JP4621347B2 - ヘリコンプラズマを用いた超微粒子薄膜形成装置 - Google Patents

ヘリコンプラズマを用いた超微粒子薄膜形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体プロセスの特にサブミクロンでのコンタクトホールへの埋め込みやSiの超微粒子を積層させた電予発光素子の分野で利用され得るへリコンプラズマを用いた超微粒子薄膜形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の超微粒子薄膜形成装置の一例を添付図面の図2に示す。従来の薄膜形成装置はスパッタリング法を用いて成膜されていた。すなわち、図2に示すように、図示装置はスパッタカソード室1とスパッタカソード室1に隣接して設けられた成膜室2とを備え、スパッタカソード室1はポート1aを介して図示していない真空ポンプに接続され、また成膜室2もポート2aを介して図示していない真空ポンプに接続され、それぞれ真空に保持できるように構成されている。スパッタカソード室1内には、液体窒素シュラウド3が設けられ、この液体窒素シュラウド3はスパッタカソード室1と熱的に絶縁されて取り付けられ、そして液体窒素が充填される。また液体窒素シュラウド3の後壁にはHeガス導入口3aが設けられている。4はスパッタカソード組立体であり、スパッタカソード室1に取り付けられている。
【0003】
スパッタカソード組立体4は、先端部にロウ材で接合されたターゲット4aと、マグネトロン放電を発生させる磁場を発生する永久磁石4bと、スパッタカソード組立体4の先端部からArガスを放出するようにされたArガス導入パイプ4cと、ターゲット4a及び永久磁石4bを冷却する冷却水の導入パイプ4dとを備えている。
【0004】
また、液体窒素シュラウド3の先端部にはアパチャ5が設けられている。6はオリフィスであり、スパッタカソード室1と成膜室2との間に取り付けられている。成膜室2内には基板ホルダ7が設けられ、基板ホルダ7には成膜すべき基板(図示していない)が装着される。
【0005】
このような従来の超微粒子薄膜形成装置の動作を、Si膜を形成する場合について説明する。
スパッタカソードの組立体4における夕一ゲット4aとしてSiターゲットを接合する。このスパッタカソード組立体4をスパッタカソード室1に取付け、そしてスパッタカソード室1及び成膜室2はそれぞれ組合さった真空ポンプで排気される。
【0006】
スパッタカソード室1及び成膜室2の圧力が10-5Torr以下になった段階で、Arガス導入パイプ4cからArガスを導入し、また図示していないがスパッタカソード組立体4に電力(DC又は高肩波)を供給し、Arプラズマを発生させてSiターゲット4aをスパッタする。この時に既にシュラウド3には液体窒素が充填され十分に冷却された状態にある。スパッタされたSiの原子群のうち電離された超微粒子、原子が発生する。発生したこれらの超微粒子、原子はHeガス導入口3aからシュラウド3内に導入されたHeガス衝突し、超微粒予の集合体を形成する。一方、ガス原子はシュラウド3の壁に凝結される。
【0007】
このようにしてシュラウド3内で形成された超微粒子は、アパチャ5を通りぬけ、オリフィスを通過する。この時に基板ホルダ7にプラス又はマイナス (図示例ではプラス)の電圧を印加すると、超微粒子は基板ホルダ7に向って加速されて基板に吸着し、超微粒子薄膜を形成する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の超微粒子薄膜形成装置では、粒径を変えるのにHeガスの流量を変えて行っていたが、スパッタカソードがブラズマを形成するためには数Torrまでシュラウド3内部を高い圧力に維持しないとプラズマが点火維持することができず、そのため広い範囲で圧力を制御することができなかった。また電離した超微粒子又は中性のガス原子と衝突して中性化してしまい、超微粒子の収率が低下する問題がある。
【0009】
また、アパチャ5及びオリフィス6を通過して基板に吸着する場合、吸着原子のエリア(すなわち成膜範囲)を制御することができない問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、上記のような従来技術の問題を解決して、超微粒子の粒径を大幅に変えることができしかも超微粒子の収率のよいへリコンプラズマを用いた超微粒子薄膜形成装置を提供することを目的としてい。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、スパッタカソード室と成膜室とを有し、スパッタカソード室にマグネトロンスパッタカソード部の回りに冷媒を貯蔵することが可能なシュラウドを設け、シュラウドで仕切られた閉空間に放電用ガスを導入して発生したプラズマによってマグネトロンスパッタカソード部に取付けられたターゲットからスパッタされた原子及び超微粒子をシュラウドで仕切られた閉空間に導入されるHeガスと衝突させて原子及び超微粒子の集合体を生成し、これを成膜室内の基板に吸着させて薄膜を形成するようにした装置において、シュラウド内にマグネトロンスパッタカソード部から離間して、超微粒子の発生プロセスを制御する高周波誘導コイルを設けたことを特徴としている。
高周波誘導コイルは、好ましくは出力電力を制御できる高周波電源によって付勢され得る。
【0012】
本発明では、シュラウド壁の内側でコイルを真空中に取り付けることによってRFのパワの吸収効率が上昇し、プラズマの電離効率を上げることができる。これにより、高周波はヘリコン伝搬モ ードとなり、ガス流量を低下させてもプラズマの放電を維持することができるようになる。例えば200W程度の高周波をコイルに投入することで、10−4Torrまで圧力を下げてもブラズマは点火保持することができる。その結果、シュラウド内部を従来のように数Torr程度の領域から10−4Torrまで下げることができるようになり、広い圧力範囲スパッタされた粒子の集団化のプロセスを行うことができ、超微粒子のサイズを変えることができるようになる。また、プラズマの電離効率が上げることにより、電子密度が高くなり、そして超微粒子の電離効率が上がり、その結果超微粒子の収率を上げることができるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面の図1を参照して本発明によるへリコンプラズマを用いた超微粒子薄膜形成装置の一実施の形態について説明する。
図1に示すように、超微粒子薄膜形成装置は、それぞれ円筒形を成したスパッタカソード室11及びスパッタカソード室11に連接して設けられた成膜室12を備えており、スパッタカソード室11及び成膜室12はそれぞれ排気ポート11a、12aを介して図示していない排気系に接続され、それぞれ真空に保持できるように構成されている。
【0016】
スパッタカソード室11内には、液体窒素シュラウド13が設けられ、この液体窒素シュラウド13はスパッタカソード室11と熱的に絶縁されて取り付けられ、そして内部に液体窒素が充填される。また液体窒素シュラウド13の後壁にはHeガス導入口13aが設けられている。
【0017】
液体窒素シュラウド13内には、スパッタカソード組立体14が同軸状に配置されている。このスパッタカソード組立体14は、先端部にロウ材で接合されたターゲット14aと、マグネトロン放電を発生させる磁場を発生する永久磁石14bと、スパッタカソード組立体14の先端部からArガスを放出するようにされたArガス導入パイプ14cと、ターゲット14a及び永久磁石14bを冷却する冷却水の導入パイプ14dとを備えている。
【0018】
また、液体窒素シュラウド13の先端部にはアパチャ15が同軸上に設けられている。アパチャ15の前方にはオリフィス16が同軸上に配置され、図示実施の形態ではこのオリフィス16はスパッタカソード室11と成膜室12との間に取り付けられている。
【0019】
成膜室12内には、基板ホルダ17が設けられ、基板ホルダ17は直流電源18に接続されている。基板ホルダ17には図示していないが成膜すべき基板が装着される。
【0020】
さらに、本発明の図示実施の形態においては、スパッタカソード組立体14とアパチャ15との間において液体窒素シュラウド13内には、高周波誘導コイル19が同軸上に配置され、このコイル19は外部の高周波電源20に接続されている。この高周波電源20はコイル19を付勢する出力電力を制御すなわち調整できるように構成され得る。このコイル19は、発生するプラズマ密度を高めて電離効率を上げるように作用する。
【0021】
また、成膜室12内において、オリフィス16と基板ホルダ17との間に金属製の円筒体から成り得るコンデンサコイル21が同軸上に配置され、このコンデンサコイル21は直流高電圧電源22に接続され、オリフィス16を通ってきた超微粒子をレンズ効果により収束させたり発散させるように機能する。
【0022】
このように構成した図示装置を用いてSi薄膜を形成する場合について説明する。
ターゲット14aとしてはSi基板を使用する。スパッタカソード組立体14におけるArガス導入パイプ14cを介してスパッタカソード組立体14の先端部からArガスをスパッタカソード室11内に導入してプラズマを点火させる。同時に高周波電源20からコイル19に高周波電力を投入してプラズマの電離効率を高めさせる。
【0023】
この状態において、Heガス導入口13aからシュラウド13内へHeガスを導入し、Arガスの流量を下げて行く。例えばこのヘリコン伝搬モードは10−4Torrまで下げることができる。この結果、従来原子の個数10〜10程度の集団であった微粒子の衝突が少な< なることより、原子の個数10〜10程度の集団となり、さらに超微細化することができる。
さらにプラズマ密度を上げることにより電離効率を上げることができる。
【0024】
ここで、アパチャ15及びオリフィス16が約φ1cmの場合、基板上の成膜エリアは2〜3cmである。しかし本発明によれば、コンデンサレンズ21に直流高電圧電源22から高電圧を印加することにより、コンデンサレンズ21の収束及び発散作用で基板上の成膜エリアはφ1cmからφ5cmまで変えることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、スパッタカソード室と成膜室とを有し、スパッタカソード室で生成された原子及び超微粒子の集合体を成膜室内の基板に吸着させて薄膜を形成するようにした装置において、スパッタカソード室内に設けたシュラウド内にマグネトロンスパッタカソード部から離間して、超微粒子の発生プロセスを制御する高周波誘導コイルを設けたことにより、発生するプラズマの電離効率を高めることができ、それにより生成される超微粒子の収率を大幅に向上させかつ超微粒子の粒径を大幅に変えることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のへリコンプラズマ用いた超微粒子薄膜形成装置の一実施の形態を示す概略断面図。
【図2】従来の超微粒子薄膜形成装置の一例を示す概略断面図。
【符号の説明】
11:スパッタカソード室
12:成膜室
13:液体窒素シュラウド
14:スパッタカソード組立体
15:アパチャ
16:オリフィス
17:基板ホルダ
18:直流電源
19:高周波誘導コイル
20:高周波電源
21:コンデンサコイル
22:直流高電圧電源

Claims (2)

  1. スパッタカソード室と成膜室とを有し、スパッタカソード室にマグネトロンスパッタカソード部の回りに冷媒を貯蔵することが可能なシュラウドを設け、シュラウドで仕切られた閉空間に放電用ガスを導入して発生したプラズマによってマグネトロンスパッタカソード部に取付けられたターゲットからスパッタされた原子及び超微粒子をシュラウドで仕切られた閉空間に導入されるHeガスと衝突させて原子及び超微粒子の集合体を生成し、これを成膜室内の基板に吸着させて薄膜を形成するようにした装置において、
    シュラウド内にマグネトロンスパッタカソード部から離間して、超微粒子の発生プロセスを制御する高周波誘導コイルを設けたことを特徴とするヘリコンプラズマを用いた超微粒子薄膜形成装置。
  2. 高周波誘導コイルが、出力電力を制御できる高周波電源に接続されている請求項1に記載のへリコンプラズマを用いた超微粒子薄膜形成装置。
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