JP4625955B2 - カーボンチューブ及びカーボンチューブの製造方法 - Google Patents

カーボンチューブ及びカーボンチューブの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カーボンチューブ及びカーボンチューブの製造方法に関し、特に有機溶剤を用いて製造を行うカーボンチューブ及びカーボンチューブの製造方法に関する。
カーボンナノチューブが知られている。カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法、レーザー蒸着法、化学気相成長法(CVD法)などが知られている。これらの製造方法は、真空装置を用いる必要があること、非常に高温なプロセスであることなどで非常にコストがかかる。
他の製造方法として、特開2004−243477号や特開2004−277201号に、陽極酸化アルミナを鋳型としてカーボンナノチューブを製造する技術が開示されている。これらは、陽極酸化アルミナと熱CVD法とを組み合わせた製造方法である。
特開2004−243477号の炭素質ナノ構造体の製造方法は、複数のナノホールを有するナノホール構造体を用意する工程と、前記複数のナノホールの少なくとも一つの内部に原料ガスを供給して、化学気相成長法により、前記少なくとも一つのナノホールの内表面に炭素を堆積させる工程とを包含する。前記原料ガスは、少なくともジオレフィン系化合物とモノオレフィン系化合物とを含む。炭素を堆積する工程は、450℃以上700℃以下の温度で炭素を堆積する。
特開2004−277201号のカーボンナノチューブの製造方法は、無数のほぼ均一なナノサイズ径を有する陽極酸化被膜を形成し、その被膜の細孔に化学的気相成長法により炭素被膜及びヘテロ元素を含んだ炭素被膜を製膜する。製膜温度は、500℃〜1300℃である。
ただし、これら熱CVD法を用いる場合、真空装置を用いる必要があること、非常に高温なプロセスであること、所望のカーボンナノチューブを得るための製造条件の制御が難しいこと、など製造工程が複雑且つ高価である。加えて、この方法では、陽極酸化アルミナの細孔だけでなく、陽極酸化アルミナの外側に露出している表面全体に炭素膜が形成される。そのため、不要な表面全体の炭素膜を除去する工程が必要であり、更に製造工程を複雑にしている。
関連する技術として、特開2005−59125号にナノ構造体の製造方法が開示されている。このナノ構造体の製造方法は、基板又は下地層を有する基板の上に、柱状の第1の部材と前記第1の部材を取り囲むように形成した第2の部材とを備え、前記第2の部材が共晶を形成し得る2種類以上の材料を含有した構造体を形成する工程と、前記第1の部材を除去し、孔を形成する工程と、前記孔中に金属及び合金を含有する材料を充填する工程と、前記第2の部材を一部又は全部除去する工程とを備えることを特徴とする。この技術では、金属及び合金を含有する材料が孔中に充填されており、ナノ構造体はチューブ状(管状)に形成されていない。
関連する技術として、Z.Sun,Y.Sun and X.Wangによる“Investigation of phases in the carbon films deposited by electrolysis of ethanol liquid phase using Raman scattering”(Chemical Physics Letters,25 February,2000,Volume 318, Issues 4−5, Pages 471−475)に、エタノールを電気分解してシリコン基板上に炭素含有膜を形成する技術が開示されている。この技術では、平坦なシリコン基板上に電気分解により、種々の結晶相(例示:ダイヤモンド、ポリエチレン、グラッシーカーボン)を有する混晶の膜が形成されている。
特開2004−243477号 特開2004−277201号 特開2005−59125号 Z.Sun,Y.Sun and X.Wang, "Investigation of phases in the carbon films deposited by electrolysis of ethanol liquid phase using Raman scattering",Chemical Physics Letters,25 February,2000,Volume 318, Issues 4−5, Pages 471−475
従って、本発明の目的は、低温且つ制御が容易な方法で製造が可能なカーボンチューブ及びカーボンチューブの製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、チューブの形状の制御が可能なカーボンチューブ及びカーボンチューブの製造方法を提供することにある。
以下に、発明を実施するための最良の形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための最良の形態との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
上記課題を解決するために、本発明のカーボンチューブの製造方法は、柱状の空孔(11a)を有する多孔体(5a)が表面に設けられた導電層(2)を一方の電極として、炭素を含有する有機溶剤(33)を電気分解して、空孔(11a)の側壁に炭素層(1)を形成する工程(図2(d))と、多孔体(5a)を取り除く工程(図2(e))とを具備する。
本発明では、空孔(11a)内に露出した導電層(2)の表面から、有機溶剤(33)の電気分解により炭素が析出することで、側壁を覆う炭素層(1)すなわちカーボンチューブを形成することができる。
上記のカーボンチューブの製造方法において、多孔体(5a)は、アルミナであることが好ましい。
本発明では、多孔体(5a)としてアルミナを用いるので、規則的な柱状の空孔(11a)を有するもの容易に得ることができ、且つ、容易に取り除くことができる。
上記のカーボンチューブの製造方法において、導電層(2)上のアルミニウム層(4)を陽極酸化して、多孔体(5a)としてのアルミナを形成する工程を更に具備することが好ましい。
本発明では、アルミナをアルミニウム層(4)の陽極酸化で形成するので、陽極酸化の条件により、柱状の空孔(11a)を所望の構造で形成することができる。
上記のカーボンチューブの製造方法において、有機溶剤(33)は、アルコール系溶剤であることが好ましい。
本発明では、アルコール系溶剤を用いているので、容易に電気分解をすることができる。
上記のカーボンチューブの製造方法において、アルコール系溶剤は、メタノール、エタノール、及びエチレングリコールのうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
本発明では、上記低級アルコールを用いているので、炭素層の析出を容易に制御することができる。
カーボンチューブの製造方法。
上記課題を解決するために、本発明のカーボンチューブ構造体は、導電層(2)と、導電層(2)上に設けられ、導電層(2)の表面から上方へ伸びる複数のカーボンチューブ(1)とを具備する。複数のカーボンチューブ(1)は、三角格子における各格子点の位置に設けられている。
本発明では、導電層(2)上に規則的に並んだカーボンチューブ(1)を得ることができる。
本発明により、低温且つ制御が容易な方法でカーボンチューブを製造することができる。そのとき、カーボンチューブの形状を容易に制御することができる。
以下、本発明のカーボンチューブ及びカーボンチューブの製造方法の実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
まず、本発明のカーボンチューブの実施の形態の構成について説明する。図1は、本発明のカーボンチューブの実施の形態の構成を模式的に示す斜視図である。カーボンチューブ1は、例えば、導電性の基板2上に上方に伸びるように設けられている。カーボンチューブ1は、導電性の基板2上に設けられた絶縁層の空孔の内壁を覆うように形成される(後述)。したがって、その空孔の構造を制御することで、カーボンチューブ1の構造を制御することができる。図1のようなカーボンチューブ1と基板2との構造をカーボンチューブ構造体3ともいう。
絶縁層として陽極酸化アルミナを用いる場合、カーボンチューブ1は陽極酸化アルミナの空孔の底部及び内壁を覆うように形成される。したがって、陽極酸化アルミナで形成可能な空孔の形状をそのまま反映したカーボンチューブ1を形成することができる。その場合、カーボンチューブ1の構造は、典型的には、外径:数10nm〜数100nm、長さ:数10nm〜数μmである。長さと外径との比(アスペクト比)は、10以上が可能である。カーボンチューブ1は、基板2上に、互いに一定の距離で離れながら、三角格子の各格子点の位置に配置されている。なお、カーボンチューブ1の厚み(外径と内径との差の1/2)は、製造条件にも依存するが、典型的には、10nm〜20nmである。
これらの構造のうち、外径、長さ及び配置は、陽極酸化アルミナの空孔の内径、深さ及び配置で制御される。厚みは、カーボンチューブ1を有機溶剤の電気分解で形成するときの条件(例示:有機溶剤の種類、濃度、投入電力密度、時間)で制御される。
なお、ここでは、カーボンチューブ1は、基板2上に配置されている。しかし、基板2を取り除いて、カーボンチューブ1の単体の状態で使用することも可能である。その場合、基板2上には形状の揃ったカーボンチューブ1が形成されていることから、単体の状態でも非常に形状の揃った高純度のカーボンチューブ1を得ることができる。
次に、本発明のカーボンチューブの製造方法について説明する。図2は、本発明のカーボンチューブの製造方法を示す断面図である。
まず、図2(a)に示すように、導電性の基板2上にアルミニウム層4を形成する。基板2は、導電性のものであれば特に制限は無く、例えば、金属基板や半導体基板を用いることができる。又は、導電層を表面に形成された絶縁性基板でも良い。アルミニウム層4の形成方法としては、特に制限は無く、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、化学的気相堆積(CVD)法を用いることができる。アルミニウム層4の膜厚は、カーボンチューブ1の所望の長さと同程度又はそれ以上にする。例えば、数10nm〜数μmである。アルミニウム膜は薄すぎると周期的な空孔が得られない。
次に、図2(b)に示すように、アルミニウム層4を陽極酸化する。陽極酸化は、アルミニウム層4付きの基板2を陽極として、酸性溶液中で電力を印加することにより行う。従来知られた方法を用いることができる。なお、陽極酸化の条件は、基板2の材料や、所望のカーボンチューブ1の構造に対応する空孔の構造によって適宜選択することができる。この陽極酸化により、アルミニウム層4が酸化されてアルミナ層5になるとともに、アルミナ層5に空孔11(デカナノホール)が形成される。アルミナ層5に形成される空孔11の直径は、印加電圧にのみ依存することが分かっている。空孔11の深さは、陽極酸化時間にほぼ比例し、最大でほぼアルミナ層5の厚さである。典型的には、各空孔11は基板にほぼ垂直に形成され、三角格子状に配列する傾向がある。
このように、アルミニウム層4を適当な条件で陽極酸化すると、リソグラフィーを用いずに、ほぼ同じサイズの空孔11がある程度規則的に配置されたデカナノホール構造体(アルミナ層5)を形成することができる。また、このようなデカナノホール構造体は、例えば基板2の表面上に形成したアルミニウム膜4の陽極酸化を電圧一定で行った場合、陽極酸化電流値が定常値を示した後に低下した時点で陽極酸化を停止することによって得ることができる。
続いて、図2(c)に示すように、アルミナ層5付きの基板2をアルミナ溶解性の溶液に浸し、空孔11の底部の酸化膜(バリア層)6を除去する。従来知られた方法を用いることができる。これにより、空孔11は、基板2まで貫通した空孔11aとなる。アルミナ層5(デカナノホール構造体)は、空孔11aを有するアルミナ層5aとなる。このとき、空孔11の底部の酸化膜が除去されると共に、空孔11の側壁も一部除去される。そのため、空孔11aの外径は、空孔11の外径よりも若干大きくなる。
次に、図2(d)に示すように、アルミナ層5aを鋳型として、有機溶剤の電気分解により、空孔11の内側に炭素層を成長させる。電気分解は、アルミナ層5a付きの基板2を陰極として、有機溶剤中で電力を印加することにより行う。このとき、まず、陰極とした導電性の基板2の表面で有機溶剤が電気分解して、基板2の表面に炭素が堆積される。すなわち、炭素は、まず基板2の表面である空孔11aの底部に堆積する。その後、炭素は、底部の周囲から連続して、空孔11aの内壁(側壁)に沿って、空孔11aの上方(基板2から離れる向き)へ堆積する。このとき、炭素は、空孔11aの内部を充填しながら堆積することは無い。あくまでも、空孔11aの側壁に沿って堆積し、その内部には空間12を有している。このようにして、空孔11aの内側にカーボンチューブ1が形成される。
電気分解に用いる有機溶剤は、炭素を含み、空孔11aの底部まで進入可能であり、電気分解可能であれば特に制限はない。ただし、電気分解の制御が容易にできる点、炭素層の成長の制御が容易にできる点で、アルコール系の有機溶剤がより好ましい。更に好ましくは、メタノール、エタノール、及びエチレングリコールである。有機溶媒には、触媒となるような物質を入れる必要はない。また、有機溶剤の電気分解を行う前に、アルミナ層5a付きの基板2の表面に対する特別な処理を行う必要はない。
一般に、図2(c)のアルミナ層5a付きの基板2について、金属イオンを含む溶液を用いて電気めっき法を行うと、空孔11a内に金属が充填される。これにより、金属のナノワイヤや柱状構造を作製できる。この場合、ナノワイヤや柱状構造は、内部まで金属が充填されており、チューブ状(管状)にはならない。しかし、本発明の製造方法では、炭素層が空孔11aの底部及び側壁に沿って成長するので、内部が充填された構造ではなくチューブ状の構造を容易に形成することができる。
続いて、図2(e)に示すように、アルミナ層5aをエッチングにより除去する。それにより、カーボンチューブ1間の領域13には、アルミナ層5aが無くなる。そして、空孔11aの内径と同等の外径を有するカーボンチューブ1を基板2上に形成することができる。この場合、カーボンチューブ1は、三角格子状に規則正しく配列し、基板2の表面に略垂直に配向する。
カーボンチューブ1のみで使用する場合には、図2(e)の後、基板2を溶解、除去すればよい。あるいは、基板2を除去する方法として、図2(d)の後のアルミナ層5aを溶解させる前に、基板2をアルミナ層5aから剥離し、その後にアルミナ層5aをエッチング除去することも可能である。基板2をアルミナ層5aから剥離する方法としては、(イ)基板を溶解させる、(ロ)粘着性テープなどをアルミナ層5aに貼って、基板2から引き剥がす、(ハ)電解溶液中にて逆バイアス電圧(アルミナ層5a付きの基板2の側に負の電圧)を印加する、などの方法が考えられる。
なお、図2(a)〜図2(c)における空孔を有する陽極酸化アルミナについては、基板2表面から柱状に伸びる空孔を有する他の絶縁体であっても良い。例えば、半導体プロセスで用いられるパターンニング技術で柱状の空孔を設けた絶縁層(例示:酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜)を用いることも可能である。その場合、パターンニングの仕方により、空孔の構造(例示:外径、深さ、配置、数)をより自由に設計することができる。
鋳型としてアルミナ層のような絶縁層を用いることは、炭素層をチューブ状に形成させることができる点で好ましい。鋳型として導電層を用いると、電気分解時に空孔の内部に限らず、導電層のあらゆる部分に炭素が析出する恐れがあるからである。
本発明では、カーボンチューブ1が基板2から直接上方へ成長している。すなわち、空孔11a中には、特に触媒となるような物質を埋め込む必要はない。また、基板2の表面にも、触媒となるような物質を形成しておく必要はない。このように、本発明では、触媒を用いなくても、所望の位置にカーボンチューブ1を成長させることができる。
以上のように、本発明は、有機溶剤の電気分解を行うことでカーボンチューブを得ることができるので、低温且つ制御が容易な方法で製造が可能となる。また、カーボンチューブは、陽極酸化アルミナの空孔を鋳型のように用いるので、陽極酸化アルミナの空孔の構造を制御することで、カーボンチューブの形状の制御することができる。それにより、形状及び特性の揃ったカーボンチューブを大量に生産することが可能となる。
(実施例)
以下、図2及び図3を参照して、本発明のカーボンチューブの製造方法の実施例を説明する。図3は、本発明のカーボンチューブの製造方法の実施例を示す模式図である。
まず、図2(a)を参照して、シリコンの基板2上に、真空蒸着法により膜厚800nmのアルミニウム層4を形成した。
次に、アルミニウム層4付きの基板2について、アルミニウム層4を陽極酸化した。陽極酸化には、図3(a)のような装置を用いた。ここで、容器20aは、酸性溶液31で満たされている。酸性溶液31は0.3M/lのシュウ酸溶液とし、溶液温度は10℃とする。陰極24aは、酸性溶液31が透過可能な網状の電極であり、酸性溶液31中に保持されている。基板2は、裏面に酸性溶液31が接触しないようにシールリング22を介して基板ホルダ21で保持されている。基板2は、陽極として、陰極24aと対向するように酸性溶液31中に保持されている。陽極酸化は、陽極側の基板2と陰極24aとの間に直流電源23aで50Vの電圧を10分間印加することで行った。これらの陽極酸化の条件は、所望の空孔11aの形状に基づいて決定される。
図2(b)を参照して、上記の陽極酸化により、アルミニウム層4が酸化されてアルミナ層5になるとともに、アルミナ層に空孔11が形成された。印加電圧が50Vの場合、アルミナ層5の空孔11の直径(内径)は、約60nm程度であった。陽極酸化時間10分の場合、空孔11の深さは、概ね800nmであった。例えば、アルミニウム層4の陽極酸化を電圧一定で行う場合、陽極酸化電流値が定常値を示した後に低下した時点で陽極酸化を停止した。この後、純水による流水洗浄を行った。
次に、アルミナ層5付きの基板2をアルミナ溶解性溶液に浸し、空孔11の底部の酸化膜(バリア層)6を除去した。酸化膜の除去には、図3(b)のような装置を用いた。ここで、容器20bは、アルミナ溶解性溶液32で満たされている。アルミナ溶解性溶液32は水:50ml、りん酸HPO:1.8ml、クロム酸HCrO:5gの溶液とし、溶液温度は室温とする。アルミナ層5付きの基板2をアルミナ溶解性溶液32に40分間浸漬し、保持した。
図2(c)を参照して、上記のアルミナ溶解液への浸漬により、空孔11が基板2まで貫通した空孔11aとなり、アルミナ層5が空孔11aを有するアルミナ層5aとなった。このとき、空孔11aの直径(内径)は、約90nmに広がった。この後、純水による流水洗浄を行った。
次に、アルミナ層5aを鋳型として、有機溶剤の電気分解により、空孔11の内側に炭素層を成長させた。有機溶剤の電気分解には、図3(c)のような装置を用いた。ここで、容器20cは、有機溶剤33で満たされている。有機溶剤33はエタノールとし、溶液温度は50℃とする。陽極24bは、有機溶剤33が透過可能な網状のPt(白金)電極であり、有機溶剤33中に保持されている。基板2は、裏面に有機溶剤33が接触しないようにシールリング22を介して基板ホルダ21で保持されている。基板2は、陰極として、陽極24bと対向するように有機溶剤33中に保持されている。電極間距離は、約2mmである。電気分解は、陰極側の基板2と陽極24bとの間に直流電源23bで900Vの電圧を5時間印加することで行った。これらの電気分解の条件は、所望の空孔11aの形状に基づいて決定される。
図2(d)を参照して、上記の有機溶剤の電気分解により、空孔11aの内側(底面及び側壁)にカーボンチューブ1が形成された。この後、純水による流水洗浄を行った。
次に、アルミナ層5aをエッチングにより除去した。アルミナ層5aの除去には、図3(d)のような装置を用いた。ここで、容器20dは、アルミナ溶解性溶液34で満たされている。アルミナ溶解性溶液34は水:50ml、りん酸HPO:1.8ml、クロム酸HCrO:5gの溶液とし、溶液温度は室温とする。基板ホルダ21に保持されたアルミナ層5a付きの基板2をアルミナ溶解性溶液34に4時間浸漬し、保持した。この後、純水による流水洗浄を行った。
図2(e)を参照して、アルミナ層5aがエッチングにより除去され、空孔11aの内径と同等の外径を有するカーボンチューブ1を基板2上に形成することができた。この場合、カーボンチューブ1は、三角格子状に規則正しく配列し、基板2の表面に略垂直に配向した。SEM(Scanning Electron Microscope)による観察では、カーボンチューブ1は、長さ:約800nm、外径:約90nm、厚み約10nmであった。
カーボンチューブ1のみで使用する場合には、図2(e)の後、基板2を溶解、除去すればよい。あるいは、基板2を除去する方法として、図2(d)の後のアルミナ層5aを溶解させる前に、既述のように基板2をアルミナ層5aから剥離し、その後にアルミナ層5aをエッチング除去することも可能である。
以上のように、本発明では、アルミニウムの陽極酸化、有機溶剤の電気分解、及び所定の溶液への浸漬という概ね室温で行われ、制御も比較的容易なプロセスを用いているので、低温且つ容易な方法でカーボンチューブの製造が可能となる。また、カーボンチューブは、陽極酸化アルミナの空孔を鋳型のように用いるので、陽極酸化アルミナの空孔の構造を制御することで、カーボンチューブの形状の制御することができる。それにより、形状及び特性の揃ったカーボンチューブを大量生産することが可能となる。
本発明の製造方法は、アルミニウムの陽極酸化、有機溶剤の電気分解、及び所定の溶液への浸漬などのプロセスで行うため、工業的なプロセスに応用することが容易である。例えば、所望の形状のカーボンチューブを大量に製造することや、所望の形状のカーボンチューブを大面積の基板上に均一に製造することなどに応用できる。そして、製造された本発明のカーボンチューブは、基板に載せたまま、又は、カーボンチューブ単独で、電子放出源、半導体、触媒、デカナノカプセルなどに利用することが可能である。
本発明のカーボンチューブを電界放射ディスプレイに用いる場合、例えば、各画素のカソード電極上に略垂直にカーボンチューブを製造することで、有効な電子放出源として利用できる。また、大画面ディスプレイ用の大面積基板にも、所望形状のカーボンチューブを均一に形成することができるので、大面積基板用の電子放出源として特に有効である。
本発明のカーボンチューブを燃料電池用の電極材料に用いる場合、例えば、カーボンチューブやカーボンチューブに触媒を担持したものを、ベースとなる電極材料に塗布することで、有効な電極として用いることができる。また、ベースとなる電極材料に直接本発明のカーボンチューブを製造することで、有効な電極として用いることができる。
その他、カーボンチューブは水素吸蔵能力を有していることから、水素吸蔵材料へ応用できる。また、伝導性付与材料として、複合材料へ応用できる。更に、半導体、集積回路上で製造することで、集積回路(IC)へ応用できる。加えて、チューブ構造であるため内部が空洞であり、直径もデカナノサイズ(数十nm〜数百nm)であるため、デカナノカプセルとして応用できる。
図1は、本発明のカーボンチューブの実施の形態の構成を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明のカーボンチューブの製造方法を示す断面図である。 図3は、本発明のカーボンチューブの製造方法の実施例を示す模式図である。
符号の説明
1 カーボンチューブ
2 基板
3 カーボンチューブ構造体
4 アルミニウム層
5、5a アルミナ層
6 酸化膜(バリア層)
11、11a 空孔
12 空間
13 領域
20a、20b、20c、20d 容器
21 基板ホルダ
22 シールリング
23a、23b 直流電源
24a 陰極
24b 陽極
31 酸性溶液
32 アルミナ溶解性溶液
33 有機溶剤
34 アルミナ溶解性溶液

Claims (5)

  1. 柱状の空孔を有する多孔体が表面に設けられた導電層を一方の電極として、炭素を含有する有機溶剤を電気分解して、前記空孔の側壁に炭素層を形成する工程と、
    前記多孔体を取り除く工程と
    を具備する
    カーボンチューブの製造方法。
  2. 請求項1に記載のカーボンチューブの製造方法において、
    前記多孔体は、アルミナである
    カーボンチューブの製造方法。
  3. 請求項2に記載のカーボンチューブの製造方法において、
    前記導電層上のアルミニウム層を陽極酸化して、前記多孔体としてのアルミナを形成する工程を更に具備する
    カーボンチューブの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカーボンチューブの製造方法において、
    前記有機溶剤は、アルコール系溶剤である
    カーボンチューブの製造方法。
  5. 請求項4に記載のカーボンチューブの製造方法において、
    前記アルコール系溶剤は、メタノール、エタノール、及びエチレングリコールのうちの少なくとも一つを含む
    カーボンチューブの製造方法。
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