JP4624474B2 - 回動装置、およびこれを備えた開閉式携帯端末 - Google Patents

回動装置、およびこれを備えた開閉式携帯端末 Download PDF

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Description

本発明は回動装置、及びこれを備えた開閉式携帯端末に係り、特に、第1筐体が第2筐体に対して、2つの方向へ回動することができる開閉式携帯端末、および、これに備える回動装置に関するものである。
近年、携帯電話が多数開発され使用されているが、この携帯電話には、単純な棒状を呈するストレート型の他に、スライド装置を介して開閉可能なスライド型や、回動(ヒンジ)装置を介して開閉可能な折畳型等が各種開発されている。
携帯機器に用いるヒンジ装置としては、第1の例として、開閉軸支持部に開閉可能に支持された開閉軸と、該開閉軸を直交状態で回転可能に貫通した回転軸と、前記開閉軸支持部と開閉軸に相互に当接するように設けられた角度規制片と、前記回転軸に突設された規制フランジと、前記開閉軸支持部に取り付けられ前記規制フランジに臨む回転規制部と、前記開閉軸の先端にかしめて固着され該開閉軸の抜止めをする開閉軸抜止板と、前記回転軸の先端にかしめて固着され該回転軸の抜止めをする取付板と、を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。このヒンジ装置と、このヒンジ装置に装着される第1筐体と第2筐体とからなる携帯機器は、第1筐体と第2筐体とが折り畳まれた閉状態と、開かれた状態から一方の筐体が他方の筐体に対して回動可能に構成される。開閉軸や回転軸が回動するときには、各々の軸が挿通した波型ばねが圧縮することで所定のトルクが与えられるよう構成されている。
また、第2の例として、携帯機器を構成する第1の筐体と第2の筐体を、互いに重ね合わせた閉成状態から、上下方向の1方向と左右方向の2方向へ相対的に開閉させるヒンジ装置であって、前記第1筐体及び前記第2筐体のいずれか一方に取り付けられる第1シャフトと、前記第1筐体及び前記第2筐体のいずれか他方に取り付けられる第2シャフトと、前記第1シャフト及び第2シャフトをそれぞれの軸芯を中心として回動可能に支持する基部と、該基部に対する前記第1シャフトの回動を制御する第1カム機構と、前記基部に対する前記第2シャフトの回動を制御する第2カム機構と、前記第1筐体及び前記第2筐体が、閉状態のとき、互いに前記2方向のいずれか一方の方向に開いた開状態以外のとき、前記2方向のいずれか他方の方向への開閉をロックするロック機構と、を備えたものがある(例えば、特許文献2参照)。第1シャフトの外周、および第2シャフトの外周には各々シャフトが挿通される圧縮コイルスプリングが設けられ、各々のシャフトが回動する際に所定の回動トルクが得られるようになっている。
前述した携帯機器に用いるヒンジ装置は、いずれも2つの筐体を開閉可能に連結し、2つの筐体が重なるように閉じた状態から開かれた状態への回動する第1の回動方向と、一方の筐体が他方の筐体に対して、第1の回動方向に対して直交する方向に回動する構成である。
特許第3031903号公報 特開2006−233998号公報
前述の第1の例における述べたヒンジ装置にあっては、開閉軸や回転軸が抜けないように、それぞれ開閉軸抜止板や取付板が、かしめて固着されている。かしめとは、軸がわずかだけ突出するように板材に設けられた穴に差込み、圧力を加えて突出した部位を永久変形させて、軸から板材が分離しないようにすることである。このかしめた後の、両者の結合強度は所定の強さが必要である。ここで所定の強さとは、このヒンジ装置を備えた開閉式携帯端末を使用者が誤って落下させてしまった場合でも簡単に破壊しにくい強度である。
両者の結合強度は、かしめによって変形した体積や変形後の形状(厚みや面積など)に依存するが、その結合強さは実際に破壊させないと把握できないため、かしめ作業は、容易ではない。そのため、作業工程やカシメ後の出来映え管理にノウハウが必要となるため、所定の結合強度を安定して維持するには、かしめ後、どの部位を定量的にどのように管理するのかを決定したり、またその管理方法が難しかった。
また、第1、第2の例として述べたヒンジ装置にあっては、ともに、回動する軸が挿通したコイルばねを有している。このコイルばねは、回動する軸(シャフト)が所望の回転トルクを得るためのものである。コイル平均径や線径を小さく(細く)すると、所望のトルクが得られなくなってしまうため、所定のコイル平均径や線径が必要である。
また、この種の携帯端末は、携帯性を向上させるために小型化が進んでいる。一方で、ポケットに収納した状態で、屈んだときにポケットから落下させてしまう場合がある。このような場合でも破損しない携帯端末が望まれている。そのため、落下させても破損しないようにするためには、ヒンジに用いる軸は所定の太さが必要である。
従って、携帯端末の小型化を図るために、軸を貫通させながら所望のトルクが得られるコイルばねを実現しようとすると、コイル平均径や線径、軸の小型化にも限界があるため、小型な携帯端末の実現が困難であった。
また、この種のヒンジには摺動する部位が必ず存在する。この摺動する部位に適宜、潤滑剤を供給しないと磨耗が生じ、トルク変動を招いてしまう可能性がある。そのため、潤滑剤の供給手段は必要であったが、ヒンジの大型化を回避しながら潤滑剤供給部を構成するのが難しかった。すなわち、小型化を優先すると寿命特性を犠牲にしなければならない可能性があった。
また、回動装置を備えた端末は、所定角度だけ開閉するように設定される。この場合、回動装置、或いはこれを備えた端末のいずれか一方で、その所定角度を規制して実現する。このとき、回動装置がその機能を有すれば、回動装置を端末に組み付けるだけで端末の角度規制が行えるので、端末開発メーカーから回動装置開発メーカーに対して、この機能を備えつつ、小型で、低廉化、高性能(安定したトルクが得られることなど)な回動装置が要望されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、小型化が実現可能な回動装置を提供することを目的とする。同時に、長寿命特性を実現させ、かしめによる軸の抜け防止構造(作業による強度保証)ではなく、簡単な構造で、かつ製造上、特別なノウハウやスキルを必要としない構造で実現したり、ヒンジに回動角度規制機能を備えさせたりするなど、多くの課題を解決するものである。
また、小型な回動装置を最適に配置するなど、回動装置を備えた端末であっても大型化を回避できる開閉式開閉式携帯端末を提供することを目的とする。
本発明の回動装置は、軸部と前記軸部の半径方向に突出した第1突起部とを有する回動軸部材と、前記軸部を回動可能に保持する挿通孔を有する軸受部材と、前記回動軸部材に当接する摩擦部材と、前記回動軸部材を付勢して該回動軸部材が回動する際に所定トルクを生じさせる付勢部材と、前記軸受部材に取り付けられる蓋部材と、前記回動軸部材に取り付けられるリング部材と、を備え、前記挿通孔の入口近傍または出口近傍には、前記回動軸部材が前記軸受部材に保持された状態で所定量回動したときに、前記第1突起部と当接する当接部を形成し、前記軸受部材は、前記付勢部材と前記摩擦部材とを収容する収容部を有し、前記蓋部材を前記軸受部材に取り付けると前記付勢部材に撓みが付与されて付勢力を生じ、前記付勢力が前記摩擦部材を介して前記軸部材を付勢し、前記回動軸部材は、前記軸部の半径方向に突出した第3突起部を有し、前記挿通孔は、前記回動軸部材が所定位置のとき前記第3突起部が通過可能な突起通過部を有し、前記リング部材は、前記挿通孔が前記軸部材を保持した際に前記第3突起部と前記突起通過部との間に配置したことを特徴とする。
この構成により、かしめ作業を必要とせず、さらに大きな力が作用してもリング部材が容易に外れないようにすることができる。
本発明の回動装置は、前記回動軸部材は、前記軸受部材が前記回動軸部材を保持した際に該軸受部材の外側の位置に溝部を有し、前記溝部は、前記軸部の周面方向に該溝部の両端が離間するように形成され、開口部を有するリング部材を前記溝部に取り付けた、ことを特徴とする。
この構成により、リング部材は回動軸部材と共回動させることができるので、突起部が突起通過部重なっても突起部が突起通過部を通過することを阻止することができる。
本発明の開閉式携帯端末は、前述した回動装置を備えたことを特徴とする。
この構成により、簡単な構成で開閉式開閉式携帯端末の小型化を実現できる。
本発明によれば、ヒンジの大型化を回避しつつ簡単な構成で小型化が可能なヒンジを実現する。
しかも、摺動面に潤滑剤を供給することができるので、長寿命特性が得られる。
また、落下衝撃力が作用した場合でも簡単にリング部材が外れず、その取り付け強度を部品の製作寸法で保証できるようにしたので、かしめ作業のばらつきに依存せずとも耐落下強度を確保したできる。
また、回動軸部材に対して省スペースでありながら安定した付勢力を付与できるので、所定のトルクを容易に発生させることができなど、たくさんの効果を有する小型な開閉式携帯端末を実現できる。
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、ここでは、本発明の連結装置、及びこれを備えた開閉式携帯端末として、折畳型携帯電話に適用して説明する。
図1は、本発明の実施形態1における折畳型携帯電話の外観を示す斜視図であり、(a)は閉状態、(b)は第1開状態、(c)は第2開状態を示す。図2は、図1の分解斜視図である。図3は、図1(a)の中央断面図を示す。図4は、本発明の実施形態1における折畳型携帯電話の筐体内の電気的構成を示すブロック図である。図5は、本発明の実施形態1における折畳型携帯電話内の第2ヒンジの分解斜視図である。図6は、図5に示す回動軸部材と軸受部材の斜視図である。図7は、本発明の実施形態1における折畳型携帯電話内の連結部の中央横断面図である。図8は、本発明の実施形態1における折畳型携帯電話内の連結部の中央縦断面図である。図9は、図8の部分拡大図を示す。図10は、本発明の実施形態1における折畳型携帯電話内の回動軸部材の動作を説明する図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態1の折畳型携帯電話(以下、本体部という)1は、大略構成として、略箱状の上筐体2と、略箱状の第2筐体3と、これら上下の筐体2、3を開閉可能に連結する連結部4と、を備えて、本体部1を構成している。この連結部4の回動動作により、本体部1は、矢印A及びこのA方向に直交するB方向に折畳可能に連結されている。
携帯時には、図1(a)に示すように、本体部1が閉じた状態(閉状態)で用いられる。例えば、通話時、文字や数字、電話番号を入力する場合、図1(b)に示すように、本体部1が閉状態から、下筐体3に対して上筐体2を矢印A方向に回動させた第1の開いた状態(第1開状態)で用いられる。例えば、TVを横長画面で視聴する場合、図1(c)に示すように、本体部1が閉状態から、下筐体3に対して上筐体2を矢印B方向に回動させた第2の開いた状態(第2開状態)で用いられる。
次に、本実施形態1の折畳型携帯電話の本体部1が有する各構成要素について、図3乃至図5を用いて説明する。
上筐体2は、レシーバ5と、スピーカ6と、第1表示部7と、第2表示部8と、第1カメラ部9と、磁気検出素子として用いる第1ホール素子10と第2ホール素子11と、第1プリント基板12と、を収容している。上筐体2の主面2A側には第1表示部7が可視可能に設けられている。主面2Aとは反対側の裏面2Bには第2表示部8が可視可能に設けられている。
一方、下筐体3は、送話部(マイクロフォン)13と、操作部14と、第2カメラ部15と、第1磁石16と、アンテナ17と、第2プリント基板18と、UIMカード装着部19と、着脱可能な電池20などを収容している。第2プリント基板18には、無線回路部21、データ変換部22、音声処理部23、画像処理部24、情報記録部25及び制御部26などを実装している。また、給電部(図示せず)を形成し、この給電部にアンテナ17が接続される。このうち、下筐体3の主面3Aには、本体部1が第1、第2開状態のときに露出する操作部14が設けられる。契約者の情報や電話番号情報、個人識別情報などが記録されたICカードとして使用されるUIM(User Identity Module)カードは電池20の下に配設されたUIMカード装着部19に装着され、電池20を覆う電池カバー27と電池20が外された状態で交換(抜き挿し)できるようになっている。この電池カバー27は、主面3Aとは反対側の背面3Bの一部を構成する。
連結部4は、図2に示すように、第1連結部(第1回動装置、または第1ヒンジ)28と第2連結部(第2回動装置、または第2ヒンジ)29が装着され、上下の筐体2、3を回動可能に連結するものである。また、図3に示すように、連結部4には、一端は第1プリント基板12の表面に設けられた第1コネクタ(図示せず)に差し込まれ、他端は第2プリント基板18の表面に設けられた第2コネクタ(図示せず)に差し込まれて、第1プリント基板12と第2プリント基板18とを電気的に接続する、可撓性を有する配線部材(本実施形態1では、複数本のケーブルを用いている)30が通される。また、図2に示すように、連結部4の内部には、閉状態と第1開状態のときに第2ホール素子11と対向する第2磁石31が設けられている。また、図1(a)と図1(c)に示したように、閉状態及び第1開状態のときに上筐体2と係合するロック部32を有する。ロック部32は、スライドさせることで係合が解除され、係合が解除されると、上筐体2は矢印B方向へ回動可能になる。
図1(a)乃至図1(b)を用いて、上筐体2について、詳述する。
レシーバ5は、第1音声出力部であり、通信相手の音声を出力するものである。着信時、使用者はレシーバ5に耳を当て、相手の音声を聞き取る。
スピーカ6は、第2音声出力部であり、着信音やハンズフリー時の音声、TV視聴時の音声などを出力するものである。
第1表示部7は、本体部1が第1、第2開状態のときに、受信電界強度を示すマーク、電池残容量情報、時刻情報や着信情報、入力した文字や記号、受信画像等が表示される。
第2表示部8は、本体部1が閉状態のときに外面に露出し、第1、第2開状態では、第1表示部7や操作部14が向く方向とは反対側を向く。本体部1が閉状態のときは、時刻情報や着信情報が表示される。使用者は、着信があったときには本体部1を第1開状態にして受話動作を開始するが、この第1開状態にすると、第2表示部8に表示された文字情報は非表示になる。第2開状態でも、同様に文字情報等は非表示になる。
これら第1表示部7、第2表示部8は、液晶表示器(LCD)や有機EL等により構成され、可撓性を有するフレキシブルプリント配線板等からなる表示部用配線部材によって第1プリント基板12に接続されている。
第1カメラ部9は、レシーバ5に隣接して設けられ、TV電話時には使用者を撮影する。このときの撮影画像は第1表示部7に鏡像として表示され、通話相手には音声とともにこの撮影画像が送信される。
第1ホール素子10は、上筐体2の上端側であって、本体部1が閉状態のとき、第1磁石16と対向する位置に配置されている。
第2ホール素子11は、上筐体2の下端側であって、本体部1が閉状態、及び第1開状態のとき、第2磁石31と対向する位置に配置されている。
第1プリント基板12は、第1表示部7の下側に配置される。この第1プリント基板12には、レシーバ5やスピーカ6、第1表示部7、第2表示部8、第1カメラ部9が電気的に接続される。また、第1ホール素子10と第2ホール素子11が実装されている。
下筐体3について、詳述する。
マイクロフォン13は、下筐体3の主面3Aにあって本体部1が閉状態のときに上筐体2が対向して覆われ、本体部1が第1または第2開状態のときに露出するように設けられている。通話時は、使用者の音声を通信相手に送話する。
操作部14は、下筐体3の主面3Aに配置されている。電話番号や文字を入力するために、数字や文字、記号が印刷されている。受話や終話、レシーバ5やスピーカ6から出力される音量の調節、マナーモードへの切替え、メニュー画面における選択と確定などができる複数の操作ボタンなどからなる。
第2カメラ部15は、主面3Aの反対側の背面3Bであってプリント基板18に隣接して配設され、第1、第2開状態のときには第1表示部7の後方が撮像可能になっている。被写体が使用者の前方にあるとき、撮影しながら第1表示部7に表示される撮影画像が確認できる。
この第2カメラ部15と前述した第1カメラ部9は、ともに捉えた被写体からの入射光を、レンズ群を通過してCCD(電荷結合素子)などの光電変換素子にて光信号から電気信号に変換され、画像情報が生成される。この画像情報は、画像処理部24にて処理された後、第1表示部7に画像を生成する。また、撮像した画像は電話番号とともに電話帳に記録できる。画像が保存されている相手から着信があった場合、本体部1が閉状態であれば第2表示部8に、本体部1が第1または第2開状態であれば第1表示部7に、該当する電話番号と関連付けられた画像を表示する。関連付けられた画像が顔画像であれば、発信相手を容易(一目)に認識できる。
このため、第1表示部7、第2表示部8、第1カメラ部9及び第2カメラ部15は、画像処理部24と接続されており、これら第1カメラ部9及び第2カメラ部15が撮影した画像情報は、所定の操作を行うと、情報記録部25に記録される。なお、この情報記録部25は、この画像情報の他にも、電話番号情報や音声情報、撮像した画像情報以外の画像情報(受信した画像情報等)、作成中または送受信したメール等の文字情報を記録することができる。
アンテナ17は、下筐体2の先端であって、連結部4の下方に配置される。アンテナ17は、GSM方式の帯域である900MHz帯、1.8GHz帯、1.9GHz帯と、W−CDMA方式の帯域である2GHz帯で共振点を有し、これら4つの帯域の送受信が行える多周波アンテナである。
第2プリント基板18は、電池20に隣接し、第2カメラ部15の周辺に設けられ、一部にはUIMカード装着部19や電池20に接続されるコネクタ(図示せず)を備える。
制御部26は、操作部14、第1ホール素子10、第2ホール素子11、無線回路部21、データ変換部22、画像処理部24及び情報記録部25接続されており、これらの制御を行う。さらに、この制御部26は、UIMカード装着部19や電池20にも接続されている。
無線回路部21はアンテナ17に接続されており、このアンテナ17で受信したデータを処理してデータ変換部22に出力するように構成されている。データ変換部22は音声処理部23に接続されており、音声処理部23は、レシーバ5、スピーカ6及びマイクロフォン13にそれぞれ接続されている。
従って、このデータ変換部22では、無線回路部21及び制御部26を介して、アンテナ17からの受信データを音声データに変換して音声処理部23に出力する。
音声処理部23は、音声データを復号化して音声信号を生成した後、レシーバ5やスピーカ6に出力する。レシーバ5やスピーカ6は、音声処理部23から伝達された音声信号に対応する音声を出力する。
また、音声処理部23は、マイクロフォン13が受けた音声を符号化して音声データを生成した後、データ変換部22に出力する。データ変換部22は、入力した音声データを通信データに変換した後、無線回路部21に出力する。無線回路部21は、受け取った通信データを処理し、アンテナ17から無線信号の電波として送信する。
ケーブル30は、第1プリント基板12と第2プリント基板18とを電気的に接続するものである。制御部26による制御によって、レシーバ5やスピーカ6から音声を出力させる信号、第1カメラ部9や第2カメラ部15による撮影画像を第1表示部7に表示させるための信号等の送受信が行われる。
第1ホール素子10と第2ホール素子11について説明する。第1ホール素子10は、本体部1が閉状態では第1磁石16が近接状態にあるため、第1磁石16の磁界を検出して制御部26に検出信号を出力する。また、この第1ホール素子10は、本体部1が第1開状態及び第2開状態であれば第1磁石16が離間するので、この第1磁石16の磁界を検出できないため、第1ホール素子10は検出信号を生成しない。
第2ホール素子11は、本体部1が閉状態及び第1開状態では、第2磁石31が近接状態にあるため、第2磁石31の磁界を検出して制御部26に検出信号を出力する。また、この第2ホール素子11は、本体部1が第2開状態であれば第2磁石31が離間するので、この第2磁石31の磁界を検出できないため、ホール素子は検出信号を生成しない。
すなわち、第1ホール素子10が第1磁石16を検出し、第2ホール素子11が第2磁石31を検出すると本体部1は閉状態である。第1ホール素子10が第1磁石16を検出せず、第2ホール素子11が第2磁石31を検出すると本体部1は第1開状態である。第1ホール素子10が第1磁石16を検出せず、第2ホール素子11が第2磁石31を検出しなければ第2開状態である。
本体部1を閉状態から第1開状態または第2開状態にすると、操作部14と第1表示部7が露出し、操作部14を照明する光源や第1表示部7を照明する光源がオンとなる。所定時間操作されなければ、照明はオフとなる。本体部1が開かれた状態から閉状態にすると、操作部14や第1表示部7を照明する光源がともにオフとなり、消費電力を低減させる。
連結部4について、図2、図5乃至図9を用いて詳述する。
まず、図2、図8において、下筐体3の一端側には、端部に略円筒状の第1ヒンジ装着部41、略中央部に円筒状のガイド部42が形成されている。
連結部4は、第1保持部43と、第2保持部44と、第1保持部43と第2保持部44を接続する接続部45と、からなる。第1保持部43は、第1ヒンジ装着部41とガイド部42の間に配置される。第1保持部43と第2保持部44はガイド部42を挟み込むように配置される。第1ヒンジ装着部41の外側から第1保持部43まで円筒状の第1ヒンジ28が装入される。
第1ヒンジ28は第1連動部46と第2連動部47とを有し、第1ヒンジ装着部41と第1保持部43とに跨って取り付けられており、第1連動部46と第2連動部47は回動可能に連結されている。この第1ヒンジ28は、第1連動部46が第1ヒンジ装着部41に回動不能に保持され、第2連動部47が第1保持部43に回動不能に保持されることで、第1ヒンジ28の軸心aを中心に、下筐体3に対して上筐体2に接続された連結部4が矢印A方向に回動可能となっている。また、第2磁石31は、第1保持部43内であって、本体部1が閉状態及び第1開状態のとき、第2ホール素子11と近接対向する位置に配置されている。
ガイド部42は、接続部45を回動可能に保持される。この接続部45は、切欠き部46(図8に図示)を有し、後述するケーブル30が通過する。
第2ヒンジ29について、図5乃至図9を用いて詳述する。
図5において、第2ヒンジ29は、第2保持部44内に配置される。回動軸部材51と、軸受部材52と、リング部材53と、摩擦部材54と、付勢部材(ばね部材)55と、蓋部材56と、2本の蓋部材固定ねじ57と、からなる。
回動軸部材51は、中空円筒状の軸部58と、この軸部58表面に立設した第1突起部59(図6にも図示)と、軸部58先端側外周からラジアル方向に延設した第1腕部60と、第1腕部60に設けられた複数の第1貫通穴61と、からなる。第1貫通穴61は、上筐体2に収容された第1表示部7の下端近傍にある雌ねじ部3Cに第1腕部固定ねじ(図示せず)にて共締め固定される。そのため、第1腕部60は第2保持部44から突出して上筐体2内に配置され、軸部58は軸受部材52に保持されながら、第2保持部44内に配置される。配置された状態は、図7、図8に示す。
軸受部材52は、回動軸部材51の他端側が挿通して回動軸部材51を回動可能に保持する挿通孔62と、この挿通孔62に回動軸部材51を挿通させた際に、回動軸部材51の軸部58外周面の一部は収容部63に形成した開口部63aから露出するように連通し、この収容部63の一辺が延設した第2腕部64と、第2腕部64に形成された第1ねじ穴65と角状の第2貫通穴66と、収容部63の周囲に設けられた第2ねじ穴67、第3ねじ穴68と、挿通孔62の入り口近傍に設けられた第2突起部(図6に図示)69と、挿通孔62の出口近傍に設けられ、挿通孔62から突出した回動軸部材51に固着されるリング部材53に近接するリブ70と、からなる。
挿通孔62の内壁には、略90度の角度(略V字状)をなす2つの平面部71が形成されるとともに、この2つの平面部71の一端側を接続する縦壁部72と、2つの平面部71の他端側から開始された半円部73と、からなり、軸受部材52の内部で収容部63と連結している。挿通孔62に通された回動軸部材51は、軸部58他端にリング部材53が取り付けられて、軸受部材52から抜けないようになる。
リング部材53は、軸部58他端が嵌るD状穴74と、外周に突出した突出片75を有する平板である。
摩擦部材54は挿通孔62と連結された収容部63内に配設される。摩擦部材54は、軸部58と対面する第1対面部76とこの第1対面部76とは反対側であって、平坦な形状をなしばね部材55と対面する第2対面部(平坦部)77とを有する。第1対面部は、略V字状の2つの斜面部(第1斜面部76a、第2斜面部76b)を有し、これら2つの斜面部76a、76bが軸部58と当接する。また、2つの斜面部76a、76bと軸部58とは、回動軸部材51が回動すると摩擦する。2つの斜面部76a、76bの間には、軸部58とは離間し潤滑剤(グリス)を塗布(付与)して溜めることができる凹状の第1溝部78が設けられている(図9)。この第1溝部78は、軸部58のスラスト方向に沿って設けられているので、軸部58と当接する2つの斜面部76a、76bにグリスを供給することができる。
具体的に、図9を用いて説明する。本体部1が閉状態から、回動軸部材51が矢印B方向に回動すると、軸部58は第1斜面部76aと摩擦し、その後、第1溝部78を通過する。ここで、第1溝部78に臨む軸部58の表面にグリスが付着する。グリスが供給された軸部58は、第2斜面部76bと摩擦する。回動軸部材51は、本体部1が第2開状態まで回動できる。本体部1が第2開状態から閉状態に戻るときは、第2斜面部76bと摩擦後、第1溝部78を通過し、第1溝部78からグリスが供給された後に第1斜面部76aと摩擦する。
なお、摩擦部材54が薄いとき、ばね部材55による付勢により摩擦部材54に変形の恐れがある。さらに、第1溝部78を形成すると、容易に曲がりやすくなる。摩擦部材54の変形を回避しながらグリスを軸部58の表面に付着させるために、軸部58表面と、摩擦部材54と収容部63とで形成する第1空間54aに、予めグリスを設けておくとよい。この第1空間54aに設けたグリスは、本体部1が閉状態から、回動軸部材51が矢印B方向に回動すると、軸部58は第1斜面部76aと摩擦する前に第1空間54aからグリスが供給され、その後、第1斜面部76aと摩擦する。次に、第2斜面部76bと摩擦する。第2斜面部76bを通過した回動軸部材51は、第2空間54bでまたグリスが供給される。このように、回動軸部材51は、グリスが供給されながら本体部1が第2開状態まで回動できる。本体部1が第2開状態では、第1突起部59と第2突起部69とが当接して、本体部1の開き角度が規制される。
本体部1が第2開状態から閉状態に戻るときも上述した動作が逆転して行われる。
なお、実施形態1では、第2突起部69は第1突起部59と当接する突起形状としたが、必ずしもこの形状でなくてもよい。すなわち、回動軸部材51が所定角度だけ回動したときに第1突起部59と当接して、回動軸部材51の回動角度を規制するように第1突起部59と当接する形状であればよい。
このように、第2ヒンジは簡単な構造で回動軸部材51の回動角度を規制することができるので、この第2ヒンジを本体部1に取り付けるだけで、本体部1の回動量を規制することができる。
以上のように、正転、反転を繰り返す回動軸部材51は、第1溝部78に、または、3つの部品で形成する第1空間54a、第2空間54bにグリスを設けるだけで、斜面部76a、76bと軸部58とが擦れによる磨耗を軽減させることでトルク変動を抑制したり、異音の発生を防止させる。すなわち、回動装置としての寿命特性を向上させる。また、軸部58に供給されたグリスは、軸部58が2つの平面部71との擦れに対して有効である。
軸部材51の軸部58外周面の一部は、収容部63の開口部63aから露出し、この露出部分と反対側で、第1斜面部76a、第2斜面部76bに当接する。平坦部77には、ばね部材55が当接する。
ばね部材55は、略長方形状の金属薄板に曲率Rを付与して形成されており、複数枚使用している。本実施形態1では、所定のトルクを得るために、4枚使用する。最初に、同方向に向いたばね部材55を、一方の凸側に他方の凹側を対面するようにして2枚重ねにし(いわゆる重ね板ばねであり、これをばねPとする)、円弧の外側が摩擦部材54の平坦部77に当接するように収容部63内に収容される。収容部63内に収容された状態を、図7乃至図9に示す。
残りの2枚は、ばねPの向きを反転させて(ばねQとする)、ばねPとは凹部が対向配置するように、収容部63内に収容される。ばね部材55が1枚で撓みδのときの荷重をFとすると、2枚重ねされたばねPは、撓みδのときの荷重は略2Fをなる。所謂、ばねを並列に設けている。同じく、ばねQも撓みδのとき荷重は2Fである。ばねPとばねQを反対向きで重ね合わせると、撓み2δのときの荷重が2Fとなる。所謂、ばねPとばねQは直列に設けられている。
このように、ばね部材55を直列と並列の組み合わせによって、ばね部材55に生じる応力を小さくさせながら撓みを大きくし、かつ、大きな荷重が得られる。なお、ばね部材に生じる応力が所定以下であれば、ばねPとばねQは各1枚ずつにし、互いに反対向きにして重ねても良い。
よって、収容部63のスペースは、薄板で形成されたばね部材55を4枚収容するだけの大きさで十分なので、収容部63のスペースを大きくせずともよい。
例えば、ばねPやばねQの代わりに、圧縮ばねを用いた場合、応力を小さくしながら荷重を大きくするには、線径を太く、巻き数を多くしなければならない。この場合、圧縮ばねの自由高さが高くなってしまうため、収容部63のスペースも高くしなければならない。よって、省スペースでありながら大きな付勢力を得るためには、本実施形態1のように、重ね板ばね方法が好適である。
また、前述したばねPとばねQの配置において、ばねPとばねQの端部が合致せず、所定の撓みで所定の荷重が得られにくい場合には(図7に示すように、ばねPとばねQの両端が略一致した状態ではなく、例えば、一方のばねの端部が他方のばねの円弧に当接する状態)、ばねPとばねQとの間に平坦状の平板を配置させたほうがよい。
蓋部材56は、ばねP、ばねQを覆い、先端に突出するように形成された差込部200と、蓋部材56固定ねじが挿通する第2穴79、第3穴80と、曲げ部81とを有する。収容部63にばねPとばねQを収容し、さらに、差込部200を第2貫通穴66に差込み、第2穴79、第3穴80にそれぞれ蓋部材固定ねじ57を通し、第2ねじ穴67、第3ねじ穴68と螺着させると、軸受部材52に蓋部材56が固定される。軸受部材52に蓋部材56が固定された状態を、図7及び図8に示す。
蓋部材56が軸受部材52に固定されると、摩擦部材54の平坦部77と蓋部材56とで所定距離が維持される。この所定距離の中に前述したばねP、ばねQを配置すると、ばねPとばねQが所定量だけ撓み、回動軸部材51に向けて摩擦部材54を付勢する。摩擦部材54の斜面部76が回動軸部材51に密接し、摩擦部材54に付勢された回動軸部材51は2つの平面部71と当接する。図7では、ばねPとばねQは撓む前の状態を示しており、蓋部材56が取り付けられると干渉距離2δだけ撓む。ばねPとばねQは、それぞれの撓みの和が2δのとき、互いが略平坦となる。
また、蓋部材56の曲げ部81は、ばねQが当接する面の一辺が折り曲げられ、かつ、ばねQが蓋部材56に当接する当接箇所(線状に当接)に対して交差している。蓋部材56には、ばねPとばねQの反力が作用し、蓋部材56を曲げようとする。蓋部材56が曲がると、ばねPとばねQには所定の撓み2δを付与することができない。その結果、回動軸部材51は所定の回動トルクが得られなくなってしまう。
そこで、ばねPとばねQの反力により蓋部材56が容易に撓まないように、曲げ部81を形成して、ばねPとばねQの反力を受ける面が曲がりにくいように補強している。
従って、蓋部材56は、先端に形成された差込部200を角穴に差込み、軸受部材52の外側に曲げ部81が位置するように軸受部材52に取り付けると、軸受部材52に対する蓋部材56の位置決めがなされるので、ばねPとばねQの反力を受けながらでも、第2穴79が第2ねじ穴67と、第3穴80が第3ねじ穴68とが略一致し、蓋部材固定ねじ57で締結するだけで、ばねPとばねQに撓み2δを付与させることができる。
すなわち、作業性が良好となる。また、蓋部材56は、安価な、かつ薄板で形成できるので、第2ヒンジ29の小型化、低廉化に貢献している。
以上、説明した第2ヒンジは、複数の薄板のばね部材55が密着する程度に重ねて設けることで回動軸部材51の軸部58に所定の付勢力が付与され、回動する際に所定の回動トルクを生じる。回動トルクは、軸部58の直径と、軸受部材52と軸部58との摩擦係数、摩擦部材54と軸部58との摩擦係数、付勢力により決定される。
なお、ばね部材55を円形のコイルばねで形成し、複数並べた場合、複数のばねの間にはクリアランスが生じ、また、コイルの中に空洞が生じるなど、限られたスペースを有効に使うことができないので、本実施形態1で述べたように、薄板のばね部材が密着するように重ねた配置の仕方が、無駄なスペースを排除できる。
ケーブルについて、図2及び図7を用いて、説明する。ケーブル30は軸部58の中に通され、一端が上筐体2内の第1プリント基板12(図3に図示)に接続され、他端は軸部58から脱出後に屈曲部(第1脱出部)81を形成し、ガイド部42の中の第2保持部44の中を通った後に接続部45に導かれ、切欠き46から抜け出して下筐体3内の第2プリント基板18に接続される。このケーブル30は複数本が線材からなり、粘着面が無い第1テープ82が螺旋状に巻きつけられ、その始端と終端は、粘着性を有する第1テープ83が巻かれて、第1テープ82がケーブル30から剥離しないようにしている。軸部58の中では、ケーブル30は他の構成要素と干渉しないため、第1テープ82や第2テープ83を巻かずとも複数本の線材が離散しない。そこで、第2ヒンジ29の小型化を実現しながら本体部1が矢印B方向に回動した際に軸部58内でねじれやすくするために、軸部58の両端近傍にのみ第2テープ83を設け、軸部58内ではケーブル30には第1テープ82、第2テープ83を巻かないことで、軸部58の小径化を図っている。軸部58を小径にすれば、軸受部材52も小型化できるので、その結果、連結部、携帯電話も小さく構成できる。
ケーブル30は軸部5から8脱出した後、接続部45に導かれる屈曲部81においては、回動軸部材51が矢印B方向へ回動してもケーブル30はねじれないので、回動軸部材51とケーブル30には擦れが発生する。そのため、屈曲部81には、耐磨耗特性を向上させるために第1テープ83を巻回している。
また、軸部58からケーブル30が脱出後、上筐体2に導かれる第2脱出部84は、上筐体2にケーブル30が固定されているため、回動軸部材51が矢印B方向へ回動してもケーブル30はねじれないので、回動軸部材51とケーブル30には擦れが発生する。そのため、第2脱出部84には、耐磨耗特性を向上させるために第1テープ83を巻回している。
すなわち、上筐体2が矢印B方向に回動したとき、軸部58内でケーブル30がねじれやすいように、軸部58内では第1テープ82や第2テープ83を巻かず、脱出後は、バラバラ(乖離したり分離した状態)にならないように適宜第1テープ82や第2テープ83が巻かれている。
なお、ケーブル30において、回動軸部材51が回動した際に、ねじれる部位は予め決められた位置であることが好ましい。この種の線材は、曲げ応力、または、ねじれ応力の一方が作用しても断線しないように、所定の線径、および耐曲げ、耐屈曲性能に優れる材質を選定しなければならない。しかしながら、複合応力が作用すると、設計的な想定より早く断線を招く恐れがある。そこで、ケーブル30は、上筐体2内では複数の立設リブ(図示せず)で挟着するなど、上筐体2内におけるケーブル30のねじれを防止し、一方、前述したように、回動軸部材51から脱出直後、ガイド部42に導かれるように屈曲部81を形成することで、回動軸部材51内のケーブル30のみがねじれる。このように、ケーブル30がねじれる位置を限定される構造にした上で、ケーブル30の寿命試験を行い、所定回数の回動寿命試験に耐え得る材質を選定すれば、ケーブル30は長寿命、低コストの材質に最適化できる。
なお、上筐体2内におけるケーブル30は、必ずしも挟着せずともよく、その目的は、前述したように、上筐体2内でねじれが生じないようにすることなので、回動軸部材51から上筐体2側に脱出後、すぐ曲げてもよい。
すなわち、回動軸部材51の両端から脱出したケーブル30は、ともに屈曲させることで、回動軸部材51内でねじれが生じる構成となる。
本体部1が携帯状態である閉状態から使用状態である第1開状態へと移行すると、接続部45内のケーブル30は第1ヒンジ28側を左に見ると左巻きにねじれる。このとき、第1テープ82はケーブル30に左巻きの螺旋状に巻いたので、螺旋部はさらに巻かれる。一方、螺旋部を右巻きに巻くと、閉状態から第1開状態へと移行するときは、螺旋部は巻き戻されてしまう。螺旋状に巻いた第1テープ82は粘着性がないので、螺旋部が巻き戻されたときにはケーブル30から分離してしまうので、剥離した部位は、例えば、連結部4内に設計的に適宜設けるリブなどに当接し、時には引っ掛かって切断を招くことを回避している。
また、第2ヒンジ29は、収容部63が第1ヒンジ28側に向くように配置すると、第2腕部64は第1ヒンジ28部側に向かって延設する。上筐体2側から第2腕部固定ねじ85が第1ねじ穴65に螺着して軸受部材52は連結部4に固定される。回動軸部材51の第1腕部60は上筐体3内に収容され、第1腕部固定ねじ(図示せず))が螺着して固定される。
上述したように、各構成要件から構成された本体部1は、上筐体2と下筐体3と連結部4とからなる。連結部4は、下筐体3に対して第1ヒンジ28と接続部45によって保持されており、軸心aを中心に矢印A方向に回動可能になっている。上筐体2は、連結部4に対して第2ヒンジ29を介して軸心bを中心に矢印B方向に回動可能になっている。
ここで、本実施形態1の態様とせずに、第1保持部43と第2保持部44を接続する接続部45を、ガイド部42の中を通さず、例えば、上筐体2の下端に沿って第2保持部44の外側に形成した場合には、連結部が大きくなり、その分だけ上筐体2が小さくなってしまう。上筐体2には、通常、メインとなる第1表示部7、レシーバなど、多くの部品が配置される。第1表示部7は、TV画像や撮像画像を表示するために大きいほうが好ましいので、上筐体2が小さくなると、表示エリアを犠牲にしたり、部品配置のために上筐体2を大きくしなければならない。したがって、上筐体2の部品は一スペース確保のためにも、本実施形態1の態様が好適である。
なお、本実施形態1では、接続部45をガイド部42の中に配置しているが、本配置に限定されるものではなく、上述したような第2ヒンジを用いれば、前述した作用や効果を奏する。
次に、本発明の実施形態1の折畳型携帯電話機の動作について、図1を用いて説明する。本体部1に電源が投入されると、受信待受動作を開始される。操作部14を操作することで、カメラモードやTV受信モードに切り替えることができる。
カメラモードにおいては、第2カメラ部15の起動によって、モードが切り替わる。第2カメラ部15を起動させると、第2カメラ部15の撮影画像を第1表示部7に表示させることができ、撮像画像を保存したいた場合には情報記録部25に記録させることができる。
TV受信モードにおいては、TV放送を受信すれば、第1表示部7でTV視聴が可能になる。TV画像は横長画面であるため、横長画面で視聴することが望ましい。この場合、閉状態のときにロック部32を解除し、下筐体3に対して上筐体2を矢印B方向に開いて本体部1を第2開状態にし、操作部14を手前側に持つと横長画面として第1表示部7を見ることができるなど、TV視聴に好適な態様となる。
なお、各モード下において着信した場合、着信を報知するために、スピーカ6から着信音が出力される。このとき、上筐体2をA方向に回動して本体部1を第1開状態にし、所定の操作を行うと受話できる。使用者の音声はマイクロフォン13から出力される。
終話すると、受話直前のモードが再開する。
携帯時には、閉状態が好適である。
次に、本体部1の回動動作について、図7乃至図10を用いて説明する。
まず、図10において、本体部1が第1開状態のときの、第1突起部59と第2突起部69の位置関係を、図10(a)に示す。第1突起部59は、本体部1が閉状態から第2開状態になるよう、矢印B方向へ所定角度βだけ回動可能になっている。下筐体3に対して上筐体2が矢印B方向へ所定角度βだけ回動すると、第1突起部59が第2突起部69に当接し、それ以上の回動が規制されるとともに、第2開状態となる。第2開状態は、ユーザーが表示画面を見やすい角度(上筐体2の主面2Aと下筐体3の主面3Aがなす角度が鈍角)を指す。例えば、120度〜170度くらいが適当である。
従って、第1突起部59と第2突起部69は、本体部1が閉状態から、下筐体3に対して上筐体2が矢印B方向への所定角度βの回動を許可し、所定角度β以上の回動を規制するものである。
本体部1が閉状態のときのリング部材53とリブ70の位置関係を、図10(b)に示す。軸部58他端に取り付けられたリング部材53は、本体部1が閉状態から第2開状態へ回動可能になるように、突出片75が進行する方向(矢印B方向)には干渉する部材がない。閉状態から矢印Bとは反対方向へ回動しようとすると、突出片75がリブ70と干渉し、回動軸部材51の回動が抑制される。
従って、リング部材53は、本体部1が閉状態から、下筐体3に対して上筐体2が矢印B方向への回動を許可し、矢印Bとは反対方向への回動を規制するものである。
以上、回動軸部材51の回動動作をまとめると、本体部1が閉状態から、下筐体3に対して上筐体2が矢印B方向へ回動する際は、所定角度βだけ回動可能である。所定角度β以上回動しようとしても、第1突起部59と第2突起部69とが当接し、回動が規制される。本体部1が閉状態から、下筐体3に対して上筐体2が矢印Bとは反対方向へ回動する際は、突出片75がリブ70と当接し、回動が規制される。
ここで、上述した回動規制について、補足する。本実施形態1では、本体部1が閉状態から第2開状態へと態様を変えるとき、閉状態で外面に露呈する上筐体2の裏面2Bの一部は、下筐体3の主面3Aと対面するように開かれる(図1(C)を参照)。このとき、下筐体3に対して上筐体2の回動角度を規制する回動角度規制手段がなければ、上筐体2の裏面2Bと下筐体の主面3Aとが当接し、互いに傷付けあってしまう。特に、この本体部1の外表面を形成する筐体部材には、ファッション性、デザイン性を向上させるためカラフルな塗装が施されるのが一般的だが、このような塗装は耐傷性、耐摩耗性が低い。そのため、このような通常動作である開閉を繰り返すだけで傷が生じてしまってはユーザーに不愉快な思いをさせてしまう恐れがある。
そこで、上筐体2の裏面2Bと下筐体の主面3Aとが当接しあう特定の部位にリブ等を双方に設けて、回動角度を規制するとともに不規則な傷の発生を防止させることは可能である。
しかしながら、このようなリブは、デザイン性を重視するユーザーからは好まれない場合もある。また、閉状態では、外表面にリブを有する場合、把持性を低下させたり、ポケットの中で引っかかってしまう場合もある。さらに、第1開状態では、通話時やメールの読み書き時など、片手で把持する場合、持つ手にとって邪魔になる場合があるなど、いずれの筐体2、3にも無いほうが好ましい。
そのため、閉状態、第1開状態、第2開状態となる携帯端末においては、上記回動角度規制手段として第2ヒンジ29のみで実現するのが望ましい。
図8において、本体部1を閉状態より矢印A方向に開くと、上筐体2は下筐体3に対して第1ヒンジ28の軸心aを中心に角度αだけ回動する。このとき、ケーブル30は距離L1の範囲で角度αだけねじれる。従って、第1テープ82の巻き方向と同方向にねじれるので、第1テープ82がケーブル30から分離しない。また、ケーブル30は、曲げ応力の増減は無く、主に、ガイド部42内でねじり応力のみが発生する。本体部1が第1開状態より閉状態に戻るときは、閉状態より第1開状態へと変化する時の動作が逆転して行われる。
図7乃至図9において、本体部1を閉状態より矢印B方向に開くと、上筐体2は下筐体3に対して第2ヒンジ29の軸心bを中心に角度βだけ回動する。このとき、ケーブル30は距離L2(L2は軸部58の長さに等しく、図7に図示)の範囲で角度βだけねじれる。ケーブル30は、曲げ応力の増減がほとんど無く、主に、軸部58内でねじり応力のみが発生する。本体部1が第2開状態より閉状態に戻るときは、閉状態より第2開状態へと変化する時の動作とは逆となる。
また、上述したように、収容部63は第1ヒンジ28側に近いほうに配置にしたので、従来の折畳型携帯端末の外観と変化がなく、折畳型携帯端末の外観に特別な突起や突出部を形成しないデザインが実現できる。なお、軸部58と2つの平面部71とを当接を実現しなくても、前述したばねの配置のしかたであれば、上記デザイン性を損なわない。2つの平面部71や2つの斜面部76部と軸部58とを当接した理由は、前述したように、軸部や軸受けに応力が集中することを回避することによって、薄肉化を実現するためである。したがって、この応力に耐え得る材質選定や縦壁部72を十分な強度を有する肉厚に設定すれば、軸部を2つの平面部71で保持する構造にしなくてもよい。本実施形態1の構造を適用すれば、より廉価な材質選定ができ、薄肉化を図ることができるという効果を有する。
なお、前述した平面部71や斜面部76は、製造上の誤差や公差を有するため、図示したような完全な平坦でなくてもよい。その目的とする形状は、応力分散、縦壁部の薄肉化なので、わずかな曲率を有する曲面であってもよい。
また、この種の携帯端末は、携帯時に使用者が誤って落下させてしまう場合がある。本体部1を落下させてしまった場合、軸受部材51の軸部58にはラジアル方向の衝撃荷重が作用する。例えば、この衝撃荷重は軸部58が摩擦部材54側に近寄るような方向に作用した場合、ばね部材55がさらに圧縮する。時には、許容応力を超えるほどの応力が作用したり、蓋部材56が軸受部材52から分離してしまうほどの衝撃荷重が作用する。そこで、本実施形態1では、軸部58にラジアル方向への大きな荷重が働いた時、2つの平面部71と半円部73とで衝撃荷重を受ける構造にしている。そのため、薄板のばねが許容応力を超えることはない。一方、2つの平面部71と半円部73を有する軸受部材は、一体的に形成しており、ばね部材ほど薄くしなくてもいいので、前述の衝撃荷重に耐えるような肉厚に設定できる。
以上説明したように、本発明の実施形態1における折畳型携帯電話は、上筐体と下筐体とが連結部を介して回動可能に連結し、連結部は、第1の方向へ開閉可能に連結する第1ヒンジと、第1の方向と直交する第2の方向へ開閉可能に連結する第2ヒンジを有する。第2ヒンジは、回動軸部材を回動可能に保持する軸受部材と、回動軸部材の外周面に付勢力を付与するばね部材と、蓋部材と、からなる。軸受部材には、回動軸部材の外周を付勢するばね部材を収容する収容部を形成し、この収容部を第1ヒンジ側に近接するように、前記回動軸部材と第1ヒンジとの間に配設したので、第2ヒンジを配置するための空間をより省スペースで実現することで、本体部のデザインへの影響を回避している。その結果、折畳型携帯電話の小型化を図ることができる。
また、第2ヒンジにおけるばね部材は、薄板で形成した複数のばねを第2回動軸部材の一方のラジアル方向側からのみ付勢するように配置した構成とした。しかも、直列配置や並列配置を組み合わせたことで、これらのばね部材が略密着する程度に組み付けることができるので、ばね部材を配置する空間も最小限にしている。また、ばね部材や摩擦部材を配置する空間を軸受部材で構成したので、第2ヒンジを簡単な構造でユニット化することで取り扱い性、組立性(本体部を組み付ける工場においては、予め作製したヒンジユニットを組み付けるだけでよい)を向上させながら、小型化が可能な第2ヒンジを実現する。
しかも、回動軸部材の中にケーブルを通すことで、回動軸部材の周りに付与されるグリスとケーブルとを隔離させることができるので、第2ヒンジの寿命特性を向上させながら、ケーブルにグリスが付着することを防止する。
なお、第2ヒンジは、連結部の片端に設けた構成として説明したが、その場所は限定されるものではない。片端に配置した場合はL3を小さくするが、例えば、連結部の中央に配置した場合、第2ヒンジの構成によって軸部を細くできるので、軸部の太さに起因する携帯端末の大型化や、デザインへの影響を防ぐことができる。
本構成により、第2ヒンジの構造、構成が携帯端末の大型化を回避するとともに、ヒンジ自体の軽量化、小型化を図ることができる。
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。実施形態2における第2ヒンジは、実施形態1で述べた第2ヒンジを代替したものであり、実施形態2における第2ヒンジに通すケーブルやこれに装着される上筐体2、下筐体3は同じである。また、実施形態1で述べた第2ヒンジと実施形態2で述べる第2ヒンジとは、回動軸部材と軸受部材とリング部材と摩擦部材とが異なるのみで、他のばね部材、蓋部材等の構成部材は概ね同様であるため、説明を省略する。
図11は、本発明の実施形態2における第2ヒンジの斜視図である。図12は、図11の分解斜視図である。図13は、図12の分解斜視図を異なる方向から見た分解斜視図である。図14は、本発明の実施形態2における第2ヒンジの中央縦断面図である。図15は、本発明の実施形態2における連結部の中央横断面図である。この図15は、実施形態1の説明に用いた図7の第2ヒンジを、実施形態2で説明する第2ヒンジに置き換えた状態を示す。図16は、本発明の実施形態2における第2ヒンジの中央横断面図である。図17は、本発明の実施形態2における第2ヒンジを構成する回動軸部材の溝部の断面図である。
図11において、第2ヒンジ100は、回動軸部材101と、軸受部材102と、リング部材103と、摩擦部材104(図14に図示)と、第2ヒンジで用いたばね部材105(図14にばねPとばねQを図示)と、実施形態1で述べた、ばねPとばねQの間に配置した平坦状のスペーサ106(図14と図15に図示)と、第2ヒンジで用いた蓋部材の形状を一部異ならせた第2蓋部材107と、第2ヒンジで用いた蓋部材固定ねじ57(実施形態1と同じ)と、からなる。実施形態2は、実施形態1と同様に、回動軸部材101は軸受部材102及び摩擦部材104と摺動(または滑り)摩擦をしながら回動する構成である。
図11乃至図15を用いて、さらに詳述する。回動軸部材101は、中空円筒状の軸部108と、この軸部108から半径方向(ラジアル方向)に突出するように立設した第1突起部109と第3突起部110と、溝部111と、軸部108先端側外周からラジアル方向に延設した第1腕部112と、第1腕部112に設けられた複数の第1貫通穴113と、からなる。また、軸部108は、円筒部108aと、軸部108の軸心を中心に対称な位置に形成された第1非円筒部108b、第2非円筒部108cとを有する。
軸受部材102は、回動軸部材101の他端側が挿通して回動軸部材101を回動可能に保持する円弧状の挿通孔114と、この挿通孔114に形成された2つの凹部114a、114b(図14に図示)と、この挿通孔114に回動軸部材101を挿通させた際に、回動軸部材101の軸部108外周面の一部は収容部115に形成した開口部115aから露出し、この収容部115の一辺が延設した第2腕部116と、第2腕部116に形成された第1ねじ穴117と角状の第2貫通穴118と、収容部115の周囲に設けられた第3ねじ穴119と、からなる。
挿通孔114の入口側114cを図示した図12において、挿通孔114の入口側114cには、略90度の角度(略V字状)をなす2つの平面部120aが形成されるとともに、この2つの平面部120aの一端側を接続する縦壁部121aと、2つの平面部120aの他端側から開始された半円部122aと、半円部122aの中間に形成された切欠き部(突起通過部)123aからなる。
また、挿通孔114の出口側114dを図示した図13において、挿通孔114の出口側114dも2つの平面部120bの他端側から開始された半円部122bと、半円部122bの中間に形成された切欠き部(突起通過部)123bからなる。
また、挿通孔114の断面を図示した図14において、挿通穴114の入口側114cと出口側114dを除く部位が円弧状となっており、軸受部材102の内部で収容部115と連結している。
リング部材103は、リング開口部124を有して略C形状をなしている。(両端が離間した形状である)
摩擦部材104は、軸部108と対面する部位(実施形態1の第1対面部76と同じ部分)が軸部108と略同一の曲率をしている。
また、実施形態1と同様に、軸受部材102と軸部108と摩擦部材104の3つの部品で形成する第3空間104a、第4空間104bを有する。
スペーサ106は、ばねPとばねQの間であって、ばねPとばねQの端部が合致せず、所定の撓みで所定の荷重が得られにくくなることを回避するために用いている。すなわち、ばねPとばねQの両端が略一致した位置でなくても、ばねPとばねQの両端部はともにスペーサ106上にあるので、ばねPとばねQの両端の間隔はスペーサ106の板厚となり、にばねPとばねQに所定の撓みが付与されると、ばねPの中央部とスペーサ106の間、及びばねQの中央部とスペーサ106の間の隙間が減少するだけの変形をする。例えば、このスペーサ106が無い場合、一方のばねの端部が他方のばねの円弧に当接する状態になると、例えば、ばねPは、ばねPの一方の端部がばねQの凹側に当接し他方の端部はどの位置にも当接せず、またばねPの中央部がばねQの一方の端部と当接する状態となる。また、ばねQも同様な状態となる。このように、スペーサ106が無ければ、ばねP及びばねQは位置ずれし、ばねの両端が支持された両端支持のばねにならないため、ともに所定量の撓みが付与されず、その結果、軸部108に所定の付勢力が付与できなくなる。ただし、このスペーサ106の剛性が低いと、ばねPやばねQの付勢力により容易に変形し、ばねPやばねQに所定の撓みを付与できなくなってしまう。そこで、本実施形態2では、ばねPやばねQの付勢によりスペーサ106が変形して、ばねPやばねQが所定の撓みが付与できなくなる状態を回避するために、ばねPやばねQとほぼ同じ厚みの鋼材を使用し、上記不具合の発生を防止している。
なお、実施形態2で述べたばねPとばねQは、実施形態1で述べたばねP及びばねQと同じであり、付勢力や撓みはともに同じである。
図16は、回動軸部材101の第3突起部110を突起通過部123aに合わせて挿通孔114の入口側114cから差し込み、さらに第3突起部110は突起通過部123bを通過させた状態である。第1突起部109(図15は、中央断面図であり、断面として第1突起部109が表れないため、第1突起部109を想像線で示す)が挿通孔114の入口側114cに当接したとき、溝部111も挿通孔114の出口側114dを通過する。この溝部111にリング部材103が取り付けられて、回動軸部材101が軸受部材102から抜けないようになる。
なお、第1突起部109は突起通過部123aとは形状が異ならせ、第1突起部109の方を大きくしたので、両者が重なった状態で、突起通過部123aに第1突起部109が嵌らないようになっている。その結果、軸受部材102に回動軸部材101を挿通させると、所定位置(第1突起部109が挿通孔114の入口側114cと当接した状態)で挿通が完了する。
図17は、溝部111にリング部材103が取り付けられた状態を示す。溝部111は、軸部108の周面方向に、溝部111の両端が離間するように形成されており、非溝部111aを有した略C形になっている。リング部材103の開口部124内に非溝部111aが位置するように、溝部111にリング部材103が取り付けられる。
なお、リング部材103が溝部111に取り付けられると、取り付け前に比べて僅かだけ広げられ、広げられた分だけ溝部111を挟み込む。図16では、広げられる前のリングを図示してある。
次に、図11及び図17を用いて、回動動作について説明する。まず、図11を用いて説明する。
第3突起部110が矢印S方向を向く(図11に示した状態)ように、軸受部材102の挿通孔114が回動軸部材101の軸部108を保持しているとき、実施形態1で述べた本体部1は閉状態となる。リング部材103は、リング部材103の開口部124が突起通過部123bを向くようにして、第3突起部110と挿通孔114の出口側114dとの間に位置するように取り付けられている。図11の状態から回動軸部材101を矢印B方向に回動させようとすると、リング部材103の開口部124に非溝部111aが介在しているので、回動軸部材101に対してリング部材103は回動できない。すなわち、回動軸部材101の回動とともにリング部材103も共回動する。
次に、図17も用いて説明する。図11の状態から、回動軸部材101を矢印B方向に略90度回動すると、第3突起部110は突起通過部123bと重なるが、リング部材103が介在するので第3突起部110は突起通過部123bを通過できない。
すなわち、リング部材103は、軸受部材101の挿通孔114が回動軸部材101の軸部108を保持した際の、第3突起部110と突起通過部123bとの間に配置したので、回動軸部材101が回動動作中に軸受部材102から抜けることない。
このような第2ヒンジ100は、使用者が誤って落下させた場合、軸受部材102から回動軸部材101が抜ける力が加わる場合がある。例えば、軸受部材102に対して回動軸部材101が矢印T方向に力が加わった場合、第1突起部109が挿通孔114の入口側114cに衝突する。このとき、第1突起部109が折れたり破損しないように、その太さを適宜設定すればよい。また、軸受部材102に対して回動軸部材101が矢印Tとは反対方向に力が加わった場合、第3突起部110がリング部材103を介して挿通孔114の出口側114dに衝突する。このとき、第3突起部110が折れたり破損しないように、その太さを適宜設定すればよい。また、溝部111の深さをより深くして、リング部材103を介して溝部111が衝撃力を受けるようにしてもよい。
すなわち、衝撃力に対しては、第3突起部110の太さや溝部111の深さを大きくすることで破損を回避できるようになる。耐衝撃に不十分であれば、適宜その太さや深さを大きくすればよいなど、部品寸法で解決することが可能となる。
故に、従来のように、かしめの出来映え管理が不要となるため、製造上、容易となり、コストダウンにもなる。
このように、リング部材103は、軸受部材102の挿通孔114が回動軸部材101の軸部108を保持した際の、第3突起部110と突起通過部123bとの間に配置したので、落下衝撃力が加わってもリング部材103が外れて回動軸部材101が軸受部材102から抜けることない。
しかも、第3突起部110を挿通孔114に通すことができるように、挿通孔114の入口側114cと出口側114dに突起通過部123a、123bを設けたので、例えば、第3突起部110を専用部材で構成して回動軸部材101に結合しなくてもよいなど、部品点数を増大させずに、しかも組立性の低下もさせずに済む構造を実現している。
図14において、本体部1が閉状態のとき、第1非円筒部108bは、2つの凹部114a、114bの間に位置しながら挿通孔114の円弧部と対面し、第2非円筒部108cは摩擦部材104と対面する。これら、第1非円筒部108b、第2非円筒部108c、2つの凹部114a、114bとともに第3空間104a、第4空間104bにグリスを供給してある。回動軸部材101が矢印B方向へ回動を開始すると、第1非円筒部108bと第1凹部114aとが重なり、第1凹部114aが第1非円筒部108bにグリスを供給し、挿通孔114と軸部108との摩擦面にグリスを供給しながら回動する。さらに回動が継続されると、第3空間104aから円筒108a部表面にグリスが供給し続けられ、第3空間104aと第1非円筒部108bとが対面したとき、この第1非円筒部108bにもグリスが供給される。第1非円筒部108bが摩擦部材104と対面するときには、両者の摩擦面にグリスが供給される。
また、同時に、第4空間104bのグリスが円筒部108aにグリスを供給し、円筒部108aと摩擦部材104との摩擦面にグリスを供給しながら回動する。第2非円筒部108cが第4空間104bと対面すると、第2非円筒部108cにグリスが供給される。
このように、軸部108の周りにグリス供給源をたくさん設けることで、擦れによる磨耗を軽減させる。これにより、トルク変動を抑制したり、異音の発生を防止させる。すなわち、回動装置としての寿命特性を向上させる。
本実施形態2では説明を省いたが、実施形態1と同様に回動軸部材101にはケーブル30(図1に図示)が通される。回動軸部材101の外周には多くのグリスが配設される。グリスがケーブル30に付着する恐れがある場合、ケーブル30には、耐薬品性、耐油性などの性質が要求され、時にはコストアップを招く恐れがある。本実施形態1及び2とも、回動軸部材51、101によってグリスとケーブルが隔離されるため、ケーブル30にグリスが付着することが無いので、グリス付着によるケーブルのコストアップを回避している。同時に、回動寿命特性に好適なグリスの選択が行えるようになっている。
以上まとめると、実施形態1及び2では、回動装置(ヒンジ)は、回動軸部材と、軸受部材と、軸受部材の収容部に収容される摩擦部材と、付勢部材と、で構成したので、端末装置の大型化を回避し、簡単な構造で小型な回動装置(ヒンジ)を実現している。
しかも、省スペースながらグリス供給源をたくさん設けて寿命特性、トルクの安定化を図ったり、薄板ばねを直列と並列の配置の組み合わせをするなどして、省スペースでありながら回動軸部材が回動する際にトルクを発生させることができるなど、多くの工夫により様々な課題を解決する、優れたヒンジを提供することができる。
本発明は上述した実施形態1、2に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で第2ヒンジを用いた構造を選択し実施し得るものである。
なお、軸部を有する回動軸部材と、収容部と、挿通した前記軸部を回動可能に保持する挿通孔と、を有する軸受部材と、前記収容部に収容され前記軸部に付勢力を付与する付勢部材と、前記付勢部材と前記軸部との間に位置するように前記収容部に収容され前記付勢部材に付勢されて前記軸部に当接する摩擦部材と、を備え、前記摩擦部材と前記軸部と前記軸受部材とで囲まれる領域に第1空間を形成した構造でもよい。
この構成により、第1空間に潤滑剤を設けると、回動軸部材の回動とともに軸部周囲の摺動面に潤滑剤を供給することができる。
また、軸部を有する回動軸部材と、収容部と、挿通した前記軸部を回動可能に保持する挿通孔と、を有する軸受部材と、前記収容部に収容され前記軸部に付勢力を付与する付勢部材と、前記付勢部材と前記軸部との間に位置するように前記収容部に収容され前記付勢部材に付勢されて前記軸部に当接する摩擦部材と、を備え、前記摩擦部材は、前記軸部表面と対面する第1対面部に該軸部と当接する複数の当接部と、前記複数の当接部の間に前記軸部表面から離間する離間部と、を設けた構造でもよい。
この構成により、離間部に潤滑剤を設けると、回動軸部材の回動とともに軸部周囲の摺動面に潤滑剤を供給することができる。
また、軸部を有する回動軸部材と、収容部と、挿通した前記軸部を回動可能に保持する挿通孔と、を有する軸受部材と、前記収容部に収容され前記軸部に付勢力を付与する付勢部材と、を備え、前記軸部は、円筒部と非円筒部とを有し、前記軸部の円筒部が前記挿通孔の一部と対面するときには該円筒部が該挿通孔の一部と当接し、前記軸部の非円筒部が前記挿通孔の一部と対面するときに前記非円筒部と前記挿通孔の一部との間に第2空間を形成した、構造でもよい。
この構成により、第2空間に潤滑剤を設けると、回動軸部材の回動とともに軸部周囲の摺動面に潤滑剤を供給することができる。
また、軸部を有する回動軸部材と、収容部と、挿通した前記軸部を回動可能に保持する挿通孔と、を有する軸受部材と、前記収容部に収容され前記軸部に付勢力を付与する付勢部材と、を備え、前記挿通孔の一部近傍に、前記軸部の円筒部表面に対して隙間を形成する凹部を設けた、構造としてもよい。
この構成により、凹部に潤滑剤を設けると、回動軸部材の回動とともに軸部周囲の摺動面に潤滑剤を供給することができる。
また、軸部を有する回動軸部材と、収容部と、挿通した前記軸部を回動可能に保持する挿通孔と、を有する軸受部材と、前記収容部に収容され前記軸部に付勢力を付与する付勢部材と、前記付勢部材より大きい平板であって前記収容部に収容されるスペーサ部材と、を備え、前記付勢部材は、円弧状に形成された板ばねであって、凹側が向かい合うように配置した一対の間に前記スペーサ部材を介在させた、構造でもよい。
この構成により、一対の付勢部材の位置が収容部内で位置ずれ(不正規な位置)しても、常に所定の撓みによって回動軸部材に向かって付勢力を発生させることができる。
また、軸部を有する回動軸部材と、収容部と、挿通した前記軸部を回動可能に保持する挿通孔と、を有する軸受部材と、前記収容部に収容され前記軸部に付勢力を付与する付勢部材と、を備え、前記付勢部材は、円弧状に形成された板ばねであって、凹側が向かい合うように配置した一対は、さらに凸側に対して凹側が向き合うように該付勢部材を重ねた重ね板ばねとした、構造としてもよい。
この構成により、省スペースな空間で荷重と撓みをともに大きくできる付勢部材を配置できる。
また、軸部を有する回動軸部材と、挿通した前記軸部を回動可能に保持する挿通孔を有する軸受部材と、前記挿通孔に前記軸部が保持された際に前記回動軸部材に取り付けられるリング部材と、を備え、前記回動軸部材は、前記軸部の半径方向に突出した突起部を有し、前記挿通孔は、前記回動軸部材が所定位置のとき前記突起部が通過可能な突起通過部を有し、前記リング部材は、前記挿通孔が前記軸部材を保持した際に前記突起部と前記突起通過部との間に配置した、構造でもよい。
この構成により、かしめ作業を必要とせず、さらに、大きな力が作用してもリング部材が容易に外れないようにすることができる。
また、軸部を有する回動軸部材と、前記軸部を回動可能に保持する挿通孔を有する軸受部材と、前記挿通孔に前記軸部が保持された際に前記回動軸部材に取り付けられるリング部材と、を備え、前記回動軸部材は、前記軸受部材が前記回動軸部材を保持した際に該軸受部材の外側の位置に溝部を有し、この溝部は、前記軸部の周面方向に該溝部の両端が離間するように形成され、開口部を有して略C形状をなすリング部材を前記溝部に取り付けた、構造としてもよい。
この構成により、リング部材は回動軸部材と共回動させることができるので、突起部が突起通過部と重なっても突起部が突起通過部を通過することを阻止することができる。
また、軸部を有する回動軸部材と、収容部と、挿通した前記軸部を回動可能に保持する挿通孔と、を有する軸受部材と、前記収容部に収容される摩擦部材と、前記収容部に収容され前記摩擦部材に付勢力を付与する付勢部材と、前記収容部を覆うように前記軸受部材に取り付けられる蓋部材と、を備え、前記回動軸部材は、前記軸部の半径方向に突出した第1突起部を有し、前記軸受部材の挿通孔の入口、または出口近傍には、前記回動軸部材が前記軸受部材に保持された状態で所定量回動したときに、前記第1突起部と当接する当接部を形成した、構造でもよい。
この構成により、専用部材を追加せずとも、回動軸部材とこれを保持する軸受部材だけで、回動軸部材の回動角度を規制することができる。
また、上述した回動装置も、小型で低コスト、高性能な回動装置を実現するための要素の一つであり、構成部品の材料(高強度材料や低廉化材料)の選択、及び設計制約やデザイン制約の中で、適宜これらを任意に組み合わせるとよい。
さらに、これら回動装置を備えた開閉式携帯端末は、簡単な構成で開閉式開閉式携帯端末の小型化を実現できる。
本出願は、2007年10月5日出願の日本特許出願(特願2007-262394)および2007年11月7日出願の日本特許出願(特願2007-289989)に基づくものであり、それらの内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の回動装置を備えた開閉式携帯端末は、回動する回動軸の外周面に付勢される摩擦部材を当接させる構造にした。しかも、この付勢部材は簡単な構造で、かつ省スペースな空間に配置したので、より小型なヒンジを実現している。また、付勢部材の間にスペーサを介在させることで、より付勢力を安定させている。また、回動軸や回動軸を保持する軸受部材にグリス溜め用の空間を形成したので、寿命特性を向上させることができる。さらに、回動する回動軸部材がこれを保持する軸受部材から抜けないようにする手段は、回動軸部材に突起部を形成するとともに、この突起部と軸受部材との間にリング部材を配置した。本発明の回動装置およびこれを備えた開閉式携帯端末によれば、携帯端末のコストダウンや、携帯端末の小型化、部品点数の増加の回避など、多くの効果を有し、携帯電話機、PDA、モバイル型のPC、ノート型PCなどのような開閉可能な電子機器における回動装置に適用するのに好適である。
本発明の実施形態1における折畳型携帯電話の外観を示す斜視図(a)閉状態、(b)第1開状態、(c)第2開状態 本発明の実施形態1における折畳型携帯電話の分解斜視図 本発明の実施形態1における折畳型携帯電話の閉じ状態(図1(a))における長手方向の中央断面図 本発明の実施形態1における折畳型携帯電話の主要機能のブロック図 本発明の実施形態1における第2ヒンジの分解斜視図 図5に示す回動軸部材と軸受部材の斜視図 本発明の実施形態1における連結部の中央横断面図 本発明の実施形態1における連結部の中央縦断面図 図8の部分拡大図 本発明の実施形態1における回動軸部材の動作を説明する図、(a)本体部が第1開状態のときの、第1突起部と第2突起部の位置関係を示す断面図、(b)本体部が閉状態のときのリング部材とリブの位置関係を示す断面図 本発明の実施形態2における第2ヒンジの斜視図 本発明の実施形態2における第2ヒンジの分解斜視図 図12の分解斜視図を異なる方向から見た分解斜視図 本発明の実施形態2における第2ヒンジの中央縦断面図 本発明の実施形態2における連結部の中央横断面図 本発明の実施形態2における第2ヒンジの中央横断面図 本発明の実施形態2における第2ヒンジを構成する回動軸部材の溝部の断面図
1 折畳型携帯電話(携帯端末)の本体部
2 上筐体
3 下筐体
4 連結部
28 第1ヒンジ
29 第2ヒンジ
51、101 回動軸部材
52、102 軸受部材
53、103 リング部材
54、104 摩擦部材
55、105 付勢(ばね)部材
62、114 挿通孔
63、115 収容部
63a 開口部
71、120 平面部
76a 第1斜面部
76b 第2斜面部
100 第2ヒンジ
110 第3突起部
123a、123b 突起通過部

Claims (3)

  1. 軸部と前記軸部の半径方向に突出した第1突起部とを有する回動軸部材と、
    前記軸部を回動可能に保持する挿通孔を有する軸受部材と、
    前記回動軸部材に当接する摩擦部材と、
    前記回動軸部材を付勢して該回動軸部材が回動する際に所定トルクを生じさせる付勢部材と、
    前記軸受部材に取り付けられる蓋部材と、
    前記回動軸部材に取り付けられるリング部材と、
    を備え、
    前記挿通孔の入口近傍または出口近傍には、前記回動軸部材が前記軸受部材に保持された状態で所定量回動したときに、前記第1突起部と当接する当接部を形成し、
    前記軸受部材は、前記付勢部材と前記摩擦部材とを収容する収容部を有し、前記蓋部材を前記軸受部材に取り付けると前記付勢部材に撓みが付与されて付勢力を生じ、前記付勢力が前記摩擦部材を介して前記軸部材を付勢し、
    前記回動軸部材は、前記軸部の半径方向に突出した第3突起部を有し、
    前記挿通孔は、前記回動軸部材が所定位置のとき前記第3突起部が通過可能な突起通過部を有し、
    前記リング部材は、前記挿通孔が前記軸部材を保持した際に前記第3突起部と前記突起通過部との間に配置した、ことを特徴とする回動装置。
  2. 前記回動軸部材は、前記軸受部材が前記回動軸部材を保持した際に該軸受部材の外側の位置に溝部を有し、
    前記溝部は、前記軸部の周面方向に該溝部の両端が離間するように形成され、
    開口部を有するリング部材を前記溝部に取り付けた、ことを特徴とする請求項1に記載の回動装置。
  3. 請求項1乃至2のいずれかの回動装置を備えたことを特徴とする開閉式携帯端末。
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