JP4621742B2 - 燃料噴射弁に用いられる減衰エレメント - Google Patents

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Description

背景技術
本発明は、独立請求項の上位概念部に記載した形式の、燃料噴射弁に用いられる減衰エレメントから出発する。
すでに、内燃機関のシリンダヘッドの収容通路内に挿入可能な燃料噴射弁に用いられる減衰エレメントが、ドイツ連邦共和国特許出願公開第10038763号明細書に基づき公知である。この公知の減衰エレメントは、燃料噴射弁の弁ハウジングと、シリンダヘッドの収容通路の壁との間に配置されている。減衰エレメントは剛性的な2つのリングを有している。両リングの間には、弾性的な1つの中間リングが配置されている。減衰エレメントは、特に燃料噴射弁からシリンダヘッドへの音響伝搬を減少させる。減衰エレメントが、弁軸線に対する軸方向の極めて多くの構成スペースを要求し、比較的高い製作コストを有していることが不利である。
発明の利点
独立請求項の特徴部に記載の特徴を備えた本発明による減衰エレメントは従来のものに比べて、減衰エレメントが皿状に形成されていることによって、公知先行技術の場合と同じ程度に良好な減衰作用のまま、弁軸線に対する軸方向のより僅かな構成スペースが必要となるように、簡単に改善が得られるという利点を有している。皿状の構成と、皿状の減衰エレメントのカラーでの燃料噴射弁の支承とによって、減衰エレメントの十分な弾性が達成される。
従属請求項に記載した手段によって、独立請求項に記載した減衰エレメントの有利な構成および改良が可能となる。
減衰エレメントが、シリンダヘッドに設けられた収容通路の肩部に支持するための第1の区分と、この第1の区分に対して折り曲げられた、燃料噴射弁を支持するための第2の区分とを有していると有利である。なぜならば、第2の区分の折曲げによって、軸方向の構成スペースが節約され、さらに、減衰エレメントの十分な弾性が達成されるからである。
さらに、第1の区分が、第2の区分から出発して、弁軸線に対して半径方向内向きに延びていると有利である。なぜならば、こうして、収容通路の、減衰エレメントが接触する肩部が、第2の区分から出発して半径方向外向きに延びる第1の区分の場合よりも簡単に製作可能となるからである。
有利な構成によれば、第1の区分が、ほぼ平らにまたは湾曲させられて形成されている。
また、第2の区分が、カラー状に、ほぼ円錐形にかつ/または湾曲させられて形成されていても有利である。こうして、減衰エレメントの所要の弾性が得られる。
さらに、減衰エレメントが、貫通開口を有しており、この貫通開口が、燃料噴射弁によって貫通可能であると有利である。貫通開口は、有利には第1の区分に形成されている。
第1の区分と第2の区分とが、シリンダヘッドに支持するためのまたは燃料噴射弁を支持するための少なくとも1つの支持部を有しており、この支持部が、平らにまたは張出し部として形成されていると有利である。シリンダヘッドに対する減衰エレメントの支持面が小さければ小さいほど、固体伝搬音減衰作用はますます良好になる。
有利な構成によれば、減衰エレメントが、2つのカバー金属薄板と、両カバー金属薄板の間に配置された弾性的な1つの中間層とを有していることが提案されている。複合材料から製造された減衰エレメントは、特に良好な固体伝搬音減衰を有している。なぜならば、機械的な振動エネルギが弾性的な中間層で内部摩擦によって熱エネルギに変換されるからである。
実施例の説明
以下に、本発明の複数の実施例を図面につき詳しく説明する。
図1には、燃料噴射弁とシリンダヘッドとの間に設けられた本発明による減衰エレメントを備えたシリンダヘッドの収容孔内の燃料噴射弁が簡単に示してある。
燃料噴射弁1は、内燃機関のシリンダヘッド3の収容通路2内に配置されている。燃料噴射弁1は、燃料を内燃機関の燃焼室4内に噴射するために働き、たとえば、いわゆる「直接噴射」で使用される。燃料噴射弁1はその流入側の端部5に、たとえば燃料分配管路8に対する差込み接続部を有している。この差込み接続部は、たとえばシール部材9によって燃料分配管路8と燃料噴射弁1の流入管片10との間でシールされている。さらに、燃料噴射弁1は、この燃料噴射弁1を操作するためのアクチュエータ(図示せず)、たとえば電磁石または圧電式のまたは磁気歪み式のアクチュエータを電気的にコンタクティングするための電気的な接続部11を有している。
燃料噴射弁1は弁ハウジング14を有している。この弁ハウジング14はアクチュエータ区分14.1とノズル区分14.2とを有している。円筒状のこのノズル区分14.2は、弁ハウジング14の円筒状のアクチュエータ区分14.1よりも小さな直径を有しており、これによって、両区分14.1,14.2の間の移行部に環状の弁肩部15が形成されている。この弁肩部15は弁軸線16に対して半径方向外側でアクチュエータ区分14.1に向かって、たとえば円錐形に斜め面取りされており、これによって、円錐領域17が弁ハウジング14に形成されている。この弁ハウジング14のアクチュエータ区分14.1には、アクチュエータ(図示せず)が配置されている。このアクチュエータは弁ニードル(図示せず)を操作する。この弁ニードル(図示せず)は、アクチュエータ(図示せず)から出発して、弁ハウジング14のノズル区分14.2にまで延びている。弁ニードル(図示せず)は、公知の形式で閉鎖体(図示せず)を有している。この閉鎖体は、ノズル区分に配置された弁座(図示せず)と協働する。燃料噴射弁を開放するためには、弁ニードル(図示せず)が閉鎖体で弁座(図示せず)から持ち上がり、これによって、閉鎖体と弁座との間に出口ギャップ(図示せず)が形成されており、燃料分配管路8と、流入管片10とを介して弁ハウジング14内に到達した燃料が、出口ギャップを介して燃焼室4内に噴射される。
収容通路2は、弁ハウジング14のアクチュエータ区分14.1を収容するための第1の通路区分2.1と、弁ハウジング14のノズル区分14.2を収容するための第2の通路区分2.2とに分割されている。この第2の通路区分2.2の直径は、第1の通路区分2.1の直径よりも小さく形成されている。小さい方の直径の第2の通路区分2.2から大きい方の直径の第1の通路区分2.1への移行部には、環状の第1の肩部21が形成されている。この第1の肩部21には、たとえば燃料噴射弁1が支承されている。収容通路2の第2の通路区分2.2内への燃料噴射弁1のノズル区分14.2のより良好な導入のためには、第2の通路区分2.2が、アクチュエータ通路2.1に近い方の端部で円錐形に拡幅されている。燃料噴射弁1のノズル区分14.2に設けられたシールリング22は、第2の通路区分2.2と燃料噴射弁1のノズル区分14.2との間のギャップをシールしている。
燃料噴射弁1と収容通路2との間には、減衰エレメント25が設けられている。この減衰エレメント25は、たとえば収容通路2の第1の肩部21に接触していて、燃料噴射弁1を円錐領域17で支持している。
減衰エレメント25は、燃料噴射弁から内燃機関のシリンダヘッド3への固体伝搬音・振動伝達を減少させるために働く。特に圧電式のアクチュエータを備えた燃料噴射弁は、特に多段噴射において噴射サイクルごとに励振され、これによって、強い振動が生ぜしめられるようになっており、これによって、燃料噴射弁から出発した煩わしい騒音を車両に感知させ得ないために、燃料噴射弁とシリンダヘッドとの間の有効な固体伝搬音絶縁が必要となる。
本発明によれば、減衰エレメント25が皿状に形成されている。こうして、極めて構成スペースを節約した構成が達成される。たとえば、シリンダヘッド3の第1の肩部21と燃料噴射弁1との間には、軸方向で1.5ミリメートルしか減衰エレメント25のために提供されていない。
減衰エレメント25は、本発明によれば、シリンダヘッド3に設けられた収容通路2の肩部、たとえば第1の肩部21に支持するかまたは当て付けるための第1の区分26と、この第1の区分26に対して折り曲げられた、燃料噴射弁を支持するための第2の区分27とを有している。減衰エレメント25の皿形状は、第1の区分26に対して折り曲げられた第2の区分27によって形成される。第1の区分26は、たとえば円形に形成されており、第2の区分27は環状に形成されている。両区分26,27は互いに一体に結合されている。減衰エレメント25は貫通開口28を有している。この貫通開口28によって、減衰エレメント25が環形状を獲得する。また、貫通開口28は燃料噴射弁1によって貫通可能である。貫通開口28は第1の区分26に設けられており、これによって、皿25の底部26が1つの開口を有している。
減衰エレメント25は、たとえば金属、たとえば鋼および/またはプラスチックから製作されている。減衰エレメント25は、たとえば金属薄板から、たとえば1.5ミリメートルの厚さを備えて製造されている。減衰エレメント25の皿形状は、たとえば変形加工法、切削加工による形状付与または変形加工法によって達成される。
たとえば、第1の区分26は、第2の区分27から出発して、弁軸線16に対して半径方向内向きに延びている。しかし、第1の区分26は、弁軸線16に対して半径方向外向きで第2の区分27に配置されていてもよい。半径方向内側に配置された第1の区分26は、半径方向外側に配置された第1の区分26に比べて、シリンダヘッド3の、減衰エレメントが接触する肩部をより簡単に製作することができるという利点を有している。
第1の区分26は、たとえばほぼ平らにまたは湾曲させられて形成されていて、第1の支持部29で、たとえば平らな第1の肩部21に接触している。第1の支持部29の面は、音響伝搬を減少させるために、可能な限り小さく形成されていなければならない。第1の支持部29は、たとえば減衰エレメント25の、第1の肩部21に面した側の平らな下面である。しかし、第1の支持部29は、減衰エレメント25の下面に配置された1つまたはそれ以上の張出し部によって形成されていてもよい。この張出し部は任意の形状を有していてよく、半径方向の良好な移動可能性を得るために、たとえば丸み付けられている。
第2の区分27は、減衰エレメント25の第1の区分26からカラー状に突出している。たとえば、第2の区分27は少なくともほぼ円錐形に形成されている。この場合、湾曲部が外向きでシリンダヘッド3に向かって設けられていてもよい。第2の区分27は第2の支持部30で、たとえば弁ハウジング14の円錐領域17に接触している。減衰エレメント25は、燃料噴射弁1の円錐領域17と、この円錐領域17と協働する円錐形の第2の区分27とによって弁軸線16に対してセンタリングされる。第2の支持部30は、減衰エレメント25の、燃料噴射弁1に面した側の上面の一部である。たとえば、減衰エレメント25の上面には、1つまたはそれ以上の張出し部が設けられている。この張出し部は第2の支持部30を形成していて、有利には丸み付けられている。たとえば、環状のつば33が第2の支持部30として減衰エレメント25の上面に配置されている。たとえば、燃料噴射弁1と減衰エレメント25との線状の接触が生ぜしめられ、これによって、カルダン支承が得られている。
燃料噴射弁1から出発した力は、第2の支持部30と、減衰エレメント25のカラー27と、第1の支持部29とを介してシリンダヘッド3に伝達される。第1の支持部29と第2の支持部30との間には、軸方向の間隔のほかに、応力中心距離を成す半径方向の間隔も存在している。カラー27のこの応力中心距離によって、弁軸線16に対する減衰エレメント25の軸方向の弾性が生ぜしめられる。この弾性は、燃料噴射弁1のアクチュエータの周期的な切換パルスが著しく弱化されて第1の肩部21を介してシリンダヘッド3に伝達されることによって、固体伝搬音減衰を生ぜしめる。第2の支持部30には、燃料噴射弁1と減衰エレメント25との間で極めて小さな相対運動が生ぜしめられ、これによって、摩擦により、付加的な振動減衰が行われる。応力中心距離が大きく設計されていてばされているほど、減衰エレメント25の弾性はますます大きくなる。
第1の区分26から第2の区分27への移行部は、シャープエッジであってよいかまたは丸み付けられていてよい。
第1の肩部21の平らな構成によって、収容通路2内に配置された減衰エレメント25が、弁軸線16に対して半径方向に移動可能となる。減衰エレメント25の半径方向の移動可能性は必要である。なぜならば、収容通路2のノズル区分2.2の通路軸線31と、燃料分配管路8の流入軸線32とが、誤差に起因して常に整合しているとは限らないからである。
図2には、図1に示した部分IIにおける本発明による減衰エレメントの第1の実施例が示してある。図2に示した減衰エレメントでは、図1に示した燃料噴射弁に対して不変のまたは同作用の部材に同じ符号が付してある。
第1の実施例では、張り出したつば33が、第2の区分27の、第1の区分26と反対の側の端部で、燃料噴射弁1に面した側の上面に配置されている。
図3には、図1に示した部分IIIにおける本発明による減衰エレメントの第2の実施例が示してある。図3に示した減衰エレメントでは、図1に示した燃料噴射弁および図2に示した第1の実施例に対して不変のまたは同作用の部材に同じ符号が付してある。
図3に示した減衰エレメントは、図2に示した減衰エレメントと、カラー27の長手方向延在長さがより大きい点で異なってる。こうして、減衰エレメント25の剛性が高められている。つば33は、第2の区分27の、第1の区分26と反対の側の端部に配置されておらず、ほぼカラー27の長手方向延在長さの半分で、燃料噴射弁1に面した側の上面に配置されている。
図4には、図1に示した部分IVにおける本発明による減衰エレメントの第3の実施例が示してある。図4に示した減衰エレメントでは、図1に示した燃料噴射弁および図2および図3に示した実施例に対して不変のまたは同作用の部材に同じ符号が付してある。
図4に示した減衰エレメントは、図2および図3に示した減衰エレメントと、減衰エレメントが、2つのカバー金属薄板35と、両カバー金属薄板35の間に設けられた弾性的な1つの中間層36とから成る複合材料から製作されている点で異なっている。カバー金属薄板35と中間層36とは、それぞれ互いに固く結合されている。減衰エレメント25の曲げ振動時には、カバー金属薄板35が互いに相対的に移動させられる。これによって、弾性的な中間層36に周期的な剪断変形が生ぜしめられる。この場合、弾性的な中間層36における内部摩擦によって、機械的なエネルギとしての振動エネルギが失われていき、これによって、振動減衰ひいては固体伝搬音減衰が達成されている。
減衰エレメント25の第1の区分26は、第3の実施例によれば、平らではなく、第1の肩部21に向かって湾曲させられている。第2の区分27は、ほぼ円錐形にかつ付加的に湾曲させられて形成されている。半径方向外向きで第2の区分27に、たとえば第2の肩部34が続いている。第2の区分27から第2の肩部34への移行部は、たとえば丸み付けられている。
出発形状でまず平らな複合材料は、たとえば変形加工によって皿形状にもたらされる。
一層良好な騒音減衰を得るために、図示の実施例による複数の減衰エレメント25が互いに積み重ねられて配置されていてもよい。
シリンダヘッドの収容孔内の燃料噴射弁の断面図である。 図1に示した部分IIにおける第1の実施例を示す図である。 図1に示した部分IIIにおける第2の実施例を示す図である。 図1に示した部分IVにおける第3の実施例を示す図である。
符号の説明
1 燃料噴射弁、 2 収容通路、 2.1 第1の通路区分、 2.2 第2の通路区分、 3 シリンダヘッド、 4 燃焼室、 5 端部、 8 燃料分配管路、 9 シール部材、 10 流入管片、 11 接続部、 14 弁ハウジング、 14.1 アクチュエータ区分、 14.2 ノズル区分、 15 弁肩部、 16 弁軸線、 17 円錐領域、 21 第1の肩部、 22 シールリング、 25 減衰エレメント、 26 第1の区分、 27 第2の区分、 28 貫通開口、 29 第1の支持部、 30 第2の支持部、 31 通路軸線、 32 流入軸線、 33 つば、 34 第2の肩部、 35 カバー金属薄板、 36 中間層

Claims (5)

  1. 内燃機関のシリンダヘッドの収容通路内に挿入可能な燃料噴射弁に用いられる減衰エレメントであって、当該減衰エレメントが、燃料噴射弁の弁ハウジングと、シリンダヘッドの収容通路の壁との間に配置されており、当該減衰エレメント(25)が、シリンダヘッド(3)に設けられた収容通路(2)の肩部(21)に支持するための第1の区分(26)と、燃料噴射弁(1)を支持するための第2の区分(27)とを有しており、当該減衰エレメント(25)が、皿状に形成されている形式のものにおいて、第1の区分(26)が、第2の区分(27)に対して折り曲げられていて、該第2の区分(27)から出発して、弁軸線(16)に対して半径方向内向きに延びており、減衰エレメント(25)の第2の区分(27)が、円錐形に形成されていて、燃料噴射弁(1)に面した側の上面に、燃料噴射弁(1)に対する支持部を形成するための、弁長手方向軸線に対して内方に向けられた少なくとも1つの張出し部(30,33)を有しており、該少なくとも1つの張出し部(30,33)が、弁ハウジング(14)の円錐領域(17)と協働しており、これによって、減衰エレメント(25)に対して弁ハウジング(14)が円錐領域(17)において張出し部(30,32)によってのみ支承されていることを特徴とする、燃料噴射弁に用いられる減衰エレメント。
  2. 第1の区分(26)が、ほぼ平らにまたは湾曲させられて形成されている、請求項1記載の減衰エレメント。
  3. 第2の区分(27)が、カラー状に形成されている、請求項1記載の減衰エレメント。
  4. 当該減衰エレメント(25)が、貫通開口(28)を有しており、該貫通開口(28)が、燃料噴射弁(1)によって貫通可能である、請求項1記載の減衰エレメント。
  5. 貫通開口(28)が、第1の区分(26)に形成されている、請求項4記載の減衰エレメント。
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