JP2005076039A - ナノ構造体、その製造方法、細線構造体および光触媒 - Google Patents

ナノ構造体、その製造方法、細線構造体および光触媒 Download PDF

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Abstract

【課題】ナノメートルサイズのタングステンまたは酸化タングステン細線構造を簡易に大量に形成するナノ構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】タングステンを主成分とする下地層とその上部に細孔形成層を形成して被加工物とする工程(1)と、前記細孔形成層に細孔構造を形成する工程(2)と、前記被加工物を陽極酸化して前記細孔構造の底部に酸化タングステン凸構造を形成し、前記酸化タングステン凸構造を成長させて酸化タングステン細線構造を形成する工程(3)を有するナノ構造体の製造方法。さらに、前記酸化タングステン細線構造を還元してタングステン細線構造とする工程を有する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノメートルスケールの微小な間隔を有する凹凸構造のナノ構造体、その製造方法、この構造体を用いる細線構造体および光触媒に関する。
【0002】
【背景技術】
物体表面に微細な構造を作製する技術として、従来からの光や電子線によるリソグラフィ手法ではなく、アルミニウム膜の陽極酸化による細孔構造が従来より知られている。アルミニウム膜をシュウ酸や硫酸等の酸性水溶液中で陽極酸化することにより、膜に垂直方向に伸びた高アスペクトな細孔を形成でき、ある一定条件下では規則的に配列したナノホールを形成することが出来る。また、これをリン酸を含む水溶液中等に浸してアルミナを溶解することで、細孔構造の口径を広げることが出来、直径数nm〜数100nm、深さ数十nm〜数十μm、間隔10nm〜500nm程度の高アスペクトなナノホールを形成することができる。
【0003】
一方、タングステンという材料は、従来より走査型トンネル顕微鏡の探針として使用されており、電解研磨や化学エッチング等による先端の先鋭化方法が、従来より提案されている(特許文献1参照)。しかし、現在のような化学エッチング等による製造方法では、先端曲率半径が数十〜数百nmと非常に大きい。
【0004】
また酸化タングステンやアルミナは、酸化チタン等と並んで金属触媒として知られ、酸化タングステンは有機物や水分解用の光触媒や太陽電池やガスセンサーに、アルミナはNO 除去用光触媒などに用いられている。近年、触媒活性をより向上させるために金属の更なる微粒子化が検討されているが、より微粒子化された金属触媒を効率よく且つ確実に得るための方法は未だ開発されていない。また、貴金属触媒等に於いては、金属微粒子の粒径がある値以下になると触媒活性がかえって低下したり耐熱性が不十分となるなど、過度な微粒子化は必ずしも有効ではない。これを改善するものとして、細線状の金属クラスター(金属細線触媒)が提案されており(特許文献2参照)、ナノメートルサイズの構造体の簡易な作製手法が幅広い応用範囲において早急に求められている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−179499号公報
【0006】
【特許文献2】
特開2002−102698号公報(第2頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような金属のナノ構造体が求められる中で、伝導性の高いタングステンあるいは酸化タングステンによるナノメートルサイズの細線構造は、光触媒・太陽電池・ガスセンサー・走査型トンネル顕微鏡探針・ナノ細線構造等の多くの応用に活用することが出来る。
【0008】
本発明はこのような要求に着目して成されたものであり、ナノメートルサイズのタングステンまたは酸化タングステン細線構造を簡易に大量に形成するナノ構造体、その製造方法および細線構造体を提供するものである。
また、本発明は、タングステンまたは酸化タングステン細線構造を用いた光触媒を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、タングステンを主成分とする下地層の上に細孔形成層を形成する工程(1)と、前記細孔形成層に細孔構造を形成する工程(2)と、前記被加工物を陽極酸化して前記細孔構造の底部に酸化タングステン凸構造を形成し、前記酸化タングステン凸構造を成長させて酸化タングステン細線構造を形成する工程(3)を有することを特徴とするナノ構造体の製造方法である。
【0010】
前記酸化タングステン細線構造が細孔形成層の表面より突出していることが好ましい。
前記細孔構造を除去する工程を有することが好ましい。
前記酸化タングステン細線構造を還元してタングステン細線構造とする工程を有することが好ましい。
前記ナノ構造体の表面に、金属、半導体または色素の付着物を形成することが好ましい。
前記細孔構造が規則的に配列していることが好ましい。
【0011】
前記細孔形成層に細孔構造を陽極酸化、フォトリソグラフィまたはエッチングにより形成することが好ましい。
前記細孔形成層がアルミニウムを主成分とする金属であることが好ましい。
前記酸化タングステン細線構造のアスペクト比が3以上で、細孔形成層の厚さが200nm以上であることが好ましい。
金属が、貴金属であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、上記の方法により製造されたナノ構造体である。
また、本発明は、タングステンを主成分とする下地層と、その上部に形成されたアルミニウムを主成分とする細孔形成層に形成された細孔構造と、前記下地層から前記細孔構造中を貫通して前記細孔構造の表面より突出して形成した酸化タングステン細線構造を有することを特徴とする酸化タングステン細線構造体である。
【0013】
また、本発明は、タングステンを主成分とする下地層と、その上部に形成されたアルミニウムを主成分とする細孔形成層に形成された細孔構造と、前記下地層から前記細孔構造中を貫通して前記細孔構造の表面より突出して形成したタングステン細線構造を有することを特徴とするタングステン細線構造体である。
【0014】
また、本発明は、上記の方法により得られた酸化タングステン細線構造またはタングステン細線構造を、導電層の上部に接合してなることを特徴とする探針である。
また、本発明は、上記の方法により得られた酸化タングステン細線構造またはタングステン細線構造を、下地層より剥離して、異なる基板上に付着することを特徴とする探針の製造方法である。
【0015】
また、本発明は、タングステンを主成分とする下地層と、その上部に形成されたアルミニウムを主成分とする細孔形成層に形成された細孔構造と、前記下地層から前記細孔構造中を貫通して前記細孔構造の表面より突出して形成した酸化タングステン細線構造またはタングステン細線構造とを有し、前記酸化タングステン細線構造またはタングステン細線構造の表面に金属、半導体または色素を付着してなることを特徴とする光触媒である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるナノ構造体の製造方法は、タングステンを主成分とする下地層と、その上部に細孔形成層を形成し、この細孔形成層を通常のフォトリソグラフィやドライエッチングや陽極酸化するなどして細孔構造を形成して下地層を露出させ、下地層の陽極酸化を行って、酸化タングステン凸構造が細孔形成層の表面より突出した後に陽極酸化を停止することでナノメートルサイズの構造体(ナノ構造体)を製造するものである。
【0017】
細孔構造も陽極酸化により行う場合、酸化タングステン凸構造の形成を一括した陽極酸化で行うことが出来、また陽極酸化条件により酸化タングステン凸構造のサイズが決まる。本発明の製造プロセスは簡略であり、従来に比べ短時間に安価にタングステンまたは酸化タングステンの細線を製造することが可能である。
【0018】
図1は本発明のナノ構造体の製造方法の一実施態様を示す工程図である。
本発明のナノ構造体の製造方法は、図1に示すような支持基板3上にタングステンを主成分とする下地層2と細孔形成層1を積層して(工程(1))、細孔形成層1をフォトリソグラフィ、ドライエッチングまたは陽極酸化するなどして細孔構造5を形成し(工程(2))、被加工物4を陽極として陽極酸化を行い細孔構造5を下地層2まで到達させ、細孔構造5の底部に酸化タングステン凸構造6を形成し、該酸化タングステン凸構造6を成長させて細孔形成層1の表面より突出したら陽極酸化を停止して(工程(3))、酸化タングステン細線構造7を形成することを特徴とするナノ構造体の製造方法である。
【0019】
本発明では、細孔形成層1から突出して成長した酸化タングステン凸構造を、酸化タングステン細線構造と呼ぶ。
【0020】
例えば、シリコン等の支持基板3上に、スパッタリングやビーム蒸着などの膜積層技術によりタングステン下地層2を形成し、更にその上部に細孔形成層1としてアルミニウムやアルミニウム−シリコン合金膜のようなアルミニウムを主成分とする膜を形成し、これを被加工物4とする(図1(a))。これを陽極として、シュウ酸水溶液やリン酸水溶液や或いはこれらの混合酸性水溶液中にて適当な濃度・温度・電圧下で陽極酸化をすると、細孔構造5が形成される(図1(b))。このとき細孔の壁面周辺のアルミニウムはアルミナとなる。細孔は膜に対して垂直に形成され、陽極酸化を続けると細孔底部が下地層2に到達し、タングステンが酸化されて体積が膨張することで細孔中に充填され、酸化タングステン凸構造6が形成される(図1(c))。この後更に陽極酸化を継続すると、細孔構造5内部に酸化タングステン凸構造6が徐々に成長してアスペクト比が増大し、細孔形成層1の表面から突出して更に伸びつづけ、酸化タングステン細線構造7となる(図1(d))。形成される細線のサイズは主に細孔構造5のサイズに依存し、細孔構造5の間隔は陽極酸化の印加電圧で、また細線の径は陽極酸化の溶液種類又は細孔形成後の細孔径拡大処理で、また細線の長さは陽極酸化時間及び下地層の厚さで決めることが出来る。
【0021】
細孔構造5の間隔は陽極酸化電圧と比例関係にあり、細孔径は陽極酸化後にリン酸水溶液に浸してアルミナを溶解することで拡大できる。例えば、シュウ酸水溶液(0.3mol/L)、液温16℃、電圧40Vでアルミニウムの陽極酸化を行うと、間隔約100nm、径約10〜20nmの細孔が形成され、これをリン酸水溶液(0.3mol/L)に40分浸漬すると径は約40〜60nmになる。
【0022】
細孔が下地層2に到達したところで陽極酸化を中断し、細孔径を拡大してから再度陽極酸化をして酸化タングステン細線構造7を形成することで、径の大きいものを製造できる。つまり、本発明により製造される酸化タングステン細線構造7のサイズは細孔構造サイズに依存し、長さ数百nm〜数μm、径数nm〜数十nm、曲率半径数nmの範囲にて実現することが可能である。またここで、アルミニウム膜の剥離防止等の目的で、アルミニウム膜と下地層の間にチタンやニオブ等の他種類の金属を数nm程度積層させてもよい。細孔形成層に細孔を形成する手法は、通常のフォトリソグラフィやドライエッチング等でも良い。
【0023】
また、本発明いおいては、細孔構造5を形成するにあたり、細孔形成層1の表面に、規則的に配列した深さ数nm〜数十nm程度の凹構造を形成しておくと、そこが細孔の形成開始点となり、規則的に配列した細孔構造が得られる。これにより、規則的に配列した酸化タングステン細線構造を製造することが出来る。
【0024】
また、本発明いおいては、酸化タングステン細線構造7を形成した後に細孔構造5を除去し、酸化タングステン細線構造7のみを支持基板3上に形成することが出来る。これは、酸化タングステン細線構造7を形成した後に、被加工物4をリン酸水溶液中などの酸化タングステンを侵さず且つ細孔形成層1を溶解する液体ないし気体中に静置すればよい。このようにして得られた、酸化タングステン細線構造7のみを支持基板3上に形成した構造体を図3に示す。
【0025】
また、図3に示す酸化タングステン細線構造7を、アニール等で酸化タングステンを還元してタングステンとし、タングステン細線構造を製造することも出来る。このようにして得られた、タングステン細線構造9を支持基板3上に形成した構造体を図4に示す。
【0026】
また、タングステン細線をナノピンセットで捕獲して電子ビーム溶着や接着剤で導電性基板上に貼り付ければ、近年開発が進んでいるカーボンナノチューブ探針のように、走査型トンネル顕微鏡(STM)やピンセット用途の非常に曲率の小さい探針として用いることが出来る。またこれは、還元前の酸化タングステンを用いても良い。
【0027】
また、本発明いおいては、酸化タングステン細線構造7ないしタングステン細線構造9の表面に、スパッタリングやビーム蒸着などの手法により、プラチナやパラジウム等の金属や半導体や色素等の付着物を形成することも出来る。図5は酸化タングステン細線構造7ないしタングステン細線構造9の表面に付着物8を形成した構造体を示す。例えば、酸化タングステンは光触媒として機能し、紫外光や可視光下で活性となるため、単独や他の光触媒と組み合わせることで、有機物や水などの分解をすることが出来る。この場合、酢酸等が生成されて触媒活性が低下することを防ぐために、プラチナなどの貴金属を表面に担持させることで生成物の分解効率が大きくなり、活性の低下を防止することができる。また、半導体や色素等を表面に付着させ、光電変換素子としても使用することが出来る。
【0028】
また、本発明において、酸化タングステンとはタングステンが酸化された状態であれば、水和物など酸素以外の元素を含んでいても構わない。
【0029】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【0030】
実施例1
本発明の第1の方法について一例を示す。
本発明の第1の方法は、ナノ構造体の製造方法であり、図1に示すような支持基板3上にタングステンを主成分とする下地層2と細孔形成層1を積層して(工程(1))、細孔形成層1をフォトリソグラフィ、ドライエッチングまたは陽極酸化するなどして細孔構造5を下地層まで到達させ(工程(2))、細孔構造5底部に酸化タングステン凸構造6を形成し、酸化タングステン凸構造6が細孔形成層1の表面より突出したら陽極酸化を停止して(工程(3))、酸化タングステン細線構造7を形成することを特徴とするナノ構造体の製造方法である。
【0031】
例として、規則的に配列した酸化タングステン細線構造の製造方法について述べる。図1(a)に示すようにシリコンに厚さ5nmのチタンをスパッタリングにより積層した支持基板3の表面に、スパッタリング法により厚さ80nmのタングステン下地層2を形成し、更に細孔形成層1として厚さ300nmのアルミニウムを積層し、被加工物4とする。
【0032】
次に、FIB(Focused Ion Beam)直描により、間隔160nm、深さ20nmで三角格子状に規則的に配列した凹構造(細孔開始点)をアルミニウム表面に形成し、被加工物4を陽極としてシュウ酸水溶液(0.15mol/L)とリン酸水溶液(0.15mol/L)の混合液中にて、液温10℃・電圧64Vで陽極酸化を行う。図1(b)のように細孔構造5が形成され、このときの平面図が図2である。この条件下で形成される細孔サイズは、径40nmとなる。細孔構造が下地層2に到達し、露出したタングステンが酸化タングステンとなって体積の膨張により細孔内部に凸構造として形成され(図1(c))、更に陽極酸化を継続すると酸化タングステン細線構造7が出来る(図1(d))。
【0033】
細孔が規則化している場合、下地層に細孔構造が到達する時間のばらつきがほとんど無いため、酸化タングステンの成長度合いもほぼ一定となり、長さの揃った細線となる。全体の陽極酸化を900秒行ない形成される酸化タングステン細線構造7のサイズは、細孔よりもやや小さく、径22nm・長さ約1μm・先端曲率半径5nmであり、細孔構造表面から細線がまっすぐに突出した状態となる。
【0034】
ここで、細孔構造5が下地層に到達した図1(c)の状態で陽極酸化を中断し、リン酸水溶液(0.3mol/L)中に室温で145分浸漬して細孔壁のアルミナを溶解すると、細孔径が95nm程度に広がる。この状態から再度陽極酸化を行うと、径の大きな酸化タングステン細線を得ることができる。このような体積の大きい細線を形成するには、予め下地層を厚くしておくことが好ましい。下地層の厚さによっては全て酸化され、酸化タングステンとなる。
【0035】
またここで、陽極酸化において細孔形成層表面への気泡の付着や溶液の濃度斑を防ぐ目的で攪拌を行うことが好ましいが、激しい攪拌では突出した酸化タングステン細線が折れたり隣の細線と結合することがあるため、極力避けたほうが良い。
【0036】
また、細孔開始点の間隔を100nmとして、混合溶液中ではなくシュウ酸水溶液(0.3mol/L)、液温16℃、電圧40Vで陽極酸化を行えば、先端曲率半径1nmの細線が得られる。
次に、この構造をリン酸水溶液(0.3mol/L)に室温中で12時間浸し、細孔形成層を溶解して除去すると、図3のように下地層2から伸びた酸化タングステン細線構造7が得られる。
【0037】
実施例2
本発明の第2の方法について一例を示す。
本発明の第2の方法は、酸化タングステンを還元してタングステン細線構造とするナノ構造体の製造方法である。
【0038】
例として、実施例1で作製した図3に示す酸化タングステン細線構造7を、500℃の水素(5%)とヘリウム(95%)の混合気体中で、1時間焼成を行い還元すると、図4に示すようなタングステン細線構造9が得られる。
【0039】
このタングステン細線をマイクロピンセットで捕獲して、電子ビーム溶着で導電性基板上に貼り付ければ、近年開発が進んでいるカーボンナノチューブ探針のように、走査型トンネル顕微鏡(STM)や微細ピンセット用途の非常に曲率の小さい探針として用いることが出来る。用途によっては、酸化タングステン細線のまま使用しても構わない。
【0040】
実施例3
本発明の第3の方法について一例を示す。
本発明の第3の方法は、酸化タングステン細線構造7ないしタングステン細線構造9の表面に、金属や半導体や色素等の付着物を形成することを特徴とするナノ構造体の製造方法である。
【0041】
例として、実施例1で作製した図3に示す酸化タングステン細線構造7に、電子ビーム蒸着法でプラチナを付着して図5のようにする。酸化タングステンは光触媒として機能し、紫外光や可視光下で活性となるため、アセトアルデヒド(C O)などの分解をすることが出来る。しかし、酸化タングステンのみではアセトアルデヒドが酸化して酢酸を生成して触媒活性が低下するため、プラチナ等の貴金属を表面に担持させて酢酸の分解効率を大きくし、活性の低下を防止することができる。この系は、可視光照射で光触媒作用を得ることが出来る。また、アルミナも白金や銀やコバルトの担持により光触媒となり、プロプレンによるNO 選択還元反応などを起こすため、酸性雨の解消を目的とした研究に用いられている。アルミナ細孔構造が残った状態で、酸化タングステン細線構造と共にプラチナを担持すれば、2系統の光触媒としても使用でき、表面積が広いことから耐熱性と触媒効果も大きくなる。
【0042】
また、半導体や色素等を表面に付着することで、光電変換素子としても使用することが出来る。色素としてルテニウム錯体を酸化タングステン細線7の表面に付着させ(図5参照)、これを光吸収層として電解液中に浸して透明電極で封止し、光電変換素子とする。アナターゼ型微粒子状光電変換素子などに比べ、本発明の素子は針状であるため電子移動が容易となる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明のナノ構造体の製造方法は、陽極酸化ナノホール中にタングステンを主成分とする下地層の酸化物を形成し、細線を形成するものであり、規則的に配列した微細なタングステンないし酸化タングステン細線構造を簡易に大量に製造することが出来る。
また、本発明は、ナノメートルサイズのタングステンまたは酸化タングステン細線構造を簡易に提供することができる。
また、本発明は、上記のタングステンまたは酸化タングステン細線構造を用いた光触媒を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のナノ構造体の製造方法の一実施態様を示す工程図である。
【図2】細孔構造が形成され細孔形成層を示す平面図である。
【図3】本発明の酸化タングステン細線構造のみを支持基板上に形成した構造体を示す概略図である。
【図4】本発明のタングステン細線構造を支持基板上に形成した構造体を示す概略図である。
【図5】本発明の酸化タングステン細線構造またはタングステン細線構造の表面に付着物を形成した構造体を示す概略図である。
【符号の説明】
1 細孔形成層
2 下地層
3 支持基板
4 被加工物
5 細孔構造
6 酸化タングステン凸構造
7 酸化タングステン細線構造
8 付着物
9 タングステン細線構造

Claims (10)

  1. タングステンを主成分とする下地層の上に細孔形成層を形成する工程(1)と、前記細孔形成層に細孔構造を形成する工程(2)と、前記被加工物を陽極酸化して前記細孔構造の底部に酸化タングステン凸構造を形成し、前記酸化タングステン凸構造を成長させて酸化タングステン細線構造を形成する工程(3)を有することを特徴とするナノ構造体の製造方法。
  2. 前記酸化タングステン細線構造が細孔形成層の表面より突出していることを特徴とする請求項1記載のナノ構造体の製造方法。
  3. 前記細孔構造を除去する工程を有することを特徴とする請求項1または2記載のナノ構造体の製造方法。
  4. 前記酸化タングステン細線構造を還元してタングステン細線構造とする工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のナノ構造体の製造方法。
  5. 前記ナノ構造体の表面に、金属、半導体または色素の付着物を形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載のナノ構造体の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の方法により製造されたナノ構造体。
  7. タングステンを主成分とする下地層と、その上部に形成されたアルミニウムを主成分とする細孔形成層に形成された細孔構造と、前記下地層から前記細孔構造中を貫通して前記細孔構造の表面より突出して形成した酸化タングステン細線構造を有することを特徴とする酸化タングステン細線構造体。
  8. タングステンを主成分とする下地層と、その上部に形成されたアルミニウムを主成分とする細孔形成層に形成された細孔構造と、前記下地層から前記細孔構造中を貫通して前記細孔構造の表面より突出して形成したタングステン細線構造を有することを特徴とするタングステン細線構造体。
  9. 請求項1乃至5のいずれかに記載の方法により得られた酸化タングステン細線構造またはタングステン細線構造を、導電層の上部に接合してなることを特徴とする探針。
  10. タングステンを主成分とする下地層と、その上部に形成されたアルミニウムを主成分とする細孔形成層に形成された細孔構造と、前記下地層から前記細孔構造中を貫通して前記細孔構造の表面より突出して形成した酸化タングステン細線構造またはタングステン細線構造とを有し、前記酸化タングステン細線構造またはタングステン細線構造の表面に金属、半導体または色素を付着してなることを特徴とする光触媒。
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