JP4622799B2 - 制動力制御装置 - Google Patents

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本発明は、車輌に制動力を発生させる制動力発生装置の制御を行う制動力制御装置に関する。
従来、車輌には制動力を発生させる制動力発生装置が具備されている。近年においては、その制動力発生装置として、油圧の力を利用して油圧制動力を発生させるものだけでなく、モータの回生トルクを利用して回生制動力を発生させるものも存在する。
例えば、下記の特許文献1には、その油圧制動力と回生制動力を1台の車輌に併用して用いる技術が開示されている。この特許文献1に開示された制動力制御装置は、所謂ABS(Anti−lock Brake System)制御を実行する際に、油圧制動力を一定に保ちつつモータの回生制動力を制御し、これにより車輪に必要とされる全ての制動力(以下、「全制動力」という。)を発生させている。
また、同様の油圧制動力と回生制動力が併用されている技術が開示されたものとしては、モータトルクの目標値Tm0をモータの最大トルクTmaxと最小トルクTminの中間値{Tm0=(Tmax+Tmin)/2}に設定する制動力制御装置が記された下記の特許文献2がある。更に、この特許文献2には、バッテリへの充電可能電力に応じてモータトルクの目標値Tm0を変更する技術が開示されている。
尚、下記の特許文献3には、油圧制動力又は回生制動力の内の何れか一方を減少させて車輪のロックを防止するアンチロック制御を実行し、その減少限界となったときに他方のアンチロック制御を起動させる技術が開示されている。
特開平5−270387号公報 特開2001−97204号公報 特開平6−171490号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された制動力制御装置においては、モータの回生制動力が一定の値に固定された油圧制動力に依存して決められてしまうので、路面の摩擦係数の変化如何では、モータが回生制動力を発生し得る出力限界(即ち、モータトルクの出力限界)を超えてしまい、目標制動力を車輪に発生させることができなくなる虞がある。
また、上記特許文献1に開示された制動力制御装置においては、上記のモータトルクの目標値Tm0を設定し、これによる回生制動力を補填するが如く油圧制動力を制御するので、その油圧制動力を制御する際の出力精度や応答性がモータトルクを増減させる場合よりも劣り、制御性の観点から好ましくない。
そこで、本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、モータトルクの制御幅を拡大して有効利用させ得る制動力制御装置を提供することを、その目的とする。
上記目的を達成する為、請求項1記載の発明では、車輪に発生させる機械制動トルクを制御する機械制動トルク制御手段と、車輪に発生させるモータのモータトルクを制御するモータ制御手段と、車輪への要求全制動トルクに基づいて要求機械制動トルク及び要求モータトルクを設定する要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段とを備えた制動力制御装置において、車輪のロック傾向を検出するロック傾向検出手段と、車輪のロック解除傾向を検出するロック解除傾向検出手段と、車輪のロック傾向検出時及びロック解除傾向検出時における当該車輪の全制動トルクを算出する全制動トルク算出手段とを設け、この全制動トルク算出手段により算出されたロック傾向検出時及びロック解除傾向検出時における夫々の全制動トルクの間の値に要求機械制動トルクを設定するよう要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段を構成している。
この請求項1記載の制動力制御装置においては、車輪への全制動トルクに基づいて要求機械制動トルクを設定することとなる。これが為、要求全制動トルクから要求機械制動トルクを減算することによって求められる要求モータトルクは、モータにおける回生側及び力行側の双方の出力限界値に対して夫々に余裕代を持つことになる。即ち、この制動力制御装置によれば、モータトルクの制御幅を拡大することができるので、路面の摩擦係数の変化に応じた要求全制動トルクの変動に対してのモータトルクの制御範囲を拡大することができる。
また、上記目的を達成する為、請求項2記載の発明では、上記請求項1記載の制動力制御装置において、要求機械制動トルクが所定の時点で設定した値に固定されるよう要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段を構成している。
この請求項2記載の制動力制御装置においては、モータトルクの制御と比して出力精度や応答性に劣る機械制動トルクの増減制御を逐一行う必要が無くなるので、制御性が向上する。
また、上記目的を達成する為、請求項3記載の発明では、上記請求項1記載の制動力制御装置において、要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段は、全制動トルク算出手段がロック傾向検出時及びロック解除傾向検出時における夫々の全制動トルクを算出する度に当該夫々の全制動トルクに基づいて要求機械制動トルクの算出を行い当該要求機械制動トルクの設定値を更新するよう構成している。
この請求項3記載の制動力制御装置においては、路面の摩擦係数の変化に依存するロック傾向検出時及びロック解除傾向検出時における全制動トルクが変わる度に要求機械制動トルクの設定値を更新するので、その路面の摩擦係数の変化に応じてモータトルクの制御幅(回生側及び力行側への余裕代)を最適なものへと調節することができる。
また、上記目的を達成する為、請求項4記載の発明では、上記請求項3記載の制動力制御装置において、実際に出力されるモータトルクと当該モータトルクの出力限界値との間の余裕代が所定値に満たなければ要求機械制動トルクの設定値の更新処理を実行し、その余裕代が所定値以上あれば要求機械制動トルクの設定値の更新処理を実行しないよう要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段を構成している。
この請求項4記載の制動力制御装置においては、モータトルクの出力限界値に余裕がある場合に要求機械制動トルクの設定値が変更されないので、モータトルクの制御と比して出力精度や応答性に劣る機械制動トルクの増減制御を逐一行う必要が無くなり、制御性が向上する。
また、上記目的を達成する為、請求項5記載の発明では、上記請求項1,2,3又は4に記載の制動力制御装置において、バッテリの残存量に応じて要求機械制動トルクを設定するよう要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段を構成している。
この請求項5記載の制動力制御装置によれば、バッテリの充電が必要であればモータ回生トルクを増加させ、バッテリにそれ以上充電できなければモータ力行トルクを増加させることができるので、バッテリの蓄電量を常に最適な状態に保つことが可能になる。
また、上記目的を達成する為、請求項6記載の発明では、上記請求項1から5の内の何れか1つに記載の制動力制御装置において、全制動トルク算出手段により算出されたロック傾向検出時及びロック解除傾向検出時における夫々の全制動トルクの中間値に要求機械制動トルクを設定するよう要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段を構成している。
この請求項6記載の制動力制御装置によれば、モータトルクの制御幅(回生側及び力行側への余裕代)を最大にすることができ、路面の摩擦係数の変化に応じた要求全制動トルクの変動に対してのモータトルクの制御範囲を更に拡大することができる。
ここで、ロック傾向検出手段及びロック解除傾向検出手段は、請求項7の如く、車輪のスリップ率に基づいて夫々にロック傾向及びロック解除傾向を検出するよう構成することができる。
本発明に係る制動力制御装置は、車輪への全制動トルクに基づいて要求機械制動トルクを一定に保つように設定するので、回生側と力行側の双方にモータトルクの余裕代を作り出すことができ、モータトルクの制御幅を拡大することができる。これが為、この制動力制御装置においては、その双方に出来た余裕代を有効活用して、路面の摩擦係数の変化に応じた要求全制動トルクの変動に対してのモータトルクの制御範囲を拡大することができる。
以下に、本発明に係る制動力制御装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
本発明に係る制動力制御装置の実施例1を図1から図4に基づいて説明する。
最初に、本実施例1における制動力制御装置の構成について図1を用いて説明する。図1に本実施例1の制動力制御装置が適用される車輌を示す。
本実施例1の車輌には、各々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに夫々独立して機械的な制動トルクを発生させる機械制動トルク発生装置が設けられている。この機械制動トルク発生装置は、電子制御装置(ECU)等により構成された機械制動トルク制御手段によってその動作が制御され、所望の機械制動トルクを発生させる。例えば、本実施例1の機械制動トルク発生装置としては、油圧の力により夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに機械的な制動トルクを付与して制動力を発生させる所謂油圧ブレーキを例示する。これが為、以下においては、この機械制動トルク発生装置を「油圧制動トルク発生装置」といい、この油圧制動トルク発生装置により発生させられた機械的な制動トルク及び制動力を夫々「油圧制動トルク」及び「油圧制動力」といい、その機械制動トルク制御手段を「油圧制動トルク制御手段」という。
具体的に、ここで例示する油圧制動トルク発生装置は、夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに配設したキャリパーやディスクロータ等からなる油圧制動手段21FL,21FR,21RL,21RRと、これら各油圧制動手段21FL,21FR,21RL,21RRのキャリパーに対して各々に油圧を供給する油圧配管22FL,22FR,22RL,22RRと、これら各油圧配管22FL,22FR,22RL,22RRの油圧を夫々に調節する油圧調節手段(以下、「ブレーキアクチュエータ」という。)23と、このブレーキアクチュエータ23を制御する油圧制動トルク制御手段24と、運転者が車輌の制動力発生時に操作するブレーキペダル25と、運転者によるブレーキペダル25の踏み込み操作に応じて駆動されるブレーキマスタシリンダ26とを備えている。
更に、図示しないが、この油圧制動トルク発生装置には、ブレーキペダル25の踏み込みによって生じる圧力を増圧し、ブレーキマスタシリンダ26に入力するブースタ等も設けられている。
ここで、そのブレーキアクチュエータ23は、オイルリザーバ,オイルポンプ,夫々の油圧配管22FL,22FR,22RL,22RRの油圧を各々に増減する為の増減圧制御弁の如き種々の弁装置等を含み、所謂ABS制御を行い得るよう構成されている。その増減圧制御弁は、通常時にはブレーキマスタシリンダ26により制御されて各油圧制動手段21FL,21FR,21RL,21RRにおけるキャリパーの油圧を夫々調節する。一方、この増減圧制御弁は、必要に応じて油圧制動トルク制御手段24によってもデューティ比制御され、各油圧制動手段21FL,21FR,21RL,21RRにおけるキャリパーに掛かる油圧の調節を夫々に行う。
また、本実施例1の車輌には、各々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRにモータ31FL,31FR,31RL,31RRが配備されている。この夫々のモータ31FL,31FR,31RL,31RRは、図1に示すモータ制御手段32によって制御され、各々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対して夫々にモータトルクTmを付与する。
ここで、そのモータトルクTmには、車輪10FL,10FR,10RL,10RRに駆動力(以下、「モータ駆動力」という。)を発生させる為のモータ力行トルクと、車輪10FL,10FR,10RL,10RRに回生制動力(以下、「モータ回生制動力」という。)を発生させる為のモータ回生トルクとがある。
これが為、モータ制御手段32の制御により各モータ31FL,31FR,31RL,31RRがモータ力行トルクを発生させたときには、夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRにモータ駆動力が掛かり、車輌を前進又は後退させる。例えば、この車輌が電気自動車である場合には、その各モータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータ力行トルクが車輌の動力源として利用される。また、この車輌が内燃機関等の原動機も具備している場合には、その各モータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータ力行トルクが原動機の動力補助又は原動機との動力の切り替えに伴う動力源として利用される。
一方、モータ制御手段32の制御により各モータ31FL,31FR,31RL,31RRがモータ回生トルクを発生させたときには、夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRにモータ回生制動力が掛かり、車輌を制動させる。その際、この車輌においては、そのモータ回生制動力により得られた電力が図1に示すバッテリ33に蓄電される。
ここでは、そのモータ力行トルクについて「Tm」を負の値とする一方、そのモータ回生トルクについて「Tm」を正の値とする。
ところで、本実施例1の車輌には上述したが如く油圧制動トルク発生装置も具備されている。これが為、各車輪10FL,10FR,10RL,10RRに発生する夫々の全制動トルクTaは、その油圧制動トルク発生装置による各車輪10FL,10FR,10RL,10RRの油圧制動トルクと各々のモータ31FL,31FR,31RL,31RRによる各車輪10FL,10FR,10RL,10RRのモータ回生トルクとを夫々に合算したものとなる。例えば、夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに油圧制動トルクToを付与し、その各車輪10FL,10FR,10RL,10RRのモータ31FL,31FR,31RL,31RRにモータ回生トルクを発生させた場合、各車輪10FL,10FR,10RL,10RRの夫々の全制動トルクTaは、油圧制動トルクToのみで発生させたときよりも大きくなる。
ここで、車輌の制動時に各モータ31FL,31FR,31RL,31RRに対してモータ力行トルクを発生させた場合を考察してみる。かかるモータ力行トルクは、モータ回生トルクとは逆方向の回転力を車輪10FL,10FR,10RL,10RRに与えるものであり、車輌の制動力を増加させるモータ回生トルクとは逆に上述したが如く車輌の駆動力を発生させる。これが為、各車輪10FL,10FR,10RL,10RRに油圧制動トルクToが付与されているときに夫々のモータ31FL,31FR,31RL,31RRに対してモータ力行トルクを発生させると、夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRにはその油圧制動トルクToに抗するモータ力行トルクが掛かり、油圧制動トルクToのみで発生させたときよりも各車輪10FL,10FR,10RL,10RRの夫々の全制動トルクTaが小さくなる。
即ち、本実施例1の車輌においては、油圧制動トルク発生装置からの各車輪10FL,10FR,10RL,10RRへの油圧制動トルクToと各モータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータ回生トルク又はモータ力行トルクとを合算したもの夫々が各車輪10FL,10FR,10RL,10RRにおける全制動トルクTaとなる。これが為、この車輌においては、これらのトルク値を増減制御することによって夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに付与する各々の全制動トルクTaを調節し、その各車輪10FL,10FR,10RL,10RRに発生させる各々の全制動力を調節することができる。例えば、各車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対して一定の油圧制動トルクToが付与されていると仮定し、その際に各モータ31FL,31FR,31RL,31RRからモータトルクTmを発生させると、そのモータトルク(モータ回生トルク又はモータ力行トルク)Tmに応じて夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRの全制動トルクTaを増減させることができる。
このように、本実施例1の車輌においては、油圧制動トルク発生装置とモータ31FL,31FR,31RL,31RRとによって車輌に制動力を発生させる制動力発生装置(以下、「車輌制動力発生装置」という。)が構成されている。これが為、本実施例1の車輌におけるABS制御は、その油圧制動トルク発生装置の油圧制動トルクToとモータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータトルクTmとを増減制御することによって実行される。
ここで、かかるABS制御は、車輌の電子制御装置(ECU)が当該技術分野で周知の制御手法によって実行する。
例えば、この電子制御装置は、運転者がブレーキ操作を行って車輌制動力発生装置を作動させた際に夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRのロック傾向の検出を行い、その何れかの車輪10FL,10FR,10RL,10RRでロック傾向が検出された時に、その該当する車輪10FL,10FR,10RL,10RRのロック傾向を解除させ得る全制動トルク(以下、「要求全制動トルク」という。)Tareqを求める。そして、この電子制御装置は、その該当する車輪10FL,10FR,10RL,10RRの全制動トルクTaが要求全制動トルクTareqとなるように車輌制動力発生装置に対する制御を実行する。この車輌においては、かかるトルク演算とトルク制御が繰り返し実行されることによって、車輪10FL,10FR,10RL,10RRの全制動トルクTaが減少してロック傾向が解除方向へと向かう。
一方、この電子制御装置は、その該当する車輪10FL,10FR,10RL,10RRのロック解除傾向の検出も行い、ロック解除傾向が検出された時に、その車輪10FL,10FR,10RL,10RRの全制動トルクTaを増加させる要求全制動トルクTareqを求め、その全制動トルクTaが要求全制動トルクTareqとなるように車輌制動力発生装置に対する制御を実行する。ここでは、かかるトルク演算とトルク制御が繰り返し実行されることによって、車輪10FL,10FR,10RL,10RRの全制動トルクTaが増加して当該車輪10FL,10FR,10RL,10RRの全制動力が強くなる。
この電子制御装置は、再びロック傾向を検出した時には当該ロック傾向を解除させるよう全制動トルクTaを調節して減少させ、その後、ロック解除傾向を検出した時には全制動トルクTaを増加させる。電子制御装置は、ABS制御中にこれらを繰り返し実行する。
ところで、上述したが如く、本実施例1にあっては、車輌制動力発生装置が油圧制動トルク発生装置とモータ31FL,31FR,31RL,31RRとによって構成されており、その油圧制動トルク発生装置のブレーキアクチュエータ23とモータ31FL,31FR,31RL,31RRとが夫々に油圧制動トルク制御手段24とモータ制御手段32とにより制御される。これが為、本実施例1にあっては、その油圧制動トルク制御手段24とモータ制御手段32が上述した電子制御装置における全制動トルクTa(=To+Tm)の調節制御機能の一旦を担っている。即ち、油圧制動トルク制御手段24は、要求全制動トルクTareqを発生させる際に求めた油圧制動トルク(以下、「要求油圧制動トルク」という。)Toreqとなるよう制御対象の車輪10FL,10FR,10RL,10RRの油圧制動トルクToを制御する。一方、モータ制御手段32は、要求全制動トルクTareqを発生させる際に求めたモータトルク(以下、「要求モータトルク」という。)Tmreqとなるよう制御対象のモータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータトルクTmを制御する。
更に、上述した電子制御装置には、車輪10FL,10FR,10RL,10RRのロック傾向やロック解除傾向の検出処理、要求全制動トルクTareqの演算処理等の如く各々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対する処理機能もある。また、上記の油圧制動トルク制御手段24とモータ制御手段32により全制動トルクTaを調節する際には、油圧制動トルク制御手段24の制御パラメータたる要求油圧制動トルクToreqとモータ制御手段32の制御パラメータたる要求モータトルクTmreqとを設定する必要があり、これら要求油圧制動トルクToreq及び要求モータトルクTmreqは上述した電子制御装置が設定した要求全制動トルクTareqに基づいて下記の式1から算出される。
Tareq=Toreq+Tmreq … (1)
このようなことから、本実施例1にあっては、かかる処理機能を有する電子制御装置(以下、「ブレーキ・モータ統合ECU」)41を設け、このブレーキ・モータ統合ECU41と上述した油圧制動トルク制御手段24及びモータ制御手段32によって車輌制動力発生装置における制動力制御装置を構成している。
具体的に、この本実施例1のブレーキ・モータ統合ECU41には、車輪10FL,10FR,10RL,10RRのロック傾向を検出するロック傾向検出手段41aと、車輪10FL,10FR,10RL,10RRのロック解除傾向を検出するロック解除傾向検出手段41bと、制御対象の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対する要求全制動トルクTareqを算出する要求全制動トルク算出手段41cと、その要求全制動トルクTareqに基づいて要求油圧制動トルクToreq及び要求モータトルクTmreqを設定する要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dとが設けられている。
ここで、本実施例1のロック傾向検出手段41aとロック解除傾向検出手段41bは、車輪10FL,10FR,10RL,10RRのスリップ率に基づいて夫々にロック傾向とロック解除傾向とを検出するよう構成する。例えば、このブレーキ・モータ統合ECU41にスリップ率演算手段を設け、これにより得られたスリップ率の値に応じて、そのロック傾向検出手段41aとロック解除傾向検出手段41bは、車輪10FL,10FR,10RL,10RRがロック傾向であるか否か、車輪10FL,10FR,10RL,10RRがロック解除傾向であるか否かの検出を行う。そのスリップ率演算手段は、この技術分野において周知の演算手法によりスリップ率を算出又は推定するよう構成されている。
また、上述した本実施例1の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、制御対象の車輪10FL,10FR,10RL,10RRにおける要求油圧制動トルクToreqの暫定値(以下、「暫定要求油圧制動トルク」という。)Toproと、その車輪10FL,10FR,10RL,10RRにおけるモータ31FL,31FR,31RL,31RRの要求モータトルクTmreqの暫定値(以下、「暫定要求モータトルク」という。)Tmproとを算出するよう構成されている。
ここで、本実施例1の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、ロック傾向にある車輪10FL,10FR,10RL,10RRのロック傾向検出時における実際の全制動トルク(以下、「最大全制動トルク」という。)Tamaxと当該車輪10FL,10FR,10RL,10RRのロック解除傾向が検出された際の実際の全制動トルク(以下、「最小全制動トルク」という。)Taminとの間の値に暫定要求油圧制動トルクToproを算出するよう構成する。例えば、本実施例1にあっては、下記の式2を用いて、暫定要求油圧制動トルクToproが最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値となるように演算処理を行わせる。この暫定要求油圧制動トルクToproは、新たな最小全制動トルクTaminが算出される度に求められる。
Topro=(Tamax+Tamin)/2 … (2)
ところで、かかる演算処理を行うには上記の最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminを求めなければならない。これが為、本実施例1のブレーキ・モータ統合ECU41には、これらを算出する全制動トルク算出手段41eを設けている。
ここで、本実施例1の車輌には図1に示す車輪速度センサ51FL,51FR,51RL,51RRが各車輪10FL,10FR,10RL,10RRに各々配備されており、全制動トルク算出手段41eは、その各車輪速度センサ51FL,51FR,51RL,51RRからの検出信号(車輪の回転速度)に基づき夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRにおいて実際に発生している全制動トルクTaを各々算出する。この全制動トルク算出手段41eにより求められた全制動トルクTaは、ロック傾向検出時のものであれば最大全制動トルクTamaxとなり、ロック解除傾向検出時のものであれば最小全制動トルクTaminとなる。
また、本実施例1の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、新たな最小全制動トルクTaminが算出されるまで(即ち、ロック解除傾向が検出されるまで)は先に設定した要求油圧制動トルク(以下、「要求油圧制動トルク既算値」という。)Toreqを暫定要求油圧制動トルクToproとして設定するよう構成されている。
更に、本実施例1にあっては、その暫定要求油圧制動トルクToproと要求全制動トルクTareqとを上述した式1の変形式たる下記の式3に代入して暫定要求モータトルクTmproを求めるように要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dが構成されている。尚、この式3では、式1の「Toreq」を「Topro」に、「Tmreq」を「Tmpro」に置き換えている。
Tmpro=Tareq−Topro … (3)
ここで、そのようにして暫定要求モータトルクTmproが求められたとしても、この暫定要求モータトルクTmproがモータ31FL,31FR,31RL,31RRにおけるモータトルクTmの出力限界値(以下、「モータトルク出力限界値」という。)Tmlimを超えてしまっていると、モータ31FL,31FR,31RL,31RRから暫定要求モータトルクTmproを出力させることができない。
そこで、本実施例1にあっては、制御対象の車輪10FL,10FR,10RL,10RRにおけるモータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータトルク出力限界値Tmlimを算出し、これと暫定要求モータトルクTmproとを比較して最終的な要求モータトルクTmreqを設定するように要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dが構成されている。
そのモータトルク出力限界値Tmlimは、モータ回転数や車輪速度に一意に対応するものであり、図4に示す如く回生側と力行側との双方で個別の値が存在している。これが為、以下においては、その回生側のモータトルク出力限界値Tmlimを「モータ回生トルク出力限界値Tm1lim」といい、その力行側のモータトルク出力限界値Tmlimを「モータ力行トルク出力限界値Tm2lim」という。ここでは、そのモータ回生トルク出力限界値Tm1limを正の値とし、そのモータ力行トルク出力限界値Tm2limを負の値とする。
本実施例1にあっては、暫定要求モータトルクTmproがモータ回生トルク出力限界値Tm1lim以上又はモータ力行トルク出力限界値Tm2lim以下の場合に、そのモータ回生トルク出力限界値Tm1lim又はモータ力行トルク出力限界値Tm2limを最終的な要求モータトルクTmreqとして設定させる。そして、その際に、設定された要求モータトルクTmreqと要求全制動トルクTareqを上述した式1の変形式たる下記の式4に代入して要求油圧制動トルクToreqの算出を行うよう要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dが構成されている。
Toreq=Tareq−Tmreq … (4)
以下に、上述したが如く構成した本実施例1の制動力制御装置の動作について図2のフローチャート及び図3のタイムチャートに基づき説明する。この図2のフローチャートと図3のタイムチャートは、各車輪10FL,10FR,10RL,10RRの内の何れか1輪に対しての制御動作を示したものであり、これと同様の制御動作が全ての車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対して別個独立に実行される。例えば、ここでは、左側前輪10FLについて代表して例示する。
尚、ABS制御を開始するまでは、図3に示す如く、例えば、運転者によるブレーキペダル25の踏み込み量や踏力、車速センサ52から検出した車速等に基づいて夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに発生させる要求全制動トルクTareqが各々算出される。そして、その各車輪10FL,10FR,10RL,10RRの全制動トルクTaが要求全制動トルクTareqとなるように、運転者のブレーキ踏力に応じた油圧制動トルクToの不足分を補填するが如くモータ31FL,31FR,31RL,31RRを制御してモータ回生トルクを発生させている。
また、本実施例1の制動力制御装置は、ABS制御開始直後からロック解除傾向が検出されるまで(即ち、後述する最小全制動トルクTaminが算出されるまで)の間において周知のABS制御を実行させる。例えば、その間には、図3に示す如く、制御対象の左側前輪10FLの全制動トルクTaを減少させるよう要求全制動トルクTareqが設定される。そして、その左側前輪10FLに発生させる油圧制動トルクToをABS制御開始時点における値に固定し、その左側前輪10FLのモータ31FLを制御してモータトルクTmを減少させ、左側前輪10FLの全制動トルクTaが要求全制動トルクTareqとなるようにする。
先ず、本実施例1のブレーキ・モータ統合ECU41は、左側前輪10FLがABS制御を実行中であるか否かを判断し(ステップST10)、ABS制御中でなければ、この判断を繰り返す。
一方、ABS制御中であれば、このブレーキ・モータ統合ECU41は、左側前輪10FLの要求全制動トルクTareqを算出し(ステップST15)、ロック傾向検出手段41aの検出結果に基づいて左側前輪10FLがロック傾向にあるか否かを判定する(ステップST20)。
そして、このブレーキ・モータ統合ECU41は、そのステップST20にて肯定判定が為された場合、その全制動トルク算出手段41eにより、ロック傾向検出時における左側前輪10FLの車輪速度に基づき当該左側前輪10FLで実際に発生している全制動トルクTa(最大全制動トルクTamax)を算出する(ステップST25)。本実施例1にあっては、その求めた最大全制動トルクTamaxをブレーキ・モータ統合ECU41の主記憶装置等に記憶させておく。この記憶された最大全制動トルクTamaxは、新たな最大全制動トルクTamaxが算出されるまで保持され、新たな最大全制動トルクTamaxが算出された後にこれと置き換えられる。
このブレーキ・モータ統合ECU41は、しかる後、又はそのステップST20にて否定判定が為された場合に、ロック解除傾向検出手段41bの検出結果に基づいて左側前輪10FLがロック解除傾向にあるか否かを判定する(ステップST30)。
そして、このブレーキ・モータ統合ECU41は、そのステップST30にて肯定判定が為された場合、その全制動トルク算出手段41eにより、ロック解除傾向検出時に左側前輪10FLで発生している実際の全制動トルクTa(最小全制動トルクTamin)を算出する(ステップST35)。本実施例1にあっては、その最小全制動トルクTaminを最大全制動トルクTamaxと同様にブレーキ・モータ統合ECU41の主記憶装置等に記憶させておく。この記憶された最小全制動トルクTaminは、新たな最小全制動トルクTaminが算出されるまで保持され、新たな最小全制動トルクTaminが算出された後にこれと置き換えられる。
このブレーキ・モータ統合ECU41は、しかる後、又はそのステップST30にて否定判定が為された場合に、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dにより、左側前輪10FLのモータ31FLのモータトルク出力限界値Tmlimを算出する(ステップST40)。ここでは、モータ回生トルク出力限界値Tm1limとモータ力行トルク出力限界値Tm2limの双方が求められる。
続いて、このブレーキ・モータ統合ECU41は、主記憶装置等に左側前輪10FLの最小全制動トルクTaminに関する最新の情報の有無(換言すれば、先のステップST35にて最小全制動トルクTaminの情報が置き換えられたか否か)を判断する(ステップST45)。
そして、このブレーキ・モータ統合ECU41は、最新の最小全制動トルクTaminが存在していれば、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dにより、上記ステップST25,ST35で夫々に求めた左側前輪10FLの最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminを前述した式2に代入し、左側前輪10FLの暫定要求油圧制動トルクToproを算出する(ステップST50)。
しかる後、このブレーキ・モータ統合ECU41の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、そのステップST50で求めた左側前輪10FLの暫定要求油圧制動トルクToproと上記ステップST15で求めた左側前輪10FLの要求全制動トルクTareqを前述した式3に代入し、左側前輪10FLにおけるモータ31FLの暫定要求モータトルクTmproを算出する(ステップST60)。
続いて、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、そのステップST60で求めた暫定要求モータトルクTmproが上記ステップST40で求めたモータ回生トルク出力限界値Tm1lim以上であるか否か判定する(ステップST65)。
ここで、このステップST65にて否定判定が為された場合、次に、要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、その暫定要求モータトルクTmproが上記ステップST40で求めたモータ力行トルク出力限界値Tm2lim以下であるか否か判定する(ステップST70)。
そして、このステップST70にて否定判定が為された場合、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、上記左側前輪10FLの暫定要求油圧制動トルクToproを左側前輪10FLの要求油圧制動トルクToreqとして設定すると共に、上記左側前輪10FLの暫定要求モータトルクTmproを左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqとして設定する(ステップST75,ST80)。これにより、図3に示す如く、左側前輪10FLの要求油圧制動トルクToreqが最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値に設定される。本実施例1にあっては、未だ要求油圧制動トルクToreqの情報が無ければその新たな要求油圧制動トルクToreqを主記憶装置等に記憶させ、既に要求油圧制動トルクToreqの情報が存在していれば、その新たな要求油圧制動トルクToreqへと置き換える。
しかる後、このブレーキ・モータ統合ECU41は、油圧制動トルク制御手段24とモータ制御手段32に対して、上記ステップST75で設定した要求油圧制動トルクToreqと上記ステップST65で設定した要求モータトルクTmreqとを左側前輪10FLに発生させるよう指示する(ステップST85)。
これにより、その油圧制動トルク制御手段24は、ブレーキアクチュエータ23に対して左側前輪10FLにおける油圧制動手段21FLの油圧を調節させ、この油圧制動手段21FLからの油圧制動トルクToが要求油圧制動トルクToreqとなるように制御する。また、そのモータ制御手段32は、左側前輪10FLにおけるモータ31FLからのモータトルクTmが要求モータトルクTmreqとなるように制御する。しかる後、このブレーキ・モータ統合ECU41は、ステップST10に戻る。
ところで、上記ステップST65にて肯定判定が為された場合(即ち、暫定要求モータトルクTmproがモータ回生トルク出力限界値Tm1lim以上になってしまった場合)、又は上記ステップST70にて肯定判定が為された場合(即ち、暫定要求モータトルクTmproがモータ力行トルク出力限界値Tm2lim以下になってしまった場合)には、モータトルクTmを増減制御させるのみで要求全制動トルクTareqに対応しきれない。例えば、車輌が走行している路面の摩擦係数(路面μ)が変化すると、図3に示す如く、モータトルクTmがモータトルク出力限界値Tmlimに達してしまい、そのモータトルクTmを増減させるのみでは路面の摩擦係数の変化に伴い急変する要求全制動トルクTareqを発生させることができなくなってしまう。
そこで、かかる場合には、要求全制動トルクTareqの不足分又は余剰分について油圧制動トルクToを変化させることで対応させる。
先ず、上記ステップST65にて肯定判定が為された場合には、ブレーキ・モータ統合ECU41の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、モータ回生トルク出力限界値Tm1limを左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqとして設定する(ステップST90)。
また、上記ステップST70にて肯定判定が為された場合には、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、モータ力行トルク出力限界値Tm2limを左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqとして設定する(ステップST95)。
そして、この要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、そのステップST90又はステップST95で設定した左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqと上記ステップST15で求めた左側前輪10FLの要求全制動トルクTareqを上述した式4に代入して要求油圧制動トルクToreqの算出を行う(ステップST100)。
本実施例1にあっては、未だ要求油圧制動トルクToreqの情報が無ければその新たな要求油圧制動トルクToreqを主記憶装置等に記憶させ、既に要求油圧制動トルクToreqの情報が存在していれば、その新たな要求油圧制動トルクToreqへと置き換える。
しかる後、このブレーキ・モータ統合ECU41は、上記ステップST85にて、油圧制動トルク制御手段24とモータ制御手段32に対して指示を行い、その要求油圧制動トルクToreqと要求モータトルクTmreqを左側前輪10FLにおける油圧制動手段21FLとモータ31FLから発生させる。
また、次にロック解除傾向が検出されるまで(即ち、新たな最小全制動トルクTaminが算出されるまで)は、上記ステップST45にて否定判定が為される。これが為、それまでの間においては、ブレーキ・モータ統合ECU41の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、既に設定されている左側前輪10FLの要求油圧制動トルク既算値Toreqを左側前輪10FLの暫定要求油圧制動トルクToproとして設定し(ステップST55)、この暫定要求油圧制動トルクToproを用いて上記ステップST60以降の演算処理を行う。
このように、本実施例1の制動力制御装置は、上述した演算処理と判定処理をABS制御実行中に繰り返し、図3に示す如く、新たな最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminに基づき算出された暫定要求モータトルクTmproがモータ回生トルク出力限界値Tm1limとモータ力行トルク出力限界値Tm2limとの間にある限り、この新たな最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminとの中間値に要求油圧制動トルクToreqを設定する。そして、暫定要求モータトルクTmproがモータ回生トルク出力限界値Tm1limとモータ力行トルク出力限界値Tm2limとの間にある限り、その新たな最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminが求められるまでは先の要求油圧制動トルクToreqを保持する。これにより、この制動力制御装置は、左側前輪10FLの油圧制動トルクToを一定に保ちつつモータトルクTmを増減させて、左側前輪10FLに要求全制動トルクTareqを発生させる。その要求油圧制動トルクToreqは、新たな最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminが求められる度に更新される。
一方、この制動力制御装置は、モータトルクTmがモータトルク出力限界値Tmlimを超える虞のあるときには、そのモータトルクTmをモータトルク出力限界値Tmlimに保ちつつ油圧制動トルクToを増減させて、左側前輪10FLの要求全制動トルクTareqを発生させる。
以上示した如く、本実施例1の制動力制御装置によれば、車輪10FL,10FR,10RL,10RRの油圧制動トルクToを一定の値(最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値)に保った状態で夫々のモータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータトルクTmを増減させているので、そのモータトルクTmを回生側と力行側の双方にて同一の制御幅で増減させることができる。これが為、路面の摩擦係数が高低の何れに変化しても、モータトルク出力限界値Tmlimまではその双方に対して均等にモータトルクTmを増減制御することによって対応することができ、応答性に優れた精度の良いABS制御を行うことができる。即ち、この制動力制御装置においては、モータトルクTmの制御幅(回生側及び力行側への余裕代)を拡大することができ、これにより、路面の摩擦係数の変化に応じた要求全制動トルクTareqの変動に対してのモータトルクTmの制御範囲を拡大することができる。
また、そのような最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値に要求油圧制動トルクToreqを設定するので、モータトルクTmの制御幅を最大にすることができ、路面の摩擦係数の変化に応じた要求全制動トルクTareqの変動に対してのモータトルクTmの制御範囲を更に拡大することができる。
また、上述した図4に示す如く出力し得るモータトルクTmはモータ回転数の上昇に伴って小さくなっていくが、本実施例1は回生側と力行側のモータトルクTmの制御幅を均等にしているので、より高回転(換言すれば、より高い車速)まで回生側と力行側の双方に対して均等に対応することができる。
更に、最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminが算出される度に要求油圧制動トルクToreqの設定値を更新するので、路面の摩擦係数の変化に応じてモータトルクTmの制御幅(回生側及び力行側への余裕代)を最適なものへと調節することができる。
次に、本発明に係る制動力制御装置の実施例2について説明する。
本実施例2の制動力制御装置は、前述した実施例1の制動力制御装置においてブレーキ・モータ統合ECU41の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dを一部変更したものであり、実施例1と同様の車輌に適用する場合を例示する。
ここで、近年の車輌においては、バッテリ33の電力の用途は多岐に渡っており、その消費電力は増加の一途を辿っている。このことは本実施例2の車輌においても例外ではなく、そのバッテリ33の蓄電量が少ないときは、各モータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータ回生トルクを増加させ、バッテリ33への充電量を増やすことが好ましい。
一方、そのバッテリ33の蓄電量が多く、それ以上充電できないときには、各モータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータ力行トルクを増加させ、無駄なバッテリ33への電力供給を抑制することが好ましい。
そこで、本実施例2にあっては、バッテリ33の蓄電量に基づいて、油圧制動トルクToを増減させ、バッテリ33の蓄電量を常に最適な状態に保たせるよう要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dを構成する。
具体的に、本実施例2の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dには、バッテリ33の蓄電量に応じて暫定要求油圧制動トルクToproの補正値(以下、「バッテリ補正値」という。)Tobatの算出を行うバッテリ補正値演算機能を設ける。そして、この要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、下記の式5を用いて、最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値からバッテリ補正値Tobatに応じて暫定要求油圧制動トルクToproを補正するよう構成する。
Topro={(Tamax+Tamin)/2}+Tobat … (5)
ここで、このバッテリ補正値Tobatは、バッテリ容量や車輌側の消費電力量等に応じて適宜設定する。
例えば、バッテリ33の蓄電量が車輌において必要とされる基準値又は基準の範囲内にあれば、バッテリ補正値Tobatを「0」に設定して、実際上は補正がされないようにする。
また、このバッテリ補正値Tobatは、その基準値又は基準の範囲内に対してバッテリ33の蓄電量が少なく、充電を要するときであれば、モータ回生トルクが多くなるよう暫定要求油圧制動トルクToproを減少させる負の値に設定する。
一方、このバッテリ補正値Tobatは、その基準値又は基準の範囲内に対してバッテリ33の蓄電量が多く、それ以上充電できないときには、モータ力行トルクが多くなるよう暫定要求油圧制動トルクToproを増加させる正の値に設定する。
上述したが如く構成した本実施例2における制動力制御装置においては、次の様に制御が行われる。尚、本実施例2においては、暫定要求油圧制動トルクToproの演算処理に係る部分以外は前述した実施例1と同じであるので、その相違点のみについて説明し、他は省略する。
本実施例2のブレーキ・モータ統合ECU41は、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dが暫定要求油圧制動トルクToproを求める前に、バッテリ33の蓄電量に応じてバッテリ補正値Tobatを求める。
そして、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、そのバッテリ補正値Tobatと先に求めた最大全制動トルクTamax及び最小全制動トルクTaminを上記式5に代入して暫定要求油圧制動トルクToproを求める。
例えば、バッテリ33の蓄電量が基準値又は基準の範囲内よりも多く、それ以上充電できないときには、本実施例2の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、図5のタイムチャートに示す如く、左側前輪10FLの要求油圧制動トルクToreqが最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値に対してバッテリ補正値Tobat分だけ増加するよう暫定要求油圧制動トルクToproを求める。これにより、そのモータ31FLにおいてはモータ力行トルクが多くなり、無駄なバッテリ33への電力供給が抑制されて当該バッテリ33の蓄電量を最適な状態に保つことができる。
一方、バッテリ33の蓄電量が基準値又は基準の範囲内に対してバッテリ33の蓄電量が少なく、充電を要するときには、本実施例2の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、図5のタイムチャートに示す如く、左側前輪10FLの要求油圧制動トルクToreqが最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値に対してバッテリ補正値Tobat分だけ減少するよう暫定要求油圧制動トルクToproを求める。これにより、そのモータ31FLにおいてはモータ回生トルクが多くなり、バッテリ33への充電量が増加して当該バッテリ33の蓄電量を最適な状態に保つことができる。
また、バッテリ33の蓄電量が基準値又は基準の範囲内にある最適なものである場合には、本実施例2の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、図5のタイムチャートに示す如く、バッテリ補正値Tobatを「0」にして、左側前輪10FLの要求油圧制動トルクToreqが最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値になるよう暫定要求油圧制動トルクToproを求める。
以上示した如く、本実施例2の制動力制御装置によれば、前述した実施例1と同様の効果に加えて、バッテリ33の蓄電量を常に最適な状態に保つことができる。
次に、本発明に係る制動力制御装置の実施例3を図6及び図7に基づいて説明する。
本実施例3の制動力制御装置は、前述した実施例1の制動力制御装置においてブレーキ・モータ統合ECU41の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dを一部変更したものであり、実施例1と同様の車輌に適用する場合を例示する。
ここで、前述した実施例1においては、最新の最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminが算出される度に前述した式3に基づいて要求油圧制動トルクToreqの更新を行っている。しかしながら、油圧制動トルクToの増減制御は、モータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータトルクTmを増減制御する場合に比べて、そのトルク値の出力精度や応答性に劣るので、要求油圧制動トルクToreqの更新を頻繁に実行することは好ましくない。
そこで、本実施例3にあっては、可能な限り要求油圧制動トルクToreqの更新処理を行わずに済む制御性の良好な制動力制御装置を構成する。
具体的に、本実施例3にあっては、その要求油圧制動トルクToreqの更新処理の要否を判断する閾値(以下、「要求油圧制動トルク更新判断閾値」という。)を設定し、これと暫定要求モータトルクTmproとを比較させるよう要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dを構成する。
ここで、本実施例3の要求油圧制動トルク更新判断閾値としては、各モータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータトルク出力限界値Tmlim(モータ回生トルク出力限界値Tm1lim、モータ力行トルク出力限界値Tm2lim)に対して夫々に所定の余裕代(モータ余裕トルク)を持たせたモータトルクTmの値を用いる。この要求油圧制動トルク更新判断閾値Tmbは、モータトルク出力限界値Tmlimに対する所定の割合により求められた値として定めてもよく、モータトルク出力限界値Tmlimから所定の余裕代を減算した値として定めてもよい。
例えば、図7に示す如く、モータ回生トルク出力限界値Tm1limから力行側へと所定の余裕代を持たせた値を回生側の要求油圧制動トルク更新判断閾値(以下、「回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値」という。)Tm1bとして設定し、モータ力行トルク出力限界値Tm2limから回生側へと所定の余裕代を持たせた値を力行側の要求油圧制動トルク更新判断閾値(以下、「力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値」という。)Tm2bとして設定する。ここでは、その回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1bを正の値とし、力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2bを負の値とし、夫々の絶対値が同一となるようにしている。
本実施例3にあっては、暫定要求モータトルクTmproが回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1bと力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2bとの間にある限り、要求油圧制動トルクToreqを更新させずに一定に保ち続けさせる。
一方、暫定要求モータトルクTmproが回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1b以上になった場合、又は力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2b以下になった場合には、要求油圧制動トルクToreqを更新させる。これが為、そのような状況になった場合には、その後、新たな最小全制動トルクTaminが算出された際に、主記憶装置等に記憶されている要求油圧制動トルク既算値Toreqを削除するよう要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dを構成する。ここでいう要求油圧制動トルク既算値Toreqとは、前述した式2に基づき算出されて設定された要求油圧制動トルクToreqのことをいい、後述するが如く要求油圧制動トルクToreqとして設定されるモータトルク出力限界値Tmlim等は含まない。
以下に、上述したが如く構成した本実施例3の制動力制御装置の動作について図6のフローチャート及び図7のタイムチャートに基づき説明する。この図6のフローチャートと図7のタイムチャートは、各車輪10FL,10FR,10RL,10RRの内の何れか1輪に対しての制御動作を示したものであり、これと同様の制御動作が全ての車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対して別個独立に実行される。例えば、ここでは、左側前輪10FLについて代表して例示する。
尚、その図6に示すステップST10〜ST60までの演算処理及び判定処理は、前述した実施例1のステップST10〜ST60と同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。また、ABS制御開始直後からロック解除傾向が検出されるまでの間においては、前述した実施例1と同様に周知のABS制御が実行される。
ここで、本実施例3におけるブレーキ・モータ統合ECU41の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、暫定要求モータトルクTmproが回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1b以上になった場合、又は力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2b以下になった場合、その後、新たな最小全制動トルクTaminが算出された際に主記憶装置等に記憶されている要求油圧制動トルク既算値Toreqを削除している。
先ず、本実施例3のブレーキ・モータ統合ECU41は、ステップST60にて左側前輪10FLの暫定要求モータトルクTmproが求められた後、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dにより、その左側前輪10FLのモータ31FLについての要求油圧制動トルク更新判断閾値Tmbを算出する(ステップST110)。ここでは、その要求油圧制動トルク更新判断閾値Tmbとして回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1bと力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2bとが求められる。
そして、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、ステップST60で求めた暫定要求モータトルクTmproが上記ステップST110で求めた回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1b以上であるか否か判定する(ステップST115)。
このステップST115にて否定判定が為された場合、次に、要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、その暫定要求モータトルクTmproが上記ステップST110で求めた力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2b以下であるか否か判定する(ステップST120)。
そして、このステップST120にて否定判定が為された場合、この要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、主記憶装置等に左側前輪10FLの要求油圧制動トルク既算値Toreqが記憶されているか否か判定する(ステップST125)。
ここで、その要求油圧制動トルク既算値Toreqが存在していれば、この要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、その要求油圧制動トルク既算値Toreqを左側前輪10FLの要求油圧制動トルクToreqとして設定し(ステップST130)、この要求油圧制動トルクToreqとステップST15で求めた左側前輪10FLの要求全制動トルクTareqを下記の式6に代入して要求モータトルクTmreqを算出する(ステップST135)。これにより、図7に示す如く、新たな最小全制動トルクTaminが求められたとしても、要求油圧制動トルクToreqが前回から更新されない。
Tmreq=Tareq−Toreq … (6)
しかる後、このブレーキ・モータ統合ECU41は、実施例1のステップST85と同様に、油圧制動トルク制御手段24とモータ制御手段32に対して指示し、その要求油圧制動トルクToreqと要求モータトルクTmreqを夫々に発生させる(ステップST140)。
一方、暫定要求モータトルクTmproが回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1b以上になった場合、又は力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2b以下になった場合には、前述したが如くステップST35で新たな最小全制動トルクTaminが算出された際に、主記憶装置等に記憶されている要求油圧制動トルク既算値Toreqが削除される。かかる場合には上記ステップST125にて否定判定が為され、このブレーキ・モータ統合ECU41の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、実施例1のステップST75,ST80と同様に、上記左側前輪10FLの暫定要求油圧制動トルクToproを左側前輪10FLの要求油圧制動トルクToreqとして設定すると共に、上記左側前輪10FLの暫定要求モータトルクTmproを左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqとして設定する(ステップST145,ST150)。これにより、図7に示す如く、左側前輪10FLの要求油圧制動トルクToreqが新たな最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値に設定されて更新される。
しかる後、このブレーキ・モータ統合ECU41は、上記ステップST140にて、油圧制動トルク制御手段24とモータ制御手段32に対して指示し、その要求油圧制動トルクToreqと要求モータトルクTmreqを夫々に発生させる。
ところで、上記ステップST115にて肯定判定が為された場合、要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、暫定要求モータトルクTmproがモータ回生トルク出力限界値Tm1lim以上であるか否か判定する(ステップST155)。また、上記ステップST120にて肯定判定が為された場合、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、その暫定要求モータトルクTmproがモータ力行トルク出力限界値Tm2lim以下であるか否か判定する(ステップST160)。
そして、このステップST155又はステップST160にて否定判定が為された場合には、上記ステップST125に進み、要求油圧制動トルク既算値Toreqの有無に応じて要求油圧制動トルクToreqを設定する。これにより、かかる場合には、モータトルクTmがモータ回生トルク出力限界値Tm1lim又はモータ力行トルク出力限界値Tm2limに達するまで、回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1b又は力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2bを超えて要求モータトルクTmreqが設定される。そして、かかる場合には、次に最小全制動トルクTaminが算出された際に、新たな最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値に要求油圧制動トルクToreqが更新される。
一方、上記ステップST155にて肯定判定が為された場合、要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、実施例1のステップST90と同様にモータ回生トルク出力限界値Tm1limを左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqとして設定する(ステップST165)。また、上記ステップST160にて肯定判定が為された場合、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、実施例1のステップST95と同様にモータ力行トルク出力限界値Tm2limを左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqとして設定する(ステップST170)。
そして、この要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、実施例1のステップST100と同様に、そのステップST165又はステップST170で設定した左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqとステップST15で求めた左側前輪10FLの要求全制動トルクTareqを上述した式4に代入して要求油圧制動トルクToreqを算出する(ステップST175)。
しかる後、このブレーキ・モータ統合ECU41は、上記ステップST140にて、油圧制動トルク制御手段24とモータ制御手段32に対して指示を行い、その要求油圧制動トルクToreqと要求モータトルクTmreqを左側前輪10FLにおける油圧制動手段21FLとモータ31FLから発生させる。
このブレーキ・モータ統合ECU41は、上述した演算処理と判定処理をABS制御実行中に繰り返し、図7に示す如く、暫定要求モータトルクTmproが回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1bと力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2bとの間にある限り、新たな最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminが求められたとしても要求油圧制動トルクToreqを更新させない。
以上示した如く、本実施例3の制動力制御装置によれば、要求油圧制動トルクToreqの値が頻繁に更新されることはない。これが為、各車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対して要求全制動トルクTareqに応じた全制動トルクTaを発生させる際には、その多くの場面において出力精度や応答性に優れるモータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータトルクTmの増減制御により対応させることができる。これにより、本実施例3の制動力制御装置は、前述した実施例1と同様の効果に加えて、各車輪10FL,10FR,10RL,10RRの全制動トルクTaを要求全制動トルクTareqに応じて精度良く発生させることができ、更に、その発生時の応答性も向上させることができる。
尚、本実施例3にあっては回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1b及び力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2bを用いて要求油圧制動トルクToreqの更新要否を判断させたが、この要求油圧制動トルクToreqの更新要否は、例えば、その回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1b及び力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2bに関連するモータ余裕トルクTmmarを用いて判断してもよい。
かかる場合、回生側のモータ余裕トルクTm1marは、モータ回生トルク出力限界値Tm1limから回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm1bを減算した値と同値である(Tm1mar=Tm1lim−Tm1b)。これが為、かかる場合のステップST115の判定処理においては、その変形式(Tm1b=Tm1lim−Tm1mar)を代入したもの(Tmpro≧Tm1lim−Tm1mar)により更新要否の判断が為される。
一方、力行側のモータ余裕トルクTm2marは、モータ力行トルク出力限界値Tm2limから力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値Tm2bを減算した値と同値である(Tm2mar=Tm2lim−Tm2b)。これが為、かかる場合のステップST120の判定処理においては、その変形式(Tm2b=Tm2lim−Tm2mar)を代入したもの(Tmpro≦Tm2lim−Tm2mar)により更新要否の判断が為される。
更に、本実施例3にあっても、前述した実施例2のバッテリ補正値Tobatを求め、バッテリ33の蓄電量に応じた暫定要求油圧制動トルクToproの補正を行うよう構成してもよい。例えば、かかる補正を本実施例3に適用する際には、その実施例2と同様に本実施例3のステップST50の演算式を上述した式5に置き換える。また、本実施例3のステップST55で設定した暫定要求油圧制動トルクToproに対してバッテリ補正値Tobatを加算してもよい。これにより、上述した本実施例3の有用な効果に加えて、バッテリ33の蓄電量を常に最適な状態に保つことも可能になる。
次に、本発明に係る制動力制御装置の実施例4を図8及び図9に基づいて説明する。
本実施例4の制動力制御装置は、前述した実施例1の制動力制御装置においてブレーキ・モータ統合ECU41の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dを実施例3と同様の効果を奏するよう一部変更したものであり、実施例1と同様の車輌に適用する場合を例示する。
即ち、本実施例4にあっても、実施例3の制動力制御装置と同様に、可能な限り要求油圧制動トルクToreqの更新処理を行わずに済む制御性の良好な制動力制御装置を構成する。
具体的に、本実施例4の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、先ず、実施例3にて示したモータトルク出力限界値Tmlimまでの所定のモータ余裕トルクTmmarを用いて要求油圧制動トルクToreqの更新処理の要否を判断させる。
例えば、本実施例4のモータ余裕トルクTmmarとしては、ABS制御中におけるモータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータトルクTmの最大値(以下、「最大モータトルク」という。)Tmmaxを求め、この最大モータトルクTmmaxを下記の式7の如くモータトルク出力限界値Tmlimから減算した値を用いる。
Tmmar=Tmlim−Tmmax … (7)
ここで、そのモータトルク出力限界値Tmlimと最大モータトルクTmmaxは夫々に回生側と力行側の値を有しており、これが為、具体的には下記の式8,9を用いて別個に回生側と力行側のモータ余裕トルクTmmarを求める。その式8に示す「Tm1mar」は回生側モータ余裕トルクを表し、「Tm1max」は回生側の最大モータトルク(以下、「最大モータ回生トルク」という。)を表している。また、その式9に示す「Tm2mar」は力行側モータ余裕トルクを表し、「Tm2max」は力行側の最大モータトルク(以下、「最大モータ力行トルク」という。)を表している。ここでは、その最大モータ回生トルクTm1maxを正の値とし、最大モータ力行トルクTm2maxを負の値としている。
Tm1mar=Tm1lim−Tm1max … (8)
Tm2mar=Tm2lim−Tm2max … (9)
本実施例4にあっては、要求全制動トルクTareqが最大全制動トルクTamaxに回生側モータ余裕トルクTm1marを加算した値(Tamax+Tm1mar)と最小全制動トルクTaminに力行側モータ余裕トルクTm2marを加算した値(Tamin+Tm2mar)との間にある場合に、要求油圧制動トルクToreqを更新させずに一定に保ち続けさせるよう要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dを構成する。
一方、この要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、要求全制動トルクTareqがその「Tamax+Tm1mar」以上になった場合、又は要求全制動トルクTareqがその「Tamin+Tm2mar」以下になった場合、要求油圧制動トルクToreqを更新させるよう構成する。ここでは、そのような状況になった後、新たな最小全制動トルクTaminが算出された際に、主記憶装置等に記憶されている要求油圧制動トルク既算値Toreqを削除するよう要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dを構成する。ここでいう要求油圧制動トルク既算値Toreqとは、実施例3と同様に、前述した式2に基づき算出されて設定された要求油圧制動トルクToreqのことをいい、後述するが如く要求油圧制動トルクToreqとして設定されるモータトルク出力限界値Tmlim等は含まない。
以下に、本実施例4の制動力制御装置の動作について図8のフローチャート及び図9のタイムチャートに基づき説明する。この図8のフローチャートと図9のタイムチャートは、各車輪10FL,10FR,10RL,10RRの内の何れか1輪に対しての制御動作を示したものであり、これと同様の制御動作が全ての車輪10FL,10FR,10RL,10RRに対して別個独立に実行される。例えば、ここでは、左側前輪10FLについて代表して例示する。
尚、その図8に示すステップST10〜ST60までの演算処理及び判定処理は、前述した実施例3のステップST10〜ST60と同じであるので、ここでの詳細な説明は省略する。また、ABS制御開始直後からロック解除傾向が検出されるまでの間においては、前述した実施例1と同様に周知のABS制御が実行される。
ここで、本実施例4におけるブレーキ・モータ統合ECU41の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、要求全制動トルクTareqが「Tamax+Tm1mar」以上になった場合、又は要求全制動トルクTareqがその「Tamin+Tm2mar」以下になった場合、その後(換言すれば、モータトルクTmがモータトルク出力限界値Tmlimに達した後)、新たな最小全制動トルクTaminが算出された際に主記憶装置等に記憶されている要求油圧制動トルク既算値Toreqを削除している。
先ず、本実施例4のブレーキ・モータ統合ECU41は、ステップST60にて左側前輪10FLの暫定要求モータトルクTmproが求められた後、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dにより、上述した式8,9を用いて回生側モータ余裕トルクTm1mar及び力行側モータ余裕トルクTm2marを算出する(ステップST210)。
このステップST210においては、ステップST25,ST35にて最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminとが求められた各々の時点における左側前輪10FLの暫定要求モータトルクTmproを夫々最大モータ回生トルクTm1max,最大モータ力行トルクTm2maxとし、これらを上記式8,9に代入している。
続いて、その要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、ステップST15で求めた要求全制動トルクTareqがステップST25で求めた最大全制動トルクTamaxに上記の回生側モータ余裕トルクTm1marを加算した値以上で有るか否か(Tareq≧Tamax+Tm1mar)を判定する(ステップST215)。
ここで、否定判定が為されたときは、次に、その要求全制動トルクTareqがステップST35で求めた最小全制動トルクTaminに上記の力行側モータ余裕トルクTm2marを加算した値以下で有るか否か(Tareq≦Tamin+Tm2mar)を判定する(ステップST220)。
そして、このステップST220にて否定判定が為された場合、この要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、主記憶装置等に左側前輪10FLの要求油圧制動トルク既算値Toreqが記憶されているか否か判定する(ステップST225)。
ここで、その要求油圧制動トルク既算値Toreqが存在していれば、この要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、前述した実施例3のステップST130,ST135と同様に、その要求油圧制動トルク既算値Toreqを左側前輪10FLの要求油圧制動トルクToreqとして設定し(ステップST230)し、これに基づいて上記式6から要求モータトルクTmreqを算出する(ステップS235)。これにより、図9に示す如く、新たな最小全制動トルクTaminが求められたとしても、要求油圧制動トルクToreqが前回から更新されない。
しかる後、このブレーキ・モータ統合ECU41は、実施例3のステップST140と同様に、油圧制動トルク制御手段24とモータ制御手段32に対して指示し、その要求油圧制動トルクToreqと要求モータトルクTmreqを夫々に発生させる(ステップST240)。
一方、要求全制動トルクTareqが「Tamax+Tm1mar」以上になった場合、又は要求全制動トルクTareqがその「Tamin+Tm2mar」以下になった場合には、新たな最小全制動トルクTaminが算出された際に、主記憶装置等に記憶されている要求油圧制動トルク既算値Toreqが削除される。かかる場合には上記ステップST225にて否定判定が為され、このブレーキ・モータ統合ECU41の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、実施例3のステップST145,ST150と同様に、上記左側前輪10FLの暫定要求油圧制動トルクToproを左側前輪10FLの要求油圧制動トルクToreqとして設定すると共に、上記左側前輪10FLの暫定要求モータトルクTmproを左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqとして設定する(ステップST245,ST250)。これにより、図9に示す如く、左側前輪10FLの要求油圧制動トルクToreqが新たな最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値に設定されて更新される。
しかる後、このブレーキ・モータ統合ECU41は、上記ステップST240にて、油圧制動トルク制御手段24とモータ制御手段32に対して指示し、その要求油圧制動トルクToreqと要求モータトルクTmreqを夫々に発生させる。
ところで、本実施例4の要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、実施例3のステップST155,ST160と同様に、上記ステップST215にて肯定判定が為された場合には暫定要求モータトルクTmproがモータ回生トルク出力限界値Tm1lim以上であるか否かを判定し(ステップST255)、上記ステップST220にて肯定判定が為された場合には暫定要求モータトルクTmproがモータ力行トルク出力限界値Tm2lim以下であるか否かを判定する(ステップST260)。
そして、このステップST255又はステップST260にて否定判定が為された場合には、上記ステップST225に進み、要求油圧制動トルク既算値Toreqの有無に応じて要求油圧制動トルクToreqを設定する。これにより、かかる場合には、モータトルクTmがモータ回生トルク出力限界値Tm1lim又はモータ力行トルク出力限界値Tm2limに達するまでの大きさの要求モータトルクTmreqが設定される。そして、かかる場合には、次に最小全制動トルクTaminが算出された際に、新たな最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminの中間値に要求油圧制動トルクToreqが更新される。
一方、この要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、実施例3のステップST165,ST170と同様に、上記ステップST255にて肯定判定が為された場合にはモータ回生トルク出力限界値Tm1limを左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqとして設定し(ステップST265)、上記ステップST160にて肯定判定が為された場合にはモータ力行トルク出力限界値Tm2limを左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqとして設定する(ステップST270)。
そして、この要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段41dは、実施例3のステップST175と同様に、そのステップST265又はステップST270で設定した左側前輪10FLの要求モータトルクTmreqとステップST15で求めた左側前輪10FLの要求全制動トルクTareqを上述した式4に代入して要求油圧制動トルクToreqを算出する(ステップST275)。
しかる後、このブレーキ・モータ統合ECU41は、上記ステップST240にて、油圧制動トルク制御手段24とモータ制御手段32に対して指示を行い、その要求油圧制動トルクToreqと要求モータトルクTmreqを左側前輪10FLにおける油圧制動手段21FLとモータ31FLから発生させる。
このブレーキ・モータ統合ECU41は、上述した演算処理と判定処理をABS制御実行中に繰り返し、図9に示す如く、要求全制動トルクTareqが「Tamax+Tm1mar」と「Tamin+Tm2mar」との間にある限り、新たな最大全制動トルクTamaxと最小全制動トルクTaminが求められたとしても要求油圧制動トルクToreqを更新させない。
このように、本実施例4の制動力制御装置においても、実施例3と同様に要求油圧制動トルクToreqの値が頻繁に更新されることはない。これが為、本実施例4の制動力制御装置は、実施例3と同様に、モータ31FL,31FR,31RL,31RRのモータトルクTmの増減制御によって要求全制動トルクTareqの変化に対応させることができ、全制動トルクTaを精度良く且つ応答性良く発生させることができる。
尚、本実施例4にあっても、前述した実施例2のバッテリ補正値Tobatを求め、バッテリ33の蓄電量に応じた暫定要求油圧制動トルクToproの補正を行うよう構成してもよい。例えば、かかる補正を本実施例4に適用する際には、その実施例2と同様に本実施例4のステップST50の演算式を上述した式5に置き換える。また、本実施例4のステップST55で設定した暫定要求油圧制動トルクToproに対してバッテリ補正値Tobatを加算してもよい。これにより、上述した本実施例4の有用な効果に加えて、バッテリ33の蓄電量を常に最適な状態に保つことも可能になる。
ここで、上述した各実施例1〜4においては夫々の車輪10FL,10FR,10RL,10RRに各々モータ31FL,31FR,31RL,31RRを備えた車輌に対する制動力制御装置を例示したが、その各実施例1〜4における制動力制御装置は、必ずしもかかる態様の車輌のみに限定して適用し得るものではない。例えば、左右夫々の前輪にモータが配備された車輌や左右夫々の後輪にモータが配備された車輌等に対して適用してもよい。
以上のように、本発明に係る制動力制御装置は、機械制動力と回生制動力を発生させる制動力発生装置の制御技術として有用であり、特に、モータトルクの制御幅を拡大して制御性を向上させ得る技術に適している。
本発明に係る制動力制御装置の構成を示すブロック図である。 実施例1における制動力制御装置の動作を説明するフローチャートである。 実施例1における制動力制御装置が適用された車輌のある一輪の全制動トルクTaと油圧制動トルクToとモータトルクTmとの関係を示すタイムチャートである。 モータの出力限界をモータ回転数(車輪速度)との関係から見た図である。 実施例2における制動力制御装置が適用された車輌のある一輪の全制動トルクTaと油圧制動トルクToとモータトルクTmとの関係を示すタイムチャートである。 実施例3における制動力制御装置の動作を説明するフローチャートである。 実施例3における制動力制御装置が適用された車輌のある一輪の全制動トルクTaと油圧制動トルクToとモータトルクTmとの関係を示すタイムチャートである。 実施例4における制動力制御装置の動作を説明するフローチャートである。 実施例4における制動力制御装置が適用された車輌のある一輪の全制動トルクTaと油圧制動トルクToとモータトルクTmとの関係を示すタイムチャートである。
符号の説明
10FL,10FR,10RL,10RR 車輪
21FL,21FR,21RL,21RR 油圧制動手段
22FL,22FR,22RL,22RR 油圧配管
23 ブレーキアクチュエータ
24 油圧制動トルク制御手段
31FL,31FR,31RL,31RR モータ
32 モータ制御手段
33 バッテリ
41 ブレーキ・モータ統合ECU
41a ロック傾向検出手段
41b ロック解除傾向検出手段
41c 要求全制動トルク算出手段
41d 要求油圧制動トルク・要求モータトルク設定手段(要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段)
41e 全制動トルク算出手段
Ta 全制動トルク
Tamax 最大全制動トルク
Tamin 最小全制動トルク
Tareq 要求全制動トルク
Tm モータトルク
Tm1b 回生側要求油圧制動トルク更新判断閾値
Tm2b 力行側要求油圧制動トルク更新判断閾値
Tm1lim モータ回生トルク出力限界値
Tm1mar 回生側モータ余裕トルク
Tm1max 最大モータ回生トルク
Tm2lim モータ力行トルク出力限界値
Tm2mar 力行側モータ余裕トルク
Tm2max 最大モータ力行トルク
Tmb 要求油圧制動トルク更新判断閾値
Tmlim モータトルク出力限界値
Tmmar モータ余裕トルク
Tmmax 最大モータトルク
Tmreq 要求モータトルク
To 油圧制動トルク
Tobat バッテリ補正値
Toreq 要求油圧制動トルク

Claims (7)

  1. 車輪に発生させる機械制動トルクを制御する機械制動トルク制御手段と、車輪に発生させるモータのモータトルクを制御するモータ制御手段と、車輪への要求全制動トルクに基づいて要求機械制動トルク及び要求モータトルクを設定する要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段とを備えた制動力制御装置において、
    車輪のロック傾向を検出するロック傾向検出手段と、車輪のロック解除傾向を検出するロック解除傾向検出手段と、車輪のロック傾向検出時及びロック解除傾向検出時における当該車輪の全制動トルクを算出する全制動トルク算出手段とを設け、
    前記要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段は、前記全制動トルク算出手段により算出されたロック傾向検出時及びロック解除傾向検出時における夫々の全制動トルクの間の値に前記要求機械制動トルクを設定するよう構成したことを特徴とする制動力制御装置。
  2. 前記要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段は、前記要求機械制動トルクを所定の時点で設定した値に固定するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の制動力制御装置。
  3. 前記要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段は、前記全制動トルク算出手段がロック傾向検出時及びロック解除傾向検出時における夫々の全制動トルクを算出する度に当該夫々の全制動トルクに基づいて前記要求機械制動トルクの算出を行い当該要求機械制動トルクの設定値を更新するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の制動力制御装置。
  4. 前記要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段は、実際に出力されるモータトルクと当該モータトルクの出力限界値との間の余裕代が所定値に満たなければ前記要求機械制動トルクの設定値の更新処理を実行し、該余裕代が所定値以上あれば前記要求機械制動トルクの設定値の更新処理を実行しないよう構成したことを特徴とする請求項3記載の制動力制御装置。
  5. 前記要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段は、バッテリの残存量に応じて前記要求機械制動トルクを設定するよう構成したことを特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の制動力制御装置。
  6. 前記要求機械制動トルク・要求モータトルク設定手段は、前記全制動トルク算出手段により算出されたロック傾向検出時及びロック解除傾向検出時における夫々の全制動トルクの中間値に前記要求機械制動トルクを設定するよう構成したことを特徴とする請求項1から5の内の何れか1つに記載の制動力制御装置。
  7. 前記ロック傾向検出手段及び前記ロック解除傾向検出手段は、車輪のスリップ率に基づいて夫々にロック傾向及びロック解除傾向を検出するよう構成したことを特徴とする請求項1から6の内の何れか1つに記載の制動力制御装置。
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