以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
図1には、本発明の実施の形態に係わる電子機器10が示されている。電子機器10は複数の電子回路12A、12B、12C、12Dを含んで構成されている。電子回路12A〜12Dのうち、電子回路12Aは他の電子回路12B〜12Dの動作制御等を行うマスタとして機能し、電子回路12B〜12Dは電子回路12Aの制御下で動作するスレーブとして機能する。
なお、電子機器10としては任意の機器を適用可能であるが、一例としてLAN等のネットワークを介して画像データを受信し、受信した画像データに基づきスクリーン処理等の画像処理を行うことで各色成分(例えばC(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(黒)、S(特別色)等)の露光用画像データを生成し、生成した露光用画像データに基づいて各色成分毎に設けられたROS(Raster Output Scanner)による画像露光を制御することで各色成分の静電潜像を形成し、形成した各色成分の静電潜像を各色成分の現像剤で現像して重ね合わせることでフルカラーのトナー像を形成し、形成したフルカラーのトナー像を記録用紙に転写して定着させる構成のフルカラープリンタを適用することができる。この場合、スレーブとして機能する電子回路12B〜12Dとしては、各色成分の露光用画像データの生成及びROSによる画像露光を制御する画像処理回路を、マスタとして機能する電子回路12Aとしては、各画像処理回路の動作を制御する制御回路(例えばCPU及びメモリ等の周辺デバイスを含んで構成された制御回路)を適用することができる。
本発明の実施の形態では、電子回路12Aと電子回路12B〜12Dの間の通信が光通信によって行われ、電子回路12Aと電子回路12B〜12Dの間には、これらの電子回路の間の光通信を実現する光通信システム14が設けられている。光通信システム14は、個々の電子回路12A〜12Dに接続された光通信インタフェース(I/F)部16A〜16Dを含んで構成されている。光通信I/F部16A〜16Dは接続されている電子回路12A〜12Dと同一の基板に各々搭載されている。光通信I/F部16A〜16Dは互いに略同一の構成とされており、複数個(例えば5個)のLD(レーザダイオード)が一列に配列されて成るLDアレイ18と、複数個(例えば5個)のPD(光検出器)が一列に配列されて成るPDアレイ20と、電子回路12、LDアレイ18及びPDアレイ20と各々接続された光通信制御部22が設けられている。なお、LDアレイ18としてはVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Lasers)等の面発光レーザを適用することができる。
個々の光通信I/F部16のLDアレイ18及びPDアレイ20は、各々光コネクタ24を着脱自在に構成されており、光通信I/F部16AのLDアレイ18に接続された光コネクタ24には第1光ファイバ26の一端が、PDアレイ20に装着された光コネクタ24には第1光ファイバ28の一端が取付けられており、光通信I/F部16BのLDアレイ18に接続された光コネクタ24には第2光ファイバ36の一端が、PDアレイ20に装着された光コネクタ24には第2光ファイバ30の一端が取付けられている。同様に、光通信I/F部16CのLDアレイ18に接続された光コネクタ24には第2光ファイバ38の一端が、PDアレイ20に接続された光コネクタ24には第2光ファイバ32の一端が取付けられており、光通信I/F部16DのLDアレイ18に接続された光コネクタ24には第2光ファイバ40の一端が、PDアレイ20に接続された光コネクタ24には第2光ファイバ34の一端が取付けられている。
第1光ファイバ26,28、第2光ファイバ30、32、34、36、38、40は、POF(Plastic Optical Fiber)と称する合成樹脂製の光ファイバ(コア材がアクリル、コア材を覆うクラッド材がフッ素樹脂で形成された光ファイバ)が、LDアレイ18におけるLDの数及びPDアレイ20におけるPDの数と同数(例えば5本)だけ束ねられて各々構成されている。図2にも示すように、第1光ファイバ26、第2光ファイバ30,32,34の他端には光コネクタ24が各々取付けられ、これらの光コネクタ24は光シートバス42Aに各々接続されている。また、詳細な図示は省略するが、第1光ファイバ28、第2光ファイバ36、38、40の他端にも光コネクタ24が各々取付けられ、これらの光コネクタ24は光シートバス42Bに各々接続されている。なお、光シートバス42A、42Bは本発明に係る分配型光信号伝送体に対応している。
光シートバス42A、42Bは、合成樹脂製のベース部材に、図3に示す導波路部材44が光ファイバの本数と同数(例えば5個)だけ埋設されて構成されている。導波路部材44は、光透過率が高く後述するクラッド層よりも屈折率の高い材料(例えばポリメチルメタクリレート等)から成り、全体としては細長い矩形状で、幅寸法が階段状に変化している階段状部46A、46Bが中間部の2箇所に各々形成された形状とされている。導波路部材44の両端部及び階段状部46A、46Bの計4箇所には、導波路部材44の長手方向及び上下方向(図3の上下方向)に対して45°の角度で傾斜された傾斜面44A〜44Dが各々形成されている。この傾斜面44A〜44Dは信号光入出射部として機能する。導波路部材44は、導波路部材44の上面のうち個々の傾斜面44A〜44Dに対応する部分がベース部材の上面から各々露出するように埋設されており、光コネクタ24は導波路部材44のうち上記の露出部分と対向するようにベース部材に接続される。また、導波路部材44は、ベース部材の上面から露出している部分以外の外面が、導波路部材44を構成する材料よりも屈折率の低い材料(例えばフッ素ポリマ等)から成るクラッド層で被覆されている。
光シートバス42Aにおいて、第1光ファイバ26が取付けられた光コネクタ24は、導波路部材44のうち幅寸法が最大の部分に形成された傾斜面44Aに対応する露出部分と対向するようにベース部材に接続され、第2光ファイバ30、32、34が取付けられた光コネクタ24は、傾斜面44B〜44Dに対応する露出部分と対向するようにベース部材に接続される。第1光ファイバ26は光コネクタ24を介して光通信I/F部16AのLDアレイ18と接続されているので、光通信I/F部16AのLDアレイ18が発光すると、LDアレイ18の個々のLDから射出された信号光(レーザ光)は第1光ファイバ26を伝送して導波路部材44に入射し、傾斜面44Aで反射されることで導波路部材44内に閉じこめられた状態で導波路部材44内を拡散・伝播する。そして、図3(A)にも示すように、傾斜面44B〜44Dで各々反射されることで導波路部材44から射出し、光コネクタ24を介して第2光ファイバ30、32、34を伝送し光通信I/F部16B〜16DのPDアレイ20で各々受光される。
また、光シートバス42Bにおいて、第1光ファイバ28が取付けられた光コネクタ24は傾斜面44Aに対応する露出部分と対向するようにベース部材に接続され、第2光ファイバ36、38、40が取付けられた光コネクタ24は、傾斜面44B〜44Dに対応する露出部分と対向するようにベース部材に接続される。第2光ファイバ36、38、40は光コネクタ24を介して光通信I/F部16B〜16DのLDアレイ18と接続されているので、光通信I/F部16B〜16Dの何れかのLDアレイ18が発光すると、該LDアレイ18の個々のLDから射出された信号光(レーザ光)は第2光ファイバ36、38、40を伝送して導波路部材44に入射し、傾斜面44B〜44Dで反射されることで導波路部材44内に閉じこめられた状態で導波路部材44内を拡散・伝播する。そして、図3(B)にも示すように、傾斜面44Aで反射されることで導波路部材44から射出し、光コネクタ24を介して第1光ファイバ28を伝送し、光通信I/F部16AのPDアレイ20で受光される。
このように、光通信I/F部16AのLDアレイ18は、第1光ファイバ26、光シートバス42A及び第2光ファイバ30、32、34を介して、光通信I/F部16B〜16DのPDアレイ20と光学的に各々結合されており、光通信I/F部16B〜16DのLDアレイ18は、第2光ファイバ36、38、40、光シートバス42B及び第1光ファイバ28を介して、光通信I/F部16AのPDアレイ20と光学的に各々結合されている。
次に図4を参照し、光通信I/F部16A〜16Dに各々設けられた光通信制御部22の構成を説明する。光通信制御部22は、電子回路12に接続され電子回路12との通信を司る電子回路I/F部50を備えている。電子回路I/F部50は、他の電子回路12へ送信すべき情報を電子回路12から受信すると共に、他の電子回路12から受信した情報を電子回路12へ送信する。電子回路I/F部50には送信制御部52が接続されており、電子回路12から電子回路I/F部50が受信した情報(他の電子回路12へ送信すべき送信情報)は送信制御部52へ出力される。送信制御部52はフラッシュメモリ等から成る不揮発性のNVMメモリ54を内蔵しており、このNVMメモリ54には最適発光強度テーブル(詳細は後述)が記憶される。
なお、本実施の形態において、光通信I/F部16AのNVMメモリ54には、スレーブとして機能する個々の電子回路12(12B〜12D)に接続された光通信I/F部16(16B〜16D)の数、及び、該光通信I/F部16(16B〜16D)に対して予め設定されたIDが予め記憶されており、光通信I/F部16B〜16DのNVMメモリ54には自身のID及び光通信I/F部16Aに対して予め設定されたIDが予め記憶されている。上記情報は、例えばスレーブとして機能する電子回路12の増設等の電子機器10の構成変更に伴い、スレーブとして機能する電子回路12に接続された光通信I/F部16の数の増減があった場合に、オペレータ等によって書き替えられる。
送信制御部52には8B/10Bエンコーダ56が接続されており、送信情報は送信制御部52から1バイトずつ8B/10Bエンコーダ56へ出力される。PDアレイ20の各PDは光を受光していない状態が継続するとレスポンスが低下するという特性を有している。本実施の形態に係る光通信システム14は送信情報を光信号によってシリアルで送信するが、通常のデータには全ビットが0又は1のデータ(全ビットのデータを送信している間LDが発光しないデータ)が含まれている可能性があるので、このようなデータをシリアルで送信している間に、受信側のPDが非活性の状態となってレスポンスが低下する恐れがある。このため、8B/10Bエンコーダ56は、送信制御部52から1バイト(8ビット)ずつ入力される送信情報を、全ビットに含まれる0のビット及び1のビットの割合が一定値以下にならないように予め設定された変換条件に従い、8ビットの送信情報を10ビットの送信情報へ変換する。なお、8B/10Bエンコーダ56は実際には複数設けられており、8ビットの送信情報から10ビットの送信情報への変換は個々の8B/10Bエンコーダ56で並列に行われる。
8B/10Bエンコーダ56はP/S(パラレル/シリアル)変換部60を介してLD駆動部62に接続されており、8B/10Bエンコーダ56で変換された10ビットの送信情報は、P/S変換部60に入力されてシリアルのデータへ変換された後にLD駆動部62に入力される。また、8B/10Bエンコーダ56にはECC(Error-Correcting Code)生成部58が接続されており、8B/10Bエンコーダ56から出力された10ビットの送信情報はECC生成部58にも入力され、ECC生成部58によって誤り訂正のためのエラーコレクションコードが生成される。ECC生成部58もP/S変換部60を介してLD駆動部62に接続されており、ECC生成部58で生成されたエラーコレクションコードは、P/S変換部60でシリアルのデータへ変換された後にLD駆動部62に入力される。そしてLD駆動部62は、8B/10Bエンコーダ56からP/S変換部60を介して入力された送信情報及びECC生成部58からP/S変換部60を介して入力されたエラーコレクションコードに応じてLDアレイ18の個々のLDの点消灯を制御することで、送信情報を光信号として送信する。
また、LD駆動部62は送信制御部52と接続されており、送信制御部52からクロック信号及び発光強度制御情報が各々入力される。LDアレイ18のうちの特定のLDはクロック信号送信用とされており、LD駆動部62は入力されたクロック信号に従って特定のLDの点消灯を制御する。また、LD駆動部62はLDアレイ18の個々のLDの発光強度を制御可能とされており、入力された発光強度制御情報に従って個々のLDの発光強度を制御する。
一方、PDアレイ20には信号処理部64が接続されており、PDアレイ20の個々のPDが光信号を受信(受光)することで個々のPDから出力信号は、信号処理部64によって増幅され、デジタルの受信情報に復調されて出力される。信号処理部64はS/P(シリアル/パラレル)変換部66を介して誤り訂正部70に接続されており、信号処理部64から出力されたシリアルの受信情報はS/P変換部66によってパラレルの受信情報へ変換された後に誤り訂正部70に入力される。また、信号処理部64はS/P変換部66を介して誤り検出部68に接続されている。誤り検出部68は、信号処理部64からS/P変換部66を介して入力されるパラレルの受信情報に含まれるエラーコレクションコードに基づき、受信情報本体にビット化け等の誤り(エラー)が生じていないか否かを検証する。誤り訂正部70は誤り検出部68に接続されており、受信情報本体に誤りが生じていることが誤り検出部68によって検出された場合に受信情報本体の誤り訂正を行う。
誤り訂正部70は8B/10Bデコーダ72を介して受信制御部74に接続されており、誤り訂正を経て誤り訂正部70から出力された受信情報(本体)は、8B/10Bデコーダ72により10ビット単位で通常の8ビットのデータに変換され、受信制御部74へ入力される。また、信号処理部64は受信制御部74と接続されており、受信した光信号のうちクロック信号は受信制御部74に直接入力され、光信号送信側との同期をとるために用いられる。受信制御部74は電子回路I/F部50及び送信制御部52に各々接続されており、入力された受信情報を送信制御部52へ出力すると共に、電子回路I/F部50を介して電子回路12へ出力する。また、信号処理部64は送信制御部52にも接続されており、光信号受信(受光)時に光信号の受光量を表す受光量情報を送信制御部52へ出力する。
なお、光通信I/F部16Aは本発明に係る光通信装置に対応しており、光通信I/F部16AのLDアレイ18の各LDは本発明に係る第1発光素子に、光通信I/F部16AのPDアレイ20の各PDは本発明に係る第1受光素子に各々対応している。また、光通信I/F部16B〜16Dは本発明に係る第2装置に対応しており、光通信I/F部16B〜16DのLDアレイ18の各LDは本発明に係る第2発光素子に、光通信I/F部16B〜16DのPDアレイ20の各PDは本発明に係る第2受光素子に各々対応している。
続いて、上述のように構成された本実施の形態に係わる電子機器10における通信に先だって行われる動作について説明する。なお、図5(A)は、本発明の実施の形態に係るマスタで実行される最適発光強度検出処理の流れを示すフローチャートであり、図5(B)は本発明の実施の形態に係る任意のスレーブnで実行される光信号受信時処理の流れを示すフローチャートである。
本実施の形態では、電子機器10の電源投入時に、マスタとして機能する電子回路12Aに接続された光通信I/F部16Aの光通信制御部22(の送信制御部52)により、スレーブとして機能する各電子回路12に接続された光通信I/F部16へ情報を送信する際の光通信I/F部16AのLDアレイ18の各LDの最適発光強度を、個々の光通信I/F部16B〜16Cについて各々検出する最適発光強度検出処理(図5(A))が実行される。なお、送信制御部52は、最適発光強度検出処理の実行が終了すると実行終了時点からの経過時間の計測を開始し、前回実行してから所定時間以上経過した場合にも最適発光強度検出処理を行う。また、以下では光通信I/F部16Aを単に「マスタ」と称する。
本実施の形態に係る最適発光強度検出処理では、まずステップ100において、NVMメモリ54を参照することで、スレーブとして機能する個々の電子回路12に接続された光通信I/F部16(以下、単に「スレーブ」と称する)の数及び個々のスレーブに予め設定されたIDを認識する。次のステップ102では、以下で処理対象とするスレーブ(便宜上、このスレーブを「スレーブn」と称する)を決定する。ステップ104では、スレーブnに対するマスタのLDアレイ18の最適発光強度がNVMメモリ54の最適発光強度テーブルに登録されているか否か判定する。判定が否定された場合には、例えばスレーブnが今回新たに増設された等の理由で、前回の最適発光強度検出処理ではスレーブnに対するマスタのLDアレイ18の最適発光強度の検出が行われていないと判断できるので、ステップ106へ移行し、スレーブnに対するマスタのLDアレイ18の最適発光強度を検出するためのLDアレイ18の各LDの発光強度の初期値及び変更範囲として所定値を設定した後にステップ112へ移行する。
一方、前回の最適発光強度検出処理で検出されたスレーブnに対するマスタのLDアレイ18の最適発光強度が最適発光強度テーブルに登録されていた場合、今回検出する最適発光強度は、最適発光強度テーブルに登録されている最適発光強度と同一又は近似した値となる可能性が高い。このため、ステップ104の判定が肯定された場合にはステップ108へ移行し、前回の最適発光強度検出処理で検出されたスレーブnに対するマスタのLDアレイ18の最適発光強度を最適発光強度テーブルから読み出し、次のステップ110では、今回検出する最適発光強度が読み出した最適発光強度と同一又は近似した値となることを前提に、読み出した最適発光強度に基づいてLDアレイ18の各LDの発光強度の初期値及び変更範囲を設定する。例えば、発光強度の変更範囲を、読み出した最適発光強度を中心としかつ通常よりも狭い範囲に設定し、発光強度の初期値を、設定した変更範囲の上限又は下限に相当する値に設定する。これにより、最適発光強度検出処理に要する時間を短縮することができる。
次のステップ112では、最適発光強度検出のためにLDアレイ18の各LDを発光させる際に用いる強度検出用情報に、送信先IDとしてスレーブnのIDを、送信元IDとして自身(マスタ)のIDを各々付加すると共に、LDアレイ18の各LDの発光強度(最初は上記で設定した初期値)を表す発光強度情報を付加する。そしてステップ114では、設定した発光強度でLDアレイ18の各LDを発光させるための発光強度制御情報をLD駆動部62へ出力すると共に、スレーブn及びマスタのID、発光強度情報を付加した強度検出用情報(送信情報)を8B/10Bエンコーダ56、ECC生成部58、P/S変換部60を介してLD駆動部62へ出力する。これにより、点灯(発光)時の発光強度が設定した発光強度に一致するように、送信情報に応じてマスタのLDアレイ18の各LDが点消灯されることで、上記の送信情報に応じて変調された光信号がマスタのLDアレイ18から射出され、第1光ファイバ26、光シートバス42A、第2光ファイバ30,32,34を伝送した後に各スレーブ(光通信I/F部16B〜16D)のPDアレイ20で各々受光されることになる。なお、スレーブへ送信する情報に、スレーブのIDを送信先IDとして付加する処理は請求項11に記載の付加手段に対応している。これにより、特定のスレーブへ送信した情報が、特定のスレーブ以外のスレーブで自装置宛の情報と誤認識されることを防止することができる。
次のステップ116では、スレーブnから受光状態通知を受信したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ118へ移行し、光信号を送信してから所定時間が経過したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ116に戻り、何れかの判定が肯定される迄、ステップ116,118を繰り返す。
一方、各スレーブでは、PDアレイ20が光信号を受光し、その受光量がPDアレイ20の各PDの許容範囲内であった場合には、受光された光信号が受信情報として復調され、S/P変換部66、誤り検出部68、誤り訂正部70、8B/10Bデコーダ72を介して受信制御部74へ入力される。そして、受信情報が受信制御部74から送信制御部52へ入力されることで、送信制御部52において光信号受信時処理(図5(B)参照)が実行される。この光信号受信時処理では、まずステップ150において、受信情報に含まれている送信先IDを抽出し、抽出した送信先IDが自装置のIDか否かを判定することで、受信情報が自装置宛の情報か否か判定する。判定が否定された場合は何ら処理を行うことなく光信号受信時処理を終了する。また、判定が肯定された場合(自装置がスレーブnの場合)はステップ152へ移行し、ステップ152以降の処理を行う。
ここで、スレーブnにおける光信号の受光量がPDアレイ20の各PDの許容範囲外であった場合(受光量が不足していた場合)には、スレーブnの送信制御部52で上記の光信号受信時処理(図5(B))が実行されないので、マスタの送信制御部52で実行されている最適発光強度検出処理(図5(A))のステップ118の判定が肯定されてステップ120へ移行し、発光強度の設定値を所定量だけ増加設定した後にステップ112に戻る。これにより、点灯(発光)時の発光強度が所定量だけ増加するように送信情報に応じてLDアレイ18の各LDが再度点消灯されることで、同一の送信情報に応じて変調された光信号が各スレーブへ再度送信される。また、前述のステップ120の処理は、ステップ118の判定が肯定される毎に実行される。従って、スレーブnにおける光信号の受光量が不足していた場合には、スレーブnにおける光信号の受光量が許容範囲内になり、スレーブnの送信制御部52で光信号受信時処理(図5(B))が実行されるように、マスタのLDアレイ18の各LDの発光強度を所定量ずつ増大させながら光信号の送信が繰り返されることになる。
また、スレーブnにおける光信号の受光量がPDアレイ20の各PDの許容範囲内であった場合には、送信制御部52で光信号受信時処理(図5(B))が実行されると共に、前述のステップ150の判定が肯定されてステップ152へ移行し、受信情報が強度検出用情報か否かを判断することで、自装置に対する最適発光強度の検出がマスタで実行中か否か判定する。判定が否定された場合はステップ158へ移行し、受信情報が最適発光強度を通知する情報か否かを判定する。この判定も否定された場合はステップ162へ移行し、受信情報の内容に応じた処理を実行して光信号受信時処理を終了する。
また、ステップ152の判定が肯定された場合はステップ154へ移行し、信号処理部64から入力される受光量情報に基づいて、PDアレイ20の各PDによる光信号の受光状態を表す受光状態情報を生成する。なお、受光状態情報としては、例えばPDアレイ20の各PDの受光量の許容範囲の下限値とPDアレイ20の各PDによる光信号の実際の受光量の偏差を表す情報を適用することができるが、これに代えて、PDアレイ20の各PDの受光量の許容範囲の上限値とPDアレイ20の各PDによる光信号の実際の受光量の偏差を表す情報を適用してもよいし、PDアレイ20の各PDの受光量の許容範囲の上限値及び下限値、PDアレイ20の各PDによる光信号の実際の受光量を各々表す情報を適用してもよい。
そしてステップ156では、受信情報から発光強度情報を抽出し、抽出した発光強度情報を生成した受光状態情報に付加すると共に、送信先IDとしてマスタのIDを、送信元IDとして自装置のIDを各々付加した後に、予め設定された発光強度(これに代えて前回検出した最適発光強度を適用してもよい)でLDアレイ18の各LDを発光させるための発光強度制御情報をLD駆動部62へ出力すると共に、発光強度情報を付加した受光状態情報を8B/10Bエンコーダ56、ECC生成部58、P/S変換部60を介してLD駆動部62へ出力し、光信号受信時処理を終了する。これにより、点灯(発光)時の発光強度が設定した発光強度に一致するように、上記の受信状態情報に応じてスレーブnのLDアレイ18の各LDが点消灯されることで、上記の受信状態情報に応じて変調された光信号がスレーブnのLDアレイ18から射出され、第2光ファイバ36、38、40の何れか、光シートバス42B、第1光ファイバ28を伝送した後にマスタのPDアレイ20で受光されることになる。
マスタでは、スレーブnから発光強度情報を付加した受光状態情報を受信すると、最適発光強度検出処理(図5(A))のステップ116の判定が肯定されてステップ122へ移行し、受信した受光状態情報を参照することで、該受光状態情報に付加されている発光強度情報が表す発光強度が、スレーブnへ情報を送信する際のLDアレイ18の各LDの最適発光強度か否か判定する。この最適発光強度としては、例えばスレーブnのPDアレイ20の各PDの受光量が受光量の許容範囲の下限値に一致する最適状態となる発光強度を適用することができる。このように最適状態となる発光強度を適用することで、マスタのLDアレイ18を最大限に長寿命化できると共に、発熱量を必要最小限に抑制できる。また、受信した受光状態情報が表す受光量が上記の最適状態に相当する受光量と相違していた場合には、ステップ122の判定が否定されてステップ124へ移行し、受光状態情報によって通知されたスレーブnのPDアレイ20の各PDの受光状態に応じて発光強度を変更設定した後にステップ112に戻る。
これにより、点灯(発光)時の発光強度が変更設定後の発光強度に一致するように前回と同一の情報に応じてLDアレイ18の各LDが再度点消灯され、前回と同一の情報に応じて変調された光信号が前回とは異なる発光強度で各スレーブへ再度送信される。従って、スレーブnにおける光信号の受光量が最適状態に相当する受光量と相違していた場合には、スレーブnにおける光信号の受光量が最適状態になるように、スレーブnのPDアレイ20の各PDの受光状態に応じてマスタのLDアレイ18の各LDの発光強度を変更設定しながら光信号の送信が繰り返されることになる。
スレーブnのPDアレイ20の各PDの受光量が最適状態に相当する受光量に一致すると、ステップ122の判定が肯定されてステップ126へ移行し、現在の発光強度(最後に受信した受光状態情報に付加されていた発光強度情報が表す発光強度)を、スレーブnに対するマスタのLDアレイ18の最適発光強度として、スレーブnのIDと対応付けてNVMメモリ54の最適発光強度テーブルに登録する。このように、処理対象のスレーブnへ送信する強度検出用情報に発光強度情報を付加し、スレーブnから受信した受光状態情報に付加されている発光強度情報に基づいて、最適発光強度(スレーブnにおける光信号の受光量が最適状態になるときのマスタのLDアレイ18の発光強度)を認識する処理を行うことにより、最適発光強度を確実に認識することができる。
次のステップ128では、スレーブnに対して上記の最適発光強度を通知する情報を生成し、生成した情報に送信先IDとしてスレーブnのIDを、送信元IDとして自身(マスタ)のIDを各々付加して光通信により送信する。これにより、スレーブnの送信制御部52で実行される光信号受信時処理(図5(B))では、ステップ150の判定が肯定され、ステップ152の判定が否定され、ステップ158の判定が肯定されてステップ160へ移行し、マスタから通知されたスレーブnに対するマスタのLDアレイ18の最適発光強度がスレーブnのNVMメモリ54に記憶される。
また、マスタで実行されている最適発光強度検出処理(図5(A))では、次のステップ130において、上述したステップ102以降の処理を全てのスレーブに対して行ったか否か判定する。判定が否定された場合はステップ102に戻り、新たなスレーブを処理対象としてステップ102の処理を繰り返す。これにより、全てのスレーブに対してマスタのLDアレイ18の最適発光強度が各々検出され、検出された最適発光強度がNVMメモリ54の最適発光強度テーブルに各々登録されると共に、対応するスレーブnに通知されることになる。
ステップ130の判定が肯定されて最適発光強度検出処理(図5(A))が終了すると、マスタの送信制御部52は、個々のスレーブに対し、マスタへ情報を送信する際の個々のスレーブのLDアレイ18の各LDの最適発光強度を検出する処理の実行を指示する所定の情報を、光通信によって順に送信する。これにより、前記所定の情報を受信することで最適発光強度を検出する処理の実行が指示されたスレーブ(便宜上「スレーブn」と称する)では、送信制御部52で最適発光強度検出処理(図6(A))が実行される。なお、図6(A)は、任意のスレーブnで実行される最適発光強度検出処理の流れを示すフローチャートであり、(B)はマスタで実行される光信号受信時処理の流れを示すフローチャートである。
この最適発光強度検出処理では、まずステップ180において、マスタから通知されてNVMメモリ54に記憶させた最適発光強度(スレーブnに対するマスタのLDアレイ18の最適発光強度)を読み出す。本実施の形態では、マスタによる各スレーブへの情報の送信に用いられる光伝送路(第1光ファイバ26、光シートバス42A及び第2光ファイバ30、32、34)と、各スレーブによるマスタへの情報の送信に用いられる光伝送路(第1光ファイバ28、光シートバス42B及び第2光ファイバ36、38、40)が相違しているものの、光伝送路の距離は略等しいので、スレーブnがマスタへ情報を送信する際の最適発光強度は、マスタがスレーブnへ情報を送信する際の最適発光強度と同一又は近似した値となる可能性が高い。
上記に基づきステップ182では、今回検出する最適発光強度がNVMメモリ54から読み出した最適発光強度(マスタで検出されて通知された、スレーブnに対するマスタのLDアレイ18の最適発光強度)と同一又は近似した値となることを前提に、読み出した最適発光強度に基づいてスレーブnのLDアレイ18の各LDの発光強度の初期値及び変更範囲を設定する。これにより、最適発光強度検出処理に要する時間を短縮することができる。次のステップ184では、最適発光強度検出のためにLDアレイ18の各LDを発光させる際に用いる強度検出用情報に、送信先IDとしてマスタのIDを、送信元IDとして自装置(スレーブn)のIDを各々付加すると共に、スレーブnのLDアレイ18の各LDの発光強度を表す発光強度情報を付加する。
そしてステップ186では、設定した発光強度でLDアレイ18の各LDを発光させるための発光強度制御情報をLD駆動部62へ出力すると共に、マスタ及び自装置のID、発光強度情報を付加した強度検出用情報(送信情報)を8B/10Bエンコーダ56、ECC生成部58、P/S変換部60を介してLD駆動部62へ出力する。これにより、点灯(発光)時の発光強度が設定した発光強度に一致するように、送信情報に応じてスレーブnのLDアレイ18の各LDが点消灯されることで、上記の送信情報に応じて変調された光信号がスレーブnからマスタへ送信され、第2光ファイバ36,38,40の何れか、光シートバス42B、第1光ファイバ28を伝送した後にマスタのPDアレイ20で受光される。
次のステップ188では、マスタから受光状態通知を受信したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ190へ移行し、光信号を送信してから所定時間が経過したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ188に戻り、何れかの判定が肯定される迄、ステップ188,190を繰り返す。
マスタでは、各スレーブの何れかから光信号を受信する毎に、送信制御部52で光信号受信時処理(図6(B)参照)が実行される。この光信号受信時処理では、まずステップ210において、受信情報に含まれている送信先IDを抽出し、抽出した送信先IDが自装置のIDか否かを判定することで、受信情報が自装置宛の情報か否か判定する。判定が否定された場合は何ら処理を行うことなく光信号受信時処理を終了する。なお、本第1実施形態の構成では、各スレーブが送信する情報は何れもマスタ宛の情報であり、ステップ210の判定が否定されることはないので、ステップ210を省略してもよい。また、判定が肯定された場合はステップ212へ移行し、ステップ212以降の処理を行う。
ここで、マスタにおける光信号の受光量がPDアレイ20の各PDの許容範囲外であった場合(受光量が不足していた場合)には、マスタの送信制御部52で上記の光信号受信時処理(図6(B))が実行されないので、スレーブnの送信制御部52で実行されている最適発光強度検出処理(図6(A))のステップ188の判定が肯定されてステップ190へ移行し、発光強度の設定値を所定量だけ増加設定した後にステップ184に戻る。これにより、点灯(発光)時の発光強度が所定量だけ増加するように送信情報に応じてLDアレイ18の各LDが再度点消灯されることで、同一の送信情報に応じて変調された光信号がマスタへ再度送信される。従って、マスタにおける光信号の受光量が不足していた場合には、マスタにおける光信号の受光量が許容範囲内になるように、LDアレイ18の各LDの発光強度を所定量ずつ増大させながら光信号の送信が繰り返される。
また、マスタにおける光信号の受光量がPDアレイ20の各PDの許容範囲内であった場合には、マスタの送信制御部52で光信号受信時処理(図6(B))が実行されると共に、前述のステップ210の判定が肯定されてステップ212へ移行し、受信情報が強度検出用情報か否かを判断することで、自装置に対する最適発光強度の検出がスレーブnで実行中か否か判定する。判定が否定された場合はステップ214へ移行し、受信情報の内容に応じた処理を実行して光信号受信時処理を終了する。
また、ステップ212の判定が肯定された場合はステップ216へ移行し、信号処理部64から入力される受光量情報に基づいて、PDアレイ20の各PDによる光信号の受光状態を表す受光状態情報を生成する。そしてステップ218では、受信情報から発光強度情報を抽出し、抽出した発光強度情報を生成した受光状態情報に付加すると共に、送信先IDとしてスレーブnのIDを、送信元IDとして自装置(マスタ)のIDを各々付加した後に、先に検出して最適発光強度テーブルに登録されているスレーブnに対する最適発光強度でLDアレイ18の各LDを発光させるための発光強度制御情報をLD駆動部62へ出力すると共に、発光強度情報を付加した受光状態情報(送信情報)を8B/10Bエンコーダ56、ECC生成部58、P/S変換部60を介してLD駆動部62へ出力し、光信号受信時処理を終了する。これにより、スレーブn及びマスタのID、発光強度情報が付加された受光状態情報が、マスタから光通信によってスレーブnへ送信される。
スレーブnでは、マスタから発光強度情報が付加された受光状態情報を受信すると、最適発光強度検出処理(図6(A))のステップ188の判定が肯定されてステップ194へ移行し、受信した受光状態情報を参照することで、該受光状態情報に付加されている発光強度情報が表す発光強度が、マスタへ情報を送信する際のLDアレイ18の各LDの最適発光強度か否か判定する。判定が否定された場合はステップ196へ移行し、受光状態情報によって通知されたマスタのPDアレイ20の各PDの受光状態に応じて発光強度を変更設定した後にステップ184に戻る。 これにより、マスタにおける光信号の受光量が最適状態になるように、マスタのPDアレイ20の各PDの受光状態に応じてスレーブnのLDアレイ18の各LDの発光強度を変更設定しながら光信号の送信が繰り返されることになる。
マスタのPDアレイ20の各PDの受光量が最適状態に相当する受光量に一致すると、ステップ194の判定が肯定されてステップ198へ移行し、現在の発光強度(最後に受信した受光状態情報に付加されていた発光強度情報が表す発光強度)を、マスタに対するスレーブnのLDアレイ18の最適発光強度としてNVMメモリ54に記憶させ、最適発光強度検出処理を終了する。なお、上述した最適発光強度検出処理は、マスタからの指示により各スレーブで順次実行される。
以上のようにしてマスタ及び各スレーブで光通信の相手に対する最適発光強度の検出が完了すると、通常の光通信が行われるが、この通常の光通信において、マスタが任意のスレーブに情報を送信する場合、マスタの送信制御部52は、情報送信対象のスレーブのIDと対応付けてNVMメモリ54の最適発光強度テーブルに登録されている最適発光強度を読み出し、読み出した最適発光強度でLDアレイ18の各LDを発光させるための発光強度制御情報をLD駆動部62へ出力する。すなわち、マスタの送信制御部52は本発明の設定手段として機能する。
また、任意のスレーブ(スレーブn)がマスタに情報を送信する場合、スレーブnの送信制御部52は、NVMメモリ54に記憶されている最適発光強度(マスタに対するスレーブnのLD18の最適発光強度)を読み出し、読み出した最適発光強度でLDアレイ18の各LDを発光させるための発光強度制御情報をLD駆動部62へ出力する。これにより、任意のスレーブnからマスタへの情報の送信に際しても、マスタにおける光信号の受光量が最適状態になるように、スレーブnのLDアレイ18の各LDの発光強度が制御される。
このように、本発明の実施の形態では、各スレーブに対するマスタのLDアレイ18の最適発光強度がマスタによって検出され、マスタは任意のスレーブへ情報を送信する際にLDアレイ18の各LDの発光強度が情報送信先のスレーブに対応する最適発光強度となるように制御するので、光通信によって個々のスレーブへ確実に情報を送信することができると共に、LDアレイ18の発光強度が個々のスレーブ毎に最適化されるので、マスタのLDアレイ18が必要以上の発光強度で発光されることでLDアレイ18の寿命に悪影響を及ぼしたり、LDアレイ18が必要以上に発熱することを防止することができる。
ところで、上述のように構成された光通信システム14において、図7に示すように、光シートバス42から各スレーブ16a〜16dまでの伝送距離が異なる場合には、上述したように光ファイバとしてPOFを適用しているので、伝送距離が異なることによって、各スレーブにおける光損失がそれぞれ異なることになる。
一般的には、マスタ16Aは、最長距離(光損失大)に伝送できるように光強度を上げればそれ以外の光損失の小さい伝送距離の短いスレーブにも必然的に伝送できることになるが、光量増によって発光素子の寿命が短くなることや発熱が多くなる問題があり、必ずしも適切な方法とは言えないのは上述したとおりであり、本実施の形態では、上述のように伝送したいスレーブにだけ最小受光量以上で届くように随時光強度を切り換えるようになっている。詳細には上述した通りであり、各スレーブ毎に最適発光強度を決定した後に、スレーブに対応する各電子回路に対して通常の通信を行う際には、各スレーブに応じて最適発光強度を切り換えて、伝送先のスレーブに対応するIDを情報に付加して情報を送信する。
しかしながら、上述したように、PDアレイ20の各PDは光を受光していない状態が継続するとレスポンスが低下するという特性を有しているので、あるスレーブと通信を行っている時に、現在通信中のスレーブよりも光損失が大きい(伝送距離の長い)スレーブでは、PDアレイ20に光が届いていないことがあり得る。例えば、図7のスレーブ16aから次のスレーブ16bに通信を切り換える場合には、スレーブ16bのPDアレイ20に光が届いてないことがある。この場合に、次のスレーブと通信を行うためには、PDアレイ20が活性化していないために、レスポンスが悪くなってしまう、という問題が発生する。このようにレスポンスが悪い状態で通信を行うことで、誤通信などの弊害を引き起こすことも考えられる。
そこで、本実施の形態では、通常の通信時に伝送先のスレーブを切り換える際に、PDアレイ20の非活性によって発生するレスポンスの低下を防止するためにマスタ16Aが伝送先のスレーブを活性化するための活性化処理を行うようになっている。
次に、マスタ16Aによって行われる活性化処理について説明する。図8は、マスタ16Aで行われる活性化処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本実施の形態では、マスタ16Aで行う活性化処理は、現在のスレーブから次のスレーブに切り換える際、すなわち伝送先スレーブを切り換える毎に、現在のスレーブへの通信が終了した時点で行う処理として説明する。また、マスタ16Aで行われる活性化処理は本発明の活性化手段に対応する。
本実施の形態では、上述のようにして最適光強度が決定されて通常の通信に移行すると、各スレーブを切り換える際に活性化処理を行うことで、各スレーブのPDアレイ20に光が届いていない場合にPDの活性化を行う。PDの活性化は、次のスレーブに対応する最適光強度に設定し、例えば、周波数変調したIDを付与しない擬似パターンを送信することで行われる。
詳細には、本実施の形態に係わるマスタ16Aで行われる活性化処理では、まずステップ300において、スレーブExx(便宜上、次伝送先のスレーブを「スレーブExx」と称する)へ伝送するか否か判定する。判定が否定された場合には、そのまま活性化処理を終了して通常の通信を継続する。
現在のスレーブから切り換えてスレーブExxへ伝送する場合には、ステップ300の判定が肯定されてステップ302へ移行し、NVMメモリ54を参照して、最適光強度テーブルから対応するスレーブの最適光強度を読み出して、ステップ304へ移行する。そして、読み出さした次のスレーブExxのLD駆動62の発光強度設定を最適光強度に設定した後にステップ306へ移行する。
次にステップ306では、直前の伝送先の光強度より次の伝送先の光強度の方が小さいか否か判定する。すなわち、NVMメモリ54を参照して直前の伝送先のスレーブの最適光強度と次の伝送先スレーブの最適光強度を比較することによって判定を行う。判定が否定された場合には、ステップ308へ移行して、擬似パターンの送信開始処理を行う。
擬似パターンの送信開始処理では、スレーブExxに対応する最適光強度の擬似パターンで発光させるための発光制御情報をLD駆動部62へ出力する。これによって、予め定められた擬似パターンでLDアレイ18の各LDが発光し、スレーブ側のPDアレイ20が活性化される。なお、スレーブ側のPDアレイ20の活性化は、クロック信号等の周波数を変調して調整した信号を適用することが可能である。また、擬似パターンや周波数を変調して調整した信号は、、DCバランスのとれた信号を送信する。
そして、ステップ310では、所定時間経過したか否か判定する。すなわち、所定時間活性化を行った後に、ステップ312へ移行して、次のスレーブExxへの情報送信を開始して、一連の活性化処理を終了する。すなわち、活性化を行っている間は通信を待機し、活性化が終了した時点で通信を開始するので、活性化される前に通信を行うことによる誤通信を防止することができる。
一方、ステップ306の判定が肯定、すなわち、直前の伝送先のスレーブの光強度より小さい場合には、現在のスレーブへの通信時の光強度によって次のスレーブのPDアレイ20が活性化されているので、擬似パターンの送信を行わずにそのままステップ312へ移行して、次のスレーブExxへの情報送信を開始して、一連の活性化処理を終了する。なお、ステップ306が肯定されてステップ312へ移行する処理は本発明の活性化制御手段に対応する。
また、ステップ312で次のスレーブExxへ情報送信が開始されると、スレーブ側では、上述した光信号受信時処理(図5(B))が行われる。すなわち、自装置宛と認識したスレーブは、ステップ150が肯定され、この場合には、強度検出ではなく、最適発光強度通知ではないので、ステップ152及びステップ158が否定されて、受信情報に応じた処理が実行される。すなわち、情報を受信する処理が実行され、マスタから送信される情報が受信され、後段に接続される電子回路12B〜12Dにスレーブが受信した情報が出力される。この時、上述したように活性化処理によってPDアレイ20が活性化されているので、マスタから送信される情報を確実に受信することができる。
ここで、上述のようにして行われる活性化処理について、図7の場合を例に挙げて具体的に説明する。
図7において、マスタ16Aがスレーブ16a、16b、16c、16dの順番に信号を伝送しようとしたとする。マスタ16Aは、スレーブ16aに信号を伝送している時に、マスタ16AのLDアレイの光強度は、スレーブ16aが最も光損失が少ないので、最小の光強度となり、スレーブ16b、16c、16dには、PDアレイ20を活性化させるために必要な光が十分に届いてない場合ある。この状態では、スレーブ16aからスレーブ16bに伝送先を切り換えて直ぐに信号を送信できないので、マスタ16Aは、まずLDアレイ18の光強度をスレーブ16bの光強度に切り換える(ステップ300〜304)。そして、ステップ308において、直流(DC)バランスのとれた擬似パターンもしくはクロックなどの一定の周波数を送信してスレーブ16bのPDアレイ20が受信し得る状態になるまでの一定時間活性化させ、ステップ310でマスタ16Aはデータを電送しない待ち状態となる。その後、一定時間経過後にステップ310の判定が肯定されて、ステップ312へ移行して、マスタ16Aはスレーブ16bに光信号を伝送し始める。このように、光信号を送信する前に、非活性であったPDアレイ20を擬似パターン等で活性化させてから光信号を伝送することで、誤通信などの弊害を防止することができる。
また、スレーブ16bからスレーブ16cに切り換えを行う場合も同様に処理が行われる。スレーブ16cからスレーブ16dに切り換える場合には、伝送確立の際に既に最適光強度が決定されていることからスレーブ16dはスレーブ16cよりも光強度は小さくて済むことがわかっている。そこで、ステップ306の判定が肯定されてステップ312へ移行して、マスタ16Aは瞬時に光信号をスレーブ16dに伝送を始めることができる。
このように、本実施の形態では、スレーブの切り換えの際に、光が十分に届いていないと判断される場合に活性化処理を行なうようにしたので、伝送経路がそれぞれ異なるスレーブが接続されている場合であっても、誤通信などの弊害を起こすことなく通信を行うことができる。
続いて、上述の活性化処理の変形例について説明する。上記の実施の形態では、擬似パターン等の通信信号とは関係のない信号をスレーブの切り換え時に送信して活性化を行なう例を説明したが、変形例では、次に切り換えるスレーブの光強度が大きい場合に、切り換える前に次の光強度に切り換えて、現在の通信時に次のスレーブのPDアレイ20を活性化させるものであり、切り換え時間を短縮させることができる。
図9は、マスタ16Aによって行なわれる活性化処理の変形例の流れを示すフローチャートである。なお、変形例では、現在のスレーブへの通信が終了する前に行われる処理として説明する。
まずステップ350において、次のスレーブExxへ伝送準備か否か判定する。判定が否定された場合には、そのまま活性化処理を終了して通常の通信を継続する。なお、ステップ350の判定は、現在のスレーブから次のスレーブに切り換える前に行われ、現在のスレーブの通信が終了する所定時間前(PDアレイ20を活性化させるために必要な時間から定めることが可能である時間)である時に判定が肯定される。
現在のスレーブから切り換えて次伝送先のスレーブExxへ伝送する場合には、ステップ350の判定が肯定されてステップ352へ移行し、NVMメモリ54を参照して、最適光強度テーブルから対応するスレーブの最適光強度を読み出して、ステップ354へ移行する。そして、読み出した次のスレーブExxのLD駆動部62の最適光強度を確認した後にステップ356へ移行する。
次にステップ356では、現在通信中の光強度より次の伝送先の光強度の方が小さいか否か判定する。すなわち、NVMメモリ54を参照して現在のスレーブの最適光強度と次伝送先スレーブの最適光強度を比較することによって判定を行う。判定が否定された場合には、ステップ358へ移行して、現在の通信を行いながら、次のスレーブExxの最適光強度となるように光強度を徐々に増加させ、一連の活性化処理を終了する。このように、伝送中の光強度より次の光強度の方が大きい場合には、現在の通信中に次のスレーブへ十分な光が届いてないことが考えられるので、現在の通信中に徐々に次のスレーブの最適光強度となるように徐々に光強度を増加させることで、次のスレーブのPDアレイ20が活性化され、直ぐにスレーブを切り換えて通信を行うことが可能となる。
一方、現在の通信中の光強度より次伝送先のスレーブへの光強度の方が小さい場合には、十分に次伝送先のスレーブのPDアレイ20が活性化されているので、ステップ356の判定が肯定されてステップ360へ移行して、光強度の変更を行わずに、現在の光強度での通信を継続し、一連の活性化処理を終了する。
なお、変形例の活性化処理が終了した時点で、次伝送先のスレーブの光強度の方が小さい場合には、光強度の変更が行われていないので、次伝送先のスレーブへ通信を切り換える際に光強度を次伝送先のスレーブの最適光強度となるように光強度を減少させる方が、LD寿命の面から好ましい。
このように、変形例では、現在のスレーブへの通信が終了する前に、次のスレーブのPDアレイ20が活性化されていないと判断される場合には、現在のスレーブの通信中に光強度を増加させることで、次伝送先のスレーブのPDアレイ20を活性化させるので、スレーブを切り換えて直ぐに通信を行うことができる。また、上記の実施の形態のように現在の通信が終了した時点で次のスレーブのPDアレイ20を活性化させるのではなく、現在の通信中に次伝送先のスレーブのPDアレイ20を活性化させるので、スレーブの切り換え時間を短縮することができる。
なお、上記の実施の形態では、スレーブで行われる光信号受信時処理の際にまず最初にステップ150で自装置宛であるか否かを判定するようにしたが、光強度が弱い場合に自装置宛か否かを誤判断する可能性があるので、まず始めに光強度が最低受光量以下か否かを判断して、最低受光量以下の場合には、信号とみなさない判断手段を設けるようにしてもよい。すなわち、図10に示すフローチャートのように、ステップ150に先だって、ステップ148において、最低受光量以下か否かを判定するようにしてもよい。該判定が肯定された場合には、そのまま光信号受信時処理を終了することで、光強度が弱い場合に信号とみなさない処理を追加することができる。すなわち、上記判断手段を設けることが可能となり、当該ステップ148が本発明の判断手段に対応し、判断手段を設けることで弱い信号を誤検出するを防止することができる。
また、マスタにおける光信号受信時処理においても同様に判断手段を設けるようにしてもよい。
さらに、上記の実施の形態では、電子機器10の一例としてフルカラープリンタを例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばコンピュータ等の任意の電子機器を適用可能であることは言うまでもない。