JP4617848B2 - 接着剤組成物及び回路接続用接着剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は接着剤組成物及び回路接続用接着剤組成物に関する。
近年、半導体や液晶ディスプレイなどの分野で電子部品を固定したり、回路接続を行うために各種の接着材料が使用されている。これらの用途では、ますます高密度化、高精細化がすすみ、接着剤にも高い接着力や信頼性が求められている。
特に、回路接続材料としては、液晶ディスプレイとTCP又はFPCとTCPとの接続、FPCとプリント配線板との接続には接着剤中に導電粒子を分散させた異方導電性接着剤が使用されている。また、最近では、半導体シリコンチップを基板に実装する場合でも、従来のワイヤーボンドではなく、半導体シリコンチップをフェイスダウンで基板に直接実装するいわゆるフリップチップ実装が行われており、ここでも異方導電性接着剤の適用が開始されている。また、近年、精密電子機器の分野では、回路の高密度化が進んでおり、電極幅および電極間隔が極めて狭くなっている。
本発明に類似したポリウレタンイミド樹脂は、特許文献1に薄層複合膜として用いられている。
特開平05−023558号公報
上述のように精密電子機器の分野では、回路の高密度化が進んでおり、電極幅および電極間隔が極めて狭くなっている。このため、従来のエポキシ樹脂系を用いた回路接続用接着剤の接続条件では、配線の脱落、剥離、位置ずれが生じるなどの問題点があった。また、生産効率向上のために10秒以下への接続時間の短縮化が強く求められてきており、低温速硬化性が必要不可欠となっている。
本発明は優れた低温度接続ができ、接続時間の短縮化が可能な接着力を有する接着剤組成物、及びそれを用いた回路接続用接着剤組成物を提供するものである。
請求項1および請求項2に記載の発明は、接着性に優れる接着剤組成物を提供するものである。
請求項3および請求項4に記載の発明は、低温短時間で接続可能でさらに接着性に優れる接着剤組成物を提供するものである。
請求項5に記載の発明は、異方導電性を付与した接着剤組成物を提供するものである。
請求項6に記載の発明は、接続信頼性に優れる回路接続用接着剤組成物を提供するものである。
請求項1に記載の発明は、ポリウレタンイミド樹脂(A)と三次元架橋性樹脂(B)を含むことを特徴とする接着剤組成物である。
請求項2に記載の発明は、ポリウレタンイミド樹脂(A)が、ウレタンオリゴマーをテトラカルボン酸二無水物で鎖延長したブロック共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物である。
請求項3に記載の発明は、三次元架橋性樹脂(B)が少なくともラジカル重合物質であり、光照射または加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤を含有する請求項1に記載の接着剤組成物である。
請求項4に記載の発明は、三次元架橋性樹脂(B)が少なくともエポキシ樹脂であり潜在性硬化剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の接着剤組成物である。
請求項5に記載の発明は、導電粒子を含む請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の接着剤組成物である。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の接着剤組成物を回路接続用部材に用いることを特徴とする回路接続用接着剤組成物である。
本発明により、低温度接続、接続時間の短縮化が可能で、回路の高密度化による電極幅、電極間隔が狭くなる場合でも対応できる接着力に優れた特性を有する接着剤組成物、及びそれを用いた回路接続用接着剤組成物を提供することができ、接続信頼性に優れる。
本発明の接着剤組成物は、ポリウレタンイミド樹脂(A)と三次元架橋性樹脂(B)を含むことを特徴とする。
本発明におけるポリウレタンイミド樹脂(A)はジイソシネートとジオールから得られるポリウレタンオリゴマーをテトラカルボン酸二無水物で鎖延長して得られるブロック共重合体を用いると好ましい。
ポリウレタンオリゴマの構成成分であるジイソシアネートとしては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,1’−メチレンビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等が例示され、これらは単独または併用して用いることができる。
また、ジオールとしては、平均分子量100〜10000のポリオールが用いられ、主鎖構造としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール/ポリエチレングリコール共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ジエチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)、ポリ(ネオペンチレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンセバケート)、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)、ポリ(シロキサン)等が例示され、これらは単独または併用して用いることができる。
ポリウレタンオリゴマを構成する、ジイソシアネートとジオールの組成比は、ジイソシネート1.0molに対して、ジオール成分0.1〜1.0molが好ましい。
ポリウレタンオリゴマを鎖延長するためのテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレン−テトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロルナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニルビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物)スルホン、ビシクロ−(2,2,2)−オクト(7)−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフイド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物等が例示され、これらは単独または併用して用いることができる。
ポリウレタンイミド樹脂を構成するポリウレタンオリゴマとテトラカルボン酸二無水物の組成比は、ポリウレタンオリゴマ1.0molに対して、テトラカルボン酸二無水物、0.1〜2.0molが好ましい。
前記ポリウレタンイミド樹脂は、溶液重合法等の通常の方法で合成することができる。例えば、溶液重合法の場合、生成するポリウレタンイミド樹脂が溶解するする溶媒、例えば,N−メチル−2−ピロリドン等にジイソシネート及びジオールを溶解し70℃〜180℃で1時間〜5時間反応させ、ウレタンオリゴマを合成し、さらにテトラカルボン酸二無水物を添加し70℃〜180℃で1時間から10時間反応させて目的のポリウレタンイミド樹脂を合成する。また、合成の際には、水、アルコール、第3級アミンなどを触媒として用いることもできる。
本発明で用いるポリウレタンイミド樹脂は、接着剤に強靭性を付与する目的で、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し標準ポリスチレン換算した値の平均分子量が1万以上30万以下が好ましい。
本発明で用いる三次元架橋性樹脂(B)は、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、イミド系樹脂、アクリレート・メタクリレート・マレイミド化合物等が挙げられ、硬化剤とともに用いられる。この中でもエポキシ樹脂とその潜在性硬化剤を含有する組成物であると好ましい。また、三次元架橋性樹脂(B)は、ラジカル重合物質であり、光照射または加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤を含有する組成物であると好ましい。
本発明で使用するラジカル重合物質は、ラジカルにより重合する官能基を有する化合物で、(メタ)アクリレート樹脂、マレイミド樹脂、シトラコンイミド樹脂、ナジイミド樹脂などが挙げられ、2種類以上を混合して使用してもよい。またラジカル重合物質は、モノマー、オリゴマーいずれの状態でも使用することができ、モノマーとオリゴマーを混合して用いてもよい。ここで、(メタ)アクリレート樹脂は、アクリレート樹脂、メタクリレート樹脂を意味する(以下同じ)。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリレートをラジカル重合させることで得られるもので、(メタ)アクリレートとしてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エテレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールテトラ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートトリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキシド変性ジアクリレートなどが有り、単独または2種類以上を混合して用いても良い。また、必要により、ハイドロキノン、メチルエーテルハイドロキノン等のラジカル重合禁止剤を硬化性が損なわれない範囲で使用しても良い。
さらに、リン酸エステル構造を有するラジカル重合物質を使用した場合、金属等無機物に対する接着力を向上することができ好ましい。リン酸エステル構造を有するラジカル重合物質の使用量は、0.1〜10重量部であり、好ましくは0.5〜5重量部である。リン酸エステル構造を有するラジカル重合物質は、無水リン酸と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの反応生成物として得られる。具体的には、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等が有り、単独でも混合して使用しても良い。
マレイミド樹脂としては、分子中にマレイミド基を少なくとも1個有しているもので、例えば、フェニルマレイミド、1−メチル−2,4−ビスマレイミドベンゼン、N,N'−m−フェニレンビスマレイミド、N,N'−p−フェニレンビスマレイミド、N,N'−4,4−ビフェニレンビスマレイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスマレイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N'−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N'−4,4−ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N'−4,4−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N'−4,4−ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4'−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−マレイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが有り、単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
シトラコンイミド樹脂としては、分子中にシトラコンイミド基を少なくとも1個有しているシトラコンイミド化合物を重合させたもので、シトラコンイミド化合物としては、例えば、フェニルシトラコンイミド、1−メチル−2,4−ビスシトラコンイミドベンゼン、N,N'−m−フェニレンビスシトラコンイミド、N,N'−p−フェニレンビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−ビフェニレンビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−ジフェニルメタンビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−ジフェニルプロパンビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−ジフェニルエーテルビスシトラコンイミド、N,N'−4,4−ジフェニルスルホンビスシトラコンイミド、2,2−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4'−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−シトラコンイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられ、単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
ナジイミド樹脂としては、分子中にナジイミド基を少なくとも1個有しているナジイミド化合物を重合したもので、ナジイミド化合物としては、例えば、フェニルナジイミド、1−メチル−2,4−ビスナジイミドベンゼン、N,N'−m−フェニレンビスナジイミド、N,N'−p−フェニレンビスナジイミド、N,N'−4,4−ビフェニレンビスナジイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルビフェニレン)ビスナジイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジメチルジフェニルメタン)ビスナジイミド、N,N'−4,4−(3,3−ジエチルジフェニルメタン)ビスナジイミド、N,N'−4,4−ジフェニルメタンビスナジイミド、N,N'−4,4−ジフェニルプロパンビスナジイミド、N,N'−4,4−ジフェニルエーテルビスナジイミド、N,N'−4,4−ジフェニルスルホンビスナジイミド、2,2−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−s−ブチル−3,4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4'−シクロヘキシリデン−ビス(1−(4−ナジイミドフェノキシ)フェノキシ)−2−シクロヘキシルベンゼン、2,2−ビス(4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが有り、単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
上記ラジカル重合物質を使用した場合には、光照射または加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤(重合開始剤)を使用する。硬化剤としては、熱または光によってラジカルを発生する化合物であれば特に制限はなく、過酸化物、アゾ化合物などがあり、目的とする接続温度、接続時間、保存安定性等を考慮し適宜選択されるが、高反応性と保存安定性の点から、半減期10時間の温度が、40℃以上かつ、半減期1分の温度が180℃以下の有機過酸化物が好ましく、半減期10時間の温度が、50℃以上かつ、半減期1分の温度が170℃以下の有機過酸化物が特に好ましい。接続時間を10秒とした場合、十分な反応率を得るための硬化剤の配合量は、1〜20重量%が好ましく、2〜15重量%が特に好ましい。有機過酸化物の具体的な化合物としては、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドなどから選定できるが、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、シリルパーオキサイドは、開始剤中の塩素イオンや有機酸が5000ppm以下であり、加熱分解後に発生する有機酸が少なく、金属製の回路部材の接続端子の腐食を抑えることができるため特に好ましい。
ジアシルパーオキサイド類としては、イソブチルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾイルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシジカーボネート類としては、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネト、ジ−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
パーオキシエステル類としては、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシノエデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等を挙げることができる。
パーオキシケタール類では、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイド類では、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイド類では、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
シリルパーオキサイド類としては、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジメチルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリビニルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジビニルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)ビニルシリルパーオキサイド、t−ブチルトリアリルシリルパーオキサイド、ビス(t−ブチル)ジアリルシリルパーオキサイド、トリス(t−ブチル)アリルシリルパーオキサイド等が挙げられる。
被着体が例えば金属製の回路部材の接続端子である場合、その腐食を抑えるために、硬化剤中に含有される塩素イオンや有機酸は5000ppm以下であることが好ましく、さらに、加熱分解後に発生する有機酸が少ないものがより好ましい。また、接着剤組成物の安定性が向上することから室温(25℃)、常圧下で24時間の開放放置後に20重量%以上の重量保持率を有することが好ましい。これらは適宜混合して用いることができる。
これらの遊離ラジカルを発生する硬化剤は単独または混合して使用することができ、分解促進剤、抑制剤等を混合して用いても良い。
また、これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
本発明で使用する三次元架橋性樹脂(B)としてエポキシ樹脂を含有することが好ましく、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAD等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック、クレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック型樹脂、ナフタレン骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル・脂環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ樹脂が単独あるいは混合して用いられ、これらのエポキシ樹脂には不純物イオンである、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲンイオン、特に塩素イオンや加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることがエレクトロマイグレーション防止や金属導体回路の腐食防止のために好ましい。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、公知のイミダゾール系、ヒドラジン系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等の硬化剤またはその混合物を用いることができ、潜在性硬化剤が好ましい。これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長されるために好ましい。
本発明の接着剤組成物には、接着性向上、硬化時の応力緩和性を付与するため、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂等、アクリルゴム等の高分子成分を併用してもよい。これら高分子成分は、分子量が10,000〜10,000,000のものが好ましい。
本発明で使用する導電粒子は、電気的接続を得ることができる導電性を有していればとくに制限はないが、Au、Ag、Ni、Cu、Co、はんだなどの金属粒子やカーボンなどがある。また、非導電性のガラス、セラミックス、プラスチックなどを前記金属の導電物質で被覆したものも使用できる。このとき、被覆する金属層の厚さは十分な導電性を得るためには100Å以上が好ましい。導電粒子は、接着剤成分に対して、0.1〜30体積%の範囲で使用し、好ましくは0.1〜20体積%の範囲で使用することができる。
本発明の回路接続用接着剤組成物には、適宜充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃剤、カップリング剤、テルペン系樹脂等の粘着付与剤を添加しても良い。
本発明の接着剤組成物を使用して回路接続用部材に用いると好ましい。回路接続用部材は基板と電極から構成され、基板としては、電気的接続を必要とする電極が形成されているものであれば特に制限はないが、液晶ディスプレイに用いられているITO等で電極が形成されているガラスまたはプラスチック基板、プリント配線板、セラミック配線板、フレキシブル配線板、半導体シリコンチップなどが有り、必要に応じて組み合わせて使用される。
接続する場合の条件としては特に制限はないが、接続温度90〜250℃、接続時間1秒〜10分であり、使用する用途、接着剤、基板によって適宜選択され、必要に応じて、後硬化を行っても良い。また、接続時は加熱加圧により行われるが、必要に応じて熱以外のエネルギーたとえば光、超音波、電磁波等を使用しても良い。
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
(実施例1)
ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(1.0mol)、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート(1.0mol)及び平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール(0.8mol)を1−メチル−2−ピロリドン中で窒素雰囲気下、100℃で1時間反応させ、そこに、4,4’−オキシジフタル酸無水物(1.0mol)、トリエチルアミンおよび1−メチル−2−ピロリドンを添加し、さらに100℃で3時間かくはんした。さらに、ベンジルアルコールを添加し100℃で1時間かくはんし、反応を終了した。得られた溶液を激しくかくはんさせた水に入れ沈殿物を濾別し、真空中80℃で8時間乾燥させポリウレタンイミド樹脂PUI−1を得た。得られたポリウレタンイミド樹脂をGPCを用いて測定した結果、ポリスチレン換算で、Mw=51,000、Mn=22,000、であった。
得られたポリウレタンイミド樹脂を固形分濃度40重量%でメチルエチルケトンに溶解し、ウレタンアクリレート(U−108、新中村化学工業株式会社製商品名)、硬化剤として1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(パーヘキサTMH、日本油脂株式会社製商品名)を固形重量比で表1に示すように配合し、さらにポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設けた、平均粒径5μm、比重2.5の導電粒子を1.5体積%配合分散させ、厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥によって接着剤層の厚みが20μmのフィルム状接着剤を得た。
(実施例2)
PUI−1のジオール成分を平均分子量2000のポリ(ヘキサメチレンカーボネート)に変え、実施例1と同様に合成しPUI−2を得た。GPCを用いて測定した結果、ポリスチレン換算で、Mw=55000、Mn=25000であった。
このPUI−2を実施例1と同様に表1の配合にしたがい、接着剤層の厚みが20μmのフィルム状接着剤を得た。
(比較例1)
PUI−1の代わりにフェノキシ樹脂(PKHC、ユニオンカーバイド社製商品名、平均分子量45000、メチルエチルケトン溶液(固形分40重量%))を用いて実施例1と同様にフィルム状接着剤を得た。
(比較例2)
PUI−1の代わりにポリビニルブチラール樹脂(3000K、電気化学工業株式会社製商品名、平均重合度800、メチルエチルケトン溶液(固形分40重量%))を用いて実施例1と同様にフィルム状接着剤を得た。
〔接着強度の測定〕
上記製法によって得たフィルム状接着剤を用いて、40μmのポリイミドフィルム上にライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み10μmの銅回路500本を蒸着により形成した2層フレキシブル回路板(FPC)と、0.2μmの酸化インジウム(ITO)の薄層を形成したガラス(厚み1.1mm、表面抵抗20Ω/□)とを、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて170℃、3MPaで20秒間の加熱加圧を行って幅2mmにわたり接続し、接続体を作製した。
得られた接続体の接着強度を、JIS−Z0237に準じて90度剥離法で測定し、評価した。ここで、接着強度の測定装置は東洋ボールドウィン株式会社製テンシロンUTM−4(剥離速度50mm/分、25℃)を使用した。
以上のようにして行った測定の結果を纏めて表1に示した。
Figure 0004617848
本発明のポリウレタンイミド樹脂と三次元架橋性樹脂を用いた接着剤組成物である実施例1、2は、接着強度が高い。これに対してフェノキシ樹脂を用いた比較例1、ポリビニルブチラール樹脂を用いた比較例2は、接着強度に劣る。
同様に、三次元架橋性樹脂(B)にエポキシ樹脂と潜在性硬化剤を含有した場合でも、同様な効果が得られた。

Claims (6)

  1. ポリウレタンイミド樹脂(A)と三次元架橋性樹脂(B)を含み、
    ポリウレタンイミド樹脂(A)が、ポリウレタンオリゴマーをテトラカルボン酸二無水物で鎖延長したブロック共重合体であり、
    三次元架橋性樹脂(B)が少なくともラジカル重合物質であり、光照射または加熱により遊離ラジカルを発生する硬化剤を含有していることを特徴とする接着剤組成物。
  2. 前記ポリウレタンオリゴマーがジイソシネートとジオールから得られる、請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 前記ポリウレタンオリゴマーを構成する前記ジイソシアネートと前記ジオールの組成比は、前記ジイソシネート1.0molに対して、前記ジオール0.1〜1.0molである、請求項2に記載の接着剤組成物。
  4. 前記ポリウレタンイミド樹脂を構成する前記ポリウレタンオリゴマーと前記テトラカルボン酸二無水物の組成比は、前記ポリウレタンオリゴマー1.0molに対して、前記テトラカルボン酸二無水物、0.1〜2.0molである、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の接着剤組成物。
  5. 導電粒子を含む請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の接着剤組成物。
  6. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の接着剤組成物を回路接続用部材に用いることを特徴とする回路接続用接着剤組成物。
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