JP4627296B2 - 発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法 - Google Patents
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Description
(2)エンドプロテアーゼ活性5.0〜7.5U/g−大麦のときには、総エンド活性中の耐熱性エンドプロテアーゼの比率を2.5%未満、望ましくは1.25%以下に低減する、若しくは耐熱性エンドプロテアーゼ無添加とし、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g−大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にする。
(3)耐熱性エンドプロテアーゼ活性を0.1U/g−大麦未満、望ましくは0.05U/g−大麦以下に低減し、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g−大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にする。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、80.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦以上である。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、80.0mU/g−大麦である。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が80.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が80.0mU/g−大麦以上である。
各種市販酵素剤をタンパク質原料に添加して糖化したところ、Aspergillus oryzae起源の「スミチームFP」(新日本化学工業社製)の遊離アミノ態窒素増強効果が最も高かった。しかし、麹菌由来の酵素は遊離アミノ態窒素を増強する一方で、麦汁濾過性を悪化させることがわかった。そこで、スミチームFP中のプロテアーゼを精製し、遊離アミノ態窒素増強因子および濾過性悪化因子を特定することとした。
スミチームFPをクロマト(DEAEおよびPhenyl、ハイドロキシアパタイト)によって精製し、エンドプロテアーゼ3種、エキソペプチダーゼ2種を得た。SDS-PAGEでのメインバンドをPVDF膜にブロッティングし、リジルエンドペプチダーゼ(LysC)で限定分解後、MALDI-TOF/MS(マルディ−トフマス)解析による分子種の特定を行った結果、エンドプロテアーゼ3種は、セリンタイプのアルカリプロテアーゼ(別名:オリツィン)、中性メタルプロテアーゼI、耐熱性が高くカゼインに対する反応性が低い中性メタルプロテアーゼII(別名:デューテロリシン)であった。便宜上それぞれエンドa、エンドb、エンドcと命名した(以降、エンドa、b、cと表記した場合は上記の分子種を指すこととする)。エキソ型2種は、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、X−プロリル−ジペプチジルアミノペプチダーゼ(DAP:別名DAPIV)であった。
エンドcはカゼインへの反応性が低く、特異的に反応する基質としては、Boc-Arg-Val-Arg-Arg-MCAやBoc-Leu-Lys-Arg-MCAなどが報告されている(日本農芸化学会誌, 大会講演要旨集, 50, 2001)が、粗酵素の状態ではLAPの混入によってエンドa及びbでも蛍光を発してしまう。そこで本発明者らは、エンドcの耐熱性を利用して、熱処理と阻害剤添加アッセイを組み合わせることにより、エンドa、b、cの特異的な検出法を開発した。この検出法により、粗酵素の状態でもエンドa、b、cの特異的な検出・定量が可能となった。
精製したエンドプロテアーゼおよびエキソペプチダーゼを用いて糖化したところ、エンド型もエキソ型も遊離アミノ態窒素増強因子であることを確認した。しかし、エキソ型は単独では遊離アミノ態窒素がほとんど増加せず、エンド型の添加によって遊離アミノ態窒素の増加が進行した。したがって、エンドとエキソの共存によって、遊離アミノ態窒素が増強することが明らかとなった。一方で、エンド型を増強すると濾過性が悪化することがわかった。その中でも、エンドcは遊離アミノ態窒素増強・濾過性悪化への寄与が大きく、耐熱性があるために糖化中の反応時間がエンドa、bに比べて長くなることが原因と考えられた。エンドcはカゼインに対する反応性が低く、アゾカゼイン法ではスミチームFP中エンド活性の5%程度であるが、遊離アミノ態窒素増強の50%程度の効果はエンドcに起因しており、見かけ上の活性以上にその影響が大きいことが明らかとなった。
エンド添加量を低減して糖化したところ、エンド活性5〜10U/g−大麦(アゾカゼイン分解活性)では、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素が増加するものの、濾過性が悪化した。これは特表2000−504571号公報の記載内容とは異なり、新規知見である。一方で、エンド活性を2.5U/g−大麦まで低減すると、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素の増強及び濾過性の改善が両立できることがわかった。
濾過性悪化には耐熱性のエンドcの寄与が大きいことから、エンドc添加量を低減して糖化したところ、エンド活性を5.0U/g−大麦(アゾカゼイン分解活性)とし、総エンド活性中の耐熱性エンド(エンドc)比率を2.5〜5.0%とした系では、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素が増加するものの、濾過性が悪化した。これは特表2000−504571号公報の記載内容とは異なり、新規知見である。一方で、エンドc比率を1.25%まで低減すると、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることがわかった。更に、エンドc無添加として糖化したところ、エンド活性を7.5U/g−大麦とし、エンドa:b:c=70:30:0で、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素の増強及び濾過性の改善が両立できることがわかった。
エンドプロテアーゼを低減する手法としては、熱処理による非耐熱性エンドの失活が考えられる。そこで、エンドプロテアーゼを耐熱性エンド(エンドc)のみにして糖化したところ、エンドc活性0.1U/g−大麦(アゾカゼイン分解活性)では、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素が増加するものの、濾過性が悪化することを確認した。これは特表2000−504571号公報の記載内容とは異なり、新規知見である。一方で、エンドc活性0.05U/g−大麦では、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることがわかった。本発明者らは、様々な酵素比率での糖化試験により、耐熱性エンド活性を0.1U/g−大麦未満、望ましくは0.05U/g−大麦以下に低減し、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g-大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にすることによって、遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることを見出した。
ビール、発泡酒中において、LTP(Lipid transfer protein)は起泡タンパク質であることが報告されている(J. Agric.Food Chem. Vol. 48,No.10, 5023-5029,2000)。そこで、エンド型の添加が起泡タンパク(LTP)に及ぼす影響を評価したところ、エンド型の添加によってLTPが分解されていることを確認した。したがって、エンド型は起泡タンパク低減因子であることが明らかとなった。その中でも、エンドa、cの添加によってLTPが分解されており、一方で、エキソ型及びエンドbの添加では、LTPはほとんど分解されなかったことから、起泡タンパク低減因子はエンドa及びエンドcであることが明らかとなった。特にエンドcの寄与は大きく、耐熱性があるために糖化中の反応時間がエンドa、bに比べて長くなることが原因と考えられた。
本発明において用いるアミノペプチダーゼとしては、ロイシンアミノペプチダーゼ、或いはそれに類するようなアミノ末端からアミノ酸を一つずつ遊離する活性を持つ酵素であれば、いずれの麹菌由来の酵素でもよい。ジペプチジルアミノペプチダーゼとしては、アミノ末端にX−プロリン配列を持つペプチドからX−プロリンを遊離する活性を持つ酵素、すなわちX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼであれば、いずれの麹菌由来の酵素でもよい。エンド型プロテアーゼとしては、耐熱性の低いものとして中性メタルプロテアーゼIやアルカリプロテアーゼ(別名オリツィン)などが挙げられる。耐熱性の高いものとしては中性メタルプロテアーゼII(別名デューテロリシン)などが挙げられる。耐熱性、至適pHや基質特異性など、酵素学的な性質の類似した酵素であれば、いずれの麹菌由来の酵素でもよい。
本発明における麹菌の各種プロテアーゼの分画物は下記に示すような、公知の方法によって得ることができる。例えば、麹菌の液体培養物を遠心分離、珪藻土濾過、或いは膜濾過等によって菌体除去し、濾液として粗酵素抽出物を得る事ができる。また固体培養物を常温の水、若しくは適当な緩衝液中に懸濁し、そのまま攪拌若しくは超音波処理、磨砕、フレンチプレス等により固形物を破砕し、遠心分離、珪藻土濾過、或いは膜濾過等によって残渣を除去し、濾液として粗酵素抽出物を得る事ができる。粗酵素抽出液は更に減圧濃縮、UF濃縮、凍結乾燥、或いはスプレードライによる乾燥などの方法によって濃縮する事ができる。
このようにして調製した精製酵素を本発明で示すような最適比率のプロテアーゼ組成に混合する事により、遊離アミノ態窒素量と麦汁濾過性および起泡タンパク量に優れた麦汁の調製に用いる事ができる。例えば本発明で指すエンドa、bは耐熱性が低く、かつロイシンアミノペプチダーゼ、X−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ、及びエンドcは耐熱性が高いことを見出したので、熱処理によってロイシンアミノペプチダーゼ、X-プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼなどのエキソ型は残し、エンド型としてはエンドcのみにしてエンド型を低減する事により、最適比率のプロテアーゼ組成を作る事もできる。
本発明においては、プロテアーゼ構成酵素の最適構成の調製を、該酵素を生産する微生物を用いて行うことができる。該微生物の取得には、NTG、EMS、BU、などの変異剤、UV処理、X線処理などにより突然変異を誘発し、目的酵素の生産性を増強させ、また、抑制する酵素の生産を阻害して、目的の最適比率のプロテアーゼ組成物を生産させるように育種した微生物を作出する。該微生物を用いて、公知の方法により液体培養、或いは、固体培養を行い、最適組成のプロテアーゼ組成物を調製し、遊離アミノ態窒素量と麦汁濾過性、及び起泡タンパク量に優れた麦汁の調製に用いることができる。又は、個々の酵素成分を特異的に高発現する様に育種した菌株を個別に培養し、最適比率のプロテアーゼ組成に混合して用いてもよい。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、1.2以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性が3.2×10−2以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、1.8以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性が1.6×10−2以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、0.6以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性が4.8×10−2以上である。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が80.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦以上である。
更に望ましくは上記条件におけるエキソペプチダーゼ含量が、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性がそれぞれ、以下のいずれかであればよい。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦でかつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が80.0mU/g−大麦である。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、0.4以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性1.1×10−2以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、0.6以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性5.5×10−3以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、0.2以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性1.65×10−2以上である。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が80.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦以上である。
更に望ましくは上記条件におけるエキソペプチダーゼ含量が、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性がそれぞれ、以下のいずれかであればよい。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、80.0mU/g−大麦である。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、80.0mU/
g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦以上である。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、80.0mU/g−大麦である。
得られた熱麦汁は沈殿槽に送られ、ここで煮沸時に形成した凝固物や粕などを沈殿させて除去し、清澄な麦汁を得る。得られた麦汁をプレートクーラーで6〜10℃までに冷却される。冷却された麦汁は発酵タンクに移され、これに酵母を加えて発酵を数日間行う。得られた発酵液を貯蔵タンクにて熟成を数週間行う。熟成を終了した段階で目的とする発泡酒が得られる。以上が発泡酒の製造の一般的な工程であるが、該工程は、ビール等麦芽を使用した通常の発酵麦芽飲料の製造工程と基本的に変わるものではない。
(各種市販酵素剤):各種酵素メーカー(ノボザイムス、天野エンザイム、新日本化学、ナガセケムテック、ヤクルト薬品工業、大和化成等)より各種プロテアーゼ製剤をサンプルとして入手した。
(麦汁濾過性測定):温調したクロマト管(直径26mm×長さ500mm)に醪を投入し、濾層を乱さないように濾液を循環させて麦層を形成させた後、清澄麦汁の濾過液量を測定し、濾過初速度を求め、麦汁の濾過性とした。
(スミチームFPの透析):スミチームFPを25mMトリスHCl(pH7.0)に30%(W/V)となるよう溶解し、50倍量の同緩衝液に対し、3時間×2回透析を行ない脱塩した。
(DEAEトヨパールクロマトグラフィー):トーソー社のDEAEトヨパールクロマトグラフィー650Mカラム(ファルマシア社BPGカラム φ10cm×20cm)を用いて定法に従いクロマトを行なった。緩衝液系は25mMトリスHCL(pH7.0)0M及び0.3M NaClを用いた。
(Phenylトヨパールクロマトグラフィー):トーソー社のPhenyl トヨパールクロマトグラフィー650Mカラム(ファルマシア社BPGカラム φ10cm×20cm)を用いて定法に従いクロマトを行なった。緩衝液系は25mMトリスHCl(pH7.0)0.75M及び0M 硫安を用いた。
(ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー):バイオラッド社のハイドロキシアパタイト充填剤CHT−IIをバイオスケールカラム(φ1×8cm)に充填したハイドロキシアパタイトカラムを用いて、イニシャル緩衝液(10mMリン酸K pH7.2)、溶出緩衝液(400mMリン酸Na pH6.8)にてリニアグラジェントによってクロマトを行った。
(ロイシン-アミノペプチダーゼ(LAP)活性測定):36mgのL-Leucine-p-nitiroanilideHClを2.5mlのDMSOに溶解したのち、50mM 燐酸緩衝液(pH7.0)にて100mlにメスアップした。酵素はMQ水にて適宜希釈する。基質溶液80μl、酵素希釈液20μlを氷上で冷却しておいたエッペンドルフチューブに入れ、フタをして攪拌した後、40℃、5分間反応を行なう。反応は1.5M酢酸溶液200μlを添加して攪拌する事により停止する。そのうちの200μlをマイクロプレートに移し、マイクロプレートリーダーにて405nmの吸光度を測定する。p-nitroanilineで作成した検量線をもとに酵素活性を計算する。酵素活性は1分間に1μmolのp-nitroanilineを遊離する酵素量を1Unitと定義する。
スミチームFPの精製フローを図3に示す。精製の結果、スミチームFPよりエンドプロテアーゼ3種、エキソペプチダーゼ2種を得た。エンドプロテアーゼ3種は、便宜上それぞれエンドa、エンドb、エンドcと命名した。エキソ型2種は、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、X−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)であった。それぞれ、精製した酵素は電気泳動でシングルバンド、もしくはメインバンドレベルまで精製されていた。各種精製酵素画分の共雑酵素活性は表1(各種精製プロテアーゼの活性)に示す通りである。
各種精製酵素の耐熱性を評価した結果を図4(各種プロテアーゼの耐熱性評価)に示す。この結果からわかるように、エンドa、bは60℃でほとんど失活するのに対し、エンドcはほとんど失活せず、70℃で失活、更に温度を上げると逆に100℃で活性が部分的に回復していた。すなわちエンドcはエンドa、bよりも耐熱性が高かった。また、DAPも60℃でほとんど活性を保持していた。LAPはさらに耐熱性が高く、65℃でもほとんど活性を保持していた。
そこで本発明者らは、エンドcの耐熱性を利用して、熱処理と阻害剤添加アッセイを組み合わせることにより、エンドa、b、cの特異的な検出法を開発した。熱処理は60℃ 20min、阻害剤にはエンドaのインヒビターとしてPMSFを、エンドb、cのインヒビターとしてEDTAを用いる。この検出法により、粗酵素の状態でもエンドa、b、cの特異的な検出が可能となった。エンドa、b、cそれぞれの活性は以下の計算式によって算出できる。
(計算式):
エンドa活性=(通常の活性)−(PMSF添加時の活性)
エンドb活性=(通常の活性)−(EDTA添加時の活性)−(熱処理後の活性)
エンドc活性=(熱処理後の活性)
上記の検出法により、Aspergillus oryzae起源の市販プロテアーゼ製剤のエンド比率を測定した結果を図10に示す。その結果、スミチームFPの全体のエンド活性(アゾカゼイン分解活性)に対する各エンドの比率は、a:b:c=50:45:5であった。スミチームFP中に含まれる活性は、LAP活性1500U/g、DAP活性4.0U/g、エンド活性は10340U/gであり、エンド活性のうち、エンドa、b、cはそれぞれ5190U/g、4590U/g、560U/gであった。また、Aspergillus oryzae起源の市販プロテアーゼ製剤の中で、エンドcを含まないものはない事がわかった。なお、スミチームFPの総エンドプロテアーゼ活性をカゼインフォーリン法(Biosci. Biotech. Biochem., Vol.61, No.4, 710-715,1997、に記載の方法を基本として、反応条件をpH6.0、温度37℃に改変)で測定した場合の活性は、43000U/gであった。
遊離アミノ態窒素増強因子と濾過性悪化因子を特定するために、実施例2で精製した酵素を用いて実施例1と同様の条件で糖化試験を行った。糖化終了後、実施例1と同様の方法で麦汁濾過性及び遊離アミノ態窒素量を測定した。精製したエンドプロテアーゼ及びエキソペプチダーゼを用いた糖化試験の結果を図11(各種エンドプロテアーゼ添加による遊離アミノ態窒素増強及び濾過性悪化効果)に示す。この結果からわかるように、エンド型もエキソ型もアミノ態窒素増強因子であることを確認した。ただし、エキソ型は単独ではアミノ態窒素がほとんど増加せず、エンド型の添加によって遊離アミノ態窒素の増加が進行した。これは、エンドとエキソの共存によって、遊離アミノ態窒素が増強することを示している。
実施例3により、エンドプロテアーゼが濾過性悪化因子であることがわかったため、エンド添加量を低減し、エキソ添加量を増強した際の効果について検討を行った。実施例2で精製した酵素を用いて実施例1と同様の条件で糖化試験を行い、遊離アミノ態窒素量および麦汁濾過性については実施例1と同様の方法で測定した。
実施例3より、エンドプロテアーゼの中でも、耐熱性エンド(エンドc)の寄与が大きかったことから、耐熱性エンド添加量を低減し、エキソ添加量を増強した際の効果について検討を行った。実施例2で精製した酵素を用いて実施例1と同様の条件で糖化試験を行い、遊離アミノ態窒素量および麦汁濾過性については実施例1と同様の方法で測定した。
エンドプロテアーゼを低減する手法としては、熱処理による非耐熱性エンドの失活が考えられる。そこで、エンドプロテアーゼを耐熱性エンド(エンドc)のみにし、エキソ添加量を増強した際の効果について検討を行った。実施例2で精製した酵素を用いて実施例1と同様の条件で糖化試験を行い、遊離アミノ態窒素量および麦汁濾過性については実施例1と同様の方法で測定した。
麦汁中の起泡タンパク(LTP)は、SDS−PAGE上のバンドでは9kDa付近に位置する。麦汁をグラジェンドゲル(第一化学社製、PAGミニ「第一」15/25)によってSDS−PAGEし、9kDa付近に確認されたバンドをPVDF膜にブロッティングし、リジルエンドペプチダーゼ(Lys C)で限定分解後、MALDI-TOF/MS(マルディ−トフマス)解析により分子量を測定し、ペプチドマスフィンガープリント法によって分子種の特定を行った。その結果、このバンドが大麦由来のLTP1(Lipid transfer protein1)である事が確認された。麦汁は、SDS−PAGE後にゲルを固定化し、サイプロルビー法(インビトロジェン社)により染色し、分子量9kDaのLTP1のバンドをフルオロイメージャーによって定量した。なお、タンパク定量の標準液としてBSAを用いた。
エンドプロテアーゼを低減する手法としては、熱処理による非耐熱性エンドの失活が考えられる。そこで、市販酵素剤スミチームFPをMQ水に溶解したものを熱処理した際の酵素活性について検討を実施した。熱処理は60℃20分の条件で行った。スミチームFP熱処理試験の結果を図24に示す。この結果からわかるように、熱処理によってエンドa、bは完全に失活し、エンドc、LAP、DAPの活性は維持されていた。
Claims (4)
- 麦汁の製造に用いられるプロテアーゼとして、低減化した量のエンドプロテアーゼと増加した量のエキソペプチダーゼからなるプロテアーゼを用い、麦汁中の遊離アミノ酸の増強と起泡性タンパク質の保持、及び、麦汁の濾過性の保持とを図った発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造において、プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が2.5U/g−大麦以下に低減された量であるか、又は、プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が5.0〜7.5U/g−大麦のときに、耐熱性エンドプロテアーゼ活性の全体のエンド活性に対する比率が1.25%以下に低減された量であり、かつ、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかとなるように増加した量であることを特徴とする発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、80.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦以上である。 - プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が2.5U/g−大麦以下に低減された量であるか、又は、プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が5.0〜7.5U/g−大麦のときに、耐熱性エンドプロテアーゼ活性の全体のエンド活性に対する比率が1.25%以下に低減された量であり、かつ、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、80.0mU/g−大麦である。 - プロテアーゼのエンドプロテアーゼを耐熱性エンドプロテアーゼのみとし、耐熱性エンドプロテアーゼ含量を0.05U/g−大麦以下とし、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかとなるように増加した量であることを特徴とする請求項2記載の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が80.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である。 - 耐熱性エンドプロテアーゼ含量を0.05U/g−大麦以下とし、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかであることを特徴とする請求項3記載の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が80.0mU/g−大麦以上である。
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