JP4627128B2 - ケーブル断線の有無試験装置およびケーブル断線の有無試験方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉出力の監視用として有効なケーブル断線の有無試験装置およびケーブル断線の有無試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力発電プラントにおいては、安定して均一な原子炉出力を得るために多数の中性子検出器が配置され、原子炉の運転状態が監視され、制御されている。即ち、110万クラスのBWR型原子炉心内には、約200個程度の中性子検出器が配置されて、均一な中性子束分布を得るための監視、制御が行なわれている。
【0003】
この監視システムは図11に示めされているように、各中性子検出器31出力がケーブル32により配線されて、原子炉外の放射線の非存在領域の制御室に設置された中性子出力測定回路33に接続されている。中性子出力測定回路33は中性子検出器31の検出信号を出力する。ケーブル32は原子炉の出口位置でケーブル35とケーブル36をコネクタ34で接続されている。これは原子炉内温度が約300℃程度の高温度であるため、コネクタ34と中性子検出器31間は、特殊な耐熱性の同軸ケーブル(MIケーブル)製出力ケーブル35により接続されていることによる。即ち、中性子検出器31の原子炉格納容器内に位置する出力ケーブル35は耐熱対策されている。コネクタ34より中性子測定装置33側ケーブルは、常温用の同軸ケーブル36が接続されている。
【0004】
しかし、上記各中性子検出器31と出力ケーブル35は、放射線の積算照射量によって特性が劣化し、断線、接続不良などが発生する。このため200個の中性子検出器31については、安定した原子炉出力を得るために1個づつ1回/月程度の頻度で中性子検出器31および周辺回路の健全性の確認試験を長時間かけて実施している。この確認試験は図12に示すように200個の中性子検出器31について各同軸ケーブル36に中性子検出器試験器37を接続して行なっている。
【0005】
この確認試験項目はプラトー特性、ブレークダウン電圧(VBD)、中性子検出部とケーブル接続の状態などの試験を実施している。プラトー特性、VBDは、中性子検出器試験器37により試験し、各中性子検出器31と各ケーブル35、36の接続状態は、専用のケーブルの断線有無用試験器を夫々接続して試験している。
【0006】
これら断線有無の試験は、原子炉の運転が停止する定期点検中に1本づつ全数実施している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、原子炉の定期点検時には、出力ケーブル35単体の健全性確認、原子炉本体の付帯作業などのためにコネクタ34の接続を一時的にリフトする必要がある。原子炉本体の付帯作業終了後コネクタ34の再接続を行うが、コネクタ34接続状態の確認は、目視、外観チェックのみであり電気的に完全に接続されているかの確認が出来なかった。このため、原子炉起動後、中性子信号に異常がある場合、中性子検出器31が異常なのか、コネクタ34の接続部が異常なのか判断が出来なかった。
【0008】
さらに、原子炉定期点検時リフトされたコネクタ34は、作業員が復旧させるが、この復旧確認は作業員の判断、目視点検のみであり、中性子検出器31が多数あること、作業性が悪いこと、復旧後外力が加わる可能性があることなどから、不完全接続となっている場合があり、電気的な確認技術が要求されていた。
【0009】
また、ケーブルの断線有無専用の試験器による試験は、各中性子検出器31と各ケーブル35の接続に断線や不良が発生するとリーク電流が電圧の上昇に比例して増加し、波形による良、不良の判定がしにくかった。さらに、この試験方法は断線や不良個所が発生すると、その場所から反射信号が発生し、反射信号の受信時間で断線位置を判断している。この試験方法は断線や不良個所以外に信号伝送系の特性インピーダンスの変化による反射もあり、そのため反射信号を受信すると断線と判断してしまい、メンテナンスすると、断線は発生してない場合があり、試験方法に課題があった。
【0010】
この課題について詳査した結果、この判定ミスは、ケーブル35に断線が無くても、ケーブル35に曲がっている部分があると、その曲折個所から反射信号が発生し、断線時の反射信号と区別がつかず誤判定することがわかった。上述したように、中性子検出器31とケーブル35とが問題なく接続されているかの試験については、信頼性の高い試験の開発が求められていた。
【0011】
本発明は、かかる従来の問題を解決すべくなされたもので、中性子検出器とケーブルの断線有無の試験について信頼性の高い試験ができるケーブル断線の有無試験装置およびケーブル断線の有無試験方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は原子炉の出力を監視するための中性子検出器が原子炉運転中の中性子検出感度より桁違いに低感度を原子炉運転停止時のγ線に対して有すること、中性子検出器がγ線を検出したときの中性子検出器への電圧―電流特性は飽和特性(プラトー特性)を示すこと、断線時の中性子検出器の電圧―電流特性は印加電圧の上昇に応じてリーク電流が増加することなどの特徴に基づくものである。
【0013】
そして、この発明は中性子検出器により原子炉運転停止中のγ線の検出を行ない断線の有無試験をすることである。断線の有無試験は中性子検出器の原子炉内に位置する接続線(ケーブル、コネクタ)の接続状態を確認することである。
【0015】
すなわち、請求項1のケーブル断線の有無試験装置は、原子炉内に設置される中性子検出器の出力ケーブルの断線の有無を試験するケーブル断線の有無試験装置において、前記原子炉から発生する中性子を測定する中性子測定装置と、中性子信号増幅器に接続された中性子プラトー特性測定回路を備えた中性子検出器試験装置と、γ線検出信号増幅器に接続されたケーブル接続判定回路を備えたケーブル断線有無試験装置と、一端が前記出力ケーブルに接続され、他端は、前記原子炉運転時に前記中性子検出器試験装置に接続され、前記原子炉停止時に前記ケーブル断線有無試験装置に接続される選択回路とを具備し、前記ケーブル接続判定回路は、前記選択回路が前記出力ケーブル断線有無試験装置を選択し、かつ、前記中性子検出器に直流電圧を印加することにより、前記γ線信号増幅器の出力電流波形にプラトー特性波形が存在するときに前記出力ケーブルが正常に接続されていると判定し、前記プラトー特性波形が存在しないときに前記出力ケーブルが正常に接続されていないと判定することにより前記出力ケーブルの断線を試験することを特徴とする。
【0016】
請求項2のケーブル断線の有無試験方法は、原子炉内に設置される中性子検出器の出力ケーブルの断線の有無を試験するケーブル断線の有無試験方法において、原子炉運転時において、前記中性子検出器からの出力信号を測定するとともに、中性子検出器の試験を行う中性子検出器試験工程と、原子炉停止時において、前記中性子検出器に直流電圧を印加することにより、γ線信号増幅器の出力電流波形にプラトー特性波形が存在するときに前記出力ケーブルが正常に接続されていると判定し、前記プラトー特性波形が存在しないときに前記出力ケーブルが正常に接続されていないと判定することにより前記出力ケーブルの断線の有無を判定する断線有無判定工程と、前記中性子検出器試験工程と前記断線有無判定工程とのいずれか一方を選択回路によって選択する選択工程とを具備することを特徴とする。
【0017】
請求項1、2の発明によれば、中性子検出器の出力ケーブルの断線の有無について信頼性の高い試験ができる。
【0019】
また、本発明によれば、特にプラトー特性の有無で中性子検出器とケーブルの断線有無の判定ができるので信頼性の高い試験ができる。
【0025】
また、本発明によれば、比較的感度の低いγ線を検出したときを断線無しと判断するため信頼性の高いケーブルの断線の有無を検出することができる。特に、信頼性を要求される原子炉出力の制御系に利用することは、好適である。
【0028】
断線試験されるケーブルは、中性子検出器の出力端子からγ線検出信号増幅器の入力回路までの中性子検出器の出力回路であり、この回路に接続されるコネクタ、スイッチなどの回路部品の接続された回路も含むものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明のケーブル断線の有無試験装置およびケーブル断線の有無試験方法の実施形態を図1を参照して説明する。図8、9と同一部分については同一符号を付与して詳細な説明を省略する。図1は原子炉の出力を監視するために原子炉1に配置されている約200本の中性子検出器31のうち1本の中性子検出器31についての中性子検出系2を示したシステム構成図である。したがって、他の中性子検出系2についても同様な構成であるからその説明は省略する。
【0030】
この中性子検出系2は中性子を主として検出するセンサ(中性子検出器31)であるため、原子炉運転中の中性子の検出量がmAのオーダであり、原子炉の運転を停止したときのγ線の検出量がμAのオーダである。この中性子検出系2は中性子検出器31に出力ケーブル35、コネクタ34、同軸ケーブル36および中性子測定装置33などが直列接続された回路である。中性子測定装置33は原子炉出力を中性子量に換算して、原子炉の運転状態を監視するための装置である。
【0031】
中性子検出器31の出力には、さらに中性子検出器31および関連回路の検出特性の変化を測定するために中性子検出器の試験器37とケーブル断線の有無試験装置3が接続されている。中性子検出器の試験器37とケーブル断線の有無試験装置3は、中性子検出器31出力が選択回路4により切換えて使用できるように接続されている。選択回路4は原子炉運転時に中性子検出器の試験器37を選択し、原子炉運転停止時にケーブル断線の有無試験装置3を選択する。
【0032】
中性子検出器の試験器37はmAオーダの中性子検出器31出力信号を増幅するために中性子信号増幅器5が接続され、この中性子信号増幅器5の出力回路に中性子プラトー特性測定回路6が接続されて構成されている。中性子検出器の試験器37は中性子信号増幅器5で増幅した中性子信号を中性子プラトー特性測定回路6に供給して、プラトー特性、ブレークダウン電圧(VBD)などの測定を行ない中性子検出器31の健全性を確認する。中性子信号増幅器5は原子炉運転中に中性子検出器31が出力するmAオーダの中性子信号を増幅する回路である。
【0033】
ケーブル断線の有無試験装置3は、中性子検出器31の出力ケーブル35、コネクタ34の接続状態を電気的に試験し断線の有無を確認する。即ち、断線の有無試験は中性子検出器31の原子炉格納容器内に位置する出力ケーブル35との接続点の接続状態を確認することである。
【0034】
中性子検出器31の出力ケーブル35、コネクタ34、同軸ケーブル36の接続状態は、原子炉に発生しているγ線量を中性子検出器31により検出し、この検出信号の特徴から断線の有無が確認される。ケーブル断線の有無試験装置3の構成は、中性子検出器31出力に選択回路4を介してγ線信号増幅器7、ケーブル接続判定回路8が直列接続されたものである。中性子検出器31が検出するγ線検出電流は、原子炉が運転停止中のγ線量であり、微少電流で例えばμAオーダの検出量である。γ線信号増幅器7はμAオーダのγ線検出信号電流を増幅する回路である。
【0035】
ケーブル接続判定回路8はγ線信号増幅器7出力信号の波形からケーブル35、コネクタ34の接続状態を確認する。出力ケーブル35の接続状態を確認する波形は、中性子検出器31の電極間に印加する直流電圧を順次高電圧にしたとき(ランプ状直流電圧にしたとき)の図2に示す電流特性曲線にプラト−特性Pを有するか、否かで判定する。プラト−特性P有りは正常な接続状態であり、プラト−特性無しは断線状態を示している。
【0036】
図2において、曲線―aは断線が無く正常な接続状態の波形である。即ち、γ線信号増幅器7出力には、中性子検出器31が検出したγ線量の検出値が出力されている。この特性曲線は図3に示す中性子検出部31の電極10、12間に印加する直流電圧13を順次高電圧に変化させたとき(ランプ状直流電圧にしたとき)、電極10、12間に流れる電流値をプロットした図であり、初期期間増加し、γ線放射量を検出すると飽和特性(プラトー特性)を示す。
【0037】
曲線―bは出力ケーブル35、コネクタ34、同軸ケーブル36の何れかに回路的に断線がある場合の波形である。中性子検出器31の電極10、12間に印加する直流電圧を順次高電圧に変化させたとき(ランプ状直流電圧にしたとき)、比例してリーク電流が増加する抵抗特性を示している。即ち、中性子検出器31とγ線信号増幅器7間の回路が断線しているため、γ線信号増幅器7の入力回路に流れるリーク電流が出力される。このように断線の有無は、γ線の検出電流波形から判定することができる。断線とはケーブル35、同軸ケーブル36が断線している場合か、コネクタ34の結合状態が不完全な場合である。
【0038】
ケーブル接続判定回路8はγ線信号増幅器7の出力信号がプラト−特性か抵抗特性かを判定するロジック回路である。中性子検出器31の電極間に印加する直流電圧を順次高電圧にする具体例としては、約10秒間に直流電圧0Vから1000Vに上昇させたとき(ランプ状直流電圧にしたとき)の中性子検出器31の出力電流は次の通りである。正常接続のときは、γ線検出電流値が約0.6μAであり、断線のときリーク電流は、1000V時約0.2μA程度まで直線的に増加する。
【0039】
上記した中性子検出器31の構成例は、図3に示すもので高温、高圧、高放射線に長期間耐え得る小形のものである。金属製の気密容器10からなり、この金属容器10の一端側に絶縁体のステム11を形成し、このステム11を気密に貫通して棒状電極12を取付け、気密容器10内に不活性ガス例えばArガスを封入したものである。この中性子検出器31の気密容器(電極)10と棒状電極12間には直流電圧を0Vから1000Vまで変化させる(ランプ状直流電圧にする)ことができる直流電源13が接続されている。直流電圧0Vから1000Vの電圧(ランプ状直流電圧)を中性子検出器31に印加することにより、中性子およびγ線が発生していると、電流が変化し放射線量として検出することができる。
【0040】
その他、中性子検出器31としては、BF3比例計数管、10B比例計数管、核分裂計数管などがある。原子炉内の温度は軽水炉および重水炉の場合約300℃であり、ナトリウム冷却高速炉の場合500〜650℃である。
【0041】
μAオーダのγ線検出電流を増幅するγ線信号増幅器7の構成例は、図4に示すもので演算増幅器15の増幅出力信号の一部を帰還抵抗器16を介して演算増幅器15の入力に帰還した増幅器である。
【0042】
γ線検出信号から断線の有無を判定するケーブル接続判定回路8の構成例は、図5に示すソフトロジックで判定する。すなわち、γ線信号増幅器7出力のγ線検出電流波形17から平坦特性部分有無の判定18を行なう。平坦特性有りの場合は、断線がなく正常な接続状態19を示す。無しの場合は断線又はコネクタ35の接触不良の状態20を示す。
【0043】
このような判定は、正常接続状態と断線接続状態と大きく異なる波形により判定するため信頼性の高い、誤りの少ない判定を行なうことができる特徴を有する。この判定結果は図2の特性曲線図をモニタ上に表示することができるし、印刷して出力することもできる。さらに判定結果は、パソコンなどのメモリに各中性子検出部31の番地、判定年月日と伴に記憶することができる。
【0044】
次に、図1の回路により断線接続状態と判定したとき、ケーブル35とコネクタ34の絶縁抵抗を測定することができる。この実施形態を図6を参照して説明する。図1〜5、8、9と同一部分には、同一符号を付与し、その詳細な説明を省略する。γ線信号増幅器7の出力を分岐してケーブル絶縁抵抗測定回路22を接続する。γ線信号増幅器7の出力には図2の曲線―bに示すような電流―電圧が発生する。従って、ケーブル絶縁抵抗測定回路22は、同軸ケーブル35、36、コネクタ34の絶縁抵抗を求めることができる。すなわち、ケーブル32の絶縁抵抗をR、印加電圧をV、信号電流をIとすると、断線と判定したときの絶縁抵抗Rは次式
R=V/I
から求めることができる。この絶縁抵抗Rは図2曲線―bの傾斜に相当する。
【0045】
次に、中性子検出器試験器37およびケーブル断線の有無試験装置3を一つの回路で構成した実施形態を図7を参照して説明する。この実施形態は図1の中性子信号増幅器5とγ線信号増幅器7を一つのワイドレンジ増幅器24により増幅する例である。ワイドレンジ増幅器24は中性子検出信号がmAオーダであり、γ線検出信号がμAのオーダであるから約3桁のワイドレンジの入力信号を増幅する機能を有する。
【0046】
さらに、中性子プラトー特性測定回路6とケーブル接続判定回路8の回路は、測定判定回路25により構成する。この測定判定回路25には、原子炉運転中で中性子検出器31の特性劣化の有無を確認するために、プラトー特性、VBDを測定する回路が設けられている。さらに、測定判定回路25には原子炉停止中で定期点検時出力ケーブル35、同軸ケーブル36の断線の有無、コネクタ34の接触不良の有無を検出する回路が組み込まれている。このように構成することにより測定装置を単一化でき、選択回路4による切換え操作も不要となる。
【0047】
安定した原子炉出力を得るには、放射線に照射されて感度などが劣化する中性子検出器31の特性を定期的に確認することが必要である。次に、この確認法の実施例を図8乃至図10を参照して説明する。
【0048】
図8の実施例は中性子検出器31の出力ケーブル35に接続されるコネクタ34より外側の同軸ケーブル36に、中性子測定装置33、中性子検出器の試験器37、ケーブル断線の有無試験装置3などの3回路を選択する選択回路4を接続した例である。すなわち、原子炉運転中は、中性子測定装置33を選択して中性子検出器31の計測した中性子検出量から原子炉の制御をする。
【0049】
長期間放射線に晒された中性子検出器31は、特性が劣化するため定期的に確認する必要がある。この中性子検出器31の特性確認は、原子炉の運転状態で中性子検出器の試験器37を選択して測定する。測定終了後は、直ちに中性子測定装置33の選択に戻して原子炉の制御をする。
【0050】
さらに、原子炉を停止させた定期点検時に選択回路4は、ケーブル断線の有無試験装置3を選択して中性子検出器31の出力ケーブル35、同軸ケーブル36、コネクタ34の接続状態を上記した要領により確認する。
【0051】
図8は1系統の中性子検出系2について示したもので、総ての中性子検出系2について同様な回路構成にする。したがって、総ての中性子検出系2の選択回路4は、連動して切換え制御されるように構成する。
【0052】
また、中性子測定装置33と中性子検出器の試験器37は、原子炉の運転中に動作させて、測定や試験するため図9に示すように、共通接続して選択回路4に接続してもよい。この場合、多数の中性子検出系2の選択回路4を連動して自動的に切換え制御する場合、この制御回路が簡易化される効果がある。
【0053】
図8、9の実施例は、中性子検出器の試験器37、ケーブル断線の有無試験装置3を各中性子検出系2に回路接続して、自動制御化した例について説明したが、技術者が手作業で接続、切換え操作してもよい。この手作業の実施例は、図10に示めされている。
【0054】
即ち、中性子検出器の試験器37および/又はケーブル断線の有無試験装置3は単独の装置として1台又は複数台設備する。作業者は多数の中性子検出系2について1系統づつ順次手作業により接続して中性子検出器31の試験やケーブル断線の有無の確認をすることができる。この場合、設備費が安価となる効果がある。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、中性子検出器と出力ケーブル断線の有無の試験について信頼性の高い試験を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための回路構成図。
【図2】図1の中性子検出器によるγ線検出波形を説明するための電圧に対する電流特性曲線図。
【図3】図1の中性子検出器の実施例を説明するための図。
【図4】図1のγ線信号増幅器実施例を説明するための回路配線図。
【図5】図1のケーブル接続判定回路の実施例を説明するためのフローチャート。
【図6】図1の他の実施形態を説明するための回路構成図。
【図7】図6の他の実施形態を説明するための回路構成図。
【図8】図1の中性子検出器試験の具体的実施例を説明するための回路構成図。
【図9】図8の他の実施例を説明するための回路構成図。
【図10】図8の他の実施例を説明するための回路構成図。
【図11】従来の原子炉における中性子測定系を説明するための回路構成図。
【図12】従来の中性子検出器試験機を説明するための回路構成図。
【符号の説明】
1…原子炉、2…中性子検出系、3…ケーブル断線の有無試験装置、4…選択回路、5…中性子信号増幅器、6…プラトー特性測定回路、7…γ線信号増幅器、8…ケーブル接続判定回路、10、12…電極、11…ステム、13…直流電源、15…演算増幅器、16…帰還抵抗器、17…γ線検出電流波形、18…平坦特性部分の有無判定、19…正常な接続状態、22…ケーブル絶縁抵抗測定回路、24…ワイドレンジ増幅器、25…測定判定回路、31…中性子検出器、32…ケーブル、33…中性子測定装置、34…コネクタ、35…出力ケーブル、36…同軸ケーブル。
Claims (2)
- 原子炉内に設置される中性子検出器の出力ケーブルの断線の有無を試験するケーブル断線の有無試験装置において、
前記原子炉から発生する中性子を測定する中性子測定装置と、
中性子信号増幅器に接続された中性子プラトー特性測定回路を備えた中性子検出器試験装置と、
γ線検出信号増幅器に接続されたケーブル接続判定回路を備えたケーブル断線有無試験装置と、
一端が前記出力ケーブルに接続され、他端は、前記原子炉運転時に前記中性子検出器試験装置に接続され、前記原子炉停止時に前記ケーブル断線有無試験装置に接続される選択回路とを具備し、
前記ケーブル接続判定回路は、前記選択回路が前記出力ケーブル断線有無試験装置を選択し、かつ、前記中性子検出器に直流電圧を印加することにより、前記γ線信号増幅器の出力電流波形にプラトー特性波形が存在するときに前記出力ケーブルが正常に接続されていると判定し、前記プラトー特性波形が存在しないときに前記出力ケーブルが正常に接続されていないと判定することにより前記出力ケーブルの断線を試験することを特徴とするケーブル断線の有無試験装置。 - 原子炉内に設置される中性子検出器の出力ケーブルの断線の有無を試験するケーブル断線の有無試験方法において、
原子炉運転時において、前記中性子検出器からの出力信号を測定するとともに、中性子検出器の試験を行う中性子検出器試験工程と、
原子炉停止時において、前記中性子検出器に直流電圧を印加することにより、γ線信号増幅器の出力電流波形にプラトー特性波形が存在するときに前記出力ケーブルが正常に接続されていると判定し、前記プラトー特性波形が存在しないときに前記出力ケーブルが正常に接続されていないと判定することにより前記出力ケーブルの断線の有無を判定する断線有無判定工程と、
前記中性子検出器試験工程と前記断線有無判定工程とのいずれか一方を選択回路によって選択する選択工程とを具備することを特徴とするケーブル断線の有無試験方法。
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