JP4630218B2 - ハイドロフォーム加工における金型の割れ検知方法および装置 - Google Patents
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Description
このハイドロフォーム加工は、図10aに示すように、素材管11を分割した上下の金型12にセットし、金型を型締めした後、素材管内に液体を注入して素材管に内圧Pを負荷するとともに、管軸方向の軸押しδを負荷することにより、管軸方向の伸びを抑えながら管周方向に伸びを与え、素材管を所定形状に成形する技術であり、内圧Pと軸押しδについて、例えば図10bのような負荷経路が用いられている。
例えば、素材管ごとの材質のバラツキによって、同一製品の加工でも、加工中に素材管が座屈して、金型空間へとスムーズに張り出さないことや、加工中に素材管が破断してしまうなどの問題がある。
また、金型の割れに対しては、割れの発生しやすい金型コーナー部を中子式とし、コーナー部の応力集中を緩和する金型構造として、割れの発生を防止することが特許文献3などで知られている。
しかしながら、金型の状態を絶えず監視して、亀裂の発生の早い段階でそれを事前に検出し、不良品の発生を防止する技術については従来知られていなかった。
請求項1のハイドロフォーム加工における金型の割れ検知方法の発明は、該請求項に記載されているように、金型のキャビティ内壁の角部のうち、少なくとも1箇所の角部に近接する金型内部における応力又は歪を、ハイドロフォーム加工中に交差する2方向から測定し、測定された金型内部の応力又は歪に基づいて金型の割れを検知することを特徴とする。
請求項3のハイドロフォーム加工における金型の割れ検装置の発明は、該請求項に記載されているように、前記測定手段が、金型の軸方向断面で、金型の全ての角部に近接する金型本体内部に配置されることを特徴とする。
請求項4のハイドロフォーム加工における金型の割れ検装置の発明は、該請求項に記載されているように、前記割れ検知手段は、ハイドロフォーム加工中に測定された応力値又は歪値を内圧値と関連させて記憶する記憶手段と、記憶された応力値又は歪値から、あらかじめ定められた内圧値における応力値又は歪値を加工毎に演算する検出値演算手段と、金型毎の基準となる応力値又は歪値を記憶する基準値記憶手段と、検出値演算手段により演算された応力値又は歪値と基準値記憶手段から呼び出された金型に対応する基準値とを加工毎に比較し、比較結果に基づき割れの発生の有無を判定する判定手段とよりなることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、上記ハイドロフォーム加工中の金型の割れ発生をさらに精度よく検出することができる。
本発明者らは、ハイドロフォーム加工中に変化する状態量として、従来着目されていなかったハイドロフォーム加工中に金型が受ける応力に注目した。そして、ハイドロフォーム加工中に金型が受ける応力、あるいは金型に発生する歪の変化を内圧との関係で知ることができれば、金型の状態に関する情報が得られるのではないかと考えて、金型が受ける応力、あるいは金型に発生する歪の変化を内圧との関係で検討した。
1は、上下に分割されたハイドロフォーム加工用金型の下金型であり、その分割面2の中央部分には、金型キャビティ3が設けられている。金型キャビティ3は、断面が円形の素材管の中央部を方形に膨出させるために、素材管の外径に対応した半円形凹部3a、bと、中央部の方形部に対応した方形凹部3cと、凹部3aと3cを滑らかに連結するための凹部3dと、これと同様の凹部3eとにより構成されている。
また、下金型に対応する上金型も下金型と同一形状に構成されている。
なお、9は、型締時に上下の金型を位置決めする位置決めピンであり、上金型には、位置決めピンが挿入される位置決め穴が形成されている。
センサの設置は、図2でより詳細に示すように、金型の底面5および側面6からキャビティ内壁の角部に向かって、先端が前記角部に近接して位置する細孔7を設け、細孔の先端部に前記センサを配置した。また、金型の底面5には、一端が前記細孔7に接続し、他端が前記金型の側面6に達している溝8を設け、センサの配線を該溝によって金型外に引き出せるようにした。
センサの配置位置は、一箇所の角部につき3箇所とし、上下の金型合計で12箇所とした。
図5に示すように、下金型右側の測定位置と上金型右側の測定位置とではセンサの検出値に多少の差がみられたが、変化の仕方はほぼ同様であった。
なお、上金型および下金型とも左右の測定位置でセンサの検出応力にほとんど差がなかったため、図5にはそれらの値を図示していない。
金型は、成形開始時は、素材鋼管の内圧からの応力を受けないから、型締め力に対応した一定の応力を受けている。その後内圧の上昇とともに素材管が膨出を開始し、まず(1)の点において、管の中央部外面がより近い金型キャビティの上下の内壁に接触する。管はさらに膨出を続け、(2)の点で左右の内壁にも接触する。それ以降、最終的に金型角部の細かい形状に倣った形状まで変形し、金型内壁にほぼ全接触した状態になるには大きな内圧を必要とするから、検出される応力も内圧の上昇とともに上昇する。
そのような金型として、上記図1〜4に示した下金型の左角部のR部の基部に微細な切れ込みを形成した金型を用い、図5を作成したときと同様の素材管や加工条件を用いてハイドロフォーム加工を行った。
このことから、加工終了時の応力、加工中の最大応力などの検出値を記録しておけば、高い応力値が連続的に検出された場合など、応力の変化から金型キャビティ内壁の亀裂の発生を予め検知することが可能となる。
金型の割れ発生を検知するために、加工中の金型の歪又は応力を測定する測定手段としてのセンサを金型に取付ける。センサは、成形に影響を与えることなく、キャビティ付近の応力をより正確に測定するために、金型のキャビティの角部に近接する金型本体内部に配置されなければならない。
配置されるセンサとしては、例えば歪を測定するものとしては、水晶感圧センサ、歪ゲージ、レーザ歪測定器などが使用でき、応力を測定するものとしては、応力ゲージ、レーザ応力測定器などが使用できる。
しかし、例えば金型製造時に細管を埋め込む方法など、細孔を形成する他の方法を採用することもできる。この場合には、細孔を曲線とすることができる。
細孔先端部の位置は、角部から5〜20mm以上離れているのが望ましい。図2の例では、Lとして15mm程度が好ましい。
割れの入っていない状態の金型を用い、所定回数のハイドロフォーム加工を行い、各回の加工毎にセンサの検出した応力値を内圧値とともに記憶し、各回の加工毎に、例えば最大内圧時の応力値を求めておく。そして、所定回数の加工後に応力値の平均値を演算して、その値をその金型の割れ判定のための基準値として設定する。以後、加工ごとに記憶された応力値から最大内圧時の応力値を検出値として算出し、この検出値を基準値と比較し、その差がある値を超えたかどうか判断し、超えた回数が所定回数に達すると金型に割れが発生したと判定する。
同じ金型で、材質や寸法特性の異なる素材管を加工する場合は、上記素材管ごとに基準応力値を設定しておく。
図8において、1は、ハイドロフォーム加工金型であり、各金型のコーナーR部に近い金型内部には、上記のように金型内の応力や歪を測定するセンサ10が配置されている。11は、金型内の素材鋼管を管端側から軸押し工具12を介して軸押しする油圧ピストン等の軸押し手段であり、13は、軸押し量検出手段である。14は、素材鋼管内に液体を注入して、素材管に内圧を負荷するための内圧負荷手段であり、15は内圧検出手段である。軸押し量検出手段13及び内圧検出手段15からの信号は、制御装置16に送られ、制御装置内の制御部によって所定の負荷経路になるように軸押し手段11及び内圧負荷手段14が制御される。
2 金型の分割面
3 金型キャビティ
4 金型キャビティの角部
5 金型の底面
6 金型の側面
7 細孔
8 配線引き出し用溝
9 位置決めピン
10 センサ(金型内の歪又は応力の測定手段)
11 軸押し手段
12 軸押し工具
13 軸押し量検出手段
14 内圧負荷手段
15 内圧検出手段
16 制御装置
17 変換手段
18 金型の割れ検知手段
19 応力値記憶手段
20 検出値演算手段
21 基準値記憶手段
22 割れ発生判定手段
23 制御装置16の制御部
24 表示・警報手段
Claims (4)
- 素材管を金型にセットし、金型を型締めした後、予め定められた負荷経路に基づいて素材管に対して内圧を負荷するとともに管軸方向に軸押しし、素材管を所定形状に成形するハイドロフォーム加工において、
金型のキャビティ内壁の角部のうち、少なくとも1箇所の角部に近接する金型内部における応力又は歪を、ハイドロフォーム加工中に交差する2方向から測定し、測定された金型内部の応力又は歪に基づいて金型の割れを検知することを特徴とするハイドロフォーム加工における金型の割れ検知方法。 - 金型と、軸押し手段と、内圧負荷手段を有し、金型にセットされた素材管に内圧を負荷して所定形状に成形するハイドロフォーム加工装置において、
前記金型のキャビティ内壁の角部のうち、少なくとも1箇所の角部に近接する金型本体内部に配置され、ハイドロフォーム加工中における金型内の応力又は歪を交差する2方向から測定する測定手段と、該測定手段により測定された応力又は歪に基づき金型の割れを検知する割れ検知手段とからなることを特徴とするハイドロフォーム加工装置における金型の割れ検知装置。 - 前記測定手段が、金型の軸方向断面で、金型の全ての角部に近接する金型本体内部に配置されることを特徴とする請求項2に記載のハイドロフォーム加工装置における金型の割れ検知装置。
- 前記割れ検知手段は、ハイドロフォーム加工中に測定された応力値又は歪値を内圧値と関連させて記憶する記憶手段と、記憶された応力値又は歪値から、あらかじめ定められた内圧値における応力値又は歪値を加工毎に演算する検出値演算手段と、金型毎の基準となる応力値又は歪値を記憶する基準値記憶手段と、検出値演算手段により演算された応力値又は歪値と基準値記憶手段から呼び出された金型に対応する基準値とを加工毎に比較し、比較結果に基づき割れの発生の有無を判定する判定手段とよりなることを特徴とする請求項2または3に記載のハイドロフォーム加工装置における金型の割れ検知装置。
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