JP4617733B2 - 車両用内輪空転防止制御装置 - Google Patents

車両用内輪空転防止制御装置 Download PDF

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本発明は、可変ギア比制御とブレーキ制御とにより旋回時の内輪空転を防止する車両用内輪空転防止制御装置の技術分野に属する。
従来、車両用内輪空転防止制御装置は、複数のセンサにより横加速度、ロール速度、ヨーレート等の車両挙動を検出し、これら車両挙動に応じて算出したロール角度推定値に基づいて、ステアリングギア比を変更することにより、ロール挙動の安定化を図っている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−213345号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、検出した車両挙動に応じてステアリングギア比を可変するフィードバック制御であるため、フィードバック制御に伴う過渡応答や振動が、操舵制御において操舵の遅れにつながるという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、フィードバック制御に伴う過渡応答や振動等を発生させることなく、内輪空転を未然に防ぐことができる車両用内輪空転防止制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明にあっては、
ブレーキペダルの操作とは独立して各車輪のブレーキ圧を可変するブレーキアクチュエータと、
操向輪転舵角に対するステアリング操舵角の比であるステアリングギア比を可変する可変ギア比アクチュエータと、
を備えた車両用内輪空転防止制御装置において、
前記ステアリング操舵角と車速とによって推定横加速度を算出する横加速度推定手段と、
前記ステアリング操舵角に基づいて、ステアリング操舵角の操舵角速度を検出する操舵角速度検出手段と、
前記推定横加速度と前記操舵角速度とに基づいて、内輪が空転するかどうかを予測する内輪空転判断手段と、
内輪が空転すると判断されたとき、前記ブレーキアクチュエータに対し、各車輪のブレーキ圧を増大させるブレーキ圧指令値を出力するとともに、前記可変ギア比アクチュエータに対し、ステアリングギア比を大きくするギア比可変指令値を出力する内輪空転防止制御手段と、
を設け
前記内輪空転防止制御手段は、各車輪のブレーキ圧指令値の左右差を算出し、その左右差が所定値より大きくなると、前記ステアリングギア比の増大量を小さくすることを特徴とする。
ここで、『内輪』とは、車両が旋回中に、旋回方向側となる前後車輪をいう。

本発明にあっては、ステアリング操舵角と車速とから算出した推定横加速度と操舵角速度とに基づいて内輪空転を予測したとき、フィードフォワード制御により車両挙動の初期状態から各車輪のブレーキ圧を増大させると同時に、操舵応答をスローにすることにより、横加速度のピーク値を抑えることができる。よって、車両挙動のフィードバック制御に伴う過渡応答や振動等を発生させることなく、内輪空転を未然に防ぐことができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の車両用内輪空転防止制御装置の全体システム図である。
ステアリングホイール10と左右前輪(操向輪)11a,11bを転舵させる前輪転舵機構12とを連結するコラムシャフト13に、運転者操舵角センサ1と前輪操舵アクチュエータ(可変ギア比アクチュエータ)5とが設けられている。
前輪操舵アクチュエータ5は、例えば、モータと減速機等により構成され、コラムシャフト13に、減速機を介してモータの出力軸が連結されている。この前輪操舵アクチュエータ5は、前輪操舵コントローラ4からの舵角指令値により、コラムシャフト13を介して入力される回転を可変ギア比により減速して前輪転舵機構12のステアリングギアへ出力するもので、これにより、左右前輪11a,11bの転舵角に対する操舵角の比であるステアリングギア比を可変に制御する。
前輪操舵コントローラ4は、操舵制御コントローラ3により生成された目標前輪操舵角と実際の前輪舵角値との偏差を無くすような舵角指令値を算出し、算出した舵角指令値を前輪操舵アクチュエータ5に出力する。
操舵制御コントローラ3は、運転者操舵角センサ1により検出された運転者操舵角と、車速センサ2により検出された車体速と、ブレーキ制御コントローラ6からのブレーキ液圧指令値とに応じて、目標前輪操舵角を生成し、前輪操舵コントローラ4へ出力する。
車輪速センサ15a〜15dは、車輪速を検出し、ブレーキ制御コントローラ6へ出力する。ヨーレートセンサ17は、圧電ヨーレートセンサ等を用いて車両のヨーレートを検出し、ブレーキ制御コントローラ6へ出力する。加速度センサ18は、ホール効果加速度センサ等を用いて前後加速度および横加速度を検出し、ブレーキ制御コントローラ6へ出力する。
ブレーキ制御コントローラ6は、運転者操舵角センサ1により検出された運転者操舵角と、車速センサ2により検出された車体速と、各車輪速センサ15a〜15dにより検出された車輪速と、ヨーレートセンサ17により検出された車両のヨーレートと、加速度センサ18により検出された車両の加速度と、操舵制御コントローラ3からの制御切替フラグとに応じて、ブレーキアクチュエータ7に各車輪のブレーキ液圧指令値を算出する。
ブレーキアクチュエータ7は、ブレーキ制御コントローラ6から出力された各車輪のブレーキ液圧指令値に応じて、各車輪に設けられたブレーキ装置16a〜16dのブレーキ液圧を調整し、各車輪のブレーキ圧を変化させる。
ブレーキ制御コントローラ6は、自動ブレーキ制御機能を有する車両挙動安定化制御を実施する。ただし、本発明では、ブレーキペダルの操作とは独立して各車輪のブレーキ圧を制御する自動ブレーキ制御機能さえ有すればよく、制御則は車両挙動安定化制御に限らず衝突軽減ブレーキ制御などでもよい。
図2は、操舵制御コントローラ3の制御ブロック図である。
舵コントローラ3は、目標値生成部31と、目標出力値生成部32と、内輪空転判断部33と、を備えている。

目標値生成部31は、運転者操舵角と車体速とブレーキ液圧指令値とに基づいて目標ヨーレートを生成し、目標出力値生成部32へ出力する。目標出力値生成部32は、目標ヨーレートに基づいて目標前輪操舵角を生成し、前輪操舵コントローラ4へ出力する。内輪空転判断部33は、運転者操舵角と車体速とに基づいて、内輪の空転可能性を判断し、旋回加速度変化率推定値および制御切替フラグを目標値生成部31へ出力する。
ここで、内輪とは、車両が旋回中に、旋回方向側となる前後車輪である。
図3は、目標値生成部31の制御ブロック図である。
目標値生成部31は、車両モデル演算部311と、目標値演算部312とを備えている。車両モデル演算部311は、運転者操舵角と車体速とから2輪モデルを用いて車両パラメータを算出し、目標値演算部312へ出力する。
目標値演算部312は、車両モデル演算部311からの車両パラメータと、内輪空転判断部33からの旋回加速度変化率推定値および制御切替フラグと、ブレーキ制御コントローラ6からのブレーキ液圧指令値とに基づいて、目標ヨーレートを算出する。
図4は、目標値演算部312の制御ブロック図である。
目標値演算部312は、目標ヨー角加速度演算部312aと、空転防止補正部312bと、制御切替部312cと、目標ヨーレート演算部312dと、を備えている。
目標ヨー角加速度演算部312aは、車両パラメータから目標ヨー角加速度を算出する。空転防止補正部312bは、目標ヨー角加速度と旋回加速度変化率推定値に基づいて、目標ヨー角加速度を補正する。
制御切替部312cは、制御切替フラグの値がゼロのとき、目標ヨー角加速度演算部312aで算出された目標ヨー角加速度を目標ヨーレート演算部312dへ出力し、制御切替フラグの値が1のとき、空転防止補正部312bにより補正された目標ヨー角加速度を目標ヨーレート演算部312dへ出力する。
目標ヨーレート演算部312dは、入力した目標ヨー角加速度とブレーキ液圧指令値とから目標ヨーレートを算出し、目標出力値生成部32へ出力する。
図5は、ブレーキ制御コントローラ6の制御ブロック図である。
ブレーキ制御コントローラ6は、通常ブレーキ制御部61と、空転防止ブレーキ制御部62と、制御切替部63と、を備えている。
通常ブレーキ制御部61は、運転者操舵角、車体速、車輪速、ヨーレートおよび加速度に基づいて、通常制御時のブレーキ液圧指令値を算出する。空転防止ブレーキ制御部62は、運転者操舵角、車体速、車輪速、ヨーレートおよび加速度に基づいて、空転防止制御時のブレーキ液圧指令値を算出する。
制御切替部63は、制御切替フラグがゼロのとき、通常ブレーキ制御部61で算出された通常制御時のブレーキ液圧指令値をブレーキアクチュエータ7へ出力する。制御切替フラグが1のとき、空転防止ブレーキ制御部62で算出された空転防止制御時のブレーキ液圧指令値をブレーキアクチュエータ7へ出力する。
次に、作用を説明する。
[車両モデル演算]
操舵制御コントローラ3において、目標値生成部31の車両モデル演算部311では、以下に示す通り、運転者操舵角と車体速から2輪モデルを用いて、車両パラメータを求める。
一般に、2輪モデルを仮定すると、車両のヨー角加速度は、下記の式(1)で表せる。
ψ"=a11ψ'+a12y+bf1θ …(1)
また、車両の横加速度は、下記の式(2)で表せる。
y'=a21ψ'+a22y+bf2θ …(2)
ここで、
Figure 0004617733
Figure 0004617733
である。
式(1),(2)の運動方程式より前輪操舵に対するヨーレートの伝達関数を求めると、下記の式(4)となる。
Figure 0004617733
Figure 0004617733
ヨーレート伝達関数は、車両パラメータを用いて、下記の式(5)となる。
Figure 0004617733
ここで、
Figure 0004617733
であるため、式(3)とから、車両パラメータ
Figure 0004617733
が求められる。
[目標値生成]
次に、目標値生成部31の目標値演算部312では、車体速V、車両パラメータと目標値パラメータとブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRと制御切替フラグFcから、目標ヨーレートψ'*を求める。
目標ヨー角加速度は、式(5)より、下記の式(7)となる。
ψ"*=−2ζψ'*(V)ωψ'*(V)ψ'*(s)+ωψ'*(V)2ψ'*(V)θ(s)
+1/s×ωψ'*(V)2(gψ'*(V)θ(s)−φ'*(s)) …(7)
ここで、目標値パラメータは、下記の式(8)のように設定する。
Figure 0004617733
ただし、yrate_gain_map、yrate_omegn_map、yrate_zeta_map、yrate_zero_mapはチューニングパラメータである。
c=0(通常制御)のときには、目標ヨー角加速度ψ"*から目標ヨーレートψ'*を下記式(9)で求める。
ψ'*(s)=1/s×ψ"*(s) …(9)
c=1(空転防止制御)のとき、目標ヨー角加速度ψ"*の値に、下記の式(10)のように制限をかけ、補正した目標ヨー角加速度で、式(9)より、補正した目標ヨーレートψ'*を求める。
−Lψ''*≦ψ"*(s)≦Lψ''* …(10)
ここで、目標ヨー角加速度制限値Lψ''*は、運転者の切り戻し操舵によって、運転者操舵角θが閾値Tθ(後述)を通過するときの旋回加速度変化率推定値EGy'(後述)に応じて、図6のマップにより決定される内輪空転が発生しないような制限値Lψ''*YGと、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRの加算値(PFL+PFR+PRL+PRR)に応じて、図7のマップにより決定される係数Kψ''*XGと、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRの左右輪液圧差の絶対値|(PFL+PRL)−(PFR+PRR)|に応じて、図8のマップにより決定される係数Kψ''*YRと、から、下記の式(11)のように決定される。
ψ''*=Lψ''*YG×Kψ''*XG×Kψ''*YR …(11)
ここで、図6に示すように、制限値Lψ''*YGは、旋回加速度推定値EGyの変化率EGy'が高いほど、小さくなるように設定されている。これにより、旋回加速度推定値EGyが大きいほど目標ヨー角加速度ψ"*が制限されるため、目標ヨーレートψ'*が小さくなり、ステアリングギア比を大きくするように舵角指令値が出力される。
また、図7に示すように、係数Kψ''*XGは、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRの加算値(PFL+PFR+PRL+PRR)が大きいほど、小さくなるように設定されている。すなわち、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRの加算値(PFL+PFR+PRL+PRR)は、車両の減速Gに比例するため、減速Gが大きいほど、前輪荷重が増すため、前輪舵角に対するヨーレートが増すこととなる。そのために、目標ヨー角加速度ψ"*を制限して、目標ヨーレートψ'*を小さくし、実際に発生するヨーレートが、制限値Lψ''*YGに制限されるようになる。なお、同様に減速Gや前輪荷重が大きいほど、小さくなるように設定してもよい。
さらに、図8に示すように、係数Kψ''*YRは、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRの左右輪液圧差の絶対値|(PFL+PRL)−(PFR+PRR)|が、所定値ΔPs1までは、1以下の値として、絶対値が小さくなるほど、小さくなり、所定値ΔPs1以上で、所定値ΔPs2までの範囲では、1以上の値として、絶対値の大きさに比例して大きくなり、所定値ΔPs2以上では、内輪が空転しない範囲となる一定値として設定されている。ここで、所定値ΔPs1は、旋回方向とは逆のヨーレートが発生するような左右輪液圧差に設定し、所定値ΔPs2は、旋回方向とは逆のヨーレートが最大となるような左右輪液圧差に設定する。
すなわち、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRの左右輪液圧差の絶対値が、所定値ΔPs1までは、1以下の値として、絶対値が小さくなるほど、小さくなるように設定することで、目標ヨー角加速度ψ"*の制限値を小さくし、目標ヨーレートψ'*を小さくするようにして、運転者の切り戻し操舵によってヨーレート方向が入れ替わるときに、目標ヨーレートψ'*を抑えられる。
また、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRの左右輪液圧差の絶対値が、所定値ΔPs1以上で、所定値ΔPs2までの範囲では、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRのうち、外輪側の液圧が高く、内輪側の液圧が低くなり、旋回方向と逆方向のヨーレートが発生して、旋回しにくくなる。そのため、目標ヨー角加速度ψ"*の制限値を大きくすることにより、目標ヨーレートψ'*を大きくし、逆方向のヨーレートを打ち消して、実際に発生するヨーレートを、制限値Lψ''*YG程度で制限するので、ステアリングギア比の増大量を小さくでき、旋回しにくくなるのを抑制できる。
また、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRの左右輪の左右輪液圧差の絶対値が、所定値ΔPs2以上では、内輪が空転しない範囲となるように、一定値にすることにより、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRの左右輪液圧差の絶対値が大きいときでも、目標ヨーレートψ'*が大きくなり過ぎないようにできる。
[内輪空転判断]
内輪空転判断部33では、運転者操舵角θと車体速Vから、内輪空転可能性を判断し、制御切替フラグFcを決定する。
前回の演算で、Fc=0となっている場合には、まず、旋回加速度推定値EGyを、下記の式(12)で求める。
EGy=(V2×θ)/{(1+AV2)×(Lf+Lr)×Nf} …(12)
ここで、Aはスタビリティファクタである。
旋回加速度推定値EGyの絶対値|EGy|が、運転者の切り戻し操舵があった場合に、内輪空転が発生する可能性がある閾値TGy以上のとき、加速度判断フラグFaは、下記の式(13)と設定する。
a=1 …(13)
|EGy|が閾値TGyよりも小さいときには、加速度判断フラグFaは、下記の式(14)と設定する。
a=0 …(14)
|EGy|が閾値TGyよりも小さく、かつ、加速度判断フラグFaが1からゼロに切り替わってからの時間Taが閾値Tta以下のとき、運転者の切り戻し操舵中で、内輪空転が発生する可能性があると判断し、内輪空転判断を継続する。
|EGy|が閾値TGyより小さくなってからの時間Taが閾値Ttaより大きくなったら、車両が安定状態になったと判断して、通常制御に戻る。
次に、操舵角速度dθは、運転者操舵角θより、下記の式(15)となる。
dθ=(θt−θt-1)/ΔT …(15)
ここで、ΔTは制御周期である。
運転者の切り戻し操舵によって、運転者操舵角θが閾値Tθを通過するときの操舵角速度dθが閾値Tであるかを、下記の式(16)のように判定し、
t|≦Tθ かつ |θt-1|>Tθ …(16)
そのときの操舵角速度dθが、下記の式(17)となるとき、
dθ≧T …(17)
内輪空転の可能性があると判断し、制御切替フラグFcは、下記の式(18)に設定し、空転防止制御が実施される。
c=1 …(18)
ここで、閾値Tθは、旋回加速度推定値EGyに応じて、運転者の切り戻し操舵を判断する操舵角位置を図9のマップにより決定される。EGyが大きいほど、運転者の切り戻し操舵を早く判断するため、Tθを大きく設定する。
また、閾値Tは、旋回加速度推定値EGyに応じて、内輪空転を発生する可能性のある操舵角速度を図10のマップにより決定される。EGyが大きいほど、運転者の切り戻し操舵が遅くても早めに空転防止制御するため、Tを小さく設定する。ただし、旋回加速度推定値EGyが閾値TGy以下となって継続している時間Tgが、閾値TTg以上になったとき、車両が安定状態になったと判断し、制御切替フラグFcを、下記の式(19)として通常制御に復帰する。
c=0 …(19)
[目標前輪操舵角演算]
下記の式(20)を用いて、目標ヨーレートψ'*から目標前輪操舵角θ*を算出する。
ψ''*=a11ψ'*+a12y+bf1θ* …(20)
よって、目標前輪操舵角θ*は、下記の式(21)となる。
θ*=(ψ''*−a11ψ'*−a12y)/bf1 …(21)
[空転防止ブレーキ液圧指令値算出]
ブレーキ制御コントローラ6の空転防止ブレーキ制御部62では、空転防止ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRを算出する。
まず、前後加速度Gxと横加速度Gyと前軸〜重心点距離Lfと重心点〜後軸距離Lrと前軸幅dfと後軸幅drと前ロール軸高hfと後ロール軸高hrと重心高〜車両ロール軸高距離hsと重心高HGと前ロール剛性Rfと後ロール剛性Rrと車両重量Wと静的各輪荷重WFL0,WFR0,WRL0,WRR0とから、下記の式(22)を用いて、各輪荷重推定値WFL,WFR,WRL,WRRを算出する。
Figure 0004617733
ここで、前後荷重移動量推定値ΔWX、横荷重移動量推定値ΔWYは、下記の式(23),(24)となる。
Figure 0004617733
この各車輪の輪荷重と、各車輪の速度と車体速Vxの差とから、ロックしない範囲の各車輪のブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRは、下記の式(25)となる。
Figure 0004617733
ここで、KFL1,KFL2,KFR1,KFR2,KRL1,KRL2,KRR1,KRR2は、制御ゲイン、VFL,VFR,VRL,VRRは、各車輪の速度である。
ただし、通常ブレーキ制御から空転防止制御への切り替わり時(制御切替フラグFc=0→1)には、急激なブレーキがかかり過ぎるのを防止するため、式(25)の前項に1次遅れフィルタ処理を行う。
[操舵制御処理]
図11は、操舵制御コントローラ3で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1では、目標値演算部312において、制御切替フラグFcがゼロであるかどうかを判定する。YESの場合にはステップS2へ移行し、NOの場合にはステップS10へ移行する。
ステップS2では、内輪空転判断部33において、旋回加速度推定値EGyの絶対値|EGy|を計算し、ステップS3へ移行する。
ステップS3では、内輪空転判断部33において、ステップS2で求めた旋回加速度推定値EGyの絶対値|EGy|が閾値TGy以上であるかどうかを判定する。YESの場合にはステップS4へ移行し、NOの場合にはステップS5へ移行する。
ステップS4では、内輪空転判断部33において、加速度判断フラグFaに1をセットし、ステップS9へ移行する。
ステップS5では、内輪空転判断部33において、加速度判断フラグFaにゼロをセットし、ステップS6へ移行する。
ステップS6では、内輪空転判断部33において、加速度判断フラグFaが1からゼロに切り替わってからの時間Taを計算し、ステップS7へ移行する。
ステップS7では、内輪空転判断部33において、ステップS6で計算したTaが閾値Tta以下であるかどうかを判定する。YESの場合にはステップS8へ移行し、NOの場合にはステップS15へ移行する。
ステップS8では、内輪空転判断部33において、運転者操舵角θが閾値Tθ通過時の操舵角速度dθを計算し、ステップS9へ移行する。
ステップS9では、内輪空転判断部33において、ステップS8で計算した操舵角速度dθが閾値T以上であるかどうかを判定する。YESの場合にはステップS10へ移行し、NOの場合にはステップS15へ移行する。
ステップS10では、内輪空転判断部33において、|EGy|が閾値TGy以下となって継続している時間Tgを計算し、ステップS11へ移行する。
ステップS11では、内輪空転判断部33において、ステップS10で計算したTgが閾値TTg以下であるかどうかを判定する。YESの場合にはステップS12へ移行し、NOの場合にはステップS14へ移行する。
ステップS12では、内輪空転判断部33において、空転可能性ありと判断し、制御切替フラグFcに1をセットし、ステップS13へ移行する。
ステップS13では、空転防止補正部312bにおいて、旋回加速度変化率推定値EGy'と、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRと、ブレーキ液圧指令値の左右輪液圧差の絶対値|(PFL+PRL)−(PFR+PRR)|とに応じて目標ヨー角加速度ψ"*に制限をかけるとともに、目標ヨーレート演算部312dにおいて、空転防止補正部312bで補正された目標ヨー角加速度ψ"*から目標ヨーレートψ'*を算出する空転防止制御を実施し、ステップS16へ移行する。
ステップS14では、空転防止補正部312bにおいて、制御切替フラグFcにゼロをセットし、ステップS15へ移行する。
ステップS15では、目標ヨーレート演算部312dにおいて、目標ヨー角加速度演算部312aで算出された目標ヨー角加速度ψ"*から目標ヨーレートψ'*を算出する通常制御を実施し、ステップS16へ移行する。
ステップS16では、目標出力値生成部32において、ステップS13またはステップS15で算出された目標ヨーレートψ'*に基づいて目標前輪操舵角θ*を算出するとともに、前輪操舵コントローラ4において、目標前輪操舵角θ*を得る舵角指令値を前輪操舵アクチュエータ5に出力し、リターンへ移行する。
[操舵制御作動]
旋回加速度推定値EGyの絶対値|EGy|が閾値TGy以上である場合には、図11のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進み、ステップS4では、加速度判断フラグFaに1がセットされる。
一方、|EGy|が閾値TGyよりも小さい場合には、図11のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5→ステップS6→ステップS7へと進む。続いて、ステップS7において、加速度判断フラグFaが1からゼロに切り替わってからの時間Taが閾値Tta以下である場合には、ステップS8へと進む。
また、ステップS7において、Taが閾値Ttaよりも大きい場合には、ステップS15→ステップS16へと進み、ステップS15では、制御切替フラグFcがゼロであるため、内輪空転可能性が無いと判断し、目標ヨー角加速度演算部312aで算出された目標ヨー角加速度ψ"*から目標ヨーレートψ'*を算出する通常制御が実施される。
次に、ステップS4またはステップS7からは、ステップS8→ステップS9へと進み、ステップS9において、操舵角速度dθが閾値T以上である場合には、ステップS10→ステップS11へと進む。一方、dθが閾値T以上よりも小さい場合には、ステップS15→ステップS16へと進み、ステップS15では、制御切替フラグFcがゼロであるため、内輪空転可能性が無いと判断し、目標ヨー角加速度演算部312aで算出された目標ヨー角加速度ψ"*から目標ヨーレートψ'*を算出する通常制御が実施される。
ステップS11において、旋回加速度推定値EGyの絶対値|EGy|が閾値TGy以下となって継続している時間Tgが閾値TTg以下である場合には、ステップS12→ステップS13→ステップS16へと進む流れとなる。すなわち、ステップS12では、制御切替フラグFcに1がセットされるため、ステップS13では、旋回加速度変化率推定値EGy'とブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRとブレーキ液圧指令値の左右輪液圧差の絶対値|(PFL+PRL)−(PFR+PRR)|とに応じて目標ヨー角加速度ψ"*に制限をかけるとともに、目標ヨーレート演算部312dにおいて、空転防止補正部312bで補正された目標ヨー角加速度ψ"*から目標ヨーレートψ'*を算出する空転防止制御が実施される。よって、ステップS16では、通常制御時よりもステアリングギア比がより大きくなり、その結果、操舵応答がスローとなる。
ステップS11において、Tgが閾値TTgよりも大きい場合には、ステップS14→ステップS15→ステップS16へと進み、ステップS14では、制御切替フラグFcにゼロがセットされるため、内輪空転可能性が無いと判断し、目標ヨー角加速度演算部312aで算出された目標ヨー角加速度ψ"*から目標ヨーレートψ'*を算出する通常制御が実施される。
[ブレーキ制御処理]
図12は、ブレーキ制御コントローラ6で実行されるブレーキ制御処理の流れを示すフローチャートであり、以下、各ステップについて説明する。
ステップS21では、運転者操舵角θ、車体速V、各車輪速VFL,VFR,VRL,VRR、前後加速度Gx,横加速度Gy、およびヨーレートψ'を入力し、ステップS22へ移行する。
ステップS22では、操舵制御コントローラ3から制御切替フラグFcを入力し、ステップS23へ移行する。
ステップS23では、ステップS22で入力した制御切替フラグFcが1であるかどうかを判定する。YESの場合にはステップS24へ移行し、NOの場合にはステップS27へ移行する。
ステップS24では、空転防止ブレーキ制御部62において、ステップS21で入力した前後加速度Gxと横加速度Gyから、各輪荷重WFL,WFR,WRL,WRRを推定し、ステップS25へ移行する(輪荷重検出手段に相当)。
ステップS25では、空転防止ブレーキ制御部62において、ステップS24で推定した各輪荷重WFL,WFR,WRL,WRRから、空転防止制御時のブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRを算出し、ステップS26へ移行する。
ステップS26では、ステップS21で入力した車体速Vと各車輪速VFL,VFR,VRL,VRRとの差に応じて、各車輪にタイヤ摩擦力余裕内で最大限のブレーキがかかるよう、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRを調整し、調整したブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRをブレーキアクチュエータ7へ出力し、リターンへ移行する。
ステップS27では、通常ブレーキ制御部61において、ステップS21で入力した運転者操舵角θ、車体速V、各車輪速VFL,VFR,VRL,VRR、前後加速度Gx,横加速度Gyおよびヨーレートψ'に応じて通常時のブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRを算出するとともに、算出したブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRをブレーキアクチュエータ7へ出力し、リターンへ移行する。
[ブレーキ制御]
制御切替フラグFcが1であり、内輪空転可能性があると判断された場合には、図12のフローチャートにおいて、ステップS21→ステップS22→ステップS23→ステップS24→ステップS25→ステップS26へと進む流れとなる。すなわち、ステップS24では、各輪荷重WFL,WFR,WRL,WRRが推定され、ステップS25では、推定された各輪荷重WFL,WFR,WRL,WRRから空転防止制御時のブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRが算出され、ステップS26において、タイヤ摩擦力余裕内の各車輪がロックしない範囲で最大限のブレーキがかかるよう、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRを調整する空転防止ブレーキ制御が実施される。
制御切替フラグFcがゼロであり、内輪空転可能性が無いと判断された場合には、図12のフローチャートにおいて、ステップS21→ステップS22→ステップS23→ステップS27へと進む流れとなる。すなわち、ステップS27において、通常ブレーキ制御部61で算出されたブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRに基づく通常制御が実施される。
[従来の内輪空転防止制御の問題点]
特開2001−213345号公報には、複数のセンサにより横加速度、ロール速度、ヨーレート等の車両挙動を検出し、これら車両挙動に応じて算出したロール角度推定値に基づいてステアリングギア比を変更することにより、ロール挙動の安定化を図る技術が記載されている。
ところが、この従来技術は、車両挙動のフィードバック制御に伴う過渡応答や振動が、操舵の遅れや不安定挙動につながるため、制御上好ましくない場合がある。また、大きな車両挙動(旋回加速度等)を発生してから内輪空転防止制御を開始するため、制御介入タイミングの遅れ、制御量(操舵切り戻し量)の増大を招くおそれがある。
一方、特開2001−219840号公報には、複数のセンサにより横加速度、ロール速度、車速およびヨーレート等の車両挙動からロール角度推定値を算出し、算出したロール角度推定値に応じて車両ヨーレートを減少させるように各車輪のブレーキ圧配分を制御することにより、旋回時の内輪空転防止を図る技術が記載されている。
ところが、この従来技術は、制動力を利用してヨーレートおよび車速の低減を実施し、内輪空転防止に必要な横加速度の低減を図るものであるため、高横加速度旋回状態ではタイヤ摩擦力をコーナリングフォース(タイヤ横力)の発生に多くを費やされてしまう。よって、ブレーキ力を充分に発生できず、内輪空転を防止できないおそれがある。さらに、減速により前輪荷重が増加し、前輪コーナリングフォースが増大することにより、ブレーキ制御によるヨーレート低減効果が妨げられるという問題がある。
[内輪空転予測時の制動およびギア比可変作用]
これに対し、実施例1の車両用内輪空転防止制御装置では、通常の操舵制御に用いられる車速センサと運転者操舵角センサの出力から内輪空転を予測し、フィードフォワード制御により、ブレーキ制御とステアリングギア比制御を同時に実施することで、上記問題点を解決し、旋回時の内輪空転を未然に防ぐことができる。
図13は、空転防止制御を実施しない場合の切り返し急操舵時における横Gと左輪荷重を示す図であり、ステアリングを中立位置から右方向→左方向へと急操舵した場合(図13(a))、過大な横Gのピークが発生し(図13(b))、左輪荷重がゼロとなって左輪が空転してしまう(図13(c))。
実施例1では、操舵制御コントローラ3は、内輪の空転が予測されたとき、通常制御時よりもステアリングギア比を大きくする(図14(a))。同時に、ブレーキ制御コントローラ6は、各車輪の輪荷重WFL,WFR,WRL,WRRに応じたブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRを算出し、ブレーキアクチュエータ7を駆動して各ブレーキ装置16a〜16dのブレーキ液圧を調整する。
ここで、旋回内輪(左前後輪)の空転が予測された場合、左前後輪の輪荷重はゼロに近い状態であり、かつ前輪荷重が後輪荷重よりも大きくなっているため、各車輪のブレーキ液圧は、
右前輪液圧>右後輪液圧>左前輪液圧>左後輪液圧
の関係となっている(図14(b),(c))。
このとき、車体速Vと各車輪速VFL,VFR,VRL,VRRとの差に応じて、タイヤ摩擦力余裕内で最大限のブレーキがかかるよう、ブレーキ液圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRを調整するため、車輪がロックしない範囲で最大の制動力を発生させることができる。
すなわち、実施例1では、内輪空転を予測した場合には、各車輪に対し、車輪がロックしない範囲で最大のブレーキをかけると同時に、操舵応答をよりスローとすることにより、制御無しの場合(図13(b))と比較して、横Gのピーク値を大幅に低減することができる(図15(a))。結果として、図15(b)に示すように、左輪荷重がゼロとなるのを防止できるため、旋回時の内輪空転を未然に防ぐことができる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用内輪空転防止制御装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(1) ブレーキペダルの操作とは独立して各車輪のブレーキ液圧を可変するブレーキアクチュエータ6と、ステアリングギア比を可変する前輪操舵アクチュエータ5と、を備えた車両用内輪空転防止制御装置において、内輪が空転するかどうかを予測する内輪空転判断手段(内輪空転判断部33)と、内輪が空転すると判断されたとき、ブレーキアクチュエータ7に対し、各車輪のブレーキ圧を増大させるブレーキ液圧指令値を出力するとともに、前輪操舵アクチュエータ5に対し、ステアリングギア比をより大きくするギア比可変指令値を出力する内輪空転防止制御手段(空転防止ブレーキ制御部62,空転防止補正部312b)と、を設けたため、内輪空転を予測し、フィードフォワード制御により車両挙動の初期状態から各車輪のブレーキ圧を増大させると同時に、操舵応答をスローにすることにより、横加速度のピークを抑えることができるため、車両挙動のフィードバック制御に伴う過渡応答や振動等を発生させることなく、内輪空転を未然に防ぐことができる。
(2) 各車輪の輪荷重WFL,WFR,WRL,WRRを検出する輪荷重検出手段を設け、ブレーキ制御コントローラ6は、各輪荷重WFL,WFR,WRL,WRRに基づいて各車輪のブレーキ圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRを独立に算出するため、輪荷重が大きな旋回外輪に十分な制動力を発生させることができる。よって、横加速度がより低減できるため、内輪空転を確実に防止できる。
(3) 空転防止ブレーキ制御部62は、各車輪のブレーキ圧指令値PFL,PFR,PRL,PRRを車体速Vと各車輪速VFL,VFR,VRL,VRRとの差に応じて、各車輪がロックしない範囲で、独立に算出するため、各車輪がロックしない範囲で最大のブレーキをかけることができる。
(4) 空転防止補正部312bは、車速とステアリング操舵角とから求まる車両の旋回加速度推定値EGyの変化率EGy'が高いほど、目標ヨーレートψ'*の制限値を小さく(図6のマップ参照)して、ステアリングギア比を大きくするため、旋回加速度推定値EGyの大きさに応じて内輪空転を防止しつつ、過度なアンダーステア傾向となるのを抑制できる。
(5) 空転防止補正部312bは、各車輪のブレーキ圧指令値の加算値(PFL+PFR+PRL+PRR)が大きいほど、目標ヨーレートψ'*の制限値を小さく(図7のマップ参照)して、ステアリングギア比を大きくするため、減速Gの大きさに応じて内輪空転を防止しつつ、ブレーキ制御によるヨーレート増減の影響を抑制できる。
(6) 空転防止補正部312bは、各車輪のブレーキ圧指令値の左右差|(PFL+PRL)−(PFR+PRR)|が所定値ΔPs1より大きいほど、目標ヨーレートψ'*の制限値を大きく(図8のマップ参照)して、ステアリングギア比の増大量を小さくするため、発生ヨーレートの大きさに応じて内輪空転を防止しつつ、ブレーキ制御によるヨーレート増減の影響を抑制できる。
(7) 操舵コントローラ3は、車速とステアリング操舵角とから算出した車両の目標ヨーレートψ'*に応じて、目標前輪操舵角θ*を設定する目標出力値生成部32を備え、内輪空転防止制御手段は、内輪が空転すると判断されたとき、目標値生成部31の目標ヨーレートψ'*の大きさを制限(−Lψ''*≦ψ"*(s)≦Lψ''* ψ"*:目標ヨー角加速度)して、ステアリングギア比を大きくすることで、横Gのピークが抑制され、内輪空転を防止できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例1の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施例1の各輪荷重推定値やブレーキ液圧指令値の算出方法は一例であり、他に、車輪がロックしない範囲で最大のブレーキをかける制御則であればよい。
また、実施例1では、各輪独立にブレーキ液圧指令値を算出したが、前後や左右などで合わせて算出してもよい。
実施例1の車両用内輪空転防止制御装置の全体システム図である。 実施例1の操舵制御コントローラ3の制御ブロック図である。 目標値生成部31の制御ブロック図である。 目標値演算部312の制御ブロック図である。 ブレーキ制御コントローラ6の制御ブロック図である。 旋回加速度変化率推定値EGy'に応じた制限値Lψ''*YGの設定マップである。 ブレーキ液圧指令値の加算値(PFL+PFR+PRL+PRR)に応じた係数Kψ''*XGの設定マップである。 左右輪液圧差の絶対値|(PFL+PRL)−(PFR+PRR)|に応じた係数Kψ''*YRの設定マップである。 旋回加速度推定値EGyに応じた閾値Tの設定マップである。 旋回加速度推定値EGyに応じた閾値Tの設定マップである。 実施例1の操舵制御コントローラ3で実行される操舵制御処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のブレーキ制御コントローラ6で実行されるブレーキ制御処理の流れを示すフローチャートである。 空転防止制御を実施しない場合の切り返し急操舵時における横Gと左輪荷重を示す図である。 実施例1の空転防止制御を実施した場合の切り返し急操舵における前輪操舵角と前輪ブレーキ液圧と後輪ブレーキ液圧を示す説明図である。 実施例1の空転防止制御を実施した場合の切り返し急操舵時における横Gと左輪荷重を示す図である。
符号の説明
1 運転者操舵角センサ
2 車速センサ
3 操舵制御コントローラ
31 目標値生成部
311 車両モデル演算部
312 目標値演算部
312a 目標ヨー角速度演算部
312b 空転防止補正部
312c 制御切替部
312d 目標ヨーレート演算部
32 目標出力値生成部
33 内輪空転判断部
4 前輪操舵コントローラ
5 前輪操舵アクチュエータ
6 ブレーキ制御コントローラ
61 通常ブレーキ制御部
62 空転防止ブレーキ制御部
63 制御切替部
7 ブレーキアクチュエータ
10 ステアリングホイール
11a 左前輪
11b 右前輪
12 前輪転舵機構
13 コラムシャフト
14a 左後輪
14b 右後輪
15a〜15d 車輪速センサ
16a〜16d ブレーキ装置
17 ヨーレートセンサ
18 加速度センサ

Claims (6)

  1. ブレーキペダルの操作とは独立して各車輪のブレーキ圧を可変するブレーキアクチュエータと、
    操向輪転舵角に対するステアリング操舵角の比であるステアリングギア比を可変する可変ギア比アクチュエータと、
    を備えた車両用内輪空転防止制御装置において、
    前記ステアリング操舵角と車速とによって推定横加速度を算出する横加速度推定手段と、
    前記ステアリング操舵角に基づいて、ステアリング操舵角の操舵角速度を検出する操舵角速度検出手段と、
    前記推定横加速度と前記操舵角速度とに基づいて、内輪が空転するかどうかを予測する内輪空転判断手段と、
    内輪が空転すると判断されたとき、前記ブレーキアクチュエータに対し、各車輪のブレーキ圧を増大させるブレーキ圧指令値を出力するとともに、前記可変ギア比アクチュエータに対し、ステアリングギア比を大きくするギア比可変指令値を出力する内輪空転防止制御手段と、
    を設け
    前記内輪空転防止制御手段は、各車輪のブレーキ圧指令値の左右差を算出し、その左右差が所定値より大きくなると、前記ステアリングギア比の増大量を小さくすることを特徴とする車両用内輪空転防止制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用内輪空転防止制御装置において、
    各車輪の輪荷重を検出する輪荷重検出手段を設け、
    前記内輪空転防止制御手段は、各車輪の輪荷重に基づいて各車輪のブレーキ圧指令値を独立に算出することを特徴とする車両用内輪空転防止制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の車両用内輪空転防止制御装置において、
    前記内輪空転防止制御手段は、各車輪のブレーキ圧指令値を各車輪がロックしない範囲で、独立に算出することを特徴とする車両用内輪空転防止制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用内輪空転防止制御装置において、
    前記内輪空転防止制御手段は、内輪が空転すると判断されたとき、前記推定横加速度の変化量が大きいほど、前記ステアリングギア比を大きくすることを特徴とする車両用内輪空転防止制御装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用内輪空転防止制御装置において、
    前記内輪空転防止制御手段は、内輪が空転すると判断されたとき、各車輪のブレーキ圧指令値の加算値が大きいほど、前記ステアリングギア比を大きくすることを特徴とする車両用内輪空転防止制御装置。
  6. 請求項1ないし請求項5に記載の車両用内輪空転防止制御装置において、
    車速とステアリング操舵角とから算出した車両の目標ヨーレートに応じて、ギア比可変指令値を設定するギア比可変指令値設定手段を備え、
    前記内輪空転防止制御手段は、内輪が空転すると判断されたとき、前記ギア比可変指令値設定手段の目標ヨーレートの大きさを制限して、ステアリングギア比を大きくするギア比可変指令値を出力することを特徴とする車両用内輪空転防止制御装置。
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