JP4622309B2 - 材料の除去方法、材料除去装置、および加工機 - Google Patents
材料の除去方法、材料除去装置、および加工機 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4622309B2 JP4622309B2 JP2004149165A JP2004149165A JP4622309B2 JP 4622309 B2 JP4622309 B2 JP 4622309B2 JP 2004149165 A JP2004149165 A JP 2004149165A JP 2004149165 A JP2004149165 A JP 2004149165A JP 4622309 B2 JP4622309 B2 JP 4622309B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- base material
- holding
- axis
- machining
- turning
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Turning (AREA)
Description
傾斜工程および保持解除工程を行うことによって材料が自重によって落下し除去されるので、従来とは異なり、材料を複数回にわたって一方向に送る必要がなく、除材作業が簡便となる。また、傾斜工程および保持解除工程を行う本発明は、従来とは異なり材料が除去されるまで繰り返し行う必要がないので、除材作業の内容が材料の大きさ、長さなどの寸法に左右されず、材料の除去作業の自動化に適している。
ここで、保持解除工程では、例えば材料が塊状の部材であってテーブルの端部に保持手段によって保持されている場合などでは、保持手段による保持を解除すると材料が下方に落下して除去される。また例えば、材料が棒状の部材であって、テーブル内に形成されたガイドなどで回転軸に沿ってガイドされている場合などでは、保持手段による保持を解除すると、材料がガイドに沿って、つまり回転軸に沿って滑り自重によって落下する。
なお、材料としては、加工される前の原料はもちろん、機械加工されて最終形状になった後の部品も含まれる。
この発明によれば、衝撃吸収工程が設けられているので、落下した材料の衝撃を吸収することにより、材料の損傷が防止される。これは特に、材料を途中まで使用した状態で別の材料に交換する際に、材料の損傷が防止されるので、除去した材料を再び使用することが可能となるから、有用である。また、例えば材料が、機械加工が終了した最終形状の部品である場合には、部品の損傷が防止されるので、部品の外観を損ねることがなく、特に有用である。
この発明によれば、保持解除工程では、棒状の材料がテーブル端部に突出する位置まで材料を落下させるので、その後旋回工程においてテーブルを略水平に旋回すると、テーブルに伴って材料が略水平の方向に旋回する。
材料がテーブルから完全に離れて落ちることがないので、材料の落下による材料の損傷が防止される。また、テーブルを略水平にした状態で、材料がテーブル端部から突出しているので、この突出した部分を引き抜くなどすることにより簡単に材料が除去される。これにより、材料の除去作業がより簡単となる。
この発明によれば、保持手段によって材料を保持した状態で、テーブルを水平面に対して傾斜させ、保持手段による材料の保持を解除すると、材料が鉛直方向下方に落下してテーブルから除去される。テーブルが水平面に対して傾斜可能に構成されているので、傾斜させて保持手段を解除するのみで材料が除去されるから、従来とは異なり作業者によって複数回材料を一方向に送るなどの作業が不要となり、材料の除去作業が簡便となる。
この発明によれば、衝撃吸収手段が設けられているので、材料の損傷が防止される。
この発明によれば、加工機が前述の材料除去装置を備えているので、前述の材料除去装置の効果と同様の効果が得られ、材料の除去作業が簡便となる。また材料除去装置が自動化に適しているので、加工機の自動化が促進される。
この発明によれば、第1テーブルが材料除去装置のテーブルとされているので、機械加工で使用する第1テーブルの機構を流用して材料除去装置が構成可能となり、加工機の構成が簡略化される。
また、第1テーブルおよび第2テーブルがそれぞれ母材の軸を中心に回転可能に設けられ、かつそれぞれ旋回可能に設けられている。また第1テーブルおよび第2テーブルの少なくともいずれか一方が、いずれか他方に対して近接離間可能に構成されているので、第1テーブルおよび第2テーブルは、合計5軸の駆動系を有することとなる。これに加えて、加工主軸が互いに直交する3軸に関して位置決め可能に構成されているので、当該製造装置は、第1テーブルおよび第2テーブルの駆動系を合わせて合計8軸の駆動系を有する。したがって、第1テーブルを回転または旋回させながら加工主軸を3軸に沿って移動させることで、第1保持手段で保持した材料を2次元または3次元で機械加工することが可能となる。また、第2テーブルについても回転および旋回が可能に構成されているので、第2テーブルを用いても加工主軸を3軸に沿って移動させながら加工することで2次元または3次元の機械加工が可能となる。さらに、第1テーブルおよび第2テーブルの少なくともいずれか一方がいずれか他方に対して近接離間可能となっているので、第1テーブル側で機械加工された材料を第2保持手段に受け渡して移動させて第2テーブル側でさらに機械加工を行えば、第1保持手段で保持されていた材料の部分にも機械加工を施すことが可能となり、材料の全面にわたって2次元または3次元の機械加工が可能となる。これにより、時計用部品の完成形状を機械加工のみで形成することが可能となり、金型が不要となる。よって金型の初期投資やメンテナンスなども不要となり、時計用部品の製造が効率的となる。
また、加工主軸、第1テーブル、および第2テーブルが合計8軸の駆動系を有するので、材料に2次元または3次元の加工を施すことが可能となり、複雑な形状の時計用部品の形成が一台の製造装置で一貫して容易に形成される。
図1には、本発明の一実施形態にかかる加工機としての時計用部品の製造装置100が示されている。製造装置100は、加工主軸としてのミーリング主軸101と、材料としての母材10を保持する第1テーブル(テーブル)としての第1旋回テーブル102と、母材10の一部に形成された対象部位13(図2参照)を保持する第2テーブルとしての第2旋回テーブル103と、第1旋回テーブル102に母材10を供給するバーフィーダ104と、製造装置100の動作を制御する制御部105と、完成形状の時計用部品を第2旋回テーブル103から取り外す除材ロボット120と、母材10を除去する材料除去装置121とを備えている。
図2には、本実施形態の製造装置100で製造する時計用部品としてのケース胴のブランク17の製造過程が示されている。この図2に示されるように、ケース胴の完成形状は、製造装置100により、母材10が加工されてケース胴の部分である対象部位13が形成され、この対象部位13が母材10から分離されてブランク17が形成され、このブランク17がさらに加工されて形成される。
また、ミーリング主軸101は、工具ホルダ106を駆動する回転用モータ107、X軸用モータ108、Y軸用モータ109、およびZ軸用モータ110を有している。回転用モータ107は、工具ホルダ106を連続回転させる。これにより、工具ホルダ106に研削工具126や穴明け工具130などを取り付ければ、母材10に穴明け加工や切削加工が可能となる。
X軸用モータ108は、ミーリング主軸101をX方向に移動して位置決めする。Y軸用モータ109は、ミーリング主軸101をY方向に沿って移動して位置決めする。Z軸用モータ110は、ミーリング主軸101をZ方向に沿って移動して位置決めする。したがって、ミーリング主軸101は、互いに直交する3軸であるX,Y,Z方向にそれぞれ移動、位置決め可能に設けられているとともに、加工工具の軸を中心に回転可能に設けられている。
ここで、第1旋回テーブル102は、第4軸L4に沿って旋回可能であることにより、三つの加工姿勢P1,P3,P5を有する。加工姿勢P1は、母材10の軸がX軸に平行となる状態の第1旋回テーブル102の姿勢を意味し、図1中の実線で示される姿勢である。加工姿勢P3は、母材10の軸がZ軸に平行となる状態の第1旋回テーブル102の姿勢を意味し、図1中の二点鎖線で示される姿勢である。さらに、加工姿勢P5は、加工姿勢P1および加工姿勢P2の間の任意の角度で停止される状態の姿勢を意味する。
バーフィーダ104は、母材10を、第1旋回テーブル102において母材10の軸方向に沿って、つまり第1旋回テーブル102が加工姿勢P1の状態でX軸に平行な方向(図1中の第1軸L1)に沿って送り込む装置である。
第2チャック150は、2つまたは3つ以上の爪を備え、これらの爪が互いに近接離間可能に取り付けられることにより、対象部位13またはブランク17の内径または外径を保持可能に構成されている。つまり、第2チャック150は、爪を半径方向外側に移動させれば爪が対象部位13の内径に押しつけられて対象部位13を保持することが可能であり、また爪を半径方向内側に移動させれば爪が対象部位13の外径に押しつけられて対象部位13を保持することが可能となる。ここで、爪は、対象部位13の軸に対して平行移動するように構成されていることが望ましい。このような構成であれば、例えば第2チャック150としてコレットチャックの構造のチャックを用いた場合とは異なり、爪が第2チャック150の内径または外径が対象部位13に良好に密着し、第2チャック150の保持精度が向上する。また反対に、第2チャック150の保持精度を良好にするためには、第2チャック150の内径または外径を対象部位13またはブランク17の外径形状または内径形状に対応した形状に形成すればよいので、第2チャック150の形成が容易となる。
ここで、第2旋回テーブル103は、第5軸L5に沿って旋回可能であることにより、三つの加工姿勢P2,P4,P6を有する。加工姿勢P2は、対象部位13の軸がX軸に平行となる状態の第2旋回テーブル103の姿勢を意味し、図1中の実線で示される姿勢である。加工姿勢P4は、対象部位13の軸がZ軸に平行となる状態の第2旋回テーブル103の姿勢を意味し、図1中の二点鎖線で示される姿勢である。さらに、加工姿勢P6は、加工姿勢P2および加工姿勢P4の間の任意の角度で停止される状態の姿勢を意味する。
このように、この製造装置100は、第1軸L1から第5軸L5までを有する5軸同時制御機能を有しており、ミーリング主軸101についてのXYZ軸の3軸の駆動系を合わせると、8軸同時制御機能を有することとなる。この8軸同時制御機能により、図2に示す母材10の対象部位13および第2加工部分12に対して2次元または3次元の切削加工が可能である。
図3は、図2のブランク17を切削により加工するための加工プログラムの例を示している。この加工プログラムは、図1に示す制御部105に与えられるプログラムであり、製品の2次元または3次元加工データを活用することが望ましい。こうすることにより、製品設計段階の2次元または3次元加工データがCAM(コンピュータ支援加工)活用でき、効率的に加工プログラムを作成することができるからである。図3のステップST1では、製品の3次元加工データに基づいて、旋削ツールパスが生成される。ステップST2では、旋削ツールパスの検証が行われ、ステップST6においてNC(数値制御)データが出力される。
ステップST7では、ステップST6におけるNCデータ出力とステップST5におけるNCデータが1つのデータにファイル化される。ステップST8では、NCデータが、1データファイルに基づいて出力されて、ステップST9においてNCデータ入力が図1の制御部105に供給される。
図4には、材料除去装置121の概略図が示されている。この図4に示されるように、材料除去装置121は、第4軸L4に沿って旋回可能な第1旋回テーブル102と、母材10を保持する第1チャック140と、製造装置100の壁部123と、落下する母材10の衝撃を吸収する衝撃吸収手段としてのダンパ124とを備えて構成されている。
第1旋回テーブル102には、母材10の回転軸に沿って円筒形の孔が形成され、当該孔内部に母材10が収納されることにより、当該孔部分は母材10を回転軸に沿ってガイドしながら収納する収納部102Aとなっている。
壁部123において、第1旋回テーブル102の第1チャック140が設けられた側とは反対側の端部に対向する位置、つまりバーフィーダ104が設けられた側には、バーフィーダ104から供給される母材10を製造装置100内に導入する導入口123Aが形成されている。この導入口123Aは、第1旋回テーブル102を略水平にしたときに収納部102A開口が当該導入口123Aに一致する位置に形成されており、第1旋回テーブル102を略水平にした状態でバーフィーダ104から母材10(二点鎖線参照)が収納部102Aに供給される。なお、この導入口123Aは、製造装置100が作動する間は蓋部材122(二点鎖線参照)によって覆われている。また、壁部123において、導入口123Aから鉛直方向下方側には、落下した母材10を所定位置で保持し、導入口123Aまでガイドするガイド部123Bが形成されている。このガイド部123Bは、第4軸L4に沿って、第1旋回テーブル102の旋回中心を中心とする略円弧状に形成されており、その端部が導入口123Aに連続している。
ダンパ124は、ガイド部123Bの途中に設けられ、落下してくる母材10に当接されて衝撃を受ける当接部124Aを備えている。この当接部124Aの表面は、ガイド部123B表面に一致するまたはガイド部123B表面よりやや突出した位置に配置されている。
前述の図2において、本発明の時計用部品の製造方法は、第1チャック140で母材10を保持し、図2(A)、図2(B)および図2(C)に示されるように母材10の第1加工部分11を機械加工して対象部位13を形成する第1加工ステップと、図2(D)に示されるように対象部位13を母材10から分離してブランク17を形成し、このブランク17を第2チャック150で保持する第2加工ステップと、図2(E)および図2(F)に示されるようにブランク17の第2加工部分12をさらに機械加工してケース胴の完成形状を形成する第3加工ステップとを備えている。
ここで、母材10は、本実施形態では断面円形の棒状部材(丸棒)が採用されており、この母材10の材質は、製造しようとするケース胴の材質に応じて採用され、オーステナイト系ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、黄銅などが採用できる。
なお、母材10の材料としては、JIS(日本工業規格)の規格品を用いることが好ましい。母材10は、たとえば、ステンレス鋼としてはJISG4303、或いは4318、チタン、チタン合金としてはJISH4650、アルミニウム、アルミニウム合金としてはJISH4040、黄銅としてはJISH3250に規定されているものなどが挙げられる。
まず、第1加工ステップにおいては、図2(A)、図2(B)、および図2(C)にも示すように、母材10を第1旋回テーブル102に設定して機械加工により第1加工部分11を切削することで、対象部位13を形成する。
図5には、第1加工ステップにおいて母材10に対象部位13を形成する際の製造装置100の設定が示されている。この図5において、母材10は、バーフィーダ104によりX軸方向に沿って第1軸L1上を送られる。母材10先端の第1加工部分11は、第1チャック140から外側に突出して保持される。なお、ミーリング主軸101の工具ホルダ106には予め、図1に示すチャック125が装着されることにより、バーフィーダ104と図1に示すチャック125とを用いて母材10の第1軸L1に沿った位置を自動的に変えることにより、第1チャック140が母材10をクランプする位置を自動的に連続的に変えることができる。
また、第1旋回テーブル102は加工姿勢P1により設定され、第2旋回テーブル103は加工姿勢P2に設定されている。したがって第1チャック140と第2チャック150とは対面した状態にある。
図5では、工具ホルダ106には旋削工具128が装着されている。ミーリング主軸101をXYZ軸方向に移動させることにより、旋削工具128を母材10の第1加工部分11外周面に対面した位置に配置する。
図6には、母材10に細径部分90などを形成する工程が示されている。この図6に示されるように、細径部分90を形成する場合には、第1旋回テーブル102を加工姿勢P1とし、工具ホルダ106に旋削工具128を装着し、母材10の半径方向に沿って溝加工することで形成すればよい。
図7には、対象部位13に輪郭部分160(図2(C)参照)などを形成する工程が示されている。この図7に示されるように、輪郭部分160などの傾斜面や円弧面を形成する場合には、第1旋回テーブル102を加工姿勢P1,P3に変更したり、第4軸L4に沿って旋回させたりしながら、加工姿勢P5を併用することによりコンタリング加工(円弧加工、ヘリカル加工等)などの3次元切削加工を行うことで形成すればよい。この場合に用いる工具は、例えば旋削工具128や、ミーリング工具129などが採用できる。
この第1加工ステップによって、図2(C)に示されるように、対象部位13および細径部分90が切削加工のみにより形成される。この場合の対象部位13の軸方向の厚みは、たとえば2mm〜30mmである。
第2加工ステップは、図2(D)に示されるように、第1加工ステップにおいて切削加工された対象部位13を、第2旋回テーブル103に移動させるステップであり、対象部位13を母材10から切削加工により分離する対象部位分離工程を含む。また、この第2加工ステップにおいて、対象部位13の側面に、巻真が取り付けられる穴13Hを形成する。
図8には、第2加工ステップでの穴明け工程が示されている。この図8に示されるように、工具ホルダ106には穴明け工具130が装着され、第1旋回テーブル102は、加工姿勢P1に設定されている。穴明け工具130を回転してミーリング主軸101を下げていくことにより、対象部位13の側面に対して穴13Hを形成する。
図9には、対象部位13を第1旋回テーブル102から第2旋回テーブル103に移動させる工程が示されている。この図9に示されるように、切削による穴明け加工が終了すると、第2加工ステップでは、第1旋回テーブル102および第2旋回テーブル103はそれぞれ加工姿勢P1および加工姿勢P2に設定される。そして、第2旋回テーブル103が第1軸L1に沿って第1旋回テーブル102側に移動して近接し、第2チャック150が対象部位13を母材10の端面側から保持する。この場合には、第2チャック150が例えば対象部位13の内径部分155や、外径部分155aなどをクランプして保持する。
これによって、対象部位13および細径部分90は、第1チャック140と第2チャック150との間に位置されることになる。
このようにして対象部位13は、母材10から機械的に完全に分離され、ケース胴であるブランク17が図2(D)のように得られる。
第3加工ステップは、母材10から分離された対象部位13に対して、さらに機械加工により切削することで対象部位13に第2加工部分12を形成するステップである。
図10には、第3加工ステップの加工工程が示されている。この図10において、第3加工ステップでは、第2旋回テーブル103の加工姿勢P2,P4およびP6を用いて、ブランク17に対して突っ切り切削した側の面に2次元および3次元切削加工を行うことにより、図2(E)および図2(F)に示されるように、端面部分、内径部分155、外径部分155aなどの第2加工部分12を形成する。この場合に用いる工具は、たとえば旋削工具128、ミーリング工具129、穴明け工具130などである。
なお、第1旋回テーブル102に設定された母材10を、チャック125を用いて引き出し、第1チャック140から突出させて新たな第1加工部分を作成し、この第1加工部分に上述の第1加工ステップ〜第3加工ステップを繰り返すことで、複数のブランク17が切削加工で形成できる。
ブランク17を複数個製造するにしたがって、母材10の寸法が短くなっていくが、この母材10が第1チャック140で保持できる長さ、または新しいブランク17を製造するために必要な長さに満たない場合には、この母材10を残材として製造装置100から除去する。また、加工する時計用部品の種類を変更する場合などにも、母材10の交換を行うため、母材10を製造装置100から除去する。
図11から図13には、製造装置100の材料除去装置121による母材10の除去方法が示されている。まず、図11において、第3加工ステップが終了した後、第1旋回テーブル102を加工姿勢P5を用いて旋回させ、第1旋回テーブル102の回転軸を水平面に対して傾斜させる傾斜工程を行う。この傾斜工程では、第1旋回テーブル102において導入口123Aに対向する側の端部が鉛直方向下方側となるように、第1旋回テーブル102を旋回させる。これにより、第1旋回テーブル102は、水平面に対して所定角度を有して傾斜して配置される。ここで、第1旋回テーブル102の所定の傾斜角度は、母材10の材質や、寸法、収納部102Aとの寸法差などを勘案して適宜設定され、母材10が収納部102A内を良好に滑って落下する角度に設定されている。
そして、図13に示されるように、第1旋回テーブル102を加工姿勢P5を用いて再び第4軸L4に沿って旋回させ、母材10の回転軸が略水平となる位置に設定する旋回工程を行う。旋回工程では、母材10の一部は、第1旋回テーブル102の収納部102Aに収納されているため、母材10が第1旋回テーブル102とともに旋回する。このとき、母材10の先端部は、ガイド部123Bに当接されながら旋回するので、母材10の第1旋回テーブル102端部からの突出量は、ほぼ一定に保持される。
その後、蓋部材122を外して、外部装置により、あるいは作業者の手作業により、第1旋回テーブル102から突出した母材10を導入口123Aから外部に排出する。そして次の母材10をバーフィーダ104により供給すれば、時計用部品の加工を再開することができる。
また、ブランク17の表面粗さは、たとえば(最大粗さRmaxは、)10μm以下、好ましくは5μm以下である。特に、表面粗さが0.5〜3.5μmの範囲であることが、その後の工程にあまり配慮することなく、部品の表面状態を良好にする上で望ましい。そのために、旋削加工においては旋回主軸は50〜5,000min−1、ミーリング主軸は35〜100,000min−1の回転範囲を装備していることが望ましい。
(1) 製造装置100に材料除去装置121が設けられているので、傾斜工程および保持解除工程を行うことにより母材10がその自重によって落下して移動する。したがって、従来母材の長さに応じて所定回数に分けて一定方向に母材を移動させていた場合に比べて、傾斜工程および保持解除工程を一度行うだけで母材10の除去ができるので、除去作業を簡便にできる。また、母材10の除去作業の内容が、母材10の長さや寸法に左右されず一定となるから、製造装置100の自動化を促進できる。
(2) 傾斜工程では、第1旋回テーブル102を第1チャック140が設けられた側とは反対の端部側が鉛直方向下側となるように傾斜させるので、母材10を第1チャック140とは反対側の端部から除去できる。第1旋回テーブル102において第1チャック140側には、第1旋回テーブル103やミーリング主軸101が設けられており、通常機械加工による切屑などが多量に存在するが、この第1チャック140側とは反対側から母材10を除去するので、母材10に切屑などが付着するのを防止できる。これは特に、母材10を除去した後、再び製造装置100に設定して使用する場合などでは、母材10に切屑が付着しないため、有用である。またこの場合には、切屑による母材10の損傷を防止できるので、有用である。また、第2旋回テーブル103やミーリング主軸101が設けられていない側の端部から母材10を除去するので、除去作業の際これらの第2旋回テーブル103やミーリング主軸101が邪魔にならず、より一層簡便に除去作業を行うことができる。
また、ダンパ124の当接部124Aに母材10の先端部が当接され、母材10の落下が停止するので、母材10の第1旋回テーブル102から所定量突出させた状態で停止させることができる。したがって、母材10が第1旋回テーブル102から完全に落下してしまうことがなく、その後の旋回工程で第1旋回テーブル102が母材10の一部を収納したまま旋回するので、バーフィーダ104での母材10の供給に使われる導入口123Aを用いて簡単に母材10を取り出すことができる。これによっても、母材10の除去作業を簡単にできる。
(5) 完成形状に形成されたブランク17を、第2チャック150から除材する除材手段としての除材ロボット120を備えたことにより、製造装置100を無人稼動して複数のブランク17を得ることができる。
(6) 母材10が棒状部材であるので、一つずつ第1旋回テーブル102に設定することなく、複数のブランク17を連続して製造できる。したがって、母材の設定の手間が省略され、これによっても製造効率を向上させることができる。
また、母材10が棒状部材であるので、傾斜工程において母材10の一部を第1旋回テーブル102内に収納でき、その後の旋回工程で第1旋回テーブル102とともに母材10を旋回させることができる。したがって、導入口123Aから簡単に母材10を取り出すことができ、母材10の除去作業を簡単にできる。
また、製造装置100が合計8軸同時制御機能を有するので、ケース胴のブランク17を全て削り出し加工により製造することができる。したがって、金型を要する成形加工に頼らずに部品の完成形状を成形することができるため、金型代などの初期投資費用、長期間の金型維持管理費用などが不要になることから、製造コストの低減が可能になる。また、時計用部品の完成形状までを一台の製造装置100で一貫加工できることから、工程の複合化が可能となり、生産設備を最小限に減らすことが可能になる。また、加工時の危険性、騒音の低減、排煙の抑制等による作業環境の向上を図ることができる。
さらに、合計8軸同時制御機能を有するので、時計のあらゆる意匠デザインに対応した形状、質感、光沢、重量感等を表面することが可能となった。例えば新しい意匠デザインの試作品を作成する場合などでは、金型を作成すると長期間を要するため、従来ではプラスチックなどの加工が容易な代替材料で形状を形成していたが、金属の質感や光沢、重量感等が再現できず、試作品の良否を判断することが困難であった。本実施形態の製造方法によれば、外装部品を全て削り出し加工により製造することができるので、試作品の形状を金属で形成することができ、より再現性を向上させることができる。また、試作品の形状の修正を行う場合でも、加工プログラムを修正するのみで、短期間で新たな形状の試作品を製造することができる。さらに、加工プログラムを変更するのみで様々な形状を形成できるので、多品種小ロットのニーズに容易に対応できる。
母材の材質は、前述の実施形態に記載されたものに限らず、その他金、プラチナなどの貴金属あるいは、金属ガラス(ナノメタル)など、任意の金属材料が採用できる。
また、母材の材質は、金属材料に限らず、プラスチック等任意の材料を採用でき、切削、研磨等の機械加工が可能な材料であれば、任意に選択できる。
また、母材の形状は、板及び鍛造、射出成形などにより機械的に成形された形状の母材であっても良いし、時計用部品の平面形状に成形されたもの、例えば部品の平面形状に近似の引き抜き材などを用いても良い。こうすることで、加工工程において平面形状の加工(2次元加工)を簡略化できる。さらに、母材は、例えばJIS(日本工業規格)の規格品を用いることが望ましい。こうすることで、棒材の場合には形状、サイズなどの種類が豊富であり、安価で容易に入手することができる。
母材の形状は、棒状部材に限らず、例えばブロック状部材や、平板状部材、環状部材、異径形状など、任意の形状のものを採用できる。また、母材は、予め鍛造や切削など適宜な加工が施されある程度の形状が形成された任意の形状のブランク材などを使用してもよい。
図14には、母材の第1保持手段の変形例が示されている。この図14において、母材10は、大径部分および小径部分を有する異径形状に形成されており、第1保持手段140Aは、この母材10の小径部分を外側からチャックする構造となっている。
また、図15には、母材の第1保持手段の別の変形例が示されている。この図15において、母材10は、環状に形成されており、第1保持手段140Bは、この母材10の内径部分を内側からチャックする構造となっている。これらのように、母材の第1保持手段は、母材の形状に応じて適宜設定できる。このような保持方法による場合では、傾斜工程および保持解除工程によって、母材が落下するので、例えば落下方向下方に母材の収容手段を設けておけば、製造装置内床面に母材が落下することがない。また、この場合に収容手段に液体などの衝撃吸収手段を収納しておけば、母材が落下した際の衝撃による損傷を防止でき、また、複数の母材を収容したときにも母材同士が衝突して損傷するのを良好に防止できる。なお、この場合には、傾斜工程では、第1旋回テーブル102を機械加工される側、つまりミーリング主軸101側が鉛直方向下方となるように傾斜させる。
さらに、第1保持手段は、3つの爪を有する3爪チャックに限らず、母材の形状に応じて2爪チャックあるいは4爪チャック等の複数爪チャックであっても良い。
したがって、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (7)
- 機械加工される棒状に形成された材料を保持する保持手段を有するとともに、前記材料を回転可能に構成されたテーブルから前記材料を除去する材料の除去方法であって、
前記保持手段によって前記材料を保持した状態で前記材料の機械加工される側とは反対側の端部が鉛直方向下方側となるように、前記テーブルを前記材料の回転軸に直交する方向を軸として旋回させて水平面に対して傾斜させる傾斜工程と、
前記テーブルを前記材料の回転軸に対して鉛直方向下方側に傾斜させた状態で前記保持手段による前記材料の保持を解除し、前記材料を鉛直方向下方側にその自重で落下させる保持解除工程とを備えた
ことを特徴とする材料の除去方法。 - 請求項1に記載の材料の除去方法において、
前記保持解除工程の後、落下した前記材料の衝撃を吸収する衝撃吸収工程を備えた
ことを特徴とする材料の除去方法。 - 請求項1または請求項2に記載の材料の除去方法において、
前記材料は棒状に形成され、
前記保持解除工程は、棒状の前記材料の端部が前記テーブル端部から突出する位置まで前記材料を落下させ、
前記保持解除工程の後、前記テーブルを略水平に旋回する旋回工程を備えた
ことを特徴とする材料の除去方法。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の材料の除去方法を用いて材料を除去する材料除去装置であって、
機械加工される前記材料を保持する保持手段を有するとともに、前記材料を回転可能に構成されたテーブルを備え、
前記テーブルは、前記材料の回転軸に直交する方向を軸として旋回させることにより前記回転軸を水平面に対して傾斜可能に構成されている
ことを特徴とする材料除去装置。 - 請求項4に記載の材料除去装置において、
落下する前記材料の衝撃を吸収する衝撃吸収手段が設けられた
ことを特徴とする材料除去装置。 - 請求項4または請求項5に記載の材料除去装置を備えたことを特徴とする加工機。
- 請求項6に記載の加工機において、
当該加工機は、時計用部品を機械加工する時計用部品加工機であって、
前記テーブルは、前記材料を保持する第1保持手段を有する第1テーブルとされ、
前記材料を保持する第2保持手段を有するとともに、前記材料の軸中心に回転可能で、かつ前記軸に直交する軸を中心に旋回可能な第2テーブルと、
互いに直交する三軸に関して位置決め可能に構成されるとともに、前記材料を機械加工する工具を取り付け可能な加工主軸とを備え、
前記第1テーブルおよび前記第2テーブルの少なくともいずれか一方は、いずれか他方に対して近接離間可能に構成されている
ことを特徴とする加工機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004149165A JP4622309B2 (ja) | 2004-05-19 | 2004-05-19 | 材料の除去方法、材料除去装置、および加工機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004149165A JP4622309B2 (ja) | 2004-05-19 | 2004-05-19 | 材料の除去方法、材料除去装置、および加工機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005329494A JP2005329494A (ja) | 2005-12-02 |
JP4622309B2 true JP4622309B2 (ja) | 2011-02-02 |
Family
ID=35484472
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004149165A Expired - Fee Related JP4622309B2 (ja) | 2004-05-19 | 2004-05-19 | 材料の除去方法、材料除去装置、および加工機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4622309B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111085694B (zh) * | 2019-12-31 | 2024-07-02 | 津上精密机床(浙江)有限公司 | 一种应用于垫圈加工机的自进料装置 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04193401A (ja) * | 1990-11-27 | 1992-07-13 | Tsugami Corp | 工作機械 |
JP2003175404A (ja) * | 2001-12-12 | 2003-06-24 | Seiko Instruments Inc | ワーク供給排出装置および方法 |
-
2004
- 2004-05-19 JP JP2004149165A patent/JP4622309B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04193401A (ja) * | 1990-11-27 | 1992-07-13 | Tsugami Corp | 工作機械 |
JP2003175404A (ja) * | 2001-12-12 | 2003-06-24 | Seiko Instruments Inc | ワーク供給排出装置および方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005329494A (ja) | 2005-12-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5094465B2 (ja) | 工作機械及び該工作機械を用いたワークの内表面加工方法 | |
KR101288727B1 (ko) | 귀따기용 블레이드 헤드를 이용하여 베벨기어를 모따기하거나 귀따기하기 위한 베벨기어 절삭장치와 그 방법 | |
KR101002610B1 (ko) | 초경합금 공구를 생산하는 원통 연삭법 및 초경합금 공구의생산시 원통 스타팅 바디를 연삭하는 원통 연삭기 | |
US6935003B2 (en) | Compound fabrication process and apparatus | |
JP5138258B2 (ja) | ガイドブッシュを備えた数値制御旋盤及びこの数値制御旋盤を用いたワークの加工方法 | |
JP6059947B2 (ja) | 複合加工機及び加工方法 | |
JP2007030101A (ja) | 差動ケースの内面加工方法及び内面加工装置 | |
EP2065110A1 (en) | Automatic chuck jaw change system in combined machining lathe | |
JPH01264732A (ja) | 工作機械 | |
MX2007009626A (es) | Dispositivo y metodo para maquinar en verde engranajes conicos. | |
JP2008126372A (ja) | 工作機械 | |
JP4572133B2 (ja) | 中空ワークの内面加工装置 | |
US9289839B2 (en) | Method for manufacturing bevel gears | |
JP2008023611A (ja) | 複合nc旋盤 | |
JP4622309B2 (ja) | 材料の除去方法、材料除去装置、および加工機 | |
US20080228313A1 (en) | Device and Method for Turning In Virtual Planes | |
JPH01228701A (ja) | 工作機械 | |
JP6829675B2 (ja) | 旋盤用工具ホルダ及びこの工具ホルダを備えた旋盤 | |
JP3738998B2 (ja) | 時計用外装部品の製造方法、時計用外装部品および時計 | |
JP2005283235A (ja) | 時計用部品の製造装置、時計用部品の製造方法、時計用部品および時計 | |
JP2019188488A (ja) | ポリゴンカッタユニット及び工作機械 | |
JP6757188B2 (ja) | 工作機械及び工作機械による加工方法 | |
JP4192251B2 (ja) | ロータリー・トランスファマシン | |
EP3804654B1 (en) | Method of machining a dental block for manufacturing a dental restoration | |
JP5382714B2 (ja) | 2つのワーク端面同時加工用複合加工機及びその加工方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20070403 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070521 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20091021 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100615 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100812 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20101005 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20101018 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131112 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313532 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |