JP4625421B2 - ハイドロフォーム加工方法および装置 - Google Patents
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Description
このハイドロフォーム加工は、図10aに示すように、素材管11を分割した上下の金型12にセットし、金型を型締めした後、素材管内に液体を注入して素材管に内圧Pを負荷するとともに、管軸方向の軸押しδを負荷することにより、管軸方向の伸びを抑えながら管周方向に伸びを与え、素材管を所定形状に成形する技術であり、内圧Pと軸押しδについて、例えば図10bのような負荷経路が用いられている。
請求項1のハイドロフォーム加工方法の発明は、該請求項に記載されているように、ハイドロフォーム加工方法において、金型のキャビティ内壁の角部のうち、少なくとも1箇所の角部に近接する金型内部における応力又は歪を、ハイドロフォーム加工中に交差する2方向から測定し、測定された金型内部の応力又は歪と内圧との関係に基づいて負荷経路を調整することを特徴とする。
請求項2のハイドロフォーム加工方法の発明は、請求項1の発明において、予め素材管の材質や寸法特性ごとに、前記金型内部における応力又は歪を測定し、測定した金型内の応力又は歪と内圧との関係から、素材管が金型キャビティ内壁へ接触した時の内圧値を求め、該内圧値に基づいて予め定められた負荷経路における軸押し開始時期を調整することを特徴とする。
請求項5のハイドロフォーム加工装置の発明は、請求項4の発明において、前記制御手段は、測定した金型内の応力又は歪と内圧との関係から、素材管が金型キャビティ内壁へ接触した時の内圧値を求める内圧値演算手段と、前記求められた内圧値に基づいて予め定められた負荷経路を修正する負荷経路修正手段を有することを特徴とする。
請求項3、6の発明によれば、製造ロットの種別ごとの素材管の変形状態の違いに関する情報を得ることができ、事前に製造ロットの種別ごとに最適な負荷経路を選択することができるので、加工不良の発生を防止することができる。
本発明者らは、ハイドロフォーム加工中に変化する状態量として、従来着目されていなかったハイドロフォーム加工中に金型が受ける応力に注目した。そして、ハイドロフォーム加工中に金型が受ける応力、あるいは金型に発生する歪の変化を内圧との関係で知ることができれば、素材管の変形状態が金型を通して間接的に得られるのではないかと考え、金型が受ける応力、あるいは金型に発生する歪の変化を内圧との関係で検討した。
1は、上下に分割されたハイドロフォーム加工用金型の下金型であり、その分割面2の中央部分には、金型キャビティ3が設けられている。金型キャビティ3は、断面が円形の素材管の中央部を方形に膨出させるために、素材管の外径に対応した半円形凹部3a、bと、中央部の方形部に対応した方形凹部3cと、凹部3aと3cを滑らかに連結するための凹部3dと、これと同様の凹部3eとにより構成されている。
また、下金型に対応する上金型も下金型と同一形状に構成されている。
なお、9は、型締時に上下の金型を位置決めする位置決めピンであり、上金型には、位置決めピンが挿入される位置決め穴が形成されている。
センサの設置は、図2でより詳細に示すように、金型の底面5および側面6からキャビティ内壁の角部に向かって、先端が前記角部に近接して位置する細孔7を設け、細孔の先端部に前記センサを配置した。また、金型の底面5には、一端が前記細孔7に接続し、他端が前記金型の側面6に達している溝8を設け、センサの配線を該溝によって金型外に引き出せるようにした。
センサの配置位置は、一箇所の角部につき3箇所とし、上下の金型合計で12箇所とした。
(1−1)素材管外面の金型キャビティ内壁への接触検知
上記金型に、引張強度が440MPaで、肉厚が2.3mmの素材鋼管をセットし、型締め力15000kNで型締め後、内圧を0〜250MPaまで昇圧した。軸押しは左右各々50mmとした。その際、加工途中におけるセンサの検出値(以下応力値で代表する。)を内圧の変化と合わせて記録するとともに、素材鋼管の変形過程を観察した。
図5に示すように、下金型右側の測定位置と上金型右側の測定位置とではセンサの検出値に多少の差がみられたが、変化の仕方はほぼ同様であった。
なお、上金型および下金型とも左右の測定位置でセンサの検出応力にほとんど差がなかったため、図5にはそれらの値を図示していない。
金型は、成形開始時は、素材鋼管の内圧からの応力を受けないから、型締め力に対応した一定の応力を受けている。その後内圧の上昇とともに素材管が膨出を開始し、まずaの点において、管の中央部外面がより近い金型キャビティの上下の内壁に接触する。管はさらに膨出を続け、bの点で左右の内壁にも接触する。それ以降、最終的に金型角部の細かい形状に倣った形状まで変形し、金型内壁にほぼ全接触した状態になるには大きな内圧を必要とするから、検出される応力も内圧の上昇とともに上昇する。
素材管の材料特性の違いが検出される応力にどのように影響するかを調べるために、肉厚はいずれも2.3mmで同一であるが、引張強度が異なる素材鋼管を複数個用意し、図5を作成したときと同様の条件でハイドロフォーム加工し、内圧が100MPaと200MPaに達した時点における金型の受ける応力をセンサによって測定した。
表1より、素材鋼管の引張強度が400MPaから500MPaに変化するに応じて、内圧が同じでもそれぞれ検出応力値が異なることがわかった。このことから、同じ材料から製造された素材鋼管でも、材料強度に違いがあれば、ハイドロフォーム加工中の変形状態が異なり、金型に負荷される応力にも差が生じ、それにより測定される応力値に差が生じるから、ある一定の内圧に到達した時点の応力値を測定することにより素材管ごとの材料強度の違いを検出することができる。
(2−1)センサの設置
ハイドロフォーム加工によって金型が受ける応力あるいは金型に発生する歪を測定し、素材管の変形状態を検知するために、センサを金型に取付ける。センサは、加工に影響を与えることなく、キャビティ付近の応力をより正確に測定するために、金型のキャビティの角部に近接する金型本体内部に配置されなければならない。
配置されるセンサとしては、例えば歪を測定するものとしては、水晶感圧センサ、歪ゲージ、レーザ歪測定器などが使用でき、応力を測定するものとしては、応力ゲージ、レーザ応力測定器などが使用できる。
しかし、例えば金型製造時に細管を埋め込む方法など、細孔を形成する他の方法を採用することもできる。この場合には、細孔を曲線とすることができる。
細孔先端部の位置は、角部から5〜20mm以上離れているのが望ましい。図2の例では、Lとして15mm程度が好ましい。
(2−2)軸押しの開始時期および負荷経路の制御
ハイドロフォーム加工の適正な加工負荷経路は製品によって異なるが、一般的には図7に示すように、内圧のみ昇圧し、軸押しは管端をシールするのに必要な量とする段階(ステップ1)、次の、内圧を一定にして軸押しする、あるいは軸押しと内圧を両方変化させる段階(ステップ2)、最後のほとんど軸押しせずに内圧のみ昇圧し、最終形状、特にコーナR部の形成を行う段階(ステップ3)によって構成されるが、ステップ1からステップ2に移行する際の内圧Ptを適切に設定することが必要である。
試験は、素材管の材質や寸法(厚みなど)ごとに行い、それぞれについて第2ステップに移行する内圧値Ptを得ておき、その値を用いて、素材管の材質や寸法ごとに基準の負荷経路を決定する。
そのようなバラツキに対応するために、ハイドロフォーム加工ごとに検出応力の上昇し始める点(図5のb点)の内圧を検出し、予め求められていた加工中の素材管に対応する内圧Ptとの差を求める。
このように、金型内の応力あるいは歪を測定することにより、素材管ごとの材質・寸法特性のバラツキを検出でき、ステップ2からステップ3への負荷経路を、素材管の材質・寸法特性に応じたものに修正することができる。
前記のような素材管ごとの材質・寸法特性のバラツキは、同一の製造ロット内では小さいく、ロット間では大きくなる。
そこで、素材管の製造ロットを製造履歴(例えば、コイルのどの部分を素材として作られたかなど)などに基づいて種類ごとに区分けしておく。また、前記のように、素材管の材料強度に応じて検出応力値が異なることから、同じ材料から製造された素材管でも、引張強度にバラツキがあれば、金型に負荷される応力に差が生じるので、素材管ごとに特定の内圧時の金型内応力を、素材管の製造ロットの種別と関連付けて記憶しておけば、製造ロットごとの材質や寸法特性の特徴を把握することができ、それによって基準となる負荷経路をその特徴に合わせて修正することができる。
そして、新たにハイドロフォーム加工をする素材管の製造ロットが変わった場合、そのロットの種別が分かれば、ロットごとの材質特性を事前に把握することができ、材料特性に最適なハイドロフォーム加工条件を採用することができる。
このような制御は、図8、9に示すような装置で実施される。
図8において、1は、ハイドロフォーム加工金型であり、各金型のコーナR部に近い金型内部には、上記のように金型内の応力や歪を測定するセンサ10が配置されている。11は、金型内の素材鋼管を管端側から軸押し工具12を介して軸押しする油圧ピストン等の軸押し手段であり、13は、軸押し量検出手段である。14は、素材鋼管内に液体を注入して、素材管に内圧を負荷するための内圧負荷手段であり、15は内圧検出手段である。軸押し量検出手段13及び内圧検出手段15からの信号は、負荷経路制御装置16に送られ、該制御装置16の制御部によって所定の負荷経路になるように軸押し手段11及び内圧負荷手段14が制御される。
2 金型の分割面
3 金型キャビティ
4 金型キャビティの角部
5 金型の底面
6 金型の側面
7 細孔
8 配線引き出し用溝
9 位置決めピン
10 センサ(金型内の歪又は応力の測定手段)
11 軸押し手段
12 軸押し工具
13 軸押し量検出手段
14 内圧負荷手段
15 内圧検出手段
16 負荷経路制御装置
17 変換手段
18 内圧値演算手段
19 基準負荷経路演算手段
20 基準負荷経路記憶手段
21 制御装置16の制御部
22 内圧値変動演算手段
23 負荷経路修正手段
24 特定内圧値の応力値演算手段
25 ロット応力値記憶手段
26 基準負荷経路修正手段
Claims (6)
- 素材管を金型にセットし、金型を型締めした後、予め定められた負荷経路に基づいて素材管に対して内圧を負荷するとともに管軸方向に軸押しし、素材管を所定形状に成形するハイドロフォーム加工方法において、
金型のキャビティ内壁の角部のうち、少なくとも1箇所の角部に近接する金型内部における応力又は歪を、ハイドロフォーム加工中に交差する2方向から測定し、測定された金型内部の応力又は歪と内圧との関係に基づいて前記負荷経路を調整することを特徴とするハイドロフォーム加工方法。 - 予め素材管の材質や寸法特性ごとに、前記金型内部における応力又は歪を測定し、測定した金型内の応力又は歪と内圧との関係から、素材管が金型キャビティ内壁へ接触した時の内圧値を求め、該内圧値に基づいて負荷経路における軸押し開始時期を調整することを特徴とする請求項1に記載のハイドロフォーム加工方法。
- 素材管を金型にセットし、金型を型締めした後、予め定められた負荷経路に基づいて素材管に対して内圧を負荷するとともに管軸方向に軸押しし、素材管を所定形状に成形するハイドロフォーム加工方法において、
素材管を製造ロットの種別ごとに区分けし、金型のキャビティ内壁の角部のうち、少なくとも1箇所の角部に近接する金型内部における応力又は歪を、ハイドロフォーム加工中に交差する2方向から測定し、所定の内圧値における測定された応力又は歪の値を前記製造ロットの種別とともに記録し、記録した応力又は歪の値に基づいて製造ロットの種別ごとの材質のバラツキを検出し、製造ロットの種別ごとに最適な負荷経路に調整することを特徴とするハイドロフォーム加工方法。 - 金型と、軸押し手段と、内圧負荷手段を有し、金型にセットされた素材管に内圧を負荷して所定形状に成形するハイドロフォーム加工装置において、
前記金型のキャビティの角部のうち、少なくとも1箇所の角部に近接する金型本体内部に配置され、ハイドロフォーム加工中における金型内の応力又は歪を交差する2方向から測定する測定手段と、該測定手段により測定された金型内部の応力又は歪と内圧との関係に基づいて前記負荷経路を制御する制御手段を有することを特徴とするハイドロフォーム加工装置。 - 前記制御手段は、測定した金型内の応力又は歪と内圧との関係から、素材管が金型キャビティ内壁へ接触した時の内圧値を求める内圧値演算手段と、前記求められた内圧値に基づいて予め定められた負荷経路を修正する負荷経路修正手段を有することを特徴とする請求項4に記載のハイドロフォーム加工装置。
- 金型と、軸押し手段と、内圧負荷手段を有し、金型にセットされた素材管に内圧を負荷して所定形状に成形するハイドロフォーム加工装置において、
前記金型のキャビティの角部のうち、少なくとも1箇所の角部に近接する金型本体内部に配置され、ハイドロフォーム加工中における金型内の応力又は歪を交差する2方向から測定する測定手段と、所定の内圧値における測定された応力又は歪の値を製造ロットの種別とともに記憶する記憶手段と、記憶した応力又は歪の値に基づいて製造ロットの種別ごとの材質のバラツキを検出し、製造ロットの種別ごとに最適な負荷経路に調整する制御手段を有することを特徴とするハイドロフォーム加工装置。
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