JP4618135B2 - リニア空燃比センサの劣化診断装置 - Google Patents

リニア空燃比センサの劣化診断装置 Download PDF

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本発明はリニア空燃比センサの劣化診断装置に関し、より詳細には、エンジンの排気系に設けられ、排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニア空燃比センサの劣化を診断するリニア空燃比センサの劣化診断装置に関する。
従来、この種のリニア空燃比センサの劣化診断装置としては、例えば特許文献1に開示されている技術がある。この特許文献1に開示されている技術では、通常運転時では、PID動作によって空燃比のフィードバック制御を実行するとともに、診断時には、フィードバック制御系のD動作を禁止してPI動作に切り換えることにより、リニア空燃比センサの出力変動を拡大し、センサ劣化度合いが大きい程、応答周期が長くなることに基づいて、リニア空燃比センサの応答遅れを拡大して検出するようにしている。
特許第3377336号公報
特許文献1に開示されている装置では、リニア空燃比センサの出力変動を拡大しているのでリニア空燃比センサの劣化判定が容易になる反面、診断時にD動作を禁止してPI動作に切り換えているので、目標空燃比に対する追従性が低下する結果、診断時のエミッション低下が不可避になるという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、診断時のエミッション低下を可及的に防止することができ、精度の高い劣化検出を迅速に実行することのできるリニア空燃比センサの劣化診断装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために本発明は、エンジンの排気ガス中の酸素濃度に基づいて、空燃比のフィードバック制御を実行するフィードバック制御系と、前記フィードバック制御系に設けられ、前記排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニア空燃比センサと、少なくとも燃料供給がカットされるタイミングとカットされた燃料供給が復帰するタイミングとを前記エンジンの運転状態として検出する運転状態検出手段と、前記運転状態検出手段によって検出された運転状態に基づいて、所定の減速運転領域では燃料供給をカットするとともに該所定の運転領域から外れた場合には燃料の供給を再開する燃料供給制御手段と、前記燃料供給制御手段が要求負荷の低減に伴って燃料の供給をカットする際の燃料カット開始タイミングと燃料カットが実行されてからエンジン回転数の低減により燃料供給を復帰する燃料復帰開始タイミングの少なくとも何れか一方におけるリニア空燃比センサの出力に基づいて前記リニア空燃比センサのむだ時間と時定数との少なくとも一方を判定パラメータとして演算する判定パラメータ演算手段と、演算された判定パラメータに基づいて前記リニア空燃比センサの劣化を判定する劣化判定手段とを備え、前記燃料供給制御手段は、エンジン回転数が所定の燃料復帰回転数に低減した場合に燃料の供給を復帰するものであるとともに、診断時における前記燃料復帰回転数を、非診断時に比べて高く変更するものであることを特徴とするリニア空燃比センサの劣化診断装置である。この態様では、リニア空燃比センサの診断タイミングとして、燃料カット開始タイミングまたは所定の燃料復帰開始タイミングの少なくとも一方において劣化診断が実行されるので、診断のために外乱を発生させる必要が全くない。このように、意図的に外乱を発生させることなくリニア空燃比センサの劣化診断を実行することができるので、目標空燃比に何ら影響を与えることがなくなる結果、診断時のエミッション低下を確実に防止することが可能になる。しかも、リニア空燃比センサを「むだ時間+一次遅れ要素」として、むだ時間と時定数との少なくとも一方を判定パラメータとしているので、的確に劣化診断を実行することが可能になる。すなわち
、リニア空燃比センサは、通常「むだ時間+一次遅れ要素」のプロセス伝達関数G(s)
Figure 0004618135

(但し、Lはむだ時間、τは時定数、Kはゲイン)
に従うため、むだ時間と時定数とを判定パラメータとして的確に劣化診断を実行することが可能となるのである。
また、燃料供給がカットされた状態からエンジン回転数が低減し、実回転数が燃料復帰回転数に達することによって、燃料供給制御手段は、燃料供給を再開する。その際、リニア空燃比センサの劣化診断時には、非診断時に比べて前記燃料復帰回転数を高く設定することにより、燃料供給復帰時の排気ガスの流量を確保し、低流量下でのリニア空燃比センサ出力の信頼性低下に起因する劣化誤検出を抑制することが可能になる。
本発明の別の態様は、エンジンの排気ガス中の酸素濃度に基づいて、空燃比のフィードバック制御を実行するフィードバック制御系と、前記フィードバック制御系に設けられ、前記排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニア空燃比センサと、少なくとも燃料供給がカットされるタイミングとカットされた燃料供給が復帰するタイミングとを前記エンジンの運転状態として検出する運転状態検出手段と、前記運転状態検出手段によって検出された運転状態に基づいて、所定の減速運転領域では燃料供給をカットするとともに該所定の運転領域から外れた場合には燃料の供給を再開する燃料供給制御手段と、前記燃料供給制御手段が要求負荷の低減に伴って燃料の供給をカットする際の燃料カット開始タイミングと燃料カットが実行されてからエンジン回転数の低減により燃料供給を復帰する燃料復帰開始タイミングの少なくとも何れか一方におけるリニア空燃比センサの出力に基づいて前記リニア空燃比センサのむだ時間と時定数との少なくとも一方を判定パラメータとして演算する判定パラメータ演算手段と、演算された判定パラメータに基づいて前記リニア空燃比センサの劣化を判定する劣化判定手段と、劣化診断時の際、燃料カット開始タイミングにおいて判定パラメータを演算する場合には、当該燃料カット開始タイミングの直前に、燃料復帰開始タイミングにおいて判定パラメータを演算する場合には、当該燃料復帰開始タイミングの直後に、非診断時よりも空気量変化を緩和する空気量変化調整手段とを備えていることを特徴とするリニア空燃比センサの劣化診断装置である。この態様では、比較的空気量変化が小さい状態でリニア空燃比センサの劣化診断を実行することができるので、より劣化診断の精度を高めることが可能になる。
好ましい態様において、前記劣化判定手段は、前記燃料カット開始タイミングでは、リッチからリーンに燃料噴射量が変化した場合のリニア空燃比センサの劣化を判定するものであり、前記燃料復帰開始タイミングでは、リーンからリッチに燃料噴射量が変化した場合のリニア空燃比センサの劣化を判定するものである。この態様では、外乱を発生させることなく、実質的にリッチからリーンまたはリーンからリッチに燃料噴射量が変化するタイミングでリニア空燃比センサの劣化診断を実行することが可能となる。ここで、リニア空燃比センサの応答劣化には、両側劣化と片側劣化の2つの態様がある。両側劣化とは、リッチ側、リーン側への変動に対するセンサ出力変化の応答性が何れも悪化する応答劣化をいい、片側劣化とは、リーン側からリッチ側、或いはリッチ側からリーン側に空燃比が変動した際、何れか一方のみについて、センサ出力変化の応答性が悪化する応答劣化をいう。両側劣化においては、リーン側へもリッチ側へもリニア空燃比センサの出力変化の応答性が悪化するので、フィードバック全体の応答性は遅れるものの、平均空燃比が目標空燃比からずれることはない。これに対して、片側劣化を来しているリニア空燃比センサの出力に基づいて、フィードバック制御を実行した場合、平均空燃比が目標空燃比からずれてしまうという問題がある。この点に関し、背景技術欄の特許文献1に開示されている装置では、単に出力変動を拡大しているだけであったので、リニア空燃比センサが片側劣化を来しているか否かを判定することはできなかった。そのため、特許文献1の劣化診断に基づいて、空燃比のフィードバック制御を続けると、平均空燃比が本来の目標空燃比(中心空燃比)からずれるという不具合を回避することができなかった。これに対し、本態様では、リーンからリッチまたはリッチからリーンの片側劣化をも確実に診断することができるという利点がある。
好ましい態様において、前記判定パラメータ演算手段は、燃料カット開始タイミングと燃料復帰開始タイミングとの双方において、判定パラメータを演算するものである。この態様では、片側劣化および両側劣化の双方を確実に検出することができるとともに、目標空燃比に対するずれをも確実に検出することが可能になる。
好ましい態様において、前記燃料供給制御手段は、劣化診断時の際、燃料カット開始タイミングにおいて判定パラメータを演算する場合には、当該燃料カット開始タイミングの
直前に、燃料復帰開始タイミングにおいて判定パラメータを演算する場合には、当該燃料復帰開始タイミングの直後に、目標空燃比を理論空燃比に設定するものである。この態様では、燃料カット開始タイミングまたは燃料復帰開始タイミングにおいて、リニア空燃比センサの劣化診断を実行する際、燃料カット直前または燃料復帰開始タイミング直後に目標空燃比が理論空燃比に設定されることになる。ここで、リニア空燃比センサは、理論空燃比よりもリッチ側の方がリーン側よりも比較的ばらつきが多いのであるが、本態様では、比較的ばらつきの小さくなる理論空燃比またはリーン側で劣化診断を実行することができる結果、基準値に対してリニア空燃比センサの出力のばらつきがすくなくなる範囲で劣化診断を実行することが可能になる。
好ましい態様において、前記判定パラメータ演算手段は、リニア空燃比センサの出力に基づいて、むだ時間と時定数とを区別して演算するものである。この態様では、リニア空燃比センサの劣化診断をより高精度に実行することが可能になる。
好ましい態様において、前記判定パラメータ演算手段は、前記リニア空燃比センサの出力を微分した微分値が所定のしきい値に達するまでの時間に基づいてむだ時間を演算するとともに、前記微分値のピークに基づいて時定数を演算するものである。この態様では、むだ時間、時定数をそれぞれリニア空燃比センサの出力の微分値に基づいて演算しているので、より精度の高い劣化診断を図ることが可能になる。
好ましい態様において、前記劣化判定手段は、複数の燃料カット開始タイミングと燃料復帰開始タイミングの少なくとも一方の劣化診断を実行するものであるとともに、前記判定パラメータ演算手段が積算した判定パラメータの平均を演算して基準値と比較することにより、前記リニア空燃比センサの劣化を判定するものである。この態様では、複数回判定パラメータを演算し、その平均値によってリニア空燃比センサの劣化を判定しているので、より精度の高い劣化判定を実現することが可能になる。
以上説明したように、本発明は、リニア空燃比センサの診断タイミングとして、燃料カット開始タイミングまたは所定の燃料復帰開始タイミングの少なくとも一方を起点する所定期間に劣化診断が実行されるので、意図的に外乱を発生させることなくリニア空燃比センサの劣化診断を実行することができ、目標空燃比に何ら影響を与えることがなくなる結果、診断時のエミッション低下を可及的に防止することができ、精度の高い劣化検出を迅速に実行することができるという顕著な効果を奏する。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の一形態に係るエンジン10の系統図である。
図1を参照して、本実施形態の劣化判定装置1に係るエンジン10には、複数の気筒11が設けられるとともに、各気筒11の内部には、図略のクランクシャフトに連結されたピストン12が嵌挿されることにより、その上方に燃焼室14が形成されている。エンジ
ン10には、前記クランクシャフトのエンジン回転数Neを検出するクランク角センサSW1が設けられている。
シリンダヘッドには、前記気筒11毎に燃焼室14に向かって開口する吸気ポート15、排気ポート16がそれぞれ形成されているとともに、これらのポート15、16には、吸気弁17および排気弁18がそれぞれ装備されている。
吸気ポート15には、吸気システム20が、排気ポート16には排気システム30がそれぞれ設けられている。
吸気システム20は、吸入空気を浄化するエアクリーナ21を上流端に備えている。エアクリーナ21には、エレメント22が内蔵されている。エアクリーナ21の下流側には、スロットルボディ23が設けられている。スロットルボディ23には、吸気システム20内を流通する吸入空気量Qaを調整するスロットルバルブ24が設けられている。本実施形態において、スロットルバルブ24は、電子制御式であり、そのアクチュエータ124によって開弁量が制御されるようになっている。
スロットルボディ23の下流側には、インテークマニホールド25が設けられ、このインテークマニホールド25の下流端に設けられた分岐吸気通路26が対応する気筒11の吸気ポート15に接続されている。図示の例では、分岐吸気通路26に燃料噴射弁27が設けられている。この吸気システム20には、エアクリーナ21とスロットルボディ23の間にエアフローセンサSW2が配置されている。エアフローセンサSW2は、エレメント22に濾過された吸入空気の吸入空気量Qaを出力するものである。さらに、スロットルボディ23には、当該スロットルバルブ24のスロットル開度TVOを検出するスロットルセンサSW3が設けられている。
排気システム30は、排気ポート16に接続されるエキゾーストマニホールド31と、このエキゾーストマニホールド31の下流側に配置され、当該エキゾーストマニホールド31内に排出された既燃ガスを浄化する三元触媒32と、この三元触媒32の上流側に配置されたリニア空燃比センサSW4とが設けられている。リニア空燃比センサSW4は、既燃ガスから酸素濃度に概ね比例する信号を出力することにより、空燃比A/Fのフィードバック制御を実行するためのものである。本実施形態において、エンジンの目標空燃比A/Fは、原則として理論空燃比(λ=1)に設定される。
さらに本実施形態においては、図略のアクセルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサSW5が設けられている。
上述した各センサSW1〜SW5並びに燃料噴射弁27は、コントロールユニット100に接続されることにより、空燃比A/Fのフィードバック制御系を構成している。
図2は本実施形態に係る劣化判定装置1の制御回路ブロック図であり、図3は図2の制御回路によって実現される劣化判定装置1のブロック線図である。
まず、図2を参照して、コントロールユニット100は、CPU101、ROMで具体化される補助記憶装置102、RAMで具体化される主記憶装置103を含んでいる。上述した各センサSW1〜SW5は、入力要素としてCPU101に接続されており、それぞれ対応する信号Ne、Qa、TVO、PF、AOFをCPU101に出力するように構成されている。
CPU101は、補助記憶装置102に記憶されているプログラムに基づいて、各セン
サSW1〜SW5の出力した信号Ne、Qa、TVO、PF、AOFを処理し、出力要素として接続されている燃料噴射弁27やアクチュエータ124を制御して空燃比A/Fをフィードバック制御するように構成されている。
補助記憶装置102には、詳しくは後述する劣化診断プログラムが記憶されている。
主記憶装置103は、補助記憶装置102に記憶されたプログラムを実行する過程で、各センサSW1〜SW5が出力した信号Ne、Qa、TVO、PF、AOFやこれに基づいて演算された演算値を記憶するように構成されている。
図3を参照して、コントロールユニット100は、同図に示すフィードバック制御系110を構成している。このフィードバック制御系110は、目標空燃比A/F(λ=1)を目標値DVとする基準入力要素111と、基準入力要素111の出力した基準入力IPに補正信号SSを出力して補正をかける補正要素112と、補正要素112に補正された動作信号ASに基づいて、操作量OVを決定するフィードバック要素114とを含んでいる。
補正要素112とフィードバック要素114との間には、リニア空燃比センサSW4の出力(実空燃比)PFが入力されるようになっており、フィードバック要素114は、基準入力要素111の基準入力IPから補正要素112の補正信号SSを差し引き、さらに出力(実空燃比)PFを差し引いた動作信号ASを受けて、フィードバックゲインKを含む所定の伝達関数G(S)に基づき、操作量OVを出力するように構成されている。
次に、補助記憶装置102に記憶されている制御マップM10(図5参照)について説明する。
図4は、補助記憶装置102に記憶されている制御マップM10の基となる運転領域を示すグラフである。
図4を参照して、補助記憶装置102に記憶されている運転領域は、低速低負荷側のアイドル運転領域Aと、いわゆるロードロードラインLLよりも高負荷側の高負荷運転領域Bと、前記ロードロードラインLLよりも低負荷側の低負荷運転領域Cとに分けられ、低負荷運転領域Cにおいて、所定のエンジン回転数(以下燃料復帰回転数という)Ne
上における所定の低負荷運転領域を減速燃料カット運転領域C1と設定している。補助記憶装置102には、各運転領域A〜C1毎にCPU101が各種アクチュエータを駆動するようにプログラムされており、劣化判定装置1に関しては、運転状態が低負荷運転領域Cにおいて、減速燃料カット運転領域C1に遷移する際には、詳しくは後述するステップで燃料をカットし、減速燃料カット運転領域C1からアイドル運転領域Aに遷移する際には、燃料供給を復帰するように構成されている。本実施形態においては、図4のようなアクセル開度(エンジン負荷)AOFとエンジン回転数Neとの関係に基づいて制御マップM10を作成し、後述する手順で燃料供給や燃料復帰回転数Neの設定変更を実行することにより、燃料カット時または燃料供給復帰時において、目標空燃比を変更することなく、リニア空燃比センサSW4の劣化診断を実行することができるようになっている。
図5および図6は本実施形態における劣化診断プログラムのフローチャートである。
まず、図5を参照して、劣化診断プログラムが実行されると、CPU101は診断条件が成立するのを待機する(ステップS20)。ここで診断条件とは、診断が完了したか否かをいう。
仮に加速時等、診断条件を満たさない場合には、診断条件を満たすまで待機し、診断条件が成立している場合には、診断期間Tdiaが設定され(ステップS21)、診断期間Tを経過した場合には、図12に示す劣化診断判定処理に移行する(ステップS22)。
次に、診断期間Tdia中において、CPU101は、運転領域が燃料カット実行条件を満たしているか否かを判定する(ステップS23)。本実施形態においては、外乱を発生させずにエンジン10の運転状態が低負荷運転領域Cから減速燃料カット運転領域C1に移行する際または減速燃料カット運転領域C1からアイドル運転領域Aに移行する際の燃料噴射量の変化時にリニア空燃比センサSW4の劣化診断を実行するものだからである。
ステップS23において燃料カット実行条件が成立すると、コントロールユニット100は、燃料カットの実行直前にアクチュエータ124を制御し、スロットル開度の調整を行って、空気量の変化率を低減するとともに、空燃比A/Fを理論空燃比に維持する制御を実行する(ステップS24)。この制御により、空気量の変化が少なくなって、リニア空燃比センサSW4の出力(実空燃比)PFの検出精度が高くなるとともに、詳しくは後述するように、理論空燃比の状態から燃料カットが実行されることにより、リニア空燃比センサSW4の出力のばらつきが少ないリーン側で劣化診断を実行することが可能になる。
次いで、コントロールユニット100は、燃料カットを実行する(ステップS25)。このように各センサSW1〜SW5の出力に基づいて燃料カットを実行することにより、コントロールユニット100は、機能的に燃料供給制御手段を構成している。
エンジン10の運転状態が減速燃料カット運転領域C1に移行すると、詳しくは後述する一次遅れ演算サブルーチンが実行される(ステップS26)。そして、この一次遅れ演算サブルーチンにより、実空燃比が理論空燃比からリーンに変遷した際のリニア空燃比センサSW4のむだ時間L並びに時定数τが演算され、劣化診断が実行される。
次に図6を参照して、本実施形態においては、図4で説明した制御マップM10に基づいて、エンジン回転数Neが燃料復帰回転数Neに減速した場合には、燃料供給を復帰
させるのであるが、これに先立ち、診断時の燃料復帰回転数を、非診断時の燃料復帰回転数Neよりも大きな診断時燃料復帰回転数NerDに設定する制御を実行する(ステップS30)。この制御においては、リーン状態から燃料供給が復帰されることに伴い、燃料供給復帰時の排気ガスの流量を確保し、低流量下でのリニア空燃比センサSW4の出力(実空燃比)PFの信頼性低下に起因する劣化誤検出を抑制することが可能になるようにしている。
次いで、コントロールユニット100は、燃料の供給復帰条件が成立しているか否かを判別し(ステップS31)、成立していない場合には、ステップS30に戻って成立を待機するとともに、成立した場合には、燃料の復帰を開始する(ステップS32)。ここで、燃料の供給復帰条件は、エンジン回転数Neが上述した診断時燃料復帰回転数NerDに達した場合の他、運転者がアクセルを踏み込んだ場合も含まれている(図4の矢印NG参照)。そのような場合においてリニア空燃比センサSW4の劣化診断を実行すると、リーンからリッチ側へ変位する値が基準値と合わなくなるおそれがある。そこで、本実施形態では、そのような場合の燃料復帰を排除するために、ステップS33において、燃料復帰開始時のエンジン回転数Neが診断時燃料復帰回転数NerD以下であるか否かを判定し、エンジン回転数Neが燃料復帰回転数NerDを超える場合には、劣化診断を実行しないように設定されている。
次に、エンジン10の運転状態がアイドル運転状態に遷移した場合(すなわち、ステッ
プS33でYESの場合)、コントロールユニット100は、リニア空燃比センサSW4の劣化診断に先立ち、スロットル開度を調整して空気量Qaの変化率を低減するとともに、目標空燃比A/Fが理論空燃比となるように制御する(ステップS34)。これにより、図5のステップS24の場合と同様に、空気量の変化が少なくなって、リニア空燃比センサSW4の出力(実空燃比)PFの検出精度が高くなるとともに、理論空燃比の状態に燃料供給が復帰することにより、リニア空燃比センサSW4の出力のばらつきが少ない理論空燃比側で劣化診断を実行することが可能になる。
次いで、一次遅れ演算サブルーチンS35が実行される。この一次遅れ演算サブルーチンS35においては、空燃比がリーンから理論空燃比に変遷した際のリニア空燃比センサSW4のむだ時間L並びに時定数τが演算され、劣化診断が実行される。
その後、各判定パラメータについて、所要の診断回数NENDを終了したか否かが判定され(ステップS36、S37)、何れかの出力回数NLR、NRLが所要の診断回数NENDに満たない場合には、ステップS22に戻って処理を繰り返し、双方の出力回数NLR、NRLが終了している場合には、劣化判定処理に移行する。
次に、図7を参照して、図5、図6の一次遅れ演算サブルーチンS26、S35について説明する。図7は図5、図6の一次遅れ演算サブルーチンS26、S35を説明するフローチャートである。また、図8、図9は図7のフローチャートを実行することによって得られた信号のタイミングチャートである。
図7並びに図8および図9を参照して、サブルーチンS26またはS35が実行されると、コントロールユニット100のCPU101は、入力された実空燃比PFの微分値DO2を演算する(ステップS100)。これにより、リニア空燃比センサSW4の出力した実空燃比PFがどのように変化するか把握することが可能になる。このように本実施形態のCPU101は、リニア空燃比センサSW4の出力(実空燃比)PFを微分した微分値DO2を出力する微分手段を機能的に構成している。
ここで、リニア空燃比センサSW4は、「むだ時間+一次遅れ要素」である。そこで、本実施形態では、演算された微分値DO2が所定のしきい値+ThD、−ThDの絶対値を越えるのを待機する(ステップS101)。
ステップS101の判別で、演算された微分値DO2がしきい値+ThD、−ThDとの条件を満たした場合には、リニア空燃比センサSW4のむだ時間Lを演算する(ステップS102)。
次に、ステップS100で演算された微分値DO2のピーク値DO2PKが演算され(ステップS103)、そのピーク値DO2PKに基づいて、時定数τが演算される(ステップS104)。上述したように、リニア空燃比センサSW4は「むだ時間+一次遅れ要素」として扱うことができるものであるため、微分値DO2のピーク値DO2PKを演算することにより、時定数τを求めることが可能になる。
時定数τの演算が終了すると、CPU101は、演算された判定パラメータとしてのむだ時間L並びに時定数τが、燃料カットによるものであったか、燃料復帰によるものであったかを判定する(ステップS105)。次いで、演算されたむだ時間L、時定数τについて、演算回数をカウントするために、それぞれの出力回数NLR、NRLをインクリメントし(ステップS106、S107)、診断が燃料カットによるものである場合はリッチからリーンとして、燃料復帰によるものである場合はリーンからリッチとして、それぞれ劣化検出値(演算されたむだ時間L、時定数τ)を主記憶装置103に保存する(ステップS108)。その後、出力回数NLR、NRLがインクリメントされた判定パラメータについて、良否判定をサブルーチンで実行する(ステップS109)。
図10は燃料カット時における判定パラメータの判定手法を示すためのタイミングチャートであり、図11は燃料復帰時における判定パラメータの判定手法を示すためのタイミングチャートである。各図において、(A)はむだ時間遅れの判定手法、(B)は時定数遅れの判定手法をそれぞれ示している。また各図において、実線で示すデータは、基準値(正常なリニア空燃比センサSW4の出力に基づく値)、破線で示すデータは、劣化したリニア空燃比センサが出力した例を示している。
まず図10(A)を参照して、図7のサブルーチンS109において、燃料カット時におけるむだ時間遅れの判定方法としては、Md1で示すように、空気過剰率がどのタイミングで所定のしきい値に達するかを判定し、ある基準時よりも遅れている場合には、むだ時間が遅れていると判定することが可能である。また、ステップS100で演算された微分値DO2に基づき、図10(A)のMd2で示すように、所定のしきい値に微分値DO2が達するまでの時間が所定時間を超える場合には、リニア空燃比センサSW4の劣化と判定することも可能である。
次に、図10(B)を参照して、燃料カット時における時定数τの劣化を判定する手法としては、Md3で示すように、空気過剰率を超える範囲を予め設定しておき、この範囲を超えるのに要する時間の長さで劣化を判定することが可能である。また、ステップS100で演算された微分値DO2に基づき、図10(B)のMd4で示すように、空燃比A/Fをもとにして、ピーク値が所定の高さに達しているか否かを判別することにより、時定数τの遅れを判定することが可能である。
次に、図11(A)を参照して、燃料カット状態から復帰した場合のむだ時間Lの遅れを判定する手法としては、図のMd11で示すように、空気過剰率が空燃比A/Fに基づくしきい値まで低下するのに要する所要時間を検出し、この所要時間に基づいてリニア空燃比センサSW4の劣化を診断することが可能である。
また、Md12に示すように、ステップS100で演算された微分値DO2に基づき、燃料増量率が所定のしきい値に達するまでの時間に基づいて、むだ時間Lの遅れを判定することが可能である。
他方、図11(B)を参照して、燃料カット状態から復帰した場合の時定数τの遅れを判定する手法としては、図のMd13で示すように、空燃比A/Fに基づいて、空気過剰率がどのような勾配で低減するかを演算することにより、劣化判定を下すことが可能である。
また、図のMd14で示すように、空燃比A/Fに基づいて、所定範囲における微分値DO2の面積が達するまでの時間が所定時間を超える場合には、リニア空燃比センサSW4の劣化と判定することも可能である。
このように、図7のステップS108においては、種々の方法で、演算されたむだ時間L、時定数τに基づくリニア空燃比センサSW4の劣化診断を実行することが可能である。
さらに本実施形態においては、これら判定パラメータとしてのむだ時間L、時定数τを複数回演算し、その平均値に基づいて、最終的な劣化判断を下すようにしている。
図12は劣化判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図12を参照して、ここでは、劣化判定を行うために、むだ時間Lと時定数τの和を過渡時間Tとして定義している。尤も、過渡時間Tは、むだ時間Lのみ、或いは時定数τのみであってもよいことはいうまでもない。
図6におけるステップS37までの処理が終了すると、CPU101は、まず、カウントされた出力回数NLR、NRLがそれぞれ所定の最小値Nmin以上であるか否かを判定し(ステップS209、S210)、最小値Nminに満たない場合には、直ちに過渡時間遅れと判定する(ステップS217、S219)。通常、リニア空燃比センサSW4が正常な場合には、診断期間Tdia内に必要な出力回数NLR、NRLの演算が実行されるのに対し、リニア空燃比センサSW4の劣化が進むと、フィードバックが発散しやすくなることから、判定パラメータの積算数が少なくなる。そのような場合には、排気性能の低下を抑止する観点から、劣化判定を下すことにより、僅かでも劣化の可能性があるリニア空燃比センサに対してより安全側な判定診断(すなわち不良判定)を行うことにより、フェールセーフ機能を高めているのである。
カウントされた出力回数NLR、NRLがそれぞれ所定の最小値Nmin以上である場合、CPU101は、燃料カットと燃料復帰に係る平均過渡時間TLR、TRLをそれぞれ演算する(ステップS211)。次いで、両平均過渡時間TLR、TRLの絶対値の差を演算し、その値が所定のしきい値ThBを越えていないかどうか判定する(ステップS212)。各平均過渡時間TLR、TRLにおいて、絶対値の差が大きい場合には、フィードバック要素114による空燃比制御がリッチ側またはリーン側にずれてしまうので、そのようなずれを防止するために、両平均過渡時間TLR、TRLの絶対値の差が演算されている。
仮に両平均過渡時間TLR、TRLの絶対値の差がしきい値ThB以下の場合、今度は、両平均過渡時間TLR、TRLの絶対値の和がしきい値ThAを越えているか否かが判定される(ステップS213)。両平均過渡時間TLR、TRLの絶対値の和が大きい場合には、フィードバック制御が過補正になり、制御が緩慢になって発散しやすくなるからである。
仮に、両平均過渡時間TLR、TRLの絶対値の和がしきい値ThA以下の場合には、過渡時間Tについて正常と判定される(ステップS214)。他方、両平均過渡時間TLR、TRLの絶対値の和がしきい値ThAを越えている場合には、リニア空燃比センサSW4の劣化がリッチ側でもリーン側でも起きていると判定される(ステップS215)。
他方、ステップS212において、両平均過渡時間TLR、TRLの絶対値の差がしきい値ThBを越えている場合、リッチ側の平均過渡時間TLRとリッチ側のしきい値ThRとが比較されてリッチ側で過渡時間遅れが生じているか否かが判定され(ステップS216)、しきい値ThRを越えている場合には、リッチ側過渡時間遅れが生じていると判定される(ステップS217)。また、平均過渡時間TLRがしきい値ThR以下の場合には、さらにリーン側の平均過渡時間TRLとリーン側のしきい値ThLとが比較され、リーン側で過渡時間遅れが生じているか否かが判定される(ステップS218)。リーン側の平均過渡時間TRLがしきい値ThLを越えている場合には、リーン側過渡時間遅れが生じていると判定され(ステップS219)、しきい値ThL以内である場合には、正常判定がなされる。なおしきい値ThB、ThAの設定によっては、ステップS218を省略し、ステップS216でNOと判定された場合には、そのままステップS219の判定を実行するようにしてもよい。
そして、ステップS214、S215、S217、S219の何れかが終了すると、処理が終了する。
以上説明したように本実施形態では、リニア空燃比センサSW4の診断タイミングとして、燃料カット開始タイミングまたは所定の燃料復帰開始タイミングの少なくとも一方において劣化診断が実行されるので、診断のために外乱を発生させる必要が全くない。このように、意図的に外乱を発生させることなくリニア空燃比センサSW4の劣化診断を実行することができるので、目標空燃比A/Fに何ら影響を与えることがなくなる結果、診断時のエミッション低下を確実に防止することが可能になる。しかも、リニア空燃比センサSW4を「むだ時間+一次遅れ要素」として、むだ時間Lと時定数τとの少なくとも一方を判定パラメータとしているので、的確に劣化診断を実行することが可能になる。
また、本実施形態では、燃料カット開始タイミングにおいては、リッチからリーンに燃料噴射量が変化した場合のリニア空燃比センサSW4の劣化を判定するものであり、前記燃料復帰開始タイミングでは、リーンからリッチに燃料噴射量が変化した場合のリニア空燃比センサSW4の劣化を判定するものである。このため本実施形態では、外乱を発生させることなく、実質的にリッチからリーンまたはリーンからリッチに燃料噴射量が変化するタイミングでリニア空燃比センサSW4の劣化診断を実行することが可能となる。本実施形態では、両側劣化のみならず、リーンからリッチまたはリッチからリーンの片側劣化をも確実に診断することができるという利点がある。
また、本実施形態では、燃料カット開始タイミングと燃料復帰開始タイミングとの双方において、判定パラメータを演算するものである。このため本実施形態では、片側劣化および両側劣化の双方を確実に検出することができるとともに、目標空燃比A/Fに対するずれをも確実に検出することが可能になる。
また、本実施形態では、エンジン回転数Neが所定の燃料復帰回転数(Ne、NerD)に低減した場合に燃料の供給を復帰するものであるとともに、診断時における燃料復帰回転数を、非診断時に比べて高い診断時燃料復帰回転数NerDに変更するものである。本実施形態では、燃料供給がカットされた状態からエンジン回転数Neが低減し、燃料復帰回転数Neに実回転数が達することによって、燃料供給制御手段としてのコントロールユニット100は、燃料供給を再開する。その際、リニア空燃比センサSW4の劣化診断時には、燃料復帰回転数Neを診断時燃料復帰回転数NerDに高く設定することにより、燃料供給復帰時の排気ガスの流量を確保し、低流量下でのリニア空燃比センサSW4の出力(実空燃比)PFの信頼性低下に起因する劣化誤検出を抑制することが可能になる。
また、本実施形態では、劣化診断時の際、燃料カット開始タイミングにおいて判定パラメータ(むだ時間L、時定数τ)を演算する場合には、当該燃料カット開始タイミングの直前に、燃料復帰開始タイミングにおいて判定パラメータを演算する場合には、当該燃料復帰開始タイミングの直後に、目標空燃比A/Fを理論空燃比に設定するものである。このため本実施形態では、燃料カット開始タイミングまたは燃料復帰開始タイミングにおいて、リニア空燃比センサSW4の劣化診断を実行する際、燃料カット直前または燃料復帰開始タイミング直後に目標空燃比A/Fが理論空燃比に設定されることになる。
図13は、リニア空燃比センサの出力電流と空燃比との関係を示すグラフである。
図13に示すように、リニア空燃比センサSW4の個体差±Dapは、理論空燃比を境にして、リッチ側の方がリーン側よりも比較的ばらつきが多いのであるが、本実施形態では、比較的ばらつきの小さくなる理論空燃比またはリーン側で劣化診断を実行することができる結果、基準値に対してリニア空燃比センサSW4の出力(実空燃比)PFのばらつきがすくなくなる範囲で劣化診断を実行することが可能になる。
また、本実施形態では、コントロールユニット100がアクチュエータ124を図5、図6の通り制御することにより、劣化診断時の際、燃料カット開始タイミングにおいて判定パラメータを演算する場合には、当該燃料カット開始タイミングの直前に、燃料復帰開始タイミングにおいて判定パラメータを演算する場合には、当該燃料復帰開始タイミングの直後に、非診断時よりも空気量変化を緩和する空気量変化調整手段を該コントロールユニット100が機能的に構成している。このため本実施形態では、比較的空気量変化が小さい状態でリニア空燃比センサSW4の劣化診断を実行することができるので、より劣化診断の精度を高めることが可能になる。
また、本実施形態では、図7のステップS102、S104から明らかなように、リニア空燃比センサSW4の出力(実空燃比)PFに基づいて、むだ時間Lと時定数τとを区別して演算するものである。このため本実施形態では、リニア空燃比センサSW4の劣化診断をより高精度に実行することが可能になる。
また、本実施形態では、リニア空燃比センサSW4の出力(実空燃比)PFを微分した微分値DO2が所定のしきい値に達するまでの時間に基づいてむだ時間Lを演算するとともに、前記微分値DO2のピーク値DO2PKに基づいて時定数τを演算するものである。このように本実施形態では、むだ時間L、時定数τをそれぞれリニア空燃比センサSW4の出力(実空燃比)PFの微分値DO2に基づいて演算しているので、より精度の高い劣化診断を図ることが可能になる。
また、本実施形態では、所定の診断期間Tdia内に複数の燃料カット開始タイミングと燃料復帰開始タイミングの少なくとも一方の劣化診断を実行するものであるとともに、図12で示したように、判定パラメータ演算手段としてのコントロールユニット100が積算した判定パラメータの平均(平均過渡時間TLR、TRL)を演算して基準値ThA、ThB、ThR、ThLと所定の方法で比較することにより、リニア空燃比センサSW4の劣化を判定するものである。このため本実施形態では、より精度の高い劣化判定を実現することが可能になる。
このように本実施形態においては、外乱を発生させずに劣化診断を行うことができるとともに、「むだ時間L+一次遅れ要素」としてリニア空燃比センサSW4の劣化診断を実行することができるので、極めて高い精度で的確な劣化診断を行うことができるという顕著な効果を奏する。
上述した実施形態は本発明の好ましい具体例に過ぎず本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、空気量変化調整手段としては、図14のような構成を採用することも可能である。
図14は本発明の別の実施形態に係る断面部分拡大図である。
図14を参照して、この構成では、吸気システム20のスロットルバルブ24をバイパスするバイパス管126を設け、このバイパス管126に電子制御式スロットルバルブ127を設けている。この電子制御式スロットルバルブ127は、コントロールユニット100によって制御可能に構成されており、リニア空燃比センサSW4の診断時には、アクチュエータ124でスロットルバルブ24を全閉にし、スロットルバルブ127で空気量を調整することにより、空気流量の変化率を低減するように構成されている。
かかる構成を採用した場合においても、リニア空燃比センサSW4の診断時において、所期の空気量変化低減を図ることが可能になる。
また、むだ時間L、時定数τを求める方法としては、必ずしも微分値を演算する方法である必要はなく、リニア空燃比センサSW4の出力値や出力期間等から直接判定する方法を採用してもよい。
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
本発明の実施の一形態に係るエンジンの系統図である。 本実施形態に係る劣化判定装置の制御回路ブロック図である。 図2の制御回路によって実現される劣化判定装置のブロック線図である。 補助記憶装置に記憶されている制御マップの基となるグラフである。 本実施形態における劣化診断プログラムのフローチャートである。 本実施形態における劣化診断プログラムのフローチャートである。 図5、図6の一次遅れ演算サブルーチンを説明するフローチャートである。 図7のフローチャートを実行することによって得られた信号のタイミングチャートである。 図7のフローチャートを実行することによって得られた信号のタイミングチャートである。 燃料カット時における判定パラメータの判定手法を示すためのタイミングチャートである。 燃料復帰時における判定パラメータの判定手法を示すためのタイミングチャートである。 劣化判定処理の詳細を示すフローチャートである。 リニア空燃比センサの出力電流と空燃比との関係を示すグラフである。 本発明の別の実施形態に係る断面部分拡大図である。
1 劣化判定装置
10 エンジン
11 気筒
12 ピストン
20 吸気システム
27 燃料噴射弁
30 排気システム
32 三元触媒
100 コントロールユニット(運転状態検出手段、燃料供給制御手段、判定パラメータ演算手段、劣化判定手段、空気量調整手段の一例)
110 フィードバック制御系
111 基準入力要素
112 補正要素
114 フィードバック要素
124 アクチュエータ
126 バイパス管
127 電子制御式スロットルバルブ
A アイドル運転領域
B 高負荷運転領域
C 低負荷運転領域
C1 減速燃料カット運転領域
O2 微分値
O2PK 微分ピーク値
DV 目標値
LL ロードロードライン
M10 制御マップ
Ne エンジン回転数
END 診断回数
Ne 非診断時の燃料復帰回転数
NerD 診断時の燃料復帰回転数
SW1 クランク角センサ
SW2 エアフローセンサ
SW3 スロットルセンサ
SW4 リニア空燃比センサ
SW5 アクセル開度センサ
T 過渡時間
dia 診断期間
TVO スロットル開度
τ 時定数

Claims (8)

  1. エンジンの排気ガス中の酸素濃度に基づいて、空燃比のフィードバック制御を実行するフィードバック制御系と、
    前記フィードバック制御系に設けられ、前記排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニア空燃比センサと、
    少なくとも燃料供給がカットされるタイミングとカットされた燃料供給が復帰するタイミングとを前記エンジンの運転状態として検出する運転状態検出手段と、
    前記運転状態検出手段によって検出された運転状態に基づいて、所定の減速運転領域では燃料供給をカットするとともに該所定の運転領域から外れた場合には燃料の供給を再開する燃料供給制御手段と、
    前記燃料供給制御手段が要求負荷の低減に伴って燃料の供給をカットする際の燃料カット開始タイミングと燃料カットが実行されてからエンジン回転数の低減により燃料供給を復帰する燃料復帰開始タイミングの少なくとも何れか一方におけるリニア空燃比センサの出力に基づいて前記リニア空燃比センサのむだ時間と時定数との少なくとも一方を判定パラメータとして演算する判定パラメータ演算手段と、
    演算された判定パラメータに基づいて前記リニア空燃比センサの劣化を判定する劣化判定手段と
    を備え
    前記燃料供給制御手段は、エンジン回転数が所定の燃料復帰回転数に低減した場合に燃料の供給を復帰するものであるとともに、診断時における前記燃料復帰回転数を、非診断時に比べて高く変更するものであることを特徴とするリニア空燃比センサの劣化診断装置。
  2. エンジンの排気ガス中の酸素濃度に基づいて、空燃比のフィードバック制御を実行するフィードバック制御系と、
    前記フィードバック制御系に設けられ、前記排気ガス中の酸素濃度に比例する値を出力するリニア空燃比センサと、
    少なくとも燃料供給がカットされるタイミングとカットされた燃料供給が復帰するタイミングとを前記エンジンの運転状態として検出する運転状態検出手段と、
    前記運転状態検出手段によって検出された運転状態に基づいて、所定の減速運転領域では燃料供給をカットするとともに該所定の運転領域から外れた場合には燃料の供給を再開する燃料供給制御手段と、
    前記燃料供給制御手段が要求負荷の低減に伴って燃料の供給をカットする際の燃料カット開始タイミングと燃料カットが実行されてからエンジン回転数の低減により燃料供給を復帰する燃料復帰開始タイミングの少なくとも何れか一方におけるリニア空燃比センサの出力に基づいて前記リニア空燃比センサのむだ時間と時定数との少なくとも一方を判定パラメータとして演算する判定パラメータ演算手段と、
    演算された判定パラメータに基づいて前記リニア空燃比センサの劣化を判定する劣化判定手段と、
    劣化診断時の際、燃料カット開始タイミングにおいて判定パラメータを演算する場合には、当該燃料カット開始タイミングの直前に、燃料復帰開始タイミングにおいて判定パラメータを演算する場合には、当該燃料復帰開始タイミングの直後に、非診断時よりも空気量変化を緩和する空気量変化調整手段と
    を備えていることを特徴とするリニア空燃比センサの劣化診断装置。
  3. 請求項1または2記載のリニア空燃比センサの劣化診断装置において、
    前記劣化判定手段は、前記燃料カット開始タイミングでは、リッチからリーンに燃料噴射量が変化した場合のリニア空燃比センサの劣化を判定するものであり、前記燃料復帰開始タイミングでは、リーンからリッチに燃料噴射量が変化した場合のリニア空燃比センサの劣化を判定するものであることを特徴とするリニア空燃比センサの劣化診断装置。
  4. 請求項記載のリニア空燃比センサの劣化診断装置において、
    前記判定パラメータ演算手段は、燃料カット開始タイミングと燃料復帰開始タイミングとの双方において、判定パラメータを演算するものであることを特徴とするリニア空燃比センサの劣化診断装置。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載のリニア空燃比センサの劣化診断装置において、
    前記燃料供給制御手段は、劣化診断時の際、燃料カット開始タイミングにおいて判定パラメータを演算する場合には、当該燃料カット開始タイミングの直前に、燃料復帰開始タイミングにおいて判定パラメータを演算する場合には、当該燃料復帰開始タイミングの直後に、目標空燃比を理論空燃比に設定するものであることを特徴とするリニア空燃比センサの劣化診断装置。
  6. 請求項1から5の何れか1項に記載のリニア空燃比センサの劣化診断装置において、
    前記判定パラメータ演算手段は、リニア空燃比センサの出力に基づいて、むだ時間と時定数とを区別して演算するものであることを特徴とするリニア空燃比センサの劣化診断装置。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載のリニア空燃比センサの劣化診断装置において、
    前記判定パラメータ演算手段は、前記リニア空燃比センサの出力を微分した微分値が所定のしきい値に達するまでの時間に基づいてむだ時間を演算するとともに、前記微分値のピークに基づいて時定数を演算するものであることを特徴とするリニア空燃比センサの劣化診断装置。
  8. 請求項6または7記載のリニア空燃比センサの劣化診断装置において、
    前記劣化判定手段は、複数の燃料カット開始タイミングと燃料復帰開始タイミングの少なくとも一方の劣化診断を実行するものであるとともに、前記判定パラメータ演算手段が積算した判定パラメータの平均を演算して基準値と比較することにより、前記リニア空燃比センサの劣化を判定するものであることを特徴とするリニア空燃比センサの劣化診断装置。
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