JP2005205501A - 隙間検出方法および隙間検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 バルブシートの厚さや嵌合穴の深さ寸法のばらつきに拘らず、嵌合穴の底面とバルブシートとの間の隙間の有無を簡単に高い精度で検出できるようにする。
【解決手段】 (a) 〜(b) においてバルブシート14を受け取る際に、そのバルブシート14の厚さに関する情報として受取ストロークaを検出するとともに基準受取ストロークa* との差Aを算出し、(c) において嵌合穴12の穴深さに関する情報として離間距離bを測定するとともに基準離間距離b* との差Bを算出し、(d) においてバルブシート14を嵌合穴12内に圧入する際に、その圧入ストロークcを検出するとともに基準圧入ストロークc* との差Cを算出して、それ等の寸法A、B、Cが次式(1) を満足するか否かによりバルブシート14と嵌合穴12の底面18との間の隙間が許容寸法α以下か否かを判断する。
C≦A+B+α ・・・(1)
【選択図】 図3

Description

本発明は隙間検出方法および装置に係り、特に、圧入部品の厚さや嵌合穴の深さ寸法のばらつきに拘らずその嵌合穴の底面と圧入部品との間の隙間の有無などを高い精度で検出できる隙間検出方法および装置に関するものである。
受取場所において圧入ヘッドにより圧入部品を受け取った後、圧入場所でその圧入ヘッドにより圧入部品を組付部材の嵌合穴内に圧入する圧入装置が、例えばエンジンのシリンダヘッドに吸排気用のバルブシートを自動組付する場合などに用いられている。図8の圧入装置100はその一例で、組付部材としてのシリンダヘッド10の嵌合穴12内に圧入部品としてのバルブシート14を圧入するためのものであり、バルブシート14を保持する圧入ヘッド102と、送りねじ等の直線移動機構104を介して圧入ヘッド102を図8の上下方向へ直線移動させる電動モータ106とを備えており、エンコーダ108により圧入ヘッド102の移動ストロークを検出できるようになっている。また、この圧入装置100は、図示しない水平方向移動装置により水平方向へ移動させられ、予め定められた受取場所と圧入場所との間を移動させられるようになっており、図8は、図示しない受取場所でバルブシート14を受け取って圧入場所まで移動させられた状態である。
バルブシート14は、中央に円穴16が設けられた円環形状を成している一方、嵌合穴12の底面18には、その円穴16と略同じ径寸法の小径穴として吸気または排気用の通路20が設けられており、バルブシート14は、その嵌合穴12の底面18に密着するように嵌合穴12内に圧入されて、円穴16が通路20と略連続するように一体的に固定される。前記圧入ヘッド102には、上記円穴16内に嵌合されて位置決めする突起110が突設されているとともに、その突起110に埋設された図示しないボールロック機構などでバルブシート14を保持するように構成される。ボールロック機構は、スプリングによりボールを突起110の外周側へ押し出すことにより、円穴16の内周面に係合させてバルブシート14を保持するように構成されるが、その保持力は、バルブシート14と嵌合穴12との圧入による固着力よりも十分に弱く、圧入後の電動モータ106による圧入ヘッド102の上昇に伴って突起110が円穴16から簡単に抜け出すことが許容される。
一方、圧入ヘッド102を所定の圧入初期位置から下降させてバルブシート14を嵌合穴12内に圧入する際に、その圧入ヘッド102の移動ストロークや押圧荷重に基づいて組付の良否を判断することが考えられている。特許文献1に記載の技術はその一例である。
特開平5−261628号公報
しかしながら、このような従来の良否判定は、バルブシート14の厚さや嵌合穴12の深さ寸法のばらつき(誤差)を考慮していないため、必ずしも高い精度で良否を判定することができなかった。このため、例えば図9に示すスキミゲージ112を用いて、バルブシート14と底面18との間の隙間Gの大きさが所定値(例えば0.05mm)以下か否かを、作業者が手作業で検査しているのが実情であり、作業者の負担が大きいとともに面倒で時間が掛かるという問題があった。なお、このような問題は、バルブシートをシリンダヘッドに圧入する場合だけでなく、その他の圧入部品を組付部材に圧入する場合にも同様に生じることである。
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、圧入部品の厚さや嵌合穴の深さ寸法のばらつきに拘らずその嵌合穴の底面と圧入部品との間の隙間の有無などを簡単に高い精度で検出できるようにすることにある。
かかる目的を達成するために、第1発明は、受取場所において圧入ヘッドにより圧入部品を受け取った後、圧入場所でその圧入ヘッドによりその圧入部品を組付部材の嵌合穴内に圧入する際に、その圧入部品と嵌合穴の底面との間の隙間が所定量か否かを検出する隙間検出方法であって、(a) 前記圧入ヘッドが、前記受取場所において予め定められた受取初期位置から前記圧入部品に当接するまで接近してその圧入部品を受け取る際に、その圧入部品の厚さに関する情報としてその受取ストロークaを検出する厚さ情報取得工程と、(b) 前記嵌合穴の穴深さに関する情報として、予め定められた穴深さ測定位置からその嵌合穴の底面までの離間距離bを測定する深さ情報取得工程と、(c) 前記圧入ヘッドが、前記圧入場所において予め定められた圧入初期位置から前記組付部材に接近して前記圧入部品を前記嵌合穴内に圧入する際に、その圧入ストロークcを検出する圧入ストローク検出工程と、(d) 前記受取ストロークa、前記離間距離b、および前記圧入ストロークcに基づいて、前記隙間が所定量か否かを判断する隙間判断工程と、を有することを特徴とする。
第2発明は、受取場所において圧入ヘッドにより圧入部品を受け取った後、圧入場所でその圧入ヘッドによりその圧入部品を組付部材の嵌合穴内に圧入する際に、その圧入部品と嵌合穴の底面との間の隙間が所定量か否かを検出する隙間検出装置であって、(a) 前記圧入ヘッドの移動ストロークを測定するストロークセンサと、(b) 前記圧入ヘッドに一体的に設けられて非接触で離間距離を測定する距離センサと、(c) 前記圧入ヘッドが、前記受取場所において予め定められた受取初期位置から前記圧入部品に当接するまで接近してその圧入部品を受け取る際に、その圧入部品の厚さに関する情報としてその受取ストロークaを前記ストロークセンサにより検出する厚さ情報取得手段と、(d) 前記圧入ヘッドが、予め定められた穴深さ測定位置に保持された状態で、前記嵌合穴の穴深さに関する情報としてその圧入ヘッドからその嵌合穴の底面までの離間距離bを前記距離センサにより測定する深さ情報取得手段と、(e) 前記圧入ヘッドが、前記圧入場所において予め定められた圧入初期位置から前記組付部材に接近して前記圧入部品を前記嵌合穴内に圧入する際に、その圧入ストロークcを前記ストロークセンサにより検出する圧入ストローク検出手段と、(f) 前記受取ストロークa、前記離間距離b、および前記圧入ストロークcに基づいて、前記隙間が所定量か否かを判断する隙間判断手段と、を有することを特徴とする。
第3発明は、第2発明の隙間検出装置において、前記隙間判断手段は、前記受取ストロークaと予め定められた基準受取ストロークa* との差(a* −a)をA、前記離間距離bと予め定められた基準離間距離b* との差(b* −b)をB、前記圧入ストロークcと予め定められた基準圧入ストロークc* との差(c* −c)をC、および予め定められた許容寸法αを用いて、次式(1) を満足する場合に前記隙間がその許容寸法α以下と判断することを特徴とする。
C≦A+B+α ・・・(1)
第4発明は、中心に円穴を有する円環形状の圧入部品が、組付部材に設けられた嵌合穴内に圧入されるとともに、その嵌合穴の底面には、前記円穴と略同じ径寸法の小径穴が設けられている場合に、その圧入部品と嵌合穴の底面との間の隙間が所定量か否かを検出する隙間検出装置であって、(a) 前記円穴および前記小径穴の内径と略等しい外径の円柱形状を成し、それ等の円穴および小径穴に跨がって嵌合される嵌合治具と、(b) その嵌合治具が前記円穴および前記小径穴に跨がって嵌合された状態で、それ等の円穴と小径穴との境界付近においてその嵌合治具の外周面に開口するようにその嵌合治具に設けられ、所定の流体を流出させる流体供給路と、(c) 前記嵌合治具の軸方向において前記流体供給路と略同じ位置であって周方向に離間した位置に開口させられ、その流体供給路から流出させられた流体が流入させられる流体排出路と、(d) 前記圧入部品と前記嵌合穴の底面との間の隙間の大きさに応じて変化する前記流体供給路または前記流体排出路を流通する流体の流量或いは圧力を検出する流体センサと、を有することを特徴とする。
第1発明〜第3発明の隙間検出方法或いは隙間検出装置によれば、圧入部品の厚さに関する情報として受取ストロークaを検出し、嵌合穴の穴深さに関する情報として離間距離bを測定し、それ等の受取ストロークaおよび離間距離bと圧入ストロークcとに基づいて、圧入部品と嵌合穴の底面との間の隙間が所定量か否かを判断するため、圧入部品の厚さや嵌合穴の深さ寸法のばらつきに拘らず、隙間の大きさや有無などを簡単に高い精度で検出できるようになる。
例えば第3発明の寸法A=a* −aは、圧入部品の実際の厚さと基準厚さとの差に相当し、基準厚さと同じであればa=a* となって寸法Aは0となり、基準厚さより厚い場合はa<a* となって寸法Aは正になる。寸法B=b* −bは、嵌合穴の実際の穴深さと基準穴深さとの差に相当し、基準穴深さと同じであればb=b* となって寸法Bは0となり、基準穴深さより浅い場合はb<b* となって寸法Bは正になる。また、寸法C=c* −cは、基本的には圧入部品と嵌合穴の底面との間の隙間に相当し、上記a=a* で且つb=b* の場合にc=c* であれば、C=0となって隙間は0であり、c<c* であれば、その差(c* −c)が隙間である。また、a<a* すなわち寸法Aが正の場合は、その寸法A分だけcは小さくなってC=Aとなり、b<b* すなわち寸法Bが正の場合は、その寸法B分だけcは小さくなってC=Bとなるため、結局C=A+Bであれば隙間は0である。したがって、寸法Cから(A+B)を引き算した値(C−A−B)が、圧入部品と嵌合穴の底面との間の隙間に相当し、その値(C−A−B)が予め定められた許容寸法α以下、すなわち前記(1) 式を満足する場合は、隙間が許容寸法α以下ということになる。
なお、第3発明は隙間が許容寸法α以下か否かを判断する場合であるが、例えば目標隙間寸法がβで、その許容範囲が±xであれば、次式(2) を満足するか否かによって隙間が許容範囲内か否かを判断できる。
A+B+β−x≦C≦A+B+β+x ・・・(2)
第4発明では、嵌合治具を円穴および小径穴内に嵌合した状態で、流体供給路に流体を供給することにより、圧入部品と嵌合穴の底面との間の隙間の大きさに応じた流量で、その流体供給路および流体排出路内を流体が流通するため、それ等の流体供給路または流体排出路を流通する流体の流量や圧力を流体センサによって検出することにより、その流量や圧力の大きさから隙間が所定量か否かを判断することができる。この場合は隙間そのものの大きさを検出することになるため、圧入部品の厚さや嵌合穴の深さ寸法のばらつきに拘らず、隙間が所定量か否かを簡単に高い精度で検出できるようになる。
本発明は、エンジンのシリンダヘッド(組付部材)に設けられた吸気用または排気用の通路の開口部に形成された嵌合穴にバルブシート(圧入部品)を圧入する場合に、そのバルブシートと嵌合穴の底面との間の隙間の有無(0.05mm以下など)を確認する場合に好適に適用されるが、所定の隙間が形成されるように圧入部品を所定の組付部材に圧入して固定する場合など、他の種々の圧入構造物の隙間検出に適用され得る。
圧入ヘッドは、例えば前記図8の圧入装置100のように電動モータ106および直線移動機構104によって移動させられるが、油圧シリンダやエアシリンダなどの流体シリンダによって直線移動させることもできるなど、種々の圧入機構を採用できる。圧入ヘッドには、圧入部品を保持するために例えば前記ボールロック機構が設けられるが、例えば前記突起110と円穴16との締り嵌めによってバルブシート14を保持したり、磁力で吸着して保持したりすることもできるなど、他の種々の保持手段を採用することができる。
圧入ヘッドの移動ストロークを検出するストロークセンサとしては、例えば前記図8の圧入装置100のように電動モータ106に設けられたエンコーダ108が好適に用いられるが、磁気式や光学式等の他の種々のセンサを採用できる。嵌合穴の底面までの離間距離を非接触で測定する距離センサとしては、レーザ式や超音波式の距離センサが好適に用いられる。
圧入部品を受け取る受取場所および圧入場所は、例えば圧入方向と直角な方向(水平方向など)へ離間した別々の位置に定められ、圧入ヘッドは水平方向移動装置などによりそれ等の受取場所および圧入場所へ移動させられるが、圧入部品を受け渡す供給装置や、組付部材が載置された圧入テーブルなどを、圧入ヘッドが配設された共通の受取場所および圧入場所へ移動させるようにしても良い。圧入ヘッドが、その軸方向である圧入方向へ移動させられる途中で、供給装置により圧入部品を圧入ヘッドに受け渡すようにすることもできるなど、種々の態様が可能である。
第2発明では、圧入ヘッドに距離センサが設けられるが、第1発明の実施に際しては、予め定められた穴深さ測定位置に距離センサを固定して配設することもできる。
第3発明の基準受取ストロークa* 、基準離間距離b* 、基準圧入ストロークc* は、それぞれ圧入部品の基準厚さ(平均厚さなど)、嵌合穴の基準穴深さ(平均穴深さなど)に基づいて別々に設定されるが、例えばそれ等の基準受取ストロークa* 、基準離間距離b* 、基準圧入ストロークc* が一定の値となるように、受取初期位置、穴深さ測定位置、圧入初期位置を設定することもできる。その場合は、必ずしも前記差A、B、Cを求めることなく、隙間が許容寸法α以下か否かを判断することができる。
第3発明では、圧入部品と嵌合穴の底面との間の隙間の有無、すなわち許容寸法α以下か否かを判断するようになっているが、第1発明や第2発明では、隙間が比較的大きい所定量か否かを判断することも可能で、圧入部品と嵌合穴の底面との間に積極的に隙間を設ける場合にも適用され得る。第4発明についても、同様に隙間が所定値以下か否かを判断するだけでなく、比較的大きな所定量か否かを判断する場合にも適用され得る。
第4発明の流体センサとしては、流体供給路または流体排出路を流通する流体の流量を検出する流量センサが好適に用いられ、圧入部品と嵌合穴の底面との間の隙間が大きい程流量は多くなるため、例えばその流量が実験などで予め定められた所定値以下の場合に隙間が所定値以下と判断できる。また、流体供給路内の流体の圧力を検出する圧力センサを用いることも可能で、圧入部品と嵌合穴の底面との間の隙間が大きい程圧力は低くなるため、例えばその圧力値が実験などで予め定められた所定値以上の場合に隙間が所定値以下と判断できる。
流体供給路に供給する流体としては、そのまま大気中へ排出することができる圧力エアが好適に用いられるが、他の気体や液体を用いることもできる。
第4発明の嵌合治具は、例えば圧入ヘッドに換えて、或いは圧入ヘッドと略平行に圧入装置等に配設され、圧入ヘッドと同様に圧入方向へ移動させられることにより、圧入後の圧入部品の円穴および組付部材の小径穴内に挿入されて、隙間の有無等を検出するように用いられる。流体センサからの信号をコンピュータに取り込んで、隙間判断手段により自動的に隙間の大きさが所定量か否かを判断するように構成することもできる。なお、作業者が手作業で嵌合治具を挿入するとともに、流体センサの表示器に表示される流量や流体圧力を見て、隙間の大きさが所定量か否を判断することもできる。
嵌合治具には、前記流体供給路および流体排出路の開口部を挟んで軸方向の両側、すなわち隙間が形成される部分の両側にシール部材を配設し、円穴および小径穴の内周面との間をシールすることが望ましい。シール部材は、嵌合治具に一体的に配設することもできるが、例えば径寸法が拡縮可能な材質のリング部材を別体に設けるとともに、嵌合治具の軸方向へ移動可能な拡径部材を係合させてテーパ等の楔作用でリング部材を拡径させることにより、円穴および小径穴の内周面との間をシールすることもできる。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明の隙間検出装置の機能を備えている圧入装置30を説明する概略構成図で、組付部材であるシリンダヘッド10の嵌合穴12内に圧入部品であるバルブシート14を圧入するためのものであり、前記圧入装置100と同様に、バルブシート14を保持して圧入する圧入ヘッド32と、送りねじ等の直線移動機構34を介して圧入ヘッド32を図1の上下方向へ直線移動させる電動モータ36とを備えており、エンコーダ38により圧入ヘッド32の移動ストロークを検出できるようになっている。エンコーダ38はストロークセンサに相当する。
圧入ヘッド32には、バルブシート14の円穴16内に嵌合されて位置決めする突起40が突設されているとともに、その突起40には、係合ボールを外周側へ突き出してバルブシート14を保持するボールロック機構41が設けられている。また、突起40の中心には、非接触で離間距離を測定するレーザ式等の距離センサ42が下向き、すなわち圧入方向に向かう姿勢で埋設されている。
上記圧入ヘッド32や直線移動機構34等は、水平方向移動装置44によって略水平な平面内を移動可能とされており、図1(a) に示す予め定められた受取場所と、図1(b) に示す予め定められた圧入場所との間を移動させられるようになっている。受取場所にはシート載置台46が配設されており、そのシート載置台46上にバルブシート14が逐次供給されるようになっいる一方、圧入場所には、図示しないローダ・アンローダ装置などによってシリンダヘッド10が逐次搬入されるとともに搬出されるようになっている。
圧入装置30は、CPU、RAM、ROM等を有するマイクロコンピュータを主体として構成されている制御装置48を備えており、前記エンコーダ38および距離センサ42から供給される信号に基づいて水平方向移動装置44や電動モータ36等を制御することにより、例えば図2に示すフローチャートに従ってバルブシート14をシリンダヘッド10の嵌合穴12内に圧入するとともに、その圧入の良否、すなわちバルブシート14と嵌合穴12の底面18との間の隙間が所定値以下か否かを自動的に判定する。図2のフローチャートのうちステップS2は厚さ情報取得工程で、ステップS4は深さ情報取得工程で、ステップS7は圧入ストローク検出工程で、ステップS8〜S10は隙間判断工程であり、制御装置48による信号処理のうちそれ等の各ステップを実行する部分は、それぞれ厚さ情報取得手段、深さ情報取得手段、圧入ストローク検出手段、隙間判断手段に相当する。
図2のステップS1では、図1の(a) に示す受取場所において予め定められた受取初期位置から電動モータ36により圧入ヘッド32を下方へ突き出し、シート載置台46上のバルブシート14の円穴16内に突起40を挿入して、そのバルブシート14を同心に位置決めしつつ保持する。図3の(a) は、圧入ヘッド32が受取初期位置に位置させられた状態で、(b) は突起40が円穴16内に挿入されてバルブシート14を受け取った状態であり、圧入ヘッド32は、突起40が突設された段差50がバルブシート14の上面に当接して、それ以上の下降が阻止される位置まで下降させられる。突起40の突出寸法は、バルブシート14の厚さのばらつきを考慮して、その厚さよりも小さい寸法に設定され、段差50が確実にバルブシート14の上面に当接させられるようになっている。
ステップS2では、上記受取初期位置からバルブシート14に当接する下降端までの受取ストロークaを、エンコーダ38からの信号に基づいて検出するとともに、予め定められた基準受取ストロークa* との差(a* −a)を寸法Aとして算出する。基準受取ストロークa* は、バルブシート14が基準厚さ(平均厚さなど)の場合の受取ストロークaで、実際の受取ストロークaは、その時のバルブシート14の厚さを反映しており、寸法A=a* −aは、実際のバルブシート14の厚さと基準厚さとの差に相当する。すなわち、その時のバルブシート14の厚さが基準厚さと同じであればa=a* となって寸法Aは0となり、基準厚さより厚い場合はa<a* となって寸法Aは正になり、基準厚さより薄い場合はa>a* となって寸法Aは負になる。
ステップS3では、圧入ヘッド32を所定ストロークだけ上昇させてバルブシート14を持ち上げるとともに、水平方向移動装置44により圧入場所の近傍に予め設定された穴深さ測定位置まで移動させる。図3の(c) は、圧入ヘッド32が穴深さ測定位置まで移動させられた状態で、圧入ヘッド32の中心すなわち距離センサ42は、圧入場所に搬入されているシリンダヘッド10の嵌合穴12の底面18の真上、すなわち小径の通路20の開口周縁部の真上に位置させられる。
ステップS4では、距離センサ42によって底面18までの離間距離bを測定するとともに、予め定められた基準離間距離b* との差(b* −b)を寸法Bとして算出する。基準離間距離b* は、嵌合穴12が基準穴深さ(平均穴深さなど)の場合の離間距離bで、実際の離間距離bは、その時のシリンダヘッド10の嵌合穴12の穴深さを反映しており、寸法B=b* −bは、実際の穴深さと基準穴深さとの差に相当する。すなわち、その時の嵌合穴12の穴深さが基準穴深さと同じであればb=b* となって寸法Bは0となり、基準穴深さより浅い場合はb<b* となって寸法Bは正になり、基準穴深さより深い場合はb>b* となって寸法Bは負になる。
ステップS5では、水平方向移動装置44によって圧入ヘッド32を圧入場所まで移動させる。これにより、圧入ヘッド32は予め定められた圧入初期位置に位置させられ、その状態でステップS6を実行することにより、電動モータ36により圧入ヘッド32を下方へ突き出して、バルブシート14をシリンダヘッド10の嵌合穴12内に圧入する。この圧入工程では、予め定められた圧入荷重(モータトルク)で圧入ヘッド32を下降させ、バルブシート14が嵌合穴12の底面18に当接するなどしてそれ以上下降させることができなくなった時点で圧入を終了する。その後、電動モータ36により圧入ヘッド32を上昇させることにより、突起40はバルブシート14の円穴16から抜け出し、バルブシート14の嵌合穴12に対する圧入組付処理が完了する。図3の(d) の実線は、バルブシート14が嵌合穴12内に圧入された状態で、一点鎖線は圧入前の圧入初期位置である。
ステップS7では、上記ステップS6の圧入工程における圧入初期位置から圧入終了までの圧入ストロークcを、エンコーダ38からの信号に基づいて検出するとともに、予め定められた基準圧入ストロークc* との差(c* −c)を寸法Cとして算出する。基準圧入ストロークc* は、バルブシート14が基準厚さで且つ嵌合穴12が基準穴深さの場合の圧入ストロークcで、寸法C=c* −cは、基本的にはバルブシート14と嵌合穴12の底面18との間の隙間に相当する。すなわち、前記a=a* で且つb=b* の場合にc=c* であれば、C=0となって隙間は0であり、c<c* であれば、その差(c* −c)が隙間である。また、a<a* すなわち寸法Aが正の場合は、その寸法A分だけcは小さくなってC=Aとなり、b<b* すなわち寸法Bが正の場合は、その寸法B分だけcは小さくなってC=Bとなる。逆に、a>a* すなわち寸法Aが負の場合は、その寸法A分だけcは大きくなってC=Aとなり、b>b* すなわち寸法Bが負の場合は、その寸法B分だけcは大きくなってC=Bとなる。結局、何れの場合もC=A+Bであれば隙間は0で、寸法Cから(A+B)を引き算した値(C−A−B)が、バルブシート14と嵌合穴12の底面18との間の隙間に相当する。
ステップS8では、上記(C−A−B)が予め定められた許容寸法α以下、すなわち前記(1) 式を満足するか否かを判断する。許容寸法αは、例えば0.05〜0.07mm程度で、エンジンの要求性能等に応じて適宜設定される。そして、(1) 式を満足する場合は、隙間が許容寸法α以下であるため、ステップS9において圧入が正常に行われた旨の判定を行い、(1) 式を満足しない場合は、隙間が許容寸法αより大きいため、ステップS10において圧入不良である旨の判定を行うとともに、例えば不良表示を行ったり自動的に不良品を排除したりする不良処理を行う。
このように、本実施例の圧入装置30においては、ステップS2でバルブシート14の厚さに関する情報として受取ストロークaを検出するとともに基準受取ストロークa* との差Aを算出し、ステップS4で嵌合穴12の穴深さに関する情報として離間距離bを測定するとともに基準離間距離b* との差Bを算出し、ステップS7で圧入ストロークcを検出するとともに基準圧入ストロークc* との差Cを算出して、それ等の寸法A、B、Cが(1) 式を満足するか否かによりバルブシート14と嵌合穴12の底面18との間の隙間が許容寸法α以下か否かを判断するため、バルブシート14の厚さや嵌合穴12の深さ寸法のばらつきに拘らず、隙間の有無(α以下か否か)が高い精度で判定される。
次に、第4発明の実施例を説明する。
図4の隙間検出装置60は、例えば従来の圧入装置100などを用いてシリンダヘッド10の嵌合穴12内にバルブシート14が圧入された後に、その圧入の良否、すなわちバルブシート14と嵌合穴12の底面18との間の隙間Gが所定値以下か否かを検査するためのもので、前記円穴16および通路20に跨がって嵌合される嵌合治具62を備えている。嵌合治具62は、円穴16および通路20の内径と略等しい外径の円柱形状の嵌合部64と、その嵌合部64よりも大径の把持部66とを軸方向に同心に一体に備えており、例えば把持部66を把持して手作業で嵌合部64を円穴16内に挿入するように用いられるが、前記圧入ヘッド102に換えて、或いは圧入ヘッド102と略平行に圧入装置100に配設され、圧入ヘッド102と同様に圧入方向へ移動させられることにより自動的に嵌合部64が円穴16内に挿入されるようにすることもできる。嵌合部64の長さ寸法(突出寸法)は、把持部66との間の段差68がバルブシート14に当接するまで嵌合されることにより、先端部が通路20に到達し、円穴16および通路20に跨がって嵌合されるように定められている。
上記嵌合治具62には、把持部66側の端面から軸方向に一対の流体供給路70および流体排出路72が設けられており、その流体供給路70には、ポンプ等の圧力エア供給源82からリリーフ弁84、流量調整弁86、流量センサ88等を介して圧力エアが供給されるようになっている一方、流体排出路72はそのまま大気に開放されている。流量センサ88は流体センサに相当する。また、流体供給路70および流体排出路72の先端部は、それぞれ横穴74、76を介して嵌合部64の外周面に開口させられている。横穴74、76は、何れも段差68がバルブシート14に当接するまで嵌合された状態で、そのバルブシート14の反対側の端面と略一致する位置、すなわち隙間Gと略同じ位置に、隙間Gよりも十分に大きな径寸法で設けられているとともに、互いに周方向に離間するように、本実施例では略反対向きに開口させられており、流体供給路70および横穴74を経て嵌合部64の外部に流出させられた圧力エアは、隙間G内を略180度流通して反対側の横穴76、更には流体排出路72内へ流入させられる。嵌合部64には、上記横穴74、76の開口部を挟んで軸方向の両側、すなわち隙間Gの両側にシール部材(Oリングなど)78、80が配設され、それぞれ円穴16および通路20の内周面との間を気密にシールしている。
このような隙間検出装置60においては、図4に示すように嵌合治具62の嵌合部64を円穴16および通路20内に嵌合した状態で、流体供給路70に圧力エアを供給することにより、隙間Gの大きさに応じた流量でその流体供給路70および流体排出路72内を流体が流通するため、流体供給路70を流通する圧力エアの流量を流量センサ88によって検出することにより、その流量から隙間Gの有無(所定値以下か否か)を判断することができる。すなわち、隙間Gが大きい程流通流量は多くなるため、例えばその流量が実験などで予め定められた所定値以下の場合に隙間Gが所定値以下と判断できる。この場合は隙間Gそのものの大きさを検出することになるため、バルブシート14の厚さや嵌合穴12の深さ寸法のばらつきに拘らず、隙間Gが所定値以下か否かを簡単に高い精度で検出できる。
なお、上記隙間Gが所定値以下か否かは、流量センサ88の表示器に表示される流量を作業者が見て判断することもできるが、流量センサ88からの信号をコンピュータに取り込み、予め定められた所定値以下か否かによって隙間判断手段により自動的に判断されるように構成することもできる。
また、上記実施例では流体供給路70側に流量センサ88が設けられていたが、図5に示すように流体排出路72側に流量センサ88を設け、その流体排出路72を流通する圧力エアの流量に基づいて隙間Gの有無(所定値以下か否か)を判断することもできる。
また、前記実施例では隙間Gを検出する際の嵌合治具62の嵌合寸法が段差68によって定められるようになっていたが、図6に示すように嵌合部64を、隙間Gまでの寸法よりも十分に長くし、バルブシート14の基準厚さに応じて予め定められた所定寸法だけ嵌合した状態で、前記実施例と同様に流体供給路70内に圧力エアを供給して隙間Gの有無を検出するか、或いは圧力エアを供給しながら嵌合部64を所定寸法だけ挿入し、或いはその挿入状態から抜き出し、その時の圧力エアの流量変化(最大値など)に基づいて隙間Gの有無を検出することができる。この場合には、円穴16や通路20の内径が同じであれば、厚さが異なる種々のバルブシート14について、隙間Gの有無について検出することができる。
図7は、嵌合部64の先端に径寸法が拡縮可能な材質のリング部材90を別体に設け、拡径部材92を嵌合部64の軸方向へ移動させることにより、そのリング部材90をテーパによる楔作用で拡径させることにより、円穴16および通路20の内周面に押圧する場合で、より気密にシールすることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
本発明の隙間検出機能を備えている圧入装置の一例を説明する概略図で、(a) はバルブシートを受け取る受取場所で、(b) はバルブシートをシリンダヘッドに圧入する圧入場所である。 図1の圧入装置の作動を説明するフローチャートである。 図2のフローチャートに従って隙間を検出する際に測定する受取ストロークa、離間距離b、圧入ストロークcを説明する図である。 第4発明の隙間検出装置を説明する一部を切り欠いた構成図である。 第4発明の隙間検出装置の別の例を示す構成図で、図4に対応する図である。 第4発明の隙間検出装置の更に別の例を示す構成図で、図4に対応する図である。 第4発明の隙間検出装置の更に別の例を説明する断面図である。 従来の圧入装置の一例を説明する概略図である。 従来の隙間検出方法の一例を説明する図である。
符号の説明
10:シリンダヘッド(組付部材) 12:嵌合穴 14:バルブシート(圧入部品) 16:円穴 18:底面 20:通路(小径穴) 30:圧入装置 32:圧入ヘッド 38:エンコーダ(ストロークセンサ) 42:距離センサ 60:隙間検出装置 62:嵌合治具 70:流体供給路 72:流体排出路 88:流量センサ(流体センサ) G:隙間
ステップS2:厚さ情報取得手段
ステップS4:深さ情報取得手段
ステップS7:圧入ストローク検出手段
ステップS8、S9、S10:隙間判断手段

Claims (4)

  1. 受取場所において圧入ヘッドにより圧入部品を受け取った後、圧入場所で該圧入ヘッドにより該圧入部品を組付部材の嵌合穴内に圧入する際に、該圧入部品と該嵌合穴の底面との間の隙間が所定量か否かを検出する隙間検出方法であって、
    前記圧入ヘッドが、前記受取場所において予め定められた受取初期位置から前記圧入部品に当接するまで接近して該圧入部品を受け取る際に、該圧入部品の厚さに関する情報としてその受取ストロークaを検出する厚さ情報取得工程と、
    前記嵌合穴の穴深さに関する情報として、予め定められた穴深さ測定位置から該嵌合穴の底面までの離間距離bを測定する深さ情報取得工程と、
    前記圧入ヘッドが、前記圧入場所において予め定められた圧入初期位置から前記組付部材に接近して前記圧入部品を前記嵌合穴内に圧入する際に、その圧入ストロークcを検出する圧入ストローク検出工程と、
    前記受取ストロークa、前記離間距離b、および前記圧入ストロークcに基づいて、前記隙間が所定量か否かを判断する隙間判断工程と、
    を有することを特徴とする隙間検出方法。
  2. 受取場所において圧入ヘッドにより圧入部品を受け取った後、圧入場所で該圧入ヘッドにより該圧入部品を組付部材の嵌合穴内に圧入する際に、該圧入部品と該嵌合穴の底面との間の隙間が所定量か否かを検出する隙間検出装置であって、
    前記圧入ヘッドの移動ストロークを測定するストロークセンサと、
    前記圧入ヘッドに一体的に設けられて非接触で離間距離を測定する距離センサと、
    前記圧入ヘッドが、前記受取場所において予め定められた受取初期位置から前記圧入部品に当接するまで接近して該圧入部品を受け取る際に、該圧入部品の厚さに関する情報としてその受取ストロークaを前記ストロークセンサにより検出する厚さ情報取得手段と、
    前記圧入ヘッドが、予め定められた穴深さ測定位置に保持された状態で、前記嵌合穴の穴深さに関する情報として該圧入ヘッドから該嵌合穴の底面までの離間距離bを前記距離センサにより測定する深さ情報取得手段と、
    前記圧入ヘッドが、前記圧入場所において予め定められた圧入初期位置から前記組付部材に接近して前記圧入部品を前記嵌合穴内に圧入する際に、その圧入ストロークcを前記ストロークセンサにより検出する圧入ストローク検出手段と、
    前記受取ストロークa、前記離間距離b、および前記圧入ストロークcに基づいて、前記隙間が所定量か否かを判断する隙間判断手段と、
    を有することを特徴とする隙間検出装置。
  3. 前記隙間判断手段は、前記受取ストロークaと予め定められた基準受取ストロークa* との差(a* −a)をA、前記離間距離bと予め定められた基準離間距離b* との差(b* −b)をB、前記圧入ストロークcと予め定められた基準圧入ストロークc* との差(c* −c)をC、および予め定められた許容寸法αを用いて、次式(1) を満足する場合に前記隙間が該許容寸法α以下と判断する
    C≦A+B+α ・・・(1)
    ことを特徴とする請求項2に記載の隙間検出装置。
  4. 中心に円穴を有する円環形状の圧入部品が、組付部材に設けられた嵌合穴内に圧入されるとともに、該嵌合穴の底面には、前記円穴と略同じ径寸法の小径穴が設けられている場合に、該圧入部品と該嵌合穴の底面との間の隙間が所定量か否かを検出する隙間検出装置であって、
    前記円穴および前記小径穴の内径と略等しい外径の円柱形状を成し、該円穴および該小径穴に跨がって嵌合される嵌合治具と、
    該嵌合治具が前記円穴および前記小径穴に跨がって嵌合された状態で、該円穴と該小径穴との境界付近において該嵌合治具の外周面に開口するように該嵌合治具に設けられ、所定の流体を流出させる流体供給路と、
    前記嵌合治具の軸方向において前記流体供給路と略同じ位置であって周方向に離間した位置に開口させられ、該流体供給路から流出させられた流体が流入させられる流体排出路と、
    前記圧入部品と前記嵌合穴の底面との間の隙間の大きさに応じて変化する前記流体供給路または前記流体排出路を流通する流体の流量或いは圧力を検出する流体センサと、
    を有することを特徴とする隙間検出装置。
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