JP4621336B2 - 真空遮断器用接点材料、その製造方法および真空遮断器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空遮断器用接点材料、その製造方法および真空遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】
遮断器は平常状態の電路を開閉するもので、接地事故や短絡事故などの異常時に、これら故障状態を検知する過電流検出器などと組み合わされて、自動的に瞬時に電路を遮断するものである。電力設備変電所内機器、高速鉄道車両等の電力供給系に広く使用されている。
【0003】
特に、真空遮断器は10−4Pa程度の高真空に維持した容器(真空バルブ)内に対向配置した一対の接点材料(接触子)間を開閉(非接触、接触)することにより、電路の開閉(非導通、導通)を行うものである。即ち、開の時上記接触子間を真空にすることにより接触子間が非導通に変化するもので、非導通になった状態の遮断状態は真空の絶縁を利用したものである。
【0004】
真空を絶縁として利用することは、接触子間の間隔をより狭くすることができ、より高速度で遮断することが可能となる(接触子の開閉ストロークを短くできる)。
【0005】
一般的に上記真空遮断器として要求される特性は、接触子間の開閉を瞬時にすることから、(1)遮断容量が大きいこと、(2)開時(非導通時)の接触子間の耐電圧が高いこと、(3)閉時(導通時)の接触子間の接触抵抗が小さいこと(低接触抵抗性)、(4)遮断操作時に接点部材の溶着力が小さいこと、(5)開閉動作による接点部材の消耗量が小さいこと、(6)裁断電流値が小さいこと、(7)接点材料の成形性(加工性)が良いこと、(8)十分な機械的強度(硬度)を有すること、(9)高速開閉制御が可能なこと、等が必要である。
【0006】
これらの要求を満足した真空遮断器は、電力の開閉制御内容が変化する都度、その高い要求性能を満足するものが開発されてきた。電路の電圧や電流値が増大すると接触子間の間隔を広くしなければ電路を遮断する際の絶縁耐力が不足する。この接触子間の間隔を広くすることは開閉特性の高速性が劣化するため採用することは困難である。
【0007】
したがって、絶縁耐力向上、高速開閉特性を目的として、さらに接触子間を高真空にし、接触子間の間隔をより狭くした真空遮断器がこれまで開発され、実用されてきた。
【0008】
さらに、真空遮断器は、開閉動作時に接触子間にアークが発生する。このアークや導通時の高電流による熱によって、接点部材が対向する接触子の接触面に溶着しないように耐溶着性や耐アーク性(耐弧性)の接点材料も開発されてきた。
【0009】
狭くなった接触子間で接点部材が溶融し変形したり、他の部分に溶着した場合、その溶着部分の表面が上記接触子間の間隔をさらに狭くする。即ち、絶縁性能が低下し、遮断時対向する上記接触子間の電圧も高電圧であるために、絶縁破壊を起こし、瞬時導通状態となる所謂再点弧現象が発生する。
【0010】
上記要件を満足するための接点材料として主として実用されてきたものは、高導電材料としてCu,耐弧材料としてCr又は/およびWを採用したものであった。接点材料Cu−Cr系はたとえば特開平11−176298号に記載されている。
【0011】
この文献には、Crの課題である、Cu相に固溶されるCrの濃度を低減する技術が記載されている。CrがCu相に固溶すると、真空遮断器が閉に動作した時(導通時)の低接触抵抗性に支障となる。
【0012】
また、接点材料Cu−W系はたとえば特開平7−134930号、特開平2−228438号に記載されている。この前者の文献には、安定した接触抵抗を得ることを目的とし、高導電成分のマトリックスにCrとWを耐弧材料として分散させ、30〜200μmのCuのプール部分を設けることにより安定した接触抵抗を得る技術が記載されている。この文献もCrを有し、Cu相に固溶すると低接触抵抗性に支障となる。
【0013】
後者の文献は、優れた低さい断電流特性と接触抵抗特性を改善することを目的としたもので、高導電性成分として、AgとCuの固溶体のマトリックス及び不連続相を形成し、この不連続相は幅又は厚みが5μm以下のものと5μm以上のものとを、上記マトリックスに微細かつ均一に分散させた接点材料が記載されている。
【0014】
上記再点弧現象を抑制した技術は、例えば特開平10−199379号に記載されている。この文献には、WにMoを補助成分として一体化させることにより、CuとWとの密着強度を高くして、Cu−W系接点材料の再点弧現象を抑制する技術が記載されている。
【0015】
これまでの上記接点材料の開発は、比較的硬いWと柔らかいCuからなる接点材料で、偏析が発生し易い。これを改善するため微細化した粒子を均一分散させるものであった。即ち、微小な高導電成分相と耐弧成分相とを如何に均一に微細分散させるかを開発主点として開発され、実用化されたものであった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
近年、高速鉄道車輌や磁気浮上車輌(リニアモータカー)の実用段階に近づくにつれ、車輛の走行距離や走行速度が実用状態に近くなり、これまでの真空遮断器では、さらに次のような課題が発生した。磁気浮上車輌は、線路の代替として車輌を浮上させるための磁界を発生するコイル列を路面に設ける。
【0017】
この路面を高速走行する際、上記車輌に搭載されている真空遮断器の開閉動作が各コイル毎に行われ、車輛の走行速度に応じて開閉動作が高速化する。これまでの真空遮断器に対し、車輌関係者から特に再点弧現象が発生するため、再点弧現象の抑制を強く要求されている。
【0018】
本発明者等は、上記再点弧現象の原因について観察し検討した結果、上記した磁気浮上車輌のような1200V、600Aという大電力を頻繁に高速で開閉制御する過酷な利用環境においては、依然として接点材料が溶融し接触子の接触面に付着していることがわかった。
【0019】
この付着物について、詳査した結果高導電体成分が溶融し、対向する接触子の接触面に付着し、再点弧現象を発生しているものと思われる。このような再点弧現象を抑制するためには、さらに耐弧成分を増量することが考えられるが、この場合には導通時の低接触抵抗性と導通時の電流容量を満足する低接触抵抗面積を有することを合わせて持つことが必要である。
【0020】
本発明は、上記点に対処してなされたもので、高頻度で高速に開閉を行った場合においても、接点材料の溶着や消耗が少なく、再点弧現象を抑制し、低接触抵抗面積を確保でき信頼性の高い真空遮断器用接点材料、その製造方法および真空遮断器を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明は、従来の微細な高導電成分相と耐弧成分相とを均一に分散させて、再点弧現象を抑圧した接点材料とは異なり、逆に高導電成分相を不均一分散させた接点材料にある。
【0022】
この発明の接点材料は焼結体の金属組織において、耐弧成分相のマトリックスに、主として所定の大きさの断面積を有する高導電成分相(一つの高導電成分粒子、微細高導電成分粒子の集合した領域、微細高導電成分粒子の集合した塊、微細高導電成分粒子の集合体)を点在(不均一分散)させることにより、上記した高頻度の開閉でも再点弧現象の抑制と、電流特性を維持し、低接触抵抗を可能にしたものである。
【0023】
上記所定の大きさの断面積を有する高導電成分相とは、一つの高導電成分粒子又は微細高導電成分粒子の集合体などの大きさ最大のものの断面積が0.001〜0.005mm2である。この断面積を有する高導電成分相は、接触子の接触面に複数箇所点在(不均一分散)させることである。上記断面積を有する高導電成分相は、粒子の断面積の大きさからなるものでもよいし、微小な高導電成分が集合した領域、塊、集合体などから構成されてもよい。
【0024】
上記高導電成分相は、好ましくは接触子に含有する全高導電成分の5〜35%である。この範囲で、最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相を複数点在して設けている。
【0025】
この構成により真空遮断器用接点材料としての再点弧現象を抑制し、電流特性を維持し、低接触抵抗性が可能である。5%以下では、相対的に銅(Cu)相がW粒子間に微細に存在することになり、真空遮断器の導通時に所望する電流特性を維持し、低接触抵抗性を得ることが困難であり、高導電成分相が溶融する。35%以上にすると、対向する接触子の接触面に粗大な高導電成分同士が溶着する場合が多くなるため、真空遮断器の開閉制御において再点弧現象が発生する。
【0026】
全高導電成分のうち残部の65〜95%の高導電成分は、断面積が0.001mm2よりも小さい閉鎖領域を形成している高導電成分相と、溶浸工程により焼結体の空隙(孔)に連続的に均一に含浸されている高導電成分とからなる。高導電成分の溶浸物が無い場合には、前者の断面積が0.001mm2よりも小さい閉鎖領域を形成している高導電成分相のみとなる。
【0027】
焼結体の金属組織における高導電成分相の断面積は0.001mm2未満である時、高導電成分相は、より微細に金属組織に分散し、結果的に耐弧成分粉末の粒子間に均一に存在する組織を形成するため、連続した耐弧成分相とはならず、耐弧成分としての特性が低下する。
【0028】
高導電成分相の断面積が0.005mm2を超えると、対向する接点に粗大な高導電成分相同士が溶着してしまう場合が多くなるため再点弧現象発生の原因となり望ましくない。
【0029】
上記高導電成分相としてのCuが上記条件にある時、その相関として耐弧成分としてのWが、ミクロ的に見て高密度となった部分を有し、その高密度となった箇所により、真空遮断器として接点全体の絶縁耐力特性、高速開閉特性、耐圧特性、耐弧特性が向上する。上記したWのマトリクスに上記断面積を有するCuを点在させるための接点材料としては、接点の接触抵抗値を下げる(低接触抵抗性)ための高導電成分の含有量は、20〜45重量%である。
【0030】
高導電成分の含有量が20重量%未満の場合には、導電性が低下し接触抵抗が増大し接点材料としての機能が低下する。一方、含有量が45重量%を超える場合は、後述する耐弧成分の含有量が相対的に低下し、接触子の開閉動作時に発生するアーク(電弧)によって接点が溶着し易くなり接点材料の耐消耗性が低下する。
【0031】
また、耐弧成分としてのWは、耐アーク性及び耐溶着性に優れ、接点の長寿命化を図るための硬い材料であり、55〜80重量%の範囲の含有が最適である。耐弧成分の含有量が55重量%未満においては、接点の長寿命化が困難である。他方、耐弧成分の含有量が80重量%を超える場合には、上記高導電成分の含有量の相対的低下を招き、接触抵抗の増大により接点の通電機能が低下する。耐弧成分領域に対する高導電成分領域は30%以下が望ましい。
【0032】
上記高導電成分としては、Cu、銀(Ag)、金(Au)などの少なくとも1種からなる高い導電率と融点が900℃以上を有する高導電体が好ましい。耐弧成分としては、高導電成分に固溶しない特性を有する硬い金属でタングステン(W)又はモリブデン(Mo)が好ましい。
【0033】
上記目的を達成するために、本発明の真空遮断器用接点材料は、Cu、Ag及びAuのうち少なくとも一種からなる高導電成分と、W、Moのうち少なくとも一種からなる耐弧成分とを含み、前記高導電成分の含有量が20〜45重量%であると共に、前記耐弧成分の含有量が55〜80重量%である、接点を構成する接点材料であって、前記接点材料の金属組織に、前記高導電成分からなると共に、最大断面積が0.001〜0.005mm2 の高導電成分相が複数点在していることを特徴とする。
【0034】
本発明の真空遮断器用接点材料は、前記最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相は前記接点材料中の前記高導電成分の全含有量に対して5〜35%であることを特徴とする。
【0035】
本発明の真空遮断器用接点材料は、前記接点材料の金属組織において、前記最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相は前記耐弧成分からなるマトリックス内に点在しており、かつ前記マトリックス内に存在する前記高導電成分の全量に対して5〜35%であることを特徴とする。
【0036】
本発明の真空遮断器用接点材料は、前記最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相の厚さは、1〜50μmであることを特徴とする。
【0038】
本発明の真空遮断器用接点材料は、前記耐弧成分の粒径は1〜5μmであることを特徴とする。
【0039】
本発明の真空遮断器用接点材料の製造方法は、Cu、Ag及びAuのうち少なくとも一種からなり、最大断面積が0.001〜0.005mm2 の高導電成分相を含む高導電成分粉末と、W、Moのうち少なくとも一種からなる耐弧成分粉末とを、前記高導電成分粉末の含有量が20〜45重量%となると共に、前記耐弧成分粉末の含有量が55〜80重量%となるように混合する混合工程と、前記混合工程で混合された混合物を成形する成形工程と、前記成形工程により得られた成形体を非酸化性雰囲気中で焼結する焼結工程とを具備することを特徴とする。
【0040】
本発明の他の真空遮断器用接点材料の製造方法は、Cu、Ag及びAuのうち少なくとも一種からなり、最大断面積が0.001〜0.005mm2 の高導電成分相を含む高導電成分粉末と、W、Moのうち少なくとも一種からなる耐弧成分粉末とを混合する混合工程と、前記混合工程で混合された混合物を成形する成形工程と、前記成形工程により得られた成形体を非酸化性雰囲気中で焼結する焼結工程と、前記焼結工程により得られた焼結体に、Cu、Ag及びAuのうち少なくとも一種からなる高導電成分を溶浸させる溶浸工程とを具備することを特徴とする。
【0041】
本発明の真空遮断器は、真空容器内に対向して設けられた一対の接触子の開閉動作によって電路を開閉する真空遮断器において、前記接触子は本発明の真空遮断器用接点材料からなることを特徴とする。
【0042】
Cu、Ag及びAuのうち少なくとも一種からなる高導電成分とW、Moのうち少なくとも一種からなる耐弧成分とからなる焼結体の空孔に上記所定の断面積を有する高導電成分をさらに含浸させて形成した接点材料である。上記高導電成分相の含有量は20〜45重量%である。
【0043】
上記耐弧成分の含有量は55〜80重量%である。高導電成分相の大きさは最大断面積で0.001〜0.005mm2であり、この断面積を有する高導電成分相は全高導電成分の5〜35重量%である。
【0044】
上記真空遮断器用接点材料の製造方法において、燒結温度を低温化するためにたとえば上記混合工程にコバルト(Co)、ニッケル(Ni)や鉄(Fe)などのうち少なくとも1種を微量添加してもよい。この添加量は、5重量%以下で、3重量%以下が望ましく、1重量%以下が最適である。上記断面積は、真空遮断器用接点材料から次のようにして求めることができる。
【0045】
接点材料を構成している高導電成分、耐弧成分などの各材料について、断面組織を金属顕微鏡で観察し、この断面組織を光電変換装置たとえばCCDカメラで撮像して画像信号を得る。この画像信号をデイジタル変換し、画像処理技術を用いて、連続した高導電成分相(閉鎖領域を形成している高導電成分相)の断面積を求めることができる。上記画像処理ソフトは、(株)ピアス社製PIASIIIである。
【0046】
最大断面積で0.001〜0.005mm2の高導電成分相、高導電成分などの最大断面積を測定する時の上記金属顕微鏡の測定範囲(視野)は、350×475(μm)領域で、この視野を移動させて各材料成分を測定できる。上記画像処理技術は、キーエンス社製形状測定顕微鏡などに付随された測定ツール(型名VK−8500)を使用できる。
【0047】
接点材料全体(高導電成分と耐弧成分の材料)の密度および各成分値との相関により簡易的に高導電成分のうち最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相と残部高導電成分の比率を次式で求めることができる。
【0048】
【数1】
上式において、高導電成分相面積は、最大断面積が0.001〜0.005mm2の全高導電成分相の面積である。
【0049】
高導電成分密度は、高導電成分の理論密度である。例えばCuの場合8.96g/cm2、Agの場合10.49g/cm2、Auの場合19.32g/cm2である。
【0050】
断面組織全体面積は、接触子接触面の面積である。
【0051】
材料密度は、高導電成分および耐弧成分の全含有量の密度である。例えばCu含有量30重量%と、W含有量70重量%の場合14.3g/cm2である。
【0052】
即ち、上記各材料の理論密度から1/(0.3/8.96+0.7/19.32)の演算から求めることができる。
【0053】
高導電成分比率は、接点材料全体に含有される高導電成分の割合で、当該材料について、ICPなどによる化学分析によって定量された値である。上記最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相の厚さは1〜50μmに選択されるが、この厚さの測定は、接点材料の高導電成分相部分を、研磨して切断面を露出させ、この露出面を金属顕微鏡により測定できる。
【0054】
さらに、耐弧成分の粒径は1〜5μmの大きさのものが用いられるが、この大きさは、接点材料の表面を研磨して、金属組織を露出させ、この金属組織を金属顕微鏡により、測定できる。
【0055】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態を説明するための真空遮断器の断面図である。図2は図1の電極部を拡大して示す断面図である。図3は、図2接触子の接触面を模式的に示す金属組織図である。
【0056】
図4は、比較例での接触子接触面を模式的に示す金属組織図である。図5、図6は、図3、図4の金属顕微鏡写真である。これらは、200倍に拡大したものである。接点の開閉動作が行われる遮断室5は、絶縁材料からなり、略円筒状に形成された絶縁容器6と、この絶縁容器6の上下端に封止用金属環7、8を介して設けた金属製の蓋体9、10とによって区画形成された真空気密容器が構成されている。
【0057】
遮断室5内には一対の導電棒11、12端面が離間して対向するように同軸的に配置され、その各導電棒11、12の対向する各端面13、14に、一対の電極15、16が電気的にも機械的にも一体に接続して設けられている。図において上部側の電極15は固定電極とする一方、下部側の電極16は真空遮断器の開閉制御を行うための可動電極としている。
【0058】
前者の固定電極側の上記導電棒11は、上記蓋体9を気密に貫通して遮断室5外に導出されている。後者の可動電極16の導電棒12は、遮断器の開閉動作ができるようにするために伸縮自在のベローズ17を気密に貫通し、さらに、蓋体10を上下動自在に貫通して遮断室5外に導出されている。
【0059】
導電棒12の開閉動作は、図において可動電極16が上下方向に移動することである。上下方向(軸方向)に移動する長さ分、瞬時移動できるように柔軟にベローズ17の伸縮特性が選択されている。
【0060】
すなわち、このベローズ17は円筒状に構成されたもので、図において上端は、環状金属板18の下面に気密に取着されている。この金属板18の穴を導電棒12が気密に嵌合して設けられる。ベローズ17の下端は蓋体10の内壁面に気密に取着されている。蓋体10の中央部には、導電棒12を自由に上下動させるための貫通孔19が設けられている。
【0061】
従って、真空に保持される遮断室5は、円筒状容器6、蓋体9、10、円筒状ベローズ17、金属板18により構成されている。ベローズ17により、遮断室5内を真空気密に保持した状態で、可動電極16の軸方向における往復動を可能にしている。
【0062】
上記ベローズ17の真空容器壁構造を図において上方の導電棒11にも形成すれば、上方の電極15も可動電極にすることもできる。上・下電極15、16を可動電極にすることにより、一方の電極の移動距離は1/2に構成することができ、開閉動作速度をより高速化できる。
【0063】
上記遮断室5内には、さらに次のようなアーク蒸気に対するシールド対策がなされている。ベローズ17の上部側壁面を囲繞するように円筒状の金属製アークシールド22が設けられており、このアークシールド22によってベローズ17内壁面がアーク蒸気によって覆われ、付着することを防止している。
【0064】
アーク蒸気がベローズ17の内壁面上に付着すると、電極16が上下動した時アーク蒸気付着物がベローズ17内表面から剥がれ、電極15、16および接触子(接点材料)20、21に付着し、アーク発生の要因となる場合がある。この実施形態では、アークシールド22の上端部が金属板18の外周部に取着され、アーク蒸気の付着を防止するように構成されている。
【0065】
このアークシールド22は、着脱自在に金属板18に取着すると、アーク蒸気付着物のクリーニングが容易である。
【0066】
さらに、遮断室5内には、絶縁容器6の内壁面に上記アーク蒸気の付着を防止するために金属製の円筒状アークシールド23が配設されている。このアークシールド23は、蓋体9の内壁面に取着されている。このアークシールド23も、着脱自在に蓋体9に取着すると、アーク蒸気付着物のクリーニングが容易である。このようにして、真空遮断器24が構成されている。
【0067】
次に、図1の電極15、16の構造を、図2を参照して具体的に説明する。図1と同一部分は、同一符号を用いて説明する。電極15、16は、この実施形態では、同一形状、同一構造であるため一方の電極のみを図示し説明する。電極16は導電棒12の端部14に形成されるろう付け部31に加熱ろう付けにより固定されるか、または、かしめ加工によって圧着接続される。接触子(接点部材)21は電極16の上端中央部にろう材32を介して一体に固着されている。
【0068】
電極16は断面略台形状の円板である。電極16の表面は粗さ5μmに研磨加工され、対向する表面は周縁部が放電を発生させないように曲率半径たとえば100Rの曲面状に加工されている。中央部には、直径50mm、厚さ5mmの円板状接触子21をろう付けなどし易いように接触子21の受け入れ用凹部33が形成されている。
【0069】
この凹部33に接触子21を嵌合させ、ろう付けにより一体に接合されている。なお、固定側接触子(接点部材)20も同様に、固定電極15の端面にろう材を介して一体に接合されている。上記実施形態は、導電棒11、12に電極15、16、接触子20、21をろう付けして一体化した実施形態について説明したが、一体に電極を形成する手段であれば何れでもよい。
【0070】
次に、上記接触子(接点材料)21接触面の金属組織を図3を参照して説明する。図5は、接触子(接点材料)の断面組織を金属顕微鏡で観察した断面写真である。この写真および図3は200倍に拡大したものである。
【0071】
最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相(Cu)41が複数箇所図3では中央部に2箇所点在している状態を黒枠で示し、断面積が0.001未満の大きさの黒枠は閉鎖領域(偏析領域・Cuリッチ領域)を形成している高導電成分相42である。上記全高導電成分の5〜35%は、最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相(Cu)41である。このCu相41の厚さは、1〜50μm程度が好ましい。
【0072】
上記全高導電成分の65%〜95%は、断面積が0.001mm2以下の高導電成分相42と焼結体の空隙に含浸させた高導電成分からなっている。上記比較的均一に分散し含浸した高導電成分および耐弧成分は図示を省略している。
【0073】
この耐弧成分は、均一に微細分散したマトリックス状に分散している。この耐弧成分相のマトリックスに最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相41が点在している状態を図3は示している。最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相41は、均一に分散されていない。
【0074】
次に、本発明真空遮断器用接点材料の製造方法の一実施形態を説明する。含有量が20〜45重量%の高導電成分(Cu)のうち、断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相(Cu)は5〜35%である。この高導電成分の粉末と耐弧成分として55〜80重量%のタングステン(W)粉末とを混合して混合粉体を調整する。
【0075】
この混合工程は、撹拌式混合機、ボールミルなどにより、混合時間を選択して均一に行う。最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相41の形状は定まらずたとえば略100〜150×30〜50μmで、形状は、図3に示すように粒子の表面が凸凹状(多突起状、不定型状)である。
【0076】
上記W粉の粒径は、1〜5μmで、断面積で6×10−7mm2〜30×10−7mm2である。この混合工程において、後の工程の焼結工程での燒結温度を低温化するためにたとえばコバルト(Co)、ニッケル(Ni)や鉄(Fe)などのうち少なくとも1種を微量添加してもよい。この添加量は、5重量%以下で、3重量%以下が望ましく、1重量%以下が最適である。
【0077】
次に、調整した混合粉体は粉末冶金材料では成形性を高めるためバインダー又は潤滑材を添加し金型に搬入する。その後、超硬製金型用工具鋼を用いたプレス機で300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、焼結工程を行う。非酸化性雰囲気たとえば水素雰囲気中にて1000℃以上の焼結温度で焼結を行い、焼結体を形成する。この焼結体は例えば直径52mm、厚さ6mmの円板状である。
【0078】
この焼結体内に、さらに高導電成分を含浸させるために溶浸処理を行う。この溶浸工程は、溶浸浴中に配置した高導電材料上に上記焼結体を載置し、非酸化性雰囲気たとえば水素雰囲気中においてCuの融点1084.5℃以上の温度たとえば1250℃を溶浸温度として加熱することにより、高導電成分の純Cuを溶融させる。溶融したCuは毛細管現象によって焼結体の空孔(細孔)内に順次含浸する。
【0079】
このようにして、結合強度が高く耐弧性および耐消耗性に優れると共に通電特性が優れた接触子(接点材料)を製造する。上記断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相の形状は、微粉高導電成分粉の塊、集合体により形成してもよい。
【0080】
次に、接点材料製造方法の実施例および比較例を説明する。この実施例および比較例の接点材料について、各接点材料の種類毎に、真空遮断機に組み込み、開閉回数1×104回のテストを実行した時の再点弧発生率を測定した。この再点弧発生率測定値を各接点材料の種類毎に、これまで、本発明者等が標準としていた高導電成分相の最大断面積0.0006〜0.0008mm2の接点材料による再点弧発生率の測定結果を基準として相対的発生率を求めた。
【0081】
接点材料Cu−Wの実施例、比較例
実施例1
高導電成分としてCuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCuの粉末である。このCu粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。
【0082】
これらの混合工程は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して1時間均一に混合した。次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaで所定形状に成形した。その後、水素雰囲気中にて温度800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。
【0083】
この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にCuを含浸し接触子21を製造した。このCuの溶浸により含浸したCu量と上記断面積0.001mm2以下のCu成分相42分の量とを加算したものが、上記高導電成分中の80%(24g)である。この接触子21接触面の断面組織を模式的に示した平面図を図3に示す。この金属組織の金属顕微鏡写真を図5に示す。断面積0.001mm2以下のCu成分相42は、上記混合工程、充填工程、焼結工程などにより発生したものと思われる。
【0084】
このように最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲のCu成分相41が点在した接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この時の真空遮断器24の評価回路50は、図7に示すものであった。
【0085】
この評価回路50は、電源容量が直流電圧1200V、直流電流600Aの直流電源51の出力回路に真空遮断器24の負荷抵抗52および真空遮断器24の直列接続回路を接続したものである。遮断室5内を10−7程度の高真空に排気した。
【0086】
この評価回路50の真空遮断器24に対して開閉制御回路53から開閉速度1回/秒の頻度で可動電極16の上下方向の移動制御(開閉制御)を行った。この時の、接触子(接点材料)20、21間の解離接触圧は250gであった。この開閉回数を1×104回実行した時の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0087】
実施例2
高導電成分としてCuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.002〜0.005mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。
【0088】
この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合した。
【0089】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0090】
この接触子21接触面における最大断面積0.002〜0.005mm2の大きさを有するCu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例2の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.4であった。
【0091】
実施例3
この実施例は、最大断面積0.002〜0.005mm2の範囲で大きさが分布しているCu粉末の集合体(塊)を得る例である。含有量が30重量%(30g)の電解銅(Cu)粉を用い、秤量してこの電解銅粉中の20%(6g)については、ボールミルにより粉体の状態が変化するまで擦りあわせて粗大化し、最大断面積が0.002〜0.005mm2の範囲に大きさが分布したCu成分相の塊にした。
【0092】
この最大断面積0.002〜0.005mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機にCu成分相の粉末と、W粉末と、さらにバインダ又は潤滑材を充填して30分間均一に混合した。
【0093】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0094】
この接触子21接触面における最大断面積0.002〜0.005mm2の大きさを有するCu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0095】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例3の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.4であった。
【0096】
実施例4
最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲の高導電成分相の比率を小さくした実施例。高導電成分としてCuを用い、この含有量は20重量%(20g)で、この高導電成分中5%(1g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として80重量%(80g)のW粉末とを秤量して混合した。
【0097】
この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して1時間均一に混合した。次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0098】
この接触子21接触面における最大断面積0.001〜0.003mm2の大きさを有するCu成分相41の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0099】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例4の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0100】
実施例5
高導電成分の含有量を最大にした実施例。
【0101】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は45重量%(45g)で、この高導電成分中35%(16g)については最大断面積0.002〜0.005mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として55重量%(55g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0102】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0103】
この接触子21接触面における最大断面積0.002〜0.005mm2の大きさを有するCu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0104】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例5の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0105】
実施例6
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以下にした場合の比較例。
【0106】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中3%(0.9g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。
【0107】
この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して予備配合して1時間均一に混合した。
【0108】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0109】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例6の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.8であった。
【0110】
実施例7
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以上にした場合の比較例。
【0111】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中40%(12g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して1時間均一に混合した。
【0112】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0113】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例7の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.9であった。
【0114】
比較例1
高導電成分相の最大断面積を所定値以下にした比較例。
【0115】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.0006〜0.0008mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。
【0116】
この混合は、ボールミル方式により上記Cu粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材にエネルギーを加えて1時間均一に混合した。
【0117】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0118】
この接触子21接触面における最大断面積0.0006〜0.0008mm2の大きさを有するCu成分相42の点在状態は図4に示すようなものであった。
この金属組織の金属顕微鏡写真を図6に示す。この写真および図4は、200倍に拡大したものである。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0119】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例1の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.0(基準)であった。
【0120】
比較例2
高導電成分相の最大断面積を所定値以上にした比較例。
【0121】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.008〜0.01mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。
【0122】
この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0123】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0124】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例2の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0125】
比較例3
高導電成分の含有量を所定値以下に、耐弧成分の含有量を所定値以上にした比較例。
【0126】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は15重量%(15g)で、この高導電成分中20%(3g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と、耐弧成分として85重量%(85g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0127】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0128】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0129】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例3の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0130】
比較例4
高導電成分の含有量を所定値以上に、耐弧成分の含有量を所定値以下にした比較例。
【0131】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は50重量%(50g)で、この高導電成分中20%(10g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として50重量%(50g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0132】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0133】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例4の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0134】
接点材料Cu−Moの実施例、比較例
実施例8
高導電成分としてCuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0135】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0136】
この接触子21接触面における最大断面積0.002〜0.005mm2の大きさを有するCu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0137】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例8の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.4であった。
【0138】
実施例9
高導電成分としてCuを用い、この含有量は20重量%(20g)で、この高導電成分中5%(1g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として80重量%(80g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0139】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0140】
この接触子21接触面における最大断面積0.001〜0.003mm2の大きさを有するCu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0141】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例9の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0142】
実施例10
高導電成分としてCuを用い、この含有量は45重量%(45g)で、この高導電成分中35%(15.8g)については最大断面積0.002〜0.005mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として55重量%(55g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0143】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0144】
この接触子21接触面における最大断面積0.002〜0.005mm2の大きさを有するCu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0145】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例10の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0146】
実施例11
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以下にした場合の比較例。
【0147】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中3%(0.9g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0148】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0149】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0150】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例11の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.8であった。
【0151】
実施例12
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以上にした場合の比較例。
【0152】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中40%(12g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0153】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0154】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例12の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.9であった。
【0155】
比較例5
高導電成分相の最大断面積を所定値以下にした場合の比較例。
【0156】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.0006〜0.0008mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。
【0157】
この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0158】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0159】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例5の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.0(基準)であった。
【0160】
比較例6
高導電成分相の最大断面積を所定値以上にした場合の比較例。
【0161】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.008〜0.01mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0162】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0163】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例6の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0164】
比較例7
高導電成分の含有量を所定値以下に、耐弧成分の含有量を所定値以上にした場合の比較例。
【0165】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は15重量%(15g)で、この高導電成分中20%(3g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として85重量%(85g)のMo粉末とを秤量して混合した。
【0166】
この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0167】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0168】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0169】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例7の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0170】
比較例8
高導電成分の含有量を所定値以上に、耐弧成分の含有量を所定値以下にした場合の比較例。
【0171】
高導電成分としてCuを用い、この含有量は50重量%(50g)で、この高導電成分中20%(10g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているCu成分相の粉末である。このCu成分相粉末と耐弧成分として50重量%(50g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Cu粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0172】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にCuを含浸し接触子21を製造した。
【0173】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0174】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例8の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0175】
接点材料Ag−Wの実施例、比較例
実施例13
高導電成分としてAgを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0176】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにCuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0177】
この接触子21接触面における最大断面積0.001〜0.003mm2の大きさを有するAg成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例13の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.4であった。
【0178】
実施例14
高導電成分としてAgを用い、この含有量は20重量%(20g)で、この高導電成分中5%(1g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として80重量%(80g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0179】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0180】
この接触子21接触面における最大断面積0.001〜0.003mm2の大きさを有するAg成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0181】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例14の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0182】
実施例15
高導電成分としてAgを用い、この含有量は45重量%(45g)で、この高導電成分中35%(15.8g)については最大断面積0.002〜0.005mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として55重量%(55g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0183】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0184】
この接触子21接触面における最大断面積0.002〜0.005mm2の大きさを有するAg成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。
【0185】
この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例15の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.4であった。
【0186】
実施例16
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以下にした場合の比較例。
【0187】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中3%(0.9g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0188】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0189】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例16の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.8であった。
【0190】
実施例17
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以上にした場合の比較例。
【0191】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中40%(12g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0192】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0193】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例16の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.9であった。
【0194】
比較例9
高導電成分相の最大断面積を所定値以下にした場合の比較例。
【0195】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.0006〜0.0008mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0196】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0197】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例9の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.0(基準)であった。
【0198】
比較例10
高導電成分相の最大断面積を所定値以上にした場合の比較例。
【0199】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.008〜0.01mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0200】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0201】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例10の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0202】
比較例11
高導電成分の含有量を所定値以下に、耐弧成分の含有量を所定値以上にした場合の比較例。
【0203】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は15重量%(15g)で、この高導電成分中20%(3g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として85重量%(85g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0204】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0205】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例11の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0206】
比較例12
高導電成分の含有量を所定値以上に、耐弧成分の含有量を所定値以下にした場合の比較例。
【0207】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は50重量%(50g)で、この高導電成分中20%(10g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として50重量%(50g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0208】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0209】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例12の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0210】
接点材料Ag−Moの実施例、比較例
実施例18
高導電成分としてAgを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0211】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0212】
この接触子21接触面における最大断面積0.001〜0.003mm2の大きさを有するAg成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例18の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.4であった。
【0213】
実施例19
高導電成分としてAgを用い、この含有量は20重量%(20g)で、この高導電成分中5%(1g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として80重量%(80g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0214】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0215】
この接触子21接触面における最大断面積0.001〜0.003mm2の大きさを有するAg成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例19の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0216】
実施例20
高導電成分としてAgを用い、この含有量は45重量%(45g)で、この高導電成分中35%(15.8g)については最大断面積0.002〜0.005mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として55重量%(55g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0217】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0218】
この接触子21接触面における最大断面積0.002〜0.005mm2の大きさを有するAg成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例20の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0219】
実施例21
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以下にした場合の比較例。
【0220】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中3%(0.9g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0221】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0222】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例21の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.8であった。
【0223】
実施例22
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以上にした場合の比較例。
【0224】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中40%(12g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0225】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0226】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例22の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.9であった。
【0227】
比較例13
高導電成分相の最大断面積を所定値以下にした場合の比較例。
【0228】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.0006〜0.0008mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0229】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0230】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例13の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.0(基準)であった。
【0231】
比較例14
高導電成分相の最大断面積を所定値以上にした場合の比較例。
【0232】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.008〜0.01mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0233】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0234】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例14の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0235】
比較例15
高導電成分の含有量を所定値以下に、耐弧成分の含有量を所定値以上にした場合の比較例。
【0236】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は15重量%(15g)で、この高導電成分中20%(3g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として85重量%(85g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0237】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0238】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例15の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0239】
比較例16
高導電成分の含有量を所定値以上に、耐弧成分の含有量を所定値以下にした場合の比較例。
【0240】
高導電成分としてAgを用い、この含有量は50重量%(50g)で、この高導電成分中20%(10g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAg成分相の粉末である。このAg成分相粉末と耐弧成分として50重量%(50g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Ag粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0241】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAgを含浸し接触子21を製造した。
【0242】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例16の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0243】
接点材料Au−Wの実施例、比較例
実施例23
高導電成分としてAuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0244】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0245】
この接触子21接触面における最大断面積0.001〜0.003mm2の大きさを有するAu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例23の再点弧発生率は0.6%であった。この接点材料での再点弧発生率の相対的比率は、0.4であった。
【0246】
実施例24
高導電成分としてAuを用い、この含有量は20重量%(20g)で、この高導電成分中5%(1g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として80重量%(80g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0247】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0248】
この接触子21接触面における最大断面積0.001〜0.003mm2の大きさを有するAu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例24の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0249】
実施例25
高導電成分としてAuを用い、この含有量は45重量%(45g)で、この高導電成分中35%(15.8g)については最大断面積0.002〜0.005mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として55重量%(55g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0250】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAgを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0251】
この接触子21接触面における最大断面積0.002〜0.005mm2の大きさを有するAu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例25の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0252】
実施例26
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以下にした場合の比較例。
【0253】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中3%(0.9g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0254】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0255】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例26の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.8であった。
【0256】
実施例27
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以上にした場合の比較例。
【0257】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中40%(12g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0258】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0259】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例27の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.9であった。
【0260】
比較例17
高導電成分相の最大断面積を所定値以下にした場合の比較例。
【0261】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.0006〜0.0008mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0262】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0263】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例17の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.0(基準)であった。
【0264】
比較例18
高導電成分相の最大断面積が所定値以上に大きい断面積にした場合の比較例。
【0265】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.008〜0.01mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0266】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0267】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例19の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0268】
比較例19
高導電成分の含有量を所定値以下に、耐弧成分の含有量を所定値以上にした場合の比較例。
【0269】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は15重量%(15g)で、この高導電成分中20%(20g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として85重量%(85g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0270】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0271】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例19の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0272】
比較例20
高導電成分の含有量所定値以上に、耐弧成分の含有量を所定値以下にした場合の比較例。
【0273】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は50重量%(50g)で、この高導電成分中20%(10g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として50重量%(50g)のW粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とW粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0274】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0275】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例20の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0276】
接点材料Au−Moの実施例、比較例
実施例28
高導電成分としてAuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0277】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0278】
この接触子21接触面における最大断面積0.001〜0.003mm2の大きさを有するAu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例28の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.4であった。
【0279】
実施例29
高導電成分としてAuを用い、この含有量は20重量%(20g)で、この高導電成分中5%(1g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として80重量%(80g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0280】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0281】
この接触子21接触面における最大断面積0.001〜0.003mm2の大きさを有するAu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例29の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0282】
実施例30
高導電成分としてAuを用い、この含有量は45重量%(45g)で、この高導電成分中35%(15.8g)については最大断面積0.002〜0.005mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として55重量%(55g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して30分間均一に混合し、混合粉末を得た。
【0283】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形した後に、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0284】
この接触子21接触面における最大断面積0.002〜0.005mm2の大きさを有するAu成分相の点在状態は図3に示すようなものであった。この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例30の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.5であった。
【0285】
実施例31
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以下にした場合の比較例。
【0286】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中3%(0.9g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0287】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0288】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例31の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.8であった。
【0289】
実施例32
全高導電成分量に対する最大断面積0.001〜0.003mm2の高導電成分相の割合を所定値以上にした場合の比較例。
【0290】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中40%(12g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0291】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0292】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この実施例32の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、0.9であった。
【0293】
比較例21
高導電成分相の最大断面積を所定値以下で構成した場合の比較例。
【0294】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.0006〜0.0008mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0295】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0296】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例21の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.0(基準)であった。
【0297】
比較例22
高導電成分相を所定値以上にした場合の比較例。
【0298】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は30重量%(30g)で、この高導電成分中20%(6g)については最大断面積0.008〜0.01mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として70重量%(70g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0299】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0300】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例22の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0301】
比較例23
高導電成分含有量を所定値以下に、耐弧成分の含有量を所定値以上にした場合の比較例。
【0302】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は15重量%(15g)で、この高導電成分中20%(3g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として85重量%(85g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0303】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0304】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例23の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0305】
比較例24
高導電成分含有量を所定値以上に、耐弧成分の含有量を所定値以下にした場合の比較例。
【0306】
高導電成分としてAuを用い、この含有量は50重量%(50g)で、この高導電成分中20%(10g)については最大断面積0.001〜0.003mm2の範囲で大きさが分布しているAu成分相の粉末である。このAu成分相粉末と耐弧成分として50重量%(50g)のMo粉末とを秤量して混合した。この混合は、撹拌式混合機に上記Au粉末とMo粉末さらにバインダ又は潤滑材を搬入して15分間均一に混合した。
【0307】
次に、調整した混合体をプレス成形機の金型に充填し加圧力300〜400MPaの加圧力で所定形状に成形する。その後、水素雰囲気中にて800℃で焼結を行い、焼結体を形成した。この焼結体内に、さらにAuを含浸させるために溶浸処理を行い、焼結体の空孔(細孔)内にAuを含浸し接触子21を製造した。
【0308】
この接触子21を真空遮断器24の接触子20、21に組み込み再点弧発生率を調べた。この評価は実施例1と同様に図7の評価回路で、同様な評価条件で行った。この比較例24の再点弧発生率を測定した。この測定値から求めた、再点弧発生率の相対的比率は、1.1であった。
【0309】
上記実施例と比較例の結果を表1〜3に示す。
【0310】
【表1】
【表2】
【表3】
上記実施例では、最大断面積0.001〜0.005mm2の高導電成分相41を、接触子接触面に2個の場合について説明したが、図8に示すように3個でも、図9に示すように4個でも複数個存在すればよい。
【0311】
上記実施例から高導電成分含有量は20〜45重量%、耐弧成分含有量は55〜80重量%、最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相を点在させ、高導電成分中の最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相の割合は5〜35%の接点材料は、真空遮断器の接触子として使用した場合、104回の開閉操作で、再点弧発生率は0.9%以下で、比較例より改善した。
【0312】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば高頻度で高速に開閉を行った場合においても、接点材料の溶着や消耗が少なく、再点弧現象の発生率を抑制し(耐弧特性を改善)、低接触抵抗面積を確保でき信頼性の高い真空遮断器用接点材料、その製造方法および真空遮断器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空遮断機の実施形態を説明するための断面図。
【図2】図1の電極部分を拡大して示す断面図。
【図3】図2の接触子接触面実施例の金属組織を説明するための平面図。
【図4】図3の接触子接触面比較例の金属組織を説明するための平面図。
【図5】図3金属組織の金属顕微鏡写真。
【図6】図4金属組織の金属顕微鏡写真。
【図7】図3実施例および図4比較例などの接触子を評価するための評価回路図。
【図8】図3の他の実施例による接触子接触面の金属組織を説明するための平面図。
【図9】図3の他の実施例による接触子接触面の金属組織を説明するための平面図。
【符号の説明】
5……………遮断室
6……………絶縁容器
7、8………封止用金属環
9、10……蓋体
11、12…導電棒
13、14…端面
15…………固定電極
16…………可動電極
17…………ベローズ
18…………金属板
19…………貫通孔
20、21…接触子(接点材料)
22、23…アークシールド
24…………真空遮断器
31…………ろう付け部
32…………ろう材
33…………凹部
41…………最大断面積0.001〜0.005mm2の高導電成分相
42…………閉鎖領域(偏析領域)を形成している高導電成分相
50…………評価回路
51…………直流電源
52…………負荷抵抗
53…………開閉制御回路
Claims (9)
- Cu、Ag及びAuのうち少なくとも一種からなる高導電成分と、W、Moのうち少なくとも一種からなる耐弧成分とを含み、前記高導電成分の含有量が20〜45重量%であると共に、前記耐弧成分の含有量が55〜80重量%である、接点を構成する接点材料であって、
前記接点材料の金属組織に、前記高導電成分からなると共に、最大断面積が0.001〜0.005mm2 の高導電成分相が複数点在していることを特徴とする真空遮断器用接点材料。 - 前記最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相は、前記接点材料中の前記高導電成分の全含有量に対して5〜35%であることを特徴とする請求項1記載の真空遮断器用接点材料。
- 前記接点材料の金属組織において、前記最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相は、前記耐弧成分からなるマトリックス内に点在しており、かつ前記マトリックス内に存在する前記高導電成分の全量に対して5〜35%であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の真空遮断器用接点材料。
- 前記最大断面積が0.001〜0.005mm2の高導電成分相の厚さは、1〜50μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の真空遮断器用接点材料。
- 前記耐弧成分の粒径は1〜5μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の真空遮断器用接点材料。
- Cu、Ag及びAuのうち少なくとも一種からなり、最大断面積が0.001〜0.005mm2 の高導電成分相を含む高導電成分粉末と、W、Moのうち少なくとも一種からなる耐弧成分粉末とを、前記高導電成分粉末の含有量が20〜45重量%となると共に、前記耐弧成分粉末の含有量が55〜80重量%となるように混合する混合工程と、
前記混合工程で混合された混合物を成形する成形工程と、
前記成形工程により得られた成形体を非酸化性雰囲気中で焼結する焼結工程と
を具備することを特徴とする真空遮断器用接点材料の製造方法。 - Cu、Ag及びAuのうち少なくとも一種からなり、最大断面積が0.001〜0.005mm2 の高導電成分相を含む高導電成分粉末と、W、Moのうち少なくとも一種からなる耐弧成分粉末とを混合する混合工程と、
前記混合工程で混合された混合物を成形する成形工程と、
前記成形工程により得られた成形体を非酸化性雰囲気中で焼結する焼結工程と、
前記焼結工程により得られた焼結体に、Cu、Ag及びAuのうち少なくとも一種からなる高導電成分を溶浸させる溶浸工程と
を具備することを特徴とする真空遮断器用接点材料の製造方法。 - 前記混合工程において、コバルト、ニッケル、鉄のうち少なくとも1種を5重量%以下添加することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の真空遮断器用接点材料の製造方法。
- 真空容器内に対向して設けられた一対の接触子の開閉動作によって電路を開閉する真空遮断器において、
前記接触子は請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の真空遮断器用接点材料からなることを特徴とする真空遮断器。
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