JP2001096568A - 射出成形同時絵付用シート - Google Patents

射出成形同時絵付用シート

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JP2001096568A
JP2001096568A JP27650999A JP27650999A JP2001096568A JP 2001096568 A JP2001096568 A JP 2001096568A JP 27650999 A JP27650999 A JP 27650999A JP 27650999 A JP27650999 A JP 27650999A JP 2001096568 A JP2001096568 A JP 2001096568A
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resin
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polyolefin
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Isao Tajima
功 田島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明感、耐溶剤性、可塑剤移行耐久性に優
れ、安価なポリオレフィン系樹脂にも密着良くラミネ−
トする。また、ハンドリング適性も良好にする。 【解決手段】 最表面層となる透明熱可塑性ポリエステ
ル樹脂シート1に、少なくとも、ポリエステル樹脂が主
成分のポリエステルプライマー層2、バインダーの樹脂
が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との
混合物又はアクリルポリオールとポリウレタンポリオー
ルとの混合物が主成分の装飾層3、塩素化ポリプロピレ
ンが主成分の接着剤層4A又は2液硬化型ウレタン樹脂
が主成分の接着剤層4B、ポリオレフィン系樹脂シート
5を積層した射出成形同時絵付用シートSとする。装飾
層3と接着剤層4A間に、2液硬化型ウレタン樹脂が主
成分のウレタンプライマー層6を介在させても良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にポリオレフィ
ン系樹脂からなる樹脂成形物にも密着良くラミネートで
きる射出成形同時絵付用シートに関する。更に、耐溶剤
性と可塑剤移行耐久性が良好な射出成形同時絵付用シー
トに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、樹脂成形物の表面を絵付した
絵付成形品が各種用途で使用されている。例えば、特公
昭50−19132号公報、特公昭43−27488号
公報等に開示の射出成形同時絵付方法等では、射出成形
同時絵付用シートを射出成形の雌雄両型間に配置した
後、溶融樹脂をキャビティ内に射出充填することで、樹
脂成形物の成形と同時にその表面に射出成形同時絵付用
シートを接着積層して、該シートで絵付された絵付成形
品を得る方法を開示している。
【0003】ところで、従来、射出成形同時絵付方法に
て、樹脂成形物に使用する射出成形樹脂としては、AB
S樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重
合体)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が多か
った。この為、射出成形同時絵付方法にて樹脂成形物表
面に積層する為に用いるラミネートタイプの射出成形同
時絵付用シートについても、これらの射出成形樹脂に接
着が良い仕様のものが一般的であった。
【0004】そして、得られる絵付成形品に塗装感や表
面艶等の意匠性を付与して高級感を出すとともに十分な
耐擦傷性、耐候性等の表面物性も得る為には、例えば次
の様な射出成形同時絵付用シートがあった。 (1)最表面層とする樹脂シートとして、透明性に優れ
たポリメチルメタクリレート(PMMA)等による透明
アクリル樹脂シートを使用して、その裏側(樹脂成形物
側となる側)に装飾層等を印刷形成した構成としていた
(特公昭50−19132号公報等参照)。 (2)また、このままでは、樹脂成形物の色が透けて見
え易いのを防いだり、ABS樹脂等の樹脂成形物との密
着を良くする等の為に、上記装飾層の裏側に、更に着色
隠蔽層として着色されたABS樹脂シートを積層した構
成の射出成形同時絵付用シート等も使用されてきた(特
開平11−91041号公報等参照)。 (3)また、上記(1)の構成に於いて、透明アクリル
樹脂シートに代えて、を透明熱可塑性ポリエステル樹脂
シートとしてポリエチレンテレフタレート(PET)シ
ートを用い、この裏面に装飾層等を印刷形成した構成の
射出成形同時絵付用シート等もあった。 (4)また、安価な樹脂シートである等の点で、ポリプ
ロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂シー
トの裏側に装飾層を印刷等で形成した構成の射出成形同
時絵付用シート等も使用されて来た(特公昭50−19
132号公報等参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが最近は、射出
成形樹脂としてポリプロピレン等の安価なポリオレフィ
ン系樹脂の使用が望まれる事が多い。しかし、例えば上
記(1)〜(3)の如き構成の射出成形同時絵付用シー
トでは、いずれもポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成
形物に対して満足すべき密着性でラミネートできるもの
ではなかった。
【0006】しかも、上記(1)の仕様の射出成形同時
絵付用シートでは、得られる絵付成形品は最表面層とな
る透明アクリル樹脂シートによって耐溶剤性が乏しく、
また、その乏しい耐溶剤性によって装飾層の印刷形成時
にも注意する必要があった。また、可塑剤移行耐久性も
悪かった。この為、絵付成形品にて最表面層となった透
明アクリル樹脂シートが、例えば可塑剤を含む塩化ビニ
ル樹脂製品と接触すると、絵付成形品側に可塑剤が移行
して、物性が劣化する事があった。更に、透明アクリル
樹脂シートの厚みが通常0.1〜0.2mmである為
に、室温でのシートとしてのコシ(形状保持性)が無
く、射出成形同時絵付時のハンドリングが難しかった。
また、シートが硬い為に、変形が加わると亀裂や破断が
起き易かった。また、前記(2)の仕様の射出成形同時
絵付用シートでは、やはり絵付成形品の最表面層はアク
リル樹脂シートとなる為に、耐溶剤性が悪く、また可塑
剤移行耐久性も悪かった。
【0007】また、前記(3)の仕様の射出成形同時絵
付用シートでは、絵付成形品の最表面層はPETシート
となる為に、耐溶剤性と可塑剤移行耐久性の問題は解決
する。しかし、PETシートは、厚みが薄いと、腰(形
状保持性)が無く、射出成形同時絵付時のハンドリング
が難しかった。逆に、厚みが厚い場合では、腰(形状保
持性)は有るが、剛性が有り、連続帯状のシートでの印
刷適性(機械搬送適性)が無い、成形性が不十分となる
という問題があった。
【0008】また、前記(4)の構成の射出成形同時絵
付用シートでは、PETシートに比べて、シートのハン
ドリング適性とポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形
物との密着性はともに向上するが、その反面、最表面層
となるポリオレフィン系樹脂シートが透明性及び耐擦傷
性に劣った。
【0009】そこで、本発明の課題は、ラミネートタイ
プの射出成形同時絵付用シートにおいて、得られる絵付
成形品に、十分な透明性と、耐溶剤性と可塑剤移行耐久
性を付与できる上、ポリプロピレン等のポリオレフィン
系樹脂の樹脂成形物との密着性も良く、またハンドリン
グ適性も良い射出成形同時絵付用シートを提供する事で
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題を解決
すべく、本発明の射出成形同時絵付用シートでは、図1
(A)の断面図で例示の射出成形同時絵付用シートSの
如く、ラミネートタイプの射出成形同時絵付用シートに
おいて、最表面層となる透明熱可塑性ポリエステル樹脂
シート1に、少なくとも、ポリエステル樹脂を主成分と
するポリエステルプライマー層2と、バインダーの樹脂
が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との
混合物又はアクリルポリオールとポリウレタンポリオー
ルとの混合物を主成分とする装飾層3と、塩素化ポリプ
ロピレンを主成分とする接着剤層4Aと、ポリオレフィ
ン系樹脂シート5とが、この順に積層されてなる構成と
した(第1の発明)。
【0011】また、本発明の射出成形同時絵付用シート
の別の形態では、図1(B)の断面図で例示の射出成形
同時絵付用シートSの如く、ラミネートタイプの射出成
形同時絵付用シートにおいて、図1(A)の構成に対し
て更に、装飾層3と、塩素化ポリプロピレンを主成分と
する接着剤層4Aとの間に、2液硬化型ウレタン樹脂を
主成分とするウレタンプライマー層6が介在する構成と
した(第2の発明)。
【0012】また、本発明の射出成形同時絵付用シート
の別の形態では、図1(C)の断面図で例示の射出成形
同時絵付用シートSの如く、ラミネートタイプの射出成
形同時絵付用シートにおいて、最表面層となる透明熱可
塑性ポリエステル樹脂シート1に、少なくとも、ポリエ
ステル樹脂を主成分とするポリエステルプライマー層2
と、バインダーの樹脂が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体とアクリル樹脂との混合物又はアクリルポリオールと
ポリウレタンポリオールとの混合物を主成分とする装飾
層3と、2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とする接着剤
層4Bと、ポリオレフィン系樹脂シート5とが、この順
に積層されてなる構成とした(第3の発明)。
【0013】この様に、ラミネ−ト後に最表面層とする
層に透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート1を採用し、
一方、樹脂成形物に接する最裏面層としてはポリオレフ
ィン系樹脂シート5を採用し、装飾層3と透明熱可塑性
ポリエステル樹脂シート1とは間にポリエステルプライ
マー層3を介在させて、前記両層を密着良く積層させる
事ができる。一方、装飾層3とポリオレフィン系樹脂シ
ート5間は、第1の発明では、間に塩素化ポリプロピレ
ンを主成分とする接着剤層4Aを介在させ、第2の発明
では、更にこの接着剤層4Aと装飾層3間にウレタンプ
ライマー層6を介在させて、装飾層3とポリオレフィン
系樹脂シート5とを密着良く積層させ、第3の発明で
は、装飾層3とポリオレフィン系樹脂シート5間に2液
硬化型ウレタン樹脂を主成分とする接着剤層4Bを介在
させて、前記両層を密着良く積層させる。以上の様に、
各発明にて特定材料を使用した各層を組み合わせる事
で、得られる絵付成形品に優れた透明性と共に、耐溶剤
性と可塑剤移行耐久性とを付与できる上、特にポリオレ
フィン系樹脂の樹脂成形物に密着良くラミネートでき、
しかも射出成形同時絵付用シートの層内の密着性も良好
にできる。また、ハンドリング適性も良好にできる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。なお、図1及び図2は、本発明の射出成形同時絵
付用シートの各種形態例を例示する断面図、図3は本発
明の射出成形同時絵付用シートの用途である射出成形同
時絵付方法を説明する概念図、図4は本発明の射出成形
同時絵付用シートを用いて得られる絵付成形品を例示す
る断面図である。
【0015】〔透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート〕
透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート1は熱可塑性ポリ
エステル樹脂からなる透明で熱可塑性の樹脂シートであ
る。熱可塑性ポリエステル樹脂としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレ
ン−テレフタレート−イソフタレート共重合体、ポリエ
チレンナフタレート、ポリエステル系熱可塑性エラスト
マー等が使用できる。なお、ポリエステル系熱可塑性エ
ラストマーは、ハードセグメントに高結晶性で高融点の
芳香族ポリエステル、ソフトセグメントにはガラス転移
温度が−70℃以下の非晶性ポリエーテルを使用した、
ブロックポリマーである。前記高結晶性で高融点の芳香
族ポリエステルには、例えばポリブチレンテレフタレー
トが使用され、上記非晶性ポリエーテルには、例えばポ
リテトラメチレンエーテルグリコールが使用される。
【0016】また、透明とは通常は無着色透明だが、必
要に応じ適宜公知の着色剤の添加によって着色透明とし
ても良い。但し、着色は該シートを通して装飾層を観察
可能な範囲内で行う。最表面層として透明熱可塑性ポリ
エステル樹脂シートを使用し、装飾層をその下方に設け
る事で、透明熱可塑性ポリエステル樹脂シートによる優
れた透明性によって塗装感や表面艶等の高級感溢れる意
匠性を付与出来る上、耐溶剤性と耐可塑剤移行耐久性も
付与できる事になる。また、ポリオレフィン系樹脂シー
ト等に比べて、耐候性及び耐擦傷性等の表面物性も良好
にできる。
【0017】上記着色剤としては、公知の着色剤を使用
できる。例えば、着色剤には、チタン白、カーボンブラ
ック、弁柄、コバルトブルー、黄鉛等の無機顔料、フタ
ロシアニンブルー、イソインドリノン、キナクリドン等
の有機顔料、アルミニウム粉末等の金属顔料、二酸化チ
タン被覆雲母粉末等の真珠光沢(パール)顔料、或いは
染料等が用いられる。また、耐候性(透明熱可塑性ポリ
エステル樹脂シート1それ自体の、或いは、その裏面に
あるポリエステルプライマー層2、装飾層3等の層の耐
候性)を向上させる為、透明熱可塑性ポリエステル樹脂
シート1中に、紫外線吸収剤、光安定剤、或いはこれら
の両方を添加しても良い。紫外線吸収剤としては、ベン
ゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の公知のもの、
光安定剤としては、ヒンダードアミン系ラジカル捕捉剤
等の公知のものを用いる事ができる。
【0018】また、好ましくは、透明熱可塑性ポリエス
テル樹脂シート1は、ポリエステルプライマー層2側の
面に、コロナ放電処理、プラズマ処理等の易接着処理に
より、表面にカルボキシル基、水酸基等の活性水素含有
極性官能基を生成しておいても良い。この結果、該シー
ト1とポリエステルプライマー層2との密着性をより強
くできる。
【0019】なお、透明熱可塑性ポリエステル樹脂シー
ト1の厚みは、用途によるが、採用する意匠表現として
の透明感、塗装感等の表面特性に応じて、通常は20〜
70μm程度とする。また、透明熱可塑性ポリエステル
樹脂シート1は、必要に応じて、無延伸、1軸延伸、或
いは2軸延伸して用いる。
【0020】〔ポリエステルプライマー層〕ポリエステ
ルプライマー層2は、ポリエステル樹脂を主成分として
構成されるプライマー層であり、透明熱可塑性ポリエス
テル樹脂シート1と装飾層3との密着性を良くする為に
設ける。使用するポリエステル樹脂としては、例えば、
ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペー
ト)、ポリ(ネオペンチルアジペート)、ポリ(ヘキサ
メチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアゼラエー
ト)、ポリ(ブチレンセバケート)、ポリカプロラクト
ン等のポリエステルポリオール等が使用できる。特に、
このポリエステルポリオールの場合には、このままで熱
可塑性樹脂としてポリエステルプライマー層を形成して
も良いが、イソシアネート等の架橋剤によって架橋硬化
させても良い。硬化剤としてイソシアネートを添加して
硬化させると、密着性はより向上する。
【0021】上記イソシアネートとしては、分子中に2
個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネート
が用いられる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネ
ート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニ
ルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、
或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシ
アネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート
等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート、或いはま
た、上記各種イソシアネートの付加体、又は多量体を用
いる事もできる。例えば、トリレンジイソシアネートの
付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trime
r)等がある。
【0022】なお、ポリエステルプライマー層2の形成
は、上述の如き特定樹脂を用いたインキ又は塗液で、公
知の印刷法又は塗工法で形成すれば良い。ポリエステル
プライマー層の厚みは特に制限はないが、例えば1〜1
0μm程度である。
【0023】〔装飾層〕装飾層3は、印刷等で例えば絵
柄等を表現した層である。装飾層3は、そのバインダー
の樹脂の主成分に特定の樹脂を使用する。すなわち、装
飾層3は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とアクリル
樹脂との混合物、或いはアクリルポリオールとポリウレ
タンポリオールとの混合物を、バインダーの樹脂の主成
分として構成する。この様な特定樹脂を使用する事で、
それぞれの発明の射出成形同時絵付用シートに於いて、
装飾層3をポリエステル樹脂シート1に対しては、ポリ
エステルプライマー層2を介して密着良く積層でき、ま
た、ポリオレフィン系樹脂シート5に対しては、接着剤
層4A又は接着剤層4Bを介して、或いはウレタンプラ
イマー層6と接着剤層4Aを介して、密着良く積層でき
る。また、装飾層の耐候性、印刷適性も良好なものとな
る。
【0024】上記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とし
ては、通常、酢酸ビニル含有量が5〜20重量%程度、
平均重合度350〜900程度のものが用いられる。ま
た、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体は、必要に応じ、
更にマレイン酸、フマル酸等のカルボン酸を共重合させ
たものでも良い。
【0025】上記アクリル樹脂としては、例えば、ポリ
メチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アク
リレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メ
タ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレー
ト−スチレン共重合体等のアクリル樹脂、或いは、メチ
ル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)ア
クリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等
と、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレ
ート等の分子中に水酸基を有する(メタ)アクリル酸エ
ステルとを共重合させて得られるアクリルポリオール等
のアクリル樹脂を、単体又は2種以上混合して使用す
る。なお、(メタ)アクリレートとはアクリレート又は
メタクリレートの意味である。塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体とアクリル樹脂との混合比は、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体/アクリル樹脂=1/9〜9/1(重
量比)程度である。
【0026】上記アクリルポリオールとしては、例え
ば、メチル(メタ)アクリレート−2ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート共重合体、オクチル(メタ)アク
リレート−エチルヘキシル(メタ)アクリレート−2ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル
(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート−
2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート−スチレン共
重合体等を単体又は2種以上混合して使用する。
【0027】上記ポリウレタンポリオールとしては、例
えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオー
ル、ポリカーボネートポリオール、或いはアクリルポリ
オール等のポリオールとイソシアネートとの反応で得ら
れる、分子中に複数のウレタン結合を有する公知のポリ
ウレタン骨格のポリオールを単体又は2種以上混合して
使用する。
【0028】アクリルポリオールとポリウレタンポリオ
ールとの比率は、特に制限は無く要求物性に応じて適宜
比率とすれば良い。例えば、アクリルポリオール:ポリ
ウレタンポリオール=4:1〜1:1の比率(質量基
準)の混合物として使用する。また、アクリルポリオー
ルとポリウレタンポリオールとの混合物は、そのままで
熱可塑性樹脂として装飾層を形成しても良いが、これら
ポリオールの水酸基と反応する硬化剤で硬化させて、硬
化性樹脂として装飾層を形成しても良い。例えば、硬化
剤としてイソシアネートを使用すれば、良好な密着性が
得られる。
【0029】なお、イソシアネートとしては、分子中に
2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネー
トを1種又は2種以上使用する。この様なポリイソシア
ネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシア
ネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネー
ト、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジ
イソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシア
ネート等の脂肪族(乃至は脂環式)イソシアネート、或
いはまた、上記各種イソシアネートの付加体、又は多量
体を用いる事もできる。例えば、トリレンジイソシアネ
ートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(tr
imer)等がある。
【0030】なお、装飾層のバインダーの樹脂として
は、副成分の樹脂として、必要に応じて、適宜、主成分
とする樹脂以外のその他の樹脂、例えば、熱可塑性ポリ
エステル樹脂、ポリエステルポリオール等の樹脂を併用
しても良い。
【0031】装飾層3としては、バインダーの樹脂を上
記特定樹脂から構成する他は、基本的には特に制限は無
い。装飾層3は、通常は印刷インキ又は塗料で、公知の
印刷又は塗工法(塗工法は全ベタ柄のとき)により形成
する。通常、装飾層3は、ポリエステルプライマー層2
形成済みの透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート1に対
して形成する。そして、装飾層3が(間にポリエステル
プライマー層2を介在させて)形成されたポリエステル
樹脂シート1を、間に接着剤層4A、接着剤層4B、或
いはプライマー層6及び接着剤層4Aを介して、ポリオ
レフィン系樹脂シート5と、ドライラミネーション法等
の公知の積層法で積層すれば、本発明の射出成形同時絵
付用シートが得られる。
【0032】また、上記印刷インキ(或いは塗料)に用
いる着色剤は公知の染料や顔料で良く、例えばチタン
白、カーボンブラック、弁柄、黄鉛、コバルトブルー等
の無機顔料、アニリンブラック、フタロシアニンブル
ー、イソインドリノン、キナクリドン等の有機顔料、ア
ルミニウム箔粉等の金属顔料、二酸化チタン被覆雲母等
の真珠光沢(パール)顔料、その他染料等を用いる。装
飾層の絵柄は、木目、石目、布目、砂目、皮絞模様、幾
何学模様、文字、記号、全面ベタ等と任意である。
【0033】なお、装飾層としては、木目柄等による装
飾目的の層の他に、銀粉等の導電性粉末をバインダー中
に分散させた、導電性層等の機能層でも良い。
【0034】〔接着剤層〕接着剤層4A〔図1(A)及
び(B)参照〕は、塩素化ポリプロピレンを主成分とし
て構成する。前記特定材料からなる装飾層3とポリオレ
フィン系樹脂シート5とを密着させるには、一つには、
塩素化ポリプロピレンを主成分として使用することで、
好ましい結果を得ることができる。また、図1(B)に
示す如く、装飾層3と接着剤層4A間には、2液硬化型
ウレタン樹脂を主成分とするウレタンプライマー層6を
介在させても良い。これによって、密着性を更に強化で
きる。
【0035】一方、接着剤層4B〔図1(C)参照〕
は、2液硬化型ウレタン樹脂を主成分として構成する。
前記特定材料からなる装飾層3とポリオレフィン系樹脂
シート5とを密着させるには、2液硬化型ウレタン樹脂
を主成分として使用することでも、好ましい結果を得る
ことができる。なお、この場合、更に、装飾層3と接着
剤層4B間に、(接着剤層4Bとは組成が異なる)2液
硬化型ウレタン樹脂を主成分とするウレタンプライマー
層6を介在させても良い。これによって、例えば、ポリ
オレフィン系樹脂シートの材質次第で、接着剤層4Bの
みでは装飾層3とポリオレフィン系樹脂シート5間の密
着性が不足する場合に、それを補う事もできる。
【0036】なお、接着剤層4A及び4Bは、上記特定
樹脂を用いたインキ又は塗液で、公知の印刷法又は塗工
法で形成すれば良い。接着剤層の厚みは特に制限はない
が、例えば5〜20μm程度である。
【0037】なお、特に塩素化ポリプロピレンを主成分
とする接着剤層4Aの場合に、その一態様として、敢え
て、ウレタンプライマー層6を装飾層3と接着剤層4A
との間に設ける理由は、主に以下の二つである。
【0038】(1)ポリオレフィン系樹脂シートの易接
着処理を目的とする場合;すなわち、この場合、接着剤
層4Aは、この後で詳述するポリオレフィン系樹脂シー
ト5が単層構成で、且つコスト等の点から、接着性向上
に寄与する極性官能基を導入していない樹脂シートの場
合に、極性官能基導入のポリオレフィン系樹脂シートに
代わる樹脂層として利用することにより、後述するウレ
タンプライマー層6とポリオレフィン系樹脂シート5と
の接着性を強化する。この場合は、接着剤層4Aは、ポ
リオレフィン系樹脂シート5側の表面に形成する方が、
接着力向上の点で好ましい。接着剤層4Aは、グラビア
ロールコート、熔融押出コート等の公知の塗工法で形成
する。なお、もちろんだが、ポリオレフィン系樹脂シー
ト5に、極性官能基を導入したポリオレフィン系樹脂を
使用する場合でも、接着剤層を使用しても良い。
【0039】(2)透明熱可塑性ポリエステル樹脂シー
ト1への印刷・塗工工程とポリオレフィン系樹脂シート
5との積層工程とのオフライン化を目的とする場合;す
なわち、この場合は、透明熱可塑性ポリエステル樹脂シ
ート1上に、ポリエステルプライマー層2、装飾層3、
及びウレタンプライマー層6を形成するまでは、慣用の
印刷・塗工機によりインラインで連続して加工が終わ
る。一方、ポリオレフィン系樹脂シート5の積層(ラミ
ネ−ト)は、印刷・塗工機とは別のラミネ−ト機で行わ
れる為、現実の生産工程の管理上は、印刷・塗工機の工
程とラミネ−ト機の工程とは同時連続化させずに別個に
独立して各々機械が空いているときに各々の機械が受け
持つ工程を実施する方が、多品種量産時には効率的な場
合が多い。そして、この場合は、透明熱可塑性ポリエス
テル樹脂シート1上に、ポリエステルプライマー層2、
装飾層3、及びウレタンプライマー層6を形成してか
ら、ポリオレフィン系樹脂シート5を積層するまでの時
間が、ウレタンプライマー層6に用いる2液硬化型ウレ
タン樹脂の硬化反応完了時間(ポットライフ)よりも長
くなることも有る。もし、ポットライフを超過すると、
もはやウレタンプライマー層は接着力を失う。そこで、
ウレタンプライマー層6を形成後、インライン連続で、
そのポットライフ未満のうちに、ウレタンプライマー層
6上に更に接着剤層4A形成しておくことにより、ポッ
トライフが無限大の塩素化ポリプロピレンの接着剤層4
Aによりポリオレフィン系樹脂シート5との接着力は時
間無制限となる。よって、印刷・塗工工程とラミネ−ト
工程のオフライン化には、透明熱可塑性ポリエステル樹
脂シート1に、ポリエステルプライマー層2、装飾層
3、及びウレタンプライマー層6と接着剤層4Aまでを
インライン形成しておいたものを適宜、ポリオレフィン
系樹脂シート5に熱プレスにて、接着剤層4Aの塩素化
ポリプロピレンを熔融接着させて積層する方式が最適と
なる。なお、この場合、接着剤層4Aは、上記特定樹脂
を用いたインキ又は塗液を用い、グラビアロールコート
等の公知の印刷法又は塗工法で、透明熱可塑性ポリエス
テル樹脂シート1のウレタンプライマー層6の表面側
に、装飾層3、ウレタンプライマー層6、接着剤層4A
と連続して形成する。
【0040】また、接着剤層4Bとして使用する2液硬
化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主剤とし、イソシア
ネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂である。
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有す
るもので、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポ
リオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネート
ポリオール、ポリウレタンポリオール等が用いられる。
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイ
ソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられ
る。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシ
レンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジ
イソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロン
ジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネー
ト、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂
肪族(乃至は脂環式)イソシアネート、或いはまた、上
記各種イソシアネートの付加体、又は多量体を用いる事
もできる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加
体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)
等がある。
【0041】〔ウレタンプライマー層〕ウレタンプライ
マー層6は、層間に介在し層間密着性を向上させる。ウ
レタンプライマー層6は、その主成分の樹脂として2液
硬化型ウレタン樹脂を使用する。ウレタンプライマー層
6に2液硬化型ウレタン樹脂を採用することで、層間密
着性を向上させる事が出来る。そして、2液硬化型ウレ
タン樹脂としては、前記接着剤層4Bで述べた如き樹脂
を使用できる。よって、ここでは該樹脂に関する更なる
説明は省略する。
【0042】なお、プライマー層は、上述の如き特定樹
脂を用いたインキ又は塗液で、公知の印刷法又は塗工法
で形成すれば良い。
【0043】〔ポリオレフィン系樹脂シート〕ポリオレ
フィン系樹脂シート5を、射出成形同時絵付用シートの
最裏面層として使用することで、射出成形同時絵付用シ
ートを、ポリオレフィン系樹脂からなる樹脂成形物に密
着良くラミネ−トできる様になる。また、形状保持性を
良くしてハンドリング適性も良好にできる。
【0044】ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、
ポリエチレン(低密度、又は高密度)、ポリプロピレ
ン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロ
ピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結
晶質の非エラストマーポリオレフィン系樹脂、或いは各
種のオレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられる。
オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば下
記のものが使用できる。
【0045】(1)特公平6−23278号公報記載
の、(A) ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが
25,000以上、且つ、重量平均分子量Mwと数平均
分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶
なアタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、
(B) ハードセグメントとして、メルトインデックスが
0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタ
クチックポリプロピレン90〜10重量%、との混合物
からなる軟質ポリプロピレン。なお、特に成形性を良好
にし、印刷適性(見当精度)とも両立させるには、アイ
ソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピ
レンとの混合割合は、アタクチックポリプロピレンの重
量比で下限は5重量%以上、上限は50重量%以下、よ
り好ましくは40重量%以下が好ましい。
【0046】(2)エチレン−プロピレン−ブテン共重
合体樹脂からなる熱可塑性エラストマー。ここで、その
ブテンとして、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレン
の3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共
重合体としては、ランダム共重合体で、非晶質の部分を
一部含む上記エチレン−プロピレン−ブテン共重合体の
好ましい具体例としては次の(i) 〜(iii) が挙げられ
る。 (i) 特開平9−111055号公報記載のもの。これ
は、エチレン、プロピレン及びブテンの三元共重合体に
よるランダム共重合体である。単量体成分の重量比はプ
ロピレンが90重量%以上とする。メルトフローレート
は、230℃、2.16kgで1〜50g/10分のも
のが好適である。そして、このような三元ランダム共重
合体100重量部に対して、燐酸アリールエステル化合
物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、
炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重
量部を熔融混練してなるものである。 (ii)特開平5−77371号公報記載のもの。これは、
エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であ
って、プロピレン成分含有率が50重量%以上の非晶質
重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを
80〜0重量%添加してなるものである。 (iii) 特開平7−316358号公報記載のもの。これ
は、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体
であって、プロピレン及び/又は1−ブテンの含有率が
50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に
対して、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶質ポ
リオレフィン80〜0重量%を混合した組成物に対し
て、N−アシルアミノ酸アミン塩、N−アシルアミノ酸
エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加してなるも
のである。
【0047】なお、エチレン−プロピレン−ブテン共重
合体樹脂は、単独で用いても良いし、上記(i) 〜(iii)
に必要に応じ更に他のポリオレフィン系樹脂を混合して
用いても良い。
【0048】(3)特公昭53−21021号公報記載
の如き、(A) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチ
ルペンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)をハ
ードセグメントとし、これに(B) 部分架橋したエチレン
−プロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレ
ン−非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン
共重合体ゴムをソフトセグメントとし、これらを均一に
配合し混合してなるオレフィン系エラストマー。なお、
モノオレフィンゴム/オレフィン重合体=50/50〜
90/10(重量比)の割合で混合する。
【0049】(4)特公昭53−34210号公報等に
記載の如き、(B) 未架橋モノオレフィン共重合体ゴム
(ソフトセグメント)と、(A) オレフィン系共重合体
(結晶性、ハードセグメント)と架橋剤とを混合し、加
熱し剪断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレ
フィン系エラストマー。なお、(B) モノオレフィンゴム
/(A) オレフィン系共重合体=60/40〜80/20
(重量比)である。
【0050】(5)特公昭56−15741号公報等に
記載の如き、(A) アイソタクチックポリプロピレン、プ
ロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1
共重合体等のペルオキシドと混合・加熱すると分子量を
減じ、流動性を増すペルオキシド分解型オレフィン重合
体(ハードセグメント)と、(B) エチレン−プロピレン
共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三
元共重合体ゴム等のペルオキシドと混合・加熱すること
により、架橋して流動性が減じるペルオキシド架橋型モ
ノオレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)、(C)
ポリイソブチレン、ブチルゴム等のペルオキシドと混合
・加熱しても架橋せず、流動性が不変の、ペルオキシド
非架橋型炭化水素ゴム(ソフトセグメント兼流動性改質
成分)、及び(D) パラフィン系、ナフテン系、芳香族系
等の鉱物油系軟化剤、とを混合し、有機ペルオキシドの
存在下で動的に熱処理してなるオレフィン系エラストマ
ー。なお、(A) が90〜40重量部、(B) が10〜60
重量部で、(A) +(B) =100重量部として、これに、
(C) 及び/又は(D) が5〜100重量部の配合比とな
る。
【0051】(6)特開平2−139232号公報に記
載の如き、エチレン−スチレン−ブチレン共重合体から
なるオレフィン系熱可塑性エラストマー。
【0052】(7)極性基として水酸基又は/及びカル
ボキシル基を持たせた、上記(1)から(6)のオレフ
ィン系熱可塑性エラストマー。例えば、エチレン−ビニ
ルアルコール共重合体等のグラフト重合で水酸基を、ま
た、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の共重合体で
カルボキシル基を導入したオレフィン系熱可塑性エラス
トマーを用いる。これら水酸基、カルボキシル基はどち
らか一方、又は両方を併用してもよく、これら極性基
(極性官能基)は、プライマー層、接着剤層等の他の層
との接着性を向上させる作用を持つ。
【0053】使用するポリオレフィン系樹脂の種類は、
射出成形同時絵付用シートを積層する樹脂によって適宜
選択すると良い。例えば、積層する樹脂が、ポリプロピ
レン系の場合はポリプロピレンシートを使用し、ポリエ
チレン系の場合はポリエチレンシートを使用したりする
のが好ましい。ポリエチレンやポリプロピレンをポリオ
レフィン系樹脂シートに採用した場合は、樹脂シートの
入手容易性、汎用性、低コスト等の利点が得られる。ま
た、オレフィン系熱可塑性エラストマーシートを使用し
た場合でも、射出成形同時絵付用シート全体としての必
要な厚みを、高価な透明熱可塑性ポリエステル樹脂シー
トで出すよりかは、低コストとなり、また、撓り易くハ
ンドリング適性の点でも望ましい。また、オレフィン系
熱可塑性エラストマーは、結晶質ポリオレフィン樹脂か
らなるハードセグメントとゴム(エラストマー)成分か
らなるソフトセグメントとからなる為、結晶質ポリオレ
フィン樹脂(高密度ポリエチレン、アイソタクチックポ
リプロピレン等)のシートの場合に起き易い、ネッキン
グ(局所的に不均一にシートの伸びが集中すること)を
生じ難く、成形性の点でも有利である。
【0054】ポリオレフィン系樹脂シートは、延伸シー
ト、未延伸シートのいずれでも良いが、成形性の点では
未延伸シートの方が好ましい。ポリオレフィン系樹脂シ
ートは、Tダイ押出法等の公知の成膜法によって既にシ
ートとした物を使用しても良いが、透明熱可塑性ポリエ
ステル樹脂シートに、ポリエステルプライマー層、装飾
層、接着剤層等を形成した積層シートに対して、Tダイ
押出法等によってシートとして成膜と同時に積層しても
良い。なお、前者の場合は、ドライラミネーション等の
公知の積層法で積層すれば良い。
【0055】なお、ポリオレフィン系樹脂シートの厚み
は、用途、及び透明熱可塑性ポリエステル樹脂シートの
厚さ(射出成形同時絵付用シート全体としの必要厚さ)
等によるが、50μm〜2mm程度とする。また、該厚
みは、射出成形同時絵付用シート全体の総厚が200μ
m以上となる様するのが、(形状保持性増大による)ハ
ンドリングの容易さ等の点で好ましい。また特に、オフ
ライン予備成形を行う場合には、総厚は400μm以上
とすることが好ましい。これらの為に、該厚みは、通常
は透明熱可塑性ポリエステル樹脂シートの厚みよりも厚
くする。また、射出成形同時絵付用シート全体としての
必要な厚みは、高価な透明熱可塑性ポリエステル樹脂シ
ートよりは、このポリオレフィン系樹脂シートで出すの
が、低コストとなり、また、成形性を確保した上での形
状保持性増大によるハンドリング適性向上等の点でも好
ましい。
【0056】ポリオレフィン系樹脂シートには、各種物
性調整の為に更に必要に応じ、体質顔料、難燃剤、紫外
線吸収剤、光安定剤等の各種の添加剤を添加しても良
い。例えば体質顔料としは、炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、シリカ、アルミナ、カオリナイト等の粒径0.1
〜10μm程度の粒子が用いられる。体質顔料の添加量
は質量基準で、ポリオレフィン系樹脂100部に対して
5〜30部程度である。ポリオレフィン系樹脂シートの
寸法の加熱時の伸縮率を低減する為には、体質顔料の添
加は有効である。難燃剤としては水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウム等が用いられる。紫外線吸収剤とし
ては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等が用
いられる。また、光安定剤としては、ヒンダードアミン
系ラジカル捕捉剤等が用いられる。
【0057】また、着色剤を添加することで、ポリオレ
フィン系樹脂シートに着色隠蔽性を付与して、射出成形
同時絵付用シートを積層する樹脂の色を隠蔽し且つ装飾
層の下地色を整える事もできる。着色剤には、前述装飾
層のところで述べた如き、公知の着色剤を使用すれば良
い。
【0058】なお、ポリオレフィン系樹脂シートは、2
層等の複層構成としても良い。図2の断面図で示す形態
の射出成形同時絵付用シートSがその一例である。2層
とする場合、図2(A)で示す如く直接2層を熱融着で
積層しても良いが、図2(B)で示す如く層間に接着層
7を介して積層しても良い。接着層7には前述プライマ
ー層で述べた如きウレタン樹脂等が使用できる。また。
層間に接着層を介在させずに2層等と複層構成とするに
は、例えば、Tダイによる共押出法によって成膜と同時
に積層すれば良い。接着層を介して積層するには、例え
ば、ドライラミネーション法で積層すれば良い。この場
合、図2(B)で説明すれば、ポリオレフィン系樹脂シ
ート5Aとポリオレフィン系樹脂シート5Bとを積層す
る以外に、透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート1、ポ
リエステルプライマー層2、装飾層3、ウレタンプライ
マー層6、接着剤層4A、及びポリオレフィン系樹脂シ
ート5Aが積層された装飾シート(積層シート)に、ポ
リオレフィン系樹脂シート5Bを積層しても良い。装飾
シートに於ける装飾層はポリエステルプライマー層2形
成済みの透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート1、或い
は接着剤層4A及びウレタンプライマー層6形成済みの
ポリオレフィン系樹脂シート5Aに印刷等で形成する。
【0059】なお、図2(A)で例示する射出成形同時
絵付用シートSは、図1(C)に示した構成に対して、
ポリオレフィン系樹脂シート5を、ポリオレフィン系樹
脂シート5A及び5Bの2層構成としたものである。ま
た、図2(B)で例示する射出成形同時絵付用シートS
は、図1(B)に示した構成に対して、ポリオレフィン
系樹脂シート5を、(間に接着層7を介してて)ポリオ
レフィン系樹脂シート5A及び5Bの2層構成としたも
のである。
【0060】すなわち、図2(A)について説明すれ
ば、最表面層となる透明熱可塑性ポリエステル樹脂シー
ト1に、ポリエステル樹脂を主成分とするポリエステル
プライマー層2と、バインダーの樹脂が塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合物又はアクリ
ルポリオールとポリウレタンポリオールとの混合物を主
成分とする装飾層3と、2液硬化型ウレタン樹脂を主成
分とする接着剤層4Bと、ポリオレフィン系樹脂シート
5とが、この順に積層され、該ポリオレフィン系樹脂シ
ート5が接着剤層4Bと接する側の表側のポリオレフィ
ン系樹脂シート5Aと、そうで無い側のポリオレフィン
系樹脂シート5Bとからなる構成である。
【0061】一方、図2(B)について説明すれば、最
表面層となる透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート1
に、ポリエステル樹脂を主成分とするポリエステルプラ
イマー層2と、バインダーの樹脂が塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体とアクリル樹脂との混合物又はアクリルポ
リオールとポリウレタンポリオールとの混合物を主成分
とする装飾層3と、ウレタン樹脂を主成分とするウレタ
ンプライマー層6と、塩素化ポリプロピレンを主成分と
する接着剤層4Aと、ポリオレフィン系樹脂シート5と
が、この順に積層され、該ポリオレフィン系樹脂シート
5が接着剤層4Aと接する側の表側のポリオレフィン系
樹脂シート5Aと、そうで無い側のポリオレフィン系樹
脂シート5Bとからなり、これら樹脂シート5A及び5
B間に接着層7が介在する構成である。
【0062】ポリオレフィン系樹脂シートを2層構成等
と複層構成とするのは、密着性向上の点でも有意義であ
る。例えば、図2(A)の場合で説明すれば、ポリオレ
フィン系樹脂シート5として、接着剤層4Bと接する側
のポリオレフィン系樹脂シート5Aとしては分子中に極
性官能基を有する樹脂シートを配置して接着剤層4Bと
の密着を確保し、樹脂成形物と接する側のポリオレフィ
ン系樹脂シート5Bとしては分子中に極性官能基の無い
樹脂シートを配置して射出成形同時絵付けに必要なポリ
オレフィン系樹脂シート5の総厚を確保しつつ価格の上
昇も最低限に抑えてなる構成である。なお、ポリオレフ
ィン系樹脂の分子中に極性官能基を付与する為には、例
えば、エチレンやプロピレン等のオレフィン系単量体
を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸
等の不飽和カルボン酸と共に共重合して重合体分子中に
カルボキシル基を付与したり、或いは一旦、オレフィン
系単量体を酢酸ビニルと共重合した後、鹸化して重合体
分子中に水酸基を付与したりすれば良い。
【0063】また、ポリオレフィン系樹脂シートを2層
構成とすることで、例えば、樹脂成形物側のポリオレフ
ィン系樹脂シート5Bは着色隠蔽層として専ら着色隠蔽
付与、成形性、及び射出成形同時絵付けの為に必要な厚
さを確保した層として使用し、表側のポリオレフィン系
樹脂シート5Aは、着色剤等を添加せず、専ら接着剤層
4A又は4Bとの密着を確保した層として使用する事も
出来、コストを最小限にして且つ複数の要求物性を満た
すことができる。そして、上記隠蔽性によって、射出成
形樹脂の色に左右されずに、絵付けによる色調表現を安
定化できる。
【0064】〔射出成形同時絵付方法〕ここで、上述し
た本発明の射出成形同時絵付用シートの使用用途であ
る、射出成形同時絵付方法について、一応説明してお
く。ここでの射出成形同時絵付方法は、ラミネ−ト形態
となり、特公昭50−19132号公報、特公昭43−
27488号公報等に記載されるように、射出成形同時
絵付用シートを、一対の型の間に配置した後、両型を型
締めし、両型で形成されるキャビティ内に流動状態の樹
脂を射出し充填して固化させて、樹脂成型物の成形と同
時にその表面に射出成形同時絵付用シートを積層して、
樹脂成形物を絵付けする方法である。
【0065】なお、射出成形同時絵付方法としては、従
来公知の各種形態をとり得る。例えば、射出成形同時絵
付用シートの予備成形を行う形態、或いは行わない形
態。また、射出成形同時絵付用シートの予熱を行う形
態、行わない形態。なお、予備成形時には通常は射出成
形同時絵付用シートは予熱する。
【0066】なお、もちろんの事だが、射出成形同時絵
付用シートの絞りが大きい場合は、予備成形を行うのが
好ましい。一方、射出成形同時絵付用シートの絞りが少
ない場合は、射出される流動状態の樹脂の樹脂圧で該シ
ートを成形しても良い。この際、絞りが浅ければ、予備
成形無しで樹脂射出と同時に型内に充填される流動状態
の樹脂の樹脂圧で射出成形同時絵付用シートを成形して
も良い。また、樹脂圧で射出成形同時絵付用シートを成
形する場合でも、該シートは予熱せずに射出樹脂の熱を
利用しても良い。また、射出成形同時絵付用シートの予
備成形は、通常は、射出成形型を真空成形型と兼用して
行うが、型間に該シートを供給する前に、型外部で別の
真空成形型で該シートを真空成形する様な予備成形(オ
フライン予備成形)でも良い。また、予備成形は、射出
成形型を真空成形型と兼用して行う形態が効率的で且つ
精度良く積層できる点で好ましい。なお、本発明に於い
て真空成形とは真空圧空成形も包含する。
【0067】ところで、図3は射出成形同時絵付方法を
或る一形態で説明する概念図である。図3に示す形態で
は、射出成形型は別の型である真空成形型で、射出成形
同時絵付用シートを加熱し軟化させて予備成形した後
に、成形された射出成形同時絵付用シートを射出成形型
に挿入後、型締めして樹脂を射出する、オフラン予備成
形による形態である。そこで次に、図3を用いて、この
形態の射出成形同時絵付方法を更に説明する。
【0068】先ず、図3(A)の如く、型面に吸引孔3
1等の吸引手段を有する真空成形型Mvを用いて、ヒー
タ32で加熱軟化させた射出成形同時絵付用シートを真
空成形により予備成形する。なお、真空成形型Mvは、
鉄やアルミニウム等の金属、或いはセラミックス等から
なる。また、射出成形同時絵付用シートSは適宜枠状の
シートクランプ33で固定する。この際、射出成形同時
絵付用シートのポリオレフィン系樹脂シート側は、射出
樹脂側(図面上方)となる向きとする。また、ヒータ3
2による加熱軟化は、例えば非接触の輻射加熱とする
が、接触による伝導加熱でも良い。そして、予備成形
は、吸引孔から吸引して真空成形して、射出成形同時絵
付用シートを真空成形型Mvの型面に沿わせ真空成形す
る。なお、真空成形は圧空も併用する真空圧空成形でも
良く、これも包含する。
【0069】次いで、予備成形された射出成形同時絵付
用シートSを、図3(B)の如く、一対の射出成形型M
aとMbとの間に供給する。ここでは射出成形型Maの
方は射出ノズルと連通する湯道(ランナー)及び湯口
(ゲート)を有し、射出成形型Mbはそのキャビティ面
が前記予備成形型Mvの型面と同一又は略同一形状を成
し、予備成形済の射出成形同時絵付用シートを固定する
型となる。これらの型は鉄等の金属、或いはセラミック
スからなる。型開き状態に於いて両型Ma、Mb間に射
出成形同時絵付用シートSを供給し、型Mbに射出成形
同時絵付用シートSを枠状のシートクランプ42で押圧
する等して固定する。この際、射出成形同時絵付用シー
トのポリオレフィン系樹脂シート側は、図面右側の射出
樹脂側となる様にする事はもちろんである。次いで、図
3(C)の如く両型を型締めし、両型で形成さるキャビ
ティに加熱熔融状態等の流動状態の樹脂を充填する。そ
して、射出成形同時絵付用シートの不要部分がある場合
は、それを適宜トリミングすれば、図4の断面図で概念
的に示す如き絵付成形品Pが得られる。
【0070】〔射出成形樹脂〕なお、射出成形同時絵付
方法に於いて、射出成形して樹脂成形物とする樹脂とし
ては、基本的には、射出成形同時絵付方法に於ける従来
公知のものが使用でき特に制限はなく、製品の要求物性
やコスト等に応じて選定される。但し、本発明の射出成
形同時絵付用シートは、ポリオレフィン系樹脂に対して
密着が良い様に構成されているので、ポリオレフィン系
樹脂が好適である。ポリオレフィン系樹脂としては、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポ
リメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、プ
ロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の非エラストマ
ーポリオレフィン系樹脂、或いは各種のオレフィン系熱
可塑性エラストマーが用いられる。
【0071】なお、本発明の射出成形同時絵付用シート
はこれらポリオレフィン系樹脂と密着性が良い様に構成
してあるが、その密着性をより向上させる必要がある場
合には、これらポリオレフィン系樹脂に、エチレンプロ
ピレンゴムを添加すると良い。エチレンプロピレンゴム
はエチレン−プロピレン共重合体からなるゴム(EP
R)であり、非晶質のランダム共重合体である。また、
エチレンプロピレンゴムとしては純粋なエチレン−プロ
ピレン共重合体の他に、エチレン−プロピレン−ジエン
ターポリマー(EPDM)も使用できる。エチレンプロ
ピレンゴムはポリオレフィン樹脂100重量部に対し1
〜40重量部の範囲で添加するのが、密着性向上、剛性
維持の点から好ましい。
【0072】なお、射出成形樹脂は、用途に応じて適
宜、着色剤を添加して着色した樹脂を使用しても良い。
着色剤には、前述装飾層で述べた如き公知の着色剤を使
用できる。また、射出成形樹脂には、必要に応じて適
宜、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、水酸化アルミ
ニウム等の無機物粉末、ガラス繊維等の充填剤、安定
剤、滑剤等の公知の各種添加剤を含有させる。
【0073】〔絵付成形品〕本発明の射出成形同時絵付
用シートを樹脂成形物に積層する事で、図4の断面図で
概念的に示す如き絵付成形品Pが得られる。すなわち、
前述した本発明の射出成形同時絵付用シートSがポリオ
レフィン系樹脂からなる樹脂成形物8の表面に積層した
構成の成形品である。樹脂成形物8の樹脂としてはポリ
オレフィン系樹脂が好適である。もちろん、射出成形同
時絵付用シートSは、そのポリオレフィン系樹脂シート
が樹脂成形物と接する様に積層されている。なお、樹脂
成形物のポリオレフィン系樹脂は、前記射出成形樹脂で
説明した如き樹脂である。樹脂成形物8の表面に射出成
形同時絵付用シートSを積層するには、前述した射出成
形同時絵付方法が好適である。ポリオレフィン系樹脂か
らなる樹脂成形物に射出成形同時絵付用シートが積層し
た絵付成形品は、射出成形同時絵付用シートと樹脂成形
物との密着性に優れ、また表面の透明性も良好な成形品
となる。
【0074】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を更に
詳述する。なお、文中、「部」とあるのは、全て質量基
準の部数である。
【0075】〔実施例1〕図1(A)の如き構成の射出
成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。先
ず、透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート1として、厚
さ50μmの2軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィ
ルムからなる無色透明なポリエステル樹脂フィルムを用
い、その片面にコロナ放電処理を施した後、ポリエステ
ルポリオール100部に硬化剤として1,6−ヘキサメ
チレンジイソシアネート(HDI)5部を配合したポリ
エステル樹脂からなるプライマー剤をグラビアロールコ
ート法で塗工して厚み2μmのポリエステルプライマー
層2を全面に形成した後、さらに該ポリエステルプライ
マー層2の上に、バインダー樹脂に塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体とアクリル樹脂との1対1重量比の混合物
を用い、着色剤に弁柄、フタロシアニンブルー、イソイ
ンドリノン、及びカーボンブラックを用いたインキを使
用して、柄パターン層、引き続き全ベタ層をグラビア印
刷して、木目柄の装飾層3を形成して、先ず印刷シート
を用意した。
【0076】次に、弁柄、カーボンブラック、黄鉛、及
びチタン白を主成分とする着色剤の添加で黄褐色に着色
され不透明な高密度ポリエチレンからなるポリオレフィ
ン系樹脂シート5(厚さ0.2mm)の片面にコロナ放
電処理を施した後、塩素化ポリプロピレンを主成分とす
る接着剤を塗工して厚さ4μmの接着剤層4Aを形成し
た上で、該接着剤層4Aと上記印刷シートの装飾層3と
が接する様にして、ポリオレフィン系樹脂シート5を上
記印刷シートに熱プレス法によって熱融着で積層して、
本発明の射出成形同時絵付用シートSを得た。
【0077】〔実施例2〕図1(A)の如き構成の射出
成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。実施
例1に於いて、ポリオレフィン系樹脂シート5の高密度
ポリエチレンをポリプロピレンに変更した他は、実施例
1と同様にして、本発明の射出成形同時絵付用シートを
得た。
【0078】〔実施例3〕図1(B)の如き構成の射出
成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。実施
例1に於いて、透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート1
に、ポリエステルプライマー層2及び装飾層3を形成
後、更に、ポリウレタンポリオール100部に対して硬
化剤として1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
(HDI)4.5部と水添ジフェニルメタンジイソシア
ネート(HMDI)0.5部とを配合した2液硬化型ウ
レタン樹脂を主成分とするプライマーインキを全面に印
刷してウレタンプライマー層6を厚さ2μmに形成した
ものを印刷シートとして用いた。そして、ウレタンプラ
イマー層6が硬化しない間に、ポリオレフィン系樹脂シ
ート5をウレタンプライマー層6上に重ねてドライラミ
ネーション法によって積層した。この他は実施例1と同
様にして、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。
【0079】〔実施例4〕図1(B)の如き構成の射出
成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。実施
例3に於いて、装飾層3のバインダーの樹脂を下記のア
クリルポリオールとポリウレタンポリオールとの混合物
に変更したものを印刷シートとした他は、実施例3と同
様にして、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。
なお、装飾層3に於けるアクリルポリオールとポリウレ
タンポリオールとの混合物は、透明熱可塑性ポリエステ
ル樹脂シート1側の柄パターン層では、アクリルポリオ
ール80部とポリウレタンポリオール20部とからなる
混合物で硬化剤が添加されていないものを用い、ポリオ
レフィン系樹脂シート5側の全ベタ層には、アクリルポ
リオール67部とポリウレタンポリオール33部に硬化
剤として水添ジフェニルメタンジイソシアネート(HM
DI)8部を添加した混合物を使用した。
【0080】〔実施例5〕図1(B)の如き構成の射出
成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。実施
例3に於いて、ポリオレフィン系樹脂シート5の高密度
ポリエチレンをポリプロピレンに変更し厚みを0.3m
mとした他は、実施例3と同様にして、本発明の射出成
形同時絵付用シートを得た。
【0081】〔実施例6〕図1(C)の如き構成の射出
成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。実施
例1に於いて、塩素化ポリプロピレンを主成分とする厚
さ4μmの接着剤層4Aの代わりに、ポリウレタンポリ
オール100部に対して硬化剤として1,6−ヘキサメ
チレンジイソシアネート(HDI)4.5部と水添ジフ
ェニルメタンジイソシアネート(HMDI)0.5部と
を配合した2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とする接着
剤を塗工して厚さ4μmの接着剤層4Bとし、且つポリ
オレフィン系樹脂シート5の高密度ポリエチレンをポリ
プロピレンに変更し、熱プレス法に代えてドライラミネ
ーション法で積層した他は、実施例1と同様にして、本
発明の射出成形同時絵付用シートを得た。
【0082】〔実施例7〕図1(C)の如き構成の射出
成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。実施
例6に於いて、装飾層3のバインダーの樹脂を、実施例
4と同様のアクリルポリオールとポリウレタンポリオー
ルの混合物に変更して実施例4同様に装飾層3を形成し
た他は、実施例6と同様にして、本発明の射出成形同時
絵付用シートを得た。
【0083】〔実施例8〕図2(A)の如き構成の射出
成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。印刷
シートとしては、実施例6と同一の印刷シートを用意し
た。次に、実施例6のポリオレフィン系樹脂シート5に
対して、マレイン酸のグラフト共重合により分子中にカ
ルボキシル基を導入した無着色透明なポリプロピレンシ
ート5A(厚み0.07μm)と、実施例1同様に着色
剤で着色した不透明なポリプロピレンシート5B(厚さ
0.3mm)とを、Tダイからの熔融共押出法で積層し
た樹脂シートを用意した。そして、上記2層構成のポリ
オレフィン系樹脂シート5の薄い方のポリオレフィン系
樹脂シート5Aの面にコロナ放電処理を施した後、実施
例6の接着剤層4Bの場合と同様に、ポリウレタンポリ
オール100部に対して硬化剤として1,6−ヘキサメ
チレンジイソシアネート(HDI)4.5部と水添ジフ
ェニルメタンジイソシアネート(HMDI)0.5部と
を配合した2液硬化型ウレタン樹脂を主成分とする接着
剤を塗工して厚さ4μmの接着剤層4Bを全面に形成し
た上で、接着剤層4Bと上記印刷シートの装飾層3とが
接する様にして、ポリオレフィン系樹脂シート5を上記
印刷シートにドライラミネーション法によって積層し
て、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。
【0084】〔実施例9〕図2(A)の如き構成の射出
成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。実施
例8に於いて、装飾層3のバインダーの樹脂を実施例4
と同様のアクリルポリオールとポリウレタンポリオール
の混合物に変更して実施例4同様に装飾層3を形成した
他は、実施例8と同様にして、本発明の射出成形同時絵
付用シートを得た。
【0085】〔実施例10〕図2(C)の如き構成の射
出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。印
刷シートとしては、実施例3と同一の印刷シートを用意
した。次に、実施例3のポリオレフィン系樹脂シート5
に対して、マレイン酸のグラフト共重合により分子中に
カルボキシル基を導入した無着色透明なポリエチレンシ
ート5A(厚み0.07μm)と、実施例1同様に着色
剤で着色した不透明な高密度ポリエチレンシート5B
(厚さ0.2mm)とを、アクリルポリオールと1,6
−ヘキサメチレンジイソシアネートとからなる2液硬化
型ウレタン樹脂を主成分とする接着剤で接着層7を間に
介して、ドライラミネーション法によって積層した樹脂
シートを用意した。そして、上記2層構成のポリオレフ
ィン系樹脂シート5の薄い方のポリオレフィン系樹脂シ
ート5Aの面にコロナ放電処理を施した後、塩素化ポリ
プロピレンを主成分とする接着剤を塗工して厚さ4μm
の接着剤層4Aを形成した上で、該接着剤層4Aと上記
印刷シートのウレタンプライマー層6とが接する様にし
て、ポリオレフィン系樹脂シート5を上記印刷シートに
ドライラミネーション法によって積層して、本発明の射
出成形同時絵付用シートを得た。
【0086】〔実施例11〕図2(C)の如き構成の射
出成形同時絵付用シートSを次の様にして作製した。実
施例10に於いて、装飾層3のバインダーの樹脂をアク
リルウレタン樹脂に変更した他は、実施例10と同様に
して、本発明の射出成形同時絵付用シートを得た。
【0087】〔性能評価〕上記それぞれの射出成形同時
絵付用シートについて、図3の概念図で説明した様なオ
フランイ予備成形による射出成形同時絵付けを行って、
下記の如き性能を評価した。なお、射出成形樹脂には、
エチレン−プロピレン共重合体ゴムを10重量%添加し
たポリプロピレン樹脂を使用して、図4に示す如き、射
出成形同時絵付用シートSが樹脂成形物8に積層された
絵付成形品Pを作製した。
【0088】耐溶剤性:トエルンとメチルエチルケト
ンとを各々別々に、絵付成形品上の射出成形同時絵付用
シート表面に滴下後、表面を時計皿で覆って24時間放
置後、布で拭き取り、目視で表面外観を観察した。その
結果、実施例1〜実施例11の全ての絵付成形品にて、
表面外観には変化無く、耐溶剤性は良好であった。
【0089】可塑剤移行耐久性:DOP(ジオクチル
フタレート)を、絵付成形品上の射出成形同時絵付用シ
ート表面に滴下後、表面を時計皿で覆って24時間放置
後、布で拭き取り、目視で表面外観を観察した。その結
果、実施例1〜実施例11の全ての絵付成形品にて、表
面外観には変化無く、耐溶剤性は良好であった。
【0090】シートと樹脂成形物との密着性:絵付成
形品表面を被覆した射出成形同時絵付用シート表面を、
カッタナイフで碁盤目状に(線間隔1mm)を11本
(縦)×11本(横)の樹脂成形物にまで達する刻みを
入れた。次いで、刻みの上に、セロハン粘着テープ(ニ
チバン株式会社製、「セロテープ」(登録商標)24m
m幅、産業用)を貼着し、手で剥離する碁盤目テスト
を、10回繰り返した。その結果、実施例1〜実施例1
1の全ての絵付成形品にて、全く碁盤目(10個×10
個)の剥脱は無かった。
【0091】ハンドリング適性:射出成形同時絵付時
に於けるハンドリングの問題点の有無確認の為に、オフ
ライン予備成形の形態での成形を連続30ショット行っ
た。その結果、実施例1〜実施例11の全てにて、予備
成形、及び予備成形後の射出成形同時絵付用シートの雌
雄両型間への挿入は問題無く、シートの引っ掛かり、シ
ートの破れ、割れも生じず、ハンドリング適性は良好で
あった。
【0092】
【発明の効果】本射出成形同時絵付用シートの第1の
発明によれば、得られる絵付成形品に優れた透明性を付
与できる上、耐溶剤性と可塑剤移行耐久性が得られる。
また、特にポリオレフィン系樹脂の樹脂成形物に密着良
くラミネートでき、射出成形同時絵付用シートの層内の
密着性も良好にできる。更に、射出成形同時絵付時のハ
ンドリング適性も良好にできる。 また、本射出成形同時絵付用シートの第2の発明によ
れば、更に、シート層内の密着性をより良くできる。 また、本射出成形同時絵付用シートの第3の発明で
も、更に、シート層内の密着性をより良くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の射出成形同時絵付用シートの形態例を
例示する断面図。
【図2】本発明の射出成形同時絵付用シートの別の形態
例を例示する断面図。
【図3】射出成形同時絵付方法の一例を説明する概念
図。
【図4】本発明の絵付成形品を例示する断面図。
【符号の説明】
1 透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート 2 ポリエステルプライマー層 3 装飾層 4A 接着剤層(塩素化PP主成分) 4B 接着剤層(2液硬化型ウレタン樹脂主成分) 5 ポリオレフィン系樹脂シート 6 ウレタンプライマー層 7 接着層 8 樹脂成形物 31 吸引孔 32 ヒータ 33 シートクランプ 42 シートクランプ Ma 射出成形型(雄型) Mb 射出成形型(雌型) Mv 真空成形型 P 絵付成形品 S 射出成形同時絵付用シート
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK03D AK05 AK10G AK15C AK15J AK22C AK22J AK25C AK41A AK41B AK42 AK51C AK51E AL01C AR00B AR00C BA04 BA05 BA07 BA10A BA10D CA13 CB00 CC00 EH46 EJ38 EJ55 EJ65B EJ65E HB00C HB01 HB31 JB07 JB16A JB20 JL11 JN01 JN01A 4F206 AA13 AA21 AA28 AD05 AD09 AD20 JA07 JB19 JF05 JL02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラミネートタイプの射出成形同時絵付用
    シートにおいて、 最表面層となる透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート
    に、少なくとも、ポリエステル樹脂を主成分とするポリ
    エステルプライマー層と、バインダーの樹脂が塩化ビニ
    ル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合物又は
    アクリルポリオールとポリウレタンポリオールとの混合
    物を主成分とする装飾層と、塩素化ポリプロピレンを主
    成分とする接着剤層と、ポリオレフィン系樹脂シートと
    が、この順に積層されてなる射出成形同時絵付用シー
    ト。
  2. 【請求項2】 装飾層と、塩素化ポリプロピレンを主成
    分とする接着剤層との間に、2液硬化型ウレタン樹脂を
    主成分とするウレタンプライマー層が介在する、請求項
    1記載の射出成形同時絵付用シート。
  3. 【請求項3】 ラミネートタイプの射出成形同時絵付用
    シートにおいて、 最表面層となる透明熱可塑性ポリエステル樹脂シート
    に、少なくとも、ポリエステル樹脂を主成分とするポリ
    エステルプライマー層と、バインダーの樹脂が塩化ビニ
    ル−酢酸ビニル共重合体とアクリル樹脂との混合物又は
    アクリルポリオールとポリウレタンポリオールとの混合
    物を主成分とする装飾層と、2液硬化型ウレタン樹脂を
    主成分とする接着剤層と、ポリオレフィン系樹脂シート
    とが、この順に積層されてなる射出成形同時絵付用シー
    ト。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003019776A (ja) * 2001-07-06 2003-01-21 Dainippon Printing Co Ltd 化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート及び化粧鋼板
JP2011031614A (ja) * 2009-07-31 2011-02-17 Hon Hai Precision Industry Co Ltd 複合材料製品及びその成型方法

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JP2003019776A (ja) * 2001-07-06 2003-01-21 Dainippon Printing Co Ltd 化粧鋼板用ポリオレフィン系化粧シート及び化粧鋼板
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