JP4629749B2 - 射出成形同時絵付用シート、絵付け成形品、及び射出成形同時絵付用シートの製造方法 - Google Patents
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また、上記ポリオレフィン系樹脂を、エチレンプロピレンゴムを含有するポリオレフィン系樹脂とすることができる。
また、前記ポリオレフィン系樹脂を、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対してエチレンプロピレンゴムが1〜40重量部含有するポリオレフィン系樹脂とすることができる。
また、本発明の射出成形同時絵付用シートの製造方法は、ラミネートタイプの射出成形同時絵付用シートの製造方法において、最表面層となる透明なアクリル樹脂シートの片面に、該アクリル樹脂シートに接しアクリルウレタン樹脂を主成分とする装飾層を形成し、一方ポリプロピレン又はポリエチレンシートの片面に、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層を形成し、プライマー層と装飾層とが接するように積層されてなる射出成形同時絵付用シートの製造方法とした。
また、本発明の射出成形同時絵付用シートの製造方法は、ラミネートタイプの射出成形同時絵付用シートの製造方法において、最表面層となる透明なアクリル樹脂シートの片面に、アクリルウレタン樹脂を主成分とする装飾層を形成し、前記装飾層上に、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層を形成し、一方ポリプロピレン又はポリエチレンシートの片面に、塩素化ポリプロピレンを主成分とする接着剤層を形成し、接着剤層とプライマー層とが接するように積層されてなる射出成形同時絵付用シートの製造方法とした。
(2)本発明の絵付け成形品によれば、ポリオレフィン系樹脂の樹脂成形物に対してでも、優れた透明性及び密着性を有する成形品にできる。
(3)本発明の射出成形同時絵付用シートの製造方法によれば、上記(1)の効果を有する射出成形同時絵付用シートを製造できる。
先ず、図1(A)に例示の一形態で、本発明の射出成形同時絵付用シートを説明すれば、本発明の射出成形同時絵付用シートSは、最表面層は透明なアクリル樹脂シート1からなり、最裏面層はポリプロピレン又はポリエチレンシート5からなり、そして装飾層2をこれら層間に有し、更に装飾層2とポリプロピレン又はポリエチレンシート5間にプライマー層3を有する構成を基本的な層構成とする。そしてのこの様な層構成に対して、各層の構成材料を、図1(A)の形態では、(最表面層及び最裏面層に上記特定材料を採用した上で)装飾層2、プライマー層3に次の様な特定材料を採用して層間の密着性を良好にする。すなわち、装飾層2はそのバインダーの樹脂が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合物又はアクリルウレタン樹脂を主成分とする層とし、プライマー層3はウレタン樹脂を主成分とする層とする。
アクリル樹脂シート1はアクリル樹脂からなる透明な樹脂シートである。アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のアクリル樹脂〔但し、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートの意味〕を単体又は2種以上の混合物として用いる。アクリル樹脂シートに良好な耐擦傷性を付与する為に、滑剤として炭化水素系滑剤、脂肪酸系滑剤等の滑剤を添加すると好ましい。但し、滑剤を添加し過ぎると射出成形同時絵付時に型内でシートが滑って、シワ、歪み等を生じ易くなる。その為、滑剤はアクリル樹脂シート表面の動摩擦係数が0.2〜0.9になる様に添加すると良い。添加量でいうと0.1〜0.5重量%程度である。なお、アクリル樹脂シートは単層の他、2層以上の積層体の樹脂シートとして用いても良い。また、透明とは通常は無着色透明だが、必要に応じ適宜公知の着色剤の添加によって着色透明としても良い。最表面層としてアクリル樹脂シートを使用し、装飾層をその下層とする事で、アクリル樹脂シートによる優れた透明性によって塗装感や表面艶等の高級感溢れる意匠性を付与出来る事になる。また、ポリオレフィン系樹脂シート等にくらべて、耐候性及び耐擦傷性等の表面物性も良好にできる。なお、アクリル樹脂シートの厚みは特に制限は無いが、射出成形同時絵付用シート全体としての強度を、このアクリル樹脂シートで持たせる必要は無く、また厚すぎると射出成形同時絵付用シートの腰が強くなり過ぎてハンドリングが悪くなるので、付与する透明感、塗装感等の表面特性に応じて、通常は20〜200μm程度とする。
装飾層2、2Aは、印刷等で例えば絵柄等を表現した層である。装飾層2、2Aは、そ
のバインダーの樹脂の主成分に特定の樹脂を使用する。すなわち、第1、第2、第4の発明、及び第4の発明に対する第5の発明の各発明に於ける装飾層2〔図1(A)、(B)、(D)及び図2(B)参照〕は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合物、或いはアクリルウレタン樹脂を、バインダーの樹脂の主成分として構成する。また、第3及び第3の発明に対する第5の発明に於ける装飾層2A〔図1(C)及び図2(A)参照〕は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合物でバインダーの樹脂の主成分を構成する。この様な特定樹脂を使用する事で、それぞれの発明の射出成形同時絵付用シートに於いて、装飾層が接するアクリル樹脂シートと(該装飾層のバインダーの樹脂に対応した特定樹脂を使用する)プライマー層との密着性が良好となる。なお、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合物の組み合わせは、アクリル樹脂はアクリル樹脂シートとの密着性向上に寄与し、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は印刷適性や成形適性向上に寄与する。また、アクリルウレタン樹脂はその単体でそれら適性を満足させる事ができる。
プライマー層3、3A、3B及び3Cは、層間に介在し層間密着性を向上させる。プライマー層3、3A及び3Bは、その主成分を特定の樹脂で構成する。該樹脂には、第1、第2、第4の発明、及び第4の発明に対する第5の発明のプライマー層3〔図1(A)、(B)及び(D)、図2(B)参照〕ではウレタン樹脂を使用し、第3の発明及び第3の発明に対する第5の発明に於けるプライマー層3A〔図1(C)及び図2(A)参照〕では塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を使用する。また、必要に応じ適宜設けるプライマー層3Cは、その主成分の樹脂は適宜な樹脂とすれば良いが、ウレタン樹脂は好ましい樹脂である。
接着剤層4〔図1(B)参照〕は、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層3とポリプロピレン又はポリエチレンシート5間に介在して、これら接着させる層である。この接着剤層は、塩素化ポリプロピレンを主成分として構成する。上記特定材料からなるプライマー層3とポリプロピレン又はポリエチレンシート5間の層間密着力向上には、塩素化ポリプロピレンを主成分として使用することで、好ましい結果を得ることができる。なお、接着剤層は、上記特定樹脂を用いたインキ又は塗液で、公知の印刷法又は塗工法で形成すれば良い。接着剤層の厚みは特に制限はないが、例えば5〜20μm程度である。
ポリプロピレン又はポリエチレンシート5としては、第3、第4、第5の発明の場合のプライマー層側には分子中に極性官能基を有するポリプロピレンシート又はポリエチレンシート5Aを使用する。第5の発明の場合には該ポリプロピレン又はポリエチレンシート5Aに加えて、更に、樹脂成形物側には、分子中に極性官能基の無いポリプロピレン又はポリエチレンシート5Bを使用する。第1、第2の発明の場合には、ポリプロピレン又はポリエチレンシート5は極性官能基の有無はいずれでも良い。射出成形同時絵付用シートの最裏面層として、ポリプロピレン或いはポリエチレンからなる樹脂シートを使用することで、射出成形同時絵付用シートを、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物に密着良くラミネ−トできる様になる。ポリエチレン、ポリプロピレンのどちらを使用するかは、射出成形同時絵付用シートを積層する樹脂によって選択する。積層する樹脂が、ポリプロピレン系の場合はポリプロピレンシートを使用し、ポリエチレン系の場合はポリエチレンシートが好ましい。また、射出成形同時絵付用シート全体としての必要な厚みは、高価なアクリル樹脂シートよりは、このポリプロピレン又はポリエチレンシートで出すのが、低コストとなり、また、撓りやすくハンドリングも容易で、且つ成形性の点でも好ましい。また、ポリプロピレン又はポリエチレンシートの分子中に極性官能基を付与する為には、エチレン又はプロピレンの単量体とアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸とを共重合して重合体分子中にカルボキシル基を付与したり、或いは一旦、酢酸ビニルと共重合した後、鹸化して重合体分子中に水酸基を付与したりすれば良い。これら共重合成分は通常5〜25mol%程度とする。また、共重合の形態としては通常グラフト共重合であるが、その他の共重合形態でも良い。
ここで、上述した本発明の射出成形同時絵付用シートの使用用途である、射出成形同時絵付方法について、一応説明しておく。ここでの射出成形同時絵付方法は、ラミネ−ト形態となり、特公昭50−19132号公報、特公昭43−27488号公報等に記載されるように、射出成形同時絵付用シートを、一対の型の間に配置した後、両型を型締めし、両型で形成されるキャビティ内に流動状態の樹脂を射出し充填して固化させて、樹脂成型物の成形と同時にその表面に射出成形同時絵付用シートを積層して、樹脂成形物を絵付けする方法である。
なお、射出成形同時絵付方法に於いて、射出成形して樹脂成形物とする樹脂としては、基本的には、射出成形同時絵付方法に於ける従来公知のものが使用でき特に制限はなく、製品の要求物性やコスト等に応じて選定される。但し、本発明の射出成形同時絵付用シートは、ポリオレフィン系樹脂に対して密着が良い様に構成されているので、ポリオレフィン系樹脂が好適である。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂、或いは各種のオレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられる。
本発明の絵付け成形品は、図4の断面図で概念的に示す絵付け成形品Pの如く、前述本発明の射出成形同時絵付用シートSがポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物6の表面に積層した構成の成形品である。もちろん、射出成形同時絵付用シートSは、そのポリプロピレン又はポリエチレンシートが樹脂成形物と接する様に積層されている。樹脂成形物
6は、ポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂は、前記射出成形樹脂で説明した如き樹脂である。樹脂成形物6の表面に射出成形同時絵付用シートSを積層するには、前述した射出成形同時絵付方法によれば良い。本発明の絵付け成形品では、射出成形同時絵付用シートと樹脂成形物との密着性に優れ、また表面の透明性も良好な成形品となる。
〔参考例1:第2の発明〕
図1(B)の如き構成の射出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。無着色のポリメチルメタクリレート(PMMA)シート(厚さ0.125mm)を透明なアクリル樹脂シート1として、その片面に、バインダーの樹脂が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との1対1重量比混合物で、弁柄を主成分とする着色剤を使用した着色インキを印刷して木目柄の装飾層2を形成し、更にアクリルポリオールと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とするプライマーインキを全面に印刷してプライマー層3を厚さ2μmに形成して、印刷シートとした。次に予め、弁柄、カーボンブラック、黄鉛、及びチタン白を主成分とする着色剤の添加で黄褐色に着色され不透明なポリプロピレンシート5(厚さ0.3mm)の片面に塩素化ポリプロピレンを主成分とする接着剤を塗工して厚さ4μmの接着剤層4を形成した上で、該接着剤層4と上記印刷シートの未硬化状態のプライマー層3とが接する様にして、ポリプロピレンシート5を上記印刷シートにドライラミネーション法によって積層して、本発明の射出成形同時絵付用シートSを得た。
〔参考例2:第1の発明〕
図1(A)の如き構成の射出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。参考例1と同じアクリル樹脂シート1(厚さ0.125mm)の片面に、参考例1と同じ内容の装飾層2を形成して、先ず印刷シートとした。次に、参考例1と同じポリプロピレンシート5(但し、厚さは0.2mm)の片面に、アクリルポリオールと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とするプライマーインキでプライマー層3を全面に印刷形成した上で、該プライマー層3と上記印刷シートの装飾層2とが接する様にして、ポリプロピレンシート5を上記印刷シートにドライラミネーション法によって積層して、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。そして更に、参考例1と同様にして本発明の絵付け成形品を得た。
図1(A)の如き構成の射出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。参考例2に於いて、装飾層2のバインダーの樹脂をアクリルウレタン樹脂に変更した他は、参考例2と同様にして、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。そして更に、参考例1と同様にして本発明の絵付け成形品を得た。
〔参考例3:第3の発明〕
図1(C)の如き構成の射出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。参考例1と同じアクリル樹脂シート1(厚さ0.125mm)の片面に、参考例1と同じ内容の装飾層2を装飾層2Aとして形成して、先ず印刷シートとした。次に、参考例1のポリプロピレンシート5に対して、厚さを0.2mmに変更し、マレイン酸のグラフト共重合により分子中にカルボキシル基を導入したポリプロピレンシート5Aを用い、該シートの片面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体からなるプライマーインキでプライマー層3Aを全面に印刷形成した上で、該プライマー層3Aと上記印刷シートの装飾層2Aとが接する様にして、ポリプロピレンシート5Aを上記印刷シートにドライラミネーション法によって積層して、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。そして更に、参考例1と同様にして本発明の絵付け成形品を得た。
〔参考例4:第3の発明〕
図1(C)の如き構成の射出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。参考例3に於いて、ポリプロピレンシート5Aを樹脂のみ異なるポリエチレンシート(マレイン酸のグラフト共重合により分子中にカルボキシル基を導入したもの)5Aに変更した他は、参考例4と同様にして、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。そして更に、参考例1と同様にして本発明の絵付け成形品を得た。
〔参考例5 :第4の発明〕
図1(D)の如き構成の射出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。参考例1と同じアクリル樹脂シート(厚さ0.125mm)1の片面に、参考例1と同じ内容の装飾層2を形成して、先ず印刷シートとした。一方、マレイン酸のグラフト共重合により分子中にカルボキシル基を導入した無着色透明なポリエチレンシート(厚さ0.08mm)5Aの表側とする面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を主成分とするプライマーインキによるプライマー層3B、アクリルポリオールと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とするプライマーインキによるプライマー層3を、この順に全面に印刷形成した上で、プライマー層3と上記印刷シートの装飾層2とが接する様にして、ポリエチレンシート5Aを上記印刷シートにドライラミネーション法によって積層して、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。そして更に、参考例1と同様にして本発明の絵付け成形品を得た。
〔参考例6:第4の発明〕
図1(D)の如き構成の射出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。参考例5に於いて、装飾層2のバインダーの樹脂をアクリルウレタン樹脂に変更した他は、参考例5と同様にして、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。そして更に、参考例1と同様にして本発明の絵付け成形品を得た。
〔参考例7:第5の発明〕
図2(B)の如き構成の射出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。参考例1と同じアクリル樹脂シート(厚さ0.125mm)1の片面に、参考例1と同じ内容の装飾層2を形成して、先ず印刷シートとした。一方、ポリエチレンシート5としては、マレイン酸のグラフト共重合により分子中にカルボキシル基を導入した無着色透明なポリエチレンシート(厚さ0.08mm)5Aと、(参考例1と同様の)着色剤で着色した不透明なポリエチレンシート(厚さ0.3mm)5Bとを、アクリルポリオールと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とするプライマーインキによるプライマー層3Cを間に介して、ドライラミネーション法によって積層したものを用意した。そして、上記2層構成のポリエチレンシート5の薄い方のポリエチレンシート5Aの面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を主成分とするプライマーインキによるプライマー層3B、アクリルポリオールと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とするプライマーインキによるプライマー層3を、この順に全面に印刷形成した上で、プライマー層3と上記印刷シートの装飾層2とが接する様にして、ポリエチレンシート5を上記印刷シートにドライラミネーション法によって積層して、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。そして更に、参考例1と同様にして本発明の絵付け成形品を得た。
〔参考例8:第5の発明〕
図2(B)の如き構成の射出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。参考例1に於いて、装飾層2のバインダーの樹脂をアクリルウレタン樹脂に変更した他は、参考例7と同様にして、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。そして更に、参考例1と同様にして本発明の絵付け成形品を得た。
〔参考例9:第1の発明〕
参考例1と同じアクリル樹脂シート(厚さ0.125mm)の片面に、参考例1と同じ内容の装飾層を形成して、先ず印刷シートとした。一方、2層構成のポリプロピレンシートとして、マレイン酸のグラフト共重合により分子中にカルボキシル基を導入した無着色透明なポリエチレンシート(厚さ0.08mm)5Aと、(参考例1と同様の)着色剤で着色した不透明なポリエチレンシート(厚さ0.3mm)5Bとを、アクリルポリオールと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とするプライマーインキによるプライマー層を間に介して、ドライラミネーション法によって積層したものを用意した。そして、上記2層構成のポリプロピレンシートの薄い方のポリプロピレンシートの面に、アクリルポリオールと1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートとからなる2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とするプライマーインキによるプライマー層3を全面に印刷形成した上で、プライマー層と上記印刷シートの装飾層2とが接する様にして、ポリプロピレンシートを上記印刷シートにドライラミネーション法によって積層して、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。そして更に、参考例1と同様にして本発明の絵付け成形品を得た。
参考例9に於いて、装飾層2のバインダーの樹脂をアクリルウレタン樹脂に変更した他は、参考例9と同様にして、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。そして更に、参考例1と同様にして本発明の絵付け成形品を得た。
上記いずれの実施例においても、射出成形同時絵付用シートの雌雄両型間への挿入、その後の真空成形も容易であり、該シートに、皺、破れを生じず、また、次の各種性能評価結果も全て良好であった。また、絵付け成形品は木目柄で絵付けされ、且つ透明性も良好で、高級感溢れる意匠感を有する成形品となった。
成形性:樹脂成形物の絵付け面の表面凹凸に射出成形同時絵付用シートが十分に追従し成形されているか否かを、目視で確認して、十分に絵付け面の凹凸に追従しているものは良好、不十分なものは不良とした。
密着性:碁盤目テストとして、絵付け成形品表面(射出成形同時絵付用シート面)に、2mm間隔で碁盤目状に縦横に切り込みを入れて、縦横で10×10個の合計100個の枡目を作った後、セロハン粘着テープ(ニチバン株式会社製、「セロテープ」(登録商標)24mm幅、産業用)を25℃に於いて貼着した後、勢い良く剥がして、射出成形同時絵付用シートがテープと共に剥がれるか否かで評価した。枡目の剥がれが1個も無いものを良好、枡目の剥がれ有りのものを不良とした。
耐熱性:絵付け成形品を70℃のオーブン中に500時間入れた後、取り出して室温まで冷却後、外観の異常の有無を目視で評価し、異常無きものを良好、異常有るものを不良とした。
耐湿性:絵付け成形品を50℃、95%RHの恒温恒湿槽中に500時間入れた後、取り出して室温まで冷却後、外観の異常の有無を目視で評価し、異常無きものを良好、異常有るものを不良とした。
耐温水性:絵付け成形品を40℃の温水中に24時間入れた後、取り出して表面水分を拭き取り室温まで冷却後、外観の異常の有無を目視で評価し、異常無きものを良好、異常有るものを不良とした。
2、2A 装飾層
3、3A、3B、3C プライマー層
4 接着剤層
5、5A、5B ポリプロピレン又はポリエチレンシート
6 樹脂成形物
41 吸引孔
42 シートクランプ
Ma 射出成形型(雄型)
Mb 射出成形型(雌型)
P 絵付け成形品
S 射出成形同時絵付用シート
Claims (8)
- ラミネートタイプの射出成形同時絵付用シートにおいて、最表面層となる透明なアクリル樹脂シートに、少なくとも、該アクリル樹脂シートに接しバインダーの樹脂がアクリルウレタン樹脂を主成分とする装飾層と、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層と、ポリプロピレン又はポリエチレンシートとが、この順に積層されてなる、射出成形同時絵付用シート。
- ラミネートタイプの射出成形同時絵付用シートにおいて、最表面層となる透明なアクリル樹脂シートに、少なくとも、バインダーの樹脂がアクリルウレタン樹脂を主成分とする装飾層と、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層と、塩素化ポリプロピレンを主成分とする接着剤層と、ポリプロピレン又はポリエチレンシートとが、この順に積層されてなる、射出成形同時絵付用シート。
- 前記アクリルウレタン樹脂を主成分とする装飾層が、2液硬化型ウレタン樹脂である請求項1又は2に記載の射出成形同時絵付用シート。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の射出成形同時絵付用シートが、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物の表面に積層されてなる、絵付け成形品。
- 請求項4に記載の絵付け成形品において、ポリオレフィン系樹脂が、エチレンプロピレンゴムを含有するポリオレフィン系樹脂である絵付け成形品。
- 請求項4に記載の絵付け成形品において、ポリオレフィン系樹脂が、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対してエチレンプロピレンゴムが1〜40重量部含有するポリオレフィン系樹脂である絵付け成形品。
- ラミネートタイプの射出成形同時絵付用シートの製造方法において、最表面層となる透明なアクリル樹脂シートの片面に、該アクリル樹脂シートに接しアクリルウレタン樹脂を主成分とする装飾層を形成し、一方ポリプロピレン又はポリエチレンシートの片面に、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層を形成し、プライマー層と装飾層とが接するように積層されてなる射出成形同時絵付用シートの製造方法。
- ラミネートタイプの射出成形同時絵付用シートの製造方法において、最表面層となる透明なアクリル樹脂シートの片面に、アクリルウレタン樹脂を主成分とする装飾層を形成し、前記装飾層上に、ウレタン樹脂を主成分とするプライマー層を形成し、一方ポリプロピレン又はポリエチレンシートの片面に、塩素化ポリプロピレンを主成分とする接着剤層を形成し、接着剤層とプライマー層とが接するように積層されてなる射出成形同時絵付用シートの製造方法。
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