JP4628146B2 - レーザー墨出し器 - Google Patents

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本発明は、建築現場などにおいて、壁、天井、床などの被照射体に墨出し用のレーザーライン光(これを「輝線」という)を投光するレーザー墨出し器に関するもので、特に、レーザー光源ユニットが組み付けられたレーザーユニットアセンブリィと外部回路を電気的に接続する電線が、レーザーユニットアセンブリィの円滑な揺動の阻害要因となることを軽減することができるレーザー墨出し器に関するものである。
レーザー墨出し器はレーザー光源として一般に半導体レーザーが用いられている。半導体レーザーから出射されるレーザー光は拡散光であるため、これをコリメータレンズによってほぼ平行光束とし、これを円柱状のロッドレンズに透過させることにより一方向にのみ拡散させ、この拡散光を壁、天井、床などの被照射体に投光して、レーザー光による鉛直方向の輝線あるいは水平方向の輝線を投光するようにしたのがレーザー墨出し器である。レーザー墨出し器は、ジンバル機構によって振り子が常時所定の姿勢を保つように吊り下げられている。上記振り子は、これに半導体レーザー、コリメータレンズ、ロッドレンズなどがホルダによって一体に保持されてなるレーザー光源ユニットが組み付けられることによりレーザーユニットアセンブリィを構成している。レーザーユニットアセンブリィが上記のように吊り下げられることにより、上記光源ユニットが常時定められた姿勢を保つようになっていて、レーザー墨出し器の設置姿勢が傾いていても、鉛直あるいは水平の輝線が正しく投光されるようになっている。レーザー墨出し器には、設置基準点の真上の天井面に基準となる光スポットを照射することができる鉛直ポインター機能を備えたものもある。
レーザー墨出し器におけるジンバル機構は、一般に、軸受としてボールベアリングのような精密部品を用い、対をなす上記軸受で軸を回転可能に支持し、この軸によって上記レーザーユニットアセンブリィを揺動可能に吊り下げている。より具体的に説明すると、ベースに固定された固定枠あるいは支柱の類に、共通の直線上に一対の軸受を介して一対の第1の水平軸を支持し、この一対の水平軸で揺動枠を揺動自在に支持し、揺動枠には上記水平軸に直交する方向に軸受を介して一対の第2の水平軸を共通の直線上に支持し、第2の水平軸によってレーザーユニットアセンブリィを揺動自在に支持している。
図4は、従来のレーザー墨出し器におけるジンバル機構の各種形式を示している。図4(a)に示す例は、リング状のジンバル機構10でレーザーユニットアセンブリィ13を揺動可能に吊り下げた例である。リング状のジンバル機構10は、固定の部材に固定された外リング11と、外リング11に水平方向の軸によって回転可能に支持された内リング12を有してなる。内リング12はその内方において上記軸と直交する水平方向の軸によってレーザーユニットアセンブリィ13を揺動可能に吊り下げている。レーザーユニットアセンブリィ13の長さ方向(上下方向)中央よりやや下寄りの位置に水平方向の輝線を照射するための光源ユニット14が組み付けられ、レーザーユニットアセンブリィ13の上端部には鉛直ポインター光あるいは鉛直方向の輝線を照射するための光源ユニット15が組み付けられている。
図4(b)に示す例は、十字状のジンバル機構20でレーザーユニットアセンブリィ24を吊り下げた例である(例えば、特許文献1参照)。ジンバル機構20は、互いに直交する方向の、一体に形成された軸21,23を有してなる。レーザーユニットアセンブリィ24の長さ方向上端寄りの位置に貫通して長孔が形成されていて、この長孔に上記軸21が通され、軸21の長さ方向中央部で、軸21に直交する方向の軸23によりレーザーユニットアセンブリィ24が揺動可能に吊り下げられている。上記軸21の両端部はベアリング22を介して固定部材に回転可能に支持される。レーザーユニットアセンブリィ24の長さ方向中央よりやや下端寄りの位置には水平方向の輝線を照射するための光源ユニット25が組み付けられている。レーザーユニットアセンブリィ24の上端部はジンバル機構20より上方に突出し、この突出部に、鉛直ポインター光あるいは鉛直方向の輝線を照射するための光源ユニットが組み付けられている。
図4(c)に示す例は、図4(b)に示す例と同様に十字状のジンバル機構を有するものであるが、構造上、鉛直ポインター光を照射するための光源ユニットを持たない、あるいは、鉛直ポインター光を照射するための光源ユニットを設けようとすると構造が複雑になるタイプのものである(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
特開2001−12948号公報 特許第2683994号公報 特許第3160800号公報
図4(a)に示すようなリング状のジンバル機構は、レーザー墨出し器に比較的多く用いられている。しかし、ジンバル機構を構成する部材がリング状に膨らむため、ジンバル機構の占める空間が多くなり、ジンバル機構自体が大きくなるとともに墨出し器も大型化する難点がある。図4(b)および特許文献1記載のジンバル機構によれば、ジンバル機構自体はコンパクト化することは可能であるが、ジンバル機構よりも上に鉛直ポインター光あるいは鉛直方向の輝線を照射するための光源ユニットを組み付ける必要があるため、レーザーユニットアセンブリィを安定させるためには、レーザーユニットアセンブリィのジンバル機構よりも下側にウエイトを乗せて重心を低くする必要があり、ジンバル機構を頑丈にする必要があること、墨出し器全体が重くなること、などの問題点がある。図4(c)および特許文献2,3記載の発明によれば、図4(b)および特許文献1記載のジンバル機構のような問題点はない反面、ジンバル機構が鉛直ポインター光を遮るため、鉛直ポインターを配置することができない、という難点がある。
従来のレーザー墨出し器によれば、上記のような難点があるとともに、レーザーユニットアセンブリィに取り付けられているレーザー光源に給電するためのジャンパー線が、レーザーユニットアセンブリィが揺動するときの抵抗になるという問題もある。この問題について、図5を参照しながら説明する。図5において、ジンバル機構は図4(a)に示すジンバル機構10と同様に、外リング11と内リング12を有してなり、内リング12の内方においてレーザーユニットアセンブリィ13が揺動可能に吊り下げられている。外リング11を支持する支柱などの固定部材にはメイン基板16が固定され、レーザーユニットアセンブリィ13には中継基板17が取り付けられている。メイン基板16と中継基板17は、複数の給電用ジャンパー線18で電気的に接続されている。メイン基板16、ジャンパー線18、中継基板17を介して、レーザーユニットアセンブリィ13に組み込まれた光源ユニット14の半導体レーザーに電源が供給される。
上記従来のレーザー墨出し器によれば、レーザーユニットアセンブリィ13が揺動するとき、上記ジャンパー線18がレーザーユニットアセンブリィ13の揺動の抵抗にならないように、できるだけ柔軟性のある電線が選定され、かつ、長さに余裕をもたせて弛ませている。しかし、ジャンパー線18が上記のように単にレーザーユニットアセンブリィ13の側面の中継基板17と、固定されたメイン基板16との間を接続しているに過ぎない構成では、ジャンパー線18がレーザーユニットアセンブリィ13の揺動に対して抵抗になることは必至であるとともに、比較的大きな抵抗となる。そのため、レーザーユニットアセンブリィ13が精度よく鉛直方向の姿勢をとることができず、レーザー墨出し器としての精度を低下させる要因となる。
本発明は、上に説明したような従来技術の問題点を解消するためになされたもので、レーザーユニットアセンブリィに取り付けられているレーザー光源への給電線が、レーザーユニットアセンブリィの揺動に対する抵抗とならないように給電線の処理を工夫し、よりいっそう精度を高めることができるレーザー墨出し器を提供することを目的とする。
本発明にかかるレーザー墨出し器は、ジンバル機構とレーザーユニットアセンブリィの間にジンバルブロックが介在し、ジンバルブロックは、水平方向の第1の軸を中心として支持体に回転可能に支持されるとともに、第1の軸に直交する水平方向の第2の軸によってレーザーユニットアセンブリィを揺動可能に吊り下げ、上記ジンバルブロックはまた、垂直方向の孔を有し、この孔に、レーザー光源への給電線としてフレキシブルプリント基板が引き通され、フレキシブルプリント基板は、長さ方向の途中で、幅方向が90度転換していることを最も大きな特徴としている。
ジンバルブロックの垂直方向の孔に、レーザー光源への給電線としてフレキシブルプリント基板を引き通すことにより、レーザーユニットアセンブリィが揺動するときのジャンパー線の移動量を少なくすることができる。また、フレキシブルプリント基板は、長さ方向の途中で、幅方向が90度転換していて、レーザーユニットアセンブリィがどの方向に揺動しても、フレキシブルプリント基板がレーザーユニットアセンブリィの揺動方向に対応して柔軟に移動することができる。もって、給電線としてのフレキシブルプリント基板による機械的抵抗を小さくすることができ、レーザー墨出し器の精度をよりいっそう高めることができる。
以下、本発明にかかるレーザー墨出し器の実施例を、図面を参照しながら説明する。図1、図2において、符号50はレーザー墨出し器のベースを示す。ベース50は、レーザー墨出し器のカバー内に組み込まれ、また、3点の高さ位置を調整してほぼ水平の姿勢をとるための三脚を有しているが、上記カバーや三脚は図示されていない。ベース50の上面には4本の支柱52が立てられている。4本の支柱52の上端部によってジンバル枠55が支持されている。ジンバル枠55は、あとで説明するジンバルブロック60の支持体として機能し、長方形の窓枠状の本体部分とこの本体部分の四隅から外方に向かって伸び出た脚部56を一体に有し、4個の脚部56がそれぞれ上記支柱52の上端部に結合されている。外部から衝撃力が加わったとき、ジンバル枠55に加わる衝撃、さらには、ジンバル枠55を介して後述のレーザーユニットアセンブリィ、ベアリングなどに加わる衝撃が緩和されるように、ジンバル枠55はインシュレータを介してベース50に結合するとよい。
上記ジンバル枠55にはジンバル機構70が組み込まれ、ジンバル機構70によってレーザーユニットアセンブリィ80が揺動可能に吊り下げられている。ジンバル機構70の構造は以下のとおりである。図1ないし図3において、ジンバル枠55とレーザーユニットアセンブリィ80の間にはジンバルブロック60が介在し、ジンバルブロック60の介在のもとにレーザーユニットアセンブリィ80が吊り下げられている。ジンバルブロック60は直方体をなしていて、中央に垂直方向の正方形状の孔66を有し、互いに平行な一対の側面にはそれぞれ水平方向の第1の軸62が、ベアリングの介在のもとに、軸62の中心軸線を中心として回転可能に支持されている。ジンバルブロック60の互いに平行な他の一対の側面には、上記第1の軸62の方向に対して直交する水平方向の第2の軸が、ベアリングの介在のもとに、第2の軸の中心軸線を中心として回転可能に支持されている。ジンバルブロック60はジンバル枠55の窓孔に空間的余裕をもって挿入され、対をなす上記第1の軸62がジンバル枠55の軸受孔に挿入されることにより、ジンバルブロック60が軸62を中心として回転可能に支持されている。上記第2の軸によってレーザーユニットアセンブリィ80が揺動可能に支持されている。ジンバルブロック60の上記孔66には、各レーザー光源ユニット82,83,84が有するレーザー光源への給電線としてフレキシブルプリント基板88が引き通されている。
以上説明したように、レーザーユニットアセンブリィ80は、ジンバルブロック60の介在のもとに、第1の軸62と第2の軸によってあらゆる方向に揺動可能に吊り下げられている。そのため、レーザー墨出し器を設置したとき、レーザー墨出し器本体が傾いていたとしても、レーザーユニットアセンブリィ80は常に所定の鉛直方向の姿勢をとることができる。
レーザーユニットアセンブリィ80の上端近くには、ジンバル機構70の下方において、鉛直方向の輝線を照射するための3個の光源ユニット82,83、84が組み付けられている。各光源ユニット82,83、84は、レーザーユニットアセンブリィ80の側面に、周方向に90度間隔で、かつ、レーザー光の照射方向を斜め上方に向けて組み付けられている。各光源ユニット82,83、84は、レーザー光を放射する半導体レーザー光源と、半導体レーザー光源からの発散光を平行光束にするコリメートレンズと、この平行光束を一方向にのみ拡散する円筒レンズを有してなる。また、各光源ユニット82,83、84は、建物の天井面、壁面、床面などに鉛直方向の輝線を照射するためのもので、円筒レンズを水平方向に向けて取り付けてある。光源ユニット83と光源ユニット84は対をなしていて、それぞれの光源ユニット83,84から放射される輝線は、天井面で一直線に連続する。もう一つの光源ユニット82から放射される輝線は、天井面で上記光源ユニット83,84による輝線に対し直交し、この直交点が墨出し器の真上に位置してこれを基準点する、すなわち、鉛直ポインターとすることができるようになっている。
本発明にかかる図示の実施例では、ジンバル機構を構成する部材、特にジンバルブロック60の構成を工夫することによって、レーザーユニットアセンブリィ80をジンバル機構70よりも上側まで伸ばす必要がなく、鉛直方向の輝線を照射するための光源ユニットをジンバル機構70よりも下側に設けることを可能にしている。より具体的には、既に述べたとおり、互いに直交する方向の第1の軸62と第2の軸の間にジンバルブロック60を介在させたこと、換言すれば、ジンバルブロック60の介在のもとに第1の軸62と第2の軸を結合したこと、そして、ジンバルブロック60に、垂直方向の孔66を設けたことを特徴としている。
レーザーユニットアセンブリィ80に取り付けられている各レーザー光源ユニット82,83,84の、光源をなす半導体レーザーには、電池などの電源から電線を介して駆動用電源を供給する必要がある。図示の実施例では、前記ジンバルブロック60に形成された垂直方向の孔66に、給電用の電線としてフレキシブルプリント基板88を引き通している。フレキシブルプリント基板88は、レーザーユニットアセンブリィ80の揺動に対して抵抗とならないように、レーザーユニットアセンブリィ80の揺動に柔軟に対応する必要がある。上記ジンバルブロック60の孔66の中心は、ジンバル機構70の中心とほぼ一致し、この孔66を通るフレキシブルプリント基板88は、ジンバル機構70によるレーザーユニットアセンブリィ80の揺動中心の直近に配置されているため、レーザーユニットアセンブリィ80の揺動に伴うフレキシブルプリント基板88の移動量は僅かであり、レーザーユニットアセンブリィ80の揺動に対する抵抗力はきわめて小さくなる。したがって、フレキシブルプリント基板88の存在がレーザーユニットアセンブリィ80の揺動に対する障害となることがなく、精度のよいレーザー墨出し器を得ることができる。
さらに、上記フレキシブルプリント基板88には、レーザーユニットアセンブリィ80の揺動に対する抵抗となることを低減するための特別な工夫がなされている。図2、図3において、フレキシブルプリント基板88は、長さ方向の途中で、幅方向が90度転換している。図3において符号90はこの転換位置を示している。フレキシブルプリント基板88の幅方向の転換位置90は、レーザーユニットアセンブリィ80の揺動に伴ってフレキシブルプリント基板88が動きやすい位置に設けるのが望ましい。フレキシブルプリント基板88が動きやすい位置は、ジンバルブロック60からレーザー光源ユニット82,83,84に至るまでの間である。そこで、図示の実施例ではジンバルブロック60からレーザー光源ユニット82,83,84に至るまでの間にフレキシブルプリント基板88の幅方向の転換位置90が設けられている。図3において、転換位置90より上側のフレキシブルプリント基板88の幅方向をX方向とすると、転換位置90より下側のフレキシブルプリント基板88の幅方向は、X方向に直交する方向であるY方向となっている。
フレキシブルプリント基板88は、厚さを薄くすることによって可撓性が与えられている。反面、フレキシブルプリント基板88の幅方向の可撓性はないに等しい。しかるに、図示の実施例によれば、フレキシブルプリント基板88の、レーザーユニットアセンブリィ80の揺動とともに移動する部分に、上記のような幅方向の転換位置90が設けられているため、フレキシブルプリント基板88は、レーザーユニットアセンブリィ80のあらゆる方向への移動にも柔軟に対応して撓むことができ、レーザーユニットアセンブリィ80の揺動に対する抵抗を極めて小さなものにすることができる。よって、レーザー墨出し器としての精度を高めることができる。
本発明にかかるレーザー墨出し器の実施例を示す斜視図である。 同上実施例のレーザーユニットアセンブリィ部分を示す斜視図である。 上記実施例のフレキシブルプリント基板の主要部を示す斜視図である。 従来のレーザー墨出し器の各種ジンバル機構の例を概略的に示す斜視図である。 従来のレーザー墨出し器における給電用ジャンパー線の例を概略的に示す側面図である。
符号の説明
52 支柱
55 支持体としてのジンバル枠
60 ジンバルブロック
62 第1の軸
66 孔
80 レーザーユニットアセンブリィ
82 光源ユニット
83 光源ユニット
84 光源ユニット
88 フレキシブルプリント基板
90 転換位置

Claims (3)

  1. レーザー光を放射するレーザー光源ユニットが組み付けられたレーザーユニットアセンブリィと、このレーザーユニットアセンブリィを揺動可能に支持するジンバル機構を有してなるレーザー墨出し器であって、
    上記ジンバル機構と上記レーザーユニットアセンブリィの間にジンバルブロックが介在し、
    上記ジンバルブロックは、水平方向の第1の軸を中心として支持体に回転可能に支持されるとともに、上記第1の軸に直交する水平方向の第2の軸によって上記レーザーユニットアセンブリィを揺動可能に吊り下げ、
    上記ジンバルブロックはまた、垂直方向の孔を有し、この孔に、レーザー光源への給電線としてフレキシブルプリント基板が引き通され、
    上記フレキシブルプリント基板は、長さ方向の途中で、幅方向が90度転換し、上記転換位置は、ジンバルブロックからレーザー光源ユニットに至るまでの間に設けられていることを特徴とするレーザー墨出し器。
  2. 支持体は、支柱によって支持されたジンバル枠からなり、ジンバルブロックは、上記ジンバル枠に第1の軸を中心として回転可能に支持されている請求項1記載のレーザー墨出し器。
  3. 第1の軸および第2の軸は、ジンバルブロックにベアリングを介して回転可能に嵌められている請求項1記載のレーザー墨出し器。
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