JP4627426B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
燃料電池100を構成する電解質膜101の表裏面に、カソード・アノード層102,103を積層し、カソード層102にカソード拡散層104を積層するとともに、アノード層103にアノード拡散層105を積層し、カソード拡散層104の外側に酸素ガス流路106を設けるとともに、アノード拡散層105の外側に水素ガス流路(図示せず)を設ける。
酸素ガス流路106の供給側106aから排出側106bに向けて酸素ガスが流れる。
カソード層102は、触媒層102aおよび下地層102bからなり、アノード層103(図10参照)は、カソード層102と同様に、触媒層および下地層(図示せず)からなる。
アノード層103(図10参照)内の反応で生成した水素イオン(H+)が電解質膜101を透過しカソード層102側に矢印のように流れる。
一方、カソード層102内に酸素ガス流路106(図10参照)から酸素ガスを供給することで、酸素ガスはカソード層102内から電解質膜101に向けて流れる。
生成した生成水(H2O)のうち、一部は下地層102bを経てカソード拡散層104に矢印Aの如く排出し、その他の生成水(H2O)は、カソード層102内を矢印Bの如く流れる。
しかし、燃料電池によれば、電解質膜内の生成水が下方に流れるため、電解質膜の下部に生成水が溜まってしまう虞がある。
電解質膜の下部に生成水が溜まることで、膜抵抗が部分的に増加し、そのことが燃料電池の発電効率を高める妨げになっていた。
このように、電解質膜のアノード側の水分が水素イオンとともにカソード層側に移動することで、電解質膜のアノード側の水分が不足する虞がある。
電解質膜のアノード側の水分が不足することで、電解質膜内を水素イオンが円滑に通過し難くなり、そのことが燃料電池の発電効率を高める妨げになっていた。
ところで、燃料電池を使用する際には、通常、電解質膜、カソード触媒層、カソード下地層およびカソード拡散層が鉛直方向、すなわち重力の作用する方向に向けて燃料電池を配置する。
これにより、電解質膜内の生成水の一部が、重力の影響を受けて、重力の作用する方向に移動する。よって、重力の作用する方向の側に生成水が溜まりやすくなる。
よって、生成水の一部が、重力の影響を受けて、重力の作用する方向に移動しても、移動した生成水を、電解質膜の外側に良好に逃がすことができる。
このため、電解質膜内の水分がアノード触媒層側で減る虞があり、さらに電解質膜内の水分がカソード触媒層側で増える虞がある。
よって、電解質膜内のアノード触媒層側の部位において、保水性を高めることができ、電解質膜内のカソード触媒層側の部位において、保水性をある程度抑えることができる。
加えて、電解質膜内のカソード触媒層側の部位において、保水性をある程度抑えることで、カソード触媒層側の部位から水分を好適に外側に逃がすことができる。
そこで、請求項2において、酸素ガス流路の供給側から排出側に向けて漸次減少させた。
これにより、酸素ガス流路の排出側において、電解質膜内の水分をカソード側に良好に導くことができる。
図1は本発明に係る膜電極接合体(第1実施の形態)を備えた燃料電池を示す斜視図であり、セルを分解して示したものである。
燃料電池10は、複数個のセル11・・・を積み重ねて構成したものである。セル11は、膜電極接合体12の両側にセパレータ13,14を設けたものである。
膜電極接合体12は、電解質膜15のカソード側を、電解質膜15に積層したカソード触媒層16、この触媒層16に積層したカソード下地層17、この下地層17に積層したカソード拡散層18で形成し、電解質膜15のアノード側を、電解質膜15に積層したアノード触媒層21、この触媒層21に積層したアノード下地層22、この下地層22に積層したアノード拡散層23で形成したものである。
シール27を、電解質膜15とセパレータ14との間に介在させることで、電解質膜15とセパレータ14との間をシールする。
電解質膜15のカソード側に、カソード触媒層16、カソード下地層17、カソード拡散層18を順次積層し、電解質膜15のアノード側に、アノード触媒層21、アノード下地層22、アノード拡散層23を順次積層する。
アノード拡散層23の外側にセパレータ14を設けることでアノード拡散層23とセパレータ14とで水素ガス流路25を形成する。
電解質膜15は、炭化水素系固体高分子に溶媒および保水剤48を加えたものである。
保水剤48としては、吸水性に優れた高吸水性樹脂が用いられ、高吸水性樹脂の一例としてポリイオン性ゲルが好適である。
ポリイオン性ゲルのうち、ゲルを構成しているポリマー鎖にカルボキシル基(−COOH)がついているものが好ましい。
この保水剤48を電解質膜15内に用いることで、電解質膜15内の所望部位に水分を確保することが可能になる。
第1層43は、導電材料45…として、例えば小径の粒状カーボンを備え、さらに吸水材を添加したものである。吸水材が接着剤の働きをするため、カソード触媒層16に対するカソード下地層17の接着力を確保できる。
第2層44は、導電材料41…として、例えば小径の粒状カーボンを備え、撥水材料46…として、例えばフッ素系樹脂を備える。
撥水材料46は、生成水の排水性に影響を与えるものである。撥水材料46が増えると撥水性が高くなり、撥水材料46が減ると撥水性が低くなる。
カソード拡散層18の外側にセパレータ13を設けることでカソード拡散層18とセパレータ13の溝13a・・・とで酸素ガス流路24…を形成する。
カソード下地層17内の酸素(O2)が矢印aの如くカソード触媒層16内に進入する。
よって、カソード触媒層16内で、水素イオン(H+)と酸素(O2)とが反応して、生成水が生成される。
生成した生成水は、カソード触媒層16内からカソード下地層17を経てカソード拡散層18に流出する。
また、アノード下地層22は、カソード下地層17と同様の成分で形成した層である。
さらに、アノード拡散層23は、カソード拡散層18と同様の成分で形成した層である。
電解質膜15のアノード側にアノード触媒層21を備えるとともに、カソード側にカソード触媒層16を備え、図3に示すようにカソード触媒層16にカソード下地層17を備え、カソード下地層17にカソード拡散層18を備え、カソード拡散層18に沿って酸素ガス流路24を設ける。
酸素ガス流路24は、理解を容易にするために、便宜上、蛇行させたものとして説明する。この酸素ガス流路24には、供給側24aから排出側24bに向けて酸素ガスが流れる。
また、保水剤48の割合を、第2成分表示部31で示すように、重力が作用する方向に向けて、すなわち電解質膜15の鉛直方向上側15aから下側15bに向けて漸次減少させる。
さらに、保水剤48の割合を、第3成分表示部32で示すように、酸素ガス流路24の供給側24aから排出側24bに向けて漸次減少させる。
なお、表1において、保水剤48の割合(wt%)は、電解質膜15内の固形分中の割合を示す。
電解質膜15内において、アノード触媒層21側からカソード触媒層16側に向けて水素イオン(H+)が移動する。
この水素イオン(H+)とともに生成水もアノード触媒層21側からカソード触媒層16側に向けて移動する。このため、電解質膜15内において、アノード触媒層21側の水分が減少して乾燥する傾向になる。
このように、アノード触媒層21側の水分が減少して乾燥すると、膜抵抗が増加し、発電性能が低下する虞がある。よって、アノード触媒層21側の含水率を確保して、発電性を良好に保つ必要がある。
このため、カソード触媒層16側の保水性を抑えて、カソード触媒層16に向けて生成水を効率よく導く必要がある。
そこで、保水剤48(図3参照)の割合を、アノード触媒層21側からカソード触媒層16側に向けて漸次減少させた。
さらに、第1成分表示部30のエリア30cにおいて、保水剤48の割合を0〜5.9wt%とし、エリア30bの割合より小さくした。
図1に示すように燃料電池10を使用する際には、通常、電解質膜15、カソード・アノード側の触媒層16,21、カソード・アノード側の下地層17,22およびカソード・アノード側の拡散層18,23が重力の作用する方向を向くように、一例として鉛直方向を向くように燃料電池10を配置する。
よって、第2成分表示部31のエリア31aにおいて、保水剤48(図3参照)の割合を11.4〜20wt%と大きくした。
そこで、保水剤48(図3参照)の割合を、電解質膜15の上側15aから下側15bに向けて漸次減少させた。
さらに、第2成分表示部31のエリア31cにおいて、保水剤48の割合を0〜9.8wt%とし、エリア31bの割合より小さくした。
カソード側の生成水の一部は、酸素ガス流路24中に蒸散し、酸素ガスと共に移動する。
この酸素ガスは、酸素ガス流路24の屈曲部24c,24cで酸素ガスが滞留しやすく、酸素ガス流路24の排出側24bにおいて酸素ガスの流量が減少しやすい。
よって、酸素ガス流路24の排出側24bに生成水が溜まりやすい。
そこで、保水剤48(図3参照)の割合を、酸素ガス流路24の供給側24aから排出側24bに向けて漸次減少させた。
さらに、第3成分表示部32のエリア32bにおいて、保水剤48の割合を9.8〜11.4wt%とし、エリア32aの割合より小さくした。
加えて、第3成分表示部32のエリア32cにおいて、保水剤48の割合を0〜9.8wt%とし、エリア32bの割合より小さくした。
図5は第1実施の形態の第1成分表示部に関する作用を説明する図である。
カソード拡散層18およびカソード下地層17を経てカソード触媒層16内に酸素(O2)が矢印cの如く進入する。
一方、アノード触媒層21内の反応で生成した水素イオン(H+)が電解質膜15を透過して、カソード触媒層16側に矢印dの如く進入する。
よって、水素イオン(H+)と酸素(O2)とが反応して、生成水が生成される。
そこで、電解質膜15内のアノード触媒層21側の部位、すなわち第1成分表示部30のエリア30aにおいて、保水性を高めるために、保水剤48(図3参照)の割合を14.9〜20wt%と大きくして、保水性を高めた。
よって、アノード触媒層21側の部位(エリア30a)において、水分を好適に確保して、発電性をより一層良好に保つことができる。
電解質膜15内の生成水を、カソード触媒層16に向けてeの如く効率よく逃がすことができる。
これにより、エリア30bおよびエリア30cの部位においても、好適な量の生成水を確保することができる。
電解質膜15内の生成水は、カソード触媒層16に矢印eの如く流出し、生成水の一部がカソード触媒層16内を矢印fの如く下降する。
よって、電解質膜15の上側15a近傍の部位、すなわち、第2成分表示部31のエリア31aにおいて、保水剤48(図3参照)の割合を11.4〜20wt%と大きくすることで、上側15a近傍の部位に生成水を溜めるようにした。
これにより、上側15a近傍(エリア31a)の部位において、好適な量の生成水を確保することができる。
このため、保水剤48(図3参照)の割合を、第2成分表示部31のエリア31bにおいて9.8〜11.4wt%、エリア31cにおいて0〜9.8wt%とした。すなわち、保水剤48の割合を、下側17bに向けて漸次減少させた。
これにより、エリア31bおよびエリア31cの部位においても、好適な量の生成水を確保することができる。
カソード側の生成水の一部は、酸素ガス流路24中に蒸散し、酸素ガスと共に移動する。
ここで、酸素ガス流路24の供給側24aにおいて、酸素ガスは比較的円滑に流れる。よって、酸素ガス流路24の供給側24aにおいては、生成水を排出側24bに向けて導くことができる。
これにより、酸素ガス流路24の供給側24a近傍の部位(エリア32a)において、好適な量の生成水を確保することができる。
そこで、保水剤48(図3参照)の割合を、第3成分表示部32のエリア32bにおいて9.8〜11.4wt%、エリア32cにおいて0〜9.8wt%とした。すなわち、保水剤48の割合を、酸素ガス流路24の排出側24b側に向けて漸次減少させた。
これにより、エリア32bおよびエリア32cの部位において、好適な量の生成水を確保することができる。
次に、第1実施の形態を具現化する一例を第2実施の形態で説明する。
以下、第2実施の形態の膜電極接合体12を図8〜図9および表2に基づいて説明する。
なお、表2において、保水剤48(図3参照)の割合(wt%)は、電解質膜15内の固形分中の割合を示す。
(a)において、電解質膜15を側面視で3行(Y1,Y2,Y3)、3列(X1,X2,X3)に仕き切るとともに、アノード触媒層21側からカソード触媒層16側に向けて、Z1領域、Z2領域、Z3領域の3領域に仕き切った状態を示す。これにより、電解質膜15を27個の部位に仕き切る。
なお、電解質膜15の各部位の区別するために、例えば「///」で示した部位を、(X1,Y1,Z3)とし、その他の部位も同様に表示する。
具体的には、Z1領域全体、すなわち部位(X1,Y1,Z1)〜部位(X3,Y3,Z1)の3の部位で、成分をAとした。
加えて、Z2領域は、酸素ガス流路24の供給側24aにおいて、生成水を排出側24bに向けて効率よく導く傾向にある。
そこで、酸素ガス流路24の供給側24aから排出側24bに向けて、保水剤48を漸次減少することで、Z2領域の水分をより一層好適な量だけ確保することにした。
部位(X2,Y2,Z2)、部位(X1,Y2,Z2)、部位(X1,Y3,Z2)および部位(X2,Y3,Z2)の4の部位で、成分をCとした。
部位(X3,Y3,Z2)の1の部位で、成分をDとした。
加えて、Z3領域は、酸素ガス流路24の供給側24aにおいて、生成水を排出側24bに向けて効率よく導く傾向にある。
そこで、酸素ガス流路24の供給側24aから排出側24bに向けて、保水剤48を漸次減少することで、Z3領域の水分をより一層好適な量だけ確保することにした。
部位(X3,Y1,Z3)および部位(X3,Y2,Z3)の2の部位で、成分をEとした。
部位(X2,Y2,Z3)および部位(X1,Y2,Z3)の2の部位で、成分をFとした。
部位(X1,Y3,Z3)および部位(X2,Y3,Z3)の2の部位で、成分をGとした。
部位(X3,Y3,Z3)の1の部位で、成分をHとした。
図9(a)〜(c)は第2実施の形態の電解質膜に含む保水剤の割合を示す第2説明図である。
(a)において、Y1領域は、すなわち電解質膜15の上部となる領域である。Y1領域のうち、Z1領域は、アノード触媒層21に接触する領域である。Z1領域の水分を好適に確保するために、Z1領域の保水剤48(図3参照)の割合を大きくすることにした。
また、Y1領域のうち、Z2領域およびZ3領域は、カソード触媒層16に向けて生成水を効率よく移動させることが好ましい。
そこで、保水剤48の割合をカソード触媒層16に向けて漸次減少することにした。
これにより、Y1領域の水分を好適な量だけ確保することにした。
部位(X1,Y1,Z2)、部位(X2,Y1,Z2)および部位(X3,Y1,Z2)の3の部位で、成分をBとした。
部位(X3,Y1,Z3)の1の部位で、成分をEとした。
また、Y2領域のうち、Z2領域およびZ3領域は、カソード触媒層16に向けて生成水を効率よく移動させることが好ましい。
そこで、保水剤48の割合をカソード触媒層16に向けて漸次減少することにした。
これにより、Y2領域の水分を好適な量だけ確保することにした。
部位(X1,Y2,Z2)および部位(X2,Y2,Z2)の2の部位で、成分をCとした。
部位(X1,Y2,Z3)および部位(X2,Y2,Z3)の2の部位で、成分をFとした。
部位(X3,Y2,Z3)の1の部位で、成分をEとした。
また、Y3領域のうち、Z2領域およびZ3領域は、カソード触媒層16に向けて生成水を効率よく移動させることが好ましい。
そこで、保水剤48の割合をカソード触媒層16に向けて漸次減少することにした。
これにより、Y3領域の水分を好適な量だけ確保することにした。
部位(X1,Y3,Z2)および部位(X2,Y3,Z2)の2の部位で、成分を全てCとした。
部位(X1,Y3,Z3)および部位(X2,Y3,Z3)の2の部位で、成分をGとした。
部位(X3,Y3,Z3)の1の部位で、成分をHとした。
よって、第2実施の形態の膜電極接合体12によれば、第1実施の形態と同様の効果を得ることができる。
Claims (2)
- 電解質膜のカソード側に、カソード触媒層、カソード下地層、カソード拡散層を積層し、かつ電解質膜のアノード側に、アノード触媒層、アノード下地層、アノード拡散層を積層し、前記カソード拡散層の外側に酸素ガス流路を設け、各々の層および電解質膜の各積層面を重力の作用する方向に沿わせて配置する燃料電池の膜電極接合体において、
前記電解質膜に保水剤を含み、保水剤の割合を、重力が作用する方向に向けて漸次減少させたことを特徴とする燃料電池の膜電極接合体。 - 前記保水剤の割合を、前記アノード触媒層側からカソード触媒層側に向けて漸次減少させ、および/または前記酸素ガス流路の供給側から排出側に向けて漸次減少させたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池の膜電極接合体。
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