JP4626862B2 - 棒状化粧品の収納容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、口紅やリップクリーム、その他の棒状化粧品を収納する容器に係わり、更に詳しくは、棒状形成した種々の化粧品を使用する際に、筒状壁部を回動させることにより化粧料を出し入れすることが可能な円筒状をした容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から用いられている口紅等の棒状に形成された化粧料を収容した容器としては、内部に螺旋溝を形成した袴筒内に、軸線方向の案内スリットを形成した内筒を回転可能に係合して設けて、円筒体の外側面に前記案内スリットに貫いて螺旋溝に係合する係合突起を形成した棒状の化粧料を保持する受け筒体を前記内筒内に上下動可能に設けて、前記袴筒又は内筒を回動させることにより化粧料を出し入れするようにしたものが一般的である。
【0003】
そして、上記のような出し入れ形式をした棒状化粧品容器は、大別すると以下のような2種類の構造をしたものが多用されている。
即ち、図6に見るように、円筒体2の内周面に回動用の螺旋溝を備えた袴筒1内に、底部を袴筒外に突出した回動操作部5Aを有する円筒周壁に軸方向の二条のガイド孔5Cを形成した内筒5Bを回動可能に装着すると共に、該内筒内に円筒体の側面に係合突起3Bを設けた化粧料を保持するホルダー3Aを前記ガイド孔を貫いて上下動可能に前記螺旋溝に係合せしめて化粧品容器を構成して、該容器の袴筒部を片手で把持して、他方の指先で底部に突出する前記回動操作部5Aを回動させて出し入れする構造をした棒状化粧品容器。(実公昭60−41846号、特開平8−70931号等参照)
【0004】
また、図7に見るように、上部に中具5を備えた袴筒1内に螺旋筒2を嵌合固定し、円筒側面に縦方向の二条のガイド孔4bを底部開口端に達するように設けた内筒4を前記螺旋筒2内に嵌合すると共に、該内筒内に化粧料を収容した受け筒体3の外側に設けた係合突起3bを前記ガイド孔4bに貫通して螺旋溝に係合して、前記受け筒体を上下動可能に保持して化粧品容器を構成して、該容器の内筒の先端部分を片手に把持して、袴筒部を指先で回動させて出し入れする構造をした棒状化粧品容器。(実開平3−119320号、実開平5−70411号等参照)
【0005】
上記の図6に示すように、容器の底部に突出した回動操作部を回動させて化粧料を出し入れする構造をした棒状化粧品容器に於いては、構造が複雑になり、加工及び組み立てが面倒であると共に、費用が高くなる。
上記の図7に示すように、容器の袴筒部を回動させて化粧料を出し入れする構造をした棒状化粧品容器に於いては、構造は簡単になるが、組立て時の内筒と受け筒及び螺旋溝との位置合わせを正確に行うことが必要となり、人手に頼らざるを得ない部分もあって、組み立ての自動化が困難であった。
【0006】
そこで、袴筒部を回動させる形式の棒状化粧品容器に於いて、容器の組み立てを自動化したものとして、実開平7−275031号公報に記載するような考案が提案されているが、これは組み立て時に位置合わせが必要な保持筒、案内筒、及び螺旋筒等に、組み立て治具に係合させるための切り欠きや係合凹部をそれぞれ設けておいて、周方向の位置を一致させるようにしたものであるから、専用の治具を必要とし、また、それに合わせた部品の加工が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
容器の袴筒部を回動させて化粧料を出し入れする構造をした棒状化粧品容器に於いて、案内筒や螺旋筒等に特別な切り欠きや係合凹部を設けたり、専用の組み立て治具を必要とせずに、円筒側面に縦方向のガイド孔を設けた案内筒内に、化粧料を収容した受け筒体を正しい位置に容易に装着することができると共に、該受け筒体を装着した内筒を、袴筒内に嵌合固定した螺旋筒内の正確な位置に自動的に係合できて、組み立て時に、化粧料を収容した受け筒体が脱落することもなく、また、袴筒内で螺旋筒が回転することもないような構造にして、容器の組み立ての自動化が容易にできるようにする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
案内筒の側面には、従来の縦方向に設けた二条のガイド孔の他に、該ガイド孔の中間位置に位置決め用スリットを底部が非開口状態に設けると共に、化粧料を収容する受け筒体の外側面には、前記二条のガイド孔を貫通して螺旋溝に係合する係合突起と前記位置決め用スリットに係合する抜止め突起(位置決め用の係止突起)とを設けて、該受け筒体を前記案内筒内に上下動可能に嵌合する。
更に、袴筒の内周面には、螺旋筒を係止する軸方向の突条を複数本形成すると共に、内周面に二条の螺旋溝を設けた螺旋筒の外側面には、前記突条と係合する凹溝を軸方向に多数形成して、該螺旋筒を前記袴筒に嵌合固定して回転筒体を構成する。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、円筒内周面に二条の螺旋状の送り溝2aを形成すると共に、外側面に軸方向に多数の凹溝2bを形成した螺旋筒2を、内周面に該螺旋筒を係止するための軸方向の突条1bを複数本形成した袴筒1内に嵌合固定して回転筒体Aを形成して、該回転筒体A内に、棒状の化粧料9を収納した受け筒3の係合突起3bをガイド孔4bから突出せしめた案内筒4を環状の中具5及び密封リング6を介して上下動可能に装着してから、前記受け筒3の先端部に密閉用パッキング8を被せると共に環状の中具5に筒状蓋体7を嵌合して、筒状容器に入れた棒状化粧料製品が構成される。
上記のように構成した化粧品は、筒状蓋体7と密閉用パッキング8を除去した後、片手に案内筒4を持って、他方の指先で回転筒体Aを回動させると、回転力により螺旋状の送り溝2aに係合した受け筒3の係合突起3bが上方へ押し上げられて、棒状の化粧料9の先端部が突出して使用可能になる。
【0010】
【実施例】
本発明を図1乃至5に示す実施例に基づいて説明すると、以下のようである。本発明の棒状化粧料を収納する容器の基本的構造は、円筒状の袴筒1と該袴筒1内に嵌合した螺旋筒2とからなる回転筒体Aと、ガイド孔4bと位置決めスリット4cとを有する案内筒4内に係合して化粧料9を収納する受け筒3と、有頂の筒状蓋体7とからなる。
前記袴筒1の内周面には、軸方向に複数本の突条1bが形成されおり、該突条1bに嵌合する多数の凹溝2bを外側面に形成すると共に、内面に対称に二条の螺旋状の送り溝2aを形成した螺旋筒2を、前記袴筒1内に圧入して嵌合固定すると、図4及び図5に示すような回転筒体Aが構成される。
このように構成した回転筒体Aに於いて、袴筒1と螺旋筒2とは、袴筒1内面の突条1bと螺旋筒2外面の凹溝2bとが嵌合しているので、周方向へは回転することはできない。
【0011】
そして、前記案内筒4は、その先端部は傾斜状の開口を有するように形成されると共にその中程には膨出部4aが形成されており、また、前記案内筒4の両側壁の対称位置には、膨出部4aの下から底部開口端に達する二条のガイド孔4bが形成されると共に、両ガイド孔4bの周壁の中間位置で、かつ前記開口の正面側の側壁には底部を閉塞状とした位置決めスリット4cが形成されている。
また、前記棒状に成形した化粧料を収容する受け筒3には、その先端部を案内筒4の形状に合わせた傾斜状の開口が形成され、その下端部には前記螺旋状の送り溝2aに係合する係合突起3bが対称に設けられると共に、該両係合突起3bの中間位置で、かつ開口正面部分には位置決め用の係止突起(抜止め突起)3cが設けられている。
このように形成された受け筒3を前記案内筒4内に、係合突起3bがガイド孔4bに、位置決め用の係止突起3cが位置決めスリット4cに係合するように圧入することにより、前記案内筒4と受け筒3とは、その開口の向きが一致すると共に上下動可能に嵌合されて、図3に示すような棒状化粧料を出し入れする移動筒体Bが構成される。
【0012】
上記のような構成をした移動筒体Bは、上方先端から環状の密封リング6が案内筒4の中程に形成された膨出部4aに接するように嵌合され、更に、前記袴筒1の端部を密封すると共に筒状蓋体7を被冠させるための環状の中具5を該密封リング6の上部に密接に嵌合させてから前記回転筒体A内に嵌合されると、前記ガイド孔4bから突出した係合突起3bが前記螺旋筒2の送り溝2aの端部に自動的に係合されて、図2に示すように組み立てられる。
そして、前記中具5の外周面の中程に設けられた環状リブ5a下面を袴筒1の開口端面に接着して一体化すると、同時に中具5の下端部に接した密封リング6のリブ片6aは袴筒1の内面に密着した状態に保たれて、前記回転筒体Aは移動筒体Bに対して回転可能に結合される。
【0013】
このように構成してなる本発明の棒状化粧料の収納容器は、中具5より上方に突出した案内筒4の外面を片手で持って、袴筒1を他方の指先で回動させると、袴筒1及び螺旋筒2、密封リング6、中具5が一体となって回転するので、螺旋筒2の螺旋状の送り溝2aに係合した係合突起3bは、上向きの作用力を受けてガイド孔4bに沿って受け筒3を上方へ押し上げて、受け筒3内の棒状化粧料が突出されることになる。
【0014】
そして、上記のように構成した移動筒体Bは、前記案内筒4に受け筒3を嵌合させる時には、案内筒4にガイド孔4bが形成されているので、圧入力により変形して係止突起3cを容易に位置決めスリット4cに係合させることができるし、また、一度嵌合された受け筒3は係止突起3cが位置決めスリット4cの底部端面で脱落が阻止されるので、機械による自動組み立てが容易になり、更に、使用時に化粧料が受け筒3ごと案内筒4から抜き取られることもない。
【0015】
【発明の効果】
本発明は、案内筒の両側面に設ける二条のガイド孔に加えて正面に位置決めスリットを設けて、化粧料の受け筒に設けた二つの係合突起と一つの係止突起とを係合させるようにしたので、案内筒と受け筒との向きが自動的に位置合わせされると共に、一度嵌合された受け筒は案内筒から脱落することがないので、組み立て時の作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の回転筒体に移動筒体を嵌合して組み立てた容器の側面図である。
【図2】 本発明の容器の図1に於けるX−X断面図である。
【図3A】 本発明の案内筒に受け筒を嵌合した移動筒体を示す側面図である。
【図3B】 本発明の移動筒体の図1に於けるY−Y断面図である。
【図4】 本発明の螺旋筒を袴筒に嵌合した回転筒体を示す縦断面図である。
【図5】 本発明の螺旋筒を袴筒に嵌合した回転筒体を示す横断面図である。
【図6】 本発明の第1の先行例を示す図である。
【図7】 本発明の第2の先行例を示す図である。
【符号の説明】
1 袴筒
2 螺旋筒
3 受け筒
4 案内筒
5 環状の中具
6 環状リング
7 筒状蓋体
8 密封パッキング
9 棒状化粧料
Claims (6)
- 円筒体の下端寄りの側壁面に係合突起を対称に設けると共に両係合突起の中間の壁面に位置決め用係止突起を設けた化粧料受け筒と、
中程に膨出部が形成された円筒体の両側の側壁に前記膨出部の下から底部開口端に達する二条のガイド孔を対称に形成すると共に両ガイド孔の中間の側壁に底部を閉塞状にした位置決めスリットを前記膨出部と底部開口端との間に形成した案内筒と、
円筒状の袴筒内に、内周面に螺旋溝が形成された螺旋筒が嵌合された状態で一体に回転する回転筒体と、を有し、
前記化粧料受け筒を前記案内筒に嵌合して、前記ガイド孔から前記係合突起が突出するように設け、かつ前記位置決めスリットに前記位置決め用係止突起が前記位置決めスリットの周縁に係止するように設けて、上下動可能に係合された移動筒体が構成され、
前記ガイド孔から突出した前記係合突起の先端を前記螺旋溝に係合させると共に、前記回転筒体を前記移動筒体に対して回転可能となるように設けたことを特徴とする棒状化粧品の収納容器。 - 前記回転筒体には化粧料を覆う筒状蓋体が嵌合される環状の中具と前記中具を密接に嵌合せしめる環状リングとが設けられ、前記中具と前記環状リングの内側に前記案内筒が上下動可能に設けられている請求項1記載の棒状化粧品の収納容器。
- 前記移動筒体は、前記案内筒の先端に形成された傾斜状の開口の正面となる位置に位置決めスリットが形成されてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の棒状化粧品の収納容器。
- 前記螺旋筒は、内周面に180°対称に二条の螺旋溝を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の棒状化粧品の収納容器。
- 前記回転筒体は、前記螺旋筒の外周面に形成した軸方向の凹溝に袴筒の内周面に形成した軸方向の突条を嵌合せしめることにより、前記螺旋筒と前記袴筒とが互いに周方向に回転不可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の棒状化粧品の収納容器。
- 前記案内筒は、前記膨出部以外の部分が同径寸法で形成されている請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の棒状化粧品の収納容器。
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1996
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