるようにリール110〜112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ラインを示すランプである。有効となる入賞ラインは、スロットマシン100に投入されたメダルの数によって予め定まっている。5本の入賞ライン114のうち、例えば、メダルが1枚投入された場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚投入された場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚投入された場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5本が入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5本に限定されるものではない。
スタートランプ121は、リール110〜112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技役に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。告知ランプ123は、内部抽選において、特定の入賞役(例えば、BB(ビッグボーナス)やRB(レギュラーボーナス)等のボーナス)に内部当選していることを遊技者に知らせるランプである。メダル投入ランプ124は、メダルの投入が可能であることを知らせるランプである。払出枚数表示器125は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技回数表示器126は、メダル投入時のエラー表示や、ビッグボーナスゲーム中(BBゲーム中)の遊技回数、所定の入賞役の入賞回数等を表示するための表示器である。貯留枚数表示器127は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。
メダル投入ボタン130、131は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルを所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施例1においては、メダル投入ボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、メダル投入ボタン131が押下されると3枚投入されるようになっている。メダル投入口134は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。即ち、メダルの投入は、メダル投入ボタン130又は131により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入することもできる。精算ボタン132は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル及びベットされたメダルを精算し、メダル払出口155よりメダル受皿156に排出するためのボタンである。メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。
スタートレバー135は、遊技の開始操作を行うためのレバー型の操作部である。即ち、メダル投入口134に所望する枚数のメダルを投入して、スタートレバー135を操作すると、これを契機としてリール110〜112が回転し、遊技が開始される。ストップボタン137〜139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110〜112に対する停止操作を行うためのボタンであり、各リール110〜112に対応して設けられている。そして、いずれかのストップボタン137〜139を操作すると対応するいずれかのリール110〜112が停止することになる。
ドアキー140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。メダル払出口155は、メダルを払出すための払出口である。メダル受皿156は、メダル払出口155から払出されたメダルを溜めるための器である。なお、メダル受皿156は、本実施例1では発光可能な受皿を採用しており、以下受皿ランプと呼ぶこともある。
上部ランプ150、サイドランプ151、中央ランプ152、腰部ランプ153、下部ランプ154、受皿ランプ156は、遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。演出装置157には、例えば小役告知等の各種の情報が表示される。音孔160は、スロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。タイトルパネル162には、スロットマシン100を装飾するための図柄が描かれる。
<入賞役の種類>
次にスロットマシン100の入賞役の種類について説明する。
遊技状態毎に以下に説明する入賞役が採用されている。なお、各遊技状態における入賞役の種類は、本実施例1で示す入賞役に限定されるものではなく、任意に採用できることは言うまでもない。又、本実施例1における入賞役の内、ビッグボーナス(BB)及びレギュラーボーナス(RB)はボーナスゲームに移行する図柄として、又、再遊技(リプレイ)は新たにメダルを投入することなく再遊技が可能となる図柄として、それぞれ入賞役とは区別され「作動役」と呼ばれる場合があるが、本発明に係る「入賞役」には、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技、シフトレギュラーボーナスが含まれ、本発明に係る「入賞」には、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技、シフトレギュラーボーナスへの入賞が含まれる。
なお、これらの入賞役の当選確率は予め設定がなされているものである。
<通常遊技>
通常遊技の入賞役には、ビッグボーナス(BB)と、レギュラーボーナス(RB)と、再遊技(リプレイ)と、小役(小役1、小役2、小役3)がある。
「ビッグボーナス(BB)」は、入賞によりビッグボーナスゲーム(BBゲーム)が開始される入賞役(作動役)である。本実施例1では、入賞時に所定数のメダルの払い出しを行う。BBに内部当選すると、これを示すフラグが立つ(主制御部300のRAM313の所定のエリア内に記憶される)が、その遊技においてBBに入賞しなかったとしても、入賞するまでフラグが立った状態が維持され、次遊技以降でもBBに内部当選中とする。
「レギュラーボーナス(RB)」は、入賞によりレギュラーボーナスゲーム(RBゲーム)が開始される入賞役(作動役)である。本実施例1では、入賞時に所定数のメダルの払い出しを行う。なお、本実施例1ではRBについても上述のBBと同様にフラグ持越しを行う。
「再遊技(リプレイ)」は、入賞により、次回の遊技でメダルの投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役(作動役)であり、メダルの払出は行わない。
「小役(小役1、小役2、小役3)」は、入賞により所定数のメダルが払い出される入賞役である。
<BB一般遊技>
BB一般遊技の入賞役には、シフトレギュラーボーナス(SRB)と、小役(小役1、小役2、小役3)がある。
「シフトレギュラーボーナス(SRB)」は、入賞によりシフトレギュラーボーナスゲーム(SRBゲーム)が開始される入賞役(作動役)である。本実施例1では、入賞時には所定数のメダルの払い出しを行う。なお、SRBについてはBBと同様にフラグ持越しを行うものとしても良い。
「小役(小役1、小役2、小役3)」は、通常遊技と同じである。
<RB(SRB)遊技>
RB(SRB)遊技における入賞役は「役物」のみであり、RB(SRB)遊技中の各遊技を役物遊技という。役物はRB(SRB)遊技中にのみ入賞する入賞役であって、本実施例1では、入賞時には所定数のメダルの払い出しを行う。
<遊技状態の種類>
次に、スロットマシン100の遊技状態の種類について説明する。
スロットマシン100の遊技状態は、通常遊技と、BBゲームと、RB(SRB)ゲームと、に大別される。
BBゲームの内容は、複数種類考えられるが、本実施例1では、BBゲーム中にSRBに入賞することが可能で、これに入賞するとSRBゲームが開始される。なお、BBゲームは、本実施例1では予め定めたメダル数を獲得した場合(例えば、入賞により獲得したメダル数が465枚に達した場合)に終了する。又、その他の条件を加えてBBゲームの終了条件としてもよく、例えば、SRBゲームを予め定めた遊技回数行った場合(例えば、SRBゲームが3回終了した場合)にBBゲームが終了するようにしてもよい。この場合、SRBゲームが終了するとBB一般遊技に戻るか、或いは、BBゲームが終了する(BB一般遊技の30回目にSRBに入賞してSRBが開始された場合)こととなる。
RB(SRB)ゲームの内容は、複数種類考えられるが、本実施例1では、予め定めた回数(本実施例1では12回)の遊技を行うか、あるいは、役物が予め定めた回数(本実施例1では8回)入賞するかのいずれかの条件が成立することを終了条件とするゲームである。
<制御部>
次に、図2を用いて、このスロットマシン100の制御部の回路構成について詳細に説明する。
スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の中枢部分を制御する主制御部300と、主制御部300より送信されたコマンドに応じて各種機器を制御する副制御部400と、副制御部400により送信されたコマンドに応じて演出装置(LCD)157を制御する演出装置制御部500と、これらの制御部に電気を供給する電源部600とによって構成されている。
<主制御部>
まず、スロットマシン100の主制御部300について説明する。なお、図2は主制御部300、副制御部400、演出装置制御部500、電源部600の回路ブロック図を示したものである。
主制御部300は、主制御部300の全体を制御するための演算処理装置であるCPU310や、CPU310が各ICや各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバス(以下単に「バス」という。)370を備え、その他、以下に述べる構成を有する。
CPU310には、各ICを制御するためのプログラム、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等の各種データを記憶しているROM312や、一時的なデータを保存するためのRAM313が接続されている。これらのROM312やRAM313については他の記憶手段を用いてもよく、この点は後述する副制御部400においても同様である。又、CPU310には、図示しないが、センサやスイッチの状態を常時監視するためのタイマ割り込み処理の周期やモータの駆動パルスの送信周期を設定するためのタイマ回路がバス370を介して接続されている。CPU310は、電源が投入されると、バス370を介してROM312の所定エリアに格納された分周用のデータをタイマ回路に送信する。タイマ回路は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間毎に、割り込み要求をCPU310に送信する。CPU310は、この割り込み要求を契機に、各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、CPU310のシステムクロックを6MHz、タイマ回路の分周値を1/256、ROM312の分周用のデータを44に設定した場合、この割り込みの基準時間は、256×44÷6MHz=1.877msとなる。又、CPU310には、外部の信号を受信するための入力インタフェース360が接続され、割込み時間ごとに入力インタフェース360を介して、メダルセンサ320、スタートレバーセンサ321、ストップボタンセンサ322、メダル投入ボタンセンサ323、及び図示していないが精算ボタンセンサ、メダル払い出しセンサ等の状態を検出し、各センサを監視している。
メダル投入センサ320は、メダル投入口134に投入されたメダルを検出するためのセンサである。スタートレバーセンサ321はスタートレバー135の操作を検出するためのセンサである。ストップボタンセンサ322はストップボタン137〜139のいずれかが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検出するためのセンサである。メダル投入ボタンセンサ323はメダル投入ボタン130、131のいずれかが押下された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検出するためのセンサである。精算ボタンセンサは、精算ボタン132に設けられており、精算ボタン132が一回押されると、貯留されているメダル及びベットされているメダルが精算されて払い出されることになる。メダル払い出しセンサは、払い出されるメダルを検出するためのセンサである。
CPU310には、更に、入出力インタフェース340、出力インタフェース350がバス370を介して接続されている。CPU310は、これらのインタフェースを介して外部のデバイスと信号の送受信を行っている。入出力インタフェース340には、リールを駆動させるためのモータを制御するモータ制御部330と、ホッパー(バケットにたまっているメダルをメダル払出口155から払出すための装置。図示省略。)のモータを駆動するためのホッパー制御部331と、が接続されている。又、出力インタフェース350には、ランプ類334(具体的には、入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122、告知ランプ123、メダル投入ランプ124等)が接続されている。
又、CPU310には、乱数発生回路311がバス370を介して接続されている。乱数発生回路311は、図示せぬ水晶発振器及び水晶発振器から発振されるクロックに基づいて、一定の範囲内で値をインクリメントし、そのカウント値をCPU310に出力することのできるインクリメントカウンタであり、入賞役の内部抽選をはじめ各種抽選処理に使用される。CPU310のバス370には、副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェース371が接続されている。
なお、主制御部300と副制御部400との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は副制御部400へコマンドを送信するが、副制御部400から主制御部300へ何らかのコマンド等を送信することはできない。このことは、後述する副制御部400と演出装置制御部500においても同様である。
又、図2においては図示していないが、CPU310には、電源投入時にCPU310を初期化するためリセットICが接続されている(詳細後述)。
<副制御部>
次に、副制御部400について説明する。
副制御部400は、主制御部300より送信された主制御コマンド等に基づいて副制御部400の全体を制御する演算処理装置であるCPU410や、CPU410が各IC、各回路と信号の送受信を行うためのデータバス及びアドレスバス(以下単に「バス」という。)460を備え、以下に述べる構成を有する。
CPU410には、副制御部400の全体を制御するための命令及びデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータが記憶されたROM412や、データ等を一時的に保存するためのRAM413がバス460を介して接続されている。
CPU410には、バス460を介して主制御部300から主制御コマンドを受信するための入力インタフェース461が接続されており、入力インタフェース461を介して受信したコマンドに基づいて、遊技全体を盛り上げる演出処理等が実行される。また、CPU410のバス460には、音楽信号形成部450が接続されている。音楽信号形成部450は、CPU410からの命令に応じて音声の制御を行う。この音楽信号形成部450は、図示せぬ音楽ICや、音声データが記憶された図示せぬROMが接続されており、この音源ICは、ROMから取得した音声データをアンプ482で増幅させてスピーカ483から出力する。
又、バス460を介して設けられた出力インタフェース420によりランプ類413を制御可能とされている。
又、バス460を介して接続される出力インタフェース440は、後述する演出装置制御部500へとコマンド送信可能とされている。
<演出装置制御部>
次に、演出装置制御部500について説明する。
演出装置制御部500は、副制御部400より送信されたコマンドに基づいて演出装置制御部500の全体を制御する演算処理装置であるCPU510や、CPU510が各IC回路と信号の送受信を行なうためのデータバス及びアドレスバス(以下単に「バス」という。)570を備えている。
副制御部400からのコマンドは、入力インタフェース530及びバス570を介して入力される。
CPU510には、演出装置制御部500の全体を制御するための命令及びデータ等が記憶されたROM511や、演出装置としてのLCD157に所定の表示を行なわせるためのビデオディスプレイプロセッサ(以下単に「VDP」という。)550が接続されている。なお、このVDP550には、VDP用のデータを納めたROM552が接続されており、更に、VDP550は出力インタフェース553を介してLCD157と接続されている。
<電源部>
符号600は、スロットマシン100の各部に電気を供給可能な電源部であり、AC100V等の外部電源から各部が要求する条件に合わせて電気を供給可能とされている。
続いて、図3及び図4を用いて、本発明の要部となる回路について説明する。
図3には、電源部600と、主制御部300と、スタートレバーセンサ321との関係を示した回路図を示す。
電源部600は、AC100Vの外部電源が入力され各部(各装置)が必要とする電力をスイッチングレギュレータ601を介して第1の電気供給手段としての第1電気経路VCC1(以下単に「VCC1」という。)、及び、第2の電気供給手段としての第2電気経路VCC2(以下単に「VCC2」という。)に供給している。このときスイッチングレギュレータ601はVCC1、及び、VCC2に電力を同時に供給可能に構成されている。
又、第2電気経路VCC2における、スイッチングレギュレータ601と主制御部300との間には、遅延手段として後述する検知部及び第二信号変化部への電気の供給を遮断可能なタイマ回路T1及びリレー回路603が設けられている。この遅延手段は、図3においては電源部600内に設けられているが、このこと自体は必須の要件ではなく、電源部600外に設けられてもよく、例えば、主制御部300と電源部600の間に遅延手段のみを備える遅延部を別に設けてもよい。
主制御部300は、CPU310の電源端子K1がVCC1に接続されて動作可能となっている。CPU310には、このVCC1から電気の供給を受けてCPU310を初期化するリセットIC390が接続されている。
また、CPU310における第1の入力ポートP1は、バッファIC393が接続され、バッファIC393とスターレバーセンサ321のトランジスタのコレクタが信号線OUTで接続されている。この信号線OUTはプルアップ抵抗R3を通してVCC1に接続されている(またバッファIC393もVCC1に接続されている。)。これによりCPU310は、スタートレバーセンサ321の検知信号であるSOUTの変化を検出可能としている。更に、CPU310における第2の入力ポートP2がコンパレータ391に接続されて、CPU310はVCC2の電気供給の有無を検知可能としている。
検知部としてのスタートレバーセンサ321は、電源端子K2がVCC2と接続され、VCC2からの電気供給を受けて動作可能となっている。本実施例1においては、このスタートレバーセンサ321は、フォトインタラプタで構成され、発光素子と受光素子の間を遮光板が動くことでスタートレバー135の動作状態を検知する光学センサが用いられている。これは、スタートレバー135に連動するセンサであるという性質上、遊技に際して頻繁に操作がされることから、耐久性や安定性を考慮して非接触式のセンサ(例えばフォトインタラプタ等)が使用されているものである。但し、本発明はこれに限られる趣旨のものではなく、光学式以外の非接触式センサ(例えば磁気センサ等)でもよく、更には、ストップボタン137〜139のような一般的なスイッチ等の接触式のものであっても何ら支障のないものである。
なお、スタートレバーセンサ321のトランジスタのコレクタは、VCC1に抵抗R3を通してプルアップされることで、スタートレバー135の動きに応じて、H(High、ハイレベル、以下単に「H」という)、L(Low、ローレベル、以下単に「L」という)のロジック信号を出力する。
又、本実施例1としては、遊技者に直接操作されるスタートレバー135のセンサとして説明しているが、これに限られるものではない。電気が供給されている状態において電位の変化で対象物を検知するセンサであればよく、例えば、パチンコ台であればチャッカに代表される入賞口に備えられた遊技球の通過を検知するセンサであってもよい。この場合、遊技球の通過を検知したことにより決定される入賞役は、予め1つの入賞役(払出される遊技球の数のみが設定されている役)であってもよいし、抽選で1つの入賞役を決定するもの(大当たり役、ボーナス遊技に移行する設定とされている)であってもよい。
次に、図4を用いて、スロットマシン100に不正機器700が取り付けられた場合について説明する。なお、図4は、不正機器700が取り付けられた場合の回路図の一例を示したものである。
不正機器700は、スタートレバーセンサ321と、主制御部300との間に設けられ、VCC2から電気の供給を受けて動作可能とされている。なお、勿論のこと電池等の独立した電源を備える不正機器が取り付けられることも考えられるが、電池等は電気を使い終われば機器の作動が行われなくなることから、遊技機内に取り付けられる不正機器に対しては不向きであり、遊技機内の電源を利用した不正機器が取り付けられるケースが大半である。不正機器700は、スタートレバーセンサ321の検知信号であるSOUTの変化によらず、CPU310における第1の入力ポートP1へ、H、または、Lのロジック信号を出力可能な構成としている。よって、遊技者があるタイミングでスタートレバー135を操作した場合であっても、また、遊技者がスタートレバー135を操作していない場合であっても、意図的なタイミング(大当たり等の遊技者にとって有利な状態を得ることができるタイミング)で信号を主制御部300に伝えることが可能となっている。
なお、この不正機器700には種々のものが考えられるが、代表的な例としては、図5に示すように、スタートレバーに直接取り付けられる例(A)や、スタートレバー等の操作部から制御部へと繋がるハーネスの裏側に隠れるように設置されるもの(B)がある。
続いて、図6を用いて、前述した図3及び図4で示した回路の動作について説明する。
図6は、電源部600、VCC1、リセットIC390、VCC2、第2の入力ポートP2の各状態、及び不正機器の有無に応じた第1の入力ポートP1の状態を表わしたタイミングチャートである。
まず、電源部600が立ち上がると、それに伴ってVCC1により電気が供給され始める。VCC1により電気が供給されると、CPU310に電気が供給されると共に、リセットIC390の働きによってCPU310がリセット(初期化)される。又、VCC1により電気が供給されると同時に、VCC1からプルアップ抵抗R3及びバッファIC393を経由して、第1の入力ポートP1への入力信号が変化する。即ち、第1の入力ポートP1の信号レベルがLからHへと変化する。このとき、未だスタートレバーセンサ321には電気が供給されていないため(詳細後述)、スタートレバーセンサ321におけるトランジスタのコレクタには電流が流れない(抵抗R3でVCC1にプルアップされており、第1の入力ポートP1の信号レベルはH)。
一方、VCC2は、前述したタイマ回路T1及びリレー回路603(図4参照)により、VCC1に比べて、所定の遅延時間(t1)だけ電気供給が遅延されている。なお、この所定の遅延時間(t1)は、少なくともリセットIC390によってCPU310がリセットされるのに要する時間、即ち、CPU310がイニシャライズ(初期設定)可能な時間より長い時間であり、CPU310が入力ポートへの入力信号(例えば、入賞役決定の契機となる検知信号)を検出可能な状態になるまでの時間だけセットされる。これにより、確実な検出が可能となっている。
続いてVCC2により電気が供給されると、主制御部300に備わるコンパレータ391の出力信号が変化し、第2の入力ポートP2にこの変化が入力される(本実施例1ではLからHに変化)。この第2の入力ポートP2の入力信号の変化と同時に、CPU310に備わる検出計測手段によってタイマのカウントが開始される。
VCC2の電気は、スタートレバーセンサ321にも供給されているため、スタートレバーセンサ321も動作を開始する。即ち、スタートレバーセンサ321にVCC2によって電気が供給されると、スタートレバーセンサ321の検知信号SOUTがLからHとなる。このSOUTの変化が検知部(スタートレバーセンサ321)の応答である。これに伴いコレクタ出力がHとなる。即ち、スタートレバーセンサ321のコレクタをHとし、第1の入力ポートP1への入力信号はこれと連動してHからLへと変化する。このLへと変化したタイミングを前述した検出計測手段によって再度計測し、第2の入力ポートP2の入力信号の変化から、第1の入力ポートP1の入力信号の変化、即ち、CPU310は、第2の入力ポートP2の信号レベルがLからHとなってから、第1の入力ポートP1の信号レベルがHからLとなるまでの時間を監視可能としている。
この計測した時間は、不正機器700が取り付けられていない場合には短くなり(t2)、不正機器700が取り付けられている場合には長くなる(t3)。これは、コレクタ側の信号経路(信号線OUT)中に不正機器700が位置していることに起因している。即ち、不正機器に備わるIC等のインテリジェンス回路の存在によって、スタートレバーセンサ321のトランジスタのコレクタ出力がHとなるタイミングにズレ(遅れ)が生じるためである。このズレの大きさを判断することで、不正機器が取り付けられているか否かの判断が可能となる。
なお、スタートレバー135の動作の監視手順は以下にようになる。スタートレバーセンサ321に電気が供給されている状態において、スタートレバー135が非操作時、即ち、発光素子の光源を遮光した状態では、前述したとおり、トランジスタのコレクタ出力がHになっており、第1の入力ポートP1はLとなっているが、スタートレバー135が操作時、即ち、発光素子の光源を受光素子が受けている場合には、トランジスタのコレクタ出力がLとなり、CPU310の入力ポートP1では信号レベルがLからHに変化する。これを監視することで、スタートレバー135の操作の有無を判定する。
続いて、前述した回路の動作を踏まえて、主制御部300に電気が供給され始めてから遊技が実行されるまでの主制御部300の処理について説明する。なお、図7〜図10は、主制御部300の各処理を示すフローチャートであり、図7は電源投入処理、図8は初期値設定処理、図9は不正機器取付判定処理、図10は遊技実行処理である。
まず、図7の電源投入処理について説明する。
電源が投入されると、ステップS101で、CPUリセット処理が行なわれる。これは、リセットIC390によって実行される。
ステップS102では、初期値設定処理により、不正機器の取付判定等を行なった後(詳細は後述)処理を終了する。
<初期値設定処理>
次に、図8の初期値設定処理(上記電源投入処理のステップS102)について説明する。
ステップS201では、不正機器取付判定処理を行なう(詳細は後述)。
この不正機器取付判定処理が終了すると、ステップS202としてRAM異常判定処理が行なわれる。
ステップS203では、設定値変更処理を行なう。
ステップS204では、コマンドを設定し、そのコマンドの送信処理を行なう。
ステップS205では、復帰処理が行なわれる。
ステップS206では、遊技実行処理(詳細は後述)に移行した後、処理を終了する。
<不正機器取付判定処理>
続いて、図9の不正機器取付判定処理(上記初期値設定処理のステップS201)について説明する。
ステップS301は、第2の入力ポートP2を用いてVCC2がONになっているか否か(即ち、検出状態がHであるか)を判断する。そして、VCC2がON(即ち、検出状態がH)になっていればステップS302に進み、なっていなければステップS301を繰り返す。
ステップS302では、タイマによってカウントを開始する。なお、具体的には、このタイマのカウントはCPU310が受信する割り込み要求の数をカウントしている。このタイマを用いて、電源投入後、第2の入力ポートP2への入力信号が変化した時点からの時間を計測する。
ステップS303では、スタートレバーセンサ321の出力信号SOUTがLからHとなっているか否か、即ち、CPU310の第1の入力ポートP1への入力信号が変化する(本実施例1ではH→Lへの変化)か否かを判定する。出力信号SOUTがH(第1の入力ポートP1がL)となっていれば、ステップS304へと進み、なっていなければステップS303を繰り返す。
ステップS304では、タイマのカウンタ値を取得する。即ち、第2の入力ポートP2の入力信号が変化した時点から第1の入力ポートP1の入力信号が変化した時点までの時間を計測する。換言すると、スタートレバーセンサ321へ電気供給が開始されたことを検出した時点から、この電気供給に応答して変化する検知信号の変化を検出した時点までの時間を計測する。
これらのステップS301からステップS304までが、本発明の検出計測手段に相当する部分である。
ステップS305では、取得したカウンタ値と、予め設定された基準値(基準時間)とを比較する。この基準値は機種毎にそれぞれ設定される。本実施例1においては、基準値は5に設定されている。即ち、割り込み時間が1.877msの場合であれば、1.877×5=9.385msが基準値となる。 取得したカウンタ値(計測時間)が基準値(基準時間)を比較し、取得したカウンタ値が基準値より大きかった場合、つまり計測時間が基準時間を越えていた場合はステップS306へと進み、取得したカウンタ値が基準値より小さかった場合、つまり計測時間が基準時間を越えていなかった場合は終了する。
ステップS306では不正機器取付エラー処理がなされ、その後終了する。
このステップS305及びステップS306が、本発明における処理手段に相当する。
ここで、本発明における「所定の処理」としては、種々の処理が実行可能である。
例えば、LCD157の画面上に、「出荷時には取り付けられていないはずの機器が取り付けられている恐れがあります。販売代理店の担当者まで連絡を下さい。」のような表示をし、エラーが発生した旨を外部に報知するエラー報知を行なってもよい。
又、上記表示を一定時間(例えば1分間)のみ行ない、通常表示に移行させるような処理を行なってもよい。
又、RAM異常等の通常のエラー処理と同様に、エラー解除を行なわれない限り遊技が実行できないような処理を行なってもよい。
又、遊技台には表示せず、店舗に備わるホールコンピュータにのみエラー報知するようにしてもよい。
又、電源立ち上げ時にエラーとなった回数をカウントし、この回数も合わせて表示(報知)するような処理を行なってもよい。
このような所定の処理を行なうことによって、不正機器が取り付けられているか否かを店側の従業員等が把握することが可能となる。
<遊技実行処理>
次に図10の遊技実行処理(上記初期値設定処理のステップS206)について説明する。
ステップS401では、メダル投入に関する処理を行う。ここでは、メダルの投入の有無をチェックし、投入されたメダルの枚数に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。なお、前回の遊技で再遊技に入賞した場合はメダルの投入が不要である。
ステップS402では、乱数発生回路311で発生させた乱数を取得する。
ステップS403では、ステップS402で取得した乱数値と、ROM312に格納されている入賞役抽選テーブルを用いて、入賞役の内部抽選を行う。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、その入賞役のフラグが内部的にONになる。又、副制御部400に対して入賞予定コマンドを送信する。副制御部400は、この入賞予定コマンドを受信することによって入賞役の内部当選を把握する。
ステップS404では、リール回転開始処理により、全リール110〜112の回転を開始させる。この際、ステップS403の内部抽選結果等に基づき、停止位置データ選択テーブルを参照し、いずれか一つのリール停止制御テーブルを選択する。
ステップS405では、リール停止制御処理により、押されたストップボタン137〜139に対応するリール110〜112の回転を停止させる。この際、各リール110〜112を、ステップS404で選択したリール停止制御テーブルに基づいて停止させる。
ステップS406では、ストップボタン137〜139が押されることによって停止した図柄の入賞判定を行う。ここでは、有効化された取り付けライン114上に、内部当選した入賞役又はフラグ持越し中の入賞役に対応する入賞図柄組合せが揃った(表示された)場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」が揃っていたならばリプレイ(再遊技)の入賞と判定する。
ステップS407では、メダル払出処理を行う。このメダル払出処理では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。
ステップS408では、遊技状態制御処理を行う。この遊技状態制御処理では、遊技状態を移行するための制御が行われ、例えば、BB入賞やSRB入賞の場合に次回からBBゲーム又はSRBゲームを開始できるよう準備し、それらの最終遊技では、次回から通常遊技が開始できるよう準備する。
以上により1ゲームが終了し、以降、遊技実行処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
このように、本発明における遊技実行処理においては、複数の異なるクロック周波数を遊技実行処理毎に選択するような処理は行なわれておらず、プログラムのステップ数の増大を回避しつつ、不正機器が取り付けられているか否かを迅速且つ確実に判別することが可能で、不正行為を未然に防止することができる。
又、本実施例1のような構成とすれば簡易な構成で不正機器の有無をチェックすることができる。
又、本実施例1とは異なる構成であるが、主制御部が、検知部に対する電気供給をソフトウェアを介して制御可能に構成し、検知部への電気の供給を所定のタイミングで開始し、この開始時点から電気供給に対する検知部の応答を検出した時点までの時間を計測するようにしてもよい。このような構成とすれば、電源立ち上げ時のみならず、何れの処理中であっても不正機器の有無の判定が可能となり、プログラム設計の自由度が高くなる。
上記実施例1においては、メダル(コイン)を遊技媒体としたスロットマシンの例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、遊技球(例えば、パチンコ玉)を遊技媒体としたスロットマシン(いわゆるパチロット)等にも適用可能である。