JP4623865B2 - 基地局、携帯通信端末及び携帯通信方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、端末側で予測した下りデータ通信速度でデータ通信する方式を採用する携帯通信システムの下りデータ送信方法を改善した基地局、携帯通信端末及び携帯通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、次世代の高速無線通信方式としてcdma2000 1x-EV DO方式が開発されている。
上記cdma2000 1x-EV DO方式は、Qualcomm社によるcdma2000 1xの拡張方式であるHDR(High Data Rate)方式を標準化した方式として、電波産業会ARIBにおいてStd.T-64 1S-2000 C.S.0024“cdma2000 High Rate Packet Data Air Interface Specification"で標準化されているもので、現在国内ではKDDI社によりサービスされているcdmaOne方式(国内ではARIB T-53、北米、韓国等ではEIA/TIA/IS-95等)を拡張し、第3世代方式(3G)に対応させたcdma2000 1x方式を更にデータ通信に特化して通信速度を改善することを目的とした方式である。
なお、cdma2000 lx-EV DOにおいて、EVはEvolution、DOはData onlyの意である。
【0003】
cdma2000 1x-EV DO方式では、携帯通信端末(以下、適宜「端末」と略記する)から受信した受信状態を通知する情報に基づいて、基地局が当該端末へ送信するデータの変調方式を切り替えることにより、当該端末の受信状態が良好な時は誤り耐性が低いが高速な通信レート、受信状態が悪いときは低速だが誤り耐性の高い通信レートを使用することが可能となっている。
この方式では、下りデータ通信速度は、従来のcdmaOne方式のように受信状態を示すCIR(搬送波対干渉比)の瞬時の値で単純に決定されるのではなく、予測や過去の下りデータ伝送の誤り率等の統計データによる補正等により変化する。すなわち、現在普及している通信方式であるCDMAでは、cdma2000 1x-EV DO方式のように、場所によるデータ通信速度の変化がそれほど顕著でないことから、受信状態等の判断も、基地局から受信するパイロット信号から求めたEc/Io(パイロット信号強度対全受信信号強度)、CIR等の瞬時値に基づいて行う程度のものであった。
【0004】
これに対し、cdma2000 1x-EV DO方式では、予測や過去の下りデータ伝送の誤り率等の統計データによる補正等を考慮して求められた極めて正確なデータ通信速度を直接的に示す予測下りデータ通信速度(DRC;Data Rate Control Bit)をテーブルとして端末側が備え、このテーブルに基づいて、上記予測下りデータ通信速度を端末から前記基地局へ通知するようになっている。これにより、上記した種々の通信レートでのデータ通信が行われる。
【0005】
また、cdma2000 1x-EV DO方式の下り方向(基地局から携帯通信端末への方向)では、時間を1/600秒単位(以下、「分割時間」あるいは「スロット」という)に分割し、その時間内では一つの携帯通信端末だけとの通信を行い、通信相手の携帯通信端末を時間により切り替えることにより複数の携帯通信端末と通信を行う、時分割多重アクセス(TDMA;time division multiplex access)を採用している。これにより、常に、個々の携帯通信端末に対して最大の電力を持ってデータ送信を行うことが可能となり、携帯通信端末間で行うデータ通信を最速の通信速度で行うことができる。
【0006】
この時分割多重アクセスにおいて、基地局側は、通常、次のようにしてスロット毎に通信を行う携帯通信端末を決定(スケジューリング)するようになっている。図9は、携帯通信端末X、Yに基地局300が下りデータを送信する例を示し、時間T10、T12では携帯通信端末Xに、時間T11、T13では携帯通信端末Yにデータを時分割多重で送信するものとする。ここで、下りデータの通信レートは、各端末X,Yから送信されるDRCに基づき決定されるが、時間T10〜T13の間では両者のDRCが等しいと仮定する。
【0007】
このような仮定をした場合、各スロットへの各端末の割当ての時間変化は図10に示すようになる。この図において、基地局300は、各スロットに割当てる端末を次式により決定する。
DRC/R(Ave) (1)
ここで、R(Ave)は、各端末が直近1000スロット分でそれぞれ受信したデータ通信レートの平均値を示す。例えば時間T10において、基地局10は、各端末X,Yから送信されたDRCとR(Ave)とに基づき、各端末について式1による値を計算し、値の大きい方の端末に時間T10で下りデータを送信する。例えば、T10で端末Xにデータが送信されると、端末Yの時間T10でのデータ通信レートは0になるので、その分、端末YのR(Ave)が小さくなる。つまり、次の割当て時間T11においては、式1による値は端末Yの方が端末Xより大きくなるので、T11では端末Yにスロットが割当てられ、下りデータが送信されることになる。このようにして、時間T10〜T13の間では端末X、Yに対して交互に(1:1で)スロットが割当てられ、送信されるデータ量も各端末で等しくなる。
【0008】
以上の方法で各スロットに端末を割当てることで、基地局と接続されている各端末に公平に下りデータを送信することができ、1つの端末が基地局を占有する不具合が防止される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した方法で各スロットに端末を割当てた場合、端末を有するユーザにとっては必ずしも利便性が良くなるとはいえなかった。つまり、端末側では所定のアプリケーションを起動させて上記下りデータを再生するわけであるが、例えば上記端末Xで複数のアプリケーションを立ち上げて複数の異なる下りデータを同時に再生したい場合、その分だけ基地局からダウンロードする下りデータ量も多くなる。一方、上記端末Yで1つのアプリケーションを立ち上げて1つの下りデータのみを再生したい場合、下りデータ量は少なくてもよい。
【0010】
ところが、上記した従来技術では、このような端末毎の下りデータ再生状態を反映させたデータ送信を行うことはできない。例えば、上記図10に示したように、端末X、YのDRCが等しい場合、送信されるデータ量も両者で等しくなるので、端末の状態に応じて最適なスロット割当て(スケジューリング)を行うことができないのである。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、時分割多重で端末に下りデータを送信する際、端末側の下りデータ再生状態に応じて最適の時間割当てを行うことができる基地局、携帯通信端末及び携帯通信方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る基地局は、端末から通知された該端末での下りデータに対応するアプリケーションのタスク数を受信する受信手段と、前記受信した下りデータに対応するアプリケーションのタスク数に基づいて、各端末に対し、前記データを送信するための分割された時間を割り当てる手段と、を具備することを特徴とする。
このようにすると、各端末における下りデータ実行情報(アプリケーションの起動状態等)に応じて、基地局から各分割時間毎に下りデータを送信する端末を適切に割当てることができ、下りデータを実行する端末側の利便性が高まる。
【0014】
本発明に係る携帯通信端末は、該携帯通信端末における下りデータに対応するアプリケーションのタスク数を取得する取得手段と、前記取得した下りデータに対応するアプリケーションのタスク数を基地局に送信する送信手段と、を具備することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る携帯通信方法は、端末から通知された該端末での下りデータに対応するアプリケーションのタスク数を受信する過程と、前記受信した下りデータに対応するアプリケーションのタスク数に基づいて、各端末に対し、前記データを送信するための分割された時間を割り当てる過程と、を有することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。図1及び図2は、それぞれ本発明の携帯通信システム及び基地局のブロック構成図を示す。
【0020】
図1において、携帯通信システム50は、複数の基地局30、30A、30B…と、各基地局を管理する交換局40とを含んで構成される。又、携帯通信システム50は、交換局40を介してインターネットや公衆網等のネットワーク80に接続され、他の携帯通信システム(キャリア)60や、後述の下りデータ(コンテンツ)を格納するサーバ70等と情報のやりとりを行えるようになっている。各基地局30、30A、30B…には携帯通信端末A,B等と無線通信を行うためのゾーンが割当てられ、交換局40は、携帯通信端末が移動してゾーンが変わる毎に、対応する基地局への切換え処理を行うようになっている。
【0021】
また、図2に示すように、基地局30は、携帯通信端末と送受信を行うアンテナ31、無線通信部(端末情報受信手段、送信手段)33、制御部(端末決定手段)35、通信履歴データベース37、所定の回線により交換局と情報のやりとりを行うためのI/F(インターフェース)39とを備える。
【0022】
無線通信部33は、アンテナ31からの受信信号の周波数を基地局内部で使用する信号周波数へ変換し、所定の復調器で復調した後、時分割多重アクセス(TDMA;time division multiplex access)方式に従った受信制御を行うようになっている。又、アンテナ31から送信する際は、上記と逆に、TDMAに従って信号を多重化し、所定の変調器で変調した後、送信周波数への変換を行う。制御部35は、無線通信部33が受信した端末からの下りデータ実行情報と、通信履歴データベース37に格納された情報に基づいて、詳しくは後述する手順により各スロットで下りデータを送信する端末を決定する。通信履歴データベース37は、この基地局30からのデータの送信履歴、詳しくは、各スロット毎に割当てられた端末とそのときのデータ通信レートとを格納する。
【0023】
また、図3は、cdma2000 1x-EV DO方式を採用した本発明の携帯通信システムに用いる携帯通信端末の構成例を示す図である。携帯通信端末は、アンテナ1、共用器3、復調器5、変調器19からなるRF部と、復号器7、予測器11、後述のテーブルを格納するCIR−DRC変換部13、マルチプレクサ(MUX;Multiplexer)15からなるベースバンド処理部と、CPU(端末情報取得手段、端末情報送信手段)9、後述するアプリケーション21aを含む各種情報を格納するメモリ21、アプリケーションの起動状態を数値として計数するカウンタ22、液晶ディスプレイ等からなる表示部23、キーパッド、キーボード等の操作部25を備えている。
また、当該携帯通信端末を無線モデムとして使用できるように、パーソナルコンピュータ(PC)29との外部インターフェース(例えばシリアルポート、パラレルポート、USB、blue-tooth、赤外線通信、10base-T LAN等)27を備えている。
【0024】
《cdma2000 1x-EV DO方式を採用した当該携帯通信端末の動作概要》
次に、上記構成からなる携帯通信端末について、cdma2000 1x-EV DO方式の動作概要を説明する。
携帯通信端末によって受信された基地局からの下りパイロット信号は、アンテナ1、共用器3を経由して復調器5により復調される。このとき、復調器5は、基地局から受信した受信信号の変調方式に対応する復調方式によって、ベースバンド帯域の受信信号から多重化信号を復調する。なお、本実施形態においては、QPSK(quadriphase phase shift keying)、8PSK(8 phase shift keying)、16QAM(16 amplitude modulation)の3種のいずれかの復調方式によって復調を行う。
【0025】
復調器5によって復調された受信データは、復号器7へ出力され、復号器7によって復号処理される。即ち、スペクトル拡散されている受信多重化信号をスペクトル逆拡散する。
ここで、自局に割り当てられた受信データ(例えば、通話相手からの通話信号やダウンロードを希望したデータ等)があった場合には、受信データは復号器7からCPU9へ出力される。この受信データは、CPU9内において処理されるか、又はCPU9及び外部インターフェース27を経由して外部のPC等29へ送られる。
更に、復号器7は復号処理の過程において、Ec/Io(パイロット信号強度対全受信信号強度)を求め、以下に示す(2)式に基づいてCIR(搬送波対干渉比)を算出する。
CIR=(Ec/lo)/(1-Ec/lo) (2)
【0026】
上述の式に基づいて求められたCIRは、復号器7から予測器11に出力され、予測器11において、次の受信スロットタイミング(ここで、1スロットは1.66ms=1/600秒)におけるCIRの値が予測される。
ここでの予測の方法については、特に限定しないが、線形予測等の方法が例として挙げられる。
また、上記予測器11が何スロット後のCIRを予測すればよいかを指示する情報は、当該携帯通信端末の電源オン時に基地局から送信されてくる種々の制御信号に含まれている。
そして、予測器11によって求められた予測CIRは、続くCIR−DRC変換部13へ出力される。
【0027】
CIR−DRC変換部13は、図4に示す(CIR−DRC変換)テーブルを備え、このテーブルに基づいて、予測CIRをDRCに変換する。このDRCとは、予測CIRから期待される、当該携帯通信端末において所定の誤り率以下で受信可能な最高通信速度である。
ここで、図4に示したように、CIR−DRC変換テーブルには、基準CIRに対応するDRCが定義されている。CIR−DRC変換部13は、入力された予測CIRが基準CIRであった場合には、そのCIRに対応するDRCをCPU9へ出力する。一方、予測器11から入力された予測CIRが基準CIRでなかった場合には、入力された予測CIRに最も近い基準CIRに対応するDRCを取得するか、又は、入力された予測CIRに最も近い2値のCIRから補間することにより、補間したCIRに対応するDRCを取得する。
これにより、各予測CIRに応じたDRCを取得することができ、より正確な受信状態を基地局に対して通知することが可能となる。
【0028】
上述したように求められたDRCは、CIR−DRC変換部13からCPU9へ出力される。DRCが入力されると、CPU9は、当該携帯通信端末において生成された、又は、外部のPC等29から外部インタフェース27を経由して入力された送信データがあるか否かを判断する。そして、送信データがある場合には、CPU9は、上述したDRCと共にこの送信データをマルチプレクサ15へ出力する。一方、送信データがない場合には、CIR−DRC変換部13から入力されたDRCをマルチプレクサ(MUX;Multiplexer)15へ出力する。
【0029】
CPU9から出力されたDRCや送信データは、マルチプレクサ15によって多重化され、符号化器17によって更に符号化され、変調器19によって特定の変調方式(例えば、QPSK)により変調され、共用器3及びアンテナ1を経由して基地局へ送信される。基地局では、各携帯通信端末から受信したDRCに基づいて、次のスロットをどの携帯通信端末への送信に使用するか、及びその送信での通信速度(および変調方式)を決定する。
【0030】
《実施形態》
次に、本発明の実施形態に係る基地局(携帯通信システム)と携帯通信端末間での動作について、フロー図5を参照して説明する。
【0031】
この図において、まず、携帯通信端末側では、ユーザからの入力操作に基づき、CPU9がアプリケーション1を起動する(ステップS100)。なお、以下の説明でのアプリケーションは、いずれも基地局(携帯通信システム)から受信した下りデータを実行(再生等)するためのソフトウェアとする。また、アプリケーションは、起動時にカウンタに1を加算する命令を含んでおり、CPU9はその命令に従ってカウンタ22に1を加算する(ステップS110)。次に、CPU9は所定のタイミングでカウンタ22の値を基地局に送信する(ステップS120)。送信タイミングは任意であるが、例えば上述したDRCの送信と同時に行う、つまり上り制御チャンネルを用いるようにすればよい。送信の手順も上記と同様に、マルチプレクサ15、符号化器17、変調器19、共用器3及びアンテナ1を経由して基地局へ送信すればよい。
【0032】
一方、基地局は、ステップS120で受信したカウンタ値に基づいてスロットを割当てる(ステップS200)。ここで、基地局は、各スロットに割当てる端末を次式により決定する。
α×DRC/R(Ave) (3)
ここで、R(Ave)は、各端末が直近1000スロット分でそれぞれ受信したデータ通信レートの平均値を示す。但し、1000スロットに満たない場合は、その端末の過去の通信レートの積算値を示す。又、αは、上記ステップS120で携帯通信端末が送信したカウンタ値である。そして、基地局は、各携帯通信端末から送信されたα、DRC、R(Ave)とに基づき、各端末について式3による値を計算し、最も値の大きい端末にスロットを割当て(スケジューリングし)、下りデータを送信する(ステップS210)。このようにして、各携帯通信端末におけるアプリケーションの起動状態(タスク数)に応じて、スロットを適切に割当てることができる。
【0033】
ステップS210でスロットが割当てられた携帯通信端末は、下りデータを受信する(ステップS130)。そして、下りデータの受信が終了すると(ステップS140)、ユーザの指示等に基づき、CPU9はアプリケーション1を終了する(ステップS150)。ここで、アプリケーションは、終了時にカウンタから1を減算する命令を含んでおり、CPU9はその命令に従ってカウンタ22から1を減算する(ステップS160)。次に、CPU9は所定のタイミングでカウンタ22の値を基地局に送信する(ステップS170)。
【0034】
そして、基地局は、ステップS170で受信したカウンタ値に基づいてスロットを割当てる(ステップS220)。このように、携帯通信端末でアプリケーションが終了すると、その状態(タスク数)に基づいてスロットの割当てが変更されるので、各端末へのスロットの配分がより適切になる。
【0035】
次に、図6及び図7を参照して、基地局が複数の携帯通信端末にスロットを割当てる態様について説明する。ここで、図6に示すように、基地局30が2つの携帯通信端末A、Bに下りデータを送信する場合を考える。また、携帯通信端末Aはアプリケーションを2つ起動しており、カウンタ値2を基地局30に送信し、携帯通信端末Bはアプリケーションを1つ起動しており、カウンタ値1を基地局30に送信したものとする。そして、これらのカウンタ値に応じて、時間T10、T2、T4、T5では携帯通信端末Aに、時間T3、T6では携帯通信端末Bにデータを時分割多重で送信するものとする。ここで、下りデータの通信レートは、各端末から送信されるDRCに基づき決定されるが、時間T1〜T6の間では両者のDRCが等しいと仮定する。
【0036】
このような仮定をした場合、各スロットへの各端末A,Bの割当ての時間変化は図7に示すようになる。基地局30が各スロットに割当てる方法については前述の通り、式3に基づいて行われる。その結果、時間T1において、式3の値は端末Aの方が端末Bの2倍になるので、T1では端末Aにスロットが割当てられる。T2でも同様である。そして、このようにして端末Aに優先的に下りデータが送信され続けると、その分、端末AのR(Ave)が大きくなる。つまり、端末Aの方が端末Bに比べて式3の値が小さくなるので、次の時間T3では端末Bにスロットが割当てられ、下りデータが送信されることになる。以下、同様にして、時間T4、T5では端末Aに、T6では端末Bにスロットが割当てられる。このようにして、時間T1〜T6の間で、端末Aと端末Bとの割当てスロットの比はおおむね2:1となり、送信されるデータ量もほぼ2:1となる。なお、各端末のDRCが等しくない場合は、割当てスロットの比は各DRCの値も反映し、上記2:1からずれたものとなる。
【0037】
次に、携帯通信端末内で、上記アプリケーションの起動数を増減させた場合の割当てスロット数の変化について、図8を参照して説明する。
【0038】
この図において、携帯通信端末と基地局との処理内容は前記図5と同様であるので説明を省略する。まず、アプリケーションを1つも起動していない場合、カウンタの加減は行われず、カウンタ値は0となる。そして、端末からは値0を基地局に送信し、基地局は前記式3に基づいてスロットへ割当てる端末を決定する。この場合、この端末については、式3による値が0となるので、スロットには他の端末が割当てられることになる。
【0039】
次に、この端末がアプリケーション1を起動すると、カウンタに1が加算され、カウンタ値は1となる。そして、端末は値1を基地局に送信し、基地局は前記式3に基づいてスロットへ割当てる端末を決定する。さらに、この端末がアプリケーション2を起動すると、カウンタに1が加算され、カウンタ値は2となる。そして、端末は値2を基地局に送信し、基地局は前記式3に基づいて次にスロットへ割当てる端末を決定する。
【0040】
そして、この端末がアプリケーション2を終了すると、カウンタから1が減算され、カウンタ値は1となる。そして、端末は値1を基地局に送信し、基地局は前記式3に基づいて以後スロットへ割当てる端末を決定する。さらに、この端末がアプリケーション1を終了すると、カウンタから1が減算され、カウンタ値は0となる。そして、端末は値0を基地局に送信する。この場合、この端末については、式3による値が0となるので、スロットには他の端末が割当てられることになる。
【0041】
このように、アプリケーションの起動状態に応じて端末側が必要とする下りチャンネルのスロット数も変化するが、上記したように、アプリケーションの起動状態をカウント値として基地局に通知し、基地局ではその値に基づいてスロットを割当てる端末を決定するので、アプリケーションの起動状態に応じた適切なスロット配分ができる。なお、アプリケーションを複数起動させた場合とは、例えば電子メールとWWWブラウザを起動し、ダウンロードしたWebページを閲覧しながら、電子メールを送受信する場合、あるいは、音楽再生ソフトウェアと画像再生ソフトウェアを起動し、ダウンロードした画像を見ながら音楽を聞く場合が該当する。
【0042】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0043】
例えば、上記各実施形態では1つのアプリケーションの起動、終了に応じてカウンタを1ずつ加減したが、アプリケーションに応じて加減値を変えてもよい。例えば、下りデータ量が多いストリーミング再生ソフトウェアの場合は、カウンタを2.5ずつ加減し、下りデータ量が少ない電子メールソフトウェアの場合は、カウンタを1ずつ加減してもよい。
【0044】
また、下りデータ実行情報として、アプリケーションの起動、終了を例示したが、これに限らず、例えばユーザが下りデータ量の大小を判断して数値やランク値(「データ量大」など)を携帯通信端末から入力し、その値を下りデータ実行情報として基地局に送信してもよい。さらには、基地局においてスロットを割当る端末を決定する方法についても、上記に限られず、要は下りデータ実行情報をスロット割当に反映するものであれば何であってもよい。例えば、基地局にアクセスしている端末C、Dの下りデータ実行情報(カウント値等)がそれぞれ3と1である場合に、単純にその値に応じてスロットを配分する、つまり、端末CとDのスロット割当て数の比を3:1にしてもよい。
【0045】
なお、上記した実施形態では、通常のcdma2000 1x-EV DOにおいて、TDMA方式で各スロットに割当てる端末を決定する際に用いる判定式(式1)に、下りデータ実行情報(カウント値)を乗じて(式3)、スロット割当てを行ったが、判定式は式1のものに限られない。
【0046】
本発明の携帯通信端末としては、いわゆるCDMA(符号分割多重接続)方式やPDC(Personal Digital Cellilar System)方式などの携帯電話機やPHS(登録商標:Personal Handyphone System)のほか、PDA(Personal Digital Assistants:個人用情報機器)と称される携帯型の端末も含むものとする。ここで、PDAの場合、通信手段を内蔵しているもののほか、外部から通信手段を接続するものであっても、本発明の特徴とする後述の発呼(着呼、通信)処理をPDA本体で行うものについては本発明に含めるものとする。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、各端末における下りデータ実行情報(アプリケーションの起動状態等)に応じて、基地局から各分割時間毎に下りデータを送信する端末を適切に割当てることができ、下りデータを実行する端末側の利便性が高まる。例えば、必要とする下りデータ量の多い端末には送信時間を長く割当てることができるので、端末のユーザにストレスを与えることがない。一方、必要データ量の少ない端末に割当てる送信時間を短くできるので、基地局の送信能力を無駄なく活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る携帯通信システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る基地局の概略構成を示すブロック図である。
【図3】 本発明の一実施形態に係る携帯通信端末の概略構成を示すブロック図である。
【図4】 CIR−DRC変換テーブルの一例を示す図である。
【図5】 基地局と携帯通信端末間での処理フローを示した別の図である。
【図6】 基地局から2つの携帯通信端末に下りデータを送信する態様を示す図である。
【図7】 図6において、各端末にスロットを割当てる態様を示す図である。
【図8】 携帯通信端末内でアプリケーションの起動数を増減させた場合の割当てスロット数の変化を説明するための図である。
【図9】 従来の基地局から2つの携帯通信端末に下りデータを送信する態様を示す図である。
【図10】 図9において、各端末にスロットを割当てる態様を示す図である。
【符号の説明】
30 基地局
A、B (携帯通信)端末
T1〜T6 分割時間
Claims (3)
- 端末から通知された該端末での下りデータに対応するアプリケーションのタスク数を受信する受信手段と、
前記受信した下りデータに対応するアプリケーションのタスク数に基づいて、各端末に対し、前記データを送信するための分割された時間を割り当てる手段と、
を具備することを特徴とする基地局。 - 該携帯通信端末における下りデータに対応するアプリケーションのタスク数を取得する取得手段と、
前記取得した下りデータに対応するアプリケーションのタスク数を基地局に送信する送信手段と、
を具備することを特徴とする携帯通信端末。 - 端末から通知された該端末での下りデータに対応するアプリケーションのタスク数を受信する過程と、
前記受信した下りデータに対応するアプリケーションのタスク数に基づいて、各端末に対し、前記データを送信するための分割された時間を割り当てる過程と、
を有することを特徴とする携帯通信方法。
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