本発明のプログラムは、連続的に走行する繊維集合体を撮像した撮像手段からのビデオ信号から得られた繊維集合体の特性情報に関する信号を、情報処理装置に解析させるための解析プログラムである。本発明のプログラムは情報処理装置に少なくとも(1)読込ステップ、(2)記録ステップおよび(3)解析ステップを実行させる。読込ステップでは、繊維集合体の特性情報に関する信号を情報処理装置に順次読込ませる。記録ステップでは、順次読込んだ信号から得られる繊維集合体の特性情報に関するデータを時刻データと関連づけて情報処理装置の記録装置に順次記録させる。解析ステップでは、情報処理装置に、繊維集合体の特性情報に関するデータから、繊維集合体の品質情報に関するデータを取得させる。
[情報処理装置]
情報処理装置(コンピュータ)は、通常、計測したデータを演算処理する機能を有し、繊維集合体を撮像した撮像手段からのビデオ信号から得られた繊維集合体の特性情報に関する信号を解析できる。情報処理装置は、繊維集合体の特性情報に関する信号から得られる繊維集合体の特性情報に関するデータ、繊維集合体の映像信号などを記録する記録装置[フレキシブルディスク(FD)ドライブ、ハードディスク(HD)ドライブなど]を内部または外部に有していてもよい。情報処理装置は、繊維集合体の特性情報に関するデータまたは品質情報に関するデータを表示する表示装置に接続されていてもよい。情報処理装置は、別の情報処理装置または制御装置(例えば、繊維集合体の生産工程を制御するための装置など)に接続されていてもよい。
情報処理装置には、制御プログラムなどのOS(オペレーティングシステム)が搭載されている。通常、情報処理装置は、搭載されているOSの機能によって、プログラム(アプリケーションプログラム)に従って、情報処理装置の演算素子を所定の演算回路として機能させ、前記プログラムによる指令を、所定の演算処理として実行する。情報処理装置は、演算処理のほか、信号およびデータの制御処理、授受、比較、判別、指令などの処理も実行する。
[繊維集合体]
繊維集合体は、連続的に走行可能な繊維集合体であれば特に制限されない。例えば、タバコフィルタトウは、紡糸塔から連続的に吐出される繊維(ヤーン)を長さ方向に引っ張って走行させ、複数本[例えば、100〜10000本(特に250〜5000本)程度]を、束ねて、隣接させながら、走行途中で、捲縮させ、乾燥させることによって製造される。本発明は、連続的に製造される繊維集合体の品質管理(良否の判別)に有用である。
繊維集合体は、二次元的な広がりを有する形態(例えば、帯状、包帯状など)であってもよい。繊維集合体は、複数本のヤーンで構成された帯状繊維集合体[例えば、束ねられ、かつ互いに隣接して配された複数本のヤーンで構成された層からなる帯状繊維集合体、前記複数本のヤーンで構成された層が積層された複数層で構成された帯状繊維集合体(タバコフィルタトウなど)など]であってもよい。隣接するヤーンは互いに重なっていてもよい。複数層で構成された帯状繊維集合体において、ヤーンは、幅方向の同じ位置でまたは位置をずらして積層されていてもよい。
繊維集合体は、光透過可能な繊維集合体であってもよい。光透過可能な繊維集合体(例えば、タバコフィルタトウなど)は、透過光量を利用して、幅、厚み、汚れなどを解析してもよく、反射光を利用して、幅、汚れなどを解析してもよい。光透過しない繊維集合体は、反射光を利用して、幅、汚れなどを解析してもよい。
繊維集合体は、非捲縮ヤーンまたは捲縮ヤーンで構成されていてもよい。捲縮ヤーンで構成されている繊維集合体の生産工程においては、本発明のプログラムを、捲縮前または捲縮後の繊維集合体の品質管理に使用してもよい。非捲縮ヤーンで構成された繊維集合体(捲縮前のフィルタトウなど)では、厚み、幅または汚れの少なくとも一種を管理する必要性が高い。捲縮ヤーンで構成された繊維集合体(捲縮後のフィルタトウなど)では、幅または汚れの少なくとも一種を管理する必要性が高い。繊維集合体は、開繊可能であってもよい。
繊維集合体の走行速度は、特に制限されず、例えば、0.1〜100m/秒、好ましくは1〜50m/秒、さらに好ましくは5〜30m/秒程度であってもよい。繊維集合体(特に開繊可能な繊維集合体)は、走行に伴って隣接するヤーンの近接度や重なり度が変動して厚みや繊維密度(開繊状態)が変動しやすい。本発明のプログラムによれば、高速で走行する繊維集合体であっても、情報処理装置に、幅、厚み、汚れなどの特性情報を高い精度で解析させることができる。
例えば、束ねられ、かつ互いに隣接して配されているとともに層状に重ね合わされた複数のヤーンで構成されている繊維集合体(フィルタトウなど)の製造においては、走行に伴って隣接するヤーンの近接度や重なりの程度が変動し、厚みの不均一性により不良品が生成しやすい。また、捲縮繊維集合体(捲縮フィルタトウなど)の生産工程においては、捲縮前後でのヤーン(またはバンド)の重なり状態(厚みの均一性)の判定結果を、繊維集合体の品質管理に利用してもよい。
[ビデオ信号]
連続的に走行する繊維集合体を撮像した撮像手段からのビデオ信号は、カラービデオ信号または白黒ビデオ信号であってもよい。カラービデオ信号(フルカラービデオ信号を含む)は、フィルタ回路によりカラー信号(または色信号)を除去して利用してもよい。ビデオ信号は、インターレース走査またはノンインターレース走査による信号であってもよい。ビデオ信号に含まれる輝度信号から得られる繊維集合体の特性情報に関する信号を解析してもよい。
繊維集合体を撮像する撮像手段としては、連続的に走行する繊維集合体を撮像でき、ビデオ信号を生成できる種々の手段を採用できる。撮像手段は、エリアセンサカメラまたはラインセンサカメラであってもよい。このような撮像手段としては、例えば、ビデオカメラ(白黒またはカラー)、ラインセンサカメラ、その他のデジタル式撮像手段(動画を撮像できるデジタルカメラなど)などが例示できる。
連続的に走行する繊維集合体を撮像するにあたっては、例えば、下方から上方へ連続的に走行する繊維集合体の前面側に、所定の画角の撮像手段が配設され、繊維集合体の背面に、繊維集合体(通常、白色)に対するコントラストを高めるため、背景板(例えば、黒色)が配設されていてもよい。撮像手段の非視野範囲には、斜め方向から繊維集合体を照明するための照明装置が繊維集合体の背面側に配設されていてもよい。照明装置は、背景板から繊維集合体の裏面側に向けて配設してもよく、繊維集合体の裏面側を光線で照明(透過照明)してもよい。繊維集合体の厚みが薄い領域では光透過率が高く、厚い領域では光透過率が小さいことを利用して、繊維集合体の厚薄を高いコントラストで撮像でき、厚みの均一性または不均一性を高い精度で解析することができる。また、繊維集合体の汚れは光透過率または光の反射率が小さいことを利用して、繊維集合体の汚れを撮像でき、汚れの発生状況を解析することができる。
エリアセンサカメラ(CCD、撮像管など)からのビデオ信号は、インターレース走査において、走査線1ラインを構成する水平ブランキング部(または期間)および映像部の信号、垂直ブランキング部(または期間)を構成する信号[垂直同期信号、切り込みパルス、等化パルスなど]を含んでいてもよい。水平ブランキング部(または期間)を構成する信号は、フロント・ポーチ領域、水平同期信号、バック・ポーチ領域などを含んでいてもよい。
ラインセンサカメラの出力信号は、ビデオ信号、同期信号(走査信号、ライン転送パルス)を含んでいてもよい。ラインセンサカメラからのビデオ信号は、黒レベル信号、スタート側無効画素信号、エンド側無効画素信号を含んでいてもよい。
[繊維集合体の特性情報に関する信号]
エリアセンサカメラからのビデオ信号から得られた繊維集合体の特性情報に関する信号は、例えば、連続的に走行する繊維集合体を撮像するための撮像手段(エリアセンサカメラ)と、この撮像手段からのビデオ信号を同期分離するとともにクランプするための手段(同期分離回路およびクランプ回路など)と、この手段からのクランプドビデオ信号に基づいて、前記繊維集合体の幅、厚みおよび汚れから選択された少なくとも1つの特性に関する欠陥情報を含む特性情報を検出するための検出手段と、この検出手段により検出された特性情報から欠陥情報を抽出するための抽出手段と、この抽出手段からの抽出信号と前記情報に関する基準信号とに基づいて、前記情報の適否を判別するための判別手段とを備えている自動判別装置で得ることができる。
図1は、エリアセンサカメラからのビデオ信号からクランプドビデオ信号を得るための電気的構成を示すブロック図である。エリアセンサカメラ11からのビデオ信号(特にビデオ信号に含まれる輝度信号)は、同期分離回路13で同期分離されてもよい。同期分離回路13は、ビデオ信号から種々の同期信号(水平同期信号、垂直同期信号、フレーム同期信号、奇数フィールドおよび偶数フィールドに関する奇数・偶数信号、同期クランプ信号など)を分離する。同期信号は、タイミング回路14に与えられる。タイミング回路14は、所定の走査線に関する映像信号と同期させるための各種タイミング信号を生成する。例えば、トリガー回路15により、トリガー信号を生成させてもよい。
クランプ回路12は、同期クランプ信号に応答して、ビデオ信号をクランプし、基準レベルを一定にする。交流結合されたビデオ信号は、映像信号部分の大小により、振幅が変化するため、同期信号の直流レベルが一定でなく、同期信号に重畳している映像信号の直流レベルも一定でない。従って、クランプ回路12でビデオ信号をクランプし、直流レベルを再生し、基準レベルを一定にしてもよい。同期クランプ信号は、同期クランプ信号生成手段で同期信号から生成させることができる。
ラインセンサカメラからのビデオ信号から得られた繊維集合体の特性情報に関する信号は、例えば、連続的に走行する繊維集合体を撮像するための撮像手段(ラインセンサカメラ)と、この撮像手段からのビデオ信号をクランプするための手段(クランプ回路など)と、この手段からのクランプドビデオ信号に基づいて、前記繊維集合体の幅、厚みおよび汚れから選択された少なくとも1つの特性に関する欠陥情報を含む特性情報を検出するための検出手段と、この検出手段により検出された特性情報から欠陥情報を抽出するための抽出手段と、この抽出手段からの抽出信号と前記情報に関する基準信号とに基づいて、前記情報の適否を判別するための判別手段とを備えている自動判別装置で得ることができる。
図2は、ラインセンサカメラからのビデオ信号(および同期信号)からクランプドビデオ信号を得るための電気的構成を示すブロック図である。ラインセンサカメラ21からの同期信号は、タイミング回路24に与えられる。タイミング回路24は、所定の走査線に関する映像信号と同期させるための各種タイミング信号を生成する。例えば、トリガー回路25により、トリガー信号を生成させるようにしてもよい。
ラインセンサカメラ21からのビデオ信号は、例えば、クランプ回路22でクランプしてクランプドビデオ信号を得てもよい。クランプ回路22は、同期クランプ信号に応答して、ビデオ信号をクランプし、基準レベルを一定にする。通常、ラインセンサカメラから送られてくるビデオ信号は直流結合されているので、クランプは必ずしも必要ではない。しかし、直流結合されていても、基準レベルが変動するので、ラインセンサカメラから送られてくるビデオ信号をクランプ手段でクランプすることにより、基準レベルを一定にしてもよい。基準レベルを一定にすることにより、繊維集合体の特性情報に関する信号を効率よく且つ精度よく抽出できる。同期信号としては、自励の場合、ラインセンサから送られてくる同期信号を利用してもよく、他励の場合、同期信号発生回路から送られてくる同期信号を、クロック生成回路(クロックパルス発生回路)から送られてくるクロックパルスとともに、利用してもよい。
繊維集合体の特性情報に関する信号は、クランプビデオ信号またはビデオ信号(特に少なくとも輝度信号)から、抽出できる。クランプドビデオ信号(またはビデオ信号)から得られる繊維集合体の特性情報に関する信号としては、例えば、幅カウントデータに関する信号、厚みクランプドビデオ信号(または厚みビデオ信号)、汚れカウントデータに関する信号などが挙げられる。クランプドビデオ信号(クランプ走査信号)またはビデオ信号から繊維集合体の特性情報に関する信号(幅カウントデータに関する信号、厚みクランプドビデオ信号、厚みビデオ信号、汚れカウントデータに関する信号など)を抽出するための抽出手段は、特に制限されず、種々のノイズ除去手段、例えば、特性情報の種類に応じて、微分手段、積分手段、閾値との比較手段、波形整形手段(高周波ノイズを除去するためのローパスフィルタなど)、閾値によるスライス手段などの他、これらの手段を組み合わせて構成してもよい。
以下、図3〜5を参照して、クランプドビデオ信号(またはビデオ信号)から、幅カウントデータに関する信号、厚みクランプドビデオ信号(または厚みビデオ信号)および汚れカウントデータに関する信号を抽出するための電気的構成を説明する。
[幅カウントデータに関する信号]
図3は、繊維集合体のクランプドビデオ信号(またはビデオ信号)から、幅カウントデータに関する信号を抽出するための電気的構成の一例を説明するためのブロック図である。
幅カウントデータに関する信号は、例えば、繊維集合体の幅に関する特性情報を含むクランプドビデオ信号またはビデオ信号(所定の走査線のビデオ信号、特に輝度信号)を、ノイズを除去して幅カウントデータに関する信号を抽出する抽出回路に与えることにより、抽出できる。幅カウントデータに関する信号は、クランプドビデオ信号(またはビデオ信号)に、低周波信号として含まれる場合が多いため、幅カウントデータに関する信号を抽出する抽出回路は、例えば、クランプドビデオ信号(またはビデオ信号)から高周波ノイズを除去するノイズ除去回路(ローパスフィルタ回路)31とスライス回路32とで構成してもよい。
前記ノイズ除去回路31は、クランプドビデオ信号(またはビデオ信号)に含まれるノイズ(すなわち、映像信号外のノイズ信号、映像信号の立ち上がりおよび立ち下がり部のノイズ信号、映像信号内のノイズ信号)を除去し、ノイズが除去された映像信号を生成できる。繊維集合体の幅の特性情報に関する信号を、より高い精度で、抽出するため、クランプドビデオ信号(またはビデオ信号)を、所定の閾値が設定されたスライス回路(または比較回路)32に与え、このスライス回路32で、繊維集合体の幅に対応し、かつ所定のレベルでスライスされた矩形信号を生成させてもよい。ノイズが除去され、かつスライスされた矩形信号を、クロック生成回路33からの基準クロック信号(パルス信号)とともに、AND回路34に与え、AND回路34で、スライスされた矩形波域に対応するクロック信号(パルス信号)を生成させてもよい。AND回路34からの信号をカウンタ回路35に与え、スライスされた矩形波の幅に対応するクロック数(パルス数)をカウントさせて、幅カウントデータに関する信号を得てもよい。
タイミング回路から、リセット回路に、タイミング信号を与えて、カウンタ回路による幅カウントデータを、一画面の走査毎(フィールド走査毎)にリセットしてもよい。リセット回路は、タイミング回路からのタイミング信号に応答して、カウンタ回路による積算カウントデータをリセットする。
[厚みクランプドビデオ信号および厚みビデオ信号]
図4は、繊維集合体のクランプドビデオ信号(またはビデオ信号)から、厚みクランプドビデオ信号(または厚みビデオ信号)を抽出するための電気的構成の一例を説明するためのブロック図である。
繊維集合体のクランプドビデオ信号(またはビデオ信号)は、例えば、繊維集合体を構成する繊維(ヤーン)の微細な不均一性に起因して、許容可能な厚みの範囲内で、ノイズを含んでいる場合が多い。従って、繊維集合体のクランプドビデオ信号(またはビデオ信号)から厚みクランプドビデオ信号(または厚みビデオ信号)を抽出するため、所定の走査線のクランプドビデオ信号(またはビデオ信号)[ビデオ信号の所定の走査線(例えば、撮像領域を横切るX番目の走査線)の走査信号]を、抽出回路に与えてもよい。厚みクランプドビデオ信号(または厚みビデオ信号)は、通常、低周波信号としてクランプドビデオ信号(またはビデオ信号)に含まれる。そのため、ノイズ除去回路(ローパスフィルタ回路)41で、クランプドビデオ信号(またはビデオ信号)から高周波のノイズを除去して、厚みクランプドビデオ信号(または厚みビデオ信号)を抽出してもよい。
[汚れカウントデータに関する信号]
図5は、繊維集合体のクランプドビデオ信号(またはビデオ信号)から、汚れカウントデータに関する信号を抽出するための電気的構成の一例を説明するためのブロック図である。
汚れカウントデータに関する信号は、通常、クランプドビデオ信号(またはビデオ信号)に高周波信号として含まれる。汚れカウントデータに関する信号を抽出するために、クランプドビデオ信号(またはビデオ信号)を、例えば、微分回路51、比較回路52a、52bおよびAND回路54a、54bで構成された抽出回路に与えてもよい。微分回路51ではクランプドビデオ信号(またはビデオ信号)を微分処理して低周波ノイズを除去するとともに汚れの特性情報に関する信号をピーク波形に変換する。微分回路51から生成した微分信号を、例えば、高レベルの汚れに対応するスライスレベル(または閾値、第一の基準値)でスライスまたは比較するための高レベル汚れ比較回路(第一の比較回路)52aと、低レベルの汚れに対応するスライスレベル(または閾値、第二の基準値)でスライスまたは比較するための低レベル汚れ比較回路(第二の比較回路)52bとに与え、汚れ検知のための二値化信号を生成させてもよい。高レベル汚れ比較回路52aで生成する二値化信号は、繊維集合体の本来の汚れに対応させることができる。低レベル汚れ比較回路52bで生成する二値化信号は、繊維集合体の潜在的な汚れに対応させることができる。
微分回路51からの微分信号には、走行する繊維集合体の両側方域の陰影などに対応するノイズ信号が含まれる場合があり、第一および第二の比較回路52a、52bからの二値化信号に、繊維集合体の両側方域の陰影などに対応する二値化されたノイズ信号が含れる場合がある。第一の比較回路52aからの二値化信号と、撮像幅に関する情報としての汚れウインドウゲート回路53からの幅ウインドウゲート信号(連続的に走行する繊維集合体の幅より少し狭いゲート信号)とを第一のAND回路54aに与え、第二の比較回路52bからの二値化信号と、前記幅ウインドウゲート信号とを第二のAND回路54bに与えて、前記二値化信号から、背景板による繊維集合体の両側部などの陰影に対応するノイズ信号を除去してもよい。
汚れウインドウゲート回路53では、繊維集合体の所定のウインドウ幅(観察幅)より少し狭いウインドウ(背景板による陰影に対応するノイズを含まないウインドウ幅)に関する幅基準値を設定してもよい。汚れウインドウゲート回路53からのウインドウゲート信号は、ビデオ信号の走査線に関する同期信号(タイミング信号)を生成するタイミング回路から所定のタイミングで与えられる同期信号に応答して、第一のAND回路54aおよび第二のAND回路54bに与えられる。
第一のAND回路54aからの二値化信号は、第一の汚れカウンタ回路55aに与えられ、二値化信号のうち、汚れに対応するパルスまたは矩形状ピークの数がカウントされ、第一の汚れカウントデータに関する信号が与えられる。第二のAND回路54bからの二値化信号は第二の汚れカウンタ回路55bに与えられ、第二の汚れカウントデータに関する信号が与えられる。第二の汚れカウントデータに関する信号は、繊維集合体の潜在的な汚れの管理に利用してもよい。
第一および第二の汚れカウントデータに関する信号は、一画面の走査毎(すなわちフィールド走査毎)にリセットしてもよい。例えば、タイミング回路からリセット回路56に対して同期信号(タイミング信号)を与え、同期信号(タイミング信号)に応答して、リセット回路56が第一の汚れカウンタ回路55aおよび第二の汚れカウンタ回路55bで積算された第一および第二の汚れカウントデータに関する信号をゼロにリセットするようにしてもよい。
[解析プログラム]
前記自動判別装置などの繊維集合体の特性情報に関する信号の発信源は、通常、繊維集合体の特性情報に関する信号(例えば、幅カウントデータに関する信号、厚みクランプドビデオ信号、厚みビデオ信号、汚れカウントデータに関する信号など)を情報処理装置に送出するためのインターフェース(インターフェース回路)と、前記特性情報に関する信号を情報処理装置に読込ませるためのトリガー信号を生成するトリガー手段(トリガー回路)とを有する。情報処理装置による処理の精度を上げるために、繊維集合体の特性情報に関する信号を、情報処理装置に読込ませる前に、これらの信号からノイズを除去してもよく、増幅回路で増幅してもよい。トリガー信号は、情報処理装置に対して、前記特性情報に関する信号を前記自動判別装置などから送出するタイミングを知らせる。そのため、トリガー信号に応答して、前記特性情報に関する信号を情報処理装置に読込ませることができる。
本発明では、まず、前記繊維集合体の特性情報に関する信号を、情報処理装置に読み込ませる。例えば、情報処理装置に、前記繊維集合体の特性情報に関する信号(幅カウントデータに関する信号、厚みクランプドビデオ信号、厚みビデオ信号、汚れカウントデータに関する信号など)とともに所定の周期で送られてくるトリガー信号(幅トリガー信号、厚みトリガー信号、汚れ検知トリガー信号など)を検知する毎に、デジタル信号インプットアウトプットボード(DIOボード)、アナログ/デジタル変換(A/D変換)ボードなどを介して、繊維集合体の特性情報に関する信号を読込ませてもよい。
繊維集合体の特性情報に関する信号がデジタル信号(幅カウントデータに関する信号、汚れカウントデータに関する信号など)である場合は、情報処理装置に、前記繊維集合体の特性情報に関する信号をデジタル信号として、例えば、情報処理装置に設置されたDIOボード(デジタル信号を情報処理装置が読込める形式に変換する装置)を介して、読込ませてもよい。繊維集合体の特性情報に関する信号がアナログ信号(厚みクランプドビデオ信号、厚みビデオ信号など)である場合は、情報処理装置がA/D変換回路[アナログ信号を情報処理装置が読込める形式(デジタル信号)に変換する装置]を有していてもよい。この場合は、情報処理装置に、繊維集合体の特性情報に関する信号を、A/D変換させ、デジタル信号として、読込ませてもよい。
その他、情報処理装置は、キャプチャボード(CCDカメラなどから送り出される映像信号を情報処理装置が読込める形式に変換する装置)などの周辺機器を有してもよい。
本発明によれば、繊維集合体の特性情報に関する信号(幅カウントデータに関する信号、厚みクランプドビデオ信号、厚みビデオ信号、汚れカウントデータに関する信号など)に基づいて、繊維集合体の幅、厚み、汚れなどの特性情報を解析できる。
本発明では、繊維集合体の特性情報として何を計測(解析)するかに応じて、プログラムを選択できる。すなわち、繊維集合体の幅の計測(幅カウントデータに関する信号)、厚みの計測(厚みクランプドビデオ信号または厚みビデオ信号)、汚れの計測(汚れカウントデータに関する信号)などのうち、例えば、単一の計測(幅の計測、厚みの計測、汚れの計測)、または複数の計測が選択され、対応するプログラム(幅測定用プログラム、厚み測定用プログラム、汚れ測定用プログラム)が起動される。
幅測定用プログラムによれば、情報処理装置に、繊維集合体の幅カウントデータに関する信号に基づいて、例えば、繊維集合体の幅に関するデータ、繊維集合体の所定時間内の幅に関する平均値、最大値、最小値などを解析させることができる。
厚み測定用プログラムによれば、情報処理装置に、繊維集合体の厚みクランプドビデオ信号または厚みビデオ信号に基づいて、例えば、繊維集合体の走行位置データ、繊維集合体の厚薄分布状態に関するデータなどを解析させることができ、また、繊維集合体の幅方向の厚みデータ(走査線上の厚みに関するデータ)を、繊維集合体の厚みのプロファイルとして、表示装置に表示させることができる。
汚れ測定用プログラムによれば、情報処理装置に、繊維集合体の汚れカウントデータに関する信号に基づいて、例えば、繊維集合体の汚れの有無に関するデータ、繊維集合体の汚れの大きさに関するデータ、繊維集合体の汚れの数に関するデータを解析させることができ、また、繊維集合体の汚れの大きさを経時的に表示装置に表示させることができ、さらに、汚れ検知トリガー信号とともに送られてくる繊維集合体の映像信号を読込ませることができる。
繊維集合体の特性情報の少なくとも一部を、情報処理装置から、例えば、DIOボード、デジタル/アナログ変換(D/A変換)ボードまたはローカル・エリア・ネットワーク(LAN)ボードを介して、別の情報処理装置または制御装置へ送出させてもよい。
[幅測定用プログラム]
図6は、幅測定用プログラムによる情報処理装置の幅カウントデータに関する信号の読込の動作の一例を示すフローチャートである。図6のように、幅測定用プログラムが起動すると、情報処理装置が、幅カウントデータに関する信号を読込むステップを開始する。すなわち、情報処理装置は、幅カウントデータに関する信号とともに所定の周期で送られてくる幅トリガー信号を検知(S11)する毎に、DIOボードから、幅カウントデータを、一時的に情報処理装置のメモリに格納するステップ(S12)とともに、時刻データと関連づけて情報処理装置のハードディスク(HD)の所定のアドレスに記録するステップ(S13)を実行する。また、情報処理装置は、HDの所定のアドレスに記録された幅カウントデータを、表示指令信号とともに、表示装置へ送出するステップを実行し、幅カウントデータが表示装置に表示される(S14)。幅カウントデータは、例えば、関連づけられた時刻データと対応させて一覧表の形式で表示装置に表示させてもよい。例えば、最新のデータから有限個(例えば、10個)のデータを表示させ、最新の幅カウントデータが追加される毎に、表示されているデータのうち、最先の表示データを削除させてもよい。また、最新の幅カウントデータだけを、順次1つづつ表示させてもよい。以下、各種のデータの表示は、幅カウントデータの場合と同様にして表示させてもよい。
幅測定用プログラムによれば、情報処理装置に、時刻データに対応する繊維集合体の幅に関するデータ、繊維集合体の所定時間内の幅に関する平均値、最大値、最小値などを解析させることができる。幅測定用プログラムにおいては、解析の種類(例えば、時刻データに対応する幅に関するデータの解析、所定時間内の幅に関する平均値の解析、最大値の解析、最小値の解析など)を選択できるようにしてもよい。
図7は、幅に関するデータの解析を選択した場合の幅測定用プログラムによる情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。図7のフローチャートは、繊維集合体の幅が広くなりすぎた状態(これ以上広くなると製品の品質に悪影響を与えるおそれがある状態:幅広状態)および狭くなりすぎた状態(これ以上狭くなると製品の品質に悪影響を与えるおそれがある状態:幅狭状態)が、長時間継続した場合または長時間ではないが頻発した場合に、生産条件を再調整するために、繊維集合体の生産工程から、繊維集合体を排出させる工程を示す。
幅に関するデータの解析を選択した場合、図7のように、情報処理装置は、情報処理装置のHDの所定のアドレスに記録された幅カウントデータを呼び出すステップ(S110)を実行し、呼び出された幅カウントデータに基づいて繊維集合体の幅に関するデータを算出するステップ(S111)を実行する。情報処理装置は、算出された幅に関するデータをHDの所定のアドレスに記録するステップ(S112)を実行するとともに、幅に関するデータに、表示指令信号をともなわせて、表示装置に送出するステップを実行し、時刻データに対応させて幅に関するデータが表示画面に表示される(S113)。
情報処理装置は、繊維集合体が幅広状態であるか否かを判別するために、HDに記録された幅に関するデータを基準値(上限)と比較するステップ(S121、S122)を実行する。幅に関するデータが上限以下の場合、幅広状態でないと判定される。そこで、繊維集合体が幅狭状態であるか否かを判別するために、幅に関するデータを基準値(下限)と比較するステップ(S131、S132)を実行する。幅に関するデータが下限以上の場合、正常と判定される。そのため、ステップS110に戻り、情報処理装置が、HDに記録された次の幅カウントデータを呼び出すステップを実行し、呼び出されたデータから繊維集合体の幅に関するデータを算出するステップ(S111)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
前記ステップS122において、時刻データに対応する幅に関するデータが上限より大きい場合(幅広状態の場合)、幅広状態が長時間継続しているか否かを判別するために、情報処理装置は、幅広状態になってからの経過時間(幅に関する第1の経過時間:幅広状態の経過時間)を算出するステップ(S141)を実行する。情報処理装置は、幅広状態の経過時間をHDの所定のアドレスに記録するステップ(S142)とともに、表示指令信号を表示装置に送出するステップを実行し、幅広状態の経過時間が表示画面に表示される(S143)。さらに、情報処理装置は、幅広状態の適否を判別するために、幅広状態の経過時間を基準時間A(第1の基準時間:長時間の基準)と比較するステップ(S152)を実行し、幅広状態の経過時間が基準時間A(長時間の基準)を超えた場合、幅広状態が長時間継続したと判定される。そこで、繊維集合体排出指令信号を繊維集合体排出装置へ送出するステップ(S185)を実行する。幅広状態の経過時間は、幅カウントデータに関連づけられた時刻データに基づいて、算出することができる。
幅広状態の経過時間が基準時間A(長時間の基準)以下の場合、幅広状態の経過時間が短時間であるか否かを判別するために、情報処理装置は、幅広状態の経過時間を基準時間B(短時間の基準)と比較するステップ(S161、S162)を実行する。幅広状態の経過時間が基準時間B(短時間の基準)未満の場合(幅広状態が発生したが短時間であった場合)、ステップS110に戻り、情報処理装置は、HDに記録された次の幅カウントデータを呼び出すステップ(S110)を実行し、呼び出されたデータから繊維集合体の幅に関するデータを算出するステップ(S111)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
幅広状態の経過時間が基準時間B(短時間の基準)以上の場合、繊維集合体の幅広状態の発生頻度を判定するために、情報処理装置は、経過時間が、基準時間A(長時間の基準)以下、かつ、基準時間B(短時間の基準)以上である幅広状態(準長時間の幅広状態)の所定期間内の発生回数を算出するステップ(S171)を実行する。準長時間の幅広状態の発生回数は、例えば、準長時間の幅広状態が発生したときカウントするカウント手段と、所定時間を経過したときリセットするリセット手段とを利用して行うことができる。情報処理装置は、準長時間の幅広状態の所定期間内の発生回数をHDの所定のアドレスに記録するステップ(S172)とともに、準長時間の幅広状態の所定期間内の発生回数に関するデータに、表示指令信号をともなわせて、表示装置に送出するステップを実行し、準長時間の幅広状態の所定期間内の発生回数が表示画面に表示される(S173)。準長時間の幅広状態が発生しても、実際には、発生頻度が低く、製品の品質に悪影響を与えるおそれがない場合がある。そこで、情報処理装置は、準長時間の幅広状態の適否を判別するために、準長時間の幅広状態の所定期間内の発生回数を基準回数(上限)と比較するステップ(S181、S182)を実行し、発生回数が上限を超えている場合、準長時間の幅広状態が頻発したと判定し、ステップS185において、繊維集合体排出指令信号を繊維集合体排出装置へ送出する。
発生回数が上限以下の場合、準長時間の幅広状態が発生したが、発生頻度が低いと判定される。ステップS110に戻り、情報処理装置は、ステップS110において、HDに記録された次の幅カウントデータを呼び出し、ステップS111において、呼び出された幅カウントデータに基づいて繊維集合体の幅に関するデータを算出する。このような動作が、解析を終了するまで、繰り返される。
ステップS132において、繊維集合体の幅に関するデータが下限未満の場合(幅狭状態の場合)、幅狭状態が長時間継続しているか否かを判別するために、情報処理装置は、幅に関するデータに関連付けられた時刻データに基づいて、幅狭状態になってからの経過時間(幅に関する第2の経過時間:幅狭状態の経過時間)を算出するステップ(S144)を実行する。情報処理装置は、幅狭状態の経過時間をHDの所定のアドレスに記録するステップ(S145)を実行するとともに、幅狭状態の経過時間に、表示指令信号をともなわせて、表示装置に送出するステップを実行し、幅狭状態の経過時間が表示画面に表示される(S146)。情報処理装置は、幅狭状態の経過時間を基準時間C(長時間の基準)と比較するステップ(S153)を実行する。幅狭状態の経過時間が基準時間C(長時間の基準)を超えている場合、幅狭状態が長時間継続したと判定される。そこで、情報処理装置は、繊維集合体排出指令信号を繊維集合体排出装置へ送出するステップ(S185)を実行する。
幅狭状態の経過時間が基準時間C(長時間の基準)以下の場合、幅狭状態が短時間であるか否かを判別するために、情報処理装置は、幅狭状態の経過時間を基準時間D(短時間の基準)と比較するステップ(S163、S164)を実行する。幅狭状態の経過時間が基準時間D(短時間の基準)未満の場合、幅狭状態が発生したが短時間であったと判定され、ステップS110に戻り、情報処理装置は、HDに記録されたデータを呼び出すステップを実行し、呼び出されたデータから繊維集合体の幅に関するデータを算出するステップ(S111)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
幅狭状態の経過時間が基準時間D(短時間の基準)以上の場合、幅狭状態の発生頻度を判定するために、情報処理装置は、経過時間が、基準時間C(長時間の基準)以下、かつ、基準時間D(短時間の基準)以上である幅狭状態(準長時間の幅狭状態)の所定期間内の発生回数を算出するステップ(S174)を実行する。情報処理装置は、準長時間の幅狭状態の所定期間内の発生回数を、HDの所定のアドレスに記録するステップ(S175)とともに、準長時間の幅狭状態の所定期間内の発生回数データに、表示指令信号をともなわせて、表示装置に送出するステップを実行し、準長時間の幅狭状態の所定期間内の発生回数データが表示画面に表示される(S176)。そして、情報処理装置は、所定期間内の発生回数を基準回数(上限)と比較するステップ(S183、S184)を実行する。発生回数が基準回数(上限)を超えている場合、準長時間の幅狭状態が頻発したことになる。そこで、情報処理装置は、繊維集合体排出指令信号を繊維集合体排出装置へ送出するステップ(S185)を実行する。
所定期間内の発生回数が基準回数(上限)以下の場合、準長時間の幅狭状態が発生したが、発生頻度が低く、製品の品質に悪影響を与えるおそれがないと判定される。そこで、ステップS110に戻り、情報処理装置は、HDに記録されたデータを呼び出すステップを実行し、呼び出されたデータから繊維集合体の幅に関するデータを算出するステップ(S111)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
「表示装置に表示」するためのステップ[幅に関するデータ(S113)、幅に関するデータが上限を超えてからの時間(S143)、幅に関するデータが下限未満になってからの時間(S146)、基準時間B(短時間の基準)以上の発生回数(S173)、基準時間D(短時間の基準)以上の発生回数(S176)の表示]においては、例えば、1台の表示装置の1つの表示画面上に各項目のデータを表示する欄を設けて、同時に表示させてもよい。例えば、幅に関するデータの表示は、最新のデータだけを順次表示させてもよく、最新のものから有限個数(例えば、10個)のデータを一覧表形式で表示させ、最新のデータが追加される毎に、最先の表示データが削除されるように表示させてもよい。幅広状態(または幅狭状態)の経過時間については、例えば、正常の状態では、「0(秒)」を表示させておき、幅広状態(または幅狭状態)になってから、幅に関するデータに関連付けられた時刻データに基づいて、カウントアップさせてもよい。
「HDに記録」するためのステップ(S112、S142、S145、S172、S175)においては、例えば、少なくとも、対応する幅カウントデータが関連づけられた時刻データ、およびデータの種類[幅に関するデータ、幅に関するデータが上限を超えてからの時間、幅に関するデータが下限未満になってからの時間、基準時間B(短時間の基準)以上の所定期間内の発生回数、基準時間D(短時間の基準)以上の発生回数]に基づいて呼び出し可能に、所定のアドレスに記録してもよい。以下、各種のデータの記録についても、同様に、少なくとも、対応する時刻データ、およびデータの種類に基づいて呼び出し可能に、所定のアドレスに記録してもよい。
図7においては、幅に関するデータを、基準値(上限)と比較した後に、基準値(下限)と比較しているが、基準値(下限)と比較した後に、基準値(上限)と比較してもよい。
ステップS132において、幅に関するデータが基準値(下限)未満になった場合、繊維集合体の反転現象が発生したと判定させ、反転現象の発生回数(の表示)をカウントアップさせてもよい。反転現象は、繊維集合体(フィルタートウなど)の生産工程において、繊維集合体が約1秒未満の短時間内に瞬間的に捻れ、表面と裏面が入れ替わる現象をいう。繊維集合体の反転現象が発生した部分は、幅が極端に狭くなるため、幅に関するデータを所定の基準値(下限)と比較することによって、反転現象の発生を検出することができる。反転現象は、繊維集合体をタバコ用フィルターなどに加工する場合の品質に悪影響を与える。そのため、反転現象の所定時間内の発生回数を算出するステップを設け、発生回数が基準値(上限)を超えた場合、外部に対して報知させてもよい。
図8は、所定時間内の反転現象の発生回数の基準値を3回に設定した場合に、警報指令信号を送出するときの動作を説明するためのグラフである。図8の例では、反転現象を検知したときカウントするカウンタ手段および所定時間を経過したときリセットするリセット手段により、反転現象の発生回数をカウントし、カウントが3回に達した時点で、警報指令信号が送出される。
図9は、幅に関する平均値の解析を選択した場合の幅測定用プログラムによる情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。繊維集合体の幅(所定時間内の平均値)が広すぎる状態(これ以上広くなると製品の品質に悪影響を与えるおそれがある状態)または狭すぎる状態(これ以上狭くなると製品の品質に悪影響を与えるおそれがある状態)となり、繊維集合体の幅を狭める動作または広げる動作を指示したが、その効果が認められなかった場合に、生産条件を再調整するために、生産工程から繊維集合体を排出させる工程を図9に示す。
平均値の解析を選択すると、図9のように、情報処理装置は、情報処理装置のHDの所定のアドレスに記録された幅カウントデータのうち、所定時間内(例えば、所定の2秒間)の幅カウントデータを呼び出すステップ(S210)を実行した後、呼び出されたデータから、繊維集合体の所定時間内の幅に関する平均値を算出するステップ(S211)を実行する。情報処理装置は、幅に関する平均値データを、HDの所定のアドレスに記録するステップ(S212)とともに、幅に関する平均値データに、表示指令信号をともなわせて、表示装置に送出するステップを実行し、幅に関する平均値が表示画面に表示される(S213)。
情報処理装置は、繊維集合体が幅広状態であるか否かを判定するために、幅に関する平均値データを基準値(上限)と比較するステップ(S221、S222)を実行し、平均値データが上限以下の場合、繊維集合体が幅狭状態であるか否かを判定するために、平均値データを基準値(下限)と比較するステップ(S223、S224)を実行する。平均値データが下限以上の場合、正常と判定される。そのため、ステップS210に戻り、情報処理装置は、HDの所定のアドレスに記録されたデータを呼び出すステップを実行し、呼び出されたデータから、所定時間内の幅に関する平均値データを算出するステップ(S211)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
ステップS222において、繊維集合体の幅に関する平均値データが上限を超えている場合、情報処理装置は、ステップS231において、所定の制御量(最小単位)だけ幅を狭めるための動作指示信号を幅調整装置へ送出する。幅を狭める動作を確認するために、情報処理装置は、HDの所定のアドレスに記録された前記動作後の所定時間内の幅カウントデータを呼び出すステップ(S241)を実行し、前記動作後の所定時間内の幅に関する平均値データを算出するステップ(S242)を実行する。情報処理装置は、前記動作後の幅に関する平均値データを、HDの所定のアドレスに記録するステップ(S243)を実行するとともに、前記動作後の幅に関する平均値データに、表示指令信号をともなわせて、表示装置へ送出ステップを実行し、前記動作後の幅に関する平均値が表示画面に表示される(S244)。
幅を狭めるための動作による制御動作を判別するために、情報処理装置は、前記動作後の幅に関する平均値データを、前記動作前の幅に関する平均値データと比較するステップ(S251、S252)を実行する。前記動作後の幅に関する平均値データが前記動作前の幅に関する平均値データ以上の場合、制御動作が認められなかったことになる。そこで、情報処理装置は、繊維集合体排出指令信号を繊維集合体排出装置へ送出するステップ(S260)を実行する。一方、前記動作後の幅に関する平均値が前記動作前の幅に関する平均値未満の場合、制御動作が認められたことになる。そこで、ステップS210に戻り、情報処理装置は、HDに記録された繊維集合体の幅カウントデータのうち、所定時間内の幅カウントデータを呼び出すステップ(S245)を実行し、呼び出されたデータから所定時間内の幅に関する平均値データを算出するステップ(S246)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
前記ステップS224において、繊維集合体の幅に関する平均値データが下限未満の場合、繊維集合体の幅を広げるために、情報処理装置は、ステップ232において、幅調整装置に所定の制御量(最小単位)だけ幅を広げるための動作指示信号を送出する。幅を広げる動作の効果を確認するために、情報処理装置は、HDの所定のアドレスに記録された前記動作後の所定時間内の幅カウントデータを呼び出すステップ(S245)を実行した後、呼び出されたデータから、前記動作後の繊維集合体の所定時間内の幅に関する平均値データを算出するステップ(S246)を実行する。情報処理装置は、前記動作後の幅に関する平均値データを、HDの所定のアドレスに記録するステップ(S247)を実行するとともに、前記動作後の幅に関する平均値データに、表示指令信号をともなわせて、表示装置へ送出するステップを実行し、前記動作後の幅に関する平均値が表示画面に表示される(S248)。幅を広げる制御動作を判別するために、情報処理装置は、前記動作後の幅に関する平均値データを、前記動作前の幅に関する平均値データと比較するステップ(S253、S254)を実行する。前記動作後の幅に関する平均値データが前記動作前の幅に関する平均値以下の場合、適切な制御動作が行われたと判定される。そこで、情報処理装置は、繊維集合体排出指令信号を繊維集合体排出装置へ送出するステップ(S260)を実行する。一方、前記動作後の幅に関する平均値データが前記動作前の幅に関する平均値データを超えている場合、適切な制御動作が行われたと判定される。そこで、ステップS210に戻り、情報処理装置は、HDの所定のアドレスに記録されたデータを呼び出すステップを実行し、呼び出されたデータから繊維集合体の所定時間内の幅に関する平均値データを算出するステップ(S211)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
ステップS213、S244、S248における幅に関する平均値の表示は、各平均値のデータを、対応する幅カウントデータに関連づけられた時刻データ(所定時間の最初に対応する時刻データおよび最後に対応する時刻データなど)に対応させて、例えば、一覧表形式で表示させてもよい。
図9においては、幅に関する平均値データを基準値(上限)と比較した後に、基準値(下限)と比較しているが、基準値(下限)と比較した後に、基準値(上限)と比較してもよい。
図10は、幅に関する最大値および最小値の解析を選択した場合の幅測定用プログラムによる情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。図10のフローチャートは、繊維集合体の幅(所定時間内の最大値)が広すぎる状態(これ以上広くなると製品の品質に悪影響を与えるおそれがある状態)または繊維集合体の幅(所定時間内の最小値)が狭すぎる状態(これ以上狭くなると製品の品質に悪影響を与えるおそれがある状態)が発生し、繊維集合体の幅を狭める動作または広げる動作を指示しても、制御動作が認められない場合に、生産条件を再調整するために、生産工程から繊維集合体を排出させる工程を示す。
最大値および最小値の解析を選択すると、図10のように、繊維集合体が幅広状態であるか否かを判定するために、情報処理装置は、情報処理装置のHDの所定のアドレスに記録された幅カウントデータのうち、所定時間内(例えば、所定の2秒間)の幅カウントデータを呼び出すステップ(S311)を実行した後、呼び出されたデータから繊維集合体の所定時間内の幅に関する最大値データを抽出するステップ(S312)を実行する。情報処理装置は、抽出された幅に関する最大値データを、HDの所定のアドレスに記録するステップ(S313)を実行するとともに、抽出された幅に関する最大値データに、表示指令信号をともなわせて、表示装置へ送出するステップを実行し、幅に関する最大値が表示画面に表示される(S314)。繊維集合体が幅広状態であるか否かを判別するために、情報処理装置は、幅に関する最大値データを、基準値(上限)と比較するステップ(S321、S322)を実行する。
最大値データが上限以下の場合、繊維集合体が幅狭状態であるか否かを判定するために、情報処理装置は、HDに記録された幅カウントデータのうち、所定時間内の幅カウントデータを呼び出すステップ(S315)を実行した後、呼び出されたデータから、所定時間内における繊維集合体の幅に関する最小値データを抽出するステップ(S316)を実行する。情報処理装置は、幅に関する最小値データを、HDの所定のアドレスに記録するステップ(S317)を実行するとともに、幅に関する最小値データに、表示指令信号をともなわせて、表示装置に送出するステップを実行し、幅に関する最小値が表示画面に表示される(S318)。繊維集合体が幅狭状態であるか否かを判別するために、情報処理装置は、HDに記録された幅に関する最小値を、基準値(下限)と比較するステップ(S323、S324)を実行する。最小値が下限以上の場合、正常と判定される。そこで、ステップS311に戻り、情報処理装置は、HDに記録された繊維集合体の幅カウントデータのうち、所定時間内の幅カウントデータを呼び出すステップを実行し、呼び出されたデータから所定時間内の幅に関する最大値データを抽出するステップ(S312)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
前記ステップS322において、幅に関する最大値データが上限を超えると、繊維集合体の幅を狭めるために、情報処理装置は、所定の制御量(最小単位)だけ繊維集合体の幅を狭めるための動作指示信号を幅調整装置へ送出するステップ(S331)を実行する。幅を狭めるための動作による制御動作を確認するために、情報処理装置は、HDの所定のアドレスに記録された前記動作後の所定時間内の幅カウントデータを呼び出すステップ(S341)を実行した後、呼び出されたデータから、前記動作後の所定時間内の繊維集合体の幅に関する最大値データを抽出するステップ(S342)を実行する。情報処理装置は、前記動作後の幅に関する最大値データを、HDの所定のアドレスに記録するステップ(S343)を実行するとともに、前記動作後の幅に関する最大値データに、表示指令信号をともなわせて、表示装置へ送出するステップを実行し、前記動作後の幅に関する最大値が表示画面に表示される(S344)。幅を狭めるための動作による制御動作を判別するために、情報処理装置は、前記動作後の幅に関する最大値データを、前記動作前の幅に関する最大値データと比較するステップ(S351、S352)を実行する。前記動作後の幅に関する最大値データが、前記動作前の幅に関する最大値データ未満でない場合、適正な制御動作が行われたと判定される。そこで、情報処理装置は、繊維集合体排出指令信号を繊維集合体排出装置へ送出するステップ(S360)を実行する。前記動作後の幅に関する最大値データが、前記動作前の幅に関する最大値データ未満の場合、適正な制御動作が行われたと判定される。そこで、ステップS311に戻り、情報処理装置は、HDの所定のアドレスに記録された繊維集合体の所定時間内の幅カウントデータを呼び出すステップ(S311)を実行し、呼び出されたデータから幅に関する最大値を算出するステップ(S312)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
前記ステップS324において、最小値データが下限未満の場合、繊維集合体の幅を広げるために、情報処理装置は、所定の制御量(最小単位)だけ幅を広げるための動作指示信号を幅調整装置へ送出するステップ(S332)を実行する。制御動作を確認するために、情報処理装置は、HDの所定のアドレスに記録された前記動作後の所定時間内の幅カウントデータを呼び出すステップ(S345)を実行した後、呼び出されたデータから、前記動作後の所定時間内の繊維集合体の幅に関する最小値を抽出するステップ(S346)を実行する。情報処理装置は、前記動作後の幅に関する最小値を、HDの所定のアドレスに記録するステップ(S347)を実行するとともに、前記動作後の幅に関する最小値データに表示指令信号をともなわせて表示装置へ送出するステップを実行し、前記動作後の幅に関する最小値が表示画面に表示される(S348)。制御動作を判別するために、情報処理装置は、前記動作後の幅に関する最小値データを、前記動作前の幅に関する最小値データと比較するステップ(S353、S354)を実行する。前記動作後の幅に関する最小値データが、前記動作前の幅に関する最小値データ以下の場合、適正な制御動作が行われたと判定される。そこで、繊維集合体排出指令信号を繊維集合体排出装置へ送出するステップ(S360)を実行する。一方、前記動作後の幅に関する最小値データが、前記動作前の幅に関する最小値データを超えている場合、適正な制御動作が行われたと判定される。そこで、ステップS311に戻り、情報処理装置は、HDに記録された幅カウントデータのうち所定時間内に対応する時刻データと関連づけられた幅カウントデータを呼び出すステップを実行し、繊維集合体の次の所定時間内の幅に関する最大値を抽出するステップ(S312)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
「幅に関する最大値の表示」のためのステップ(S314、S344)および「幅に関する最小値の表示」のためのステップ(S318、S348)においては、例えば、表示装置の1つの表示画面に最大値を表示するための欄と、最小値を表示するための欄とを設けておき、対応する幅カウントデータが関連づけられた時刻データ(所定時間の最初に対応する時刻データおよび最後に対応する時刻データ)に対応させて、例えば、一覧表形式で表示させてもよい。
図10においては、情報処理装置に、最大値を解析させた後に、最小値を解析させているが、最小値を解析させた後に、最大値を解析させてもよい。図10においては、情報処理装置に、最大値と最小値とを組み合わせて解析させているが、最大値と最小値とをそれぞれ個別に解析させてもよい。
繊維集合体の幅に関する平均値、最大値および最小値から選ばれた少なくとも一種が、基準値(範囲)から外れた場合、情報処理装置に、警報指令信号を警報装置へ送出するステップを実行させてもよい。図11は、繊維集合体の幅に関する平均値が、基準値(上限)を外れ、情報処理装置に、警報指令信号を送出するステップを実行させるときの動作を説明するためのグラフである。幅測定を継続する場合、情報処理装置は、幅トリガー信号を検知するたびに同じ動作を、繰り返し、実行する。この繰り返しにより、繊維集合体の幅が常時監視され、幅の異常や反転現象などが直ちに報知され、生産工程へ迅速にフィードバックされ、例えば、品質改善およびその効果確認に活用される。
[厚み測定用プログラム]
厚み測定が開始されると、情報処理装置は、厚みクランプドビデオ信号を読込むステップを実行する。図12は、厚み測定用プログラムの起動に応答して作動する厚みクランプドビデオ信号の読込の動作の一例を示すフローチャートである。図12のように、厚み測定用プログラムが起動すると、情報処理装置が厚みクランプドビデオ信号を読込むステップを実行する。すなわち、情報処理装置は、厚みクランプドビデオ信号とともに所定の周期で送られてくる厚みトリガー信号を検知(S21)する毎に、厚みクランプドビデオ信号をA/D変換ボードでサンプリングするステップ(S22)、サンプリングした厚みクランプドビデオ信号をデジタルデータの集合体に変換するステップ(S23)、厚みクランプドビデオ信号のデジタルデータを一時的にA/D変換ボードのメモリに記録するステップ(S24)、前記厚みクランプドビデオ信号のデジタルデータを一時的に情報処理装置のメモリに格納するステップ(S25)、前記厚みクランプドビデオ信号のデジタルデータを時刻データと関連づけて情報処理装置のHDの所定のアドレスに記録するステップ(S26)を実行するとともに、厚みクランプドビデオ信号のデジタルデータに、表示指令信号をともなわせて、表示装置に送出するステップを実行し、前記デジタルデータが、厚みプロファイルとして、表示画面に表示される(S27)。
なお、厚みクランプドビデオ信号に代えて、厚みビデオ信号(ラインセンサカメラなどからの直流結合されたビデオ信号)を使用してもよい。
厚み測定用プログラムによれば、情報処理装置に、繊維集合体の走行位置、繊維集合体の厚みの形態などを連続的に逐次解析させることができる。厚み測定用プログラムを起動した場合、解析の種類(例えば、繊維集合体の走行位置の解析、繊維集合体の形態の解析など)が選択される。
図13は、繊維集合体の走行位置の解析を選択した場合の厚み測定用プログラムによる情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。図13のフローチャートは、繊維集合体の走行位置(左端)が左側に偏在しすぎた状態または繊維集合体の走行位置(右端)が右側に偏在しすぎ、これ以上偏在すると捲縮工程などの生産工程に悪影響を与え、製品の品質に悪影響を与えるおそれがあり、繊維集合体の走行位置の偏在を直す動作(右または左への移動)を指示したが、その指示の効果が認められなかった場合に、警報出力指令信号を警報装置へ送出する工程を示す。
繊維集合体の走行位置の解析を選択する場合、図13のように、走行位置解析用プログラムが起動し、繊維集合体の走行位置(左端位置)の適否を判定するために、情報処理装置が、情報処理装置のHDの所定のアドレスに記録されたデータを呼び出すステップ(S411)を実行する。情報処理装置は、呼び出されたデータから繊維集合体の左端位置LP1を抽出するステップ(S412)を実行するとともに、左端位置LP1に関するデータに、表示指令信号をともなわせて、表示装置へ送出するステップを実行し、左端位置LP1が表示画面に表示される(S413)。繊維集合体の走行位置が左側に偏在しているか否かを判別するために、情報処理装置は、左端位置LP1を、基準値(左限)と比較するステップ(S421、S422)を実行する。例えば、厚みプロファイルが所定のスライスラインと交差する位置のうち、最も左側の位置を左端位置LP1とし、最も右側の位置を右端位置RP1として抽出さることができる。
左端位置LP1が左限より左でない場合、繊維集合体の走行位置(右端位置)の適否を判定するために、情報処理装置は、HDの所定のアドレスに記録されたデータを呼び出すステップ(S414)を実行する。情報処理装置は、呼び出されたデータから繊維集合体の右端位置RP1を抽出するステップ(S415)を実行するとともに、右端位置RP1に関するデータに、表示指令信号をともなわせて表示装置へ送出するステップを実行し、右端位置RP1が表示画面に表示される(S416)。繊維集合体の走行位置が右側に偏在しているか否かを判別するために、情報処理装置は、右端位置RP1を、基準値(右限)と比較するステップ(S423、S424)を実行する。右端位置RP1が右限より右でない場合、正常と判定される。そこで、ステップS411に戻り、情報処理装置が、HDの所定のアドレスに記録された前記データを呼び出すステップを実行し、呼び出されたデータから繊維集合体の左端位置を抽出するステップ(S412)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
前記ステップS422において、左端位置LP1が左限より左の場合、繊維集合体の走行位置を右へ移動させるために、情報処理装置は、右への移動(最小単位)を指示する信号を走行位置調整装置へ送出するステップ(S431)を実行する。移動の適否を確認するために、情報処理装置は、HDの所定のアドレスに記録された前記指示後のデータを呼び出すステップ(S441)を実行した後、前記指示後の繊維集合体の左端位置LP2を抽出するステップ(S442)を実行し、左端位置LP2に関するデータに、表示指令信号をともなわせて、表示装置へ送出するステップを実行し、左端位置LP2が表示画面に表示される(S443)。移動の指示の効果の有無を判別するために、情報処理装置は、左端位置LP2を、左端位置LP1と比較するステップ(S451、S452)を実行する。左端位置LP2が左端位置LP1より右でない場合、移動の指示の効果が認められなかったと判定される。そこで、情報処理装置は、警報指令信号を警報装置へ送出するステップ(S460)を実行する。一方、左端位置LP2が左端位置LP1より右の場合、移動の指示の効果が認められたと判定される。そこで、ステップS411に戻り、情報処理装置が、HDの所定のアドレスに記録されたデータを呼び出すステップを実行し、呼び出されたデータから繊維集合体の左端位置を抽出するステップ(S412)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
前記ステップS424において、右端位置RP1が右限より右の場合、繊維集合体の走行位置を左へ移動させるために、情報処理装置は、左への移動(最小単位)を指示する信号を走行位置調整装置へ送出するステップ(S432)を実行する。移動の適否を確認するために、情報処理装置は、HDの所定のアドレスに記録された前記指示後のデータを呼び出すステップ(S444)を実行する。情報処理装置は、呼び出されたデータから、前記指示後の繊維集合体の右端位置RP2を抽出するステップ(S445)を実行した後、右端位置RP2に関するデータに、表示指令信号をともなわせて、表示装置へ送出するステップを実行し、右端位置RP2が表示画面に表示される(S446)。移動の指示の効果の有無を判別するために、情報処理装置は、右端位置RP2を、右端位置RP1と比較するステップ(S453、S454)を実行する。右端位置RP2が右端位置RP1より左でない場合、移動の指示の効果が認められなかったことになる。そこで、警報指令信号を警報装置へ送出するステップ(S460)を実行する。右端位置RP2が右端位置RP1より左の場合、移動の指示の効果が認められたことになる。そこで、ステップS411に戻り、情報処理装置が、HDの所定のアドレスに記録されたデータを呼び出すステップ(S411)を実行し、繊維集合体の右端位置を抽出するステップ(S412)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
「表示装置に表示」のステップ[LP1の表示(S413)、LP2の表示(S443)、RP1の表示(S416)、RP2の表示(S446)]においては、例えば、表示装置の1つの表示画面に右端位置(LP1、LP2)を表示するための欄と、左端位置(RP1、RP2)を表示するための欄とを設けておき、それぞれ、対応する厚みクランプドビデオ信号(または厚みビデオ信号)が関連づけられた時刻データに対応させて、一覧表形式で表示させてもよい。なお、繊維集合体の左端位置(LP1、LP2)および右端位置(RP1、RP2)は、例えば、所定の基準線[例えば、撮像された画像(画面)の左端、右端、中央線など]からの相対的な距離に関するデータによって表してもよい。
図13においては、情報処理装置に、左端位置を解析するステップを実行させた後に、右端位置を解析するステップを実行させているが、右端位置を解析するステップを実行させた後に、左端位置を解析するステップを実行させてもよい。
図14は、繊維集合体の形態の解析を選択した場合の厚み測定用プログラムによる情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。図14のフローチャートは、繊維集合体の幅方向における厚みのバラツキをなくすために、厚みのプロファイルを複数領域[この例では、三領域(左領域、中央領域、右領域)]に分割し、最も厚い領域と、最も薄い領域とを特定し、「最も厚い領域の厚み」の「最も薄い領域の厚み」に対する比を算出し、その比が大きすぎて、それ以上大きくなると製品の品質に悪影響を与えるおそれがある状態が発生した場合に、厚い領域のヤーンを減少させ、薄い領域のヤーンを増加させて、厚みのバラツキをなくす工程を示す。
形態の解析が選択された場合、図14のように、形態解析用プログラムが起動し、厚みのプロファイルを三領域に分割するために、情報処理装置は、情報処理装置のHDの所定のアドレスに記録されたデータを呼び出すステップ(S511)を実行した後、呼び出されたデータから繊維集合体の左端位置LPおよび右端位置RPを抽出するステップ(S512、S513)、左端位置LP−右端位置PR間を三等分する位置(中央左側CL、中央右側CR)を算出するステップ(S514)、左領域(左端位置LP−中央左側CL間)の面積L、中央領域(中央左側CL−中央右側CR間)の面積Cおよび右領域(中央右側CR−右端位置RP間)の面積Rを算出するステップ(S515、S517、S519)を実行し、得られたデータをそれぞれHDの所定のアドレスに記録するステップ(S516、S518、S520)を実行する。
そして、情報処理装置は、前記三領域(左領域、中央領域、右領域)について、最も厚い領域(面積が広い領域)と最も薄い領域(面積が狭い領域)とを特定するためのステップを実行した後、「最も厚い領域の厚み(面積)」の「最も薄い領域の厚み(面積)」に対する比を算出するためのステップを実行する。
すなわち、情報処理装置は、左領域面積Lと中央領域面積Cとを比較するステップ(S521)を実行し、左領域面積L>中央領域面積Cの場合には、中央領域面積Cと右領域面積Rとを比較するステップ(S522)を実行する。中央領域面積C>右領域面積Rの場合、左領域が最も厚く、右領域が最も薄いことになる。そこで、左領域面積L/右領域面積Rを算出するステップ(S531)を実行する。前記ステップS522において、中央領域面積C>右領域面積Rでない場合には、情報処理装置は、左領域面積Lと右領域面積Rとを比較するステップ(S524)を実行する。左領域面積L>右領域面積Rの場合、左領域が最も厚く、中央領域が最も薄いことになる。そこで、厚みのバラツキの程度を定量化するために、情報処理装置は、左領域面積L/中央領域面積Cを算出するステップ(S532)を実行する。前記ステップS524において、左領域面積L>右領域面積Rでない場合、右領域が最も厚く、中央領域が最も薄いことになる。そこで、厚みのバラツキの程度を定量化するために、情報処理装置は、右領域面積R/中央領域面積Cを算出するステップ(S533)を実行する。
前記ステップS521において、左領域面積L>中央領域面積Cでないとき、情報処理装置は、中央領域面積Cと右領域面積Rとを比較するステップ(S523)を実行する。中央領域面積C<右領域面積Rのとき、右領域が最も厚く、左領域が最も薄いことになる。そこで、厚みのバラツキの程度を定量化するために、情報処理装置は、右領域面積R/左領域面積Lを算出するステップ(S534)を実行する。前記ステップS523において、中央領域面積C<右領域面積Rでないとき、情報処理装置は、左領域面積Lと右領域面積Rとを比較するステップを実行する。左領域面積L<右領域面積Rのとき、中央領域が最も厚く、左領域が最も薄いことになる。そこで、厚みのバラツキの程度を定量化するために、情報処理装置は、中央領域面積C/左領域面積Lを算出するステップ(S535)を実行する。左領域面積L<右領域面積Rでないとき、中央領域が最も厚く、右領域が最も薄いことになる。そこで、厚みのバラツキの程度を定量化するために、情報処理装置は、中央領域面積C/右領域面積Rを算出するステップ(S536)を実行する。
情報処理装置は、ステップS531〜S536で算出された「最も薄い領域の厚み(面積)」に対する「最も厚い領域の厚み(面積)」の割合を、厚みのバラツキに関する基準値(上限)と比較するステップ(S541〜S546、S551〜S556)を実行する。前記比が上限以下の場合、厚みのバラツキが小さいことになる。そこで、ステップS511に戻り、情報処理装置が、HDの所定のアドレスに記録されたデータを呼び出すステップを実行し、繊維集合体の次の左端位置および右端位置を抽出するステップ(S512、S513)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
ステップS551〜S556において、前記比が上限以下でないとき、厚みのバラツキが大きいことになる。そこで、厚みのバラツキを調整するために、情報処理装置は、ヤーンの移動を指示する信号を厚み調整装置へ送出するステップを実行する。例えば、ステップS551において、左領域面積L/右領域面積Rが上限を超えているとき、左領域(最も厚い領域)を薄くし、右領域(最も薄い領域)を厚くするために、情報処理装置は、中央領域を構成するヤーンの一部を右領域へ移動し、左領域を構成するヤーンの一部を中央領域へ移動することを指示する信号を厚み調整装置へ送出するステップ(S561)を実行する。ステップS552において、左領域面積L/中央領域面積Cが上限を超えているとき、左領域(最も厚い領域)を薄くし、中央領域(最も薄い領域)を厚くするために、情報処理装置は、左領域を構成するヤーンの一部を中央領域へ移動することを指示する信号を厚み調整装置へ送出するステップ(S562)を実行する。ステップS553において、右領域面積R/中央領域面積Cが上限を超えているとき、右領域(最も厚い領域)を薄くし、中央領域(最も薄い領域)を厚くするために、情報処理装置は、右領域を構成するヤーンの一部を中央領域へ移動することを指示する信号を厚み調整装置へ送出するステップ(S563)を実行する。
また、ステップS554において、右領域面積R/左領域面積Lが上限を超えているとき、右領域(最も厚い領域)を薄くし、左領域(最も薄い領域)を厚くするために、情報処理装置は、中央領域を構成するヤーンの一部を左領域へ移動し、右領域を構成するヤーンの一部を中央領域へ移動することを指示する信号を厚み調整装置へ送出するステップ(S564)を実行する。ステップS555において、中央領域面積C/左領域面積Lが上限を超えているとき、中央領域(最も厚い領域)を薄くし、左領域(最も薄い領域)を厚くするために、情報処理装置は、中央領域を構成するヤーンの一部を左領域へ移動することを指示する信号を厚み調整装置へ送出するステップ(S565)を実行する。ステップS556において、中央領域面積C/右領域面積Rが上限を超えているとき、中央領域(最も厚い領域)を薄くし、右領域(最も薄い領域)を厚くするために、情報処理装置は、中央領域を構成するヤーンの一部を右領域へ移動することを指示する信号を厚み調整装置へ送出するステップ(S566)を実行する。
図14のステップS516、S518およびS520のそれぞれにおいて情報処理装置のHDの所定のアドレスに記録された左領域面積Lデータ(左領域の厚みデータ)、中央領域面積Cデータ(中央領域の厚みデータ)および右領域面積Rデータ(右領域の厚みデータ)の値から、情報処理装置に、繊維集合体の幅方向の厚薄分布状態が、基準となる厚薄分布パターンのどれに分類されるかを判定させることができる。 図15に、厚薄分布パターンの類型の一例を示す。図15では、厚薄分布パターンを、左領域面積L>中央領域面積C<右領域面積Rの場合には、中央領域が薄く外側が厚いパターン(分類A)、左領域面積L<中央領域面積C>右領域面積Rのとき、中央領域が厚く外側が薄いパターン(分類B)、左領域面積L=中央領域面積C=右領域面積Rの場合には、均一(分類C)、左領域面積L>中央領域面積C>右領域面積Rまたは左領域面積L<中央領域面積C<右領域面積Rのとき、片薄(分類D)としている。厚薄分布状態が、分類A、分類Bまたは分類Dに分類されるとき、改善アクションの必要性を報知させるために、情報処理装置に、警報指令信号を警報装置へ送出するステップを実行させてもよい。必要に応じて、情報処理装置に、判定結果をHDの所定のアドレスに記録するステップを実行させてもよい。この結果に基づき、目的に応じた形態への変更、調整の作業(例えば、繊維集合体を構成するヤーン配列の変更や修正など)などと結びつけることができる。
例えば、情報処理装置に、目標の形態に対して、薄い領域(左領域、中央領域または右領域)を特定するステップを実行させた後、(i)左領域が薄いとき、右領域を構成するヤーンの一部と中央領域を構成するヤーンの一部とを左領域へ移動することを指示する信号を厚み調整装置へ送出するステップ、(ii)中央領域が薄いとき、左領域を構成するヤーンの一部と右領域を構成するヤーンの一部とを中央領域に移動することを指示する信号を厚み調整装置へ送出するステップ、(iii)右領域が薄いとき、左領域を構成するヤーンの一部と中央領域を構成するヤーンの一部とを右領域へ移動することを指示する信号を厚み調整装置へ送出するステップを実行させてもよい。
厚み測定を継続するとき、情報処理装置は、厚みトリガー信号を検知する毎に、同じ動作(ステップ)を、繰り返し、実行する。この繰り返しにより、繊維集合体の厚みが常時監視され、厚み異常が直ちに報知され、生産工程へ迅速にフィードバックされ、例えば、品質改善およびその効果確認に有益な情報として活用される。目的の形態(厚み)になっていないとき、情報処理装置に、形態(厚み)を調整するための指示信号を厚み調整装置へ送出するステップを実行させてもよい。その後、情報処理装置に、繊維集合体の形態(厚み)が改善したかどうかを判定するステップを実行させ、改善していない場合に、警報指令信号を警報装置へ送出するステップを実行させてもよい。
図16に、透過光量に基づく厚みに関するプロファイルの一例を示す。また、図17に、図16の厚みに関するプロファイルを三領域に分割し、色分け(ハッチ付け)表示した状態を示す。さらに、図18に、図16の厚みに関するプロファイルを三領域に分割してグラフ化した厚みの形態を示す。
図12のステップS27において表示装置に表示させる厚みに関するプロファイル(幅方向の厚みデータ)は、繊維集合体の幅方向の断面における厚み(透過光量)データの分布を、図16のようにグラフ化した表示であってもよい。厚みを透過光量で評価するとき、透過光量の数値が大きいほど厚みが薄いことになる。例えば、図17および図18のように、厚みの状態が視覚的に判りやすい形態で表示させてもよい。図16では、図14のステップS512〜S514で抽出および算出した左端位置LP、右端位置RP、左端位置LP−右端位置RP間を三等分する位置(中央左側CL、中央右側CR)にしたがって、厚みに関するプロファイルを幅方向に三等分[左領域(L)、中央領域(C)、右領域(R)]して表示している。図17では、図16で三等分した各領域を色分け表示(ハッチ付け)している。図18では、各領域の厚みを示す代表値[データの総和(面積)、平均値など]を使用して、グラフ化している。
図19〜21は、繊維集合体の厚みに関するプロファイルの経時変化の表示である。例えば、図19は、得られた厚みに関するプロファイルを時系列的に三次元表示(単一系列の時間経過表示)したグラフである。図19の厚みに関するプロファイルは、以下のようにして、表示される。すなわち、図12のステップS26で、情報処理装置のHDに記録されたデータは、繊維集合体の幅方向における走査線上の厚みに関する分布を表している。具体的には、ステップS26で、情報処理装置のHDに記録されたデータは、繊維集合体の幅方向の走査線上にある1点における映像の明るさ(=厚みに反比例する透過光量)に対応するデータの集合体である。
例えば、繊維集合体の幅方向をX軸とし、時間軸をY軸とし、厚み方向をZ軸とし、繊維集合体の厚みのプロファイルを、表示装置の表示画面上に、時系列的に位置をずらして表示させてもよい。すなわち、表示装置の表示画面に、X軸、Y軸およびZ軸を有する3次元のグラフ表示座標を用意し、X軸を幅方向(繊維集合体の幅)に、Y軸を時刻データに対応する時間に、Z軸を透過光量[繊維集合体の厚みに反比例する薄さ]に割当て、例えば、表示装置に、最初の時刻データと関連づけられたデータから得られた厚みに関するプロファイルを、Y軸の時間0に最も近いところにプロットさせ、時間経過とともに、Y軸において、経過時間と関連づけて、順次遅い時刻データに関連づけられたデータから得られた厚みに関するプロファイルを、プロットさせる。規定回数のプロット毎に、表示画面をクリアしてもよい。クリア後、n回目のプロファイルをn−1回目のプロファイルの位置に全てプロットしなおし、最も新しいプロファイルを常に特定の位置(N回目の位置)にプロットさせてもよい。
厚みに関するプロファイルの時間経過表示は、図20のように、三等分した領域の面積を使用したグラフ(図18)の三次元表示(時間経過表示)であってもよい。この表示では、厚みの形態(厚薄分布状態)について、図15の厚薄分布パターンに基づく判定結果を、前記厚みのプロファイルの時間経過表示(図19)と同様な方法で表示させることができる。この表示では、厚みの形態(厚薄分布状態)の経時的変化を容易に観察できる。例えば、中央領域が薄く外側が厚いパターンの形態であった繊維集合体が、時間経過とともに、中央領域が厚く外側が薄いパターンの形態に変化する状況などを一目で判別できる。
図21のように、表示装置に、複数の系列で計測したデータを同時に表示させることで、系列間での厚みの状態を容易に比較できる。図22では、表示装置に、繊維集合体の厚みの経時的な変動領域(変動の範囲)を表示させることができる。具体的には、表示装置に、繊維集合体の厚みに関するプロファイルを重ね書きさせることで、そのラインの密な部分が変動の多い領域であることを一目で判別できる。例えば、繊維集合体の幅方向をX軸とし、厚み方向をY軸とし、繊維集合体の厚みのプロファイルを、表示装置の表示画面上に、重ね合わせて同時に表示させてもよい。すなわち、表示画面上に、X軸、Y軸およびZ軸を有する三次元グラフ(図19)に代えて、X軸およびY軸だけの二次元グラフ(図22)を用意し、繊維集合体の厚みのプロファイルを、重ね書きした状態で表示させてもよい。図22は、繊維集合体の厚みの経時的な変動領域(変動の範囲)を監視するための表示の一例を示す模式図である。この表示では、厚みの変動の多い領域(幅方向における位置)を容易に判別できる。このような厚みのプロファイルの二次元グラフによる表示によれば、各厚みのプロファイルの左端および右端の位置の変動から、繊維集合体の走行位置の変動を知ることもできる。
[汚れ測定用プログラム]
情報処理装置に、(1)汚れ検知トリガー信号を検知する毎に、繊維集合体の汚れカウントデータを順次読込むステップと、(2)順次読込んだ汚れカウントデータを時刻データと関連づけて情報処理装置の記録装置に順次記録するステップと、(3a)時刻データと関連づけられた繊維集合体の汚れカウントデータから、繊維集合体の汚れの大きさに関するデータを得るステップと、(3b)汚れ検知トリガー信号を検知する毎に、汚れ検知トリガー信号とともに送られてくる繊維集合体の映像信号を読込むステップとを実行させてもよい。情報処理装置に、さらに(4)前記ステップ(3a)で得られた汚れの大きさに関するデータから、繊維集合体の汚れの大きさに関するデータを時系列的に得るステップ、(5)繊維集合体の汚れの発生状況(汚れの大きさ、所定時間内の発生回数など)を時系列的に表示させるための信号を表示装置へ送出するステップを実行させてもよい。汚れ測定用プログラムにより、所定の大きさまたは頻度を越える汚れの発生があった場合、その時点で不良トウとして排除し、製品として流出することを防止できる。また、汚れの発生状況から原因を調査し、改善作業に結びつけることができる。
図23は、汚れ測定用プログラムによる情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。図23のように、汚れ測定用プログラムが起動すると、情報処理装置が、汚れカウントデータに関する信号の読込を開始する。
すなわち、情報処理装置が、汚れカウントデータに関する信号とともに送られてくる汚れ検知トリガー信号を検知(S610)する毎に、その瞬間の繊維集合体の映像を、キャプチャボードを介してキャプチャするステップ(S611)を実行する。情報処理装置は、繊維集合体の映像を、情報処理装置のHDの所定のアドレスに記録するステップ(S612)を実行するとともに、繊維集合体の映像信号に、表示指令信号をともなわせて、表示装置へ送出するステップを実行し、繊維集合体の映像が表示画面に表示される(S613)。
一方、情報処理装置は、汚れカウントデータをDIOボードから一時的に情報処理装置のメモリに格納するステップ(S621)を実行し、汚れカウントデータを時刻データと関連づけて情報処理装置のHDの所定のアドレスに記録するステップ(S622)を実行するとともに、汚れカウントデータに、表示指令信号をともなわせて、表示装置に送出するステップを実行し、汚れカウントデータが表示画面に表示される(S623)。
情報処理装置は、ステップS622においてHDの所定のアドレスに記録された汚れカウントデータを呼び出すステップ(S631)を実行した後、呼び出された汚れカウントデータに基づいて、汚れの大きさを判定するために、下記のようにして、汚れの大きさに関するデータ(汚れサイズ値データ)を算出するステップ(S632)を実行する。汚れの大きさの適否を判別するために、情報処理装置は、汚れサイズ値データを、基準値(上限)と比較するステップ(S633)を実行する。
汚れサイズ値は、例えば、幅方向の同じ位置で汚れがカウントされた繊維集合体の幅方向の走査線が、連続して隣接する数に相当し、繊維集合体の走行方向における汚れの長さに対応する。したがって、汚れサイズ値が大きいほど、汚れが大きいと評価できる。すなわち、通常、繊維集合体の汚れは複数の走査線に跨って発生するため、複数の走査線(特に隣接または近接する走査線)における各クランプドビデオ信号(またはビデオ信号)から抽出された汚れカウントデータに関する信号に基づいて、各クランプドビデオ信号(またはビデオ信号)における汚れ信号の検出位置が、走査線の水平方向(繊維集合体の幅方向)における同じ位置であるか否かを判別し、同じ位置である場合には単一の汚れに起因すると判断し、相互に異なる位置である場合には別個の汚れに起因すると判断してもよい。
たとえば、情報処理装置に、隣接する走査線についての汚れカウントデータを順次対比するステップ、および走査線の水平方向における同じ位置で汚れがカウントされた汚れカウントデータに対応する走査線が連続して隣接する数をカウントするステップを実行させることによって、汚れサイズ値を算出させることができる。
汚れサイズ値が上限以下の場合、汚れが小さいことになる。そこで、ステップS610に戻り、情報処理装置が、汚れ検知トリガー信号を検知する毎に、その瞬間の繊維集合体の映像をキャプチャするステップ(S611)を実行するとともに、汚れカウントデータを情報処理装置のメモリへ格納するステップ(S621)を実行し、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。
汚れサイズ値が上限を超えているとき、汚れが大きいと判定される。そこで、ステップS613で表示画面に表示した繊維集合体の画像に基づいて、汚れ検知トリガー信号の発生原因を確認し、汚れ以外のものを検知していないことを確認する(S635、S636)。発生原因が汚れでないとき、誤検知となる。そこで、ステップS610に戻り、解析を終了するまで、情報処理装置に、汚れ検知トリガー信号を検知する毎に、同様のステップが、繰り返される。発生原因が汚れである場合、汚れ発生の頻度を判定するために、情報処理装置は、所定時間内(例えば、所定の2分間)の汚れ検知トリガー信号の発生回数を算出するステップ(S637)を実行した後、汚れトリガー信号の発生回数を、基準回数(上限)と比較するステップ(S638、S639)を実行する。汚れ検知トリガー信号の発生回数が基準回数以下の場合、大きな汚れが発生したが、発生頻度が少ないと判定される。そこで、ステップS610に戻り、情報処理装置が、汚れ検知トリガー信号を検知する毎に、解析を終了するまで、同様のステップが、繰り返される。発生回数が基準回数よりも大きい場合、大きな汚れが頻発したと判定され、情報処理装置は、繊維集合体排出指令信号(作動指令信号)を繊維集合体排出装置へ送出するステップ(S640)を実行する。
「表示装置に表示」するためのステップ(S623、S613)においては、例えば、表示装置の1つの表示画面を二分割し、一方にキャプチャした画像を、順次表示させ、他方に、前記表示されている画像に対応する汚れカウントデータを順次表示させてもよい。
汚れカウントデータが基準値を超えているとき(例えば、サイズ値または汚れ検知トリガー信号の発生回数が基準値を超えているとき)、情報処理装置に、異常と判定させ、外部の機器(警報装置、制御装置)に対して警報指令信号または作動指令信号を送出するステップ、例えば、繊維集合体の生産工程の繊維集合体排出装置へ作動指令信号を送出するステップを実行させてもよい。
汚れの測定を継続するとき、情報処理装置が、汚れ検知トリガー信号を検知する毎に同じ動作(ステップ)を、繰り返し、実行する。これにより、繊維集合体の汚れが常時監視され、異常が直ちに報知され、生産工程へ迅速にフィードバックされ、異常のある製品の流出が防止される。汚れカウントデータが基準値を超えたと判定するための判定基準は、例えば、汚れカウントデータ(サイズ値、発生回数)が(1)一回でも基準値A(緩やかな基準値)を超えた場合、(2)基準値A(緩やかな基準値)には達しないが、所定期間Tの間に基準値B(厳しい基準値)を超えた回数が基準のN回に達した場合などであってもよい。
図24は、横軸に汚れを検知した時刻、縦軸に各時刻に検知した汚れサイズ値を模擬的に表示したグラフである。図24のようなグラフによれば、汚れ発生の初期の状態から、著しい汚れが頻発するようになる状況を把握でき、汚れの原因の解明や対策実施に有益な情報となる。
[送出ステップ]
情報処理装置に、繊維集合体の幅、厚み、汚れなどに関する特性情報に関する信号を、解析するステップを実行させながら、逐次、前記特性情報に、表示指令信号をともなわせて、表示装置に送出するステップを実行させ、前記特性情報を表示画面に表示させてもよい。また、情報処理装置に、繊維集合体の特性情報に関する信号を解析するステップを実行させながら、得られる品質情報に関するデータを逐次記録するステップを実行させるとともに、記録された特性情報に関するデータまたは解析により得られた品質情報に関するデータを、信号として、解析が終了した後、別の情報処理装置へ送出するステップを実行させて、別の情報処理装置に後解析させてもよい。
例えば、繊維集合体の幅を詳細に解析するために、その情報処理装置に、情報処理装置のHDの所定のアドレスに記録された幅カウントデータを、後解析するステップを実行させてもよく、その情報処理装置に、前記幅カウントデータを信号として別の情報処理装置へ送出するステップを実行させ、別の情報処理装置に後解析させるステップを実行させてもよい。
別の情報処理装置が、大容量の記憶装置をもつ高度な処理を行える情報処理装置であれば、蓄積されたデータから、年間の変動、月間の変動、1日内の変動、別系列で製造している又は過去に製造していた同一品種間での比較などを行うことで品質の安定性を調べることができる。また、長い時間をかけて除々に中心値からずれてきた品質項目との関連や原因調査に有用である。また、それほど高度な処理を行う情報処理装置でない場合でも、蓄積されたデータから得られる基準を目安として、警報を出したり、アクションを促したりすることに利用できる。